等面積の Web マップの作成
最初のクライアントは地質図を作成しており、コロンビアの断層データと地球規模の構造プレートを表示した Web マップの作成を依頼されました。 このマップは、「ArcGIS Living Atlas of the World」のデータを使用して作成済みですが、デフォルトの投影法によってプレートのサイズに歪みが生じていることが懸念されます。 すべてのマップ投影法では地球に何らかの歪みが生じるため、その地図にとって最も重要なフィーチャを歪めない投影法を選択することが重要です。 このマップでは、正積図法を適用して構造プレートのサイズを正確に示します。
正積図法のベースマップの検索
Web マップは任意の投影法で作成できます。 ただし、タイル レイヤー (ベースマップを含む) は再投影できません。そのため、多くのプロジェクトで、すぐに使用できる詳細なベースマップと適切なマップ投影法のいずれがより重要かを判断する必要があります。
- 「構造プレート Web マップ」を開きます。
- ページの上部で、[サイン イン] をクリックして ArcGIS アカウントにサイン インします。
- 世界全体が表示されるまで縮小します。
このマップには、構造プレート (地球の地殻の断片) も表示されます。
このマップでは Web メルカトル投影法が使用されています。 このマップの経緯線から、Web メルカトルがどのように面積を歪めるかがわかります。 赤道から離れるにつれて、空間が垂直方向に引き伸ばされています。 アフリカ プレートは、実際は北米プレートより大きいのですが、このマップでははるかに小さく表示されています。
一部のマップ投影法で生じるエリアの歪みをクライアントが気付くかどうかは定かではありません。 このマップを使用した人が誤って理解し、間違った結論に達することが懸念されます。 次に、正積図法を使用するようにこのマップを変更します。それにより、プレートの相対サイズが正確に表されます。
- もう一度コロンビアを拡大表示します。
- [コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーにある [展開] ボタンをクリックします。
マップの投影法を変更するには、ベースマップを変更する必要があります。 Web マップの投影法は、そのベースマップによって決まります。
- [コンテンツ] ツールバーの [ベースマップ] をクリックします。
- 使用可能なベースマップのリストで、いくつかのオプションをクリックします。 マップは更新されますが、マップの形状は変わりません。 これは、これらのベースマップが Web メルカトル図法を使用しているためです。
- リストの下部にスクロールして、[Living Atlas] をクリックします。
その他のベースマップ オプションが表示されます。
注意:
ArcGIS Living Atlas ベースマップにアクセスするには、ArcGIS アカウントにサイン インする必要があります。
- 検索バーに「equal area global web map」と入力して Enter キーを押します。
- 下にスクロールしながら j_nelson の [Equal Earth Global Web Map] アイテムを検索して [追加] ボタンをクリックします。
「Equal Earth」は、世界地図用の正積図法です。
マップの外観が変わります。 マップのラベルと陰影起伏が表示されなくなり、大陸と構造プレートの形状が変わります。
ラベルは、以前のベースマップに含まれていたため表示されなくなりました。 新しいベースマップにはラベルが含まれていません。
- [コンテンツ] ツールバーの [レイヤー] をクリックします。
[レイヤー] ウィンドウが表示されます。 ここには、マップのすべてのレイヤー (ベースマップ レイヤーを除く) が一覧表示されています。 それらのレイヤーの 1 つである [World Hillshade] に、現在のベースマップとの互換性がないことを示すエラーが表示されます。
- [レイヤー] ウィンドウで、[World Hillshade] レイヤーをポイントし、[オプション] ボタンをクリックします。 表示されるメニューで、[プロパティの表示] をクリックします。
[World Hillshade] レイヤーの [プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [プロパティ] ウィンドウで [情報] をクリックし、該当するレイヤー名の下に表示されたレイヤー タイプを検索します。
[World Hillshade] はタイル レイヤーです。 タイル レイヤー (ベースマップを含む) は、Web マップに再投影できません。 つまり、自分のマップにとって Hillshade レイヤーと正積図法のどちらがより重要かを判断する必要があります。
今回は投影法がより重要だと判断したので、Hillshade レイヤーを削除します。
- [レイヤー] ウィンドウで [World Hillshade] レイヤーの [オプション] ボタンをもう一度クリックしてから [削除] をクリックします。
- マップで、世界全体が表示されるまで縮小します。
マップ全体で形状が変更されています。 緯度が曲がり、アフリカの構造プレートが適切なサイズで表示されています。
Equal Earth 投影法では、特に端に近い部分で、形状に歪みが生じますが、面積が正確に表されます。このマップにとってはより重要なことです。 どのマップ投影法も何らかの方法で地球を歪ませます。 対象地域、縮尺、およびマップの目的にとって最も重要な質を保つ投影法を選択することが重要です。
- [コンテンツ] ツールバーで [保存して開く] をクリックしてから [名前を付けて保存] をクリックします。
- [タイトル] に「Tectonic Plates」と入力して [保存] をクリックします。
これで、正積図法を使用した Web マップが完成しました。 ベースマップを変更することで、マップの投影法を変更しました。 ただし、既存のベースマップで使用できない投影法を使用する必要があったら、どうだったでしょうか? 次に、ユーザーが選択した投影法で独自のベースマップを作成し、共有する方法を学びます。
ArcGIS Pro でのカスタム ベースマップの作成
クライアントは公益事業会社です。 クライアントは、今後のプロジェクトの管理に使用できる一連のインタラクティブなマップを求めており、すべてのマップで MAGNA 座標系を使用する必要があります。 この座標系を使用することで、作成する地図は、クライアントが使用する他の地図や地理データと完全に一致します。 公共事業の施設のマッピングは大縮尺 (ズームイン) で行われるため、座標系を混在させると、クライアントの実際の場所が不正確になる可能性があります。
マップの投影法の変更
データはすでに ArcGIS Living Atlas of the World にあり、ベースマップを作成できるよう ArcGIS Pro でスタイルが設定されています。 次に、マップの座標系を変更する必要があります。
- 「ボゴタのプロジェクト パッケージ」をダウンロードします。
- コンピューター上で、ダウンロードした [Bogotá.ppkx] ファイルに移動します。 ファイルをダブルクリックし、ArcGIS Pro で開きます。 求められた場合、ArcGIS アカウントにサイン インします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Bogotá] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [マップ プロパティ] ウィンドウで、[座標系] タブをクリックします。
座標系は、マップ上の位置を地球上の位置に関連付けます。 これらはよく投影法と呼ばれますが、実際には、投影法は投影座標系の一部にすぎません。 投影法は、平らな表面に丸い地球を描画する方法をマップに指示する部分です。
[現在の XY] ボックスから、マップの座標系が [WGS 1984 Web Mercator Auxiliary Sphere] に設定されていることがわかります。
Web メルカトルは、実際は、「Mercator Auxiliary Sphere」(メルカトル (球体補正)) と呼ばれる投影法を使用した、投影座標系です。
注意:
座標系の詳細については、ブログ記事「地理座標系と投影座標系」およびヘルプ トピック「座標系、投影法、座標変換」をご参照ください。
次に、マップの座標系を、クライアントが希望する座標系に変更します。
- [使用可能な XY 座標系] のリストで、[投影座標系] を展開します。
このリストで、必要な座標系を探し、選択することができます。 ただし、厳密に適切な座標系を確実に使用するには、クライアントから提供されたデータから座標系をインポートします。
- [座標系の追加] ボタンをクリックし、[座標系のインポート] を選択します。
- [座標系のインポート] ウィンドウで [データベース] を展開します。 [Bogotá.gdb] をクリックして [Rios] フィーチャクラスを選択します。
- [OK] をクリックします。
- [現在の XY] ボタンが [MAGNA Colombia Bogota] に更新されたことを確認します。
- [OK] をクリックします。
マップが再描画されます。 外観は変更前に似ていますが、Web Mercator の代わりに、MAGNA Colombia Bogota を使用した投影座標系ですべてが描画されています。
縮尺が異なるマップのスタイル設定
これで、クライアントの要件をすべて満たすマップになりましたが、マップをベースマップとして使用できるよういくつかの操作を行います。 ベースマップは、表示を拡大および縮小したときに見やすいよう、さまざまな要素を異なる縮尺で表示します。 たとえば、街区レイヤーは非常に詳細です。 街から離れて縮小表示した場合、表示する必要はありません。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[City blocks] を右クリックして、[プロパティ] を選択します。
- [一般] タブの [表示縮尺範囲] で、[これらの縮尺の間のレイヤーのみを表示] がオンになっていることを確認します。
- [最小縮尺 (縮小表示)] で、「200,000」と入力して Enter キーを押します。
- [OK] をクリックします。
- マップを縮小表示します。
[City blocks] レイヤーが非表示になります。 次に、[Municipalities] レイヤーを調整します。
- 自治体の境界線を拡大します。
グレーの線は細く表示されています。 大きな縮尺 (ズーム イン) にしたときにはこれより太く、小さな縮尺 (ズーム アウト) にしたときにはこれより細く表示するようにします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Municipalities] にあるシンボルをクリックします。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。
- [プロパティ] タブをクリックします。 必要に応じて [シンボル] タブをクリックします。
- [縮尺ベースのサイズ設定を有効化] ボックスをオンにします。
[アウトライン幅] に新しいスライダー コントロールが表示されます。 このスライダーにより、現在のマップの縮尺に基づいてシンボルに適用されるサイズの範囲を定義できます。
- スライダーの左側のハンドルをクリックします。 ツールチップ テキストが [1:500,000] になるまでドラッグします。
- [アウトライン幅] に「0.2」と入力して Enter キーを押します。
これで、マップの縮尺が 1:500,000 以下のとき、境界線は 0.2 ポイントの幅で描画されます。 次に、大きい縮尺のシンボル サイズを定義します。
- 右側のハンドルを 1:50,000 になるまでドラッグします。 [アウトライン幅] に「3」と入力します。
- [シンボル] ウィンドウの下部にある [自動的に適用] をクリックします。
変更を加えるとすぐに、変更内容がマップに自動的に適用されます。
- マップを拡大、縮小します。
境界線は、拡大すると太く、縮小すると細く表示されます。
注意:
[Municipalities] レイヤーはすでに縮尺依存で構成されているため、そのラベルと、最終的にはレイヤー自体は、小さな縮尺では表示されません。
マップは、プロジェクトに必要なさまざまな縮尺で見栄えよく表示されるようになりました。 次に、マップをベクター タイルとして共有し、ArcGIS Online でベースマップとして使用できるようにします。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
- このプロジェクトが以前のバージョンの ArcGIS Pro で作成されたことを警告するウィンドウが表示された場合は、[はい] をクリックします。
マップをベクター タイルとして共有
マップをベースマップとして使用するため、ベクター タイルとして共有します。 タイルは、マップに含まれる街区などの多数の詳細データを格納できる上、高速で読み込めます。 タイルとマップは相互に作用することはできません。たとえば、フィーチャの選択や属性の表示はできません。
- リボンの [共有] タブをクリックします。 [共有] グループで、[Web レイヤー] をクリックします。
[Web レイヤーとして共有] ウィンドウが表示されます。
- [名前] に「Bogotá Basemap」と入力し、その後に自分のイニシャルを付加します (例: Bogotá Basemap_YN)。
注意:
ArcGIS 組織に同じ名前で 2 つのレイヤーを作成することはできません。 レイヤー名にユーザーのイニシャルを追加すると、組織の他のユーザーもこのチュートリアルを完了することができます。 レイヤーが作成されたら、マップ内で名前を変更してイニシャルを削除できます。基になるデータ レイヤーの名前には影響しません。
- [概要] に「Basemap for Bogotá using the MAGNA Colombia Bogota projected coordinate system」と入力します。
- [タグ] に「projections」と入力します。
- [レイヤー タイプ] で [ベクター タイル] を選択します。
ベクター タイルは、ラスター タイルよりも短時間で生成されます。 マップにラスター レイヤーが含まれている場合は、代わりに [タイル] を選択します。
- フィーチャ チェックボックスをオフにします。
このチェックボックスをオンのままにした場合は、ベクター タイル レイヤーとフィーチャ レイヤーを公開する必要があり、処理に時間がかかります。 ベースマップにはフィーチャ レイヤーが必要でないため、このチェックボックスをオフのままにします。
- [次のグループと共有] で [すべての人に公開] をオンにします。
- [分析] をクリックします。
[メッセージ] タブが表示されます。 [00374: 一意の数値 ID が割り当てられていません] という 1 つのエラーが表示されます。
- このエラーを右クリックし、[ID を連番で自動割り当て] をクリックします。
赤色のエラー シンボルが緑色のチェックマークに変わったら、そのエラーが解決されたことを示します。
- [公開] をクリックします。
共有プロセスには、数分かかる場合があります。
- Web レイヤーを正常に公開したら、ArcGIS Pro を閉じます。 変更内容を保存する必要はありません。
クライアントから提供されたデータに一致するよう、マップの座標系を変更しました。また、一部のマップ シンボルの外観とサイズを、縮尺に応じて変わるよう変更しました。 マップのベクター タイル レイヤーも公開しました。このレイヤーを使用して、同じ投影座標系の Web マップを作成します。
ArcGIS Online でのカスタム ベースマップの使用と回転
クライアントから、特定の座標系を使用した複数の Web マップを依頼されました。 また、すべてのマップの上が東になるよう回転させることも求められました。 ボゴタの地図ではこれは一般的な回転であり、この公益事業会社が使用する他のすべての地図はこの方向になっています。 次に、ArcGIS Pro で公開したベクター タイル レイヤーを使用して、これらの要件を満たします。
ベースマップとしてのベクター タイルの使用
新しいベクター タイル レイヤーを、Bogotá の Web マップのベースマップとして使用します。 これにより、Web マップで、適切な投影座標系が使用されます。
- 「Bogotá」Web マップを開きます。
- ページの上部で、[サイン イン] をクリックして ArcGIS アカウントにサイン インします。
これは、クライアントのために作成を開始した Web マップです。 これは、Transmilenio バス高速輸送システムのルートと路線 (出典:「TRANSMILENIO S.A: www.transmilenio.gov.co」) を示しています。
現時点では、ベースマップから引き継いで Web メルカトル投影座標系を使用しています。 新しいベースマップを使用するため、マップを更新します。
- [レイヤー] ウィンドウの [追加] をクリックします。
- [マイ コンテンツ] で、共有している [Bogotá Basemap] タイル レイヤーがリストの一番上に表示されているはずです。 その位置に表示されていない場合は、「Bogota Basemap」を検索します。
- [Bogotá Basemap] カード上の [追加] ボタンはクリックしないでください。 代わりに、タイル レイヤーの名前をクリックします。
- [ベースマップとして使用] をクリックします。
- [Bogotá Basemap] ウィンドウを閉じます。
- マップで、南アメリカ全土が表示されるまで縮小します。
大陸の形状と大きさから、この地図が新しい投影座標系を使用していることがわかります。
注意:
投影法によっては、世界全体を描画できない場合があります。 MAGNA Colombia Bogota の投影座標系は、南米と、北米および南極の一部のみを描画できます。
- [コンテンツ] ツールバーの [レイヤー] をクリックし、[レイヤー] ウィンドウを閉じます。
- また、[プロパティ] ウィンドウも閉じます。
- コロンビアを拡大表示してからボゴタを拡大表示します。
拡大すると、ベースマップにさまざまなレイヤーが表示されます。
Web マップの回転
この Web マップは、必要な投影座標系を使用しています。 ただしクライアントは、このプロジェクトのすべてのマップの上が東になるよう回転させることも希望しています。 ボゴタの地図では、この向きは一般的です。
- マップの任意の場所をクリックしてアクティブ化します。
- キーボードの A キーまたは D キーを押し下げます。
マップが回転します。 下部の隅にあるコンパスが方位を示します。
- 方位記号 ([マップ方向のリセット] ボタン) が正確に左を指すまで、マップを回転し続けます。
ヒント:
マウスの右ボタンをクリックしたままにして、マップを回転させることもできます。 デフォルトの向きに戻すには、[マップ方向のリセット] ボタンをクリックするか、N キーを押します。
これで、クライアントの要件をすべて満たすマップになりました。
- [コンテンツ] ツールバーで [保存と開く] をクリックしてから [名前を付けて保存] をクリックします。
- [マップの保存] ウィンドウで [保存] をクリックします。
- [コンテンツ] ツールバーの [マップの共有] をクリックして [すべての人に公開 (パブリック)] を選択します。 [保存] をクリックします。
このチュートリアルでは、ベースマップを変更することで、等面積の Web マップを作成しました。 また、クライアントが選択した投影座標系でカスタム ベースマップを作成してベクター タイルとして公開し、これを使用して Web マップを投影しました。 最後に、マップの回転方法を学びました。
多くの場合は、Web メルカトル以外の座標系でマップを作成する必要があります。 Web マップは、カスタム投影座標系を含む任意の投影座標系を使用して作成できます。 Web マップでは、フィーチャ レイヤーを任意の投影法に投影できますが、タイル レイヤーはそれができません。 そのため、同じ投影法を使用してベースマップの上に投影された Web マップを作成しなければなりません。
カートグラフィのその他のチュートリアルについては、「カートグラフィの概要」ページをご参照ください。