測深データ サービスの検索
海底マップの作成は今に始まったことではありません。 しかしながら、危険が潜む水域を調査して安全に航行するために船員が用いるスキルは新しいテクノロジとともに進歩してきました。 海底マップには、航海だけでなく、海底通信ケーブルの敷設、天然資源の利用、風力発電機の建設、海上主権境界の定義といった新たな用途もあります。
今日では、海底調査にはいくつかの手法があり、測深データにはさまざまなデータ形式が用いられています。 最初に、マップ サービスとして利用可能なデータを探索します。
海洋データ ポータルの探索
最初に探索するデータ ポータルは General Bathymetric Chart of the Ocean (GEBCO) です。 GEBCO には、政府や調査機関をはじめとする各種ソースから公開されている信頼性の高い測深データセットが集められ、共有されています。
- 「https://www.gebco.net/」にアクセスしてこのサイトを探索します。
このサイトからデータをダウンロードすることもできますが、代わりに、Web マップ サービス (WMS) からここにアクセスします。 ArcGIS Pro で URL を指定することで WMS レイヤーを表示できるため、この Web サイトの正しい URL を調べます。
- ページの上部にある [Data & Products] にポインターを合わせます。 [GEBCO Web Services] をクリックします。
- [Access GEBCO's Web Services] ページを読みます。 [services available] リンクをクリックします。
注意:
Web サイトが変更されたか、リンクが見つからない場合は、「https://www.gebco.net/data_and_products/gebco_web_services/web_map_service/」に移動してください。
[GEBCO WMS] ページが表示されます。 ページの上部にある URL が、WMS データにアクセスするために必要な情報となります。
- URL https://www.gebco.net/data_and_products/gebco_web_services/web_map_service/ をコピーします。
WMS レイヤーを使用することで、ダウンロードすることなくデータにアクセスできます。 データはマップのラスター イメージとして存在し、GIS ソフトウェアでレイヤーとして表示および探索できます。 WMS レイヤーを他のマップ レイヤーに合わせて投影変換することはできますが、編集、コピーしたり、解析ツールの入力として使用したりすることはできません。 WMS レイヤーは参照データとして使用すると便利です。参照マップ自体が WMS レイヤーとして使用可能であれば、他の GIS レイヤーを参照マップと比較するのが容易になります。
このページには、この他にも WMS に関する情報が掲載されています。
- この情報を最後まで読んで、利用について何らかの制限があるかどうかを確認します。
多くのデータセットは、あらゆる用途ではなく、用途を限定して公開されています。 たとえば、データを教育目的に使用することは許可されていても、商用利用は許可されない場合があります。 データの閲覧は許可されていても、そこから派生製品を作成することは許可されない場合があります。 通常は、データの情報源を明記する必要があります。
質問 1: このデータを利用することが許可されていますか? それをどのようにして知りましたか?
注意:
「質問の答え」は、チュートリアルの最後にあります。
質問 2: 最終プロジェクトでデータの情報源をどのように明記しますか?
WMS の URL を見つけてその利用条件を確認しました。 多くの地理データ ポータルでは WMS 形式でデータが提供されています。
WMS レイヤーを ArcGIS Pro で表示
次に、ArcGIS Pro で WMS を表示します。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [空のテンプレート] で [マップ] をクリックします。
- [新しいプロジェクトの作成] ウィンドウで、[名前] に「Ocean」と入力します。
- [場所] で [参照] ボタンをクリックし、任意の場所 (C ドライブなど) を選択します。
- [このプロジェクトのための新しいフォルダーを作成] チェックボックスはオンのままにします。
このフォルダーには、ArcGIS Pro プロジェクトを含む、リサーチ プロジェクトに関連するすべてのデータとドキュメントを保存します。
- [OK] をクリックします。
ArcGIS Pro が開き、世界のマップが表示されます。 マップの両側にウィンドウが開いていることがあります。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで [ウィンドウのリセット] をクリックし、[マッピング用にウィンドウをリセット (デフォルト)] をクリックします。
[コンテンツ] ウィンドウと [カタログ] ウィンドウだけが開いている状態になりました。 後からこの両方を使用します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンの下半分をクリックし、[パスからのデータ] をクリックします。
[パスからのデータの追加] ウィンドウが表示されます。 この方法によって、さまざまな種類のマップ データ サービスを追加できます。
- [パス] に、GEBCO WMS への URL 「https://www.gebco.net/data_and_products/gebco_web_services/web_map_service/mapserv?」を貼り付けます。
別のメニューが表示されます。
- [サービス タイプ] で、[WMS OGC Web サービス] を選択します。
OGC (Open Geospatial Consortium) は WMS プロトコルを開発した国際的な地理空間標準化機構です。
- [追加] をクリックします。
新しいマップ データが表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、WMS レイヤーの横にある矢印をクリックして展開します。 そのサブレイヤーも展開します。
さらに 7 つのサブレイヤーがあります。 WMS レイヤーには、通常、関連するマップのコレクションがサブレイヤーとして含まれています。
- Ctrl キーを押しながら、いずれかのサブレイヤーのチェックボックスをクリックします。
すべてのサブレイヤーがオフになります。
- [GEBCO Grid colour-shaded for elevation] レイヤーをオンにします。
レイヤーがマップ上に表示されます。 標高と水深が色によって表されています。 青色が濃くなるほど海深は深くなります。
- [GEBCO Grid colour-shaded for elevation] をオフにし、[GEBCO Grid shaded relief] をオンにします。
このレイヤーの色調は同じですが、地形図作成の 1 つの手法である、陰影起伏があります。 丘陵地を照らす太陽光によって影ができる様子が再現されています。 マップがより自然で 3 次元的な外観になっています。
- 画面移動およびズームして、マップを探索します。
一部のエリアでは、海底で直線が交差していて不自然に見えます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[GEBCO_LATEST TID 2 Grid] をオンにします。
交差する線がマップに表示されます。 これらの線の多くは、前の手順で確認した不自然に見える直線エッジと一致しています。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[GEBCO_LATEST TID 2 Grid] サブレイヤーを展開します。
凡例が表示されます。
マップ上の線は、データが収集されたエリアを示しています。 TID は Type Identifier の略であり、データの収集方法を示しています。
全世界の測深データが衛星によって収集されていますが、低い解像度のものしかありません。 高解像度データは水路測量の手法を用いて収集する必要があり、このうち最も一般的なマルチビーム ソナー システムによる手法は、海洋の一部についてのみ利用することができます。 海底で交差している直線エッジは、衛星以外のマルチビーム測量法などの手法によってデータが収集されたエリアを示しています。
このマップは、海洋の大部分、特に陸地から遠く離れたエリアについては、高解像度のマップがまだ作成されていないことを示しています。
注意:
測深データの収集法および海底マップの作成範囲については、世界海洋デーに向けて NOAA Ocean Exploration and Research が作成した「Seafloor Mapping: The Foundation for Healthy Oceans and a Healthy Planet」をご参照ください。
データを確認した後は、プロジェクトで WMS レイヤーが役立つかどうかを評価します。 GEBCO Grid shaded relief サブレイヤーは、鮮やかな色と陰影起伏によって、このマップ内の海深をわかりやすく示します。 これは参照レイヤーとして役立ちます。 GEBCO_Latest TID 2 Grid サブレイヤーは、後から分析を行う際に収集方法を評価および比較するときに役立ちます。 このレイヤーでは、測深データの精度が最も高い位置と補間されている位置についてコンテキストが提供されます。
海洋ベースマップの探索
探索した WMS データはサービスの一種です。 サービスは、マップにストリーミングされるデータです。 これらは他の誰かによって所有、管理、保存されています。 サービスは定期的に更新され、コンピューターの容量を占有しません。 サービスを利用することで、大量のデータを速やかに表示できます。
最も一般的なタイプのマップ サービスの 1 つがベースマップであり、これは他のマップ データに地理コンテキストを提供することを目的としています。 Esri は ArcGIS ソフトウェア内で直接アクセス可能な各種ベースマップを提供しています。 お使いのマップにはすでにベースマップがありますが、海洋図にさらに適したベースマップに変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[GEBCO_Latest TID 2 Grid] サブレイヤーを折りたたみます。 すべての WMS サブレイヤーをオフにします。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックします。 [ベースマップ] ギャラリーで、[海洋図] をクリックします。
- 画面移動およびズームして、新しいマップを探索します。
- [GEBCO Grid shaded relief] サブレイヤーをオンにします。
ベースマップのラベルがまだ表示されています。 このベースマップは 2 つのレイヤーから成り、[World Ocean Base] は WMS レイヤーの下にあり、ラベルが含まれている [World Ocean Reference] は一番上にあります。
- 最上位の WMS レイヤーを選択します。 リボンの [WMS レイヤー] タブをクリックします。 [比較] グループで [スワイプ] ツールをクリックします。
- マップ上でスワイプして、GEBCO レイヤーをベースマップと比較します。 北大西洋のさまざまなエリアを探索します。
質問 3: WMS レイヤーとベースマップの類似点と相違点は何ですか?
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループの [マップ操作] ツールをクリックして、スワイプの代わりにマップを画面移動できるようにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、WMS レイヤーをオフにして折りたたみます。
注意:
Esri 海洋図ベースマップが作成された経緯と理由については、「海洋 GIS の基礎」をご参照ください。
海洋図ベースマップのすべてではありませんがそのほとんどが、WMS レイヤーに表示されるものと同じ GEBCO データから作成されています。 これはすでにあるデータと重複していますが、海洋地形のラベルが提供され、薄い色は作成するすべてのマップのコンテキスト背景として適しているという 2 つの点で、プロジェクトに役立つツールとなります。
海底地形の探索
プロジェクトにマップ サービスをもう 1 つ追加します。これは世界の海洋の地形をマップに表示するレイヤーです。 地形学は、今日のような陸地の地勢 (この場合は海底の地勢) が形成された理由と、時間の経過とともに地勢がどのように変化したかを理解することを目的としています。 地形学は陸上 (陸地) 地形と海底 (海洋) 地形についての研究です。 このレイヤーを ArcGIS Online から追加して ArcGIS Pro で探索することで、調査エリアについて理解を深めます。
- [カタログ] ウィンドウで、[ポータル] タブをクリックして [Living Atlas] タブをクリックします。
このタブによって、検索範囲が「ArcGIS Living Atlas of the World」(信頼性の高いマップと地理データの選りすぐりのコレクション) からのコンテンツのみに絞り込まれます。
- 検索バーに「World Seafloor Geomorphology」と入力し、Enter キーを押します。 検索結果で、[World Seafloor Geomorphology] にポインターを合わせます。
このアイテムに関するメタデータがポップアップ ウィンドウに表示されます。 [タイプ] プロパティに [マップ イメージ レイヤー] とリストされています。
「マップ イメージ レイヤー」は、イメージ タイルとして共有されているマップです。 このように、マップ イメージ レイヤーは以前に表示した WMS レイヤーとよく似ています。 異なる点として、WMS レイヤーはラスター データに基づいているのに対し、マップ イメージ レイヤーはベクター データに基づいています。 このチュートリアルの後半で、ベクター データとラスター データの違いについて学びます。
- 検索結果で、[World Seafloor Geomorphology] を右クリックして [現在のマップに追加] をクリックします。
注意:
World Seafloor Geomorphology レイヤーは ArcGIS Living Atlas から提供されていますが、これは非営利の環境コミュニケーション グループである「GRID Arendal」によって公開されました。
マップにデータが表示されます。 これは半透明なので、ベースマップが透けて表示されます。 さまざまな海底地形が色分け表示されています。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[World Ocean Base] レイヤーをオフにして、マップの色がさらにはっきりと表示されるようにします。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [照会] グループで、[場所検索] ボタンをクリックします。
[場所検索] ウィンドウが表示されます。
- [場所検索] ウィンドウの検索バーに「New England Seamounts」と入力し、Enter キーを押します。
北大西洋上の弧を描くように並んだ黄色のスポットにマップがズームします。
海山は、海底から 1,000 メートル以上隆起した海底火山の山頂または山頂群です。 これらの多くは通常は円錐形状をしています。 海面近くの一部の海山はサンゴ環礁になっています。 海面から露出して島を形成する海山は、波の作用によって侵食され、再び水没して山頂部が平坦なギヨー海底山になることがあります。
- ニューイングランド海山をさらに拡大します。 [場所検索] ウィンドウを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[World Seafloor Geomorphology] レイヤーを展開します。 Ctrl キーを押しながら、いずれかのサブレイヤーの矢印をクリックして、すべてのサブレイヤーを一度に展開します。
マップのすべての色について説明する凡例が表示されました。 ただし、マップ上では地形が重なり合っており、色がたくさんあるため、地形を読み取るのは必ずしも簡単ではありません。
- Ctrl キーを押しながら、いずれかのサブレイヤーをクリックして、すべてのサブレイヤーを一度にオフにします。
- [Seamounts] サブレイヤーを再びオンにします。 リストの下部までスクロールし、[Zone] レイヤーをオンにします。
この海山は深海ゾーンに存在します。 この海山の西に大陸斜面に隔てられて大陸棚が存在します。
- 他のサブレイヤーを 1 つずつオンにして、マップ上でこれらを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[World Seafloor Geomorphology] を右クリックし、[メタデータの表示] をクリックします。
カタログ ビューに、このレイヤーの詳細情報が表示されます。
- マップに表示されているいくつかの地形について詳細を確認します。
質問 4: ニューイングランド海山のエリアでは他にどのような地形が見つかりましたか? このエリア内のこのデータから明らかになった地理的パターンについて所見を述べてください。
- カタログ ビューを閉じます。
- [World Seafloor Geomorphology] レイヤーを折りたたんでオフにします。 [World Ocean Base] レイヤーをオンにします。
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
注意:
ニューイングランド海山の一部の海洋環境については、「ノースイースト キャニオンズ アンド シーマウントズ マリン ナショナル モニュメント」をご参照ください。
[World Seafloor Geomorphology] レイヤーを使用することで、調査エリアについての記述、分類、理解をより適切に行うことができます。 これはプロジェクトに参照レイヤーとして残します。
このチュートリアルではこれまでに、どこか別の場所に保存されていてインターネットを介してアクセスする、さまざまな種類のマップ サービスを探索してきました。 次の手順では、データをダウンロードして、コンピューター上に保存されているローカル コピーを使用できるようにします。
測深データのダウンロード
データをダウンロードすると、Web サービスにアクセスする場合と比べ、データの編集、データの表示方法の変更、データを使用した新規データセットの作成、解析の実行が可能になるという長所があります。 また、データに変更が加えられたり消えてしまう危険がありません。
数値標高モデルのダウンロード
NOAA (アメリカ海洋大気庁) で 2 つの数値標高モデル (DEM) を検索してダウンロードします。
- 「https://ngdc.noaa.gov/mgg/bathymetry/relief.html」にアクセスします。
国立環境情報センター (NCEI) は NOAA の支局であり、世界最大の環境データ アーカイブの 1 つを管理しています。 このコレクションに多数の測深データ製品が含まれています。
- このページのリンクを探索して、提供されている各種データについて調べます。
質問 5: 使用可能なデータ形式にはどのようなものがありますか?
地理データはさまざまな形式で提供されています。 一部のデータ形式は、使用する前に処理が必要です。 次に、NCEI サイトからいくつかのデータをダウンロードし、ArcGIS Pro のマップに追加します。
- メイン ページに戻り、[NCEI Bathymetric Data Viewer] が見つかるまでスクロールして、[Launch Interactive Map] をクリックします。
- 必要に応じて、[Redirect now] をクリックします。 または、「https://www.ncei.noaa.gov/maps/bathymetry/」に移動します。
[Bathymetric Data Viewer] が表示されます。 このツールは、測深データを検索してダウンロードするためのビジュアル インターフェイスを提供します。
- マップの横の [Layers] ウィンドウで、[DEM Footprints] 以外のすべてのチェックボックスをオフにします。
- マップで、米国の東海岸にズームします。 さらに拡大してチェサピーク湾の湾口を表示します。
- マップで、[Virginia Beach] の長方形内をクリックします。
- ポップアップ ウィンドウで、[NCEI Digital Elevation Models] フォルダーを展開します。 [Virginia Beach (1/3 arc-second)] をクリックします。
1/3 arc-second はデータの解像度を表しています。
- [Link to Metadata] をクリックします。
- [Access] タブで、[Download Data] の横の [Download NetCDF File] をクリックします。
NetCDF は配列指向の科学データの共有に使用されるデータ形式であり、海洋学ではこの形式が一般的に使用されています。
このデータのダウンロードには数分かかります。 この間に、別の DEM データセットをダウンロードします。
- 「Atlantic DEM」をダウンロードします。
このレイヤーは、NCEI から提供されている別の DEM データセットのサブセットです。 これは狭いエリアにクリップされているため、このチュートリアルでのダウンロード時間を短縮できます。 元データセットのメタデータは「U.S. Coastal Relief Model Vol.2 – Southeast Atlantic」にあります。
- Atlantic_DEM.tif ファイルがダウンロードされたら、[Ocean] フォルダーに移動します。
ヒント:
Ocean フォルダーは、このチュートリアルの前半で、ArcGIS Pro で Ocean プロジェクトを作成したときに作成しています。
このファイルを特定のフォルダーに必ずしも配置する必要はありませんが、プロジェクトに関連するすべてのファイルをそのプロジェクトのフォルダーに配置することをお勧めします。 これにより、後でファイルを見つけて ArcGIS Pro のマップに追加するのが簡単になります。 このチュートリアルの後の手順では、このファイルが Ocean フォルダーに保存されているものとします。
数値標高モデルの表示
ダウンロードした 2 つのファイルはどちらも数値標高モデルであり、標高と水深がマップに表されています。 ただし、これらは .nc (netCDF) および .tif という 2 つの異なるデータ形式で保存されています。 先に .tif ファイルをマップに追加して探索します。
- ArcGIS Pro で Ocean プロジェクトを開きます。 リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [データの追加] をクリックします。
- [データの追加] ウィンドウで、サイド パネルの [プロジェクト] の下にある [フォルダー] を展開し、[Ocean] をクリックします。
- [Atlantic_DEM.tif] をクリックします。
- [OK] をクリックします。
注意:
[Atlantic_DEM.tif のピラミッドを構築] ウィンドウが表示された場合は、[はい] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Atlantic_DEM.tif] を右クリックして [レイヤーにズーム] をクリックします。
マップ上のチェサピーク湾の湾口から大陸斜面の上に重ねて、白黒データが表示されます。 [コンテンツ] ウィンドウで、凡例の範囲が -2883.1 ~ 20 になっています。
これは DEM なので、これらの数値は標高と水深を表しています。 このレイヤーのプロパティを表示して、数値の単位を調べます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Atlantic_DEM.tif] を右クリックして [プロパティ] をクリックします。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[ソース] タブをクリックします。 必要に応じて、[データ ソース] セクションを展開します。
[鉛直単位] の値はメートルになっています。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウを閉じます。
この凡例は、白色のエリアが標高 20 メートル、黒色のエリアが水深 2,883 メートルであることを示しています。
DEM は沿岸地域を理解するのに重要なツールです。 その用途として、津波や海面上昇のモデリング、生態系の管理、海洋空間計画などがあります。
- 画面移動およびズームして、データを探索します。 データの任意の地点をクリックします。
Stretch.Pixel Value がリストされたポップアップが表示されます。 これはクリックした地点の標高または水深のメートル値です。
- ポップアップを閉じます。
質問 6: Atlantic DEM レイヤーに表示される地形について説明してください。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[World Seafloor Geomorphology] レイヤーをオンにして [Atlantic DEM] レイヤーの上にドラッグします。
- [World Seafloor Geomorphology] レイヤーを展開し、[Canyons] 以外のすべてのサブレイヤーをオフにします。
DEM に、水深が浅い地点から深い地点を結ぶ暗いラインとして峡谷が表示されます。 これらの峡谷の多くは、海面がはるかに低く大陸棚が陸地として露出していた最終氷河期に、おそらくは河川によって形成されたものです。
- 峡谷を拡大して詳細に調べます。
DEM レイヤーはラスター データです。つまり、これはグリッドで構成されており、各セル (ピクセル) はそれぞれ異なる値を持ちます。 World Seafloor Geomorphology レイヤーはベクター データです。つまり、これは属性情報を持つ形状 (ポイント、ライン、またはポリゴン) で構成されています。
- [World Seafloor Geomorphology] レイヤーを折りたたんでオフにします。 [Atlantic DEM] を右クリックして [レイヤーにズーム] をクリックします。
数値標高モデルの比較
次に、NCEI からダウンロードした DEM を追加して .tif レイヤーと比較します。
- virginia_beach_13_mhw_2007.nc ファイルがダウンロードされたら、Ocean フォルダーに移動します。
- ArcGIS Pro のリボンで、[マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンの下半分をクリックします。 [多次元ラスター レイヤー] をクリックします。
netCDF ファイルには (たとえば、異なる時間や深さの情報を記録するために) 複数のディメンションのデータが含まれていることがあるため、表示するディメンションを選択する必要があります。
- [入力ファイル] で、[参照] ボタンをクリックします。 [Ocean] フォルダーを参照して [virginia_beach_13_mhw_2007.nc] を選択します。 [OK] をクリックします。
この netCDF ファイルには、Band 1 というディメンションが 1 つだけあります。
- [変数の選択] テーブルで、[Band1] のチェックボックスをオンにします。 [出力構成] が [多次元ラスター] に設定されていることを確認します。
- [OK] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[virginia_beach_13_mhw_2007.nc_Band1] レイヤーをクリックして選択します。 キーボードの F2 キーを押して、このレイヤー名を編集可能にします。 「Virginia Beach DEM」と入力して Enter キーを押します。
レイヤーがマップに完全に表示されるまでに少し時間がかかることがあります。 このレイヤーも DEM です。 他の DEM とは異なる配色が使用され、標高が高い場所は赤色、標高が低い場所は青色で表示されます。 このレイヤーは他のレイヤーよりも狭いエリアをカバーしています。
2 つの DEM を比較しやすくするために配色を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Virginia Beach DEM] の下の凡例を右クリックします。 配色メニューをクリックし、[黒から白] 配色を選択します (配色にポインターを合わせると、その名前が表示されます)。
配色が逆になっています。 配色を反転して、標高が高い場所が白色、標高が低い場所が黒色で表示されるようにします。
- この凡例を再び右クリックし、[配色の反転] ボタンをクリックします。 配色ウィンドウの外側をクリックして変更を確定します。
2 つの DEM レイヤーで同じ配色が使用されるようになりました。
質問 7: Atlantic DEM では大陸棚に標高差が見られません。このエリア全体が平坦な白色で表示され、海岸線もよく見えません。 Virginia Beach DEM では同じエリアの変化が強調されているのはなぜですか?
Virginia Beach DEM レイヤーがカバーするエリアは他の DEM によってすでにカバーされています。 ただし、これは既存のレイヤーよりも高解像度のデータであり、提供される 1 平方キロメートルあたりの情報は多くなります。 このレイヤーは海岸線の地形に注目した分析で役に立つ可能性があるため、プロジェクトの一部として残します。
質問 8: Virginia Beach DEM が Atlantic DEM より解像度が高いことはどこからわかりますか?
- [コンテンツ] ウィンドウで、[World Seafloor Geomorphology] レイヤーをオンにします。
この DEM の南側付近で、峡谷が途切れているのがわかります。
このエリアはカリタック地滑り地帯と命名されています。 これは 2.4 ~ 5 万年前に発生した海底土砂崩落 (SMF) によって発生しました。 SMF は海底地滑りであり、地震、大量の堆積物、ガス漏出によって引き起こされます。 SMF は津波を引き起こすことが知られており、大西洋での津波の原因の大半は SMF です。
大陸斜面の別の部分が崩壊すると、カリタック地滑りが発生したときのように、米国東海岸で局地的な津波が発生する可能性があります。 SMF が発生することはまれですが、カリタックと同じ規模の SMF が同じ地域で発生した場合、カテゴリ 3 または 4 のハリケーンの高潮とほぼ同じ遡上高になることがシミュレーションによって明らかになっています。 津波の遡上高 (浸水高) とは、津波が到達した最も高い地点の標高のことです。 Virginia Beach DEM レイヤーで見られるような、海岸線の高解像度の海底地形と陸地地形は、津波の脅威をモデリングするのに重要なツールです。
質問 9: 津波に備える上で、海底と陸地の高解像度の標高データはどのように役立ちますか?
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
注意:
カリタック地滑りの詳細については、「Potential for large-scale submarine slope failure and tsunami generation along the U.S. mid-Atlantic coast」をご参照ください。
このチュートリアルでは、測深データのいくつかのソースを探索しました。 WMS の URL を指定して GEBCO データにアクセスし、ベースマップ ギャラリーから海洋図ベースマップにアクセスし、[カタログ] ウィンドウから ArcGIS Living Atlas の地形マップにアクセスしました。 2 つの DEM データセットをダウンロードしました (1 つは NCEI データ ポータルから)。 これらはオンラインで利用可能な測深データ ソースの一部にすぎません。
データ ポータルとそのデータセットを探索することは、ほぼすべての GIS プロジェクトで必要なステップです。 関連する地理空間データの検索には時間がかかることがありますが、プロセスの早い段階で綿密な調査を行うことで、以降の GIS プロジェクトの作業が軽減されます。
他のチュートリアルについては、Learn ArcGIS のチュートリアル ギャラリーをご覧ください。 このチュートリアルで使用した Atlantic DEM レイヤーをさらに深く掘り下げるには、「2D と 3D での海底谷の視覚化」チュートリアルをお試しください。
質問の答え
- このデータを利用することが許可されていますか? それをどのようにして知りましたか?
はい、このデータは使用して問題ありません。 [Data sources and WMS development] の下にある [GEBCO Grid] リンクまたは [documentation] をクリックします。 どちらのリンクをクリックしても「Gridded Bathymetry Data」ページが表示され、WMS の作成に使用されたデータについて詳細を確認することができます。 [Terms of use] の下に、GEBCO Grid は公開されており、無料で使用できることが明記されています。 詳細については、conditions of use and disclaimer information リンクをクリックしてください。
- 最終プロジェクトでデータの情報源をどのように明記しますか?
データ ソースの情報源として次のように記載します: 「Imagery reproduced from the GEBCO_2022 Grid, GEBCO Compilation Group (2022) GEBCO 2022 Grid (doi:10.5285/e0f0bb80-ab44-2739-e053-6c86abc0289c)」 この情報は「GEBCO WMS」ページの「Data set acknowledgement」の下にあります。
- WMS レイヤーとベースマップの類似点と相違点は何ですか?
どちらのレイヤーにも海底の陰影起伏が含まれており、青色の陰影によって海深が表されています。 WMS レイヤーの方が深さの色がくっきりと鮮やかで、プエルトリコ海溝などの地形はよりわかりやすく表示されます。 ベースマップ レイヤーには峡谷や堆などの地形や深度測定のラベルが含まれており、これらは地形や領域を識別するのに役立ちます。 ベースマップはマルチスケールであり、拡大するとさらに詳細な情報が表示されます。
- ニューイングランド海山のエリアでは他にどのような地形が見つかりましたか? このエリア内のこのデータから明らかになった地理的パターンについて所見を述べてください。
明らかになるパターンの例としては次のようなものがあります。
- 峡谷は大陸棚の端から指のように広がっています。
- 調査エリアの大部分は丘になっていて、大陸縁辺に沿って厚い堆積物斜面が形成されています。
- 海山と斜面の多くは断崖になっています。 これらの急斜面は通常はこれらの地形と重なり合っています。
- 使用可能なデータ形式にはどのようなものがありますか?
.csv ファイル、GeoTiff ファイル、netCDF ファイル、ESRI ASCII ラスター グリッド、XYZ グリッド、マルチビーム ファイル、CD などがあります。
- Atlantic DEM では大陸棚に標高差が見られません。このエリア全体が平坦な白色で表示され、海岸線もよく見えません。 Virginia Beach DEM では同じエリアの変化が強調されているのはなぜですか?
Atlantic DEM レイヤーに表示されている地形のなかで最も目立つ地形は大陸斜面です。 南北に走る大陸斜面は、調査エリアを標高が異なる 2 つのエリアに分け隔てています。 大陸斜面には峡谷と斜面が連なっています。 海岸線は見えません。
- Atlantic DEM の標高範囲は Virginia Beach DEM よりもはるかに大きくなっています (2,903 メートル対 85 メートル)。 このため、Virginia Beach DEM では標高のわずかな変化が示されるのに対し、Atlantic DEM では大陸斜面の標高の劇的変化を示すために色の範囲全体は使用されていません。
- Virginia Beach DEM が Atlantic DEM より解像度が高いことはどこからわかりますか?
どちらのレイヤーの方が解像度が高いかを調べるには次の 2 つの方法があります。
- 各 DEM を個々のピクセルが見えるまで拡大します。 マップの下に表示されている縮尺を確認します。 Virginia Beach DEM でピクセルが見えるようにするには、さらに拡大する必要があります。 「計測」ツールを使用してピクセルを測定することもできます。
- 各レイヤーを右クリックして [レイヤー プロパティ] をクリックします。 [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[ソース] タブをクリックします。 [ラスター情報] セクションを展開します。 [セル サイズ X] と [セル サイズ Y] の値を確認します。Atlantic DEM の方がこれらの値は大きく、各ピクセルがより広いエリアをカバーしています。
- 津波に備える上で、海底と陸地の高解像度の標高データはどのように役立ちますか?
津波は物理法則に従って振る舞い、その移動時間、速度 (波速)、振幅 (波高) は深さと海岸線の形状によって変化します。 津波の形状、方向、衝撃力は特に、移動する海底の深さと広さによって変化します。 陸地で発生する被害の性質は海岸線の地形によって異なります。