画像データの調査と処理
画像は、大半のリモート センシング ベースのワークフローで使用される重要なデータ タイプの 1 つです。 画像には、光学衛星写真や航空写真を使用できます。 画像を他のレイヤーの背景として使用したり、解析して肉眼では見えない情報を抽出したりすることができます。 このセクションでは、画像データセットのプロパティを調べ、その外観を最適化します。
注意:
実際のプロジェクトでは、データの準備に予想以上の時間がかかることがよくあります。 このチュートリアルでは、データを準備する際のさまざまなタスクを理解できます。 画像などのラスター データを扱う場合は、まず各レイヤーを調べてその特性を理解し、異常を検出します。 その後、異常を修正し、同じ解析に追加できるよう、すべてのレイヤーが同様に設定されていることを確認します。 また、適切なレンダリングやシンボルを選択して、各レイヤーの外観および見やすさを最適化します。 その後、新たな派生レイヤーを生成することもできます。 最後に、レイヤーを保存したり、レイヤーをパッケージ化してプロジェクトに参加している他のアナリストと共有したりします。
プロジェクト パッケージのダウンロードおよび設定
最初に、ArcGIS Pro プロジェクトおよびチュートリアルの完了に必要なデータが格納された .zip 圧縮フォルダーをダウンロードします。
- HallstattImagery.zip をダウンロードし、任意の場所 (C: ドライブ上のフォルダーなど) に展開します。
注意:
お使いの Web ブラウザーによっては、ダウンロードを開始する前に、ファイルの場所を選択するよう求めるメッセージが表示される場合があります。 ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでコンピューターのダウンロード フォルダーがダウンロード先の場所になります。
- 展開された HallstattImagery フォルダーを見つけて開きます。 HallstattImagery.aprx をダブルクリックして、ArcGIS Pro でプロジェクトを開きます。 求められた場合、ArcGIS アカウントにサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
ArcGIS Pro にプロジェクトが表示されます。
プロジェクトの初期マップには、1 枚の画像 (Hallstatt_Image.tif) と、ベースマップ レイヤーが表示されています。 その他にも多くのレイヤーをダウンロードしましたが、これらのレイヤーはローカル ドライブのプロジェクト フォルダーに格納されています。 ここでは、そのフォルダーの構造とコンテンツを確認します。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] をクリックします。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー] を展開し、[HallstattImagery] を展開します。
コンテンツおよびフォルダー構成を確認し、特に [DEM]、[DSM]、[Imagery]、および [ScannedMap] サブフォルダーで、ソース画像とラスターがどのように分類および格納されているかに注目します。 チュートリアルでは、これらのアイテムを処理および探索し、これらの一部のフォルダーに新しい派生ラスター データセットを追加します。
注意:
このチュートリアルで使用したデータは、オーバーエスターライヒ州から取得され、Creative Commons Attribution 4.0 Austria ライセンスの下、さまざまな地域のベクター データ レイヤーおよびラスター データ レイヤーを提供します。 このデータについて質問がある場合は、以下の連絡先からお問い合わせください。
Office of Upper Austria. State Government
Directorate Presidium, Department Presidium, Landhausplatz 1, 4021 Linz
電話: (+43 732) 77 20-111 61
FAX: (+43 732) 77 20-21 16 21
電子メール: praes.post@ooe.gv.at
画像のプロパティの確認
[Hallstatt_Image.tif] は、マップに配置済みの画像レイヤーで、ハルシュタット地域を示しています。 マルチスペクトル航空画像で、次の 4 つのスペクトル バンドが含まれています。
- 赤 (Band_1)
- 緑 (Band_2)
- 青 (Band_3)
- 近赤外 (Band_4)
画像を確認します。
- まず、[コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] 画像の凡例を確認します。
現在表示されている 3 つのバンド ([赤: Band_1]、[緑: Band_2]、[青: Band_3]) がリストされています。 [Band_4] (近赤外) は現在表示されていません。
注意:
各バンドはラスターで表現されています。ラスターとは、ロウ数とカラム数に整理されたセル (またはピクセル) のグリッドで、各セルには値が含まれています。 バンドが積み重なり、色付きで表示されるコンポジット画像データセットが形成されます。
ラスター グリッドを表示するには、マウス ホイール ボタンで個々のピクセルが表示されるように画像を拡大します。 その後、画像の全範囲が表示されるまで縮小します。
ここで、この画像のいくつかのラスター データセット プロパティを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] を右クリックして [プロパティ] をクリックします。
[レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウの [ソース] をクリックします。
[ソース] プロパティには、ディスク上のデータの場所やピクセルのロウ数とカラム数など、レイヤー ソースに関するさまざまな情報が報告されます。
- [ソース] ウィンドウで、[ラスター情報] セクションを展開し、[カラム数] および [ロウ数] プロパティを確認します。
x 方向と y 方向にそれぞれ存在するピクセルの個数を示しています。 カラム数とロウ数を掛け合わせることで、画像全体のピクセル数を求めることができます。
- [バンド数] プロパティを確認します。
前に説明したとおり、バンドは 4 つあります。
- [セル サイズ X] と [セル サイズ Y] を確認します。
セル サイズはラスターのピクセル サイズ (解像度) を表します。
注意:
セル サイズの詳細については、チュートリアル「画像の探索: 空間解像度」をご参照ください。
ここでは、セル サイズは 0.2 です。 通常、セル サイズは x と y で同じであり、各セル (ピクセル) が正方形であることを意味します。 では、この 0.2 という値の単位は何でしょうか? [空間参照] の [距離単位] プロパティを確認して単位を決定します。
- [ソース] ウィンドウで [空間参照] を展開し、[距離単位] プロパティに注目します。
このラスターの [距離単位] プロパティは、[メートル (1.0)] です。 このため、各ピクセルは、0.2 x 0.2 メートル (20 x 20 センチ) のサーフェスを表しています。
- [空間参照] を折りたたみます。
- 次に、[ラスター情報] の下で、[ピクセル タイプ] と [ピクセル深度] を見つけます。
ピクセル タイプは [unsigned char] であり、これはラスターの各バンドが正のピクセル値のみを含むことを意味します。 ピクセル深度は [8 ビット] であり、これは 1 つのピクセルが 256 個の異なる値を保持できることを意味します。 符号なしタイプのため、値の範囲は 0 〜 255 です。
- [ソース] ウィンドウで、[ラスター情報] を折りたたみ、[統計情報] を展開します。
ラスター データセットの 4 つのバンドごとに統計情報が報告されます。
注意:
ラスターの統計情報には、ピクセル値の最小と最大、平均、および標準偏差が含まれます。 ラスター データの適切なシンボル表示およびレンダリングには統計情報が必要です。
- [ソース] ウィンドウで [統計情報] を展開します。 [空間参照] を展開します。
注意:
GIS 内で機能させるには、すべてのレイヤーを座標系に定義する必要があります。 座標系と投影法の詳細については、チュートリアル「適切な投影法の選択」をご参照ください。
[投影座標系] プロパティは、オーストリアの当該地域で一般的に使用されている [MGI Austria GK Central] 座標系に設定されています。 オーバーエスターライヒ州政府のアナリストとして、この座標系はプロジェクトに適していることがわかっているため、変更する必要はありません。 このチュートリアルの後半では、異なる座標系を使用し、投影変換する必要がある他のデータ レイヤーを確認します。
- 必要に応じて、その他のプロパティの確認を続けます。 [OK] をクリックして、[プロパティ] ウィンドウを閉じます。
注意:
使用しているラスターのプロパティの確認方法を十分に理解することが重要です。
次に、[画像情報] ウィンドウを使用して、コンポジット画像を詳細に調べます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] が選択されていることを確認します。 リボンの [画像] タブの [ツール] グループで [画像情報] ボタンをクリックします。
[画像情報] ウィンドウには、ラスター レイヤーに関するコンテキスト情報が表示されます。
- マップで、[Hallstatt_Image.tif] 画像レイヤーの上にポインターを合わせます。
- [位置] セクションには、ポインターの現在の位置に関する地理情報が表示されます。
- [スペクトル] セクションには、ポインターの位置にある画像のスペクトル情報が表示されます。 このため、各バンドの現在のピクセルの値が表示されます。
- [クイック ビュー] セクションでは、メタデータが利用可能な場合、画像を取得したセンサーに関する情報が表示されます。
- マップで、[Hallstatt_Image.tif] の湖 (水域) の上にポインターを合わせます。
スペクトル情報では、バンド 1 (赤) とバンド 4 (近赤外) の値が低く、これは水域では一般的です。
- 森林地域 (濃い緑色) の上にポインターを合わせます。
近赤外バンドの値が特に高いことに注目します。 これは、健全な植生の細胞構造が近赤外光を強く反射するためです。
注意:
このようなバンド値の変化を利用して、画像に表示された土地被覆の種類 (水域、植生、露出土壌、人工の建物など) の識別などの画像解析を行うことができます。
- 探索を続行し、終了したら [画像情報] ウィンドウを閉じます。
画像のシンボルの改善
このセクションでは、ラスター画像の外観を変更する方法を学習します。 まず、マップの特定のエリアを拡大します。
- [マップ] タブの [ナビゲーション] グループにある [ブックマーク] をクリックして [Hallstatt] を選択します。
マップで町および周囲の森や湖の一部が拡大表示されます。
次に、[Hallstatt_Image.tif] 画像の複製をマップに追加します。 これにより、元のレイヤーに対するさまざまな外観の更新を比較することができます。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー] を展開し、[Imagery] フォルダーを展開します。 [Hallstatt_Duplicate.tif] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_Duplicate.tif] を [Hallstatt_Image.tif] の下にドラッグします。 両方のレイヤーがオンになっていることを確認します。 [Hallstatt_Image.tif] をクリックして選択します。
現在のところ、この 2 つのレイヤーは同一です。
次に、さまざまな方法で画像をストレッチしてみます。
注意:
画像のストレッチでは、画像ラスターの元の値の範囲を取得して広げる (ストレッチする) ことで、ラスターのビット深度により設定可能なすべての値を利用できます。 たとえば、あるラスターの元の値の範囲が 34 〜 148 であるとします。 [最小値 - 最大値] などのストレッチを適用すると、0 〜 255 の全範囲を使用するように値が変換されます。 これにより、画像の鮮明さとコントラストが向上します。
デフォルトでは、[Hallstatt_Image.tif] と [Hallstatt_Duplicate.tif] の両方が、画像のデフォルト ストレッチとして適している [割合クリップ] に設定されています。 このストレッチを、ストレッチしない場合と比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] が選択されていることを確認します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブにある [レンダリング] グループで、[ストレッチ タイプ] ドロップダウン メニューをクリックして [なし] を選択します。
[スワイプ] ツールを使用して 2 つの画像を比較します。
- リボン上の [ラスター レイヤー] タブにある [比較] グループで [スワイプ] ツールをクリックします。
[スワイプ] ツールを使用して、[コンテンツ] ウィンドウで選択されているレイヤーを引き戻し、下にあるコンテンツを表示することができます。 この場合、[スワイプ] ツールで [Hallstatt_image.tif] レイヤーを引き戻して、[Hallstatt_Duplicate.tif] レイヤーの外観を表示できます。 この操作により、2 つのレイヤーを比較することができます。
- マップで、ポインターを画像の端の近くに置きます。 ポインターを上から下または左から右にゆっくりとドラッグします。
ストレッチが適用されていない画像は、鮮明さとコントラストが低いことがわかります。
- [ストレッチ タイプ] メニューで他のストレッチ タイプを選択し、[スワイプ] ツールを使用してデフォルトと比較します。 最適な画像を生成するストレッチ タイプを確認します。 特に希望がない場合は、[割合クリップ] を選択します。
注意:
一般的に、何らかのストレッチ タイプを適用したほうが、ストレッチを一切適用しないよりも画像のレンダリングが改善します。 [割合クリップ] は、画像のデフォルトに適しています。 [割合クリップ] は、一定の割合で最も高いピクセル値と最も低いピクセル値を切り捨て、外れ値の影響を軽減し、残りの値に線形ストレッチを適用します。
さまざまなストレッチ タイプについては、「画像の表示設定」ドキュメントをご参照ください。
次に、リサンプリング タイプに注目します。
- マップ ビューの下部にあるマップ縮尺で、「1:200」と入力して、Enter キーを押します。
個々のピクセルや村の建物が存在する場所が見えるようになります。
- [ラスター レイヤー] タブの [レンダリング] グループで、[リサンプリング タイプ] ドロップダウン メニューをクリックして [共一次内挿法] を選択します。
[スワイプ] ツールを使用して、[共一次内挿法] タイプとデフォルト タイプ ([最近隣内挿法]) を比較します。
[共一次内挿法] リサンプリング タイプのほうが、実際のピクセルが見えないほど滑らかな外観になっていることがわかります。 代わりに、ピクセル間のスムーズなトランジションが発生しています。 これは、近傍セルの値を平均化することで実現されます。 一般に、画像には [共一次内挿法] リサンプリング方法が最もよく使用されています。 リサンプリング タイプを [共一次内挿法] のままにします。
注意:
このリサンプリング オプションは、画像の表示方法のみを制御します。 このチュートリアルの後半では、実際の画像ファイルを完全に変更する、他のタイプのリサンプリング操作について紹介します。
- リボンの [マップ] タブで、[ブックマーク] をクリックして、[Hallstatt] を選択します。
現在、バンド割り当ては、肉眼で見たときに最も近い [ナチュラル カラー] (赤、緑、青のバンド) で表示されています。 次に、バンド割り当てを、植生のハイライト表示に適した近赤外バンドを含むように変更します。
- [ラスター レイヤー] タブをクリックし、[レンダリング] グループで [バンド割り当て] ドロップダウン メニューをクリックして [カラー赤外] を選択します。
近赤外バンドが含まれているため、近赤外バンドを赤、赤バンドを緑、緑バンドを青として表示する [赤外カラー] (またはフォールス カラー) 合成を作成できます。 赤外カラーでは、植生 (赤色) と水域 (黒色) がハイライト表示されます。
- [スワイプ] ツールを使用して、[赤外カラー] バンド割り当てとデフォルトの [ナチュラル カラー] バンド割り当てを比較します。
たとえば、[ナチュラル カラー] では、村内の植生の有無が区別しにくくなっていました。 [赤外カラー] では、建物の間にある小さな植生地域が明るい赤色ではっきりと浮かび上がっています。
注意:
画像にバンドが 4 つ以上が含まれている場合、さらに多くのバンド割り当てを作成することができます。 バンド割り当ての種類によって、ハイライト表示される画像内のフィーチャも異なります。 その他の例については、Learn ArcGIS チュートリアル「衛星画像の操作方法」と「衛星画像を使用した焼け跡の評価」をご参照ください。
- [スワイプ] モードを終了するには、リボンの [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで [マップ操作] ツールをクリックします。
- [ラスター レイヤー] タブの [レンダリング] グループで、[シンボル] ボタンをクリックして [シンボル] ウィンドウを表示します。
これまで画像の外観を変更するために実行したタスクのほとんどは ([ストレッチ タイプ] の設定など)、[シンボル] ウィンドウからもアクセスできます。
注意:
レイヤーの表示設定を変更しても、視覚的な表示が目的であるため、実際のソース データが変更されることはありません。 プロジェクトまたはレイヤー ファイルを保存しない限り、変更は反映されません。 プロジェクトを保存すると、編集したレイヤーの状態が保存されますが、このプロジェクト内でのみ有効です。 レイヤー ファイルを保存すると、レイヤーの表示設定が保存され、同じ表示設定を複数のプロジェクトで再使用することができます。
次に、レイヤー ファイルを作成し、レイヤーに適用したストレッチ、リサンプリング、およびバンド割り当てを反映します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_Image.tif] を右クリックし、[共有] にポインターを合わせて、[レイヤー ファイルとして保存] を選択します。
レイヤーの保存先を選択するウィンドウが表示されます。 保存されたレイヤー ファイルの拡張子は .lyrx です。
- [レイヤー ファイルの保存] ウィンドウで、[Imagery] フォルダーを参照します。 [名前] に「Hallstatt_ColorInfrared」と入力し、[保存] をクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで、[Hallstatt_ColorInfrared] レイヤー ファイルを右クリックして [現在のマップに追加] を選択します。
レイヤーが、マップに追加されます。 レイヤー ファイルには、設定したすべての表示設定およびシンボル パラメーターが保存されていることがわかります。
- [コンテンツ] ウィンドウで、先ほど追加した一番上の [Hallstatt_Image.tif] レイヤーを右クリックし、不要になったため [削除] をクリックします。 同様に、[Hallstatt_Duplicate.tif] も削除します。
[Hallstatt_Image.tif] レイヤーとベースマップ レイヤーだけが残ります。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。 プロジェクトを現在のバージョンの ArcGIS Pro に保存するプロンプトが表示されたら、[はい] をクリックします。
このモジュールでは、画像ラスター データセットのプロパティを確認しました。 また、画像の表示設定を変更し、選択内容をレイヤー ファイルに保存しました。 これで、オーバーエスターライヒ地域の計画者が画像を詳細に調査および解析するための準備が整いました。 次のモジュールでは、標高データを扱います。
標高データの調査と処理
このモジュールでは、ラスター標高データを扱います。 標高データは有益な情報を提供し、他のタイプのラスター レイヤーの取得に使用することもできます。 デジタル標高モデル (DEM) は、地表や地形の標高を示すラスターです。 数値表層モデル (DSM) は、建物や樹冠の頂部など、表面の高さを示す標高ラスター タイプの 1 つです。 ここでは、解析用の DEM と DSM を用意し、傾斜角レイヤーも生成します。
注意:
標高ラスターは、LIDAR 点群などのリモート センシング データから生成されます。 LIDAR 点群から標高ラスターやその他の情報を取得する方法については、Learn ArcGIS チュートリアル「LIDAR データから 3D 建物を抽出する」をご参照ください。
DEM の調査
このセクションでは、DEM フォルダー内のデータの操作を開始します。 ハルシュタット地域は、並んで表示された 2 つの DEM に覆われています。 2 つの DEM ファイルを調査し、解析に必要な準備を行う方法を決定します。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー]、[HallstattImagery]、および [DEM] の各フォルダーを展開します。
フォルダーには、2 つの DEM ([EastDEM40.tif] および [WestDEM50.tif]) が含まれています。
- [EastDEM40.tif] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。 [WestDEM50.tif] についても同じ操作を行います。
注意:
これらのラスターのいずれかの統計情報を計算するかどうかをたずねる [統計情報の計算] ウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックします。
先ほど確認したとおり、ラスター データの適切なシンボル表示およびレンダリングには統計情報が必要で、必ずしも未加工データに組み込まれているわけではありません。
2 つのラスターがマップ上に並んで表示されます。
マルチスペクトル画像とは異なり、複数のバンドでは構成されておらず、それぞれに 1 つのラスターが含まれます。 暗い色の領域が低い標高、明るい色の領域が高い標高を表しています。 DEM 間でシンボルが急激に変化しているように見えます。 これは現在のところ、各ラスターに独自のデフォルトのストレッチが適用されているためです。
ここで、2 つのラスターのプロパティを確認します。
- [カタログ] ウィンドウで [EastDEM40.tif] を右クリックして [プロパティ] をクリックします。
[ラスター データセット プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウの [ラスター情報] セクションで、[セル サイズ X] と [セル サイズ Y] の値が [0.4] であることに注目します。
- [OK] をクリックして [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
- [WestDEM50.tif] でも同じプロセスを繰り返し、[セル サイズ X] と [セル サイズ Y] の値が [0.5] であることに注目します。
[EastDEM40.tif] のピクセル サイズは [0.4] メートル (40 センチメートル) で、[WestDEM50.tif] のピクセル サイズは [0.5] メートル (50 センチメートル) です。
これらの DEM を同じ解析で使用するには、同じ解像度を設定する必要があります。 小さいピクセル サイズ (0.4 メートル) を大きいピクセル サイズ (0.5 メートル) にリサンプルすることをお勧めします。 次のセクションでは、[リサンプル (Resample)] ツールを使用して、[EastDEM40.tif] を 0.5 メートルにリサンプルします。
ただし、先に空間参照を確認して、DEM プロパティの調査を終了します。
- [空間参照] セクションを展開します。
[WestDEM50.tif] ラスターは、[GK_M31] という投影座標系を使用しています。
- [WestDEM40.tif] ラスターの空間参照を確認します。
両方の画像ともに同じ座標系 [GK_M31] を使用していますが、この座標系は [Hallstatt_Image.tif] で使用され、プロジェクトで推奨されている座標系 [MGI_Austria_GK_Central] と一致しません。 このため、DEM データを [MGI_Austria_GK_Central] に投影変換する必要があります。
2 つの DEM ファイルを調査した後、3 つの作業を行う必要があると判断しました。
- 両方の DEM が同じ解像度になるよう、[EastDEM40.tif] を 0.5 メートルにリサンプルします。
- 2 つの DEM をモザイク処理 (再構成) し、1 つの大きな DEM ラスターのみを操作するだけで済むようにします。
- 空間参照 (座標系) が [Hallstatt_Image.tif] と一致するよう、DEM を投影変換します。 2 つの DEM をモザイク処理するステップで、この作業を実施できます。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
DEM のリサンプルとモザイク処理
これで DEM ラスター ファイルの問題を特定できたため、必要に応じてリサンプル、モザイク処理、投影変換を行います。 まず、[EastDEM40.tif] を 0.5 メートルにリサンプルします。
- リボンの [解析] タブにある [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックして [ジオプロセシング] ウィンドウを表示します。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索バーで、「リサンプル」と入力します。
- 検索結果の [リサンプル (Resample) (データ管理ツール)] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、次のパラメーターを入力します。
- [入力ラスター] のドロップダウン リストで [EastDEM40.tif] を選択します。
- [出力ラスター データセット] で、[参照] ボタンをクリックします。 [DEM] フォルダーを参照して開き、[名前] に「EastDEM50.tif」と入力します。 [保存] をクリックします。
- [出力セル サイズ] のドロップダウン リストで [WestDEM50.tif] を選択します。 [X] および [Y] フィールドが [0.5] に更新されます。
- [リサンプリング手法] で [共一次内挿法] を選択します。
標高データの場合、共一次内挿リサンプリング手法を推奨します。
注意:
[DEM] フォルダーが [EastDEM50.tif] 出力レイヤーの保存場所として選択されていることを確認します。 選択されていない場合は、ツールはデフォルトでプロジェクトのジオデータベースに保存を試みますが、ジオデータベースには TIFF ファイルは保存できないため、保存は失敗します。
次に、[スナップ対象ラスター] 環境パラメーターを設定します。 このパラメーターを使用することで、出力ラスターと [WestDEM50.tif] の位置が完全に一致します。
- [環境] タブをクリックします。
- [ラスター解析] の [スナップ対象ラスター] で [WestDEM50.tif] を選択します。
- [実行] をクリックします。
新しいレイヤー EastDEM50.tif が [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 EastDEM40.tif と似ていますが、セル サイズが 0.4 メートルから 0.5 メートルにリサンプリングされています。 次に、[新規ラスターにモザイク (Mosaic To New Raster)] ツールを使用し、ラスターを結合してモザイクを作成します。 また、このステップでは、モザイクを目的の空間参照に投影変換します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[戻る] ボタンを 2 回クリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[新規ラスターにモザイク (Mosaic To New Raster)] を検索して開きます。
- [新規ラスターにモザイク] ツールで、次のパラメーターを入力します。
- [入力ラスター] で、[EastDEM50.tif] と [WestDEM50.tif] を選択します。
- [出力場所] で、[DEM] フォルダーを参照して選択します。 [OK] をクリックします。
- [ラスター データセット名 (拡張子)] に「Hallstatt_DEM.tif」と入力します。
- [ラスターの空間参照] で、[Hallstatt_Image.tif] ([MGI_Austria_GK_Central]) を選択します。
- 標高に小数桁が含まれているため、[ピクセル タイプ] で [32 ビット浮動小数点] を選択します。
- 標高データセットにはバンドが 1 つしかないため、[バンド数] に「1」を入力します。
- [実行] をクリックします。
注意:
[新規ラスターにモザイク (Mosaic To New Raster)] ツールは、複数のラスターを 1 つの大きなラスターにマージします。 隣接する少数のラスターを一緒にモザイク処理するだけでよい場合には、この方法が適しています。 ただし、大量のラスターが含まれる大規模なデータの場合は、よりスケーラブルなモザイク データセットがデータ管理構造として推奨されます。
新しい Hallstatt_DEM.tif レイヤーが表示されます。 1 つのシームレスな標高ラスターとなり、正しい空間参照に投影変換されました。
このラスターは少し改善する必要があるため、現在のところはマップから削除しておきます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DEM.tif] を右クリックし、[削除] を選択します。
- [カタログ] ウィンドウの DEM フォルダーで、[Hallstatt_DEM.tif] を見つけます。
注意:
新しいファイルが表示される前に、[DEM] フォルダーを更新する必要がある場合があります ([DEM] を右クリックして [更新] を選択します)。
- [Hallstatt_DEM.tif] を右クリックして [プロパティ] を選択します。 表示された [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウで、次のプロパティを確認します。
- [ラスター情報] で、[セル サイズ X] と [セル サイズ Y] の値が [0.5] (メートル) であること。
- [空間参照] で、[投影座標系] 値が [MGI_Austria_GK_Central] であること。
- [ラスター情報] の [ソース タイプ] で、[高度] を選択します。 [OK] をクリックして、変更内容を適用します。
適切なソース タイプを選択することで、表示時にラスターがデフォルトで適切にレンダリングされるようになります。 [ソース タイプ] が [高度] に設定されている場合、デフォルトのストレッチ タイプは [最小値 - 最大値]、デフォルトのリサンプリング タイプは [共一次内挿法] で、標高データに最適なデフォルト値となっています。
- [カタログ] ウィンドウで、[Hallstatt_DEM.tif] レイヤーを右クリックして [現在のマップに追加] を選択します。
これで標高ラスターの準備が完了し、解析に使用できるようになりました。
- [EastDEM50.tif] を右クリックして [削除] を選択します。 同様に、[WestDEM50.tif] と [EastDEM40.tif] も不要になったため削除します。
- Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存します。
このセクションでは、DEM を共通のピクセル解像度にリサンプリングし、2 つの DEM をモザイク処理し、プロジェクトの他のレイヤーに一致するよう投影変換しました。 次に、DEM の外観を改善します。
DEM の外観の改善
このセクションでは、DEM のデフォルトの外観を確認し、標高がわかりやすく表示されるように変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DEM.tif] がオンで選択されていることを確認します。 [Hallstatt_Image.tif] をオフにします。
- リボン上の [ラスター レイヤー] タブをクリックし、[レンダリング] グループで [ストレッチ タイプ] ドロップダウン リストをクリックします。 [最小値 - 最大値] に設定されていることを確認します。
- [リサンプリング タイプ] ドロップダウン リストをクリックし、[共一次内挿法] に設定されていることを確認します。
ラスター タイプを [高度] に設定しているため、これらのデフォルトは [高度] ラスター タイプに対して最適に設定されています。 ここで、DEM の小さな領域を確認します。
- [マップ] タブをクリックし、[ナビゲーション] グループで [ブックマーク] をクリックして [Dark Shoreline] を選択します。
表示にダーク グレーが多く、情報が伝わりやすいとは言えません。
- [ラスター レイヤー] タブをクリックし、[レンダリング] グループで [DRA] をクリックします。
[DRA] は Dynamic Range Adjustment (ダイナミック レンジ調整) を表します。 表示範囲内のピクセル値のみを考慮し、ストレッチの表示を調整します。 [DRA] をオンにすると、ラスターの任意の領域を拡大表示するたびに、表示されるグレー階層が増えます。
表示は改善されましたが、標高をより適切な色のセットで表示することでさらに改善できます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DEM.tif] レイヤーを右クリックして [レイヤーにズーム] を選択します。
- [Hallstatt_DEM.tif] の下にあるレイヤーのシンボルをクリックして、[シンボル] ウィンドウを開きます。
より適切な配色を選択します。
- [シンボル] ウィンドウの [配色] でドロップダウン リストをクリックし、[名前の表示] をオンにします。 [高さ #5] を選択します。
これで、標高の低い場所には緑色、標高の高い場所に黄色および茶色を設定できました。
このシンボルは、その地域の標高をよく表しています。 ただし、湖と沿岸部の土地はほぼ同じ標高であるため、このデータを補足するには、DEM の上に水域をベクター レイヤーとして表示します。
- [カタログ] ウィンドウで、[データベース] と [HallstattImagery.gdb] を展開します。 [Hallstatt_Lake] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
[Hallstatt_Lake] レイヤーがマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Lake] レイヤーのシンボルを右クリックし、[ソーダライト ブルー] 色を選択します。
ヒント:
色の名前を表示するには色にカーソルを合わせます。
[Hallstatt_Lake] ポリゴンが水色で表示され、水と陸がはっきりと区別されるようになります。
シンボル表示された DEM レイヤーをレイヤー ファイルに保存します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_DEM.tif] を右クリックし、[共有] にポインターを合わせて、[レイヤー ファイルとして保存] をクリックします。
- [レイヤー ファイルの保存] ウィンドウで [DEM] フォルダーを参照し、[名前] に「DEM_layer.lyrx」と入力します。
- [保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
これでシンボル表示された DEM レイヤーが、簡単に共有できる形で保存されるようになりました。 また、このファイルを使用して、別のレイヤーにシンボルを適用することもできます。
このセクションでは、DEM レイヤーの外観を変更し、標高の高さがよりわかりやすく表示されるようにしました。 その後、同じシンボルを、次のセクションで別のラスターに適用するために使用するレイヤー ファイルに保存しました。
DSM の調査と外観の変更
DSM は、樹冠や建物を含むすべてのサーフェスの標高を表します。 ここでは、ハルシュタット地域の DSM ラスターを調査し、DEM レイヤーと同じシンボルを適用します。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー] を展開して [DSM] フォルダーを展開します。
- [Hallstatt_DSM.tif] を右クリックして [プロパティ] を選択します。 表示された [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウの [ラスター情報] で、[バンド数] を見つけます。
Hallstatt_DSM.tif には 1 つのバンドが含まれ、標高ラスターの要件を満たしています。
- [セル サイズ X] と [セル サイズ Y] で、ピクセル サイズが Hallstatt_DEM.tif ラスターと同じ 0.5 メートルであることに注目します。
- [ソース タイプ] が [高度] に設定されていることを確認します。
この場合、デフォルトのストレッチ タイプは [最小値 - 最大値]、デフォルトのリサンプリング タイプは [共一次内挿法] となります。
- [空間参照] 設定を確認します。
[投影座標系] が、プロジェクトで選択された推奨座標系である [MGI_Austria_GK_Central] に設定されています。
- [OK] をクリックして [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
[Hallstatt_DSM.tif] ラスターは正常に設定されているように見えるため、変換の必要はありません。 ここでは、外観を改善します。
- [カタログ] ウィンドウで、[Hallstatt_DSM.tif] を右クリックして [現在のマップに追加] を選択します。
DSM レイヤーがマップに追加されましたが、湖レイヤーが一番上に表示されたままになっています。
DEM 用に保存したレイヤー ファイルを使用して、DSM にシンボルを適用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DSM.tif] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。
- [シンボル] ウィンドウで [メニュー] ボタンをクリックして、[レイヤー ファイルからインポート] を選択します。
- [シンボルのインポート] ウィンドウで [DEM] フォルダーを参照し、[DEM_layer.lyrx] を選択して [OK] をクリックします。
これで、DEM に定義したシンボルが DSM に適用されました。
- リボンの [マップ] タブをクリックし、[ブックマーク] をクリックして、[Hallstatt] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DEM.tif] と [Hallstatt_DSM.tif] の両方がオンになっていることと、[Hallstatt_DSM.tif] が選択されていることを確認します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブをクリックし、[比較] グループで [スワイプ] ツールをクリックします。 [スワイプ] ツールを使用し、DSM と DEM を比較します。
DSM は全体的に DEM と似ていますが、標高が DEM よりも若干高いことがわかります。 また、DSM のサーフェスはあまり滑らかではありません。 拡大して詳細を確認します。
- スワイプ モードを終了するには、リボンの [マップ] タブをクリックし、[ナビゲーション] グループで [マップ操作] ツールをクリックします。
- マウス ホイール ボタンで、ハルシュタット村を拡大表示します。
DRA 設定により、DSM のストレッチが再計算され、より詳細に表示されます。 建物の高さがはっきりと見えます。 ところどころに木があることもわかります。
参考までに、下の画像は地上から見た村の外観です。
写真の著作権: KyOnChen (Flickr) - 縮小し、山の方に画面移動して、もう一度拡大します。
急勾配に森がはっきりと見えます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DSM.tif] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
- プロジェクトを保存します。
このセクションでは、DSM について学習しました。 既存のレイヤーからシンボルを複製できるよう、レイヤー ファイルからシンボルをインポートしました。 DEM も DSM も有益な標高データです。 どちらを選択するかは、固有の解析要件によって異なります。
傾斜の作成
標高レイヤーを使用して、解析ワークフローで役立つ他のレイヤーを作成できます。 ここでは、[傾斜角] ラスター関数を使用して、DEM から傾斜角レイヤーを作成します。 ラスター関数を使用すると、リアルタイム データを迅速に生成できます。 データを解析および処理できる点で、ジオプロセシング ツールと似ています。 ジオプロセシング ツールは、各ピクセルが処理された永続的なデータセット出力を作成します。 一方、ラスター関数は表示範囲内のピクセルに対してリアルタイムに解析を実行し、コンピューター上に新しいデータセットは生成されません。 このチュートリアルでは小さなデータセットしか扱っていませんが、大きなデータを扱う場合や、プロトタイプを作成して出力の表示を表す場合には、ラスター関数が有効です。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_Lake] をオフにします。
- [画像] タブの [解析] グループで [ラスター関数] ボタンをクリックします。
[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[サーフェス] グループを展開します。
[サーフェス] グループには、標高データを処理する多くの関数があります。
- [サーフェス] グループで、[傾斜角] をクリックします。
注意:
傾斜角関数は、標高 (Z) の変化率を計算します。
- [傾斜角のプロパティ] ツールの [DEM] で [Hallstatt_DEM.tif] を選択します。 [スケーリング] で、値が [度] であることを確認します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
度単位で傾斜角を表す [傾斜角_Hallstatt_DEM.tif] レイヤーがマップに追加されます。
明るい領域は急勾配の傾斜角に対応しています。 暗い領域は平坦な場所に対応しています。 [コンテンツ] ウィンドウに表示されているとおり、セルの値は 0 〜 90 度でばらついています。 ここでは、2 つ目の傾斜角レイヤー (勾配率単位) を追加します。
- [ラスター関数] ウィンドウの [サーフェス] グループで、[傾斜角] をクリックします。 [DEM] で [Hallstatt_DEM.tif] を選択します。 [スケーリング] で、[勾配 (%)] を選択します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
[勾配 (%)] で傾斜角を表す [傾斜角_Hallstatt_DEM.tif_1] レイヤーがマップに追加されます。
[コンテンツ] ウィンドウに、[傾斜角_Hallstatt_DEM.tif_1] ラスターの凡例が表示され、セルの値は 0 ~ 2804.54% でばらついています。
注意:
傾斜角をパーセンテージ値として計算した場合、平坦なサーフェスの勾配は 0 パーセント、45 度のサーフェスは 100 パーセントです。 傾斜角が垂直 (90 度) に近づくにつれて、勾配率は無限に近づきます。 勾配率の値の計算方法については、こちらをご参照ください。
- [スワイプ] ツールを使用して、度単位で生成された傾斜角と勾配率単位で生成された傾斜角の差異を比較対照します。
ラスター関数を使用すると、迅速なリアルタイムの結果を作成できます。 これにより、結果の表示のプロトタイプを作成できます。 結果に問題がない場合、ラスターをエクスポートして、データセットをディスクに保存できます。 生成された傾斜角を度単位で保存します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[傾斜角_Hallstatt_DEM.tif] を右クリックし、[データ] にポインターを合わせて [ラスターのエクスポート] をクリックします。
[ラスターのエクスポート] ウィンドウが表示されます。
- [ラスターのエクスポート] ウィンドウの [出力ラスター データセット] で、[DEM] フォルダーを参照して選択し、[名前] に「DEM_Slope.tif」と入力します。 [保存] をクリックします。 [ピクセル タイプ] で [符号なし 8 ビット] を選択します。
- [エクスポート] をクリックします。
新しい [DEM_Slope.tif] レイヤーが表示されます。 プレビュー ラスター関数の傾斜角レイヤーとは異なり、ディスク上に存在する固定レイヤーです。
注意:
必要に応じて、[陰影起伏]、[カラー陰影起伏]、[曲率] などの他のサーフェス関数を検証し、DEM を使用して他の有用なレイヤーを作成する方法を検討します。 また、DSM 上で [傾斜角] などのツールを実行し、その結果を DEM の結果と比較することも検討してください。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[傾斜角_Hallstatt_DEM.tif_1] と [傾斜角_Hallstatt_DEM.tif] を削除します。
- プロジェクトを保存します。
このモジュールでは、DEM と DSM の両方の標高データを扱いました。 ラスター データをリサンプルおよびモザイク処理する方法を学習しました。 DEM データのシンボルを変更し、そのシンボルを DSM レイヤーに一致させました。 また、ラスター関数を使用して、迅速なリアルタイム処理レイヤーを作成し、必要な出力が得られたらディスクに保存する方法も学習しました。
ラスター データのクリップとパッケージ化
プロジェクトには、他にもさまざまな種類のラスターを追加できます。 このセクションでは、紙形式の古地図をスキャンし、JP2 形式でデジタル画像にしたラスターを操作します。 すべてのラスター レイヤーの地域の準備ができたら、データを AOI (対象地域) にクリップします。 その後、他のユーザーが詳細の調査と解析を実施できるようプロジェクト パッケージを作成して、準備したすべてのデータを提供します。
スキャンしたマップの調査と処理
スキャンしたマップとは、一般的にはスキャンした図や写真を指します。 写真や図をデジタル形式に変換したものなので、解析にはあまり役に立たないことがほとんどですが、視覚的解析やバックグラウンド レイヤーとしては使用できます。 今回は、1824 年~ 1830 年のハルシュタット地域の手描きの古地図を使用します。 この地図では、ハルシュタットの発展を歴史的側面から見ることができます。
- [カタログ] ウィンドウで [ScannedMap] フォルダーを展開します。
- [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
注意:
[統計情報の計算] ウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックします。
Hallstatt_HistoricDrawing.JP2 がマップに追加されます。
これは標準的な RGB カラー画像で、3 バンドのラスター (赤、緑、青のバンド) として表されます。
注意:
標準的なカメラやスキャナーで作成されたデジタル画像は、一般的には RGB カラー モデルで保存されます。すなわち、赤、緑、青の 3 つのラスターで構成されます。 このような画像は、他のマルチバンド ラスター データセットと同じように、ArcGIS Pro にそのまま表示できます。
このレイヤーのプロパティを調査します。
- [カタログ] ウィンドウで [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
[ラスター データセット プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウの [ラスター情報] で、[バンド数] の値が [3] となっているのがわかります。これは RGB 表現であるからです。
- [空間参照] の [投影座標系] プロパティは [MGI_Austria_GK_Central] に設定されています。
注意:
スキャンされたマップは、MGI Austria GK Central 投影座標系ですでにジオリファレンスされた形で支給されます。 つまり、ArcGIS Pro などの GIS で、地球上の正しい位置に表示されるよう空間的に配置されています。 ジオリファレンスされていないスキャン済みマップまたは写真を使用する方法については、Learn ArcGIS チュートリアル「ArcGIS Pro で過去の画像をジオリファレンスする」をご参照ください。
- [OK] をクリックして [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
- ナビゲーション ツールを使用し、古地図の画像を拡大して探索します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_Image.tif] をオンにし、ベースマップ以外のすべてのレイヤーをオフにします。
- [Hallstatt_Image.tif] レイヤーを選択します。
- [ラスター レイヤー] タブで [バンド割り当て] ドロップダウン リストをクリックして [ナチュラル カラー] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] をオンにして選択します。
- リボン上の [ラスター レイヤー] タブにある [比較] グループで、[スワイプ] ツールをクリックし、このツールを使用してハルシュタットの街を調査します。
ジオリファレンスが正確なので、古地図と航空写真の位置はぴったり合っています。 古地図の作成時点から、ハルシュタットは大きく変化していないことがわかります。
- 終了したら、[Hallstatt_Image.tif] のバンド割り当てを [赤外カラー] に戻し、プロジェクトを保存します。
スキャンされたマップは、通常はそれほど処理する必要がないため、バックグラウンド画像や視覚的な参照として適しています。 ここでは、ハルシュタット地域の古地図の画像により、経時的に記録された成長や変化をチャートにします。
注意:
他にもさまざまな種類のラスターがあります。 主題ラスターも、重要なラスターの 1 つです。 主題ラスターでは、セル値はカテゴリに対応しています。 一般的な例として、土地被覆ラスターがあります。土地被覆ラスターでは、各セルが対応する土地の用途を示します (市街地、森林、農地など)。 土地被覆ラスターも、ハルシュタット地域の解析を補ううえで役立ちます。
このセクションでは、スキャンされた画像を使用しました。適切にジオリファレンスされていれば、これらの画像も他のラスターと同じように ArcGIS Pro プロジェクトに追加できることがわかりました。
すべてのレイヤーの事前処理を終えたので、同じ対象地域にすべてクリップします。
ラスターのクリップ
作業の対象はハルシュタットだけなので、ハルシュタットと、その周辺の地域のみ提供します。 不要な地域があるとディスク領域を消費し、処理に時間がかかります。 [ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールを使用し、すべてのラスター データセットをクリップします。 すべてのラスター レイヤーを一括で処理するため、このツールをバッチ モードで使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、マップに次のラスター レイヤーがあることを確認します。
- Hallstatt_Image.tif
- Hallstatt_DEM.tif
- Hallstatt_DSM.tif
- DEM_Slope.tif
- Hallstatt_HistoricDrawing.JP2
[コンテンツ] ウィンドウには、クリップされない [Hallstatt_Lake] フィーチャクラス レイヤーと、ベースマップ レイヤーも含まれます。 対象地域の境界を追加します。
- [カタログ] ウィンドウで、[データベース] と [HallstattImagery.gdb] を展開します。 [Hallstatt_Boundary] レイヤーを右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
フィーチャクラス レイヤーが表示されます。 これには、データのクリップに使用する AOI (対象地域) を表す、単一のポリゴン フィーチャが含まれます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [検索] に「clip raster」と入力します。
注意:
[ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールは [クリップ (Clip)] ツールとは異なります。後者は、フィーチャクラス (ベクター レイヤー) のみをクリップします。
すべてのラスター データセットを同じ範囲にクリップするため、バッチ ジオプロセシング モードを使用します。
- 検索結果で [ラスターのクリップ] ツールを右クリックし、[バッチ] を選択します。
[ラスターのクリップのバッチ処理] ツール ウィンドウが表示されます。
- [ラスターのクリップのバッチ処理] ツールで、バッチ パラメーターが [入力ラスター] に設定されていることを確認します。
つまり、[ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールをバッチとして実行すると、ラスターのリストが 1 つずつ入力され、クリップされます。
- その他のパラメーターを確認します。ただし、変更は加えないでください。
バッチ処理を 1 回しか行わないため、[一時的なバッチ ツールの作成] が選択されます。 再利用可能なツールを作成するには、[バッチ ツールの保存] オプションを選択します。
- [次へ] をクリックします。
[パラメーター] タブが開きます。
- [入力ラスターのバッチ処理] で [複数追加] ボタンをクリックし、[すべてのチェックボックスの切り替え] をクリックして [追加] をクリックします。
プロジェクトのすべてのラスター レイヤーが追加されます。 これらは、1 つずつ順番にクリップされます。
- [出力ラスター データセット] で [参照] ボタンをクリックし、[フォルダー]、[HallstattImagery]、[ClippedOutputs] を開きます。 [名前] に「Clip_%名前%.tif」と入力し、[保存] をクリックします。
注意:
クリップされた各ラスター出力は、[ClippedOutputs] フォルダーに追加され、ソース ラスター名の先頭に「Clip_」が付加された名前が付けられます。たとえば、[Clip_Hallstatt_Image.tif] のようになります。
- [出力範囲] で [Hallstatt_Boundary] を選択します。
[出力範囲] パラメーターでは、他のレイヤーの境界を使用してクリップ境界を定義できます。
注意:
[出力範囲] をフィーチャクラスに設定すると、[四角形] 範囲パラメーターがソース レイヤー全体の境界四角形の座標で更新されます。 さらに、新しい [入力フィーチャをクリップ ジオメトリとして使用] チェックボックスが追加されます。
- [クリップ ジオメトリに入力フィーチャを使用] をオンにします。
これにより、大きくなりがちなフィーチャクラス全体の範囲ではなく、ハルシュタットの境界を表す正確なポリゴンの範囲が、クリップ ジオメトリとして使用されるようになります。
- [実行] をクリックします。
バッチ ツールを実行後、クリップされたすべてのレイヤーがマップに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、各レイヤーにクリップ済みバージョンが含まれることを確認します。
注意:
[ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールは、Hallstatt_Lake レイヤーをクリップしません。これはラスター レイヤーではなくベクター レイヤーだからです。 このチュートリアルでは、このレイヤーはそのまま残しておきます。 ただし、[クリップ (Clip)] ツールを使用し、レイヤーをクリップすることは可能です。
次に、[コンテンツ] ウィンドウをクリーンナップします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、次のレイヤー以外のすべてのレイヤーを削除します。
- Hallstatt_Boundary
- Hallstatt_Lake
- Clip_Hallstatt_Image.tif
- Clip_Hallstatt_DEM.tif
- Clip_Hallstatt_DSM.tif
- Clip_DEM_Slope.tif
- Clip_Hallstatt_HistoricDrawing_JP2.tif
- [地形図 (World Topographic Map)] ベースマップと、[陰影起伏図 (World Hillshade)] ベースマップ
- [コンテンツ] ウィンドウでレイヤーをドラッグし、上記のリストに合わせて順序を変更します。 下にあるレイヤーが見えるよう、[Hallstatt_Boundary] をオフにします。
- マップで各レイヤーのオンとオフを切り替え、各レイヤーが [Hallstatt_Boundary] フィーチャ範囲にどのようにクリップされたか確認します。
注意:
一部の範囲は、入力のピクセル サイズが異なるために、若干異なって表示されます。
入力ラスターに適用されたレンダリングおよびシンボル化のオプションは、クリップされたラスターに引き継がれていません。 チュートリアルの前半で保存したレイヤー ファイルを、クリップされたラスターにすばやく再適用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Clip_Hallstatt_Image.tif] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
- [シンボル] ウィンドウで [メニュー] ボタンをクリックして、[レイヤー ファイルからインポート] を選択します。
- [シンボルのインポート] ウィンドウで [Imagery] フォルダーを参照し、[Hallstatt_ColorInfrared.lyrx] を選択して [OK] をクリックします。
クリップされた画像に、指定の画像レンダリング オプションが適用されます。
- 同様に、[DEM_Layer.lyrx] ([DEM] フォルダーに保存されている) を、クリップされた DEM レイヤーと DSM レイヤーに適用します。
- プロジェクトを保存します。
このセクションでは、[ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールを使用して、バッチ モードで実行する方法を学習しました。 次に、データをまとめて提供できるようパッケージ化します。
プロジェクト パッケージの作成
プロジェクト パッケージを作成し、プロジェクトとデータをまとめて共有しやすくします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、クリップされたすべてのレイヤーがオンになっていることを確認します。
- リボンの [共有] タブをクリックします。
[共有] タブは、さまざまなパッケージやファイルを作成するために使用されます。
- [パッケージ] グループで [プロジェクト] ボタンをクリックします。
[プロジェクトのパッケージ化] ウィンドウが表示されます。
- [プロジェクトのパッケージ化] ウィンドウの [パッケージ化の開始] で、[パッケージをファイルに保存] を選択します。
このオプションは、プロジェクト パッケージをローカル コンピューター上のファイルとして保存します。 このパッケージを、各自に適した方法で関係者に送信できます。
- [アイテムの詳細] の [名前] で、[HallstattImagery] フォルダーを参照します。 [名前] には「Prepared_HallstattImagery.ppkx」と入力します。 [保存] をクリックします。
- [概要] に、次のテキストを入力するか貼り付けます。
プロジェクト パッケージには、ハルシュタットの町の観光公害を分析するために準備されたラスター レイヤーが含まれています。 パッケージには町の航空写真 DEM、DSM、および傾斜レイヤーと歴史的な地図が含まれています。
- [タグ] には、「Hallstatt」、「image」、「raster」、「DEM」、「DSM」、「slope」、「historical map」というタグを追加します。
注意:
カンマ区切りのタグを、一度にコピーして貼り付けることができます。
- [ツールボックスを含む] と [履歴アイテムを含む] をオフにします。
これですべての情報が入力されたので、次に、ツールを使用してコンテンツを解析し、パッケージを正常に作成するよう設定されていることを確認します。
- [分析] をクリックします。
エラーがある場合は、右クリックして解決方法を確認します。 エラーを修正後、パッケージをもう一度解析します。 次に、パッケージを作成します。
- [パッケージ] をクリックします。
注意:
プロジェクトに変更が加えられたため、保存するよう指示する通知が表示されることがあります。 その場合は、[はい] をクリックしてプロジェクトを保存します。
パッケージが正常に作成されたら、[プロジェクトのパッケージ化] ウィンドウの下部に緑色の通知が表示されます。
- [パッケージの管理] リンクをクリックし、プロジェクト パッケージを含むフォルダーを .ppkx 形式で開きます。 これで、他のアナリストや顧客に提供できるプロジェクト パッケージが正常に作成されました。
注意:
顧客が自分のコンピューターにパッケージをダウンロードし、ArcGIS Pro がインストールされていれば、ファイルをダブルクリックすると ArcGIS Pro にプロジェクト全体が開きます。
このモジュールでは、ラスター タイプをもう 1 つ準備し、すべてのラスター レイヤーを対象地域にクリップして、準備されたすべてのデータを共有できるようプロジェクト パッケージを作成しました。
一般的な空間参照と投影の問題の解決
解析用のラスター データを準備する際に、空間参照の問題が発生することがよくあります。 GIS 内で機能させるには、すべてのレイヤーを座標系に定義する必要があります。 ここでは、これまでのワークフローに加えて、空間参照に関連する 3 つの問題を確認し、これらを解決する方法について学習します。
空間参照が存在しない画像の修正
1 つ目の例では、チュートリアルの前半で使用したものと同様の、スキャンされた古地図を扱います。 ただし、このバージョンでは、空間参照が不明です。 通常ラスターには複数の補助ファイルが含まれ、これらのファイルのいずれかに空間参照情報が含まれています。 このファイルが失われたり消去されたりすると、情報は失われます。
まず、画像のプロパティを調査します。
- [カタログ] ウィンドウで [フォルダー] を展開し、[HallstattImagery]、[SpatialReferenceData]、[ScannedMap] の各フォルダーを展開します。
- [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウで、[空間参照] を展開し、[名前] プロパティを確認します。
空間参照は [Unknown] です。 このため、空間参照を指定する必要があります。
- [範囲] セクションを展開します。
範囲が 0 または 0 に近い値ではないことに注意してください。 これは、ラスターに範囲があり、適切にジオリファレンスされていることを意味しています。使用されている座標系がわかれば、マップ上に適切に配置するために必要な情報はすべて含まれています。 このため、座標系の定義が存在しない点のみを修正すれば問題ありません。
- [OK] をクリックして [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
次に、画像をマップ上に表示します。 前のマップに存在するレイヤーとの干渉を避けるため、マップを作成します。
- リボン上の [挿入] タブをクリックし、[プロジェクト] グループで [新しいマップ] をクリックします。
新しいマップが開きます。
- [カタログ] ウィンドウで、[Scanned Map] フォルダーを展開し、[Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックして [現在のマップに追加] を選択します。
- 必要に応じ、[統計情報の計算] ウィンドウで [はい] をクリックします。
レイヤーに不明な座標系が指定されていることを示す警告が表示されます。 レイヤーがマップ上に表示されていないようです。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックして [レイヤーにズーム] を選択します。
- 段階的に縮小表示して、画像が実際に配置されている場所を確認します。
アフリカの沖です。
ここで、投影法を定義します。 スキャンされたマップに関する外部文書を確認し、[MGI_Austria_GK_Central] 座標系を使用していることがわかりました。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[投影法の定義 (Define Projection)] ツールを検索して開きます。
- [投影法の定義 (Define Projection)] ツール ウィンドウの [入力データセット、またはフィーチャクラス] で、[Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を選択します。 [座標系] で [座標系の選択] ボタンをクリックします。
- [座標系] ウィンドウの検索ボックスに「MGI Austria GK Central」と入力し、Enter キーを押します。 [使用可能な XY 座標系] で、[投影座標系]、[各国の座標系]、および [オーストリア] を展開し、[MGI Austria GK Central] を選択します。 [OK] をクリックします。
- [投影法の定義 (Define Projection)] ツール ウィンドウの [座標系] で、[MGI Austria GK Central] が追加されていることを確認し、[実行] をクリックします。
注意:
[投影法の定義 (Define Projection)] ツールを使用して、すでに範囲を含んでいるレイヤーに既知の空間参照を割り当てます。 範囲が使用できない、または不正な場合は、ラスター データセットをジオリファレンスする必要があります。
履歴画像のジオリファレンスについては、チュートリアル「ArcGIS Pro で過去の画像をジオリファレンスする」をご参照ください。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックして [レイヤーにズーム] を選択します。
マップで、[Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] レイヤーがハルシュタット地域に正しく表示されるようになりました。
- [カタログ] ウィンドウで [Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウで、[空間参照] を展開し、[投影座標系] プロパティを確認します。
空間参照が更新され、投影座標系が [MGI_Austria_GK_Central] になりました。
- [OK] をクリックして [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウを閉じます。
- プロジェクトを保存します。
このセクションでは、ラスター データセットに空間参照情報が存在しないことを確認し、[投影法の定義 (Define Projection)] ツールを使用して修正しました。
DSM の投影変換
2 つ目の例では、有効な空間参照情報が存在する DSM ファイルを扱います。 ただし、使用されている座標系がプロジェクトで選択された座標系と一致していないことが判明します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_HistoricDrawing.JP2] をオフにします。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー]、[HallstattImagery]、[SpatialReferenceData]、および [DSM] を展開します。
- [DSM.tif] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [ラスター データセット プロパティ] ウィンドウで、[空間参照] の設定を確認します。
座標系が [GK_M31] に設定されています。 この空間参照は有効ですが、プロジェクト内の他のラスターに使用されている [MGI_Austria_GK_Central] とは一致していません。 ラスターを投影変換する必要があります。
注意:
ラスター レイヤーの投影変換にはさまざまな方法があります。 このチュートリアルの前半では、[新規ラスターにモザイク] ツールを使用してラスターを構築しながら投影変換する方法について学習しました。 今度は、[ラスターの投影変換] ツールを使用し、スタンドアロンの手順として投影変換を実行します。
- [OK] をクリックして、データセット プロパティ ウィンドウを閉じます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツールを検索して開きます。
このツールは、ラスター データセットをある座標系から別の座標系に投影変換するために使用します。 空間参照を、前のセクションで [MGI_Austria_GK_Central] に設定した [Hallstatt_HistoricDrawing.jp2] に一致させます。
- [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ウィンドウで、次の設定を選択します。
- [入力ラスター] で、[HallstattImagery]、[SpatialReferenceData]、および [DSM] を参照し、[DSM.tif] を選択します。
- [出力ラスター データセット] で、[HallstattImagery]、[SpatialReferenceData]、および [DSM] を参照します。 [名前] に「Hallstatt_DSM.tif」と入力し、[保存] をクリックします。
- [出力座標系] で [Hallstatt_HistoricDrawing.jp2] ([MGI_Austria_GK_Central]) を選択します。
- [リサンプリング手法] で [共一次内挿法] を選択します。
- [出力セル サイズ X および Y] の値を 0.5 のままとします。
- [実行] をクリックします。
投影変換された DSM レイヤーがマップに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_DSM.tif] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[ソース] タブをクリックします。 [空間参照] を展開し、[投影座標系] が [MGI_Austria_GK_Central] に設定されていることを確認します。
注意:
ラスターの投影変換は、ピクセルを新しい投影法に合わせてリサンプリングする必要があるため、わずかに損失のあるプロセスです。 元のデータからかけ離れすぎないようにするため、ラスターに対してあまりにも多くの投影変換を順次実行することは避けてください。 ただし、プロジェクトで推奨されている座標系に一致させるために一度だけ投影変換することは問題ありません。
推奨されている座標系に一致していなくても、ラスター レイヤーを簡単に調査したいだけであれば、プロジェクト マップに追加できます。 ArcGIS Pro は一時的にリアルタイム投影変換を行い、他のレイヤーやベースマップに対して正しく表示されるようにします。 ただし、レイヤーを引き続き使用する場合は、特に解析ツールを適用するという目的を考慮すると、正しく投影変換を行うことを推奨します。
- [OK] をクリックして、[プロパティ] ウィンドウを閉じます。
- プロジェクトを保存します。
このセクションでは、ラスターに有効な空間参照が存在するものの、プロジェクトで選択された空間参照とは異なっていることがわかったため、推奨されている座標系に投影変換しました。
地理座標系変換を更新してレイヤーを配置
3 つ目の例では、画像とベースマップの位置がずれている問題を解決します。
まず、マップを作成して画像を追加します。
- リボン上の [挿入] タブをクリックし、[プロジェクト] グループで [新しいマップ] をクリックします。
新しいマップ [マップ 1] が表示されます。 このチュートリアルで使用したのと同じ [Hallstatt_Image.tif] 画像を、新しいマップに追加します。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー]、[HallstattImagery]、および [Imagery] の各フォルダーを展開します。 [Hallstatt_Image.tif] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] が選択されていることを確認します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブをクリックし、[効果] グループで [透過表示] を [60%] に更新します。
[Hallstatt_Image.tif] がベースマップ レイヤーと位置が合っていないことに注目します。
画像のプロパティを調査し、問題を特定できるかどうかを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Hallstatt_Image.tif] を右クリックして [プロパティ] をクリックします。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、必要に応じて、[ソース] をクリックします。
- [ソース] プロパティで、[空間参照] を展開します。
空間参照が [MGI Austria GK Central] に設定されていることに注意してください。
[MGI Austria GK Central] はこの地域に適した投影座標系であるため、[Hallstatt_Image.tif] がベースマップ レイヤーと位置が合っていない理由は他にあるはずです。 マップのプロパティを確認して原因を突き止めます。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[OK] をクリックして閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ 1] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- プロパティ ウィンドウで、[座標系] タブをクリックします。
このマップには、[MGI Austria GK Central] 座標系も設定されていることに注目してください。 このため、マップは現在 [Hallstatt_Image.tif] と同じ空間参照を使用しています。
注意:
マップを作成する際、デフォルトの座標系は [WGS 1984 Web メルカトル (球体補正)] です。 ただし、マップに最初のレイヤーを追加すると、マップの座標系はすぐにレイヤーの座標系に一致するように更新されます。 このため、[Hallstatt_Image.tif] と [マップ 1] の両方に、座標系として [MGI Austria GK Central] がリストされています。
全体的に異常が発見されず、まだ問題が見つかっていないため、変換情報を調査します。
- [座標変換] タブをクリックします。
マップの座標系である [WGS 1984 Web メルカトル (球体補正)] と、[Hallstatt_Image.tif] の座標系である [MGI Austria GK Central] との間でリアルタイム変換を行うには、地理 (測地) 座標変換と呼ばれる追加の変換が必要です。 デフォルトでは、変換はデフォルト値 [MGI To WGS 1984] に設定されています。 問題は、このデフォルト値がこの地域には適していないことです。 この場合、正しい変換は [MGI To WGS 1984 3] です。
注意:
ほとんどの場合、ArcGIS Pro が正しい地理座標系変換を選択しますが、誤った座標系が選択されることもあります。 適切な変換を見つけるには、「地理座標系変換および鉛直座標変換テーブル」をご参照ください。 43 ページまでスクロールすると、[MGI_To_WGS_1984] には複数のバージョンがあることがわかります。 [Area of Use] を見ると、オーストリアに適した変換が 2 つ ([MGI_To_WGS_1984_2] および [MGI_To_WGS_1984_3]) あります。
- [MGI To WGS 1984] ドロップダウン リストから、[MGI To WGS 1984 3] 変換を選択し、[OK] をクリックします。
マップが更新されます。
- マップを操作し、[Hallstatt_Image.tif] が[地形図 (World Topographic Map)] ベースマップ レイヤーに正しく配置されていることを確認します。
- マップを縮小し、[Hallstatt_Image.tif] レイヤー全体がベースマップに正しく配置されていることを確認します。
- プロジェクトを保存します。
注意:
[Hallstatt_Image.tif] を [Hallstatt Map] で初めて使用したとき、位置がずれていなかった理由がわからなかったかもしれません。 これは、ダウンロードしたプロジェクトに、そのマップに適切な変換 ([MGI To WGS 1984 3]) が事前設定されていたためです。 必要に応じて、[Hallstatt Map] プロパティでこのことを確認できます。
マップの地理座標系変換を変更することで、画像とベースマップの間の位置ずれを修正しました。 このモジュールでは、発生する可能性のある 3 種類の空間参照の問題を学び、それらを修正する方法について学習しました。
このチュートリアルでは、さまざまな種類のラスター データを調査および事前処理して解析できるようにする方法を学習しました。 航空写真を扱い、DEM および DSM 標高データを使用し、DEM から傾斜角レイヤーを作成しました。 また、スキャンされた履歴マップも扱いました。 その後、これらのレイヤーをすべて対象地域にクリップすることで、データの目的を明確にし、処理および解析しやすくなるようにしました。 プロジェクト パッケージを作成し、プロジェクトの内容を 1 つのファイルとして関係者に提供できるようにしました。 最後に、3 種類の空間参照の問題を解決する方法について学習しました。
同様のチュートリアルについては、「画像およびリモート センシングの概要」ページをご参照ください。