編集可能なビルディング シーン レイヤーの準備と共有
本ワークフローの前半では、編集可能な 3D のビルディング シーン レイヤーを作成し、共有します。 ArcGIS Pro プロジェクトの設定後、ご自身のローカル コンピューターからエンタープライズ ジオデータベースにビルディング データセットをコピーします。 その後、そのエンタープライズ ジオデータベースのデータを用いて編集可能なビルディング レイヤーを作成し、オンラインで共有します。
プロジェクトの設定とデータの検証
まず、本チュートリアルに必要なデータが格納されているプロジェクト パッケージをダウンロードし、ArcGIS Pro で開きます。 次に、データを検証します。
- Building_management パッケージをダウンロードします。
[Building_management.ppkx] という名前のファイルがコンピューターにダウンロードされます。
注意:
.ppkx ファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。
- コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。 [Building_management.ppkx] をダブルクリックし、ArcGIS Pro で開きます。 サイン インを求められたら、ArcGIS Enterprise アカウントでサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
プロジェクトが開きます。
注意:
このワークフローを正常に完了するには、ArcGIS Enterprise アカウントに接続する必要があります。これにより、エンタープライズ ジオデータベースにアクセスでき、ArcGIS Enterprise ポータルに公開できます。
- 適切な ArcGIS Enterprise アカウントでサイン インしていることを確認します。
アカウントが異なる場合、適切なポータルに切り替えます。
- リボンの [プロジェクト] をクリックします。
- [Portals] をクリックします。
- [ポータル] の下で、関連する ArcGIS Enterprise ポータルを右クリックし、[アクティブなポータルとして設定] を選択します。
注意:
この段階で問題があれば、ArcGIS 管理者に問い合わせ、適切な ArcGIS ポータルに接続していることを確認してください。 [ポータルの追加] ボタンをクリックして、新たなポータルを追加することもできます。
- [戻る] ボタンをクリックします。
本チュートリアルで使用するデータは、ローカルのジオデータベースに格納されています。 これを今から確認します。
- リボンの [表示] タブにある [ウィンドウ] グループで [カタログ ウィンドウ] を選択します。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。
- [カタログ] ウィンドウで、[データベース] と [Building_management.gdb] を展開します。
[Building_management.gdb] ジオデータベースで、[HR_Zalmhaven] フィーチャ データセットを見つけます。このデータセットには、De Zalmhaven 高層ビルの細部を 3D で表現したデータが格納されています。 このデータは BIM ファイル ワークスペースからインポートされたものです。
注意:
ご自身のデータを用いて、類似のワークフローで作業を実施したいが、ご自身の BIM ファイル ワークスペース (IFC または Revit) が ArcGIS ジオデータベース フィーチャ データセットにインポートされていない場合は、以下の手順でその準備をする必要があります。
(1) ジオリファレンスされる必要がある場合は、「3D デジタル ビルディング モデルのジオロケーション」チュートリアルをご参照ください。
(2) ArcGIS Pro の BIM ファイル → ジオデータベース ツールを使用して、インポートを実施します。 フィーチャ データセットが格納された、本チュートリアルで使用しているものと類似のローカルのジオデータベースが作成されます。 2D フィーチャクラスは本チュートリアルで使用する機能の一部でサポートされていないので、2D フィーチャクラスを含めないように、[フロアプラン フィーチャクラスを含む] を必ずオフにしてください。
- [HR_Zalmhaven] データセットを展開して、そのコンテンツを確認します。
[HR_Zalmhaven] データセットには、梁、天井、柱など建物の要素を表現する多数のフィーチャクラスが格納されています。
- [HR_Zalmhaven] データセットを折りたたみます。
これでプロジェクトが設定されました。
ビルディング データセットのエンタープライズ ジオデータベースへのコピー
本ワークフローは ArcGIS Enterprise システムに大きく依存しているため、ローカルの [HR_Zalmhaven] データセットをエンタープライズ ジオデータベースにコピーする必要があります。 まず、エンタープライズ ジオデータベースに接続します。
- [カタログ] ウィンドウで [データベース] を右クリックし、[新しいデータベース コネクション] を選択します。
- [データベース コネクション] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [データベース プラットフォーム] で、組織のセットアップに固有のデータベース管理システム (DBMS) を選択します。たとえば、[PostgreSQL] や [SQL Server] です。
- [インスタンス] に、DBMS インスタンス名を入力します。
- [認証タイプ] は、デフォルトの [データベース認証] のままにします。
- [ユーザー名]に、エンタープライズ データベースのユーザー名を入力します。
- [パスワード] に、エンタープライズ データベースのパスワードを入力します。
- [データベース]に、エンタープライズ データベース名を入力します。
- [コネクション ファイル名] に、「Egdb_connection.sde」と入力します。
注意:
不明な情報がある場合は、ArcGIS 管理者にお問い合わせください。
本チュートリアルで使用する固有の DBMS は Microsoft SQL Server です。
読み取り権限と書き込み権限を持つジオデータベース アカウントを使用する必要があります。
- [OK] をクリックします。
しばらくすると、[Egdb_connection.sde] データベース接続が表示されます。
- [カタログ] ウィンドウで [Egdb_connection.sde] コネクション フォルダーを展開します。
しばらくすると、エンタープライズ ジオデータベースのコンテンツが表示されます。 コンテンツは組織によって異なります。 次に、データセットのコピーに進みます。
- [Building_management.gdb] が展開されていることを確認します。 [HR_Zalmhaven] データセットを右クリックし、[コピー] を選択します。
- [Egdb_connection.sde] を右クリックして [貼り付け] を選択します。
しばらくすると、エンタープライズ ジオデータベースに [HR_Zalmhaven] データセットのコピーが表示されます。
- コピーした [HR_Zalmhaven] データセットを展開し、コンテンツを検証します。
注意:
データセットと格納されているすべてのフィーチャクラスの先頭には、サイン インに使用したデータベースのユーザー名が付きます。
次に、データセットのプロパティの一部をアップデートする必要があります。
- [Egdb_connection.sde] の下にある [カタログ] ウィンドウの [HR_Zalmhaven] データセットを右クリックして [プロパティ] を選択します。
- [フィーチャ データセット プロパティ] ウィンドウの、[管理] タブをクリックして、以下のチェックボックスをオンにします。
- フィールドはデフォルトのままにします。このフィールドは、[編集情報の記録] によってデータセットに作成される必要があります。
- [OK] をクリックして、[プロパティ] ウィンドウを閉じます。
注意:
新規プロパティの設定の適用と、新規フィールドの作成には時間がかかることがあります。 その時間は DBMS 設定によって異なります。
しばらくすると、エンタープライズ ジオデータベースにビルディング データセットのコピーが保存され、使用できるようになります。 この後のワークフローで使用するのは、このバージョンのビルディング データのみです (ローカル コンピューターにある元々のバージョンではありません)。 エンタープライズ ジオデータベースを使用すると、組織の複数のユーザーが編集可能な、ビルディング レイヤーを作成できます。
ビルディング レイヤーの作成
エンタープライズ ジオデータベースに保存されているデータから、編集可能な 3D のビルディング シーン レイヤーを作成します。 ビルディング シーン レイヤーは BIM データをまとめる包装のように機能し、その表示をカスタマイズできます。 まず、ローカル シーンを設定します。
- リボンの [挿入] タブにある [プロジェクト] グループで、[新しいマップ] の横にある下向き矢印をクリックし、[新しいローカル シーン] を選択します。
新しいローカル シーンが表示されます。
ビルディング シーン レイヤーを構築するために、[ビルディング レイヤーの作成] ツールを使用します。
- リボンの [表示] タブの [ウィンドウ] グループで、[ジオプロセシング] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索ボックスに「Make Building Layer」と入力します。 結果リストの [ビルディング レイヤーの作成 (Make Building Layer)] ツールをクリックして開きます。
- [ビルディング レイヤーの作成] ウィンドウの [入力フィーチャ データセット] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [入力フィーチャ データセット] ウィンドウで、[データベース] → [Egdb_connection.sde] を参照し、[HR_Zalmhaven] データセットを選択して、[OK] をクリックします。
- [ビルディング レイヤーの作成] ウィンドウの [出力レイヤー] で、デフォルト値の [HR_Zalmhaven_Layer] のままにし、[実行] をクリックします。
しばらくすると、ビルディング レイヤーがシーンに追加されます。
3D シーンをナビゲートし、新しいレイヤーを調査します。
- シーンの [ナビゲーター] ホイールの上にある [フル コントロールの表示] ボタン
をクリックします。
[ナビゲーター] ホイールが拡張され、3D ナビゲーション機能が追加されます。
- 中央の [ナビゲーター] ホイールを使用して、シーンの傾斜や回転を行います。
また、マウス ホイール ボタンを使用して拡大/縮小したり、マウスの左ボタンを押しながらドラッグして画面移動したりすることもできます。
ヒント:
3D ナビゲーションのオプションの詳細については、「3D でのナビゲーション」をご参照ください。
- ビルディングのビューが適切になるまで、傾斜、回転、ズーム、画面移動を行います。
これで、レンダリングを高速にする Exterior Shell のみが表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[HR_Zalmhaven_Layer] を展開します。
多数のコンポーネント (専門分野) がリストされて表示されます。 任意のコンポーネントをオンにして、ビルディングの全体像をより明確にします。
- [ExteriorShell] をオフにして、専門分野の [Architectural] と [Structural] をオンにします。
ビルディングが更新され、選択したコンポーネントが表示されます。
- 必要に応じて、引き続き傾斜、回転、ズーム、画面移動して、さらにビルディングを検証します。
プロジェクトを保存します。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックします。
これで、ビルディング レイヤーが作成されました。 このビルディング レイヤーはローカルコンピューターのみに存在しますが、エンタープライズ ジオデータベースとつながっているため、格納されている多くのデータ エレメントにアクセスできます。 次に、ビルディング レイヤーの表示をカスタマイズします。
ビルディングの表示のカスタマイズ
目標はビルディングのユニットの利用可否の追跡を続けることなので、これらのユニットの表示を重視します。 ビルディング レイヤーのデータセットでは、ユニットは [部屋] と呼ばれます。 まず、[Rooms] レイヤーをオンにします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [HR_Zalmhaven_Layer] で、[Structural] 専門分野の横にあるチェックボックスをオフにします。
- [Architectural] 専門分野を展開し、そのレイヤーすべてのチェックボックスをオフにして、[Rooms] レイヤーのチェックボックスをオンにします。
部屋のフィーチャのみが表示されるようになり、ビルディングの住居用の部屋またはその他の種類のユニットが示されます。 すべての部屋が黄色でシンボル表示されます。
これで、部屋の表示を変更し、[Available]、[Leased]、[Sold] のステータスを反映できます。
- [Rooms] レイヤーを右クリックして [シンボル] を選択します。
- [シンボル] ウィンドウで、次のパラメーター値を設定します。
- [プライマリ シンボル] で、[個別値] を選択します。
- [フィールド 1] で [Space_Status] を選択します。
[Space_Status] は [Rooms] の属性で、ユニットの利用可否に関する情報を保存しています。 マップ上のビルディングが更新され、ユニットの利用可否を基に、ユニットが異なるデフォルトの色で表示されます。 次に、色の選択肢を調整します。
- [シンボル] ウィンドウにある [クラス] タブの [Space_Status] の下で、[Available] 属性値のシンボルを右クリックします。 カラー パレットで、[ソーダライト ブルー] など、薄い青色を選びます。
- [Leased] のシンボルを右クリックし、[セビリア オレンジ] などの濃いめのオレンジ色を選びます。
- [Sold] のシンボルを右クリックし、[ミディアム ライラック] などの中間的な紫色を選びます。
これで、3 つの属性値すべての色が選択できました。
マップ上で、色が半透明で表示されます。 それらを、ソリッド カラーの表示に変更します。
- [シンボル] ウィンドウで、[Available] の薄い青色のシンボルをクリックします。
- [メッシュ シンボルの書式設定 - Available] の下の [プロパティ] をクリックし、[レイヤー] ボタンをクリックします。 [マテリアル モード] で、[置換] を選択します。
- [適用] をクリックします。
これで、マップ上に [Available] ユニットがソリッド ライト ブルーで表示されます。
- 戻るボタンをクリックします。
- 同様に、[Leased] および [Sold] シンボルを変更し、ソリッド カラーとしてレンダリングします。
これでビルディングのすべてのユニットがソリッド カラーで表示され、利用可否のステータスがわかります。
- [シンボル] ウィンドウを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[HR_Zalmhaven_Layer] を折りたたみます。
- Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存します。
シンボルが新しくなり、ビルディングのユニットの利用可否が一目でわかるようになりました。
ビルディング レイヤーの共有
3D のビルディング シーン レイヤーが ArcGIS Pro プロジェクトで使えるようになりました。 次に、それを ArcGIS Enterprise ポータルに共有して、組織の複数のユーザーがアクセスして、編集できるようにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [HR_Zalmhaven_Layer] を右クリックし、[共有] をクリックして、[Web レイヤーとして共有] を選択します。
ヒント:
ご自身のデータで作業をする場合、ビルディング シーン レイヤーには、データを格納していないサブレイヤーが一部含まれている場合があります。 オプションとして、ビルディング シーン レイヤーを共有する前に、これらの空のサブレイヤーを削除し、よりシンプルなオブジェクト構造を取得します。 そのために、[コンテンツ] ウィンドウで、[HR_Zalmhaven_Layer] を右クリックし、[空のレイヤーを削除] を選択します。
ただし、これらの空のレイヤーにデータを追加する予定の場合は、それらを削除しないでください。 本チュートリアルでは、すべてのサブレイヤーを残しておきます。
- [Web レイヤーとして共有] ウィンドウの、[一般] にある [アイテムの詳細] の下で、以下のパラメーターを設定します。
- [名前] に、「HR_Zalmhaven_Availability」と入力します。
- [サマリー] に、「The purpose of this layer is to track sales and leases in the De Zalmhaven high rise building.」と入力します。
- [タグ] に、「De Zalmhaven, Rotterdam, Building Scene Layer, Digital Model, IFC」と入力します。
- [データおよびレイヤー タイプ] の下の、[登録済みデータを参照] で、[シーン] が選択されていることを確認します。
このオプションを使用すると、ビルディング シーンがエンタープライズ ジオデータベースのデータに動的に接続されます。
- 必要に応じて、[場所] の [ポータル フォルダー] で、データを保存する ArcGIS Enterprise ポータル フォルダーを指定します。
デフォルトでは、アイテムはコンテンツのルート レベルに格納されます。 [参照] ボタンをクリックすると、既存のフォルダーを選んだり、フォルダーを作成したりできます。
- [共有先] の下で、組織の横にあるチェックボックスをオンにします。
エンタープライズ組織の全ユーザーが、Web レイヤーにアクセスできるようになります。
- [構成] タブをクリックします。
- 次のパラメーター値を設定します。
- [関連する Web フィーチャ レイヤーの操作] の下で、[編集を有効化して、次の操作を編集者に許可] の [追加]、[削除]、[更新]、[属性とジオメトリ] が選択されていることを確認します。
- [プロパティ] の下の、[M 値以外のジオメトリの更新を許可] の横にあるチェックボックスをオンにします。
- それ以外はすべて、デフォルト値のままにします。
これらのオプションによって、組織でエディターの役割を持つユーザーが Web レイヤーを編集できるようになります。
次に、[分析] を実行し、ArcGIS Enterprise ポータルでレイヤーを問題なく共有する準備ができていることを確認します。
- [共有の完了] の下の [分析] をクリックします。
[メッセージ] タブにエラーまたは警告メッセージが表示されたら、それらをレビューして対応する必要があります。
以下によくある問題と、それらの解決方法を示します。
- 00231: レイヤーのデータ ソースをサーバーに登録する必要があります - エンタープライズ ポータルがエンタープライズ ジオデータベースのデータを使用できるようにするには、データベースをポータルに登録する必要があります。 これは 1 度だけ行う必要のあるアクションです。 具体的な手順については、「ブランチ バージョン対応データの準備と公開」チュートリアルの、「分析ツールのエラーを修正し、公開する」のセクションのステップ 2 ~ 8 をご参照ください。
- 24114: ジオメトリ タイプがビルディング シーン レイヤーでサポートされていません - これはビルディング モデルに、ポイント、ポリライン、ポリゴンなどサポートしていない 2D フィーチャクラスが含まれていることが理由です。 BIM ファイル → ジオデータベース ツールを使用している時に、[フロアプラン フィーチャクラスを含む] オプションをオフにすることで、この問題は回避できます。 必要に応じて、2D レイヤーを [カタログ] から手動で削除できます。その場合、エンタープライズ ジオデータベースで、それぞれを右クリックして、[削除] を選択します。
- 24034: レイヤーのデータ ソースが Z 値対応であり、デフォルトの Z 値が定義されていません - この警告は無視できます。修正の必要はありません。
- 必要に応じて、問題と警告を修正し、[分析] を再び実行します。
すべてのエラーおよび警告は、無視することも可能な警告 [24034] も含めて、表示されないようにすべきです。
- [公開] をクリックします。
注意:
ビルディング シーン レイヤーの作成には多少時間がかかる場合があります。 その時間はエンタープライズ ポータルと DBMS 設定の仕様によって異なります。
最初に青色のメッセージが表示され、Web シーン レイヤーは正常に共有されたけれども、さらにいくつかの Web レイヤーでキャッシュが必要であり、Web レイヤーをオンラインで表示する準備ができていないことが示されます。
注意:
キャッシュが完了するまで、相当な時間がかかることがあります。
緑色のメッセージが表示された場合には、Web シーン レイヤーがキャッシュされ、オンラインで表示する準備ができていることを示しています。 これで、オンラインのシーン レイヤーのアイテム ページが表示されます。
- [Web レイヤーの管理] リンクをクリックします。
- Web ブラウザーでリンクが開くので、要求されたら ArcGIS Enterprise ポータルにサイン インします。
ビルディング シーン レイヤーのアイテム ページが、Web ブラウザーに表示されます。
本ワークフローの前半では、編集可能な 3D のビルディング シーン レイヤーの準備と共有を行いました。 ArcGIS Pro プロジェクトを設定し、データを調査した後、ローカルのビルディング データセットをエンタープライズ ジオデータベースにコピーしました。 その後、エンタープライズ ジオデータベースのデータを用いて編集可能な 3D ビルディング レイヤーを作成し、そのシンボルをカスタマイズして、それをオンラインで共有しました。
スペース管理用の Web シーンの作成
ビルディング シーン レイヤーを ArcGIS Enterprise ポータルに共有したので、あなたは次に、リッチな 3D 都市景観のコンテキストで表示したいと考えています。 ArcGIS Pro で既存の背景シーンを開き、一部の古い建物を非表示にしてスペースを確保し、共有したビルディング シーン レイヤーを追加します。 次に、結果のシーンを ArcGIS Enterprise ポータルに公開し、不動産業者やその他のプロジェクトの関係者がアクセスできるようにします。
既存の背景シーンの表示
ロッテルダム市の中心部を表す既存の Web シーンを ArcGIS Pro で開きます。 このシーンを De Zalmhaven ビルの背景に使用します。 この Web シーンは ArcGIS Online に公開されているため、ArcGIS Enterprise アカウントの代わりに ArcGIS Online アカウントを使用してアクセスします。
- リボンの [プロジェクト] をクリックします。
- [Portals] をクリックします。
- [ポータル] の下で、ArcGIS Online アカウントを右クリックし、[アクティブなポータルとして設定] を選択します。
注意:
この段階で問題があれば、担当の ArcGIS 管理者に問い合わせ、適切な ArcGIS Online アカウントに接続していることを確認してください。
- [戻る] ボタンをクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで [ポータル] をクリックし、[ArcGIS Online] ボタンをクリックします。 検索ボックスに「Rotterdam City Center owner:Learn_ArcGIS」と入力し、Enter キーを押します。
- 結果のリストで、[Rotterdam City Center] Web シーンを右クリックし、[追加して開く] を選択します。
しばらくすると、3D シーンが表示されます。
注意:
「この Web シーン」は Web ブラウザーで表示でき、すべてのユーザーがアクセスできます。 このようなシーンの作成方法については、「建設計画を支援する Web シーンの作成」をご参照ください。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Rotterdam City Center] シーンを構成するレイヤーを確認します。
シーンにはベースマップおよび地表レイヤーのほか、[Buildings]、[Bridges]、[Trees] などの複数のフィーチャ レイヤーが含まれています。
- シーンの [ナビゲーター] ホイールの上にある [フル コントロールの表示] ボタンをクリックします。
- これまで学習したとおり傾斜、回転、ズーム、画面移動によってシーンを探索し、シーンについての理解を深めます。
さまざまなレイヤーが一体化し、魅力的で情報が伝わりやすい都市景観を作り出しています。 シーンを開いたので、ArcGIS Enterprise アカウントに切り替えます。
- リボンの [プロジェクト] をクリックします。
- [Portals] をクリックします。
- [ポータル] の下で、ArcGIS Enterprise アカウントを右クリックし、[アクティブなポータルとして設定] を選択します。
- [戻る] ボタンをクリックして、シーンに戻ります。
- Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存します。
ロッテルダム市の中心部を表す既存の 3D Web シーンを ArcGIS Pro で開き、このシーンを探索しました。
シーンから古い建物を非表示にしてビルディング シーン レイヤーを追加
次に、Rotterdam City Center シーンを修正して、De Zalmhaven ビルがシーン内で最適に表示されるようにします。 シーンでは、新しい De Zalmhaven ビルの位置に、2 つの古い建物が表示されています。 ここでは、新しい建物のスペースを確保するため、古い建物を非表示にします。 次に、新しいビルディング シーン レイヤーを追加します。 まず、De Zalmhaven ビルの位置に移動します。
- 市の中心にあるセンター ブリッジの西側のエリアを拡大します。
- 2 つの古い建物が見えるまで拡大します。
2 つの建物の一意の ID を特定します。
- 1 つ目の古い建物をクリックして情報ポップアップを表示し、[ObjectID] 値 ([137392]) を書き留めます。
- 2 つ目の建物をクリックしてポップアップを表示し、[ObjectID] 値 ([136753]) を書き留めます。
注意:
ポップアップが表示されない場合は、リボンの [マップ] タブの [ナビゲーション] グループにある [マップ操作] ドロップダウン矢印をクリックし、[最上位レイヤー] オプションが選択されていることを確認します。
- ポップアップを閉じます。
次に、これら 2 つの建物 ID で定義クエリを作成し、表示から建物を除外します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Buildings] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] タブをクリックし、[新しい定義クエリ] をクリックします。
- [クエリ 1] で、[Where 句 OBJECTID が 137392, 136753 を含まない] という式を作成します。
- [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。
[Buildings] レイヤーが更新され、2 つの古い建物を除外して再描画されます。
注意:
2 つの建物は、ArcGIS Pro プロジェクト内で表示されなくなるだけです。 元の Web シーンからは削除されません。
次に、編集可能なビルディング シーン レイヤーを Rotterdam City Center シーンに追加します。
- [カタログ] ウィンドウで [ポータル] をクリックし、[ArcGIS Enterprise] をクリックします。 検索ボックスに「HR_Zalmhaven_Availability」と入力し、Enter キーを押します。
- 結果リストで [HR_Zalmhaven_Availability] シーン レイヤーを右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。
しばらくすると、ビルディングがシーンに表示され、利用可否のステータスに基づいてユニットがライト ブルー、オレンジ、または紫で示されます。
これで、Rotterdam City Center シーン内に新しいオンライン ビルディング シーン レイヤーが表示されるようになりました。
シーンのオンライン共有
次に、作成したシーンを ArcGIS Enterprise ポータルに共有し、不動産業者やプロジェクトの関係者が参照できるようにします。
- マップ上で、次のサンプル画像とほぼ同様に表示されるように、シーンの角度とズーム レベルを微調整します。
これが、共有する Web シーンで表示されるデフォルト ビューになります。
- Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存します。
- リボン上の [共有] タブの [共有] グループで、[Web シーン] をクリックします。
- [Web シーンとして共有] ウィンドウで、次のパラメーター値を設定します。
- [名前] に「De Zalmhaven Space Management」と入力します。
- [サマリー] に「The purpose of this web scene is to track sales and leases in the De Zalmhaven high rise building.」と入力します。
- 必要に応じて、[場所] の [ポータル フォルダー] で、データを保存する ArcGIS Enterprise ポータル フォルダーを指定します。
- [共有先] の下で、組織の横にあるチェックボックスをオンにします。
- [分析] をクリックします。
エラーが報告された場合は修正する必要があります。 [24125 サービス レイヤーのアイテム ID は含められません] という警告は無視してかまいません。
注意:
ビルディング シーン レイヤーを含む Web シーンの作成時には、ご利用の地域で一般に使用されているローカルの座標系を使用することをお勧めします。 その座標系はシーン全体とビルディング レイヤーの両方に対して使用する必要があります。 これらのベスト プラクティスに従っていない場合に、[分析] ステップで問題が報告されます。
「建設計画を支援する Web シーンの作成」のチュートリアルに、座標系の選択に関する詳細情報があります。
- [共有] をクリックします。
しばらくして、緑色のメッセージが表示された場合は、Web シーン レイヤーが共有され、キャッシュされて、シーンをオンラインで表示する準備ができていることを示します。
- [Web シーンの管理] リンクをクリックします。
- Web ブラウザーが開くので、要求されたら ArcGIS Enterprise ポータルにサイン インします。
Web シーンのアイテム ページが Web ブラウザーに表示されます。
この Web シーンがオンラインで利用可能になりました。このシーンを Scene Viewer で開きます。
- [概要] の [Scene Viewer で開く] をクリックします。
シーンが Web ブラウザーで開きます。
建物が ArcGIS Pro で選択したシンボルで表示され、その周囲にはロッテルダム市の中心部の背景が表示されます。
ワークフローのこのパートでは、ロッテルダム市の中心部を表す既存の背景シーンを ArcGIS Pro で開き、古い建物を非表示にして、ビルディング Web シーン レイヤーを追加しました。 次に、そのシーンを ArcGIS Enterprise ポータルの Web シーンとして共有し、Web ブラウザーでシーンを開きました。 これで、不動産業者やプロジェクトの関係者がオンラインで参照できるようになりました。
ビルディング データの編集と Web シーンの更新
De Zalmhaven 資産管理者として、シーンを使用してビルディング ユニットのステータスを管理し、どのユニットが空室、賃貸中、または販売済みであるかを記録して、その情報を関係者と共有できるようになりました。 ここでは、まず ArcGIS Pro で更新する必要のあるビルディング ユニットを選択し、属性値を編集します。 次に、ホストされているビルディング シーン レイヤーのキャッシュを更新して、最新の更新内容がオンラインで表示されるようにします。
更新するユニットの選択
最初に、ArcGIS Pro で初期のシーンに切り替えます。 このシーンには元のビルディング レイヤーとデフォルトの 3D シーン背景が含まれており、これを使用することでビルディング フィーチャ編集時の速度が少し改善します。 次に、更新する必要のあるビルディング ユニットを選択します。
- ArcGIS Pro で、[シーン] タブをクリックします。
- [Rotterdam City Center] シーンの [コンテンツ] ウィンドウで、[HR_Zalmhaven_Layer] の下の [Architectural] 専門分野を展開します。
- [Rooms] レイヤーを右クリックして、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] タブをクリックし、[新しい定義クエリ] をクリックします。
- [クエリ 1] で、[Where 句 RoomNumber が '461', '509', '677' を含む] という式を作成します。
- [適用] および [OK] をクリックします。
- 部屋番号 [461]、[509]、[677] に対応する 3 つのユニットだけが表示されます。
属性値の編集
販売済みまたは賃貸中であることを示すために、対象の 3 つのユニットを更新します。 まず、[RoomNumber] が [677] のユニットについて、[Space_Status] 属性の値を [Available] から [Sold] に変更します。
- リボンの [編集] タブの [選択] グループで、[属性] をクリックします。
[属性] ウィンドウが表示されます。
- [属性] ウィンドウで [1 つまたは複数のフィーチャを選択] をクリックします。
- マップの一番上にあるユニットをクリックします。
[属性] ウィンドウにそのフィーチャの属性値が表示されます。
- [属性] ウィンドウで、[RoomNumber] 属性まで下にスクロールし、値が [677] であることを確認します。
- さらに [Space_Status] 属性まで下にスクロールします。 現在の値が [Available] であることを確認します。
- [シンボル クラスの選択] ボタンをクリックし、[Sold] を選択して [適用] をクリックします。
- 直前の 4 つの手順を繰り返し、他の 2 つのユニットを更新します。
- [RoomNumber] が [461] のユニットのステータスを [Available] から [Leased] に変更します。
- [RoomNumber] が [509] のユニットのステータスを [Available] から [Leased] に変更します。
- リボンの [編集] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックして選択を削除します。
これら 3 つのユニットの [Space_Status] 属性を更新すると、それに従ってユニットの色も更新されます。
エンタープライズ ジオデータベースのデータが更新されました。 次に、定義クエリを削除して、このビルディングのすべてのユニットを表示します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Rooms] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] タブをクリックします。
- [クエリ 1] にカーソルを合わせて、[定義クエリの削除] をクリックします。
- 確認を求められたら、[はい] をクリックし、[OK] をクリックします。
更新したユニットを含むすべてのビルディング ユニットが表示されます。
マップ操作モードに戻ります。
- リボンの [マップ] タブの [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] ボタンをクリックします。
- マップでいずれかのビルディング ユニットをクリックすると、フィーチャのすべての属性を示す情報ポップアップが表示されます。
- 情報ポップアップを閉じます。
- Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。
エンタープライズ ジオデータベースでユニットの利用可否に関するデータが更新されました。 ただし、ホストされているビルディング シーン レイヤーのキャッシュが更新されるまでは、変更内容がオンライン Web シーンに反映されません。 次に、この操作を実行します。
ホストされているビルディング シーン レイヤーのキャッシュの更新
ここでは、ホストされているビルディング シーン レイヤーのキャッシュを更新して、最新の更新内容がオンラインで表示されるようにします。
- Web ブラウザーのシーンに切り替えて、[De Zalmhaven Space Management] シーン名をクリックし、シーンのアイテム ページを開きます。
注意:
この Web シーンを閉じている場合は、ArcGIS Enterprise ポータル ページにサイン インして、[コンテンツ] → [すべてのマイ コンテンツ] → [De Zalmhaven Space Management] をクリックして、アイテム ページを取得します。
[De Zalmhaven Space Management] アイテム ページが表示されます。
- アイテム ページを下にスクロールして、ここに含まれるレイヤーのリストを表示します。
- [HR_Zalmhaven_Layer] をクリックします。
[HR_Zalmhaven_Availability] オンライン ビルディング レイヤーのアイテム ページが表示されます。
- [設定] をクリックします。
- [設定] タブで、[シーン レイヤー (ホスト)] まで下にスクロールし、[キャッシュの再構築] をクリックします。
- [キャッシュの管理] ウィンドウで、[完全キャッシュ] が選択されていることを確認し、[キャッシュの再構築] をクリックします。
- このプロセスが完了したら、[De Zalmhaven Space Management] シーンのアイテム ページに切り替えます。
- [Scene Viewer で開く] をクリックします。
Web ブラウザーにシーンが表示されます。このシーンには最新の更新内容が反映されています。
これで、不動産業者およびプロジェクトの関係者が De Zalmhaven ビルのスペースの利用可否に関する最新情報を確認できるようになりました。
注意:
キャッシュの再構築は [キャッシュを再構築するタスクのスケジュール設定] オプションを使用して自動化できます。 詳細については、「ホスト シーン レイヤーのキャッシュの再構築」のドキュメント セクションをご参照ください。
次に、最近更新されたユニットの 1 つを見てみます。
- シーンで、ビルディング の上方にある紫色のユニットを拡大してクリックします。
しばらくすると、情報ポップアップが表示されます。 このポップアップを下にスクロールすると、ユニット 677 が最近販売済みになったことを確認できます。
このチュートリアルでは、De Zalmhaven ビルがエンタープライズ ジオデータベースで編集可能な 3D シーン レイヤーとして表示されるように ArcGIS Pro で 3D シーンを組み立てました。 次に、そのシーンを ArcGIS Enterprise ポータルの Web シーンとして共有しました。 ArcGIS Pro でビルディング ユニットの利用可否に関する属性を編集しました。 最後に、不動産業者やプロジェクトの関係者と最新の情報を共有し、この建物の最新のスペース管理ステータスを把握できるようにしました。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。