人口グリッドの作成
人口グリッドはラスター レイヤーで、統一された形とサイズのピクセルで構成され、そのピクセルの居住者数についての情報が含まれています。 これらのグリッドは、人口の分布や密度を把握するために役立ち、政府がリソースの割り当てや計画について十分な情報に基づく決定を行う助けになります。 また、エリアの都市化率を判定するため不可欠な最初のステップでもあります。
まず、チュートリアル用のデータをダウンロードします。 都市化解析の標準化のため欧州委員会により開発され、使用されているオープン ツールのスイートも、ダウンロードしてインストールします。 それから、ツールを実行してニューカレドニアの人口グリッドを作成します。
データのダウンロード
このチュートリアル用のデータは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージに含まれています。
- New_Caledonia_Degree_of_Urbanization プロジェクト パッケージをダウンロードします。
- コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。
注意:
お使いの Web ブラウザーによっては、ダウンロードを開始する前に、ファイルの場所を選択するよう求めるメッセージが表示される場合があります。 ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでコンピューターのダウンロード フォルダーがダウンロード先の場所になります。
- コンピューターに ArcGIS Pro がインストールされているなら、[New_Caledonia_Degree_of_Urbanization.ppkx] をダブルクリックしてプロジェクトを開きます。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
プロジェクトに含まれているマップには、フランスの法管区である太平洋の島、ニューカレドニアが示されています。 このマップは、モルワイデ (世界) 等積図法を使用しています。 解析のときエリアを正確に計算するため、必ず等積図法を使用する必要があります。
プロジェクトには、人口グリッドを作成するため必要な 2 つのデータ レイヤーが含まれています。 どちらのレイヤーも、デフォルトではオフになっています。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[NC 2019 年の人口] の横にあるチェックボックスをオンにして、レイヤーをオンにします。
レイヤーがマップ上に表示されます。
このレイヤーには、ニューカレドニアの 33 のコミューンが表示されています。 コミューンはタウンシップや自治体と同様なもので、都市化を判定するための管理ユニットに適しています。 人口グリッドを作成するには、使用可能な最も小さい地域区分が最適です。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[NC 2019 年の人口] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。
レイヤーの属性テーブルが開きます。 各コミューンと、2019 年の国勢調査による人口が一覧表示されます。 正確な人口データは、人口グリッドを作成するために不可欠な入力の 1 つです。
- テーブルを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[NC 2019 年の人口] をオフにし、[GHS Built 2020 NC 100.tif] をオンにします。
このレイヤーは、ニューカレドニアをカバーする建築物密集地サーフェス ラスター レイヤーです。 このレイヤーは、建築された (一般に人造の) 構造物がどこにあるかを示しています。 暗い色のピクセルは構造物がない場所、明るい色のピクセルは構造物がある場所を示しています。
明るい色が最も多く集まっているクラスターは島の南西、すなわちニューカレドニアの首都で最も人口が多い都市であるヌメアの場所にあります。 人口が多い場所ほど建築物が密集した地表になるため、建築物密集地サーフェス ラスターは人口密度と都市化を的確に示しています。
- [コンテンツ] ウィンドウで [GHS Built 2020 NC 100.tif] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
[レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[ソース] タブをクリックします。 [ラスター情報] を展開します。
このセクションには、データについて知るための重要な情報があります。 [セル サイズ X] と [セル サイズ Y] はいずれも 100 です。 さらに、[データ ソース] セクションの [鉛直単位] は [メートル] です。 これは、レイヤーの解像度、すなわち各ピクセルのサイズが 100 平方メートルということを意味します。 ラスター レイヤーの解析を行うとき、入力レイヤーより解像度が小さい出力レイヤーを作成しないように注意してください。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[GHS Built 2020 NC 100.tif] をオフにします。
人口グリッドを作成するため必要な 2 つのレイヤーについて調べました。 このチュートリアルの分析範囲はニューカレドニアですが、次のようなデータセットがあれば、どのようなエリアにもワークフローを実行できます。
- 対象地域の人口についての国勢調査データを含むシェープファイル (通常はポリゴン シェープファイルですが、ポイント シェープファイルも使用できます)。
- 同じエリアに対応する建築物密集地サーフェスまたは体積ラスター
注意:
世界のほとんどの居住地について、Global Human Settlement Layer (GHSL) ダウンロード ページで、建築物密集地サーフェス ラスターを無料でダウンロードできます。 このレイヤーを、対象地域の国勢調査のデータと組み合わせると、世界のあらゆる場所でこのワークフローを実行できます。
ツールのダウンロード
次に、都市化率の方法を適用するため欧州委員会によって開発された、無料のツールのスイートをダウンロードし、インストールします。
- GHSL ツールのダウンロード ページに移動します。
このページには、4 つの都市化率ツールのダウンロード リンクがあります。 ツールは別々に、またはグループとしてダウンロードできます。 このチュートリアルでは、4 つのツールのうち 3 つを使用するので、ツールキット全体をグループとしてダウンロードします。
注意:
ツールをダウンロードして使用する前に、ページからリンクされているエンドユーザー使用許諾契約書 (EULA) を読んでおくことをお勧めします。
- [GHS-DEGURBA Toolkit] セクションの [Select the version and the type of installation and click download] の下で、[Version] として [ArcGIS] を選択します。 [Installation type] には [Online] を選択します。
注意:
このサイトは定期的に更新されるため、画像はブラウザーに表示されるものと正確には一致しない場合があります。
- [Download GHS_DEGURBA_Toolkit ArcGIS toolbox online] をクリックします。
注意:
ダウンロード量は 333 MB で、数分を要することがあります。
- ダウンロードが完了したら、ダウンロードしたファイルをコンピューター上で見つけます。 [GHS_DEGURBA_Toolkit_arcgis_toolbox_installer] をダブルクリックします。
ウィザードが表示され、インストール プロセスの手順をガイドしてくれます。
- ウィザードの指示に従います。 ツールがインストールされる場所をメモしておき、インストールを行います。
注意:
インストールには数分を要することがあります。
- インストールが完了したら、[Finish] をクリックします。
次に、ダウンロードしたツールのスイートを ArcGIS Pro に追加します。
- ArcGIS Pro の [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] を右クリックして、[ツールボックスの追加] を選択します。
- [ツールボックスの追加] ウィンドウで、ツールをインストールした場所を参照し、[GHS DEGURBA Toolkit ArcGIS Toolbox] フォルダーを開きます。 [アプリケーション] フォルダーを開き、[GHS_Tools.pyt] を選択します。
- [OK] をクリックします。 [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] を展開します。
このツールボックスは、プロジェクトのデフォルトのツールボックスと並べてリスト表示されます。
- [GHS_Tools.pyt] を展開します。
ツールボックスには 4 つのツールが含まれており、このワークフローではそのうち 3 つを使用します ([GHS Population Warp] は使用しません)。 [GHS Population To Grid] ツール (GHS-POP2G) は、人口グリッドを作成するために使用するツールです。
- [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックして、プロジェクトを保存します。
人口グリッド ツールを実行する
[GHS Population To Grid] ツールは、ポリゴンの国勢調査データと建築物密集地サーフェス ラスターを、人口グリッドに変換するツールです。 このグリッドは、分析範囲全体について、人口の分散に関する主要な情報を伝達します。
国勢調査データが地域区分、たとえば [NC 2019 年の人口] レイヤーのコミューンに基づいて編成されているなら、[GHS Population To Grid] ツールは報告された人口を、建築物密集地サーフェス ラスターにより通知される人口の地理的な分散と組み合わせることができます。
注意:
このツールを実行するには、MATLAB Runtime 9.9 またはそれ以降のバージョンが必要です。 MATLAB Runtime の最新バージョンは、MATLAB Compiler からダウンロードできます。 最新バージョンをインストールしてから、プロジェクトを保存し、ツールを実行する前に ArcGIS Pro を再起動します。
- [カタログ] ウィンドウの [GHS_Tools.pyt] で、[GHS Population To Grid] をダブルクリックします。
ツールが [ジオプロセシング] ウィンドウで開きます。 ほとんどのジオプロセシング ツールと同様に、ツールが希望したように実行されるよう、パラメーターを設定します。 まず、出力データセットが保存される出力ワークスペースを決定します。
- [出力ワークスペース] で、[参照] ボタンをクリックします。
デフォルトのプロジェクト フォルダーを参照し、出力ワークスペースとして使用します。
- [出力ワークスペース] ウィンドウの [プロジェクト] の下で、[フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [Output projection] が [World_Mollweide] に設定され、[Output cell size] が [1000] に設定されていることを確認します。
デフォルトの出力投影法は、プロジェクトと同じ [World_Mollweide] です。 この投影法は等積図法で、面積に基づく計算には理想的なため、そのまま使用します。
デフォルトの出力セル サイズは 1000 です。 建築物密集地サーフェス ラスターを調べると、セル サイズが 100 平方メートルであることがわかります。 出力セル サイズが、入力ラスターのセル サイズより小さくないことが重要です。ツールには、元のデータセットに存在しない詳細を追加する方法がないためです。 1000 は 100 より大きいので、適切なセル サイズです。 入力レイヤーに合わせてセル サイズを 100 に変更してもかまいませんが、その必要はありません。 1000 平方メートル (1 平方キロメートル) のセル サイズは、人口グリッドの国際標準を満たしています。
- [Use population polygons] チェックボックスがオンになっていることを確認します。
入力の人口レイヤーである [NC 2019 Population] はポリゴン レイヤーなので、このオプションが適切です。
注意:
人口データがポイント レイヤーを使用しているなら、[Use population points] チェックボックスをオンにして、[Use population polygons] チェックボックスをオフにします。 自分のデータを使用して、このワークフローを実行するときは、このオプションが最適なことを必ずチェックしてください。
次に、人口ポリゴン レイヤーを追加します。
- [Population (polygons) layer] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [Population (polygons) layer] ウィンドウで、[プロジェクト] の下の [フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization]、[commondata]、[new_caledonia_degree_of_urbanization1] を開きます。
- [NC_2019_Population.shp] を選択します。
注意:
入力人口レイヤーはシェープファイルの必要があります。 人口データがファイル ジオデータベース フィーチャクラスなら、[フィーチャクラス → シェープファイル (Feature Class To Shapefile)] ジオプロセシング ツールを使用してシェープファイルに変換できます。
- [OK] をクリックします。
人口データを含むフィールドを設定します。 属性テーブルを調べると、人口フィールドが 1 つだけ存在します。
- [Population (polygons) count field] で、[populati_1] を選択します。
このチュートリアルでは、[Population (polygons) stepwise group] フィールドを設定しません。 このオプションのパラメーターは、大きな管理区画や他の条件に基づいて、国勢調査ユニットをグループ化できます。 たとえば、人口レイヤーの属性テーブルに含まれているフィールドの 1 つは、各コミューンの州を示しています。 このパラメーターに、そのフィールドを設定すると、人口を州ごとにグループ化できます。 このパラメーターは、大規模なデータセットを管理し、計算効率を最適化するために有用です。
- [Built-up raster] で、[GHS Built 2020 NC 100.tif] を選択します。
[Built-up MINIMUM value] と [Built-up MAXIMUM value] の値は、建築物密集地サーフェス ラスターの最小値と最大値に対応しています。 [コンテンツ] ウィンドウにある建築物密集地サーフェス ラスターの最小値および最大値と、これらの値を比較して、値が正しいことを確認できます。
- 必要に応じて、[Built-up MINIMUM value] を「0」、[Built-up MAXIMUM value] を「9040」に設定します。
- [Multicore] チェックボックスがオンになっていることを確認します。
このパラメーターは、計算を効率化するためにソフトウェアの設定を調整します。 これで、すべてのパラメーターが設定されました。
- [実行] をクリックします。
注意:
ツールの実行が失敗した場合は、MATLAB Runtime の最新バージョンがインストールされていない可能性があります。 最新バージョンは、MATLAB Compiler からダウンロードできます。 最新バージョンをインストールしてから、プロジェクトを保存し、ツールを再度実行する前に ArcGIS Pro を再起動します。 再起動の後でツールのパラメーターをすばやく設定するには、リボンの [解析] タブをクリックし、[履歴] ボタンをクリックします。 [履歴] ウィンドウで [GHS Population To Grid] をダブルクリックすると、前と同じパラメーターでツールを再度開くことができます。
ツールが実行されます。 実行が完了しても、出力はマップに追加されません。 手作業で追加する必要があります。
- [カタログ] ウィンドウで [フォルダー] を展開し、[New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を展開します。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を右クリックして [更新] を選択します。
フォルダーが更新され、ツールを使用して作成した新しいファイルが表示されます。
- [GHS-POP2G_1000m.tif] を右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。
- [GHS-POP2G_1000m.tif の統計情報の計算] ウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックします。
人口グリッドがマップに追加されます。
人口グリッドのシンボル表示
デフォルトでは、人口グリッドには多くの情報が表示されず、ヌメアの周囲のエリアにしか目に見える相違がありません。 人口グリッドをシンボル表示すると、人口の分散をより的確に見ることができます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[GHS-POP2G_1000m.tif] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
- [シンボル] ウィンドウで [プライマリ シンボル] が [ストレッチ] に設定されていることを確認します。
- [ストレッチ タイプ] で [最小値 - 最大値] を選択します。
- [最小値 / 最大値の編集] チェックボックスをオンにします。 最大値を [1500] に設定します。
次に、データにマスクを追加して、値 0 を透明にします。 これによって、住民のいる場所だけがマップに表示されるようになります。
- ウィンドウの下部で、[マスク] タブをクリックします。 [背景値の表示] チェックボックスをオンにし、値に [0] が設定されていることを確認します。
マップが調整され、住民がいる地域のみデータが表示されるようになります。
- [シンボル] ウィンドウを閉じます。 マップで、住民がいる場所を拡大します。
各ピクセルは 1 平方キロメートルをカバーしています。 明るい色のピクセルは人口が多い場所、暗い色のピクセルは人口が少ない場所です。 ピクセルがないエリアは無人です。
例の画像は首都ヌメアを拡大したもので、白いピクセルの大きなクラスターがあり、人口密度が高いことが表されています。 島で最も人口が多い都市なので、この分布は当然です。 都市の外側には暗い色のピクセルがあり、地方のエリアであることが推測されます。 住民のいないエリアのほとんどは山岳地帯で、人間の居住に適していません。
- データの全体表示に戻します。
- プロジェクトを保存します。
国勢調査データと建物密集地サーフェス ラスターを使用して、人口グリッドを作成しました。この人口グリッドには、標準の形およびサイズの単位内に居住している人口が示されます。 次は、この人口グリッドを使って都市化率を判定します。
都市化率グリッドの作成
この人口グリッドを使用して都市化率グリッドを作成します (地理空間居住地分類グリッドとも呼ばれます)。 都市化率グリッドは、人口密度と規模の閾値に基づいて、1 平方キロメートルのセルを、居住地のタイプで分類します。
分類には 2 つのレベルがあります。 第 1 レベルには、市街中心地グリッド セル、市街クラスター グリッド セル、地方グリッドセルの 3 つのクラスのみが含まれます。 第 2 レベルはより細かく、市街中心地グリッド セル、高密度市街クラスター グリッド セル、準高密度市街クラスター グリッド セル、郊外または都市部周辺グリッド セル、地方クラスター グリッド セル、低密度地方グリッド セル、超低密度地方グリッド セル、水グリッド セルの 8 つのクラスが含まれています。 両方の分類レベルでグリッドを作成し、比較してみましょう。
都市化率グリッド ツールの実行
人口グリッドと、建築物密集地サーフェス ラスターを入力として使用し、[GHS の都市化率] ツール (GHS-DUG) を実行します。 このツールは、最初と第 2 レベルの都市化率分類で、出力グリッドを作成します。 また、都市化に関係する統計を含むテーブルも作成します。
- [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] と [GHS_Tools.pyt] を展開します。 [GHS Degree of Urbanisation Grid] をダブルクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが開き、ツールのパラメーターが表示されます。 まず、人口グリッドを作成するときと同様に、出力ワークスペースを設定します。
- [出力ワークスペース] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [出力ワークスペース] ウィンドウの [プロジェクト] の下で、[フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を選択して [OK] をクリックします。
人口グリッドは、入力人口ラスターの一部として設定します。
- [Population raster] で [GHS-POP2G_1000m.tif] を選択します。
注意:
このツールでは、入力人口ラスターのセル サイズを 1000 m (1 km) にする必要があります。 また、正積図法で投影する必要があります。
次に、オプションのパラメーターを使用し、市街中心地の断片化がツールによって減らされていることを確認します。 これによって、ビルが密集しているエリアは、人口が少なくても市街地に含められます。 都市エリアには、住宅が少なくても産業建築物や他の種類の構造物が存在する部分があり、これらの場所は依然として都市部と見なされます。 ツールは、建築物密集地サーフェス ラスターを使用して、これらのエリアを考慮します。
- [Reduce Urban Centre fragmentation] チェックボックスをオンにします。
建築物密集地サーフェス ラスターを選択するオプションが利用可能になります。
- [Built-up raster] で、[GHS Built 2020 NC 100.tif] を選択します。 [Built-up MAXIMUM value] に「9040」と入力します。
ツールは依然として、人口が 1,500 未満で、建築物密集地サーフェスの平均より多いセルを考慮します。
カスタムの土地レイヤーを追加の入力として使用できます。 土地レイヤーは連続ラスターで、値は水を示す 0 から土地を示す 100 までの範囲です。 このレイヤーのデフォルト バージョンはすでにツールに存在しますが、対象地域に合わせてより特定またはカスタマイズされた土地レイヤーがあれば、[Use custom land layer] チェックボックスをオンにし、次の [Land raster] パラメーターを設定して、それを使用できます。
デフォルトでは、Create output for visualisation チェックボックスがオンです。 このパラメーターは、Visualisation output coordinate system authority code parameter の特定の権限コードに従って投影された居住地グリッドを作成します。 必要なら、デフォルトのモルワイデ (世界) 投影法以外の投影法を使用して出力グリッドを作成するようにコードを調整できます。 この出力は視覚化専用で、それ以後の分析には使用できません。GHS-DEGURBA Toolkit ツールのすべての入力レイヤーは、モルワイデで投影します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されて正常に終了します。
ツールの出力を調べる
以前と同様に、出力レイヤーはマップに自動追加されないため、手動で追加します。
- [カタログ] ウィンドウの [フォルダー] で、[New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を右クリックして [更新] を選択します。
いくつかの出力ファイルがあり、一部はテーブル、一部はシェープファイル、一部はラスター ファイルです。
出力ファイルの多くは特定のクラス、たとえば高密度市街クラスター、地方クラスターなどに特化しています。 ファイルの中に [GHS-DUG_GRID_L1.tif] および [GHS-DUG_GRID_L2.tif] があり、第 1 レベルと第 2 レベルの両方で都市化率グリッドを含んでいます (ファイル名では、「都市化率」が「DUG」と表記されます)。 最初に、これらのファイルを調べます。
- [GHS-DUG_GRID_L1.tif] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。 [GHS-DUG_GRID_L1.tif の統計情報の計算] ウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックします。
レベル 1 の分類には次のクラスが含まれます:
- クラス 1 (緑): 地方エリア
- クラス 2 (オレンジ): 町および準高密度エリア
- クラス 3 (赤) 都市
この分類では、ニュー カレドニアの地表の大部分は地方になります。市街中心地は首都のヌメアだけで、いくつかの市街クラスターのグリッド セルに囲まれています。 詳細化することで分類のレベルを改善できるので、第 2 レベルの分類を見てみましょう。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[GHS-DUG_GRID_L1.tif] を右クリックし、[削除] を選択します。
- [カタログ] ウィンドウで、[GHS-DUG_GRID_L2.tif] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。 [DUG_GRID_L2.tif の統計情報の計算] ウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックします。
第 2 レベルの分類には、次の 8 つのクラスが含まれます:
- クラス 10 (青): 水グリッド セル
- クラス 11 (明るい緑): 超低密度の地方グリッド セル
- クラス 12 (緑): 低密度の地方グリッド セル
- クラス 13 (暗い緑): 地方クラスター グリッド セル
- クラス 21 (黄): 郊外または都市部周辺グリッド セル
- クラス 22 (茶): 準高密度市街クラスター グリッド セル
- クラス 23 (暗い茶): 高密度市街クラスター グリッド セル
- クラス 30 (赤): 市街中心地グリッド セル
注意:
各クラスの数値は、[コンテンツ] ウィンドウに表示されます。
前と同様に、市街中心地として分類されるのはヌメアだけです。 しかし、このレベルの分類では、ニューカレドニア全体を通していくつかの小規模な居住地が示されます。
各クラスの統計的な詳細を知るには、ツールの他の出力とともに作成されたテーブルを調べます。
- [カタログ] ウィンドウで [GHS-DUG_L2_stats.xls] を右クリックし、[ファイル エクスプローラーで表示] を選択します。
ファイル ブラウザー ウィンドウが開き、出力ファイルが保存された場所が表示されます。
- Microsoft Excel、または Microsoft Excel ファイルを読み取れる別のプログラムがあるなら、GHS-DUG_L2_stats.xls を開きます。
スプレッドシートに、各クラスの人口とエリアの合計が表示されます。 また、人口シェア、すなわち各クラスの人口のパーセンテージも示されます (分数で表現されます)。
注意:
テーブルには別の数値が含まれていることがあります。
予想されたように、無人の水域は人口が 0 ですが、エリア全体の大部分を占めています。 人口の約 13.7% は超低密度の地方グリッド セルに居住しており、他の共住地域と比べても広大なエリアです。 市街中心地グリッド セルは、わずか 56 平方キロメートルしかカバーしていませんが、総人口の 28% 近くがこれらのエリアに居住しており、他のどのクラスより大きな人口シェアです。
- スプレッドシートを閉じます。 ArcGIS Pro で、プロジェクトを保存します。
ここでは、人口グリッドを使用して都市化率グリッドを作成し、ニューカレドニアの各クラスの居住地について理解しました。 次は、都市化率グリッドを使用して、ニューカレドニアの管理ユニットを居住地タイプごとに分類します。
行政単位の分類
ここまでで、都市化率グリッドを作成できました。次は地域区分を分類しましょう。 始点となる人口データ [NC 2019 Population] には、New Caledonia におけるコミューンの境界が格納されています。 このデータセットを使用して、各コミューンの主要な居住地タイプを示すマップを作成します。 分類により、コミューンのジオグラフィを人口グリッドと都市化率グリッドを組み合わせ、各コミューンにおいて生活している人の数が最も多い居住地のタイプを特定します。
地域区分分類器の実行
国勢調査データ、人口グリッド、都市化率グリッドを入力データとして使用して、[GHS Degree of Urbanisation - Territorial Unit Classifier] (GHS-DU-TUC) ツールを実行します。 このツールは、国勢調査地域、行政地域、統計地域など、データを用意できる任意の地域区分を使用して実行できます。
- [カタログ] ウィンドウの [GHS_Tools.pyt] で、[GHS Degree of Urbanisation - Territorial Unit Classifier] をダブルクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが開き、ツールのパラメーターが表示されます。 最初に、出力ワークスペースを設定しましょう。
- [出力ワークスペース] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [出力ワークスペース] ウィンドウの [プロジェクト] の下で、[フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を選択して [OK] をクリックします。
次に、分類対象となる地域区分を格納しているデータセットを選択します。 今回のデータセットには、[NC 2019 Population] を選択します。
- [Territorial Units] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [Territorial Units] ウィンドウの [プロジェクト] で、[フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] → [commondata] → [new_caledonia_degree_of_urbanization1] の順にダブルクリックします。
- [NC_2019_Population.shp] を選択して [OK] にクリックします。
[Territorial stepwise group] フィールドは、区分をクラスターにグループ化して計算を容易にするために使用できる、省略可能なフィールドです。 たとえば、コミューンのデータには都道府県のフィールドが含まれており、都道府県の分類に使用できます。 今回のワークフローではコミューンの分類を把握したいだけなので、このフィールドは変更せずにおきます。
各地域区分において人口の過半数が生活している居住地タイプを特定することで、地域分類を実施します。 デフォルトでは、各地域区分の総人口を人口グリッドを用いて推計します。 より正確な結果を得るためには、各地域区分の人口を格納しているフィールドを選択します。 [NC 2019 Population] データでは、[populati_1] フィールドに各コミューンの人口が格納されています。
- [Territorial population count field] で、[populati_1] を選択します。
[Territorial cross tabulation field] は、元のデータセットの居住地分類フィールド (例: 全国における都市部と地方部の分類) を都市化率グリッドの居住地分類と比較する際に使用できる、省略可能なフィールドです。 たとえば、各コミューンを地方部または都市部として指定するフィールドが [NC 2019 Population] データセットに存在する場合、そのフィールドをクロス集計に使用できます。 そのようなフィールドが存在しない場合、このパラメーターは変更せずそのままとします。
最後に、入力人口ラスターと都市化率ラスターを追加します。
- [Population raster] で [GHS-POP2G_1000m.tif] を選択します。 [Degree of Urbanisation raster] で [GHS-DUG_GRID_L2.tif] を選択します。
注意:
必要に応じて、レベル 1 分類による地域区分分類器を実行することもできます。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されて正常に終了します。 次に、結果を確認します。
結果の視覚化
以前と同様に、出力レイヤーはマップに自動追加されないため、手動で追加します。
- [カタログ] ウィンドウの [フォルダー] で、[New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] を右クリックして [更新] を選択します。
複数の新規ファイルがフォルダーに表示されます。 これらのファイルの内訳は、次のとおりです: 分類に関する統計情報を含むテーブル 2 件、分類シンボルを適用したレイヤー ファイル 4 件、分類自体を格納したシェープファイル 1 件。
- [NC_2019_Population_GHS-DU-TUC.shp] を右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。
レイヤーに New Caledonia のコミューンが表示されます。 今のところ、これらのコミューンにはシンボルが付与されていないため、分類も確認できません。 ツールが作成したレイヤー ファイルを使用して、シンボル情報を適用しましょう。
- [コンテンツ] ウィンドウを表示し、[NC_2019_Population_GHS-DU-TUC] が選択されていることを確認します。
- リボンの [フィーチャ レイヤー] タブをクリックします。 [描画] グループで、[インポート] をクリックします。
- [シンボルのインポート] ウィンドウの [シンボル レイヤー] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [シンボル レイヤー] ウィンドウの [プロジェクト] で、[フォルダー] をクリックします。 [New_Caledonia_Degree_of_Urbanization] をダブルクリックします。
- [GHS-DU-TUC-L2.lyr] を選択して [OK] をクリックします。
- [シンボルのインポート] ウィンドウで、[OK] をクリックします。
各コミューンに都市化率の分類単位でシンボルが付与されます。
New Caledonia における唯一の都市は、首都 Nouméa です。 コミューンによっては、人口の過半数が村落で生活している場合や、人口密度の高い市街地で主に生活している場合もあります。 他のコミューンの大半は、人口が分散している地方エリアに分類されます。
ツールが作成したテーブルに格納されている分類の統計情報も、詳しく調べてみましょう。
- [カタログ] ウィンドウを表示し、[NC_2019_Population_GHS-DU-TUC.xlsx] を右クリックして [ファイル エクスプローラーで表示] を選択します。
- ファイル エクスプローラーに Microsoft Excel または Excel スプレッドシートを読み取り可能なソフトウェアが存在する場合は、[NC_2019_Population_GHS-DU-TUC.xlsx] を開きます。
このファイルは、各コミューンの居住地クラスのタイプごとに人口と人口比率を表示します。 これらのデータによって、各コミューンの都市化率分類を特定できます。
- スプレッドシートを閉じます。 ファイル エクスプローラーで、[NC_2019_Population_GHS-DU-TUC_statistics.xlsx] を開きます。
これらの統計情報サマリーでは、各居住地クラスの総人口と人口割合の両方を、レベル 1 分類とレベル 2 分類に細分化します。
- スプレッドシートを閉じます。 ArcGIS Pro で、プロジェクトを保存します。
このチュートリアルでは、都市化率によって New Caledonia を分類しました。 都市化率というフレームワークでは、人口密度と建築物密集地サーフェスに基づいて居住地の分類を標準化します。 この分類法を使用することで、地域と地域区分に関して洞察力に優れた都市化の統計情報を生成できます。
このワークフローは、人が生活している世界中のあらゆる場所に対して、地域レベル、あるいはグローバル レベルで適用可能です。 科学者はグローバル データの解析を通じて、世界人口の約半数が都市部で生活していることを観測しました。 市街地や準人口過密エリアが含まれる場合に示される数値は、約 76 パーセント高くなっています。
都市化率を利用したこの手法は、持続可能な開発目標の達成に向けた取り組み状況の監視と報告に有益なツールの 1 つです。 都市化は、人々の幸福度を高めてくれる快適な生活、さまざまな機会、物資、サービスの利用しやすさに影響すると同時に、大気汚染の悪化や犯罪率の上昇といった課題ももたらします。 都市化率の標準化分類スキームを利用することで、さまざまな地域の都市化状況を比較し、重要なサービスの提供を必要としているエリアを人口密度に基づいて特定できます。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。