はじめての ArcGIS Pro
プロジェクトの作成
ArcGIS Pro では、マップとデータは、プロジェクト内で編成されます。 マップを開始する前に、プロジェクトを作成します。 ArcGIS Pro がポータルでライセンス付与されている限り、ArcGIS Online アカウントまたは ArcGIS Enterprise アカウントを使用して、チュートリアルを完了することができます。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [新しいプロジェクト] の下の [マップ] をクリックします。
[新しいプロジェクト] ウィンドウが表示されます。 デフォルトでは、プロジェクトは、新しいフォルダーに作成されます。 既存のフォルダーに保存するには、[このプロジェクトのための新しいフォルダーを作成] チェックボックスをオフにし、フォルダーを参照します。
- [名前] で、既存のテキストを削除して「Singapore Tourism」と入力します。 [場所] は変更せず、[このプロジェクトのフォルダーを作成] がオンになっていることを確認します。
注意:
デフォルトの場所は、この画像例とは異なる場合があります。 通常、プロジェクトは、ArcGIS Pro のインストール時に作成された ArcGIS フォルダーに保存されます。
- [OK] をクリックします。
プロジェクトは、世界を表示するマップとともに作成されます。 ArcGIS Pro では、マップは、地理データのレイヤーで構成されています。 この時点で、レイヤーは、ベースマップのみで、国境や水域などの参照情報を提供します。
注意:
ArcGIS 組織の設定によっては、マップのデフォルト範囲やベースマップが異なる場合があるため、表示が画像例と異なることがあります。
マップの両側には、ウィンドウがあります。 デフォルトで、[コンテンツ] ウィンドウと [カタログ] ウィンドウが開いていますが、以前に ArcGIS Pro を使用したことがある場合は、他のウィンドウが開いている場合もあります。 [コンテンツ] ウィンドウには、マップ上のレイヤーがリストされ、[カタログ] ウィンドウには、プロジェクトに関連付けられたすべてのファイルがリストされます。
マップの上には、リボンがあります。 リボンには、複数のタブが表示され、各タブには、複数のボタンが用意されています。 これらのボタンを使用することで、マップ ナビゲーションに影響を与えたり、マップの外観を変更したり、多くの機能を備えたウィンドウを開いたりすることができます。
ヒント:
ウィンドウを並べ替えるには、タイトルをドラッグして、新しい場所にドッキングします。 ウィンドウの端をドラッグして、ウィンドウのサイズを変更することもできます。 デフォルトのウィンドウ配置に戻すには、[表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[ウィンドウのリセット] をクリックし、[マッピング用にウィンドウをリセット] を選択します。 このチュートリアルでは、ウィンドウとビューを自由に配置してかまいません。
シンガポールへの移動
今回の対象地域は、シンガポール共和国であるため、そこに移動します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。
- [照会] グループで、[場所検索] ボタンをクリックします。
[場所検索] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウを使用すると、国、都市、住所などの地理的位置を検索して、移動できます。
- [場所検索] ウィンドウの検索バーに「Singapore」と入力し、Enter キーを押します。
マップは自動的に、最初の結果であるシンガポールに移動します (検索結果の場所は、円でマップ上に表示されます)。
世界最小の国の 1 つであるシンガポールは、人口が 560 万人で、4 つの公用語が存在します。 近代的な都市の中には、数多くの歴史的および文化的なランドマーク、娯楽施設、および生態学的に重要な場所が存在します。 シンガポールは、世界で最も訪問客の多い都市の 1 つであり、観光が主要産業となっています。
- [場所検索] ウィンドウを閉じます。
- リボンの上にある [クイック アクセス ツールバー] で、[プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。
ヒント:
Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存することもできます。
データの追加
ベースマップには、シンガポールと、道路や湖などの基本的な地理情報が表示されます。 ただし、観光地や鉄道駅は表示されません。 観光客に役立つマップを作成するには、このデータをマップに追加します。
- リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンをクリックします。
[データの追加] ウィンドウが開きます。 プロジェクトのフォルダー ([プロジェクト])、ArcGIS アカウントの Web サイト ([ポータル])、コンピューター ([コンピューター]) などの複数のソースから、データを追加できます。
トライアル アカウントを含むほとんどの ArcGIS アカウントは、ポータルに ArcGIS Online Web サイトを使用します。 ArcGIS Online は、豊富な空間データをホストするオンライン GIS マッピング プラットフォームです。 このプラットフォームから、必要なデータを追加します。
- [データの追加] ウィンドウで、[ポータル] の下の [ArcGIS Online] をクリックします。
このオプションを使用すると、ArcGIS Online でホストされている、すべてのデータにアクセスできます。 使用するデータは、Learn ArcGIS の管理者アカウントが所有します。 データを見つけるには、名前と所有者でデータを検索します。
- 検索バーに「Singapore owner:Learn_ArcGIS」と入力し、Enter キーを押します。
検索結果として、[Singapore Tourist Attractions]、[Singapore Rail Lines]、[Singapore Rail Stations] の 3 つが返されます。
注意:
一部の ArcGIS アカウントは、ポータルに ArcGIS Enterprise Web サイトを使用しています。 アカウントで ArcGIS Enterprise を使用している場合、ArcGIS Online コンテンツを検索することはできません。 データを追加するには、ArcGIS Online の Singapore_Data_gdb アイテムに移動し、[ダウンロード] をクリックします。 コンピューターの任意の場所に、ダウンロード フォルダーを解凍します。 [データの追加] ウィンドウで、解凍したフォルダーの場所を参照します (フォルダーを表示するには、[データの追加] ウィンドウの [更新] ボタンをクリックする必要がある場合があります)。
- Ctrl キーを押しながら、[Singapore Tourist Attractions]、[Singapore Rail Lines]、[Singapore Rail Stations] レイヤーをクリックして、選択します。
- [OK] をクリックします。
3 つのデータ レイヤーが、マップに追加されます。
注意:
ArcGIS Online からデータを追加せずに、ArcGIS Enterprise を使用してデータをダウンロードした場合、レイヤーの表示は、画像例と異なる場合があります。
レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウにもリストされます。
緑色のポイントは観光名所、白色のラインは線路、黒色のポリゴンは駅を表します。 ポイント、ライン、またはポリゴンで構成されるレイヤーは、フィーチャ レイヤーと呼ばれます。
観光名所の大半は、島の中南部にグループ化されています。 このエリアは、シンガポールの中心街で、セントラル ビジネス ディストリクトとも呼ばれています。 旅行代理店は、パンフレットでこのエリアを中心に紹介したいため、このエリアを拡大表示します。
- マップで、シンガポールの中心街にポインターを合わせ、マウスのホイールを使用して、拡大表示します。 中心街エリアがマップの大部分に表示されるまで拡大します。
ヒント:
エリアを拡大表示する、もう 1 つの方法は、[マップ操作] ツールを選択して、Shift キーを押しながら、マップ上で拡大表示するボックスを描画することです。 あるいは、マップ上でマウスを右クリックしてドラッグすると、拡大または縮小できます。 希望のナビゲーション方法を使用してください。
マップがセントラル ビジネス ディストリクトにフォーカスしつつ、近くのボート キーに画面移動するようにします。
- 必要に応じて、ボート キーがマップの中央に配置されるまで、マップをドラッグして、画面移動します。
この範囲では、鉄道駅が詳細に表示されます。 モニターのサイズによっては、道路や建物に関する詳細情報が表示される場合があります。
このマップ範囲は、今後のプロジェクトで使用します。 必要に応じて、この範囲に簡単に戻れるほうが便利なため、ブックマークと呼ばれる、ナビゲーション ショートカットを作成します。
- リボン上の [マップ] タブの [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックしてから、[新しいブックマーク] を選択します。
- [ブックマークの作成] ウィンドウで、[名前] に「Central Business District」と入力します。
- [OK] をクリックします。
ブックマークが作成されます。 このブックマークは、チュートリアルの後半で使用します。
- プロジェクトを保存します。
マップのスタイル設定
マップを操作している際に、データ レイヤーの一部が見づらかったことにお気づきでしょう。 たとえば、線路は、白色で、マップ上の他の情報と混ざり合って表示されることがよくあります。
ストリート、水域、および建物に関する情報は、ベースマップから取得されます。 ベースマップは、データの文脈を説明する参照情報を提供します。 ArcGIS Pro には、複数のベースマップ レイヤーが用意されており、デフォルトは、[地形図 (World Topographic Map)] です (ArcGIS 組織の設定によっては、デフォルトのベースマップが異なる場合があります)。
データが強調されるようなベースマップに変更します。 ベースマップの色が濃いほど、白色の線路がはっきりと見えるようになります。
- [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックし、[キャンバス (ダーク グレー)] を選択します。
ベースマップが変更されます。
このベースマップを使用すると、線路をさらに目立たせることができます。 [地形図] ベースマップとは異なり、このベースマップには、2 つのレイヤーが含まれています。 これらのレイヤーの 1 つである [Dark Gray Reference] には、一部のエリアにラベルを付けるテキストが含まれています。 このテキストは、マップの目的に照らすと不要で、一部のフィーチャがはっきり表示されなくなる可能性があるため、オフにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Dark Gray Reference] チェックボックスをオフにします。
レイヤーがマップに表示されなくなります (参照情報を再表示するには、もう一度チェックボックスをクリックします)。
観光名所は、目立たない小さなポイントとして、マップに表示されます。 観光名所をマップの中心点として表示することを目的としているため、観光名所の外観を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tourist Attractions] レイヤー シンボルをクリックします。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。 シンボルは、レイヤーの表示設定を定義します。 デフォルト シンボルのギャラリーから選択するか、シンボルをカスタマイズできます。
- [シンボル - Tourist Attractions] ウィンドウの [ギャラリー] タブで、「しずく型ピン」を検索します。 結果のリストで、最も大きい [しずく型ピン 1 (40%)] シンボルをクリックします。
観光名所のシンボルが、選択したシンボルに変わります。 しずく型ピン シンボルは、観光名所が対象地域であるという考えを伝達するのに効果的です。 40% は、シンボルの透明度が 40% であることを示します。これは、シンボルでマップの一部がはっきり表示されない場合に役立ちます。
アウトラインを追加して、シンボルのサイズを大きくすることで、シンボルをさらに目立たせることができます。
- [プロパティ] をクリックします。
- [レイヤー] タブをクリックします。
- [アウトライン色] で、[白] を選択します。
ヒント:
色にポインターを合わせると、色の名前が表示されます。
- [アウトライン幅] を「0.7」pt に変更します。 [サイズ] を「22」pt に変更します。
- このウィンドウの下部にある [適用] をクリックします。
新しいシンボルが、レイヤーに適用されます。
これで、他のマップ フィーチャが見づらくなることもなく、観光名所がはっきりと見えるようになりました。
注意:
ArcGIS アカウントで ArcGIS Enterprise ポータルを使用し、レイヤー データをダウンロードした場合、線路と鉄道駅には、画像例の表示とは異なるシンボルが含まれている可能性があります。 線路シンボルを画像例と一致するように変更するには、シンボルをクリックして、[シンボル] ウィンドウを開きます。 [プロパティ] タブの [レイヤー] タブで、[色] を [白] に変更します。 鉄道駅のシンボルを変更するには、[シンボル] ウィンドウを開きます。 [プロパティ] タブの [シンボル] タブで、[色] を [グレー 80%]、[アウトライン色] を [黒]、[アウトライン幅] を [1.2] pt に変更します。
- [シンボル] ウィンドウを閉じて、プロジェクトを保存します。
近接の判定
旅行代理店は、各観光名所に対して最寄りの鉄道駅をパンフレットで示したいと考えています。 各観光名所と鉄道駅の間の距離をそれぞれ計測するには時間がかかるため、ジオプロセシング ツールを実行してプロセスを自動化して、すべての情報を 1 つのレイヤーに収集します。
ジオプロセシング ツールは、データセットに対する操作を実行します。 ArcGIS Pro には、広範な操作に対応した、数百のジオプロセシング ツールがあります。 [空間結合] ツールを使用し、2 つのフィーチャクラスからの情報を、それらの空間リレーションシップに基づいて結合します。 このツールを使用して、各観光名所に対して最寄りの鉄道駅を判定します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索バーに「空間結合」と入力します。 結果リストの [空間結合] ツールをクリックします。
[空間結合] ツールが表示されます。 ほとんどのジオプロセシング ツールには、ツールの結果を変更するためのパラメーターを設定できます。 このツールでは、結合するフィーチャ レイヤーを最初に選択します。
- [ターゲット フィーチャ] で、[Tourist Attractions] を選択します。 [結合フィーチャ] で、[Rail Stations] を選択します。
ヒント:
パラメーターの詳細については、パラメーターにポインターを合わせます。 そして、表示される情報ボタンに、ポインターを合わせます。
次に、[出力フィーチャクラス] パラメーターを設定します。 多くのジオプロセシング ツールは、元のレイヤーを変更せずに、出力レイヤーを作成します。
デフォルトで、出力レイヤーは、プロジェクトの作成時に作成された、地理データ専用のフォルダー (ジオデータベース) に保存されます。 出力場所は変更せずに、出力名を変更します。
- [出力フィーチャクラス] で、テキスト ボックスをクリックします。 テキストを「Tourist_Attractions_Join」に置き換えます。
[1 対 1 の結合] 操作はそのままにします。 この方法により、各観光名所が 1 つの鉄道駅のみに結合されるようになるため、最寄り駅を 1 つだけ把握するのに最適です。
次に、[マッチ オプション] パラメーターを設定します。 このパラメーターは、結合するフィーチャ間の空間リレーションシップを決定します。
- [マッチ オプション] で、[最も近い] を選択します。
- 表示されているパラメーターの下の [フィールド] を展開します。
[フィールド マップ] パラメーターは、出力フィーチャクラスで保持される各入力フィーチャクラスの属性を決定します。 属性については、後で詳細に説明します。 今回、マップ上のフィーチャのサイズや形状は重要でないため、[Shape__Area] および [Shape__Length] フィールドのみを削除します。 残りのフィールドは、ユーザーに有益なコンテキストを提供します。
- [フィールド] 列で、[Shape__Area] にポインターを合わせ、[削除] ボタンをクリックします。
- [Shape__Length] フィールドを削除します。
これで、必要なすべてのパラメーターを設定できました。 ツールは、選択したパラメーターに基づき、各観光名所の情報と最寄りの鉄道駅の情報を結合した操作を実行します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 実行が完了すると、新しいレイヤー [Tourist_Attractions_Join] が、マップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 新しいレイヤーは、元の [Tourist Attractions] レイヤーと似ています。ただし、ジオプロセシング ツールが、レイヤーの属性を変更しています。
属性は、フィーチャ レイヤーの各フィーチャに関連付けられた情報です。 属性には、フィーチャの名前、住所、エリアのほか、他の多くの情報タイプが含まれている場合があります。 属性テーブルを開くと、レイヤーの属性を表示できます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tourist_Attractions_Join] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。
属性テーブルが開きます。
テーブルの各行は、マップ上の 1 つのフィーチャを表し、各列は、情報を含むフィールドです。 このテーブルの最初の行は、48 Pagoda Street にある Chinatown Heritage Centre という名前のフィーチャに対応しています。
- [Object ID] には、各フィーチャを示す一意の ID 番号が含まれています。
- [TARGET_FID] フィールドは、空間結合に選択したターゲット フィーチャ ([Tourist Attractions]) を表します。
- [Join_Count] フィールドは、各ターゲット フィーチャにマッチする結合フィーチャの数を表します。
ヒント:
テーブルのサイズを変更するには、テーブルの上部にあるハンドルをドラッグします。
- 必要に応じて、最後の数個の列を表示できるまでスクロールします。
テーブルには、[Name] という 2 つのフィールドが含まれています。 最初の [Name] フィールドは、観光名所の名前を示し、2 番目の [Name] フィールドは、最寄りの鉄道駅の名前を示します。 2 番目の [Name] フィールドは、[空間結合] ツールを実行した後に、テーブルに追加されました。
注意:
[Type] フィールドも、[空間結合] ツールによって、追加されました。 最寄り駅が Massive Rapid Transit (MRT)、Light Rail Transit (LRT)、または Circle Line (CCL) システムに含まれているかどうかを示します。 元の [Tourist Attractions] レイヤーの属性テーブルを開いて比較することで、ツールで追加されたフィールドを確認できます。
- テーブルを閉じます。
元の [Tourist Attractions] レイヤーは不要になったため、削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tourist Attractions] レイヤーを右クリックして、[削除] を選択します。
レイヤーが削除されます。 削除したレイヤーの名前と一致するように、新しいレイヤーの名前も変更します。
- [Tourist_Attractions_Join] レイヤー名をクリックして、選択します。 もう一度クリックして、レイヤー名を編集可能にします。
- 名前を「Tourist Attractions」に変更して、Enter キーを押します。
ヒント:
レイヤー名をダブルクリックし、[レイヤー プロパティ] ウィンドウを開いて、レイヤー名を変更することもできます。 [一般] タブで、名前を変更します。 [OK] をクリックします。
- プロジェクトを保存します。
テーブルのエクスポート
観光客が ArcGIS Pro でマップにアクセスするか、ArcGIS Online の対話型 Web マップとしてマップにアクセスした場合、各観光名所に対する最寄り駅を見つけた際と同様の方法で、属性テーブルを開くことができます。 ただし、このマップは、パンフレットに印刷されるため、ユーザーは、その機能を利用できません。
マップに付随する情報として、旅行代理店は、パンフレットの属性テーブルから、主要な情報を印刷することを計画しています。 属性テーブルをプレーン テキスト ファイルにエクスポートして、旅行代理店が必要なデータをパンフレットのデザインにコピーできるようにします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Tourist Attractions] を右クリックし、[データ] にポインターを合わせて、[テーブルのエクスポート] を選択します。
[テーブルのエクスポート] ウィンドウが表示されます。 このツールは、レイヤーの属性テーブルを、新しいファイル形式に変換します。 [入力テーブル] パラメーターで、すでに [Tourist Attractions] レイヤーが選択されています。
デフォルトの出力場所は、プロジェクトで作成されたジオデータベース (Singapore Tourism.gdb) です。 ただし、テキスト ファイルは、ジオデータベースに格納できません。 出力場所を、エクスポートするデータに適した場所に変更します。
- [出力テーブル] で、[参照] ボタンをクリックします。
[出力テーブル] ウィンドウが表示されます。
- [出力テーブル] ウィンドウで、[フォルダー] をクリックし、[Singapore Tourism] フォルダーをダブルクリックします。
- [名前] に「Tourist_Attractions.txt」と入力します (必ず .txt 拡張子を含めてください)。
注意:
出力場所をジオデータベースに変更すると、ツールは正しく実行されません。デフォルトの場所以外を選択してください。
- [保存] をクリックします。
ヒント:
また、.csv 拡張子を使用して、テーブルをカンマ区切り値ファイルにエクスポートしたり、.dBF 拡張子を使用して、dBase データベース ファイルにエクスポートしたりすることもできます。
[空間結合] ツールと同様に、[テーブルのエクスポート] ツールで、フィールドを出力テーブルから削除することもできます。 今回の目的に不要な情報を含む [Join_Count] および [TARGET_FID] フィールドを削除します。
- [フィールド] を展開します。
- [フィールド マップ] で、[Join_Count] にポインターを合わせ、[削除] ボタンをクリックします。 [TARGET_FID] フィールドを削除します。
- [OK] をクリックします。
ツールが実行され、テーブルがエクスポートされます (選択した出力場所を確認すると、正常にエクスポートされたことを確認できます)。 さらに、エクスポートされたテーブルが、[コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] 見出しの下に追加されます。 このテーブルは、プロジェクトには不要なため、削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tourist_Attractions.txt] を右クリックし、[削除] を選択します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウを閉じて、プロジェクトを保存します。
フィーチャのラベル作成
旅行代理店は、エクスポートしたテーブルを使用して、属性情報をテキスト情報としてパンフレットに追加できます。 ただし、パンフレットを使用する観光客は、マップ上で各観光地に対応するポイントを識別することができません。
マップを使いやすくするには、観光名所にラベルを付けます。 ラベルは、マップ上に表示されるテキスト情報で、ユーザーがデータに対する理解を深めることができます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tourist Attractions] レイヤーをクリックして選択します。
[ラベリング] タブが使用可能になります。 このタブは、コンテキスト タブであり、操作中のデータに関連がある場合にのみ表示されます。
- リボンの [ラベリング] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [ラベル] ボタンをクリックします。
レイヤーに対して、ラベルが有効化されます。 デフォルトでは、各観光名所にその名前のラベルが付きます。 観光名所が非常に多いため、ラベルでマップが雑然としてしまい、マップが読みづらくなります。
マップを読みやすくするために、代わりに固有の ID 番号を使用して、観光名所にラベルを付けます。
- [ラベル クラス] グループの [フィールド] で、[Object ID] を選択します (スクロールしないと、適切なオプションが表示されない場合があります)。
マップ上のラベルが、文字数の多い名前から、文字数の少ない番号に変わります。 番号で各観光名所をすぐに識別できるわけではありませんが、ユーザーが観光名所を識別できるよう、パンフレットにテーブル データが付属した ID を含めることができます。
ただし、デフォルトのラベルは、小さくて濃い色のテキストであるため、濃い色のベースマップ上では、よく見えません。 また、各観光名所に対応する番号が常に明確にわかるように、ラベルが配置されているわけでもありません。 ラベルの表示設定と配置を変更して、明確にします。
- [テキスト シンボル] グループで、テキスト シンボルのフォント サイズを「8」に、色を [白] に変更します。
- [ラベルの配置] グループで、[中心点] をクリックします。
マップ上のラベルが更新されます。
これらのラベルは改善されましたが、まだいくつかの小さな問題が残っています。 まず、一部の観光名所では、特定のズーム範囲で、ラベルが表示されません。 デフォルトでは、ラベルが非常に近接している場合、重なって表示されるのを防ぐため、ラベルが表示されません。 また、ピン シンボル内のより中央に配置したほうが、ラベルの見栄えがよくなります。 これらの問題を両方とも解決するために、変更を加えます。
- [ラベルの配置] グループの [ラベル配置プロパティ] ボタンをクリックします。
[ラベル クラス - Tourist Attractions] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウには、高度なラベリング オプションが用意されています。
- [競合解決] タブをクリックします。
- [未配置ラベル] セクションを展開し、[ラベルを削除しない (オーバーラップを許可)] をオンにします。
これで、ラベルの重複が原因で、マップからラベルが削除されなくなりました。 次に、ラベルの位置を調整して、各ピン シンボル内のより中央に、ラベルが配置されるようにします。
- [シンボル] タブをクリックします。
- [一般] タブで、[表示設定] を折りたたんで、[位置] を展開します。 [オフセット Y] を「2」pt に変更します。
- [適用] をクリックします。
ラベルが少し上に移動し、ピン シンボルの中央に配置されるようになります。
一部のラベルは、他のピン シンボルとわずかに重なっていますが、すべてのラベルが一般的に読みやすくなっています。 パンフレットに印刷されるテーブル データと組み合わせることで、観光客は、マップ上のあらゆる観光名所を識別できるようになります。
- [ラベル クラス - Tourist Attractions] ウィンドウを閉じて、プロジェクトを保存します。
注意:
また、鉄道駅にラベルが付いていたほうが、ユーザーが使いやすくなるでしょう。 このチュートリアルではラベルを付けませんが、独自のラベルを作成してみてください。 マップ上でラベルを読みやすくするには、どのような表示設定にする必要があるでしょうか?
続行する前に、マップの名前をわかりやすいものに変更します。 デフォルト名はマップです。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ] をダブルクリックします。
[マップ プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [一般] タブの [名前] で「Central Business District」と入力します。
- [OK] をクリックします。
マップ名が変更されました。
レイアウトの作成
これで、マップが完成しました。 最後に、マップをパンフレットに印刷できる形式にエクスポートします。 印刷用にマップを準備するには、ページ レイアウトを作成します。 レイアウトは、仮想ページ上に整理されたマップ エレメントのコレクションです。 レイアウトは、印刷時のマップの外観を定義します。
レイアウトは、最初から設計できますが、ArcGIS Pro には、レイアウト テンプレートも複数含まれています。 テンプレートを使用して、いくつかのレイアウト エレメントを変更します。
- リボンの [挿入] タブをクリックし、[レイアウトのインポート] ボタンをクリックします。
使用可能なテンプレートのリストが表示されます。 マップを強調したい場合は、シンプルなレイアウトが最適です。
- [タイトル バー レター横] レイアウトを選択します。
注意:
使用可能なテンプレートのリストが表示されない場合は、このチュートリアルで使用されるレイアウト テンプレートをダウンロードし、インポートできます。
レイアウトが新しいビューとして開きます (ビューの上にあるタブを使用して、マップ ビューとレイアウト ビューを切り替えることができます)。
このレイアウトには、タイトル、凡例、および縮尺記号が含まれています。 すべてのレイアウト エレメントが、[コンテンツ] ウィンドウにリストされます。 また、リボンには、レイアウトの操作に関連するタブが表示されるようになります。
デフォルトでは、選択したテンプレートに、オハイオ州コロンバスのマップが含まれています。 レイアウトのマップ フレームを更新して、シンガポールのマップを使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ フレーム] をダブルクリックします。
[マップ フレーム] ウィンドウが表示されます。
- [オプション] の [マップ フレーム] で、[Central Business District] を選択します。
レイアウト内のマップが変更されます。 ただし、マップは世界全体に拡大表示され、シンガポールは表示されません。 マップ範囲とレイアウト範囲は独立しています。
以前に作成したブックマークを使用して、目的のマップ範囲に移動します。
- リボンの [レイアウト] タブをクリックします。 [マップ] グループの [ブックマーク] をクリックし、[Central Business District] ブックマークを選択します。
マップ範囲が、対象地域に更新されます。
ヒント:
レイアウトでマップを別の範囲に画面移動または拡大表示するには、[マップ] グループの [アクティブ化] をクリックします。 アクティブ化すると、通常どおりにマップを操作できます。 範囲を変更したら、[レイアウト] タブをクリックし、[閉じる] をクリックします。
次に、レイアウトにタイトルを付けます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ タイトル] をダブルクリックします。
[マップ タイトル] ウィンドウが表示されます。
- [オプション] の [テキスト] で、既存のテキストを削除して「Downtown Singapore」と入力します。 テキスト ボックスの外側をクリックします。
変更内容が、レイアウトに適用されます。
また、マップ上のすべてのシンボルの説明が表示されるよう、凡例を調整します。 デフォルトの凡例の背景は、白色であるため、白色の線路シンボルがよく見えません。 背景を削除して、凡例の位置を調整します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[凡例] をダブルクリックします。
[凡例] ウィンドウが表示されます。 まず、凡例テキストを白色に変更し、凡例の背景を削除したときに、濃い色のベースマップ上で表示されるようにします。
- [テキスト シンボル] をクリックします。 [表示設定] を展開して、[色] を [白] に変更します。
- [適用] をクリックします。
次に、テキストを確認できるように、凡例の背景を変更します。
- ウィンドウの上部で、[凡例] ドロップダウン矢印をクリックして、[背景] を選択します。
- [色] で [色なし] を選択します。
- [適用] をクリックします。
凡例の背景が削除されます。
- レイアウト ビューで、凡例をドラッグして、マップの下隅に表示されるようにします。 完了したら、マップの外側のレイアウト ビューの任意の場所をクリックして、凡例の選択を解除します。
縮尺記号は、マップの下隅に表示されていますが、よく見えません。 次に、縮尺記号を削除します。必要ないからです。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[縮尺記号] を右クリックして、[削除] を選択します。
レイアウトが完成しました。
旅行代理店は、このマップの画像をパンフレットの内側に印刷します。 パンフレットの裏側には、エクスポートしたテーブルに基づく、観光名所のリストが含まれています。 最後に、このパンフレットは、観光客が各観光名所に対する最寄りの鉄道駅を見つけるのに役立ちます。
- プロジェクトを保存します。
次に、レイアウトを画像ファイルにエクスポートします。
- リボンの [共有] タブをクリックします。 [出力] グループで、[レイアウトのエクスポート] ボタンをクリックします。
[レイアウトのエクスポート] ウィンドウが表示されます。
- [レイアウトのエクスポート] ウィンドウの [ファイル タイプ] で、任意の画像ファイル形式を選択します。 [名前] で、任意の出力場所を参照し、ファイル名を「Downtown Singapore」に変更します。
- [エクスポート] をクリックします。
レイアウトが、選択した場所にエクスポートされます。
このチュートリアルでは、シンガポールの中心街で人気のある観光名所を示すマップを作成しました。 プロジェクトを作成し、対象地域に移動して、データを追加しました。 マップの外観を変更し、観光名所と鉄道駅の間の距離を解析しました。 次に、レイアウトを作成し、マップを画像ファイルにエクスポートしました。
このチュートリアルでは、ArcGIS Pro の概要として、マップ作成や解析などのトピックの基礎のみを紹介しました。 ArcGIS Pro の機能の詳細については、次のチュートリアルをご参照ください。
- フィーチャ編集と 3D マッピングについては、ヴェネツィアを 2D と 3D でマッピングをご参照ください。
- シンボルとマップ作成については、ArcGIS Pro でのカートグラフィック作成をご参照ください。
- ArcGIS Pro の高度な解析機能については、太陽光発電の能力の推定をご参照ください。
- ArcMap ユーザーが ArcGIS Pro に移行する場合は、ArcMap から ArcGIS Pro への移行をご参照ください。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。