殺人事件の検挙率の計算

ボルチモアやシカゴなどの都市では、殺人事件の解決件数が非常に少なく、数マイルにも広がる広大な地域で数百件の殺人事件が発生しているにもかかわらず、ほとんど検挙されていません。 一方、アトランタなどの都市では、市内で最も治安の悪い地域で発生した殺人事件であっても、警察がその大半を検挙できています。

- 「Where Killings Go Unsolved」(the Washington Post、2018 年 6 月) (代替記事)

米国における殺人事件発生後の検挙率が最高の都市と最低の都市を把握するため、過去 10 年間の殺人事件のデータを解析します。 具体的には、個々の殺人事件を都市別にまとめ、その結果を未解決の殺人事件の割合でシンボル表示します。 その後、各都市をランク付けしたバー チャートを作成します。

作業の途中で、未解決の殺人事件の原因に関する記事を確認します。 また、殺人事件の検挙率を人種および民族別に調べることもできます。

注意:

このチュートリアルでは、コンテキストや背景などの学習を深める情報を提供する記事へのリンクもいくつか紹介します。 これらの記事が掲載されている一部のサイトでは、コンテンツを継続して閲覧するには、購読の申し込みが必要な場合があります。 購読を希望しない場合、可能な限り代替記事をご参照ください。

データの調査

まず、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージをダウンロードし、殺人事件データについての理解を深めます。

  1. Unsolved Homicides プロジェクトをダウンロードします。

    [Unsolved_Homicides] ファイルがコンピューターにダウンロードされます。 このファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージ ファイル (.ppkx) で、このチュートリアルで使用するマップやデータが含まれています。

  2. コンピューター上で [Unsolved_Homicides] ファイルを見つけて、ダブルクリックします。 サイン インが要求されたら、ArcGIS 組織のアカウントを使用して ArcGIS Pro にサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    ArcGIS Pro が開き、マップとデータが表示されます。

    米国のデフォルト マップ

    マップには、全米 50 都市の殺人事件のデータが表示されています (このデータは「the Washington Post」が提供しており、「ArcGIS Online」でホストされています)。青色のポイントは解決済みの殺人事件を表しています。 検挙された場合や、加害者が死亡したことなどにより検挙が不可能な場合、事件は解決または終了します。 赤色のポイントは、未解決の殺人事件を表します。

    注意:

    このデータは、分析範囲全体に適した USA Contiguous Albers Equal Area Conic 投影法を使用して投影されています。 1 つの都市に絞って分析する場合は、その都市に関連付けられた投影を使用できます。 投影の詳細については、こちらのブログ記事を読むか、この Learn ArcGIS チュートリアルを実施してください。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicides] レイヤーを右クリックして、[属性テーブル] を選択します。

    属性テーブル オプション

    レイヤーの属性テーブルが開きます。 このテーブルには、発生した日付や被害者の人種、年齢、性別など、各殺人事件に関する詳細な情報が含まれています。

    [Disposition] フィールドは、事件が未解決か終了か、および検挙によって終了したか、検挙されることなく終了したかを示しています。 [Unsolved=1, Closed=0] フィールドは、状態を 2 つの数字のいずれかに簡素化します。 後で、このフィールドを使用して、都市別の未解決の殺人事件の割合を計算します。 [Category] フィールドは、同じ情報をテキスト形式で含んでいます。

    注意:

    犯罪データはほぼ常に不完全です。 正確性と一貫性は、報告や記録の誤り、警察の業務やリソースのばらつき、および人種、所得、性別に関連付けられた長年の構造的偏りによる影響を受けることがあります。 これらの問題はこのチュートリアルの範囲外ですが、結論を出す際には注意深く考えることが重要です。

    人種および民族は交差性があり流動的です。 人間が複数の人種と関連付けられることもありますが、一般的には単一の民族に分類されます。 殺人事件データで、被害者の人種フィールドには、アジア人、黒人、ヒスパニック系、白人、不明、その他のいずれかが記録されているだけです。 これらのグループは、「すべてのデータ分析に適しているとは限りません」。 ヒスパニック系のカテゴリに、ヒスパニック系民族に関連する黒人、アフリカ系アメリカ人、アジア人、または白人が含まれているかどうかは不明です。

  4. [Homicides] テーブルを閉じます。

    次は、殺人事件の数とその終了率のチャートを作成します。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicides] レイヤーを右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。

    バー チャート オプション

    [Homicides - Chart of Homicides] ビューと [チャート プロパティ] ウィンドウが表示されます。 まず、各都市の殺人事件数のチャートを作成します。

  6. [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付] で、[City] を選択します。 [並べ替え] で、[Y 軸降順] を選択します。

    カテゴリまたは日付および並べ替えパラメーターが設定されたチャート プロパティ ウィンドウ

    チャート ビューが更新されます。

    都市別の殺人事件数を比較したチャート

    殺人事件数が最も多いのはシカゴです。 その他、殺人事件数の多い都市には、フィラデルフィア、ヒューストン、ボルチモア、デトロイトなどがあります。

    ヒント:

    チャート ビューのサイズによっては、すべての都市名が表示されない場合があります。 チャート上のバーにポインターを合わせると、都市名が表示されます。

    次に、殺人事件を解決済みと未解決のカテゴリに分けます。

  7. [チャート プロパティ] ウィンドウで [一般] タブをクリックし、[チャートのタイトル] に「Comparison of data counts by City」と入力します。

    チャートのタイトルの追加

  8. [チャート プロパティ] ウィンドウの [データ] タブの [分割] で、[Category] を選択します。

    Category に設定された分割パラメーター

    チャートが更新されます。

    解決済みと未解決のカテゴリに分割された、都市別の殺人事件を示すチャート

    このチャートでは、すべての都市に 2 つのバーがあり、1 つは解決済みの殺人事件、もう 1 つは未解決の殺人事件を示しています。 一部の都市では、解決済みの殺人事件よりも未解決の殺人事件の方が多くなっています。 解決済みの殺人事件と未解決の殺人事件の差は、殺人事件の総数とは相関していないように見えます。 殺人事件が比較的少ない都市でも、未解決の事件が解決済みの事件より多い場合があります。

    都市別の未解決の解決事件に対する解決済みの殺人事件の割合をわかりやすく示すには、チャートを変更して割合を視覚化します。

  9. [チャート プロパティ] ウィンドウで、[シリーズ] タブをクリックします。 [複数のシリーズを表示][100% 積み上げ] をクリックします。

    100% 積み上げオプション

    チャートが更新され、各カテゴリのバーが互いに重なって表示されます。

    カテゴリが互いに重なって表示されたチャート

    このチャートでは、解決済みの殺人事件と未解決の殺人事件の総数ではなく、解決済みの殺人事件と未解決の殺人事件の総数に占める割合をバー チャートで表しています。 シカゴのように、解決済みの殺人事件数が全体の 33% しかない都市もあります。 一方、リッチモンドのように、78% が解決済みの都市もあります。

  10. チャート ビューおよび [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。

    データを最初に調査した際、未解決の殺人事件の問題は、米国内で大きく異なることを学びました。 統計解析を使用することで、より多くの洞察を得ることができます。

殺人事件データの集約

殺人事件が個々のポイントとしてマップ上に表示されています。 ただし、今回は個々の殺人事件ではなく、都市全体の傾向を調べようとしています。 「地理的中心の算出」ツールを使用して殺人事件データを集約します。このツールは、ポイントのクラスターの地理的中心を特定し、各クラスターの要約統計を作成します。

データを集計した後、シンボルを使用して未解決の殺人事件の都市全体の傾向をマッピングします。

  1. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。

    ツール ボタン

    [ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。

  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで、「地理的中心の算出」を検索します。 結果のリストで、[地理的中心の算出] ツールをクリックします。

    検索結果内の地理的中心の算出ツール

    このツールを実行すると、各都市で報告されている殺人事件の地理的中心にポイントが作成されます。 また、選択したディメンション フィールドの各クラスターの平均値も算出されます。

    [Unsolved=1, Closed=0] フィールドの平均値を求めます。 このフィールドの値はすべて 0 または 1 のいずれかです。 これらの値の平均を求めると、0 〜 1 の間の分数になります。 この平均値は、未解決の殺人事件の割合と同じです。 このフィールドを使用して殺人事件を集約すると、各都市の殺人事件の割合が計算されます。

  3. [地理的中心の算出] ツールの [入力フィーチャクラス][Homicides] を選択します。 [出力フィーチャクラス タイプ] に「City_Point_Rates」と入力します。

    地理的中心の算出ツールの入力および出力パラメーター

    次に、ポイントをクラスタリングする方法を指定するケース フィールドと、ディメンション フィールドを選択します。

  4. [ケース フィールド][City] を選択します。 [ディメンション フィールド][Unsolved=1, Closed=0] を選択します。

    地理的中心の算出ツールのケース フィールドおよびディメンション フィールドのパラメーター

  5. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、[City_Point_Rates] レイヤーが作成されてマップに追加されます。

    地理的中心の出力レイヤーを含むマップ

    すべての都市には、地理的中心を表す 1 つのポイントがあります。 これらのポイントは、ツールが計算した未解決の殺人事件の割合を使用してシンボル表示され、新しい [Unsolved] フィールドに格納されます。

  6. [コンテンツ] ウィンドウで、[City_Point_Rates] を右クリックして [シンボル] を選択します。

    [シンボル] ウィンドウが表示されます。

  7. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] で、[等級色] を選択します。 [フィールド][Unsolved] を選択します。

    等級色シンボル

    このシンボル スタイルでは、未解決の殺人事件の割合に基づいて、シンボルが 5 つのカテゴリに分けられています。 各カテゴリの閾値に小数点以下の桁数が多いため、これを調整します。

  8. [上限値] で、各値をダブルクリックして、(最初の値から順に)「0.25」、「0.35」、「0.45」、「0.55」、「0.68」に変更します。

    シンボル ウィンドウで更新された上限値

    ラベルも合わせて変更します。 値は 0 〜 1 の割合であるため、100 を掛けてパーセンテージを表すことができます。 ラベルを使用して、数値をパーセンテージで表します。

  9. [ラベル] で、ラベルを (最初のラベルから順に)「21〜25%」、「25〜35%」、「35〜45%」、「45〜55%」、「55〜68%」に変更します。

    変更された値とラベル

    次に、すべてのカテゴリのシンボルが大きくなるように書式設定します。

  10. [詳細] をクリックし、[すべてのシンボルの書式設定] を選択します。

    すべてのシンボルの書式設定オプション

    シンボルのギャラリーが表示されます。

  11. [円 3] をクリックします。

    円 3 のシンボル

    マップ上でシンボルが更新されますが、すべて同じ赤色になっています。 次に、配色を選択します。

  12. ウィンドウの上部にある [プライマリ シンボル ページに戻る] ボタンをクリックします。

    プライマリ シンボル ページに戻るボタン

  13. [配色] でドロップダウン メニューをクリックして [名前の表示] をオンにし、[赤紫 (連続)] 配色を選択します。

    赤紫 (連続) 配色

  14. [シンボル] ウィンドウを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicides] レイヤーをオフにします。

    地理的中心を殺人事件の割合でシンボル表示したマップ

    未解決の殺人事件の割合が 55% を超えているのは 6 つの都市 (シカゴ、バッファロー、ボルチモア、デトロイト、ニューオーリンズ、ストックトン) です。 これらの都市では、すべての殺人事件の 50% 以上で犯人が検挙されていません。 未解決の殺人事件の割合が最も低いのは、リッチモンド、シャーロット、タルサ、アルバカーキ、サンディエゴです。

    このマップに基づくと、未解決の殺人事件の割合の高低に明確な空間分布の違いはありません。 隣接する都市や同じ州の都市でも、割合が大きく異なる場合があります。 ただし、殺人事件データを集約することで、アメリカにおける未解決の殺人事件の問題について、全国的な理解を深めることができました。

未解決の殺人事件の割合による都市のランク付け

マップには、未解決の殺人事件の割合が高い都市と低い都市の位置が示されています。 次に、これらの都市を割合の高い順にランク付けするチャートを作成します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[City_Point_Rates] を右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。
  2. [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付] で、[city] を選択します。 [集約] で、[<なし>] を選択します。
  3. [数値フィールド][選択] をクリックし、[Unsolved] をオンにします。 [適用] をクリックします。

    各都市の未解決の殺人事件の割合を示すチャートが作成されます。 ただし、このチャートでは、都市が割合順ではなく、アルファベット順に整理されています。 チャートの並べ替え方法を変更します。

  4. [並べ替え] で、[Y 軸降順] を選択します。

    バー チャートのパラメーター

    これで、チャートのバーが Y 軸の値 (未解決の殺人事件の割合) で整理されるようになりました。 チャートを調べる前に、チャートのタイトルと軸のタイトルを変更して、チャートが見やすくなるようにします。

  5. [チャート プロパティ] ウィンドウで、[一般] タブをクリックします。 [チャートのタイトル] に「Unsolved Homicide Rates by City (都市別の未解決の殺人事件の割合)」と入力します。
  6. [X 軸のタイトル] に「City」と入力します。 [Y 軸のタイトル] に「Unsolved Homicide Rates (未解決の殺人事件の割合)」と入力します。

    バー チャートの一般タブ パラメーター

    チャート内のチャート タイトルおよび軸のタイトルが更新されます。

    都市別の未解決の殺人事件の割合を示すチャート

    殺人事件の割合が高い順に都市がランク付けられ、各バーの色はマップ上の都市のシンボルの色と一致しています。 シカゴの未解決の殺人事件の割合が全米で最も高いことは以前に学びましたが、これで割合の高い都市と低い都市が一目でわかるようになりました。

  7. チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
    ヒント:

    作成したチャートを再び開くには、[コンテンツ] ウィンドウでチャート名をダブルクリックします。

  8. [クイック アクセス ツールバー][保存] ボタンをクリックします。 現在のバージョンの ArcGIS Pro に保存するプロンプトが表示されたら、[はい] をクリックします。

    保存ボタン

    プロジェクトが保存されます。

人種および民族別の割合の分析

これまで殺人事件データを調べ、チャートを作成し、統計解析を実行して、各都市の未解決の殺人事件の割合を決定しました。 今回の分析は、殺人事件が未解決である場所に焦点を当てていますが、殺人事件が解決されるかどうかにどのような要因が関与しているかを考えることも重要です。 以下のリソースを確認することで、未解決の殺人事件の問題についてより多くの洞察を得ることができます。

これらの多くのリソースは、過去 50 年間に未解決の殺人事件の割合が増加していることを示しています。 また、これらのリソースは、殺人事件の解決率が高い地域と低い地域の間に、人口統計学的または人種的な相違があることを示しています。

次に、地理的中心の分析を繰り返し、未解決の殺人事件の割合をランク付けする新しいチャートを作成しますが、今回は被害者の人種を考慮に入れます。 被害者が特定の人種の場合、殺人事件が解決される可能性は低いのでしょうか?

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicides] レイヤーを右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。
  2. [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付] で、[Victim Race] を選択します。

    チャートが更新され、被害者の人種別の殺人事件の総数が表示されます。 解決済みか未解決かを問わず、殺人事件の大半を黒人の犠牲者が占めています。 セクションの導入部で確認した多くのリソースで、他の人種の被害者よりも黒人の被害者の方が、未解決の殺人事件の割合が高いことが指摘されていました。 データがこれらの指摘を裏付けているかどうかを確認するために、犠牲者が黒人の殺人事件のみで [地理的中心の算出] ツールを再度実行します。

  3. チャートで [Black] のバーをクリックします。

    人種別の殺人事件数を示すチャート

    バーを選択すると、[Homicides] レイヤーで被害者の人種が黒人であるすべての殺人事件も選択されます。 [地理的中心の算出] ツールなどのジオプロセシング ツールは、選択されたフィーチャがある場合、そのフィーチャに対してのみ実行されます。

  4. チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。 必要に応じて、[ジオプロセシング] ウィンドウに戻ります。

    [ジオプロセシング] ウィンドウには、最後に実行したツール ([地理的中心の算出] ツール) のパラメーターが表示されます。 一部のパラメーターを変更して、ツールを再度実行します。

    ヒント:

    [ジオプロセシング] ウィンドウを閉じたり、[地理的中心の算出] ツールが表示されていない場合は、プロジェクトで以前実行したツールを、使用したパラメーターで再度開くことができます。 リボンの [解析] タブで、[履歴] をクリックします。 [履歴] ウィンドウの [ジオプロセシング] タブで [地理的中心の算出] をダブルクリックして、ツールを再度開きます。

  5. [地理的中心の算出] ツールの [出力フィーチャクラス] に「City_Black_Unsolved_Rates」と入力します。 [入力フィーチャクラス][Homicides][ケース フィールド][City][ディメンション フィールド][Unsolved=1, Closed=0] が設定されていることを確認します。

    地理的中心の算出ツールの、黒人の被害者に関する未解決事件の割合のパラメーター

  6. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、[City_Black_Unsolved_Rates] レイヤーがマップに追加されます。 [City_Point_Rates] レイヤーからこのレイヤーにシンボルをインポートします。

  7. [コンテンツ] ウィンドウで [City_Black_Unsolved_Rates] が選択されていることを確認します。
  8. リボンの [フィーチャ レイヤー] タブをクリックします。 [描画] グループで、[インポート] をクリックします。

    インポート ボタン

    [シンボルのインポート] ウィンドウが開きます。

  9. [シンボルのインポート] ウィンドウの [シンボル レイヤー] で、[City_Point_Rates] を選択します。

    パラメーターが入力されたシンボルのインポート ウィンドウ

    デフォルトでは、[Unsolved] フィールドがシンボル フィールドとして選択されます。 このデフォルトは、[Unsolved] フィールドを使用して [City_Point_Rates] フィールドの等級シンボルを決定していたため、問題ありません。

  10. [OK] をクリックします。 [コンテンツ] ウィンドウで [City_Point_Rates] をオフにします。

    黒人の被害者に関する未解決の殺人事件の割合でシンボル表示したマップ

    注意:

    ダラス、カンザスシティ、フェニックスの各都市は、殺人事件の被害者の人種を記録していないため、これらの都市のデータはマップ上に存在しません。

    黒人の被害者のみを対象とした場合、未解決の殺人事件の割合が 55% を超える都市が多く存在します。 未解決の殺人事件の割合が 25% を下回るのは 1 都市 (シャーロット) だけです。 白人の犠牲者に対してこの分析を行った場合、未解決の殺人事件の割合が 55% を超える都市は存在しません。

    この分析では、セクションの導入部で確認したリソースが示していたとおり、殺人事件が解決されるかどうかに人種が関係していることを示唆しています。 黒人が対象の殺人事件が解決されないことで、黒人社会で「法執行機関に対する不信感」が生まれ、その結果として協力が得られなくなり、検挙数がさらに減る可能性があります。

    次に、すべての人種と民族における未解決の殺人事件の割合を比較するチャートを作成します。

  11. [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicides] を右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。
  12. [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付] で、[Victim Race] を選択します。 [分割][Category] を選択します。
  13. [シリーズ] タブをクリックします。 [複数のシリーズを表示] で、[100% 積み上げ] を選択します。 テーブルで、[Unsolved] カテゴリを [Solved] カテゴリの上にドラッグします。

    上に表示された Unsolved

  14. [一般] タブの [チャートのタイトル] に「Solved and Unsolved Homicide Rates by Race/Ethnicity (人種/民族別の解決済みおよび未解決の殺人事件の割合)」と入力します。 [X 軸のタイトル] に「Victim Race/Ethnicity」と入力します。

    チャートが更新されます。 黒人の殺人事件の割合を示すバーが選択されたままになっているため、選択を解除します。

  15. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。

    選択解除ボタン

    選択が解除されます。

    人種および民族別の未解決の殺人事件の割合を示すチャート

    このチャートでは、被害者が黒人の場合に未解決の殺人事件の割合が最も高いことが確認できます。 黒人が被害者の殺人事件は約 49% が未解決である一方、白人が被害者の殺人事件は約 28% が未解決です。

  16. チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。 プロジェクトを保存します。

これまで 52,000 件以上の殺人事件を集約し、各都市の未解決の殺人事件の割合を計算しました。 また、人種および民族別の未解決の殺人事件の割合を分析し、特に被害者が黒人の場合の検挙率に着目しました。 調査の結果は、確認したリソースに記載されていた、未解決の殺人事件の割合に人種が関係しているという主張を裏付けるものでした。

今回の分析は全国レベルに焦点を絞っていました。 次に、未解決の殺人事件の割合が高い都市を調査し、殺人事件が検挙に結びつかない地域に住むことの影響を検討します。


検挙率が低いエリアの人口統計の評価

Aice Jackman が路上で射殺されてから約 1 年後、彼の母親と 5 歳になる弟はダンキン ドーナツに入った。その男の子がピット ブル テリアの子犬を見つけ、なでようと駆け寄っていった。 Kaiesha Skinner は息子を目で追い、革ひもを持った男に目を留めた。 二人の視線が合った。 彼女は凍り付いた。Jackman を殺したのはこの男だと思っている。 彼女は息子の手をつかみ、男から引き離して車に戻った。 「誰もが私の息子を撃った犯人を知っているのです」と Skinner は後でこう言った。 「ただ逮捕していないだけなのです。」

-「An Unequal Justice」(Washington Post、2018 年 7 月) (代替記事)

前回、米国内の殺人事件は、被害者の人種が黒人である場合、未解決になる可能性が高いことを学習しました。 未解決の殺人事件の社会的および人種的不平等について理解を深めるために、殺人事件が未解決のままの近隣地域に住む人々の特性と、殺人事件が起きたすべてのエリア内の人々の特性を比較します。 ワークフローのこのパートは、被害者や加害者ではなく、コミュニティについて見ていきます。 未解決の殺人事件は、「その事件が発生したコミュニティに影響を与え」、恐怖、不安、そして悲しみを生み出します。

1 つの都市、ニューヨーク州バッファローに焦点を当てます。 この都市は、米国で未解決の殺人事件の割合が最も高い都市の 1 つです (必要ならば、Washington Post がデータを収集した都市に対して次の解析を繰り返すことができます)。

バッファローの殺人事件のレイヤーの作成

最初に、バッファローの殺人事件だけを含むレイヤーを作成します。

  1. 必要に応じて、ArcGIS Pro[Unsolved Homicides] プロジェクトを開きます。
  2. [コンテンツ] ウィンドウの [City_Black_Unsolved_Rates] をオフにし、[Homicides] をオンにします。
    ヒント:

    解析のこの時点までに、[コンテンツ] ウィンドウには多数のレイヤーがあります。 これらのレイヤーが占めるウィンドウの領域の量を減らすには、レイヤー名の横の矢印をクリックして、そのシンボルを折りたたみます。

  3. [Homicides] を右クリックし、[データ] をポイントして、[フィーチャのエクスポート] を選択します。

    [フィーチャのエクスポート] ウィンドウが表示されます。 [Homicides] レイヤーがすでに [入力フィーチャ] で選択されています。

  4. [フィーチャのエクスポート] ウィンドウの [出力名] に「Buffalo_Homicides」と入力します。

    式を作成して、すべての殺人事件のサブセットだけをエクスポートすることもできます。 エクスポートしたレイヤーにバッファローで発生した殺人事件だけが含まれるように、式を作成します。

  5. [フィルター] タブを展開し、[式][Where City is equal to Buffalo] という式を作成します。

    フィーチャのエクスポート ウィンドウのパラメーター

  6. [OK] をクリックします。

    ツールが実行され、[Buffalo_Homicides] レイヤーがマップに追加されます。 このレイヤーには、バッファローで発生した殺人事件だけが含まれます。

  7. 必要に応じて、[フィーチャクラス → フィーチャクラス (変換ツール)] ウィンドウを閉じます。
  8. [コンテンツ] ウィンドウで、[Buffalo_Homicides] を右クリックして、[レイヤーにズーム] を選択します。

    マップがレイヤーの範囲に移動します。これは、ニューヨーク州バッファローの位置と同じで、米国とカナダの国境近くにあります。

    マップがニューヨーク州バッファローにズームします。

  9. [Homicides] レイヤーをオフにします。

未解決の殺人事件が多いエリアの検索

ここでは、未解決の殺人事件が多いバッファロー近郊の人口統計を解析することを目的としています。 これらの地域を検索するために、「コロケーション分析」を使用します。 コロケーション分析は、解決されていない各殺人事件を囲む殺人事件の構成を評価し、都市全体での一般的な構成と比較します。

たとえば、バッファローでの殺人事件の 50% が解決済みで、50% が未解決の場合、コロケーション分析では、所定の殺人事件の近くで発生した殺人事件の 50% も 50% 解決済みになると予想します。 未解決の殺人事件が予想以上の割合の解決済みの殺人事件で囲まれているエリアは、未解決の殺人事件が解決済みの殺人事件とまとめて置かれているエリアです。 分析に重要なのは孤立エリアです。ここでは、未解決の殺人事件が予想以上の割合の未解決の殺人事件で囲まれています。 これらは、殺人事件が発生したが犯人が逮捕されていないコミュニティや地域です。

  1. 必要に応じて、[ジオプロセシング] ウィンドウを開きます。 [コロケーション分析] ツールを検索して、開きます。

    デフォルトでは、[入力タイプ][1 つのデータセット] に設定されています。 この入力タイプは、解析の 2 つの変数 (この場合、解決済みと未解決) が同じレイヤーに存在する場合に使用されます。

  2. [入力対象フィーチャ][Buffalo_Homicides] を選択します。 [対象フィールド] で、[Category] を選択します。

    [Category] フィールドには [Solved][Unsolved] という 2 つの値があり、これがコロケーション分析の基礎になります。 未解決の殺人事件と、隣接する解決済みの殺人事件との関係を分析します。

  3. [対象カテゴリ] で、[Unsolved] を選択します。 [隣接カテゴリ][Solved] を選択します。

    次に、殺人事件が隣接していると見なされる距離を選択します。 距離に 1 マイルを使用します。近隣地域とコミュニティに適したサイズだからです。

    注意:

    選択した距離は結果に影響します。 分析のスケールと調査しているエリアに適合している必要があります。 1 マイルが選択され、殺人事件が地域住民に影響を及ぼす可能性がある距離が更新されました。 バッファローの住民またはバッファロー市における地域力学 (恐怖、安心感、他の感情がどのくらい影響を及ぼすかなど) を良く理解しているユーザーは、異なる分析のスケールを調整する場合があります。 さらに複雑な関係をモデル化するために、「空間ウェイト マトリックス」を指定することもできます。

  4. [近傍タイプ][距離バンド] を選択します。 [距離バンド] で「1」と入力し、[法定マイル] を選択します。

    最後に順列の数を選択します。これにより、解決済みの殺人事件と未解決の殺人事件との関係の統計的有意性が決まります。 数値が高いほど、結果の精度が高くなりますが、ツールの実行には多少時間がかかる場合があります。 99、199、499、999、または 9999 個の順列を選択できます。 パフォーマンスが問題にならない限り、精度を高めるために、通常は 999 または 9999 個の順列を選択する必要があります。

  5. [順列の数][999] を選択します。
  6. [出力フィーチャ] に「Colocation_Relationships_Buffalo」と入力します。

    コロケーション分析ツールのパラメーター

  7. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、マップに [Colocation_Relationships_Buffalo] レイヤーが追加されます。 [ジオプロセシング] ウィンドウの下部に警告が表示されます。 この警告は、データセット内の一部のフィーチャに近隣がないことを示しています。 この警告は無視しても問題ありません。近隣がない殺人事件は、コロケーション エリアでも孤立エリアでもないからです。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで、[Buffalo_Homicides] レイヤーをオフにします。

    コロケーション分析の結果を示すマップ

    レイヤーのシンボルには 4 つのカテゴリがあります。 対象にしているのは [Isolated - Significant] カテゴリ (濃い緑) です。これは、未解決の殺人事件が主に他の未解決の殺人事件に囲まれ、パターンが統計的に有意である場所です。 殺人事件が未解決になる可能性があるこれらのエリアは、主に都市の東部に位置しています。

未解決の殺人事件が多いエリアへの情報付加

未解決の殺人事件が多いエリアがわかりました。 次に、これらの近隣地域とコミュニティについて詳しく学習します。 特に、人種構成と人口統計的特性を調べて、後で都市の他のエリアと比較します。

最初に、殺人事件が未解決のままのエリアの周囲にバッファーを作成します。 次に、そのバッファー エリアの人口統計データを付加します。

  1. リボン上の [マップ] タブの [選択] グループで [属性条件で選択] をクリックします。

    属性条件で選択ボタン

  2. [入力テーブル][Colocation_Relationships_Buffalo] が選択されていることを確認します。
  3. [式] で、[Where 句 LCLQ Type が Isolated - Significant と等しい] という式を作成します。

    属性条件で選択ツールのパラメーター

  4. [OK] をクリックします。

    未解決の殺人事件が多いポイントが選択されています。

    ニューヨーク州バッファローのマップ上でハイライト表示された、かなりの数の未解決の殺人事件。

  5. [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [ペアワイズ バッファー] ツールを検索して開きます。

    1 マイルのバッファーを作成します。これは、コロケーション分析で近隣を決めるために使用した距離と一致します。 通常の [バッファー] ツールの代わりに [ペアワイズ バッファー] ツールを使用しています。さまざまなポイントから重なり合うバッファーを作成するのに適しているためです。

  6. [ペアワイズ バッファー] ツールの [入力フィーチャ] で、[Colocation_Relationships_Buffalo] を選択します。 [出力フィーチャクラス] に「Unsolved_Homicide_Areas_Buffalo」と入力します。
  7. [距離] で「1」と入力し、[法定マイル] を選択します。

    デフォルトでは、すべての入力フィーチャにバッファーが作成されます。 すべてのバッファーを 1 つのフィーチャにディゾルブ処理します。これにより、以降の解析がしやすくなります。

  8. [ディゾルブ タイプ] で、[すべてディゾルブ] を選択します。

    ペアワイズ バッファー ツールのパラメーター

  9. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、選択したポイント周辺に 1 マイルのバッファーが作成されます。

    バッファーが追加されたマップ

    注意:

    [コロケーション分析] ツールによって実行された順列はランダム コンポーネントを分析に追加するため、実際の結果が画像例に表示された結果と多少異なる場合があります。 このわずかな違いは、結果に影響しません。

  10. リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックして選択を解除します。
  11. [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [情報付加] ツールを検索して開きます。
  12. [入力フィーチャ][Unsolved_Homicide_Areas_Buffalo] を選択します。 [出力フィーチャクラス] に「Unsolved_Homicide_Area_Data」と入力します。
  13. [変数] の横にある追加ボタンをクリックします。

    [データ ブラウザー] ウィンドウが表示されます。 このブラウザーを使用して、ツールがレイヤーに情報を付加するために使用する人口統計データ変数を検索して追加します。 変数を追加するほど、分析はクレジットを消費します。 人種、年齢、収入をカバーする 6 つの変数を追加します。

  14. [データ ブラウザー] ウィンドウで、[人種] カテゴリをダブルクリックします。

    人種カテゴリ

  15. [Population by Race] をダブルクリックします。 次の 3 つの変数で、パーセント記号を選択し、シャープ記号の選択を解除して、チェックボックスをオンにします。
    • 2024 White Population
    • 2024 Black Population
    • 2024 Asian Population
    注意:

    その他にも、このタイプの分析に含めることができる特有の人種グループが多数あります。 さらに人種グループを追加してもかまいませんが、このチュートリアルの目的では、使用するグループだけです。

    人種の変数

    注意:

    データは定期的に更新されます。 利用可能な最新のデータをご使用ください。

  16. 戻るボタンをクリックし、[Hispanic Origin] をダブルクリックします。 [2024 Hispanic Population] でパーセント記号を選択し、シャープ記号の選択を解除して、チェックボックスをオンにします。

    2024 Hispanic Population

  17. 戻るボタンをクリックするか、[カテゴリ] をクリックし、カテゴリのリストに戻ります。 検索ボックスに「median age」と入力して、Enter キーを押します。
  18. [2024 Median Age] 変数をオンにします。

    2024 Median Age 変数

  19. [2024 Wealth Index] 変数を検索してオンにします。

    2024 Wealth Index 変数

    これで合計 6 つの変数を選択しました。

  20. [データ ブラウザー] ウィンドウで、[OK] をクリックします。

    情報付加ツールのパラメーター

    変数が、[情報付加] ツールのパラメーターに追加されます。 このツールにはクレジットが必要であることを示すメッセージが表示されています。これは、人口統計変数を分析で使用するためのコストです。 このツールの実行で消費されるクレジットは少ない (1 クレジット未満) ため、このままツールの実行に進みます。 消費されるクレジットの推定値を表示して、ツールを実行する前に把握することもできます。

    注意:

    クレジットの詳細についてはこちらをご参照ください。

  21. ツールの上部にある [クレジットの推定] をクリックします。

    クレジットの推定

    推定クレジット消費量は、わずか 0.06 クレジットです。

  22. [実行] をクリックします。
  23. [ジオプロセシング] ウィンドウを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[UnsolvedHomicideAreasData] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。
    注意:

    レイヤーを見つけるには、[コンテンツ] ウィンドウを下にスクロールする必要がある場合があります。

    テーブルには、選択した変数ごとにフィールドがあります。

    情報付加ツールの結果

    殺人事件が未解決のままのバッファロー コミュニティでは、住民の 64% が黒人です。 年齢の中央値は 33.6 で、裕福度は 32 です。 全国平均の裕福度は 100 であるため、32 の裕福度は、近隣地域が主に貧しいことを示しています。

    これらの統計情報は殺人事件が未解決の近隣地域は黒人が多く、裕福度については全国平均よりも下であることを示していますが、このエリアをすべての殺人事件エリアと比較するまでは人種的不平等について何も断言できません。

すべての殺人事件エリアの統計情報を取得します。

殺人事件が解決済みか未解決かにかかわらず、バッファローで殺人事件が発生したすべてのエリアの人口統計プロファイルが類似している可能性があります。 未解決の殺人事件エリアの人口統計を米国全体の他の殺人事件エリアの人口統計と比較する必要があります。

  1. テーブルを閉じます。

    繰り返しやクレジット消費を避けるために、バッファローに対して実行した手順と同じ手順を使用して、米国全体の他の殺人事件エリアのバッファー エリアがすでに作成され情報付加されています。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Homicide Area Data] を右クリックして [属性テーブル] を選択します。
  3. テーブルで、[Buffalo] の行番号をクリックして選択します。

    Buffalo のテーブル項目

    行全体がハイライト表示されます。

  4. 2024 年の変数が表示されるまで右にスクロールします。

    テーブルによると、バッファローのすべての殺人事件エリアでは黒人の人口が 31% であるのに対して、未解決の殺人事件エリアでは 75% です。 さらに、このエリアの裕福度が 53 であるのに対して、未解決の殺人事件エリアでは 29 です。 これらの調査結果は、貧しく黒人の人口が多いエリアでは殺人事件が未解決になる傾向があることを示しています。

    このストーリーは未解決の殺人事件の割合が高い他の都市でも同じです。 たとえば、シカゴでこの分析を繰り返すと、殺人事件が未解決になる傾向があるエリアの人口の 62% が黒人であるのに対して、すべての殺人事件エリアの人口の 30% が黒人であることがわかります。 裕福度は、未解決の殺人事件エリアでは 45 で、すべての殺人事件エリアで 79 です。 ボルチモア、デトロイト、ニューオーリンズなど、未解決の殺人事件の割合が最も高い都市で、殺人事件が未解決のままのエリアでは、すべての殺人事件エリアに比べて黒人住民の割合が高く、裕福度が低くなります。

    次の画像は、シカゴ、ボルチモア、デトロイト、ニューオーリンズの未解決の殺人事件エリア (赤) と解決済みの殺人事件エリア (青) の間の人種および民族の違いを比較しています。

    殺人事件エリアの人種および民族の人口統計を比較する 4 つのチャート

    注意:

    [情報付加] ツールによって作成された [Hispanic] フィールドは民族 (人種ではない) を表し、アジア人、黒人またはアフリカ系アメリカ人、およびヒスパニックとして識別される白人が含まれます。

    これらの調査結果が人種的不平等の証拠です。 未解決の殺人事件に関して、他のコミュニティに比べ、黒人のコミュニティには過度の負荷がかかっていることを示しています。

  5. リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。

    バッファローおよび未解決の殺人事件の割合が高い他の都市の人口統計データを比較しました。 次に、分析の範囲を全国に拡張します。 個別にすべての都市を調べるのではなく、殺人事件データがあるすべての都市の人口統計的特性をまとめます。 特に、各都市の人口で重み付けして、人種、年齢、裕福度のフィールドの平均を計算します。

    この分析結果により、未解決の殺人事件エリアが示す人口統計的特性がすべての殺人事件エリアに類似していないことが明らかになれば、社会的および人種的不平等の潜在的な証拠が明らかになります。

    最初に、各人口統計フィールドを人口フィールドで乗算します。 フィールドを人口で重み付けすることにより、人口が多い都市ほど平均に与える影響が大きくなるようにします。 そうすることで、人口が少ない都市 (ある人口統計の割合が非常に高い可能性がある) により結果が歪曲されないようにします。

  6. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールド演算] ツールを検索して開きます。

    このツールは、作成した数式に基づいて新しいフィールドを計算します。 このツールを、人口統計フィールドごとに 1 回ずつ、合計で 6 回実行します。 ツールを実行するたびに、人口統計フィールドのいずれかを人口フィールドで乗算する数式を使用します。

  7. [フィールド演算] ツールで、以下のパラメーターを入力します。
    • [入力テーブル][Homicide Area Data] を選択します。
    • [フィールド名 (既存または新規)] に「wAsian」と入力します (w は重み付けを表します)。
    • [フィールド タイプ][Double (64 ビット浮動小数点)] を選択します。
    • [wAsian =] に「!populationtotals_totpop_cy_1! * !raceandhispanicorigin_asian_cy_p_1!」と入力します。
    ヒント:

    または、[2024 Total Population] フィールドをダブルクリックし、乗算の記号 ([*]) をクリックし、[2024 Asian Population: Percent] フィールドをダブルクリックして式を作成できます。

    フィールド演算ツールのパラメーター

    注意:

    フィールド名が式内に表示されます (エイリアスではありません)。

  8. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、[wAsian] という新しいフィールドがテーブルの最後に追加されます。 このフィールドには、人口で重み付けられた、各都市の人口 (アジア人) の割合が含まれます。

  9. 次のリストに基づいて [フィールド名][式] の後半のパラメーターを変更して ([フィールド タイプ] パラメーターは [Double] に設定したまま、また、すべての式の先頭に [!populationtotals_totpop_cy!] を置いたまま)、[フィールド演算] ツールをさらに 5 回実行します。

    フィールド名

    wBlack

    !populationtotals_totpop_cy! * !raceandhispanicorigin_black_cy_p_1!

    wHispanic

    !populationtotals_totpop_cy! * !raceandhispanicorigin_hisppop_cy_p!

    wWhite

    !populationtotals_totpop_cy! * !raceandhispanicorigin_white_cy_p_1!

    wMedianAge

    !populationtotals_totpop_cy! * !gender_medage_cy!

    wWealthIndex

    !populationtotals_totpop_cy! * !wealth_wlthindxcy_1!

    計算された値が、[Homicide Area Data] 属性テーブルに入力されます。

    人口で重み付けされた人口統計データを示すフィールド

    次に、各フィールドの値をすべて加算する統計サマリーを作成します。 合計値を合計の総人口で除算すると、国全体の各人口統計変数の平均比率がわかります。

  10. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[統計サマリー] ツールを検索して、開きます。

    このツールは、フィールド内のすべての変数の統計情報を計算します。

  11. [統計サマリー] ツールで、次のパラメーターを設定します。
    • [入力テーブル][Homicide Area Data] を選択します。
    • [出力テーブル] に「Sums」と入力します。
    • [統計フィールド][フィールド] で、[wAsian][wBlack][wHispanic][wWhite][wMedianAge][wWealthIndex] を選択します。
    • 必要に応じて、[統計の種類] の各フィールドで [合計] を選択します。

    統計サマリー ツールのパラメーター

  12. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、[Sums] テーブルが作成されて、[コンテンツ] ウィンドウの下部に追加されます。

  13. [Homicide Area Data] テーブルを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] セクションの下で、[Sums] テーブルを右クリックして [開く] を選択します。

    重み付けされた合計のテーブル

    平均を計算するためには、重み付けされた合計を総人口の合計 (50,119,283) で除算します。 [フィールド演算] ツールを使用してこれらの計算を実行できますが、このチュートリアルでは計算値が提供されています。

    • すべての殺人事件エリアのアジア人の平均人口比率: 472639288.4 / 50119283 = 9.4%
    • すべての殺人事件エリアの黒人の平均人口比率: 1175732428.04 / 50119283 = 23.45%
    • すべての殺人事件エリアのヒスパニックの平均人口比率: 1525332275.05 / 50119283 = 30.43%
    • すべての殺人事件エリアの白人の平均人口比率: 1881577324.59 / 50119283 = 37.54%
    • すべての殺人事件エリアの年齢の平均中央値: 1808939077.2 / 50119283 = 356.1
    • すべての殺人事件エリアの平均裕福度: 3924682224 / 50119283 = 78.3

    バッファローの未解決の殺人事件エリア、バッファローのすべての殺人事件エリア、および殺人事件データが収集された米国の 50 都市すべての殺人事件エリアの統計情報の比較を次の表に示します。 殺人事件エリアは、殺人事件から 1 マイル以内の場所として定義されます。

    フィールドバッファローの未解決の殺人事件エリアバッファローのすべての殺人事件エリア50 都市すべての殺人事件エリア

    アジア人 (%)

    2.5

    4.1

    8.9

    黒人 (%)

    75.1

    32.3

    25.2

    ヒスパニック (%)

    4.4

    11.7

    30.3

    白人 (%)

    17.9

    54.9

    47.7

    Median Age (年齢の中央値)

    36.4

    36.8

    35.4

    裕福度

    29.0

    49.0

    78.4

    分析したバッファローの未解決の殺人事件エリアでは、米国全体の他の殺人事件エリアよりも黒人住民の割合が高く、裕福度が低くなっています。 このワークフローではバッファローだけを分析しましたが、この傾向は、ボルチモア、シカゴ、デトロイト、ニューオーリンズなど、未解決の殺人事件による影響を最も受けるコミュニティにも当てはまります。

    解決済みの殺人事件が多いすべてのエリアや他のすべての殺人事件エリア (著しく孤立した未解決の殺人事件を除く) に対して比較するのではなく、すべての殺人事件エリアに対して未解決の殺人事件エリアの人口統計データを比較するのはなぜでしょうか? これらの比較はすべて有効ですが、すべての殺人事件エリアの人口統計データには未解決の殺人事件エリアの人口統計データが含まれるため、この方法が最も保守的な選択です。

  14. テーブルを閉じます。 プロジェクトを保存します。

    この分析は、人種的および社会的不公正のデータに基づいた証拠を提供します。 殺人事件が未解決のままのエリアがある理由を特定しませんが、人口の特定のセグメントが悲劇的な結果を不公平に負担していることを示しています。

    殺人事件が解決されないコミュニティに住むのはどういう感じでしょうか? このコミュニティのいずれかに住んでいる場合、どのような影響が広範囲にあるでしょうか? 以下の記事から、洞察を得ることができるかもしれません。

    このチュートリアルでは、ニューヨーク州バッファローで未解決の殺人事件が多い地域を特定しました。 次に、これらのエリアの人口統計データを取得し、すべての殺人事件エリアの人口統計データと比較しました。 人口統計データが類似していれば、殺人事件エリアのすべての住民が未解決の殺人事件の悲劇的な結果に平等に対処していると判断できました。 その代わりに、明らかな違いが見られました。 殺人事件が未解決のままのエリアは、黒人と低所得の住民の比率が高く、人種的、社会的、または司法上の不平等を示しています。

次の手順

自分のコミュニティ、学校、職場内、または関係する人々、組織、機関との間で社会的平等を促進するためにどのような行動が取れるでしょうか? 自分の住んでいる都市または近くの都市でこのワークフローを繰り返したり、「ArcGIS StoryMaps」を使用して、自分の結果を共有するストーリーを作成したりできます。 あるいは、このワークフローを応用して、公園やレベルの高い学校へのアクセス、環境災害への近さ、就職しやすさ、手頃な住宅の入手しやすさ、健康管理サービスの利用可否に関連する人種的または社会的不平等があるかどうかを判断できます。

さらに、以下のリソースも探索できます。

  • Murder Accountability Project」未解決の殺人事件に対する米国の会計の改善、未解決事件の解決における法執行機関への支援、増加している未解決の殺人事件の問題に関する情報の公開を目的として 2015 年に設立された非営利企業
  • GIS Equity & Social Justice」Esri ユーザー コミュニティ
  • Racial Equity: GIS for Racial Justice」人種的不平等をマッピングし、理解を深めるための GIS ワークフローおよびリソース
  • Racial Equity GIS Hub」人種的不平等に対処するために活動している組織を支援する、進行中で拡張し続けるリソース ハブ
  • Using GIS to Operationalize Racial Equity & Social Justice」組織が GIS を使用して選択の影響を評価し、公平な政策およびプログラムを開発する方法に関する、記録されたビデオ セッション

犯罪データと犯罪検挙率の複雑性と制限の詳細は、以下のリソースを探索してください。

犯罪が解決されない理由の詳細は、以下のリソースを探索してください。

黒人コミュニティへの投資を支援することにより、組織立った人種差別に立ち向かう方法の詳細は、以下のリソースを探索してください。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。