マップの作成
最初に、ArcGIS Pro を使用してマップを作成します。 次に、オンラインでヴェネツィアのデータを検索し、マップに追加します。 データについて理解を深めるために、ナビゲーション ツールとブックマークを使用してデータを調べます。
プロジェクトの作成
マップを作成する前に、ArcGIS Pro でプロジェクトを作成します。 プロジェクトには、マップ、データベース、ツールボックス、スタイルに加え、自分のマップの作成に役立つその他のフォルダーが含まれています。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
ArcGIS Pro を開くと、新しいプロジェクトを作成するか、既存のプロジェクトを開くかを選択できるオプションが表示されます。 以前プロジェクトを作成したことがある場合は、最近使用したプロジェクトのリストが表示されます。
- [新しいプロジェクト] の下の [マップ] をクリックします。
[マップ] テンプレートは、デフォルトでプロジェクトに空の 2D マップを作成します。 どのテンプレートを使用しても、任意のプロジェクトにマップを追加できますが、このテンプレートを使用するとよりすばやく開始できます。
- [新しいプロジェクト] ウィンドウで、[名前] に「Venice」と入力します。
プロジェクトを保存する場所も設定できます。
- 必要に応じて、[場所] でプロジェクトを保存する場所を選択します。
注意:
デフォルトの場所を使用することもできます。 その場合は、後でプロジェクトで見つけられるように、場所を必ずメモしてください。
- [OK] をクリックします。
プロジェクトが作成されます。 これには、[地形図 (World Topographic Map)] ベースマップを表示するデフォルト マップが含まれています。
データの追加
ヴェネツィアをマッピングするには、データが必要です。 多数の方法でデータを追加できますが、このチュートリアルでは、ArcGIS Online を検索して、レイヤー パッケージを追加します。 レイヤー パッケージでは、複数のデータ レイヤーが 1 つのファイルにバンドルされているため、多数のデータを一度に追加できます。
- ページ上部のリボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [データの追加] をクリックします。
[データの追加] ウィンドウが開きます。 プロジェクトのフォルダー ([プロジェクト])、オンライン ([ポータル])、コンピューター ([コンピューター]) からデータを検索できます。
注意:
ArcGIS Enterprise を使用している場合、「Venice_Data.zip」をダウンロードして、プロジェクトで作成したプロジェクト フォルダーに展開します。 [Venice_Data] を参照して、[Venice_Feature_Layers_2] アイテムを追加します。 ポータルのセキュリティのために、Enterprise ではユーザーが ArcGIS Online に保存されたアイテムを検索することはできません。 データは、ライセンス ポータル、ArcGIS Living Atlas、またはローカルでホストする必要があります。
- [データの追加] ウィンドウで、[ポータル] の下の [ArcGIS Online] をクリックします。
- 検索ボックスに「Venice_Feature_Layers owner:Learn_ArcGIS」と入力し、Enter キーを押します。
ヒント:
検索に「owner:」と追加することで、特定のアカウントが所有するデータを検索できます。
- 検索結果の [Venice_Feature_Layers] レイヤー パッケージをダブルクリックします。
マップにレイヤー パッケージのレイヤーが追加されます。 マップはイタリアのヴェネツィアにズームします。
緑色の小さなポイントが有名なランドマーク、赤いラインが運河、ターコイズのポリゴンが構造物をそれぞれ表します。
マップの操作
次に、マップをナビゲートして、主要エリアにすばやく戻るためのブックマークを作成します。
- [マップ] タブの [ナビゲーション] グループにある [定率縮小] ボタンをクリックします。
マップが一定距離に縮小します。
ヒント:
ズームするには、マップ ウィンドウにポインターを置いて、マウスをスクロールする方法もあります。
- 必要に応じて、市内全体が表示されるまで縮小します。
ヴェネツィアのほぼ全土が構造物で覆われています。 ベースマップには、わずかな領域の自然地形が薄緑色で表示されていますが、この領域は、構造物のシンボルの影響で見にくくなっています。 差し当たり、探索を続けます。
- [マップ] タブの [ナビゲーション] グループにある [マップ操作] ボタンが選択されていることを確認します。
- マップをクリックしてドラッグし、橋を横切って北西に画面移動します。
橋はヴェネツィアから本土のイタリアまでつながっています。 ヴェネツィアは、アドリア海のヴェネツィア湾の一部であるヴェネツィア潟内にあります。 アドリア海の細長い形状が、水流を増幅し、ヴェネツィアの高潮を引き起こす原因となっています。
- ヴェネツィアの画面に戻ります。
次に、対象ポイントにすばやく移動できるようブックマークを作成します。
- [マップ] タブの [ナビゲーション] グループにある [ブックマーク] ボタンをクリックし、[新しいブックマーク] を選択します。
- [ブックマークの作成] ウィンドウで、[名前] に「Venice」と入力します。 [OK] をクリックします。
- 以下の図で示した都市の中南部の空き領域にズームします。
ヒント:
特定の範囲をズームするには、Shift キーを押したままマップ上で範囲を示すボックスを描画します。
これは、ヴェネツィアの主要な公共広場であるサンマルコ広場です。 ヴェネツィアで最も訪れられた場所の 1 つです。
- 「Piazza San Marco」という名前のブックマークを作成します。
- [ブックマーク] ボタンをクリックし、[Venice] ブックマークをクリックします。
都市の全体表示に戻ります。
その他にブックマークすべき重要な場所はどこでしょうか。 ヴェネツィアに行ったことがなければ、わからないかもしれません。 しかし、問題ありません。[ランドマーク] レイヤーに重要な場所が表示されています。
- マップ上で緑色の小さな円のいずれかをクリックして、ポップアップを表示します。
ポップアップはフィーチャごとにあります。 デフォルトでは、ポップアップに、選択されたフィーチャの属性データが表示されます。 上記の例では、フィーチャの名前と重要な説明が表示されています。
- 9 つのランドマークのいくつかをクリックして、そのデータと、洪水が都市にもたらす問題を把握します。
ヒント:
現在のランドマークのシンボルの色は、構造物に溶け込んでいます。 これらのシンボルが見つけにくい場合は、[コンテンツ] ウィンドウで、[Structures] レイヤー名の横にあるチェックボックスをオフにして、このレイヤーを非表示にすることができます。
- 対象とするポイントを 2 つか 3 つズームして、それぞれのブックマークを作成します。
後のチュートリアルで洪水が都市に与える影響を分析するときに、これらのブックマークを再度使用することができます。
- [Venice] ブックマークに戻り、開いているポップアップをすべて閉じます。 [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。
ArcGIS Pro でプロジェクトを開始し、マップにデータを追加して、データを調べました。 しかしながら、便利で魅力的なマップを作成するために、データでできることはまだまだあります。
レイヤーのシンボル表示
データを探索したときに、シンボル化の方法によって一部のフィーチャを区別するのが難しいということがありました。 そこで、マップをより適切にシンボル表示していきます。
構造物のシンボル表示
まず初めに、ターコイズの構造物に、より適した色を付けます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Structures] の下にあるターコイズの四角形シンボルをクリックします。
[シンボル] ウィンドウが開いて、[ギャラリー] が表示されます。
- [シンボル] ウィンドウの検索ボックスに「シエナ」と入力し、Enter キーを押します。 [シエナ]のシンボルを選択します。
注意:
または、ミディアム ダーク ブラウンの色を選択することもできます。
[Structures] レイヤーのシンボルがターコイズから茶色に更新されます。
運河のシンボル表示
現在、運河は暗赤色でシンボル表示されています。 運河は水域であるため、青色を使用して表す方が適切です。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[運河] の下の赤いライン シンボルをクリックします。
- [シンボル] ウィンドウの [プロパティ] をクリックします。
- [色] で、シンボルをクリックして [ヨゴ ブルー] を選択します。
ヒント:
色にポインターを合わせて、その名前を表示します。
この色は、地形図ベースマップに溶け込むことなく運河を表現できます。 ただし、運河は細いため、場所によっては見にくくなります。
- [ライン幅] に「1.5」と入力して、Enter キーを押します。
- [シンボル] ウィンドウの下部にある [適用] をクリックします。
[運河] レイヤーがよりわかりやすく表示され、水路がより適切に表現されるようになりました。
ランドマークのシンボル表示
[Landmarks] レイヤーは重要な場所を表すため、目立つようにカスタム シンボルを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[ランドマーク] の下にある緑のポイント シンボルをクリックします。
- [シンボル] ウィンドウの [ギャラリー] をクリックします。 テキスト ボックスに「押しピン」と入力し、Enter キーを押します。
複数の検索結果が返されます。
- [ArcGIS 2D] の下の大きな [押しピン 2] シンボルをダブルクリックします。
マップ上のシンボルが更新されます。 デフォルトのスタイルをさらに目立つようにカスタマイズできます。
- [シンボル] ウィンドウの [プロパティ] をクリックします。 [レイヤー] ボタンをクリックします。
- [表示設定] の [図形塗りつぶしシンボル] で、[塗りつぶし (アウトライン付き - 0.5 ポイント)] を選択します。
- [色] で [ダーク アメジスト] を選択します。
紫色は、茶色の構造物を背景にすると目立ちます。 アウトラインとしては、やや濃い色が有効です。
- [アウトライン色] で [ウルトラマリン] を選択します。
- [適用] をクリックします。
紫色の押しピンは、緑の点よりも格段にはっきりと目立ちます。
- [シンボル] ウィンドウを閉じます。 プロジェクトを保存します。
レイヤーのシンボル化を行いました。 前回のレッスンでは、マップはシンボル化されてはいましたが、目立たせたり明確にするという点が欠けていました。 これで、明確に表示されるようになりました。
フィーチャの編集
前のレッスンで調べた「サンマルコ広場」など、ヴェネツィアの重要なランドマークがいくつか [Landmarks] レイヤーから抜けています。 データは必ずしも完全であるとは限りません。 そのような場合でも、レイヤーを編集して、抜けている場所を追加すれば問題はありません。
ランドマークの編集
まず、サンマルコ広場にランドマーク フィーチャを追加します。
- [Piazza San Marco] ブックマークに移動します。
- リボンの [編集] タブをクリックします。 [フィーチャ] グループの [作成] ボタンをクリックします。
[フィーチャ作成] ウィンドウが表示されます。 編集できるレイヤーが表示されます。
- [フィーチャ作成] ウィンドウで、[Landmarks] シンボルをクリックします。
これで、マップにランドマークが追加できました。
- サンマルコ広場の中心をクリックして、ポイントを追加します。
新しいポイントが自動的に選択され、青色で強調表示されます。
ヒント:
ポイントの配置場所が適切ではない場合、設定を削除することができます。 ポイントが選択されていることを確認し、[編集] タブの [フィーチャ] グループで [削除] ボタンをクリックします。
- [Venice] ブックマークに移動します。
次に、ヴェネツィアのもう 1 つの重要な場所である「リアルト橋」をランドマークに追加します。
- マウス ホイール ボタンを使用して、ヴェネツィアの中心にある運河にかかる橋にズームします。
ヒント:
フィーチャの作成時にマップの画面移動が必要な場合、C キーを押したままにすると、一時的に画面移動が可能になります。
これは、ヴェネツィアで最古の橋の「リアルト橋」です。
- 橋にポイントを追加します。
注意:
ポイントを追加すると、ポインターが他のフィーチャ レイヤーにスナップされる場合があります。 スナップは、フィーチャ同士を横に並べやすくするフィーチャ編集です。 スナップをオフにするには、[編集] タブの [スナップ] ボタンをクリックするか、編集中にスペース キーを押したままにしてスナップを一時停止します。
- [Venice] ブックマークに移動します。
ヴェネツィアにおいて重要な役割を果たすもう 1 つのランドマーク「サンミケーレ島」を追加します。
- ヴェネツィアの真北の島にズームします。
- 島の中心近くにポイントを追加します。
サンミケーレ島は、ヴェネツィアの墓地です (ただし、必ずしも最終墓地ではありません。区画の価格が非常に高いため、移動せざるを得ない場合もあります)。 サンミケーレ島は、サンマルコ広場やリアルト橋ほど有名ではありませんが、それでも十分重要なランドマークです。
- [Venice] ブックマークに戻って、[フィーチャ作成] ウィンドウを閉じます。
ウィンドウを閉じると、マップをクリックしても新しいフィーチャが追加されなくなります。 編集内容を保存します。
- リボンの [編集] タブをクリックします。 [編集の管理] グループにある [保存] ボタンをクリックします。
- [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックします。
注意:
[編集] タブの [保存] ボタンを使用すると、[コンテンツ] ウィンドウで選択したレイヤーに対するすべての変更が保存されます。 このとき、プロジェクトは保存されません。 プロジェクト全体を保存するには、[クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
属性データの編集
これまでに、[Landmarks] レイヤーに新しいフィーチャを 3 つ追加しました。 ただし、これらのフィーチャには、その内容や重要性を説明する属性がありません。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Landmarks] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。
- 属性テーブルのフィールドを確認します。
[Landmarks] レイヤーには 4 つのフィールドがあります。 [OBJECTID] と [Shape] はソフトウェアで設定されますが、[Name] フィールドと [Description] フィールドはユーザーが指定します。 追加した 3 つのポイントのこれらのフィールド値は [NULL] となっています。 最後に追加したポイントが、マップ上と属性テーブルの両方で選択されています。
注意:
編集プロセスの途中で 1 つのポイントを削除した場合、ポイントの [OBJECTID] 値が異なっていることがあります。 ID が異なっていても、チュートリアルに影響はありません。
- 最初に追加したポイントの行で、[Name] フィールドの NULL 値をダブルクリックして編集します。 「Piazza San Marco」と入力し、Enter キーを押します。
- 2 番目に追加したポイントの [Name] 属性を編集して、「Ponte di Rialto」にします。
- 3 番目に追加したポイントの [Name] 属性を編集して、「Isola di San Michele」にします。
[Description] フィールドには、ランドマークの重要性を説明する文章が含まれます。 説明は長くなる可能性が高いため、入力せずに貼り付けます。
- 次のテキストを選択してコピーします。
As Venice's main public square, the Piazza San Marco is one of the most visited places in the city, with some of its most famous landmarks. Popular attractions include St. Mark's Basilica, the Biblioteca Nazionale Marciana, and the Doge's Palace. The piazza is one of the lowest-lying areas of Venice and frequently floods when waters rise.
- [Piazza San Marco] フィーチャの [Description] フィールドをダブルクリックして、編集を開始します。 Ctrl + V キーを押して前のステップの説明を貼り付けて、Enter キーを押します。
- [Ponte di Rialto] フィーチャに次の説明を加えます。
The Ponte di Rialto, or Rialto Bridge, is the oldest of the four bridges that span Venice's Grand Canal. Historically, it provided an important connection to the main financial center of the city, the Rialto market. During acqua alta (high water) conditions, the majority of the elevated bridge remains dry, but surrounding areas require wooden footbridges to allow pedestrians safe travel.
- [Isola di San Michele] フィーチャに次の説明を加えます。
San Michele has served as Venice's cemetery since the early 19th century and holds the graves of Igor Stravinsky and Ezra Pound. Although the Cappella Emiliana chapel on the edge of the island is protected from flooding by metal barriers, it remains in danger of damage from particularly high flood water.
- すべてのポイントに名前と説明があることを確認します。
- 属性テーブルを閉じます。
- [編集] タブで、[編集の管理] グループの [保存] ボタンをクリックして編集をすべて保存します。
- [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。
最後に追加したフィーチャの選択が解除されます。
- [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。
ヴェネツィアの 2D マップが完成しました。
このチュートリアルでは、ヴェネツィア (イタリア) の 2D マップを作成しました。 最初に、ArcGIS Pro プロジェクトを作成しました。 続いて、ヴェネツィアの構造、運河、ランドマークを表示するデータを検索し、追加しました。 レイヤーをシンボル化してからランドマークを編集し、抜けているいくつかの重要な場所を追加しました。
このチュートリアルで行った基本的なワークフローは、ArcGIS Pro のほぼすべてのマップ作成プロジェクトに応用できます。 このチュートリアルで学習したことを活かし、興味のあるエリアのマップを作成してみましょう。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。