警察の職務質問データをチャートで探索

多くの米国人には速度違反や信号無視で職務質問された経験がありますが、警察官が詳細な検査を求めている場合に、職務質問がどれほど気分を害するかを理解している人はほとんどいません。 この (最高) 裁判所は、事後に口実となる正当な理由を示すことができれば、警察官がその理由にかかわらず職務質問を行うことを許可しました。 … この正当化では、警察官が違法だと疑った具体的な理由を提示する必要がありますが、対象者の民族、住所、服装、および振舞いが考慮されている可能性があります。 … 警察官は、対象者が犯したと考えられる法さえ知る必要はありません。可能性のある違反を後から指摘できれば、それが軽微、無関係、または曖昧なものであってもかまいません。 … - "Dissent of Justice Sonia Sotomayor in Utah v. Strieff," Supreme Court of the United States, 2016。

まず、テネシー州ナッシュビルの警察による車両検問データを調べるところから解析を始めます。 データ エンジニアリング ビューを使用してデータのフィールドと属性を調べ、チャートを作成して身体検査率の格差やデータの経時的な傾向を確認します。 最後に、特定の地区を都市全体と比較します。

データ エンジニアリング ビューを使用した警察の職務質問データの調査

解析を始める前に、データを十分に理解することが重要です。 まず、ナッシュビルの警察の職務質問データセットで使用できるフィールドを調べます。

  1. police_stops .zip ファイルをダウンロードし、コンピューター上の場所 (ドライブ C など) に展開します。
  2. 展開した [police_stops] フォルダーを開き、[Police Stops.aprx] をダブルクリックして、ArcGIS Pro でプロジェクトを開きます。

    Police Stops.aprx

  3. 求められた場合、ArcGIS アカウントにサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    テネシー州ナッシュビルのチャートとマップが表示されます。

    バー チャートおよびウィジェット

    マップ上のポイントは、データセットの期間中にナッシュビルで発生した警察による車両検問を表しています。 このデータは Stanford Open Policing Project から取得されました。 下部のチャートは、同じデータに加えて、米国国勢調査局が実施している ACS (アメリカ地域社会調査) の人口数から取得されました。 水色のバーはその人種に対する警察の職務質問の割合、濃い青色のバーはその人種のナッシュビルの住民に対する割合を示しています。

    職務質問が比例する場合、各人種に対する [Stop Percetage][Population Percentage] のバーの高さが同じになるはずですが、実際には異なっています。 たとえば、黒人はナッシュビルの住民の 26.93% に過ぎませんが、車両検問の 37.04% は黒人が対象になっています。 これが格差の証拠であり、グループによって結果が異なることを意味します。 格差が存在するだけで、必ずしも差別が存在するとは限りませんが、悪影響があるため、格差は重大な問題です (Pryor et al. 2020, 11)。

    次に、データ エンジニアリング ビューで警察の職務質問データセットを調べ、各車両の検問に含まれるフィールドと属性を確認します。

  4. チャート ウィンドウを閉じます。
  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Police Stops (2017-2019)] を右クリックし、[データ エンジニアリング] をクリックします。

    データ エンジニアリング

    データ エンジニアリング ビューが表示されます。 レイヤーのフィールドのリストを表示するフィールド パネルと、現在は空の統計パネルの 2 つのセクションで構成されています。 統計パネルにフィールドを追加して、フィールドを調べます。

  6. フィールド パネルの任意のフィールドをクリックし、Ctrl + A キーを押してすべてのフィールドを選択します。 フィールドを統計情報パネルの上にドラッグします。

    すべてのフィールドを選択

    統計パネルにフィールドが行として表示されるようになりました。

  7. 統計パネルの上にある [計算] ボタンをクリックします。

    計算ボタン

    しばらくすると、統計パネルにデータ品質指標と各フィールドの属性に関する統計情報が表示されます。

    統計パネル

    統計パネルには、フィールド名、データ タイプ、NULL 値の数、フィールドの分布を示すチャート プレビュー、最小、最大、平均、最頻値などの一般的な分布値、データの各フィールドに関する知識を得るのに役立つその他の指標が表示されます。

    データ エンジニアリング ビューの下部にあるレコード件数は、データの期間中に 422,535 回の職務質問があったことを示しています。

    レコードの件数

    統計テーブルの 2 行目には、[date] フィールドの統計サマリーが表示されています。 [最小] が 2017 年 1 月 1 日、[最大] が 2019 年 3 月 24 日となっていることから、422,535 件の車両検問は 2 年 3 か月にわたって収集されたデータであることがわかります。

人種および民族別の身体検査率の調査

警察の職務質問が身体検査に発展することもあります。

身体検査とは、警察が対象者の衣服の外側を叩いたり撫でたりして、武器を持っているかどうかを確認することです。 警察は、対象者の同意があれば合法的に「身体検査」することができますが、対象者が武器を持っている「合理的な疑い」(事実に基づく具体的な理由) があれば、同意がなくても身体検査できます。 - "Know Your Rights: Stop-And-Frisk," ACLU of the District of Columbia, 2021。

身体検査の判断は警察官の裁量に委ねられており、個人レベルでの人種的偏見につながる可能性があります。 身体検査に発展した職務質問の割合 (身体検査率) を調べます。 職務質問された人が身体検査される可能性は、その人種によって高くなりますか?それとも低くなりますか? この質問に回答するには、2 つのフィールド ([subject_race][frisk_performed]) を使用して、各人種の身体検査率を視覚化するチャートを作成します。

  1. データ エンジニアリング ビューの統計テーブルで、下にスクロールして [subject_race] フィールドを見つけます。
  2. [subject_race] 行で、[チャートのプレビュー] セルをポイントします。

    チャートのプレビュー ポップアップ

    ウィンドウが開き、チャートのプレビューに表示されている値がリストされます。

  3. [subject_race] 行で、[チャートのプレビュー] セルを右クリックし、[バー チャートを開く] をクリックします。

    バー チャートが開き、職務質問された人の人種別の車両停止件数が表示されます。

    subject_race バー チャート

    このチャートを変更して、職務質問の件数ではなく、人種別の身体検査率が表示されるようにします。

  4. 必要に応じて、チャートの上にあるツールバーで [プロパティ] ボタンをクリックし、[チャート プロパティ] ウィンドウを開きます。

    まず、各列を分割して、身体検査を含む職務質問の件数を表示します。

  5. [チャート プロパティ] ウィンドウの [分割 (オプション)] で、[frisk_performed] フィールドを選択します。

    frisk_performed による分割

    チャートに 7 つの列グループが表示されるようになりました。 警察による身体検査を含む職務質問の件数と含まない職務質問の件数が、人種別に表示されます。 読みやすくなるよう、バーにラベルを付けて積み上げます。 また、不要なデータの列を削除します。

  6. [チャート プロパティ] ウィンドウの [データ ラベル] の下で、[バーにラベル付け] チェックボックスをオンにします。
  7. [シリーズ] タブをクリックします。 [複数のシリーズを表示][100% 積み上げ] を選択します。
  8. テーブルで、[NA] 行をクリックし、[選択した行を削除] ボタンをクリックします。

    削除ボタンおよび NA 行

  9. [FALSE] 行の上に [TRUE] 行をドラッグします。

    TRUE 行にバーをドラッグ

    チャートの凡例に表示されるテキストを編集して、テキストをわかりやすくします。

  10. [ラベル] 列で [TRUE] をダブルクリックし、「Frisked」と入力します。 [FALSE] ラベルを「Not frisked」に変更します。

    ラベル名を「Frisked」と「Not frisked」に変更

    チャートに各人種の身体検査率が表示されるようになりました。

    積み上げバー チャート

    黒人の 2.58%、ヒスパニック系の 2.49% が身体検査を受けたのに比べ、白人は 0.92% が身体検査を受けており、身体検査の判断に人種的格差が存在することを示しています。 言い換えると、このデータは、ナッシュビルの黒人およびヒスパニック系が警察に職務質問された際に、身体検査を受ける確率が白人の 2 倍以上高いことを反映しています。 この結果は、活動家によるレポートニューヨーク大学法科大学院の Policing Project の調査結果と一致しているように見えます。

    警察が犯罪の証拠をほとんど見つけていないにもかかわらず、黒人ドライバーが不公平な割合で職務質問および身体検査を受けていることが 2 つの独立したレポートで明らかになって以来、市当局は車両検問に細心の注意を払っています。

    これらの傾向は、MNPD (Metro Nashville Police Department) データを使用した 2 つの個別の解析によって明らかになりました。

    - "Nashville Police Report Major Drop In Traffic Stops Following Accusations Of Racial Bias," Samantha Max, Nashville Public Radio, 2021。

車両検問の経時的な傾向および地区間の傾向の調査

警察の職務質問における人種的格差は、米国の都市全体で共通の問題となっていますが、アナリストや活動家によるレポートによって変化が進むこともあります。MNPD (Metro Nashville Police Department) による車両検問は、独立したレポートの結果として訓練方針が変更された後、2016 〜 2021 年の間に約 90% 減少しました。

NYU の研究者が MNPD による車両検問で密売品がほとんど摘発できなかったことを突き止めた後、同署は訓練内容を全面的に書き換えました。 主な目的が、捜査から危険運転の防止に変更されました。

最初のスライドで、警察官は「MNPD が車両検問を実施する理由」を考えるよう促され、「市民の尊厳、敬意、手続き的公正を担保した方法で」地域住民と接するよう指導されています。

- "Nashville Police Report Major Drop In Traffic Stops Following Accusations Of Racial Bias," Samantha Max, Nashville Public Radio, 2021

Nashville Public Radio のレポートで報告された車両検問の減少を確認するため、車両検問の経時的な変化をチャート化します。

  1. チャート ウィンドウの上にある [Police Stops (2017-2019)] タブをクリックして、データ エンジニアリング ビューを再度開きます。
  2. 必要に応じて、統計テーブルの上部にスクロールし、[date] 行を見つけます。

    [date] 行の [チャートのプレビュー] セルで、職務質問件数の経時的な減少傾向が確認できます。 このパターンを詳細に調査するには、チャートのプレビューの代わりに、チャート全体を表示します。

  3. [date] 行で、[チャートのプレビュー] セルを右クリックし、[ライン チャートを開く] をクリックします。

    ライン チャートを開く

    ライン チャートが表示されます。 このチャートは、[コンテンツ] ウィンドウの Nashville police stops レイヤーの下にも追加されます。

    データ件数の経時的な変化を示すライン チャート

    このチャートは、データの期間中にナッシュビルで発生した車両検問の件数を示しています。 各ドット間の間隔は 6 日間を表します。 間隔を 1 週間に変更します。

  4. 必要に応じて、チャートの上にあるツールバーで [プロパティ] をクリックし、[チャート プロパティ] ウィンドウを開きます。
  5. [チャート プロパティ] ウィンドウの [間隔サイズ][7 日] に変更します。

    間隔サイズを 7 日に設定

    このチャートは、2017 年の初め (1 週間の職務質問が約 4,500 件) から 2019 年の初め (1 週間の職務質問が約 1,000 件) までに、警察の職務質問が減少していることを示しています。 この傾向は、Metro Nashville Police Department による車両検問が過去 5 年間で約 90% 減少したことを示す Nashville Public Radio の調査結果 と一致しているように見えます。 データの調査を続行し、この傾向が異なる人種や民族、および異なる地区で一貫しているかどうかを調べます。

  6. [チャート プロパティ] ウィンドウの [分割 (オプション)] で、[subject_race] を選択します。

    チャートが更新され、[subject_race] フィールドの各カテゴリに対してラインが表示されます。

    subject_race で分割されたライン チャート

    警察による車両検問の件数は、黒人、白人ともに同様の減少傾向が見られます。

    ヒント:

    チャートの凡例のアイテムをクリックすると、カテゴリが非表示になり、特定のカテゴリの傾向を調べやすくなります。

    マップとともにチャートを調査し、この傾向がナッシュビルのさまざまな地域で一貫しているかどうかを調べます。

  7. ライン チャートのタブをクリックし、マップの横にドラッグします。 チャートをマップの右側にドッキングします。

    マップの横のドッキング ターゲット

    チャートがマップの横に表示されるようになりました。

  8. データ エンジニアリング ビューのフィールド パネルで、[subject_race] フィールドをポイントし、[シンボルの更新] ボタンをクリックします。

    シンボルの更新 ボタン

    マップが更新され、職務質問された人の人種および民族別に車両検問が表示されます。 ライン チャートを、マップと同じ色を使用するように更新します。

    色が一致しているマップおよびライン チャート

    注意:

    マップおよびチャートの色は、チュートリアルで表示される色と異なる場合があります。

  9. ライン チャートの上にあるツールバーで、[範囲によるフィルタリング] ボタンをクリックします。

    範囲によるフィルタリング ボタン

  10. マップ上でズームや画面移動を行い、さまざまな地区を表示します。 ライン チャート上の変化を確認します。

    ライン チャートは動的に更新され、現在のマップ ビューに対して警察の職務質問の経時的な変化が反映されます。 白人よりも黒人の方が多く職務質問されている地域も存在します。 大半の地域は、都市全体と同様の減少傾向を示しています。

人種、時間、地区間の身体検査率の比較

次に、2018 年以降の警察による職務質問の減少が身体検査率に与えた影響について調べます。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Police Stops (2017-2019)] を右クリックし、[レイヤーにズーム] をクリックします。
  2. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[属性条件で選択] をクリックします。

    属性条件で選択ボタン

  3. [属性条件で選択] ウィンドウの [入力行][Police Stops (2017-2019)] を選択します。
  4. [式] で、ドロップダウン メニューを使用して、[Where date is before 12/1/2018] という式を作成します。

    属性条件で選択ツールの式の項目

  5. [OK] をクリックします。

    マップ上のほとんどのポイントが選択されます。 ライン チャートで、2018 年末の急速な減少以前のすべてのポイントが選択されています。

    ライン チャートで選択された大半のポイント

  6. データ エンジニアリング ビューの上にある [Police Stops (2017-2...frisk_performed] タブをクリックして、バー チャートを表示します。
  7. バー チャートの上にあるツールバーで、[選択セットによるフィルタリング] ボタンをクリックします。

    選択ボタン

    バー チャートが更新され、2018 年 12 月以前に発生した警察の職務質問に対する身体検査率のみが表示されます。

    黒人の身体検査率は 2.56%、白人の身体検査率は 0.9% でした。 この 2 つの値の比率 (2.56 ÷ 0.9) は 2.84 です。 これは、黒人は白人の 2.84 倍の確率で、職務質問された際に身体検査されることを意味します。

    次に、これらの数値が 2018 年 12 月以降にどのように変化したかを確認します。

  8. いずれかのチャートの上にあるツールバーで、[選択セットの切り替え] ボタンをクリックします。

    選択セットの切り替えボタン

    バー チャートが変更され、後半の期間の身体検査率が表示されます。 ライン チャートにも新しい選択セットが表示されます。

    ライン チャートで選択された最後のポイント

    この期間中、黒人の身体検査率は 3.21%、白人の身体検査率は 1.48% でした。 どちらも以前より高い値になっています。 これは、2019 年に職務質問が身体検査に発展する可能性が高かったことを意味します。 ただし、職務質問の件数が全体的に減少していたため、身体検査の件数も減少しました。

    黒人と白人の身体検査率の比率は 2.16 です。 この値は、以前の比率 (2.84) よりも小さく、2018 年 12 月以降、身体検査率の人種的格差が減少したことを意味します。 ただし、減少幅は小さく、依然として、黒人が職務質問された際に身体検査を受ける確率が白人の 2 倍以上高くなっていました。

    次に、都市全体ではなく特定の地区で、身体検査率がどのように変化したかを調べます。 選択を解除しないでください。

  9. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックし、[Tennessee State University] ブックマークをクリックします。

    マップで、歴史的黒人大学であるテネシー州立大学の周辺が拡大表示されます。

  10. バー チャートの上にあるツールバーで、[範囲によるフィルタリング] ボタンをクリックします。

    これで、チャートには、現在の選択セットと現在のマップ ビューのデータが反映され、2018 年 12 月以降にテネシー州立大学周辺で発生した職務質問のみが反映されます。

    フィルター処理された積み上げバー チャート

    この地区および期間での身体検査率は 3.92% でした。 白人は 1.15% でした。

    注意:

    マップの範囲が多少異なるため、数値も異なる場合があります。 これらの数値は、残りのチュートリアルには影響しません。

    この 2 つの値の比率は 3.41 で、これまで見てきた他の比率よりも高くなっています。 黒人が多数を占める地区では、白人に対する職務質問よりも黒人に対する職務質問のほうが多くなることが想定されますが、この数値は職務質問された後に身体検査を受ける確率を反映しています。 この地区では、職務質問が身体検査に発展するケースの人種的格差が、都市全体よりも大きくなっています。

  11. いずれかのチャートの上にあるツールバーで、[選択の解除] ボタンをクリックします。

    選択の解除ボタン

  12. 両方のチャート (データ エンジニアリング ビューおよび [チャート プロパティ] ウィンドウ) を閉じます。
  13. [クイック アクセス ツールバー][保存] ボタンをクリックします。

    保存ボタン

    注意:

    現在の ArcGIS Pro のバージョンでこのプロジェクト ファイルを保存すると、これより前のバージョンでファイルを再び開けなくなることを警告するメッセージが表示される場合があります。 このメッセージが表示されたら、[はい] をクリックして続行します。

このチュートリアルでは、これまでナッシュビルの車両検問データを調査してきました。 職務質問率と身体検査率の人種的格差を調べ、時系列で職務質問をチャート化しました。 2017 年から 2019 年にかけて、ナッシュビルでは警察による職務質問が減少していることがわかりました。これは活動家の解析によって警察の訓練内容が変更された結果であると考えられます。 ただし、人種的格差が依然として存在することもわかりました。 警察に職務質問された際に、黒人は白人よりも身体検査を受ける確率が依然として高く、その格差は地区によって異なります。

次に、空間解析ツールを使用して、引き続き警察の職務質問について調査します。


身体検査のホット スポット分析

前のモジュールでは、ナッシュビルでの警察の職務質問データを準備、視覚化、および調査しました。 次に、ルイジアナ州ニューオーリンズ市に注目し、警察官が身体検査に発展した場所の歩行者の職務質問に関するデータセットを使用します。 身体検査は、個人およびコミュニティへの影響や、黒人およびラテン系コミュニティが過度な標的になっていることにより、広く批判されています (Center for Constitutional Rights, 2012)。

職務質問による侮辱的な行為は、対象者が警察官に犯罪者のように言われることだけにとどまりません。 次に、警察官は対象者が断ることができることも告げずに、バッグや財布を検査することへの「同意」を求めてくることがあります。 その回答にかかわらず、警察官は「どうすることもできない状態で (おそらく壁に向かって両手を挙げた状態で)」立つように命令することがあります。対象者が危険だと警官が判断すれば、武器を所持していないかどうか「身体検査」することがあります。 これは、衣服の上を叩いて調べるだけにとどまりません。 見物人が通り過ぎる中、警官は「敏感な指で身体のあらゆる部分を触る」ことがあります。 腕や脇の下、胴回りや背中、股間や睾丸の周辺、足の表面から足先まで、徹底的に検査されることがあります。 - "Dissent of Justice Sonia Sotomayor in Utah v. Strieff," Supreme Court of the United States, 2016。

身体検査インシデントの重大性を考慮し、ニューオーリンズ市でのインシデントの発生状況を空間と時間の両面で分析します。 マップおよびチャートを使用して観察できるパターンを定量化するには、身体検査の傾向の統計的有意性のテストを実行します。

身体検査の位置の時空間キューブを作成

まず、ライン チャートを使用して、時間経過に伴う各人種の身体検査の傾向の変化を観察します。 その後、時空間キューブを構築します。 このデータ構造は、空間パターンと時間パターンを 1 つのマップにまとめて視覚化できる、時空間ホット スポット分析の実行に必要です。

  1. 必要に応じて、ArcGIS Pro[Police Stops] プロジェクトを開きます。 リボンの下にある [New Orleans] マップ タブをクリックします。

    [New Orleans] マップ タブ

    マップが開き、ニューオーリンズ市の境界内で 2011 〜 2018 年に発生した身体検査の位置が表示されます。 このデータは Stanford Open Policing Project から取得されました。 位置は、身体検査の対象者の人種別にシンボル表示されます。

  2. [コンテンツ] ウィンドウの [Frisk Locations (2011-2018)] で、[Change in frisks over time] チャートを右クリックし、[開く] をクリックします。

    チャートを開く

    このチャートは、ニューオーリンズでの身体検査が 2011 〜 2013 年にかけて全体的に減少したものの、2014 〜 2018 年にかけて黒人に対する身体検査が徐々に増加していることを示しています。

    ライン チャート

    注意:

    これらのパターンの地区ごとの違いを調べるには、チュートリアルの前半の手順を繰り返し、範囲でチャートをフィルタリングして、マップを画面移動およびズームすることができます。

    マップおよびチャートを一度に表示することは、データセットの空間的および時間的傾向を視覚化する方法の 1 つです。 ただし、時空間キューブを使用することで、これらのパターンをより具体的に定量化できます。 このデータ構造は、データを時空間で定義されたビンに集約します。 ビンの空間的な境界を定義するには、国勢調査地区を使用します。

  3. チャート ビューおよび [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
  4. [コンテンツ] ウィンドウで [Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] レイヤーの横にあるボックスをオンにして、そのレイヤーを有効にします。

    このレイヤーは、国勢調査地区と、ACS (アメリカ地域社会調査) で定義された人種および民族の変数を表示します。 国勢調査地区は、米国国勢調査局が人口データを整理および分析するために使用され、一般的には人口が 2,500 〜 8,000 人の地区に相当します (米国の 2021 年の国勢調査)。 このデータは、ArcGIS Living Atlas of the World[ACS Race and Hispanic Origin Variables - Boundaries] レイヤーから取得されました。

    身体検査データと国勢調査地区を使用して時空間キューブを作成します。 その結果、身体検査のホット スポットになっている国勢調査地区が表示されます。

  5. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。

    リボン上の [ツール] ボタン

    [ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。

  6. 検索バーに、「create space time cube」と入力します。 検索結果で、[ポイントの集約による時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube By Aggregating Points)] をクリックします。

    ポイントの集約による時空間キューブの作成

    時空間キューブは、データを 3 次元空間に集約します。 空間ビンは X 軸と Y 軸に、時間ビンは Z 軸にチャート化されます。 今回の分析では、各ビンを期間が 4 週間の国勢調査地区として定義します。 各地区には、それぞれが 4 週間を表すビンのスタックが含まれます。 各ビンは、対象期間に対象地域で発生した身体検査の数を表します。

    時空間キューブのデータ構造

  7. [ジオプロセシング] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
    • [入力フィーチャ] で、[Frisk Locations (2011-2018)] を選択します。
    • [出力時空間キューブ] に「Frisk_Tracts_4Weeks」と入力します。
    • [時間フィールド][date] を選択します。
    • [テンプレート キューブ] パラメーターを空白のままにします。
    • [時間ステップの間隔] で「4」と入力し、[週] を選択します。
    • [時間ステップの配列] で、[終了時間] が選択します。
    • [集約形状タイプ] で、[定義済みの位置] を選択します。
    • [定義済みのポリゴン位置] で、[Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] を選択します。
    • [ロケーション ID] で、[Tract Numeric ID] を選択します。

    ツール パラメーター

    この分析では、身体検査の以前の傾向よりも最近の傾向に興味があるため、[時間ステップの配列] パラメーターで [終了時間] を選択しました。 これにより、ツールが期間の終了時点 (最新のデータ) から処理を開始し、ビンが作成される際に時間をさかのぼって集計されます。 最後のビンは不完全で、時間的バイアスが発生する可能性がありますが、最新のビンよりも最も古いビンにバイアスが存在する方が良い結果が望めます。

  8. [実行] をクリックします。

    ツールが完了すると、[ジオプロセシング] ウィンドウの下部に警告が表示されます。

  9. 警告で、[詳細の表示] リンクをクリックします。

    ジオプロセシング ウィンドウの詳細の表示リンク

    詳細情報を含むウィンドウが表示されます。 [Census Tracts] レイヤーと一致しない場所があることを示しています。 これらのフィーチャの一部は、地区の境界上に位置していたために欠落していますが、この分析に影響を与えるようなシステムの問題を意味するものではありません。

  10. 必要に応じて [メッセージ] タブをクリックします。 ダイアログ ボックスの [時空間キューブの特性] をスクロールし、[最初の時間ステップの一時的バイアス] エントリを見つけます。

    時間的バイアス

    28.57% の時間的バイアスが結果に影響を与えます。

    時空間キューブの作成時に、時間ステップの間隔を 4 週間に指定しました。 ツールは時間をさかのぼって集計し ([時間ステップの配列][終了時間] 値を使用)、最も古い時間ビンは最後に集計されるため、4 週間分のデータが完全には含まれていません。 影響を受けるビンの期間は 2011 年 5 月 2 日〜 2011 年 5 月 30 日ですが、データ内の最も古い身体検査は 2011 年 5 月 10 日から始まっています。 5 月 2 日〜 5 月 10 日のビンが空になっているため、最初の時間ステップで 28.57% の時間的バイアスが発生しています。

    この時間的バイアスを補正するには、2011 年 5 月 31 日から始まるデータをフィルター処理して、ツールを再実行します。

    注意:

    時間ステップの配列の詳細については、「時空間キューブの作成の詳細」をご参照ください。

  11. [ポイントの集約による時空間キューブの作成] ウィンドウを閉じます。
  12. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[属性条件で選択] をクリックします。
  13. [属性条件で選択] ウィンドウの [入力テーブル][Frisk Locations (2011-2018)] を選択します。
  14. [式] の下にあるドロップダウン メニューを使用して、[Where date is after 5/29/2011] というクエリを作成します。

    属性条件で選択ツールの式の項目

  15. [OK] をクリックします。

    マップ上のほとんどのポイントが選択されます。 [ポイントの集約による時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube By Aggregating Points)] ツールを再実行すると、これらの選択されたフィーチャのみを使用してツールが実行されます。

  16. [ジオプロセシング] ウィンドウで [実行] をクリックします。
  17. ツールが完了したら、[詳細の表示] リンクをクリックし、必要に応じて [メッセージ] タブをクリックします。

    [最初の時間ステップの一時的バイアス] が 3.57% に減少しました。

  18. [メッセージ] タブの下部へスクロールします。

    診断メッセージは、時空間キューブの [トレンドの方向] 値が [有意でない] であることも示しています。

    有意でないと表示されたトレンドの方向

    ニューオーリンズ市全体としては、データの期間を通じて統計的に有意な時系列的トレンドは存在しませんが、個別の地区や身体検査のカテゴリで、統計的に有意な傾向が見られる可能性があります。

  19. [ポイントの集約による時空間キューブの作成] ウィンドウを閉じます。

    時空間キューブを作成し、時間的バイアスを補正しました。 キューブがマップ上に表示されません。 次に、[時空間キューブを 3D で視覚化 (Visualize Space Time Cube in 3D)] ツールを使用して、マップ上でキューブを視覚化します。

  20. マップ上の任意の場所を右クリックし、[選択解除] をクリックして選択を解除します。

    ショートカット メニューの選択解除オプション

身体検査パターンを 3D で視覚化

時空間キューブを 3 次元で表示し、時空間別の身体検査の集約方法を理解および探索します。

  1. リボンの下にある [New Orleans 3D] タブをクリックします。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウの戻るボタンをクリックします。 [時空間キューブを 3D で視覚化 (Visualize Space Time Cube in 3D)] ツールを検索し、開きます。
  3. [入力時空間キューブ] で、[参照] ボタンをクリックします。 [Police Stops] プロジェクトが含まれているフォルダーを参照し、[Frisk_Tracts_4Weeks.nc] を選択します。

    ファイル ブラウザー内の Frisk_Tracts_4Weeks.nc

    これは、以前に作成した時空間キューブです。

  4. [OK] をクリックします。
  5. [キューブの変数][COUNT] を選択します。 [表示テーマ][値] を選択します。
  6. [出力フィーチャ] で、既存のテキストを消去して、「Frisks3D」と入力します。

    時空間キューブを 3D で視覚化ツール

  7. [実行] をクリックします。

    シーンで新しいレイヤーが開き、時空間キューブが 3 次元で表示されます。

    時空間キューブの 3 次元による視覚化

    各列は国勢調査地区を表しています。 各列はビンのスタックで構成され、各ビンは 4 週間の時間ステップを表しています。 下にあるビンは古く (2011 年 6 月)、上にあるビンは最新 (2018 年 6 月) です。 ビンの色が濃いほど、その時空間に発生した身体検査が多いことを示しています。

  8. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [New Orleans] をクリックします。

    身体検査が多い中心街にマップがズームします。 多くの地域で、身体検査が発生している期間が発生していない期間で分断された帯状のパターンを示しています。

身体検査の時間的および空間的傾向の分析

これで、時空間キューブの 3 次元構造を視覚化および理解できたため、データに存在する傾向を要約する 2D ビジュアライゼーションを適用します。

  1. リボンの下にある [New Orleans] タブをクリックして、2D マップに戻ります。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウの戻るボタンをクリックします。 [時空間キューブを 2D で視覚化 (Visualize Space Time Cube in 2D)] ツールを検索して開きます。
  3. [入力時空間キューブ] で、[参照] ボタンをクリックします。 [Frisk_Tracts_4Weeks.nc] を検索して選択します。 [OK] をクリックします。
  4. [キューブの変数][COUNT] を選択します。 [表示テーマ][傾向] を選択します。

    [表示テーマ] パラメーターは、時空間キューブのマップ上でのシンボル表示方法を決定します。 [傾向] オプションは、Mann-Kendall 統計を使用して計算された、時間経過に伴い値が増加または減少している箇所を示します。

  5. [時系列ポップアップの有効化] チェックボックスをオンにします。 [出力フィーチャ] に「Frisk_Trends」と入力します。

    時空間キューブを 2D で視覚化ツール

  6. [実行] をクリックします。

    新しいレイヤーがマップ上に表示されます。

  7. [コンテンツ] ウィンドウで、凡例を確認してマップのシンボルを把握します。

    コンテンツ ウィンドウの凡例

    緑色の地域は減少傾向にあり、ほとんどの時間ステップで、前の時間ステップに比べて身体検査の数が減少していることを意味します。 紫色の地域は上昇傾向にあり、ほとんどの時間ステップで、前の時間ステップに比べて増加していることを意味します。 白色の地域に有意な傾向はありません。 緑色と紫色の異なる階調は、傾向の有意性に関連しています。

    緑色と紫色の地域を含むトレンド マップ

    以前は、マップ上のポイントが多すぎて、空間的および時間的パターンを検出できませんでした。 これで、ニューオーリンズの中心部周辺で身体検査インシデントが増加し、都市のその他の地域では身体検査が減少していることがわかるようになりました。

  8. [Neighborhoods] レイヤーを [コンテンツ] ウィンドウの上部にドラッグします。

    [コンテンツ] ウィンドウの [Neighborhoods] レイヤー

  9. [Treme-Lafitte] ブックマークにズームします。

    マップで Treme-Lafitte 地区が拡大されます。この地区では、データの期間を通じて身体検査の増加傾向が見られます。

    マップ上の Treme-Lafitte 地区

  10. Treme-Lafitte 地区の最北端の国勢調査地区をクリックします。

    ポップアップが開き、この地域での身体検査の増加傾向を示す時系列チャートが表示されます。

    ポップアップ内のチャート

  11. ポップアップを閉じます。

    Mann-Kendall 統計で各場所の傾向を評価します。 ある場所が増加傾向を示していても、その場所の値が高いとは限りません。 次に、[時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールを使用し、空間と時間の両方を考慮して、身体検査の件数の多いクラスタリングが存在している場所を評価します。

身体検査のホット スポット分析

時空間ホット スポット分析では、時空間での警察の身体検査のパターンを解釈することができます。 時空間ビンごとに、周辺の他のビンの時空間における局所的な近傍を作成します。 そして、局所的な近傍における身体検査の平均件数を、ニューオーリンズ全体の身体検査の平均件数と比較します。 ツールは、これらの比較結果を使用して、市内で身体検査の件数が特に多い地域 (ホット スポット) または少ない地域 (コールド スポット) を特定します。

  1. [ジオプロセシング] ウィンドウの戻るボタンをクリックします。 [時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールを検索して開きます。

    [入力時空間キューブ] で、[参照] ボタンをクリックします。 [Frisk_Tracts_4Weeks.nc] を検索して選択します。 [OK] をクリックします。

  2. [分析変数][COUNT] を選択します。 [出力フィーチャ] に「Frisks_HotSpot」と入力します。
  3. [空間リレーションシップのコンセプト] で、[K 近傍] を選択します。

    このパラメーターのデフォルトは、固定距離に基づいて各ビンの近傍を定義する方法です。 ただし、国勢調査地区の形状とサイズは不均一であるため、代わりに [K 近傍] メソッドを使用し、各近傍が設定された数 (k) の近傍を含むようにします。

    今回の分析では、各ビンの空間近傍を、地区自体とその地区に空間的に最も近い 8 つの地区として定義します。

  4. [空間近傍数] で、デフォルト値の [8] をそのまま使用します。

    近傍では、時間ステップを通じてデータを比較することもできます。 今回の分析では、各ビンの時間近傍を、時間ステップ自体とその 1 つ前の時間ステップを加えた合計 8 週間として定義します。

  5. [近傍時間のステップ] に「4」と入力します。
  6. [グローバル ウィンドウの定義] で、[近傍時間のステップ] を選択します。

    分析では、各時間ステップの各地区に対して、前の 4 つの時間ステップの地区を含む 8 つの最近接地区で構成される近傍が作成されます。 その後、各近傍における身体検査の平均件数が、各近傍の時間ステップにおけるニューオーリンズ全体の身体検査の平均件数と比較されます。

    時空間ホット スポット分析ツールのパラメーター

    注意:

    これらのパラメーターは出発点に過ぎません。 各データセットおよび分析の質問に最適なパラメーターの組み合わせを決定するには実験が必要であり、実施をお勧めします。

  7. [実行] をクリックします。

    新しいレイヤーがマップ上に表示されます。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで、[Frisks_HotSpot] を右クリックして [レイヤーにズーム] をクリックします。

    マップ上の時空間ホット スポット分析結果

  9. [コンテンツ] ウィンドウで、凡例を確認してマップのシンボルを把握します。

    ホット スポット シンボルとコールド スポット シンボルを説明する凡例

    赤色の地域はホット スポット、つまり市の平均よりも身体検査の件数が有意に多い地域です。 青色の地域はコールド スポット、つまり身体検査が有意に少ない地域です。 シンボルの異なるパターンは、その地区の身体検査の件数の経時的な変化に関連しています。

    注意:

    シンボル クラスの詳細については、「時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis) の詳細」をご参照ください。

    ニューオーリンズの中心部周辺に、身体検査インシデントの統計的に有意なホット スポットが存在する地域があります。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、[Neighborhoods] レイヤーを最上位にドラッグします。
  11. [ホット スポット] ブックマークにズームします。

    マップで、[時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールによって、身体検査の統計的に有意な時空間ホット スポットおよびコールド スポットが検出された近傍が拡大表示されます。

    このマップは、2011 年から 2018 年にかけて、ニューオーリンズで身体検査の件数が多い場所と少ない場所の統計的に有意なクラスタリングが発生した場所を示しています。 フレンチ クォーターと中心業務地区の近傍では、身体検査の件数のホット スポットが増大しています。 隣接する近傍は散発性のあるホット スポットです。

    マップ上の身体検査のホット スポット

    • 増大しているホット スポットは、最終の時間ステップを含め、時間ステップ間隔の 90% で統計的に有意なホット スポットであり続けている場所です。 さらに、各時間ステップにおける高いカウント値のクラスタリングの強度が全体的に増加し続け、その増加が統計的有意性を持っています。
    • 散発性のあるホット スポットは、断続的にホット スポットである場所です。 時間ステップ間隔の 90% 未満で統計的に有意なホット スポットが存在し、どの時間ステップ間隔においても統計的に有意なコールド スポットが存在しません。

    以前に、ニューオーリンズで身体検査が増加または減少しているエリアを特定しました。 この新しいマップは、市内の他の地域と比較して、身体検査の件数が有意に多い場所または少ない場所を示しており、身体検査パターンの経時的な変化に関する情報を提供します。 以前の分析で身体検査の増加傾向を示していた Treme-Lafitte 地区も、身体検査が統計的に有意なホット スポットであることがわかります。

身体検査率のホット スポット分析

実施した時空間ホット スポット分析では、ニューオーリンズの中心街が身体検査件数のホット スポットであることを示しています。 ただし、多くの職務質問と身体検査が、密集した人通りの多い中心街で発生していることは驚くべきことではありません。 次に、身体検査の件数ではなく割合のホット スポットを分析することで、警察による職務質問が身体検査に発展しやすい地域を見つけることができます。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、次のレイヤーをオフにして折りたたみます。
    • Frisks_HotSpot
    • Frisk_Trends
    • Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)
    • Frisk Locations (2011-2018)
  2. [All Stop Locations (2011-2018)] レイヤーをオンにして展開します。

    コンテンツ ウィンドウ内の折りたたまれたレイヤー

    以前、身体検査の場所を分析しました。 次に、身体検査を警察によるすべての職務質問と比較して解析します。

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールドのエンコード (Encode Field)] ツールを検索して開きます。

    このツールは、カテゴリ値を数値フィールドにエンコードします。 frisk_performed フィールド (値は TRUE および FALSE) を数値フィールド (値は 0 および 1) に変換します。 この方法でデータをエンコードすると、[時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールで使用できるようになります。

  4. [入力テーブル] で、[All Stop Locations (2011-2018)] を選択します。 [エンコード対象フィールド] で、[frisk_performed] を選択します。
  5. [エンコード手法] で、[One-hot] を選択します。

    この方法により、身体検査が実行された職務質問には 1、身体検査が実行されなかった職務質問には 0 の値が格納されます。

    フィールドのエンコード ツール

  6. [実行] をクリックします。

    マップ上に変化が見えません。 [All Stop Locations (2011-2018)] レイヤーに 2 つの新しいフィールドが追加されました。 これらのフィールドを使用して、身体検査の件数ではなく割合をモデル化した時空間キューブを作成できます。

  7. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ポイントの集約による時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube By Aggregating Points)] ツールを検索して開きます。
  8. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力フィーチャ] で、[All Stop Locations (2011-2018)] を選択します。
    • [出力時空間キューブ] に「FriskRates_Tracts_4Weeks」と入力します。
    • [時間フィールド][date] を選択します。
    • [テンプレート キューブ] パラメーターを空白のままにします。
    • [時間ステップの間隔] で「4」と入力し、[週] を選択します。
    • [時間ステップの配列] で、[終了時間] が選択します。
    • [集約形状タイプ] で、[定義済みの位置] を選択します。
    • [定義済みのポリゴン位置] で、[Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] を選択します。
    • [ロケーション ID] で、[Tract Numeric ID] を選択します。

    ポイントの集約による時空間キューブの作成ツールのパラメーター

    [入力フィーチャ] および [出力] 名を除き、これらのパラメーターは、前回の時空間キューブの作成で使用したものと同じです。

  9. [サマリー フィールド] の下で、次のパラメーターの値を設定します。
    • [フィールド] で、[ONEHOT_frisk_performed_TRUE] を選択します。
    • [統計] で、[平均] を選択します。
    • [空のビンの補完] で、[ゼロ] を選択します。

    集計フィールド パラメーター

    これらのパラメーターは、身体検査の件数ではなく、時空間キューブ内の各ビンに対する身体検査の平均の割合を計算します。

  10. [実行] をクリックします。

    時空間キューブは作成されますが、マップ上には表示されません。 次に、[時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールを使用して、時空間キューブを視覚化します。

  11. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールを検索して開きます。 次のパラメーターを入力します。
    • [入力時空間キューブ] で、[参照] ボタンをクリックします。 [FriskRates_Tracts_4Weeks.nc] を検索して選択します。 [OK] をクリックします。
    • [分析変数] で、[ONEHOT_FRISK_PERFORMED_TRUE_MEAN_ZEROS] を選択します。
    • [出力フィーチャ] に「FriskRates_HotSpot」と入力します。
    • [空間リレーションシップのコンセプト] で、[K 近傍] を選択します。
    • [空間近傍数] で、デフォルト値の [8] をそのまま使用します。
    • [近傍時間のステップ] に「4」と入力します。
    • [グローバル ウィンドウの定義] で、[キューブ全体] を選択します。

    時空間ホット スポット分析ツールのパラメーター

    これらのパラメーターは、前回 [時空間ホット スポット分析 (Emerging Hot Spot Analysis)] ツールを実行した際に設定したものとほぼ同じです。 今回、[グローバル ウィンドウの定義] パラメーターで (近傍時間のステップではなく) [キューブ全体] を選択したのは、身体検査の件数ではなく割合を分析することで、人口変化の影響を受けにくくするためです。 このツールは、データの全期間かつ都市全体で各地区を比較します。

  12. [実行] をクリックします。

    [FriskRates_HotSpot] レイヤーがマップに表示されます。

    このレイヤーは、身体検査に発展した歩行者の職務質問と車両の検問の割合、つまり、職務質問から身体検査に発展した割合が高い都市の地域を表しています。

  13. [コンテンツ] ウィンドウで、[Neighborhoods] レイヤーをリストの最上位にドラッグします。 [All Stop Locations (2011-2018)] レイヤーをオフにして折りたたみます。
  14. [Frisks_HotSpot] レイヤーをオンにします。 [FriskRates_HotSpot] レイヤーのオンオフを切り替えて、下のレイヤーと比較します。

    コンテンツ ウィンドウおよびマップ内の FriskRates_HotSpot レイヤー

    中心業務地区は、身体検査件数のホット スポットでしたが、身体検査率のホット スポットではありませんでした。 これは、中心業務地区では身体検査の件数が多かったものの、職務質問の件数に対する身体検査の件数は市内の他の地域に比べて有意に高いわけではないことを意味します。 一方、ガート タウンは身体検査件数のホット スポットではないものの、身体検査率のホット スポットでした。この場所では、身体検査件数は多くありませんが、職務質問件数に対する身体検査の割合が高くなっています。

    これらの結果を、各地区での主要な人種および民族と比較します。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[Frisks_HotSpot] レイヤーをオフにします。 [Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] レイヤーをオンにします。
  16. [FriskRates_HotSpot] レイヤーのオンオフを切り替えて、下のレイヤーと比較します。

    FriskRates_HotSpot レイヤーと Race/Ethnicity by Tract レイヤーの比較

    [Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] レイヤー内の黄色の地域は、黒人またはアフリカ系アメリカ人が多数を占める地区に対応しています。 これらの 2 つのレイヤーを視覚的に比較すると、黒人が多数を占める地区での職務質問は、身体検査に発展した割合が高いことがわかります。

  17. プロジェクトを保存します。

このモジュールでは、身体検査インシデントのデータから時空間キューブを作成しました。 時空間キューブを使用して、ニューオーリンズの身体検査件数の傾向と、統計的に有意なホット スポットおよびコールド スポットの分析を行いました。 その後、身体検査率を使用して 2 つ目の時空間キューブを作成し、2 回目の時空間ホット スポット分析を実施した後、この結果を使用してニューオーリンズでの職務質問時に身体検査に発展するパターンを解析しました。 中心業務地区やフレンチ クォーターなど、市内の人通りの多い地域に身体検査件数のホット スポットが存在することがわかりました。 また、中心街周辺の黒人が多数を占める地域に身体検査率のホット スポットが存在することもわかりました。


警察の職務質問における人種的不公平の解析

ナッシュビルではチャートを使用し、ニューオーリンズでは時空間ホット スポット分析を使用して、警察による職務質問と身体検査を調査してきました。 次に、テキサス州サン アントニオの各地区で実施された、歩行者の職務質問の人種別分布を調査します。 格差指数を作成し、職務質問を受けた特定の人種の割合が、その人種が住む地区の割合よりも高い地域を見つけます。

格差指数の解析では、ある地区で職務質問を受けた人々がその地区に住んでいることを前提としています。 この前提が常に当てはまるわけではありませんが、歩行者の職務質問の場合はその可能性が高いため (Hannon, 2019)、車両検問を分析から除外します。 さらに、Hannon (2019) は、この指標で明らかになった人種的格差は、非居住者を除外することで縮小されるものの、格差自体は維持されるとしています。 この指標は、ACLU (アメリカ自由人権協会) が全米の警察活動の格差を調査する際にもよく使用されています (ニューヨーク州ニューヨーク市ワシントン D.C.ペンシルベニア州フィラデルフィアなど)。 ある地区で非居住者に職務質問が行われた場合でも、コミュニティに影響を与えることに変わりはないため、この前提にかかわらず、格差指数は有用な指標となります。

各地区における人種別の職務質問率の計測

まず、各地区で黒人、白人、およびヒスパニック系に対して行われた職務質問の割合を計算します。 これらの値は、後で格差指数を計算する際に必要になります。 格差指数は人種および民族ごとに作成できますが、このチュートリアルでは黒人、白人、およびヒスパニック系の格差のみを計測します。

  1. 必要に応じて、ArcGIS Pro[Police Stops] プロジェクトを開きます。 リボンの下にある [San Antonio] マップ タブをクリックします。

    サン アントニオのマップ

    マップには、サン アントニオ市の境界と、多数を占める人種および民族別にシンボル化された国勢調査区が表示されています。 ナッシュビルやニューオーリンズとは異なり、サン アントニオではヒスパニック系やラテン系が多数を占める地区が大半で、マップ上では緑色で表されています。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Pedestrian Stops (2012-2018)] レイヤーをオンにします。

    マップ上にポイント データが表示され、主に都市の中心部に密集しています。 このレイヤーには、歩行者の職務質問のみが含まれています。 このデータは Stanford Open Policing Project から取得されました。

    マップ上のポイント

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[エリア内での集計 (Summarize Within) (解析ツール)] ツールを検索して開きます。

    このツールを使用して、各地区で警察が歩行者に職務質問した件数をカウントし、その結果を職務質問された人の人種および民族別にグループ化します。

  4. [入力ポリゴン] で、[Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] を選択します。

    このレイヤーは、ニューオーリンズで使用した [Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] レイヤーと同じ ACS データセットから取得されました。 ただし、サン アントニオでは地区の境界と都市の境界が一致しておらず、今回の解析では、地区の大部分が市内に含まれていることが重要です。 このため、市外の面積が 10% 以上の地区は削除されました。

  5. [入力集計フィーチャ][Pedestrian Stops (2012-2018)] を選択します。 [出力フィーチャクラス] に「RacialDisparityByTract」と入力します。
  6. [サマリー フィールド] セクションを空のままにします。 [グループ フィールド][subject_race] を選択します。

    さらにパラメーターが表示されます。

  7. [グループの割合の追加] チェックボックスをオンにします。 [出力グループ化テーブル] で、デフォルト名の「subject_race_Summary」をそのまま使用します。

    エリア内での集計ツールのパラメーター

  8. [実行] をクリックします。

    ツールの実行が完了するまで、数分の時間がかかることがあります。 完了すると、新しいフィーチャ レイヤー ([DisparityByTract]) がマップに追加されます。 このレイヤーは [Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] レイヤーと同じですが、各地区内の職務質問件数をカウントするフィールドが追加されています。 元のレイヤーは必要なくなったため、削除します。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで、[Race/Ethnicity by Tract (2015-2019)] を右クリックして [削除] をクリックします。

    このツールでは、新しいテーブル [subject_race_Summary] も作成されました。 このテーブルは、各地区の人種ごとの職務質問件数をカウントします。 このテーブルの人種情報をフィーチャ レイヤーに結合しますが、その前にテーブルをピボットする必要があります。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、[subject_race_Summary] テーブルを右クリックして [開く] をクリックします。

    属性テーブル

    新しいテーブルには、各地区における人種別の職務質問件数と割合が含まれています。 [Join ID] フィールドは地区を示しています。 各地区には、各人種に 1 行ずつ、複数の行が含まれています。 このテーブルを変更し、各地区で 1 行だけになるようにします。

    注意:

    [ピボット テーブル (Pivot Table)] ツールには、Advanced ライセンスが必要です。 Advanced ライセンスを保有していない場合は、ステップ 14 に進んで、[subject_race_Summary_Pivot] の代わりに [subject_race_Summary_ready] を使用します。

  11. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ピボット テーブル (Pivot Table)] ツールを検索して開きます。
  12. [ピボット テーブル (Pivot Table)] ツールで、次のパラメーターを入力します。
    • [入力テーブル][subject_race_Summary] を選択します。
    • [入力フィールド][Join_ID] を選択します。
    • [ピボット フィールド][subject_race] を選択します。
    • [値フィールド] で、[PercentCount] を選択します。
    • [出力テーブル] で、名前を「subject_race_Summary_Pivot」に変更します。

    ピボット テーブル パラメーター

  13. [実行] をクリックします。
  14. [subject_race_Summary] テーブルを閉じ、[subject_race_Summary_Pivot] テーブルを開きます。

    ピボットされたテーブル

    テーブルには 260 の行が含まれ、各地区に 1 行、各人種カテゴリに 1 つのフィールドがあります。 この値は、地区内でその人種に対して行われた職務質問の割合を表しています。 たとえば、[OBJECTID 1] を含む地区では、職務質問を受けた人の 28% がヒスパニック系でした。

集計値を空間レイヤーに結合

集計テーブルの [black][white]、および [hispanic] フィールドを [RacialDisparityByTract] レイヤーに結合し、これらの値をマップ上で視覚化できるようにします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Pedestrian Stops (2012-2028)] レイヤーをオフにします。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールドの結合 (Join Field)] ツールを検索して開きます。
  3. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力テーブル][RacialDisparityByTract] を選択します。
    • [入力結合フィールド][Join_ID] を選択します。
    • [結合テーブル][subject_race_Summary_Pivot] を選択します。
    • [結合テーブル フィールド][Join_ID] を選択します。
    • [転送フィールド] で、[black][hispanic]、および [white] を選択します。

    フィールドの結合ツールのパラメーター

    注意:

    このチュートリアルでは、3 つの人種グループのみを分析します。 人種的平等を分析する場合、一定の人口におけるすべての人種グループおよび民族グループのデータを検討することが最良です。 このチュートリアルで説明するワークフローを使用して、他の人種および民族グループの格差をご自身で分析してみることをお勧めします。

  4. [実行] をクリックします。

    [black][white]、および [hispanic] フィールドが [RacialDisparityByTract] レイヤーに追加されます。 これらのフィールド名を変更し、何を参照しているかをわかりやすくします。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで [RacialDisparityByTract] を右クリックし、[データ設計] をポイントして [フィールド] をクリックします。

    データ設計ショートカット メニューのフィールド オプション

    [フィールド] テーブルが表示されます。

  6. テーブルの下部へスクロールします。 [フィールド名] 列で、[black] を「PercentStopsBlack」、[hispanic] を「PercentStopsHispanic」、[white] を「PercentStopsWhite」に変更します。
  7. [エイリアス] 列で、[black] を「Percent of Stops Black」に変更します。 [hispanic] を「Percent of Stops Hispanic」に変更します。 [white] を「Percent of Stops White」に変更します。

    新しいフィールド名およびエイリアス

    一部のフィールドを非表示にします。 この操作により、後で対象フィールドを見つけて比較しやすくなります。

  8. [表示] 列のヘッダーにあるチェックボックスをオフにすると、すべての行がオフになります。

    表示列をオフ

  9. 次のフィールド エイリアスの [表示] チェックボックスをオンにします。
    • NAME
    • Total Population
    • Percent of Population that is White alone, Non-Hispanic (非ヒスパニック系白人の人口の割合)
    • Percent of Population that is Black or African American alone, Non-Hispanic (非ヒスパニック系黒人またはアフリカ系アメリカ人の人口の割合)
    • Percent of Population that is Hispanic or Latino (ヒスパニック系またはラテン系の人口の割合)
    • ポイント数
    • Percent of Stops Black (黒人の職務質問の割合)
    • Percent of Stops Hispanic (ヒスパニック系の職務質問の割合)
    • Percent of Stops White (白人の職務質問の割合)

    オンにされたフィールド

  10. リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。

    リボン上の保存ボタン

  11. フィールド ビューと [subject_race_Summary_pivot] テーブルを閉じます。
  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[RacialDisparityByTract] を右クリックして、[属性テーブル] をクリックします。

    属性テーブルが表示されます。

  13. テーブルの最後へスクロールします。

    結合された 3 つのフィールドに新しい名前が表示されています。 これらの新しいフィールドは、各地区で職務質問を受けた人が黒人、ヒスパニック系、および白人だった場合の職務質問の割合を示しています。 次に、これらのフィールドの 1 つをマップでシンボル表示します。

  14. 属性テーブルを閉じます。
  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[RacialDisparityByTract] レイヤーを右クリックして、[シンボル] をクリックします。

    [シンボル] ウィンドウが表示されます。

  16. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] で、[ストレッチ] を選択します。
  17. [フィールド][Percent of Stops Hispanic] を選択します。

    青の配色を含むマップ

    このマップは、都市の南半分でヒスパニック系の人々が職務質問を受けた割合が高いことを示しています。

  18. [クイック アクセス ツールバー][元に戻す] ボタンを 2 回、あるいはマップが再び緑色になるまでクリックします。 [シンボル] ウィンドウを閉じます。

    元に戻すボタン

    [RacialDisparityByTract] レイヤーが元のシンボル表示に戻ります。 市の南部にヒスパニック系の人々が多く住んでいることを示しているため、多くのヒスパニック系の人々が職務質問されることが想定されます。 次に、各地区の人口統計を考慮した格差指数の計算方法について説明します。

格差指数の計算

次に、2 つのフィールドを追加して、各地区の格差指数の値を計算します。 これらの値は、特定の人種が地域の人口に比べて不公平に職務質問されている地域を特定するのに役立ちます。

  1. [RacialDisparityByTract] レイヤーの属性テーブルを再度開きます。
  2. テーブルの上部にあるツールバーで、[計算] ボタンをクリックします。

    計算ボタン

    [フィールド演算] ウィンドウが開きます。

  3. [フィールド名 (既存または新規)] に「DisparityBlack」と入力し、Tab キーを押します。

    既存のフィールドを選択せず、新しいフィールドを作成しているため、新しいパラメーター [フィールド タイプ] が表示されます。

  4. [フィールド タイプ] で、[Float (32 ビット浮動小数点)] を選択します。 [式の種類] で、[Arcade] を選択します。
  5. [DisparityBlack =] に「$feature.PercentStopsBlack - $feature.B03002_calc_pctBlackE」と入力するか、コピーして貼り付けます。
    ヒント:

    [フィールド] リスト内のフィールド名をダブルクリックして、この式を作成することもできます。

    フィールド演算ツールのパラメーター

    この式は、[Percent of Black Stops] 値から [Percent of Population that is Black or African American] 値を減算します。

  6. [適用] をクリックします。

    属性テーブルの末尾に新しいフィールド [DisparityBlack] が表示されます。

  7. [フィールド演算 (Calculate Field)] ダイアログ ボックスで、以下のパラメーターを更新します。
    • [フィールド名] に「DisparityWhite」と入力し、Tab キーを押します。
    • [式] に「$feature.PercentStopsWhite - $feature.B03002_calc_pctNHWhiteE」と入力するか、コピーして貼り付けます。
  8. [適用] をクリックします。

    属性テーブルに新しいフィールド [DisparityWhite] が表示されます。

  9. [フィールド演算 (Calculate Field)] ダイアログ ボックスで、以下のパラメーターを更新します。
    • [フィールド名] に「DisparityHispanic」と入力し、Tab キーを押します。
    • [式] に「$feature.PercentStopsHispanic - $feature.B03002_calc_pctHispLatE」と入力するか、コピーして貼り付けます。
  10. [OK] をクリックします。
  11. [RacialDisparityByTract] 属性テーブルの末尾までスクロールします。

    3 つの新しいフィールドを使用できます。

    属性テーブル内の新しいフィールド

    これらのフィールドに格納されている値は、人口に占める黒人、白人、ヒスパニック系の割合と、警察による歩行者の職務質問の対象者が黒人、白人、ヒスパニック系だった割合の差を表しています。 これらの 3 つの格差指数では、ある地区に住んでいる人々と、その地域で警察に職務質問された人々の差を計測します。

  12. 属性テーブルを閉じます。

格差指数の視覚化

次に、黒人の格差指数をマップ上に視覚化し、空間パターンが存在するかどうかを確認します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[RacialDisparityByTract] を右クリックして、[シンボル] をクリックします。
  2. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] で、[ストレッチ] を選択します。 [フィールド][DisparityBlack] を選択します。
  3. [配色] メニューをクリックし、[名前の表示] および [すべて表示] チェックボックスをオンにします。 リストの半分以上をスクロールし、[紫緑 (連続)] 配色を選択します。

    紫緑 (連続) 配色、名前の表示およびすべて表示チェックボックス

  4. [オプション] ボタンをクリックして、[配色の反転] をクリックします。

    オプション メニューの配色の反転オプション

    これは分散配色で、中心となる中間色 (白) から 2 つの色 (緑と紫) が分散していることを意味します。 この配色タイプは、格差をマッピングするのに便利ですが、中心となる白色が格差値 0 に一致している場合に限られます。 格差が 0 とは、職務質問された黒人の割合が、その地区に住んでいる黒人の割合と同じであることを意味します。

    シンボルのヒストグラムの最小値は [-20] で、最大値は [31] です。 これらの数値の 0 からの距離を等しくして、格差値 0 を白色と一致させる必要があります。

  5. [シンボル] ウィンドウで、ヒストグラムの上にあるラベル [-20] をダブルクリックして、「-31」と入力します。 Enter キーを押します。

    シンボル ヒストグラムの上部のラベル

    これで、表示される色の範囲がデータの範囲を超えました。

  6. [-20] のハンドルをヒストグラムの上部にドラッグし、[-31] と表示されるようにします。

    シンボル ヒストグラムでハンドルを [-31] に移動

    これで、シンボルが均等に分布するようになりました。 紫色の地区で、黒人に対する職務質問が不均衡に高くなっており、職務質問された黒人の割合がその地区に住む黒人の割合よりも高いことを意味しています。 これは、市内の 260 地区のうち 208 地区 (80%) に当てはまります。 マップの大半が紫色になりました。 シンボル ヒストグラムを調整するまで、このパターンは顕著ではありませんでした。

    黒人に対する警察の職務質問の格差を示すマップ

    緑色の地区ではその逆で、職務質問を受けた黒人の割合がその地区に住む黒人の割合よりも低くなっています。 これは、市内の 50 地区 (19%) に当てはまります。

  7. マップ上で地区ポリゴンのいずれかをクリックして、ポップアップを表示します。 [Percent of Population that is Black or African American][Percent of Stops Black] および [DisparityBlack] の値を比較します。

    ポップアップ ウィンドウ内のフィールド

    この地区の例では、職務質問された人々の 13.2% が黒人でしたが、その地区に住む黒人の割合はわずか 3.9% でした。 黒人の格差指数 ([DisparityBlack] フィールド) は、この 2 つの値の差を表しています。

  8. ポップアップを閉じます。

3 つの人種カテゴリ間の格差の比較

[RacialDisparityByTract] レイヤーのコピーを 2 つ作成し、白人、ヒスパニック系、黒人の格差を視覚化します。 3 つの人種カテゴリ間の人種的格差を視覚的に比較できるよう、3 つのレイヤーに一貫したシンボル プロパティを設定します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[RacialDisparityByTract] を右クリックして、[コピー] をクリックします。 [San Antonio] マップを右クリックし、[貼り付け] をクリックします。 [San Antonio] を再度右クリックし、[貼り付け] を再度クリックします。

    マップのコンテンツ メニューの [貼り付け]

    これで、[コンテンツ] ウィンドウに 3 つの同じ [RacialDisparityByTract] レイヤーができました。

  2. レイヤーの名前を「Disparity Black」、「Disparity White」、および「Disparity Hispanic」に変更します。
  3. [コンテンツ] ウィンドウのレイヤーを並べ替え、[San Antonio] ライン レイヤーを一番上に配置し、その直下に 3 つの [Disparity] レイヤーを配置します。

    3 つの [Disparity] レイヤーの順序は問いません。

    コンテンツ ウィンドウ内の凡例

  4. [Disparity White] レイヤーの [シンボル] ウィンドウを開きます。 [フィールド][DisparityWhite] に変更します。

    シンボル ウィンドウで DisparityWhite に設定されたフィールド

  5. [Disparity Hispanic] レイヤーの [シンボル] ウィンドウを開きます。 [フィールド][DisparityHispanic] に変更します。
  6. [コンテンツ] ウィンドウで、3 つの [Disparity] レイヤーのデータ範囲を比較します。

    値の範囲が異なる凡例

    現在、あるレイヤーの濃い紫色の格差値は 13 を示していますが、別のレイヤーでの格差値はそれよりはるかに高い 63 を示しています。 視覚的に公平な比較を行うには、すべてのレイヤーで一貫したシンボル範囲を使用します。 この操作により、濃い紫色や濃い緑色に、すべてのマップで同じ意味を持たせることができます。

  7. [Disparity Black] レイヤーの [シンボル] ウィンドウを開きます。
  8. ヒストグラムの最小および最大ラベルをそれぞれ「-64」と「64」に編集します。 ヒストグラムのハンドルをそれぞれ「-64」と「64」にドラッグします。

    範囲が 64 〜 -64 のシンボル ヒストグラム

    ヒント:

    シンボル ヒストグラムの値は互いに交わることができないため、特定の順序で編集する必要があります。

  9. [Disparity White] および [Disparity Hispanic] レイヤーのヒストグラムを編集し、これらの範囲も [-64][64] になるようにします。

    値の範囲が一致している凡例

    これでシンボルが一致したため、3 つの [Disparity] レイヤーを視覚的に比較することができます。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、Alt キーを押し、[Disparity Black] レイヤーのチェックボックスをクリックします。

    マップから [Disparity Black] 以外のすべてのレイヤーが非表示になります。

  11. Alt キーを押しながら、[Disparity White] および [Disparity Hispanic] レイヤーのチェックボックスをオンにして、それぞれのレイヤーを順番に表示します。

    黒人、白人、ヒスパニック系の格差を示すマップの比較
    図は、左から順番に黒人、白人、ヒスパニック系の格差指数を示しており、紫色は格差が大きい地域、緑色は格差が小さい地域、白色は格差が存在しない地域を示しています。

    前に説明したように、[Disparity Black] マップ内の大半の地区が紫色になっています。 値の範囲が大きいため、色は薄くなっています。

    [Disparity White] マップでは、ほぼすべての地区が紫色になっています。 このマップは、市内の大半の地域で、警察による歩行者の職務質問件数が白人に対して不均衡に多くなっていたことを示しています。 前のマップよりも紫色も濃くなっており、格差の大きさが増していることを意味しています。

    [Disparity Hispanic] マップでは、ほぼすべての地区が緑色になっており、警察による歩行者の職務質問件数がヒスパニック系に対して不均衡に少なくなっていたことを示しています。

  12. マップ上で、市の南部にある最も濃い緑色の区画をクリックします。

    市の南部にある濃い緑色の地区

  13. 地区のポップアップで、白人とヒスパニック系の人口に関連する値を比較します。

    ポップアップ フィールド

    この地区では、白人が人口の 8.4%、ヒスパニック系またはラテン系が人口の 91.6% を占めています。 ただし、職務質問の 72.2% が白人で、ヒスパニック系は 27.8% にとどまっています。 この地区で職務質問された人々がすべて住民だったと仮定すると、警察は白人をその人口の約 8 倍も職務質問していたことになります。 紫色と緑色のマップは、このパターンが都市全体で繰り返されていることを示しています。つまり、警察による歩行者の職務質問件数は、ヒスパニック系またはラテン系に対して不均衡に少なく、白人に対して不均衡に多くなっています。 このパターンは異常だと思われます。

    このパターンについて結論を出すには、まだ情報が十分ではありません。 ただし、1 つの解釈として、多くのヒスパニック系が白人または他の人種カテゴリに分類されている可能性が考えられます。

    [DisparityHispanic] フィールドは、2 つの異なる方法で収集されたデータを使用して計算されました。 人口データに関して、米国の国勢調査では、まず回答者にヒスパニック系、ラテン系、またはスペイン系であるかどうかを質問し、その後、別の質問で人種について質問していました。 警察のデータの収集方法は不明ですが、その人種カテゴリから判断すると、質問は 1 つのみだったと考えられます。 また、報告書に記録された人種を警察官が特定したのか、職務質問された人が申告したのかも不明です。 サン アントニオでは、国勢調査でヒスパニック系としてカウントされた人々の多くが、警察の職務質問データでは白人としてカウントされていた可能性があります。 このようにデータに一貫性がなく、情報も不足しているため、結果に信頼性がありません。

    注意:

    人種および民族、これらの交差性、およびこれらの情報からデータが生成される方法は、複雑で常に進化し続けているトピックです。 人種および民族データを使用して公平な解析を実施しようとするアナリストは、データが収集された方法を理解し、結果が正しく解釈されているかどうかを明確にする必要があります。 このテーマの詳細については、次の記事をご参照ください。

  14. ポップアップを閉じて、プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、サン アントニオの各地区における警察の職務質問の人種的格差を計測しました。 大半の地区で、黒人に対する職務質問の割合が、その地区に住む黒人の割合よりも高いことがわかりました。 ただし、白人およびヒスパニック系の格差については、警察のデータと国勢調査で得られた人口データで人種の収集方法が異なる可能性があるため、信頼できる結論を出すことができませんでした。


職務質問と犯罪のコロケーションの計測

治安維持の観点から、犯罪の多い地域で犯罪を防ぎ、潜在的な犯罪者を抑止するためのプロアクティブな警察活動として、歩行者に職務質問することが正当化されています。

暴力行為や重大な銃犯罪が発生している場所で、再犯リスクの高い犯罪者に的を絞った形で行われる SQF (stop-question-frisk、制止、職務質問、および身体検査) の評価では、短期的な犯罪抑制効果が常に認められています。 - "A Number of Proactive Policing Practices Are Successful at Reducing Crime; Insufficient Evidence on Role of Racial Bias," The National Academies of Sciences, Engineering, Medicine, 2017。

ただし、広範な調査 (Carvalho, Mizael, and Sampaio 2021) では、警察による職務質問が依然として黒人およびコミュニティを過度に標的にしていることが明らかになっています。

このモジュールでは、ニューヨーク市のデータとコロケーション分析を使用して、暴力犯罪の多い地域で職務質問を行う警察の正当性を検証します。 その後、暴力犯罪とほとんど関係ない場所で職務質問が発生している地区を特定し、警察による職務質問の人種的格差を調査します。

ニューヨーク市の格差指数の調査

まず、すでに計算されているニューヨーク市の格差指数を調査します。 コロケーション分析を実施する前にこの格差指数を使用して、ニューヨーク市での職務質問の対象者に関する背景情報を確認します。 その後、コロケーション分析の結果と格差指数を比較します。

  1. 必要に応じて、ArcGIS Pro[Police Stops] プロジェクトを開きます。 リボンの下にある [New York City] マップ タブをクリックします。

    白人に対する警察の職務質問の格差を示すマップ

    このマップは、非ヒスパニック系黒人の格差指数を示しています。 これは、前のモジュールで説明したのと同じ方法で作成されています。

    注意:

    マップに格差指数レイヤーが表示されない場合は、[コンテンツ] ウィンドウで [New York City] レイヤーをコンテンツ リストの下部にドラッグしてください。

    コンテンツ ウィンドウで並べ替えられたレイヤー

    大半の地区が紫色で、非ヒスパニック系黒人の格差が大きいことを意味しています。 これは、職務質問された地区に住んでいる非ヒスパニック系黒人の割合から想定される人数以上の非ヒスパニック系黒人が職務質問されていることを意味しています。 色の範囲は -100 〜 100 であるため、濃い紫色の 1 つ以上の地区で、職務質問された人数の 100% が黒人および非ヒスパニック系で、その地区の黒人および非ヒスパニック系の住民は 0% でした。

    一部の地区は表示されていません。 使用したデータセットによると、これらは住民および職務質問対象者に非ヒスパニック系黒人が存在しなかった地区です。

  2. [Racial Disparity by Tract] レイヤーの [シンボル] ウィンドウを開きます。
  3. [シンボル] ウィンドウで、[フィールド][Disparity White Not Hispanic] に変更します。

    白人に対する警察の職務質問の格差を示すマップ

    このマップで、大半の地区は緑色であり、その地区に住んでいる非ヒスパニック系白人の割合よりも、職務質問された非ヒスパニック系白人の数のほうが少ないことを意味しています。

    注意:

    3 つの他の格差指標 ([Disparity API] (アジアおよび太平洋諸島の出身者)、[Disparity Black Hispanic][Disparity White Hispanic]) がレイヤーのフィールドとして含まれ、調査することができます。 フィールド間を公平に比較するには、シンボル ヒストグラムで一貫した値の範囲 (-100 ~ 100) を使用してください。

    次に、これらの格差指標の作成に使用された警察の職務質問データを調べてみます。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで、[Racial Disparity by Tract] レイヤーをオフにし、[Pedestrian Stops (2017-2020)] をオンにします。

    このレイヤーは、2017 年 1 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの警察による歩行者の職務質問を表しています。 このレイヤーは、NYPD (ニューヨーク市警察) が NYC OpenData 経由で提供する「The Stop, Question and Frisk Data」から取得されています。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Pedestrian Stops (2017-2020)] を右クリックし、[データ エンジニアリング] をクリックします。

    データ エンジニアリング ビューが表示されます。

  6. フィールド ウィンドウの上にある検索バーで、「race」と入力します。 フィールド パネルで、[SUSPECT_RACE_DESCRIPTION] を右クリックし、[統計情報への追加と計算] をクリックします。

    統計情報への追加および計算

    テーブルの行が統計情報パネルに表示されます。 [個別値の数] 列は、このデータセットに 11 種類の人種カテゴリが存在することを示しています。 [モード] 列は、最も一般的な人種の値が [BLACK] であることを示しています。

  7. [チャートのプレビュー] セルをポイントします。

    チャートのプレビュー セルのポップアップ

    ポップアップ ウィンドウが開き、このフィールドの上位 10 カテゴリの内訳が表示されます。 ニューヨーク市の警察による職務質問データには、サン アントニオのデータとは異なる人種および民族 ([BLACK][BLACK HISPANIC] のカテゴリが分かれている) がエンコードされています。

    格差指数の計算に使用されている国勢調査の人口統計データも同様にエンコードされています。 サン アントニオでは、警察による職務質問データと人口統計データの収集方法が異なっていたため、人種的格差を適切に比較できませんでした。 ニューヨーク市では、適切に比較できます。

    注意:

    格差指数の計算に使用されている人口統計データは、[情報付加 (Enrich)] ジオプロセシング ツールで、[2015-2019 Race and Hispanic Origin (ACS)] カテゴリの変数を使用して追加されました。 ArcGIS Pro でレイヤーに情報を付加する方法については、「小売書店の用地の比較」チュートリアルをお試しください。

  8. データ エンジニアリング ビューを閉じます。

職務質問と犯罪のコロケーション分析の実施

コロケーション分析を使用して、2017 年から 2020 年までのニューヨーク市の歩行者の職務質問と暴力犯罪との位置相関が高いか (近い)、低い (遠い) かを計測します。 コロケーションを空間と時間の両方で計測します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Pedestrian Stops (2017-2020)] をオフにして、[Violent Crime (2017-2020)] レイヤーをオンにします。

    紫色のポイントは、同じ期間に報告された第 1 種暴力犯罪を表しています。 このレイヤーは、NYC OpenData の「NYPD Complaint Data Historic」データセットから取得されています。 第 1 種暴力犯罪は、UCR (Uniform Crime Reporting) プログラムで、殺人罪、強姦、強盗、および加重暴行として定義されています。

    すべてのデータにはバイアスが含まれています。 使用するデータを批判的に検討することで、分析でのバイアスの影響を抑えることができます。 犯罪データでは特にバイアスが発生する可能性があり、その原因には過小報告 (被害者が恐怖を感じて犯罪を報告しない場合など) や警察活動のパターンおよび業務の違い (取り締まりが厳しい地域でより多くの犯罪が報告される場合など) が挙げられます。 今回の分析では、ニューヨーク市のすべての犯罪ではなく、第 1 種暴力犯罪の場所のみを評価します。 これらの犯罪タイプを選択した理由は 2 つあります。1 つ目は、最も重大で常に報告される可能性が高いためです。 2 つ目は、警察による歩行者の職務質問活動の正当性は、特に暴力犯罪の発生率が高い地域を対象にすることにあるためです。

    警察による職務質問データと暴力犯罪データの位置相関が高い場所と低い場所を計測します。

  2. [ジオプロセシング] ウィンドウを開きます。 [コロケーション分析] ツールを検索して開きます。

    コロケーション分析は、警察による職務質問フィーチャごとにその近傍内の犯罪フィーチャを評価します。 職務質問の近隣でより多くの犯罪が発生している場合、正確には、職務質問の近傍での犯罪率が地域全体の犯罪率よりも高い場合、職務質問と犯罪の位置相関が高いと見なされます。 職務質問の近隣での犯罪が少ない場合、職務質問と犯罪の位置相関は低いと見なされます。

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
    • [入力タイプ] で、[カテゴリのないデータセット] を選択します。
    • [入力対象フィーチャ] で、[Pedestrian Stops (2017-2020)] を選択します。
    • [対象時間フィールド] で、[STOP_FRISK_DATE_Converted] を選択します。
    • [入力隣接フィーチャ] で、[Violent Crime (2017-2020)] を選択します。
    • [隣接フィーチャの時間フィールド] で、[CMPLNT_FR_DT] を選択します。

    他の日付フィールド ([CMPLNT_TO_DT]) に NULL 値が含まれているため、[CMPLNT_FR_DT] (訴状の開始日) フィールドを選択しました。

    コロケーション分析ツールのプレビュー

    このツールは空間と時間の両方で近接する犯罪フィーチャを検索するため、時間フィールドを選択するように求められました。 各職務質問の空間近傍を 0.5 マイル、時間近傍を職務質問が発生するまでの 1 年間と定義します。

  4. 次のパラメーターを設定します。
    • [距離バンド] で「0.5」と入力して [US Survey マイル] を選択します。
    • [時系列リレーションシップ タイプ] で、[前] を選択します。
    • [時間ステップの間隔] で「1」と入力し、[年] を選択します。
    • [順列の数] で、デフォルト値の [99] をそのまま使用します。
    • [出力フィーチャ] に「Stops_Crime_Colocation」と入力します。

    コロケーション分析ツールのプレビュー

    この近傍の定義は、今後の職務質問に影響を与えるには犯罪がどれくらい前に発生し、どれくらいの距離が離れているかという仮定に基づいて選択されています。 これらのパラメーター値は出発点に過ぎず、後からさまざまな値を設定して分析を繰り返すことができます。

  5. [実行] をクリックします。

    新しいレイヤー [Stops_Crime_Colocation][コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  6. [Violent Crime (2017-2020)] ポイント レイヤーをオフにします。
  7. [コンテンツ] ウィンドウで [Stops_Crime_Colocation] レイヤーの凡例を確認します。

    Stops_Crime_Colocation レイヤーの凡例

    職務質問はそれぞれ、犯罪との位置相関が高いか低いか、このリレーションシップが統計的に有意であるかどうかによって分類されます。 [未定義] カテゴリは、その職務質問の近傍に犯罪フィーチャが存在しなかったため、コロケーションを評価できなかったことを意味します。

    有意なコロケーションが存在するだけで、職務質問や犯罪の件数が多いとは判断できません。 職務質問の近傍における犯罪率が、犯罪および職務質問間の全体的な割合よりも高いことを意味するだけです。

    信頼性の低い結果も存在します。 たとえば、2017 年 1 月 1 日以降の職務質問は、それ以前に犯罪が存在していないため位置相関が低いように見えますが、2016 年の犯罪データが存在しないため、位置相関が低いか高いかを判断できません。 信頼できる結果のみにデータを絞るため、2017 年以降の職務質問をすべて削除します。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで [Stops_Crime_Colocation] を右クリックして、[属性テーブル] をクリックします。

    属性テーブルには、日付フィールドが含まれていません。これは、このフィールドが [コロケーション分析] ツールから出力されたものではないためです。 結合を使用して元のデータセットから日付フィールドを再度追加し、2017 年以降の職務質問を削除します。

  9. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールドの結合 (Join Field)] ツールを検索して開きます。
  10. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力テーブル] で、[Stops_Crime_Colocation] を選択します。
    • [入力結合フィールド] で、[Source ID] を選択します。
    • [結合先のテーブル] で、[Pedestrian Stops (2017-2020)] を選択します。
    • [結合テーブル フィールド] で、[OBJECTID] を選択します。
    • [転送フィールド] で、[STOP_FRISK_DATE_Converted] を選択します。

    フィールドの結合ツールのパラメーター

    注意:

    いずれかの属性フィールドの入力でフィールド エイリアスが表示されていない場合は、[フィールド リストの設定] ボタンをクリックし、[エイリアスを表示] を選択します。

  11. [実行] をクリックします。

    ツールが完了すると、新しいフィールド [STOP_FRISK_DATE_Converted] が属性テーブルに表示されます。 これで、日付に基づいてデータをフィルター処理できるようになりました。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで [Stops_Crime_Colocation] を右クリックして、[プロパティ] をクリックします。
  13. [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[フィルター設定] タブをクリックします。 [新しい定義クエリ] をクリックします。
  14. メニューを使用して、[Where STOP_FRISK_DATE_Converted is on or after 1/1/2018] という式を作成します。

    フィルター設定の句

  15. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    マップが再描画され、信頼できるコロケーション結果のみが表示されます。 コロケーション分析ツールを実行する前ではなく、実行した後に 2017 年以降の職務質問をフィルター処理しました。これは、ツールでグローバルな割合とローカルな割合が比較されるためです。 グローバルな割合が影響を受けないようにすることが重要です。

職務質問と犯罪の位置相関が低い地域の特定

マップには個々の職務質問のコロケーション結果が表示され、そのシンボルがマップ上で互いにオーバーラップしています。 次に、位置相関が低い職務質問に焦点を当て、警察による歩行者の職務質問の近隣で暴力犯罪が少ない地域を特定します。 その結果を国勢調査地区ポリゴンに集約することで、マップ上のパターンを適切に視覚化できます。

  1. 必要に応じて、[Stops_Crime_Colocation] レイヤーの属性テーブルを開きます。

    テーブル内の [LCLQ] (ローカル コロケーション比率) [タイプ] フィールドは、職務質問との位置相関が高いか低いかを識別します。 新しいフィールドを作成して、位置相関が低い有意な職務質問のみを識別します。

  2. テーブルの上部にあるツールバーで、[計算] ボタンをクリックします。 [フィールド演算] ウィンドウで、以下のパラメーターを設定します。
    • [フィールド名 (既存または新規)] に「IsolatedSignificant」と入力します。
    • [フィールド タイプ] で、[Short (16 ビット整数)] を選択します。
    • [式の種類] で、[Arcade] を選択します。
    • [式] に、次のテキストを入力するか、コピーして貼り付けます。

      if ($feature.LCLQTYPE == "Isolated - Significant") {return 1}

      else {return 0}

    フィールド演算ツールのパラメーター

    この式は、有意に位置相関が低いすべての職務質問に値 1 を割り当て、それ以外のすべての職務質問に 0 を割り当てます。

  3. [OK] をクリックします。

    新しいフィールドが属性テーブルに追加され、有意に位置相関が低い職務質問がすべて特定されます。

  4. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[エリア内での集計 (Summarize Within) (解析ツール)] ツールを検索して開きます。

    [エリア内での集計 (Summarize Within)] ツールを使用して、各国勢調査地区に存在する、有意に位置相関が低い職務質問の件数を集計します。

  5. [エリア内での集計 (Summarize Within)] ツール ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
    • [入力ポリゴン] で、[Racial Disparity by Tract] を選択します。
    • [入力集計フィーチャ] で、[Stops_Crime_Colocation] を選択します。
    • [出力フィーチャクラス] に「IsolatedStopsByTract」と入力します。
    • [集計フィールド] の下の [フィールド] で、[IsolatedSignificant] を選択します。 [統計情報][合計] を選択します。

    エリア内での集計ツールのパラメーター

  6. [実行] をクリックします。

    ツールが完了すると、マップ上に新しいレイヤーが表示されますが、コロケーション レイヤーのフィーチャがすべて表示されているため、見えない可能性があります。

  7. [コンテンツ] ウィンドウで、[Stops_Crime_Colocation] レイヤーをオフにし、その属性テーブルを閉じます。
  8. [IsolatedStopsByTract] レイヤーの属性テーブルを開きます。 テーブルの最後へスクロールします。

    [エリア内での集計 (Summarize Within)] ツールによって、[合計 isolatedsignificant] フィールドと [ポイント数] フィールドが作成されました。 これらのフィールドを使用して、犯罪との位置相関が低い各地区内の職務質問の割合を求めます。

    属性テーブル内の新しいフィールド

  9. 属性テーブル ツールバーで、[計算] をクリックします。 [フィールド演算] ウィンドウで、以下のパラメーターを設定します。
    • [フィールド名 (既存または新規)] に「PercentIsolatedStops」と入力します。
    • [フィールド タイプ] で、[Float (32 ビット浮動小数点)] を選択します。
    • [式の種類] で、[Arcade] を選択します。
    • [式] に「$feature.SUM_IsolatedSignificant / $feature.Point_Count * 100」を入力するか、コピーして貼り付けます。

    フィールド演算ツールのパラメーター

    この式は、各地区内で有意に位置相関が低い職務質問の割合を計算します。

  10. [OK] をクリックします。

    ツールが完了すると、一部のレコードで計算が失敗したことを通知する警告メッセージが表示されます。 このメッセージは、一部の地区に職務質問が存在しないために表示されました。

  11. [フィールド演算] ウィンドウを閉じます。 属性テーブルに新しいフィールドが追加されたことを確認し、テーブルを閉じます。
  12. [IsolatedStopsByTract] レイヤーの [シンボル] ウィンドウを開きます。 [フィールド][PercentIsolatedStops] に変更します。

    このフィールドの値の範囲は 0 〜 100% であるため、現在の分散配色は適切ではありません。 明るい色 (割合が低いことを表す) から暗い色 (割合が高いことを表す) までを含む線形な配色を選択します。

  13. [配色] メニューをクリックし、[すべて表示] をオフにします。 [青 (連続)] 配色を選択します。

    位置相関が低い職務質問の割合を示すマップ

    マップで、濃い青色の地区は、警察による職務質問の大半で空間的および時間的に暴力犯罪インシデントとの位置相関が低くなっています。 これらの地域では、暴力犯罪が発生している地域で職務質問が行われるという警察の正当性とは対照的な結果となっています。

職務質問と犯罪の位置相関が低い地域での格差の調査

これまで、ニューヨーク市の各国勢調査地区で位置相関が低い職務質問の割合をマッピングしてきました。 次に、位置相関が低い職務質問が多数を占める地区を選択し、その地区の格差指数の値を調査します。

  1. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[属性検索 (Select Layer By Attribute)] ツールを検索して開きます。
  2. [入力行][IsolatedStopsByTract] を選択します。 式で、[Where PercentIsolatedStops is greater than 50] というクエリを作成します。

    属性検索ツールの式の項目

  3. [実行] をクリックします。

    マップ上の濃い青色の地区が選択されます。 次に、この地区グループの統計情報を収集します。

  4. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[統計サマリー] ツールを検索して開きます。
  5. [入力テーブル][IsolatedStopsByTract] を選択します。 [出力テーブル] に「MostlyIsolatedStops_Summary」と入力します。

    ツールは選択したフィーチャのみを考慮するため、出力は職務質問の大半で犯罪との位置相関が低い地区のみを集計します。

  6. [統計フィールド] で、以下のフィールドを選択します。
    • Percent Population Black Not Hispanic (非ヒスパニック系黒人の人口の割合)
    • Percent Population White Not Hispanic (非ヒスパニック系白人の人口の割合)
    • Percent Stops Black Not Hispanic (非ヒスパニック系黒人の職務質問の割合)
    • Percent Stops White Not Hispanic (非ヒスパニック系白人の職務質問の割合)
    • Disparity Black Not Hispanic (非ヒスパニック系黒人の格差)
    • Disparity White Not Hispanic (非ヒスパニック系白人の格差)
    注意:

    いずれかの属性フィールドの入力でフィールド エイリアスが表示されていない場合は、[フィールド リストの設定] ボタンをクリックし、[エイリアスを表示] を選択します。

  7. すべてのフィールドで、[統計の種類][中央値] に変更します。

    中央値を選択するのは、中央値が平均値よりも外れ値の影響を受けにくい平均的な値であるためです。

    統計サマリー ツールのパラメーター

  8. [実行] をクリックします。
  9. [コンテンツ] ウィンドウの下部で、[MostlyIsolatedStops_Summary] テーブルを右クリックして [開く] をクリックします。

    集計テーブルには、選択した地区で指定したすべてのフィールドの中央値が表示されます。 非ヒスパニック系黒人の人口の割合の中央値が 4.61 であることがわかります。 次に、すべての地区に対して同じテーブルを作成します。

  10. マップ上の任意の場所を右クリックし、[選択解除] をクリックして選択を解除します。
  11. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[出力テーブル] を「AllStops_Summary」に変更します。

    出力テーブルを AllStops_Summary に設定した統計サマリー ツール

    [統計フィールド] の設定は変更しないでください。

  12. [実行] をクリックします。
  13. [AllStops_Summary] テーブルを開きます。 テーブルをドラッグしてドッキングし、他のテーブルの上に配置します。

    テーブル上のドッキング ターゲット

    次に、集計した統計情報を調査します。 これらの値は、その地域での暴力犯罪の存在では説明できない、警察による職務質問の人種的不平等に関する評価に役立ちます。

  14. [MEDIAN_Pct_Pop_BlackNotHispanic][MEDIAN_ Pct_Pop_WhiteNotHispanic] の両方のテーブルの値を比較します。

    人口の割合の中央値フィールド

    これらのフィールドは、黒人の人口の割合と白人の人口の割合を表しています。

    都市全体と比較して、警察による職務質問の大半で暴力犯罪との位置相関が低い地区 ([MostlyIsolatedStops_Summary] テーブル) の住民は黒人が少なく、白人が多くなっています。

  15. [MEDIAN_PercentStopsBlackNotHispanic] および [MEDIAN_PercentStopsWhiteNotHispanic] の値を比較します。

    職務質問の割合の中央値フィールド

    黒人および白人に対して行われた職務質問の割合は、職務質問の大半で暴力犯罪との位置相関が低い地区と都市全体でよく似ています。 ただし、位置相関が非常に低い地区に白人が多く住んでいることを思い出してください。このため、職務質問がその地区の住民に対して行われると仮定すると、白人が職務質問される割合が高くなることが想定されます。

  16. 最後に、[MEDIAN_DisparityBlackNotHispanic][MEDIAN_DisparityWhiteNotHispanic] の両方のテーブルの値を比較します。

    格差の中央値フィールド

    これらの数値は、最後のステップで確認したことを裏付けています。つまり、警察による職務質問の大半で暴力犯罪との位置相関が低い地区 (マップ上の最も濃い青色の地域) は、都市全体と比較して、黒人の格差指数が高く、白人の格差指数が低いことを示しています。

    濃い青色の地区では、都市全体と比較して、職務質問の近隣で過去に発生した犯罪件数が少なくなっていました。 犯罪が職務質問から離れた場所で発生していたか、犯罪件数に比べてその地域の職務質問の密度が高かったかのどちらかです。 黒人の格差指数は、濃い青色の地区でニューヨーク市全体よりも高くなっていました。 これは、職務質問が正当化されるような重大な犯罪が近隣で発生していないにもかかわらず職務質問が行われていた地域では、黒人が市内の他の場所よりも不公平に職務質問されていたことを意味します。

    この高い不公平指数に対する説明は、ハーバード大学の Henry Louis Gates Jr. 教授による有名な説と一致しています。「社会階級の名称やリソースにかかわらず、少数派の住民は白人が多数派の地域では脅迫的かつ「場違い」であると見なされ、警察による詳細な調査対象になります (Ogletree 2010)。 - "Neighborhood Residence and Assessments of Racial Profiling Using Census Data," Socius: Sociological Research for a Dynamic World, 2019。

  17. 両方のテーブルを閉じて、プロジェクトを保存します。
  18. ArcGIS Pro を閉じます。

このモジュールでは、コロケーション分析を使用して、ニューヨーク市の第 1 種暴力犯罪との位置相関が低い歩行者の職務質問を分析しました。 この情報を地区単位に集計し、職務質問の位置相関が有意に低い地域を特定しました。 職務質問と犯罪の相関関係が低い地区に住む白人の割合は多く、これらの地区で黒人に対する職務質問の格差がさらに大きいことがわかりました。

犯罪データの解析には、古くから GIS が使用されています。 今回は、法執行機関の人種的公平性の問題を解析するために使用しました。 Center for Policing Equity の Phillip Atiba Goff 博士が、この取り組みの重要性について説明しています。

警察活動の目的が正義であるならば、正義について語るだけでなく、その正当性を計測する必要があります。 このため、犯罪だけでなく、犯罪に対処するためのコストや、警察活動が公平な結果を生み出しているどうかを計測する必要があります。 私たちは、政府が何世代にもわたって放置し、投資を行わなかったことで荒廃したコミュニティに特に焦点を当て、車両検問や歩行者の職務質問を広範に実施することのコストを問う必要があります。 これらの地区の住民への影響を計測し、このような活動で実際に地域の治安が良くなったかどうかを判断する必要があります。 犯罪や治安の問題を解決しようとするあまり、さらなる被害を生んでいないかどうかを積極的に検討する必要があります。 - "Collecting, Analyzing, and Responding to Stop Data: A Guidebook for Law Enforcement Agencies, Government, and Communities," Center for Policing Equity and Policing Project at NYU School of Law, 2020。

このチュートリアルでは、複数の手法を使用して、警察の職務質問における人種的格差を調べました。

  • テネシー州ナッシュビルの警察による職務質問データを、チャートとデータ エンジニアリング ビューを使用して視覚化しました。
  • 時空間ホット スポット分析を使用して、ルイジアナ州ニューオーリンズで最も多くの身体検査が実施されている地区を把握しました。
  • テキサス州サン アントニオの各地区で、人種によって歩行者の職務質問が不公平に実施されている状況を調査しました。
  • ニューヨーク州ニューヨーク市でコロケーション分析を使用して、暴力犯罪が多い地域で歩行者に職務質問する警察の正当性を検証しました。

さまざまな都市を調査することで、その場所が重要であることがわかりました。 各都市、および都市内の各地区で、さまざまな結果とストーリーが存在していました。 データを理解することの重要性を学ぶとともに、データではパターンを明らかにできない場合もあることを認識しました。

この分析は、さまざまな方法で発展させることができます。 たとえば、次のようなことが考えられます。

  • 別の都市に対して分析を繰り返します。 他の場所での職務質問データは、ArcGIS HubStanford Open Policing ProjectPolice Data Initiative から確認できます。 Center For Policing Equity Stop Guidebook では、独自の職務質問データを収集するためのベスト プラクティスについて説明しています。
  • 解析の対象を特定の人口統計グループ (黒人およびヒスパニック系の若い男性など) に絞ります。
  • データや方法を変更して、結果に与える影響を調査します。

さらに、教育、健康、食料や住宅の不安など、社会の他の側面のデータを調べることで、警察活動における人種的格差が他の分野における人種的格差とどのようにオーバーラップしているかを調査できます。 GIS は、人種差別的な慣行の影響を調査するうえで必要な、全体論的なアプローチをサポートする重要な役割を果たしています。 Racial Equity GIS Hub には、これらの問題の検討に役立つデータやその他のリソースが含まれています。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。