時空間パターンの調査
フロリダ州の州間高速道路は、「全米屈指の死亡事故多発地域」です。 オーランド近郊に位置するブレバード郡は 60 万人もの人口を擁し、近年は特に交通事故が多発していました。 交通事故を未然に防ぐために効果的な政策を打ち立てるには、まず、郡の中で最も危険な道路を特定する必要があります。
最初に、2010 年から 2015 年におけるブレバード郡の交通事故データをダウンロードします。 次に、事故の傾向を時空間的に視覚化して、後ほど実施する解析に使うデータについて理解します。
データのダウンロード
事故データは ArcGIS Pro プロジェクト パッケージの一部です。このパッケージには、チュートリアルで使用する道路データとモデルも含まれています。
- 「Crash_Analysis」圧縮フォルダーをダウンロードします。
- [Crash_Analysis] 圧縮フォルダーを、お使いのコンピューターの覚えやすい場所 (ドキュメント フォルダーなど) に展開します。
このフォルダーには、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージ (.ppkx) と、ネットワーク空間ウェイト マトリックス ファイル (.swm) が含まれています。 空間ウェイト マトリックス ファイルには、道路網の接続数が示されます。 これはチュートリアルの後半で使用します。
- [CrashAnalysisPkg.ppkx] をダブルクリックして開きます。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
プロジェクトが ArcGIS Pro で開きます。 これには、フロリダ州ブレバード郡で 2010 年から 2015 年の間に発生した交通事故の場所を示すマップが含まれます。
[コンテンツ] マップには、[All Crashes (2010 to 2015)] と [Roads] の 2 つのレイヤーがあります。 事故データの属性を探索して、理解を深めます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [All Crashes (2010 to 2015)] を右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
複数のフィールドを含む属性テーブルが表示されます。 多くのフィールドには、各事故の詳細情報 (日付、時刻、運転者の年齢、死亡者数など) が含まれています。
[Number of fatalities] や [Unbelted injuries] などのフィールドは数値です。 [Alcohol was involved] や [Driver distraction] などのフィールドは、「Yes (はい)」を意味する [Y] 、「No (いいえ)」を意味する [N] といったテキストベースのコードを使用します。 一部のセルでは、値は [<Null>] となっています。これは、true 値が不明であるか存在しないことを意味します。
- [Crash Date] フィールド名をダブルクリックします。
日付は、最も古い日付から最新の日付に並べられています。 このデータセットの最も古い事故発生日は 2010 年 1 月 1 日です。
- [Crash Date] フィールドをもう一度ダブルクリックします。
日付は最新から最古に並べ替えられます。 最新の日付は 2015 年 12 月 31 日です。 この日付フィールドを使用し、データで時系列解析を実施します。
- テーブルを閉じます。
事故の集約
次に、事故の探索的解析を実施して、郡全体の傾向を大まかに把握します。 まず、事故を時空間キューブに集約します。 時空間キューブは、空間コンポーネントと時間コンポーネントの両方を持つデータを書式設定する方法です。 これが「キューブ」と呼ばれるのは 3 次元を持つからです (2D マップにデータを表示するための 2 つの次元と、時間を表す 1 つの次元)。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで「ポイントの集約による時空間キューブの作成」を検索します。 検索結果のリストで [ポイントの集約による時空間キューブの作成] ツールをクリックします。
ヒント:
ジオプロセシング ツールは、リボンの [コマンド検索] バーを使用して検索することもできます。
- [入力フィーチャ] には [All Crashes (2010 to 2015)] を選択します。 [出力時空間キューブ] に「All_Crashes.nc」と入力します。
注意:
出力時空間キューブでは「network Common Data Form (netCDF)」ファイル形式を使用します。ファイル拡張子は .nc です。 出力時空間キューブは、ファイル ジオデータベースではなくフォルダーに格納されます。 時空間キューブに後からアクセスするにはフォルダーの場所を参照する必要があるため、出力名を入力した後にパスを書き留めておいてください。
- [Time Field] で [Crash Date] を選択します。
次に、時系列データを集約する間隔を選択します。 6 年間 (72 か月) を網羅するデータがあります。 4 か月 (16 週間) の間隔があれば、事故をちょうどいい件数にまとめ、適切な解析を行えるようになります。
- [時間ステップの間隔] で「16」と入力し、[週] を選択します。
空間データを集約するには、それぞれの幅が 2 マイルの六角形グリッドを使用します。
集約に最適な空間間隔と時間間隔を探ることも可能ですが、探索的解析のみ実行するため、これらのパラメーターで問題ありません。
- [集約形状タイプ] で [六角形グリッド] を選択します。 [距離間隔] に「2」と入力して [US Survey マイル] を選択します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 しばらくすると、時空間キューブが作成されます。 事故の発生地点を六角形グリッドにオーバーレイし、各六角形のポイント数をカウントします。 さらに、各六角形では、データが 16 週間隔で集約されます。 時空間キューブは、マップにも [コンテンツ] ウィンドウにも表示されません。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの下部の進行状況バーで、[詳細の表示] をクリックします。
解析の詳細情報を含むウィンドウが表示されます。 このウィンドウには、[パラメーター]、[環境]、[メッセージ] の 3 つのタブがあります。
- 必要に応じて、[メッセージ] タブをクリックします。
このタブのテキストには、時空間キューブの書式設定、時間ステップ間隔、各六角形グリッド セルの範囲、ゼロを含む六角形セルの数が記されます。 説明を読むと、事故件数は経時的に増加していることがわかります。
- ウィンドウを閉じます。
ホット スポットの作成
次に、[時空間ホット スポット分析] ツールを使用して時空間キューブを解析します。 ホット スポット分析は、高い値と低い値 (ここでは、各六角形ビンに含まれる事故件数) の統計的に有意な空間クラスターを特定する方法です。 新しいホット スポット分析には時空間キューブが必要で、クラスタリングの時系列的傾向が見られる場所を特定します。
交通事故には偶然の要素があるため、事故の密度だけに注目するのではなく、統計的に有意なクラスターを識別することが重要です。 統計的な有意性は、見通しの悪さや標識の見づらさといった条件によって、あるエリアで事故件数が特に多い原因となっていることを示すものです。すなわち、政策によって、将来的に事故を未然に防ぐ可能性が非常に高いことを意味します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。
- [時空間ホット スポット分析] ツールを検索して開きます。
時空間キューブ内の事故件数に基づいて、このツールを実行します。
- [入力時空間キューブ] で、[参照] ボタンをクリックします。
[入力時空間キューブ] ウィンドウが表示されます。 デフォルトでは、プロジェクト フォルダーを参照します。
- [入力時空間キューブ] ウィンドウで、[commondata] フォルダーをダブルクリックします。 [All_Crashes.nc] を選択して [OK] をクリックします。
注意:
時空間キューブを作成するときにデフォルトの出力場所を使用しない場合は、別の場所に保存できます。
時空間キューブがパラメーターに追加されます。 次に、ホット スポット分析の変数を選択します。 オプションは 1 つのみです (事故件数)。
- [分析変数] で [COUNT] を選択します。
- [出力フィーチャ] のテキストを削除し、「Crash_Trends」と入力します。
この探索的解析では、他のパラメーターは変更しません。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行され、結果レイヤーがマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
注意:
ツールが終了すると、進行状況バーに警告メッセージが表示されることがあります。 警告メッセージは情報を提供するだけです。 解析に使用される [近傍距離] のデフォルト値が表示されされます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [All Crashes (2010 to 2015)] と [Roads] をオフにします。
時空間キューブによって作成された各六角形ビンは、ホット スポットであるか、コールド スポットであるか、またはそのどちらでもないかによってシンボル表示されます。 [コンテンツ] ウィンドウには、各シンボルの意味がリストされます。
「ツール ヘルプ」には、各シンボル タイプの定義がリストされます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの進行状況バーで、[詳細の表示] をクリックします。
- [メッセージ] タブで、[結果のサマリー] 見出しまで下方向にスクロールします。
サマリーには、各カテゴリのホット スポット数とコールド スポット数が表示されます。 新しいホット スポットは 2 つ、連続するホット スポットは 17 個、散発性のあるホット スポットは 59 個、変動しているホット スポットは 13 個あります。
最も多いカテゴリは散発性のあるホット スポットです。これは、ホット スポットであるのが時間間隔の 90 パーセント未満の場所です。 この場所は、どの間隔でもコールド スポットであったことはありません。 簡単に言えば、これらのエリアでは、事故の統計的に有意なクラスターが存在することがありますが、必ずしも常にそうとは限りません。
- ウィンドウを閉じます。 [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。
注意:
現在の ArcGIS Pro のバージョンでこのプロジェクト ファイルを保存すると、これより前のバージョンでファイルを再び開けなくなることを警告するメッセージが表示される場合があります。 このメッセージが表示されたら、[はい] をクリックして続行します。
時空間キューブを作成し、データの探索的ホット スポット分析を実行しました。 時空間キューブを 3D で視覚化することで、時系列的傾向をさらに掘り下げることができますが、3D ビジュアライゼーションはこのワークフローの後半で作成します。 3D ビジュアライゼーションは、このチュートリアルに関連付けられた「ストーリー」で探索できます。
作業はこれで終わりでしょうか? いいえ。 まだこれからです。 交通事故の傾向に対する探索的解析には、いくつかの大きな問題があります。
- ホット スポット エリアとコールド スポット エリアの評価に使用した空間解析は、実際の道路網ではなく、六角形ビン間のユークリッド距離に基づいています。
- 解析では、平日のラッシュ アワーなどの重要な時間的サイクルを考慮に入れていません。
次に、解析を調整して、これらの問題に対処します。
道路網におけるホット スポットの特定
解析により、郡内の事故の傾向が大まかに明らかになりました。 しかし、解析では、事故が発生した道路網は考慮されていませんでした。 河川や高速道路の両側で発生する 2 件の事故はユークリッド距離的には近接していますが、橋や低路交差がほとんどない道路網では遠く離れていることになります。 ホット スポット分析は、近くに集まってクラスター化している、高い事故率を見つけるものなので、道路網に基づいて正確に距離を計算することが不可欠です。
解析を向上するために、それぞれの事故を道路網に関連付けて、その結果に対してホット スポット分析を実施します。 また、すべての衝突事故のホット スポットを、死亡事故のホット スポットと比較します。最も防止する優先度が高いのは死亡事故だからです。
事故と道路との関連付け
事故は道路で発生しますが、事故ポイントは道路ポリラインと正確に合わないことがあります。 ツールを実行してポイントを最寄りの道路にスナップし、配置を近づけます。 次に、事故と道路を 1 つのレイヤーに結合します。
スナップは、新しい出力を作成するのではなく、入力レイヤーを変更する編集ツールなので、まず、事故データのコピーを作成します。 ミスをしたり、元のデータセットを参照したりする場合に使えるよう、フィーチャ ジオメトリを編集する前に、データのコピーを作成することをお勧めします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [フィーチャのコピー] ツールを検索し、開きます。
- [入力フィーチャ] には [All Crashes (2010 to 2015)] を選択します。 [出力フィーチャクラス] のテキストを削除し、「All_Crashes_Copy」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行され、元のデータセットのコピーが作成されます。 解析には、このコピーを使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Crash_Trends] をオフにし、[Roads] をオンにします。
注意:
[Roads] フィーチャクラスは、米国国勢調査の TIGER ポリラインから生成されました。 ポリラインを処理して解析に備えるには、40 メートルの交点フィーチャと 100 メートルの道路セグメント フィーチャを作成しました。 ワークフローの詳細をご希望の場合は、「LGriffin@esri.com」にお問い合わせください。
次に、コピーした事故ポイントを道路にスナップします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。 [スナップ] ツールを検索して開きます。
- [入力フィーチャ] で [All_Crashes_Copy] を選択します。
スナップ パラメーターでは、事故ポイントを道路フィーチャの最寄りのエッジにスナップします。 フィーチャが 0.25 マイル圏内の道路にのみスナップされるよう、スナップ距離を設定します。
ヒント:
道路ポリラインからの事故ポイントの距離を判断するために、「最近接」ツールを使用します。 [衛星画像] ベースマップで、道路から最も離れているポイントを確認し、スナップに適した距離を特定することができます。 このチュートリアルで使われる 0.25 マイルの距離は、この方法で導きました。
- [スナップ環境] で、次のパラメーターを設定します。
- [フィーチャ] で [Roads] を選択します。
- [タイプ] で [エッジ] を選択します。
- [距離] で「0.25」と入力して [US Survey マイル] を選択します。
- [実行] をクリックします。
注意:
ポイント数が多いため、ツールの実行には数分かかることがあります。
ツールの実行が完了しても、出力レイヤーは作成されず、マップには何の変更もないように見えます。 しかし、事故ポイントは移動し、道路の近くに位置合わせされています。 事故と道路の位置合わせをしたので、次に空間結合を作成して、2 つのレイヤーを 1 つにまとめます。各道路フィーチャには、そこで発生した事故の件数が含まれます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[空間結合 (Spatial Join)] ツールを検索して開きます。
- [空間結合] ツール ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [ターゲット フィーチャ] で [Roads] を選択します。
- [結合フィーチャ] で [All_Crashes_Copy] を選択します。
- [出力フィーチャクラス] のテキストを削除し、「Road_Crash_Counts」と入力します。
検索範囲を設定します。これは、結合する 2 つのフィーチャ間の距離のことです。 事故と道路をスナップしたので、小さい検索範囲を使用します。
- [検索範囲] に「1」と入力し、[US Survey フィート] が選択されていることを確認します。
ツールを実行する前に、出力レイヤーに含める属性フィールドを選択します。 結合フィーチャのほとんどの属性は必要ありませんが、死亡者数を後から解析するので、各事故の一意の ID を含むフィールドと、死亡者数のフィールドは維持しておきます。
- [フィールド] を展開します。
- [出力フィールド] で [Shape_Length] フィールドにポインターを合わせ、[削除] ボタンをクリックします。
フィールドが削除されます。
- [出力フィールド] リストで、[UniqID] フィールドと [Fatalities] フィールド以外はすべて削除します。
また、結合が行われた時に、各道路フィーチャの死亡者数の合計が計算されるよう、[Fatalities] フィールドを調整します。
- [Fatalities] フィールドにポインターを合わせ、[フィールド プロパティの編集] ボタンをクリックします。
[フィールド プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [フィールド プロパティ] ウィンドウの [アクションとソース フィールド] で、[Sum] を選択します。
- [OK] をクリックします。 [ジオプロセシング] ウィンドウで [実行] をクリックします。
ツールが実行され、結合したレイヤーがマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 レイヤーは [Roads] レイヤーに似ていますが、事故情報が含まれています。
結合されたデータの解析
同じ長さの道路や道路セグメントはないため、長い道路ほど事故件数が多くなります。 各年の 1 マイルあたりの事故率を計算して、事故件数を標準化する属性フィールドを算出します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールド演算] ツールを検索して開きます。
- [入力テーブル] で [Road_Crash_Counts] を選択します。
- [フィールド名] に「Crash_Rate」と入力します。 [フィールド タイプ] で [Double (64 ビット浮動小数点)] を選択します。
新しいフィールドを計算する式では、各道路フィーチャの事故件数 ([Join_Count] フィールド) をデータセットが網羅する年数 (6) で除算し、それに道路の長さを乗算します。 この式により、各年の 1 マイルあたりの事故件数を計算します。
- [式] で、次の式を作成します (またはコピーして貼り付けます)。
!Join_Count! / (6 * !Shape_Length!)
- [実行] をクリックします。
事故率フィールドが計算され、[Road_Crash_Counts] レイヤーの属性テーブルに追加されます。 次に、新しいフィールドを使用して、レイヤー上でホット スポット分析を実行します。 前回、時空間キューブを使用して新しいホット スポット分析を実行しましたが、今回は空間的傾向にのみ注目するので、別のホット スポット分析ツールを使用します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ホット スポット分析] ツールを検索して開きます。
- [入力フィーチャクラス] で [Road_Crash_Counts] を選択します。 [入力フィールド] で [Crash_Rate] を選択します。
- [出力フィーチャクラス] のテキストを削除し、「Road_Crash_Hot_Spots」と入力します。
ホット スポット分析は、空間リレーションシップを数式に直接取り入れます。 これらのリレーションシップは、「空間ウェイト」と呼ばれる値を通じて正式に定義されます。 空間ウェイトは、空間ウェイト マトリックスにまとめられ、空間ウェイト マトリックス ファイル (.swm) として格納されます。 チュートリアルの始めに、プロジェクト パッケージと一緒に空間ウェイト マトリックス ファイルをダウンロードしました。 このファイルでは、各事故率と他のすべての事故率とのつながりと近さを定義し、ツールが高い事故率の空間クラスターを識別できるようにします。
注意:
このチュートリアルで使用される空間ウェイト マトリックス ファイルは、「ネットワーク空間ウェイトの生成」ツールと、ブレバード郡の道路ポリラインから構築された道路網を使用して作成されています。 事故のホット スポットを局所的にするため、[インピーダンス距離カットオフ] パラメーターを 360 フィートに設定します (フットボールの競技場と同じくらいの長さ)。これは、「時速 45 マイルで走行中の自動車の最短停止視距離」です。
- [空間リレーションシップのコンセプト] で [空間加重をファイルから取得] を選択します。
- [ウェイト マトリックス ファイル] で、チュートリアルの始めにダウンロードして展開した [Crash Analysis] フォルダーを参照し、[NwSWM360ft.swm] を選択します。
FDR (False Discovery Rate) の補正も、ホット スポットの結果に適用します。 「FDR 補正」は、結果の統計的精度を高める可能性があります。
- [FDR (False Discovery Rate) 補正の適用] をオンにします。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 実行が完了すると、新しいレイヤーがマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [All_Crashes_Copy]、[Road_Crash_Counts]、[Roads] レイヤーをオフにします。
これで、マップに表示されているのは、新しいレイヤーとベースマップだけになります。
赤い道路のセクションは、統計的に有意な事故のクラスターを含む道路で、グレーの道路は有意なクラスターがない道路を表します。 有意性のない道路の幅を小さくし、ホット スポットを強調します。
- [Road_Crash_Hot_Spots] レイヤーで [Not Significant のシンボルをクリックします。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。
- 必要に応じて、[プロパティ] をクリックします。 [ライン幅] に「0.25」と入力します。
- [適用] をクリックして、[シンボル] ウィンドウを閉じます。
変更内容がマップに適用されます。 拡大すると、さらに見やすくなります。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで [ブックマーク] をクリックし、[Cocoa and Merritt Island] を選択します。
郡内で多数のホット スポットがあるエリアにマップがズームします。
このブックマークは、陸地が水域によって 2 つに分かれ、その間をつなぐのが 1 つの橋だけのエリアを表示します。 ここを拡大すると、事故のホット スポットとなっている特定の交差点も識別できます。
- マップを探索し、他のホット スポットの場所を確認します。 終了したら、[Full Study Area] ブックマークに移動して、分析範囲の全体表示に戻ります。
- プロジェクトを保存します。
死亡事故のホット スポットの特定
致命的な自動車事故のホット スポットの場所は、すべての事故のホット スポットの場所と一致するでしょうか? 事故防止の政策の優先順位を決定するには、その問いに答えることが重要です。 次に、前回と同じホット スポット分析を実行して、死亡事故のホット スポットを特定します。
事故データと道路網を結合したときに、各道路の死亡者数の合計を計算しました。 すべての事故と同じ計算を実行し、各年の 1 マイルあたりの死亡者数を算出して、道路の長さによる違いを明らかにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Road_Crash_Counts] を右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
属性テーブルの [Number of fatalities] フィールドで、多くの道路セグメントの値が [<Null>] となっています。 これらは、事故がまったく発生していない道路です。 その他すべての道路セグメントには、0 ~ 12 の値があります。
一部の値は Null なので、死亡率を算出するための計算を変更する必要があります。 これを、値が Null の場合は値を 0 に設定するという if/else ステートメントを含めるよう変更します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィールド演算] ツールを検索して開きます。 次のパラメーターを設定します。
- [入力テーブル] で [Road_Crash_Counts] を選択します。
- [フィールド名] に「Fatality_Rate」と入力します。
- [フィールド タイプ] で [Double (64 ビット浮動小数点)] を選択します。
- [式] で、「0 if not !Fatalities! else !Fatalities! / (6 * !Shape_Length!)」という式を作成します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 しばらくすると、属性テーブルに [Fatality_Rate] フィールドが追加されます。 死亡者数が Null 値の道路セグメントでは、新しいフィールドの値は 0 になります。
- 属性テーブルを閉じます。
次に、死亡率の値に対してホット スポット分析を実行します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ホット スポット分析] ツールを検索して開きます。 次のパラメーターを設定します。
- [入力フィーチャクラス] で [Road_Crash_Counts] を選択します。
- [入力フィールド] で [Fatality_Rate] を選択します。
- [出力フィーチャクラス] に「Fatality_Hot_Spots」と入力します。
- [空間リレーションシップのコンセプト] で [空間加重をファイルから取得] を選択します。
- [加重マトリックス ファイル] で [NwSWM360ft.swm] ファイルを参照して選択します。
- [FDR (False Discovery Rate) 補正の適用] をオンにします。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行され、新しいレイヤーがマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 一見すると、新しいレイヤーは事故のホット スポット レイヤーに似ています。 違いを見つけるために、詳しく調査します。
ヒント:
[コンテンツ] ウィンドウに、大きい凡例のある複数のレイヤーがあります。 スペースを節約するため、レイヤー名の横にある矢印をクリックして、レイヤーの凡例を非表示にします。
ホット スポット マップの比較
事故のホット スポットと死亡者数を計算しました。 ここでは 2 つのホット スポット レイヤーを比較して、「死亡者のホット スポットは、すべての事故のホット スポットと同じ場所であるか?」という問いに答えます。 レイヤーを横に並べて比較するには、マップを作成し、現在のマップと同時に表示します。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[新しいマップ] ボタンをクリックします。
新しいマップ [マップ 1] が作成され、プロジェクトのアクティブ マップになります。 マップの名前を、より意味のある名前に変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ 1] をダブルクリックして [マップ プロパティ] を開きます。
[マップ プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [一般] タブの [名前] に「Comparison Map」と入力します。 [OK] をクリックします。
ヒント:
[マップ 1] を 2 回クリックして、マップの名前を変更することもできます。
マップ名が変更されました。 元のマップに合わせて、ベースマップも変更します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックして、[キャンバス (ライト グレー)] を選択します。
次に、[Fatality_Hot_Spots] レイヤーを新しいマップにコピーします。
- [マップ] ビューをクリックします。
元のマップがアクティブなビューになります。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Fatality_Hot_Spots] レイヤーを右クリックして [コピー] を選択します。 [Fatality_Hot_Spots] レイヤーをオフにし、[Road_Crash_Hot_Spots] がオンであることを確認します。
- [Comparison Map] ビューに戻ります。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Comparison Map] を右クリックして [貼り付け] を選択します。
死亡者のホット スポットが新しいマップに貼り付けられます。 これで、事故のホット スポットを示すマップと、死亡者のホット スポットを示すマップが作成されました。 両方のマップを並んで表示するよう、マップ ビューを並べ替えます。
- [Comparison Map] タブをドラッグし、[マップ] ビューの右側にドッキングします。
片方のマップを移動すると、他方のマップも同じ場所に自動的に移動するよう、2 つのマップ ビューをリンクします。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [リンク] グループで、[ビューのリンク] ドロップダウン メニューをクリックして、[中心と縮尺] を選択します。
ビューがリンクされます。
- [Merritt Island] ブックマークに移動します。
[Comparison Map] の赤い道路セグメントは、致命的な交通事故が発生する危険性が高い場所と解釈することができます。
すべての事故のホット スポット (左側のマップ) と、死亡事故のホット スポット (右側のマップ) との間には、明確な違いがあります。 場所によって死亡者数が多い理由を理解する必要があります。 このようなエリアで改善策をとることは、将来的な死亡事故を未然に防ぐうえで役立ちます。
このチュートリアルで使用した事故データには、事故の原因に関する基本的な情報 (飲酒運転であったか、わき見運転をしていたか、悪天候であったかなど) も含まれます。 このチュートリアルでは触れませんが、特定の原因の事故に対してホット スポット分析を行って、的を絞った改善対策が望ましいケースを特定することもできます。
- プロジェクトを保存します。
道路網で、事故と死亡者のホット スポットを特定しました。 次に、事故が発生した時間帯と曜日を考慮して、解析を調整します。
運転に最も危険な時間帯の特定
事故データを道路網に集約したときに、すべての時系列属性を削除しました。 ここでは、曜日と時間帯別に事故データをまとめます。 次に、ピーク時に発生した事故のホット スポットをマッピングします。
ライン チャートの作成
まず、自動車事故が起きやすい曜日と時間帯を把握する必要があります。 データをチャートにして確認してみましょう。
事故と死亡者数の比較はもう行わないので、2 つのマップを並べて表示する必要はありません。
- [Comparison Map] タブを、[マップ] ビューの中央のドロップ ゾーンにドラッグします。
- [マップ] タブをクリックし、アクティブなビューにします。 [Full Study Area] ブックマークに移動します。
次に、元の事故データを使用してライン チャートを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [All Crashes (2010 to 2015)] を右クリックし、[チャートの作成] にポインターを合わせて [ライン チャート] を選択します。
[チャート プロパティ] ウィンドウとチャート ビューが表示されます。 毎時間、および毎曜日の事故件数をチャートにします。
- [チャート プロパティ] ウィンドウの [日付または数値] で [Crash hour of day] を選択します。 [分割] で [Crash day of week] を選択します。
変更内容がチャートに自動的に適用されます。 しかし、曜日が順番どおりではなく、アルファベット順で並べられています。 チャートを確認する前に、曜日を並べ替えます。
- [シリーズ] タブをクリックします。 値のリストで、値をドラッグして月曜日から日曜日に並べます。
ヒント:
シンボルをクリックすると、値の色を変更することもできます。 平日 (月曜日から金曜日) には同じ色で陰影を変え、週末 (土曜日と日曜日) には別の色を使用することで、見分けやすくすることをお勧めします。 例の画像では、平日はデフォルトの色で示されますが、任意の色を選択できます。
チャートと軸のタイトルも変更します。
- [一般] タブをクリックします。 次のパラメーターを設定します。
- [チャート タイトル] に「Vehicle Crashes」と入力します。
- [X 軸のタイトル] に「Hour of the Day (24 hour clock)」と入力します。
- [Y 軸のタイトル] に「Number of Crashes」と入力します。
- [凡例タイトル] に「Days of the Week」と入力します。
これでチャートが完成しました。
ヒント:
チャートの凡例のエントリをクリックすると、個々のラインをオフにできます。 たとえば、平日にのみ注目したい場合は、土曜日と日曜日の凡例のエントリをクリックすると、これらをオフにできます。 再びオンにするには、凡例のエントリを再度クリックします。
複数のピークがありますが、特に顕著なのは平日の午後 3 時から 5 時 (15 時 ~ 17 時) の間です。 この時間帯は、一般的にラッシュ アワーと呼ばれます。 勤務時間帯でも、土曜日と日曜日には運転者が少ないため、事故の件数も少なくなっています。
- チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
注意:
チャートを再度開くには、[コンテンツ] ウィンドウの [All Crashes (2010 to 2015)] レイヤーの下で [Vehicle Crashes] チャートをダブルクリックします。
ピーク時の事故のホット スポットの特定
平日の午後 3 時から午後 5 時の間に発生する事故のホット スポット マップを作成するには、前回と同じ手順を実行してホット スポットを計算します。解析する事故を選択し、それを道路網にスナップして、各道路セグメントに関連付けられた事故件数を数え、事故率を計算して、ホット スポット分析を実行します。
このワークフローはすでに実行したので、このチュートリアルのために作成されたモデルを実行します。 このモデルには、ワークフローに必要なすべての解析ツールが含まれていますが、一般化されているため、必要に応じてどの交通事故のサブセットも調査できます。
まず、モデルを開いて調査します。
- 必要に応じて、リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] をクリックします。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。 使用するモデルは、プロジェクトのデフォルト ツールボックスにあります。 このモデルは、残りのプロジェクト データとともにダウンロード済みです。
- [ツールボックス] を展開し、[Crash_Analysis_Model_Tools.tbx] を展開します。
[Create Day/Time Hot Spot Map] モデルを使用します。 これを実行する前に、ModelBuilder で表示して、その役割を確認します。
- [Create Day/Time Hot Spot Map] を右クリックし、[編集] を選択します。
[Create Day/Time Hot Spot Map] ビューが開き、モデルが表示されます。 モデルには 4 つの部分があります。 まず、解析する事故を選択します。 次に、選択した事故ポイントを道路網にスナップします。 その後、事故率を計算して、最後にホット スポット分析を実行します。
P シンボルの付いたエレメントは、ジオプロセシング ツールを使用して解析を実行する際に設定するパラメーターと同じようなモデル パラメーターです。 モデル内のその他のエレメントは、ツール、出力データセット、入力データセットです。
- [カタログ] ウィンドウで [Create Day/Time Hot Spot Map] モデルをダブルクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが開き、モデル パラメーターが表示されます。 P シンボルが付いたすべての要素が、パラメーターのリストに表示されます。 パラメーターの詳細は、モデル プロパティで確認できます。
- リボンの [ModelBuilder] タブの [モデル] グループで、[プロパティ] をクリックします。
[ツール プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [パラメーター] タブをクリックします。
- [Days] で [値のリスト] にポインターを合わせます。
[Days] パラメーターが表示されます。 これらの値を使用し、モデル パラメーターを設定します。
- [ツール プロパティ] ウィンドウを閉じます。
モデルにすでに設定されたパラメーターを確認することもできます。
- [Create Day/Time Hot Spot Map] ビューで [スナップ] ツールをダブルクリックします。
ツール パラメーターが表示されます。
このパラメーターは、0.25 マイルのスナップ距離も含め、チュートリアルの前半で [スナップ] ツールを実行したときに使用したものと同じです。
注意:
モデルの作成は、このチュートリアルでは網羅しません。 モデルやその構築方法について詳しく知りたい場合は、マウンテン ライオンの生息地をつなげるモデルの構築のチュートリアルをお試しください。
- [スナップ] ツールを閉じ、[Create Day/Time Hot Spot Map] ビューを閉じます。 モデルへの変更を保存するよう求められた場合は、[いいえ] をクリックします。
次に、平日の午後 3 時から午後 5 時 (15 時~ 17 時) のモデルを実行します。これは [ジオプロセシング] ウィンドウですでに開いています。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [Create Day/Time Hot Spot Map] モデルで、次のパラメーターを設定します。
- [Crash Data] で [All Crashes (2010 to 2015)] を選択します。
- [Days] では [Monday]、[Tuesday]、[Wednesday]、[Thursday]、[Friday] を選択します。
- [Beginning Hour] に「15」と入力します。
- [Ending Hour] に「17」と入力します。
- [New Rate Field Name] に「Work_Week_3_to_5」と入力します。
- [Selected Crash Hot Spot Map] に「Work_Week_3_to_5_Hot_Spots」と入力します。
- [実行] をクリックします。
モデルのすべてのツールを実行する必要があるため、モデルが完了するまでに数分かかります。 終了したら、[Work_Week_3_to_5_Hot_Spots] レイヤーがマップに追加されます。 これを [Comparison Map] ビューにコピーしますが、その前に、モデルの一部として作成された選択セットを消去します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Work_Week_3_to_5_Hot_Spots] を右クリックし、[コピー] を選択します。 [Work_Week_3_to_5_Hot_Spots] をオフにし、[Road_Crash_Hot_Spots] がオンになっていることを確認します。
- [Comparison Map] ビューをアクティブにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Comparison Map] を右クリックして [貼り付け] を選択します。 [Fatality_Hot_Spots] をオフにします。
死亡者のホット スポットを表示したときと同じように、ホット スポット レイヤーを横に並べて比較します。
- [Comparison Map] タブをドラッグし、[マップ] ビューの右側にドッキングします。
ビューは、前回の比較にリンクされたままなので、再度リンクする必要はありません。
- [Freeway interchange north of Palm Shores] ブックマークに移動します。
両方のマップのホット スポットとなっている交差点もありますが、左側のマップのホット スポット (すべての事故のホット スポット) の場所と、右側のマップのホット スポット (平日の午後 3 時から午後 5 時までに発生した事故のホット スポット) の場所には、いくつかの顕著な違いがあります。 1 日のうちで最も忙しい時間帯に運転者の安全性を高めるには、ピーク時間帯のホット スポットのターゲットを絞ると役立つかもしれません。
この高速道路のインターチェンジでは、すべての事故のホット スポットは高速道路の入口に表示されます。 しかし、ピークの時間帯には、高速道路そのものにホット スポットが多く、中には 1 つの高速道路が別の高速道路と合流する地点も含まれます。 郡職員は、高速道路の設計と標識を考え、交通量が多いときに、運転者が合流やナビゲートしやすくなるような変更を検討することができます。
- [Full Study Area] ブックマークに移動し、[Comparison Map] ビューを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで [Road_Crash_Hot_Spots] をオフにします。
- プロジェクトを保存します。
事故が起こりやすい曜日と時間帯を特定しました。 次に、構築済みのモデルを使用して、チュートリアルの前半で使用したホット スポット分析ワークフローを実施しました。 また、結果をすべての事故のホット スポットと比較しました。
年ごとのホット スポットの 3D 視覚化
事故データは、2010 年から 2015 年までの 6 年間を網羅しています。 年ごとのホット スポット マップを作成することで、郡職員は事故の発生頻度の経時的な増減を確認できます。 標識を変更するなど、事故を削減するための実施可能な政策を取り入れることで、これらの変更が、あるエリアにおける事故件数に影響を及ぼしたかどうかも確認できます。
平日の午後 3 時から午後 5 時 (あるいはその他の曜日と時間帯) に発生した事故について、年ごとのホット スポット マップを作成するには、日/時間ホット スポット モデルを 6 回 (各年について 1 回ずつ) 実行します。 次に、その結果を単一のレイヤーにマージします。 ここでは、時間を短縮するために、このワークフローを実行するためのモデルが 2 つ用意されています。
モデルの実行
まず、モデルを開いて、その役割を確認します。 次に、モデルを実行します。
- [カタログ] ウィンドウを開きます。
注意:
[カタログ] ウィンドウが閉じられている場合は、[表示] タブをクリックして [カタログ ウィンドウ] をクリックして再度開きます。
- 必要に応じて [ツールボックス] と [Crash_Analysis_Model_Tools.tbx] を展開します。
- [Analyze Day/Time Hot Spot Trends] を右クリックし、[編集] を選択します。
[Analyze Day/Time Hot Spot Trends] ビューが表示されます。
モデルには 2 つの部分があります。 1 つ目の部分では、解析の対象となる曜日と時間帯に基づいて事故を選択します。 [Selected Crashes] エレメントで終了します。
2 つ目の部分では、選択した事故を [Yearly Hot Spot Maps] という別モデルの入力として使用します。 このモデルは、2010 年から 2015 年までの各年についてホット スポット マップを作成します。 その結果を、1 つの出力フィーチャクラスにマージします。 次に、[Yearly Hot Spot Maps] モデルを見ていきます。
- [カタログ] ウィンドウの [Crash_Analysis_Model_Tools.tbx] で、[Yearly Hot Spot Maps] を右クリックして [編集] を選択します。
[Yearly Hot Spot Maps] ビューが表示されます。
[フィーチャ選択の反復] エレメントは、2010 年から 2015 年の各年について、選択セットを作成します。 モデルの残りの部分では、通常のホット スポット分析ワークフローを実施します。 選択した事故を道路網にスナップし、各道路セグメントに関連付けられた事故件数を数え、事故率を計算して、ホット スポット分析を実行します。 モデルの最後の部分では、事故の年を結果レイヤーにアペンドし、すべての結果マップのリストを収集します。
- [Yearly Hot Spot Maps] と [Analyze Day/Time Hot Spot Trends] ビューを閉じます。 モデルへの変更を保存するよう求められた場合は、[いいえ] をクリックします。
- 必要に応じ、[マップ] タブをクリックして [マップ] ビューをアクティブ化します。
各モデルの役割を理解したところで、モデルを実行して各年のホット スポット レイヤーを作成し、それらのレイヤーを 1 つの最終結果にマージします。
- [カタログ] ウィンドウで [Analyze Day/Time Hot Spot Trends] をダブルクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが開き、モデルのパラメーターが表示されます。 パラメーターは、前回実行したモデルに似ています。
- 次のパラメーターを設定します。
- [Crash Data] で [All Crashes (2010 to 2015)] を選択します。
- [Days] では [Monday]、[Tuesday]、[Wednesday]、[Thursday]、[Friday] を選択します。
- [Beginning Hour] に「15」と入力します。
- [Ending Hour] に「17」と入力します。
- [Space Time Hot Spots] に「Work_Week_3_to_5_Trends」と入力します。
- [実行] をクリックします。
モデルが実行されます。 前回のモデルの解析を 6 回実行するため、完了するまで数分かかる可能性があります。
モデルが完了すると、新しいレイヤーがマップに追加されます。 これまでに作成した他のレイヤーでは、エリアがホット スポットであるかコールド スポットであるかに応じてシンボルが付けられていましたが、このレイヤーではシンボルとして 1 色しか使用しないため、すぐに把握できる情報はほとんどありません。 このレイヤーのシンボルは、自分で設定します。
- プロジェクトを保存します。
シーンの作成
モデルの出力レイヤーとして、すべての道路セグメントの 6 つのバージョン (1 年につき 1 バージョン) が作成されます。 各バージョンには個別のホット スポット分析の属性があり、高事故率が多数集まるクラスターの有無を示します。
このデータを表示するために、各道路セグメントをリボンとして視覚化し、3D シーンで垂直に積み上げます。 そうすると、各道路セグメントの全 6 バージョンをひと目で確認し、問題が続発しているエリアや、長期的に多かれ少なかれ問題となっているエリアを特定できるようになります。
まず、モデルの出力にデフォルトのホット スポット シンボルを適用します。 他のいずれかのホット スポット レイヤーと同じシンボルを適用してもかまいません。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで [レイヤーのシンボル情報を適用] ツールを検索して開きます。
このツールは、1 つのレイヤーのシンボルを、別のレイヤーに適用します。
- [入力レイヤー] で [Work_Week_3_to_5_Trends] を選択します。 [シンボル レイヤー] で [Road_Crash_Hot_Spots] を選択します。
- [実行] をクリックします。
見慣れたホット スポットのシンボルがレイヤーに追加されます。 次に、3D シーンを作成して、レイヤーを 3D で表示します。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで [新しいマップ] ドロップダウン矢印をクリックし、[新しいローカル シーン] を選択します。
シーンが作成されます。 [マップ] ビューに一致するようにベースマップを変更します。
- リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックします。 [2D ベースマップ] で、[キャンバス (ライト グレー)] を選択します。
次に、モデル出力をシーンにコピーします。
- [マップ] ビューをアクティブ化し、[Work_Week_3_to_5_Trends] レイヤーをコピーします。 [シーン] ビューをアクティブ化し、レイヤーを [コンテンツ] ウィンドウに貼り付けます。
このレイヤーが、シーンに 2D レイヤーとして追加されます。 レイヤーを 3D でシンボル表示したいので、レイヤーを移動します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Work_Week_3_to_5_Trends] レイヤーを [3D レイヤー] グループにドラッグします。
レイヤーを移動したら、シーンに完全に描画されなくなることがあります。 さらに、膨大な量の描画リクエストの原因となっているという警告が表示される場合があります。 レイヤーを拡大したときにのみ表示するよう、レイヤーの表示設定を調整して、シーンに同時に表示されるフィーチャ数を減らします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Work_Week_3_to_5_Trends] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤープロパティ] ウィンドウの [一般] タブで、[最遠距離] を「8,000 ft」に変更します。
- [OK] をクリックします。
これで、レイヤーがデータの全体表示で設定されなくなり、レンダリングは最終的に解除されます。
- [マップ] タブで [ブックマーク] をクリックし、[Melbourne] を選択します。
この範囲でレイヤーが表示されます。
3D での結果の表示
レイヤーをシーンに追加したので、次に 3D で表示してシンボル化します。 まず、道路セグメントをマップ表面から立ち上げ、3D で表現します。 マップ表面を完全に平坦にするため、シーンの標高サービスを無効にします。 標高サービスには、実世界の標高データが含まれており、シーンにデフォルトで追加されています。
- [コンテンツ] ウィンドウの [標高サーフェス] で、[WorldElevation3D/Terrain3D] をオフにします。
次に、道路セグメントを立ち上げて、マップ表面の上空に浮かぶリボンのようにします。 最初に、立ち上げのタイプを選択します。 道路セグメントをマップのベースから立ち上げたいので、基準高度から立ち上げます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Work_Week_3_to_5_Trends] が選択されていることを確認します。
- リボンの [フィーチャ レイヤー] タブをクリックします。 [立ち上げ] グループで、[タイプ] をクリックして [ベース高度] を選択します。
次に、道路セグメントを 3D 空間のどれだけの高さに立ち上げるか決定する式を作成します。 ここでは、各道路セグメントのリボンが高さ 50 フィートになるよう設定します (ご希望であれば、立ち上げの高さを変更してもかまいません)。
- [立ち上げ] グループで [立ち上げの式] ボタンをクリックします。
[式の設定] ウィンドウが開きます。
- [式] に「50」と入力します。 [OK] をクリックします。
レイヤーは立ち上げられますが、各道路セグメントの 6 年分のバージョンが重なってしまうため、一度に 1 つしか確認できません。
道路セグメントごとに分離し、各年のセグメントの地表からの高さを変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Work_Week_3_to_5_Trends] ダブルクリックします。 [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[高度] タブをクリックします。
- [フィーチャ] で [地表を基準] を選択します。 [式の設定] ボタンをクリックします。
年は 2010 年から 2015 年までなので、年から 2010 を減算し、その結果に 60 を乗算する式を作成します。 そうすると、たとえば 2010 年の場合は、高さは 0 になります。2011 年の高さは 60 で、2012 年は 120 になります。 各年を高さ 50 フィートに立ち上げたので、この式では年と年の間に 10 フィートの間隔を空けます。
- [式の設定] ウィンドウで、次の式を作成します (またはコピーして貼り付けます)。
($feature.AnalysisYear - 2010) * 60
- [OK] をクリックします。 [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[OK] をクリックします。
最後に、ホット スポットでもコールド スポットでもないエリアのシンボルを見えなくなるように変更します。 そうすることで、シーン内のホット スポット エリアを強調することができます。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Work_Week_3_to_5_Trends] で [Not Significant] シンボルを右クリックし、[色なし] を選択します。
- [3D Zoom] ブックマークを開いて探索します。
各年のホット スポットが、異なる高さに配置されます。 2010 年のホット スポットが一番下、2015 年のホット スポットが一番上にあります。 ブックマークでは、最近ホット スポットになったばかりのエリア、散発性のあるホット スポットのエリア、そしてかつてはホット スポットであったが、今はそうではないエリアがあります。
郡職員は、このような傾向を見ることで、事故のホット スポットの変化がどこで起こっているか大まかに把握できます。 また、データ期間における道路網への変更が、事故に影響を及ぼしたかどうかも確認できます。
- 必要に応じてシーンの傾斜や画面移動を行い、分析範囲の他の部分も探索します。
注意:
3D のナビゲーションに慣れていない場合は、「3D でのナビゲーション」のトピックをご参照ください。
- プロジェクトを保存します。
このチュートリアルでは、次のようないくつかの疑問点を解決しました。
- ブレバード郡の中で、特に事故率が高い交差点と道路はどこか。
- 事故が特に多いのはいつ、どこであるか。
- 死亡事故の空間パターンと、交通事故の空間パターンには、どのような違いがあるか。
- 平日午後の通勤時間の事故率の空間パターンと、事故率の全体的なパターンには、どのような違いがあるか。
- 長期的に見て、交通事故が繰り返し発生している交差点や道路はどこか。
同じワークフローをもとに、次のような疑問を解決することもできます。
- 高齢ドライバー、10 代のドライバー、飲酒運転のドライバーが関与する事故のホット スポット エリアはどこか。
- 高齢ドライバー、10 代のドライバー、飲酒運転のドライバーが関与する事故が空間的にクラスター化しているのはいつ、どこであるか。
これらの質問に答えることで、十分な情報を得たうえで、将来的な事故を削減して人命を守るための政策や方法の提案を行えるようになります。 ご自身の郡のデータを活用して、このワークフローを実施してください。 このワークフローは、犯罪、不正行為、保険請求などの分野にも効果的に応用できます。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。