火災被害度マップの作成
画像およびラスター データ解析は、危機管理アプリケーションの意思決定支援に有益な情報を提供します。 画像は、場所と状況に関する最新情報を提供し、過去の画像やその他の空間情報とともに解析することができます。 ファイルは大きく複雑になることが多いため、ラスター データの処理は困難です。 さらに、組織やソースの異なるデータを企業全体で共有し、解析しなければならないことも珍しくありません。 Raster Analytics の柔軟な分散処理設計は、膨大な量のラスター データを迅速に共有、処理するのに効果的な方法で、タイムクリティカルのアプリケーションに適しています。 最適化した処理チェーンを保存して組織のメンバーと共有し、ArcGIS Pro または ArcGIS Enterprise の Map Viewer Classic から Raster Analytics デプロイメントで処理を実行することができます。
このモジュールでは、ラスター関数チェーンを使用して火災被害度マップを生成します。これは、火災による被害が最も大きかった地域を知ることが重要になるためです。
注意:
このチュートリアルでは Map Viewer Classic を使用します。Map Viewer Classic は、Map Viewer の前身です。 一部の機能は、Map Viewer では使用できません。 以下のワークフローについては、Map Viewer の今後のリリースでサポートされるようになるまで、Map Viewer Classic を使用することをお勧めします。
データのダウンロードとアクティブなポータルの設定
まず、チュートリアル用のデータをダウンロードしてから、ArcGIS Pro にアクティブなポータルを設定します。 この構成ステップでは、ArcGIS Pro とアカウントのライセンス情報を共有し、処理したデータを ArcGIS Enterprise と共有します。
- LandslideData.zip ファイルをダウンロードします。
- C ドライブに「LandslideData」というフォルダーを作成します。
- [ダウンロード] フォルダーに移動して、[LandslideData] フォルダーにダウンロードした .ZIP ファイルのコンテンツを展開します。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [設定] をクリックします。
- [Portals] をクリックします。
- ポータルがリストされていない場合は、[ポータルの追加] にポータル URL を入力します。
検出されたポータルは、リストに追加されます。
- ポータルを右クリックし、[サイン イン] を選択します。
サイン インする際には、ラスター解析機能を使用するための適切な権限が付与されているアカウントを使用してください。
- ユーザー名とパスワードを入力し、[サイン イン] をクリックします。
- ポータルを右クリックし、[アクティブなポータルとして設定] を選択します。
ポータル接続の横に緑色のチェックマークが表示されます。
- 戻る矢印をクリックします。
Portal に接続したら、プロジェクト テンプレートを開いて解析を開始します。
- [別のテンプレートを使用して開始] をクリックします。
- エンタープライズ コンピューター上の C:\LandslideData を参照します。 プロジェクト テンプレート ファイル [Landslide_Risk_Project.aptx] を選択して [OK] をクリックします。
ヒント:
このファイルを特定できない場合は、 LandslideData.zip をローカル コンピューターにダウンロードして展開できます。
- [新しいプロジェクト] ウィンドウで、プロジェクトに「Landslide_Risk」という名前を付け、コンピューター上のデフォルトの位置 ([ドキュメント] フォルダー内) に保存します。 [OK] をクリックします。
新しいプロジェクトが開いて、カリフォルニア州サンタローサの中心に配置されてマップが表示されます。
次に、[LandslideData] フォルダーへのフォルダー接続を作成し、データにすばやくアクセスできるようにします。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[フォルダーの追加] をクリックします。
[フォルダー接続の追加] ウィンドウが表示されます。
- 作成した [LandslideData] フォルダーを参照します。 選択して、[OK] をクリックします。
データをダウンロードして、アクティブなポータルを設定し、プロジェクト テンプレートを開いて、データへのフォルダー接続を作成しました。 これで、解析を実行する準備が整いました。
火災被害度の解析
植生や資材の燃焼強度は、その成分、密度、地形、風、土壌水分などの条件に左右されます。 一般的に、燃焼強度が高ければ撥水度も高くなり、降雨事象による浸食も大きくなります。 燃焼強度や被害度は、近赤外線および中間赤外バンド (Landsat 8 画像など) のマルチスペクトル画像から導き出すことができます。 処理チェーンでラスター関数を使用し、2017 年にカリフォルニア州サンタローサで発生した山火事の前後に撮影された Landsat 8 画像をもとに焼失率を計算します。
最初に、山火事の前後に撮影された Landsat 8 画像、数値標高モデル、土地被覆ラスター データセットを追加します。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[フォルダーの追加] をクリックします。
[フォルダー接続の追加] ウィンドウが表示されます。
- エンタープライズ コンピューターの C ドライブの [LandslideData] フォルダーを参照します。 選択して、[OK] をクリックします。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] を選択します。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。
- [カタログ] ウィンドウの [プロジェクト] タブで、[フォルダー] を展開し、LandslideData フォルダーを展開します。 その中の [Basins.tif] 以外のデータセットをすべて選択して、マップ上にドラッグします。
ヒント:
Ctrl キーを押しながら各ファイルをクリックすることで、複数のアイテムを同時に選択できます。
データが [コンテンツ] ウィンドウとマップ上に表示されます。
このデータには、ナパ郡とソノマ郡の 2017 年 10 月の山火事が起きる前 ([Before_L8.tif]) と起きた後 ([After_L8.tif]) の Landsat 8 画像が含まれます。 また、リスク マップの入力として使用する 2 つのレイヤーもあります。 DEM_30m.tif レイヤーは地形の標高を示す数値標高モデルです。 Sonoma_NLCD2011.tif レイヤーは、土地使用と優勢的な植生タイプを示す、National Landcover Dataset の一部です。
- [コンテンツ] ウィンドウで After_L8.tif レイヤーをリスト上部にドラッグし、すぐ下に Before_L8.tif をドラッグします。 Sonoma_NLCD2011.tif レイヤーと DEM_30m.tif レイヤーをオフにして折りたたみます。
現在のところ、Landsat 画像は赤、緑、青のバンドを使用してマップに表示されています。 焼け跡を比較するため、画像のマルチスペクトルバンドの一部を表示します。
- After_L8.tif の下で、赤色のチップを右クリックして [srband5] を選択します。
- 緑色については [srband4]、青色については [srband3] をそれぞれ選択します。
このバンドの組み合わせは Landsat 8 画像バンドを赤外カラー モードで表示します。 植生は、明るい赤色で表示されます。 草木の生えていない地域や都市部など、植生のないフィーチャは、濃淡がさまざまに違うグレーや青色で表示されます。
- Before_L8.tif レイヤーは、以下のように設定します。
- 赤色のチップを [srband5] に変更します。
- 緑色のチップを [srband4] に変更します。
- 青色のチップを [srband3] に変更します。
次に、[スワイプ] ツールを使用して、山火事の前後の画像を比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[After_L8.tif] をクリックして選択します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブをクリックします。 [比較] グループで [スワイプ] ツールをクリックします。
ポインターが、マップ表示の矢印として表示されます。
- クリックしてマップの画像をスワイプし、山火事の前と後の画像を比較します。
スワイプは垂直方向でも水平方向でも行えます。 [Before_L8.tif] では赤色になっている多くのエリアが [After_L8.tif] では緑色になって、植生が失われたことを示していることに注意してください。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] をクリックします。
通常のポインターに戻ります。 すべてのデータがマップに追加されたので、ラスター関数を使用して火災被害度を計算します。
- リボンの [画像] タブをクリックします。 [解析] グループで [ラスター関数] を選択します。
[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。 [システム] タブには、ラスター解析で使用できる関数のカテゴリがあります。 このチュートリアル用として、2 つのラスター関数テンプレート (RFT) が作成されています。 これらのカスタム関数テンプレートは、[プロジェクト] タブの下にリストされます。
- [ラスター関数] ウィンドウで [プロジェクト] タブをクリックします。
- [Landcover_Remap] を右クリックして [移動] にポインターを合わせ、[カスタム] にポインターを合わせて [Custom1] をクリックします。
これらの関数をカスタム カテゴリに移動することで、RFT に加えた編集内容は、関数エディターで保存されると保存されます。 プロジェクト カテゴリの変更は、プロジェクトが保存されないと失われます。
- [プロジェクト] タブをクリックします。 Burn_Severity を右クリックし、Custom1 に移動します。
次に、Burn_Severity RFT を開いて調査します。
- [カスタム] タブで [Burn_Severity] テンプレートを右クリックし、[編集] を選択します。
関数エディターが開き、処理チェーンが表示されます。
バンド演算関数は、画像のピクセルを条件式に変換します。 火災後の画像が火災前の画像から除去され、再分類関数が実行されます。 再分類関数は、ピクセル値を火災被害度の 5 つのカテゴリに分類します。 5 つの火災被害度値のブレークポイントは、地形評価調査 (Key and Benson、2005 年) から取得されます。 処理チェーンの属性テーブル関数は、火災被害度マップにカラー ランプを割り当てます。 これはすでに作成されています。
- [関数エディター] ウィンドウの [Burn Severity] を閉じます。
このラスター関数の仕組みについて理解した後は、この関数を使用してプロジェクト エリアの火災被害度を計算します。
- [ラスター関数] ウィンドウで [Burn_Severity] テンプレートをクリックします。
[Burn_Severity のプロパティ] ラスター関数が表示されます。
- [Pre-Fire Imagery] で [Before_L8.tif]、[Post-Fire Imagery] で [After_L8.tif] を選択します。
- [出力レイヤー タイプ] が [ラスター レイヤー] に設定されていることを確認し、[新しいレイヤーの作成] をクリックします。
処理が完了するまでに、数分かかります。 完了したら、処理結果のレイヤーがマップに表示され、[コンテンツ] ウィンドウにリストされます。 ラスター関数は一時的です。つまり、計算はマップを移動するときにリアルタイムで行われ、自動的には保存されません。 火災被害度は、レイヤーを操作中に動的に計算されます。
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
ラスター関数の機能について確認した後は、次のセクションで、ラスター関数テンプレートを構築し、傾斜角インデックス マップを作成する方法について学びます。
傾斜角インデックス マップの作成
傾斜角ラスター関数テンプレートの作成
傾斜角マップは、斜面の安定性を判断するうえで重要なレイヤーです。 傾斜の角度は、デジタル標高モデル (DEM) から生成されます。 斜面が急勾配であればあるほど、特に、安定化効果のある植生が焼失した後の降雨中に地滑りが起きやすくなります。 次に、ラスター関数テンプレートを構築および保存し、勾配度を計算して、傾斜角インデックスを作成します。
- リボンの [画像] タブをクリックします。 [解析] グループで [関数エディター] をクリックします。
[関数エディター] ウィンドウがマップ ウィンドウの下部にドッキングされます。
- [ラスター関数] ウィンドウで [システム] タブをクリックします。 [サーフェス] グループを展開します。
- [傾斜角] 関数を [関数エディター] ウィンドウ内にドラッグします。
- [関数エディター] ウィンドウのリボンで [ラスター変数の追加] をクリックします。
[ラスター] というタイトルが付いた緑色のボックスが [関数エディター] ウィンドウに追加されます。
- [ラスター] ボックスを選択し、[傾斜角] 関数ボックスの左側に配置します。
[ラスター] ボックスは、[傾斜角] 関数の入力データセットを定義します。
- [ラスター] ボックスの上にカーソルを置くと、[出力] パラメーターが表示されます。 [出力] をクリックし、ラスター要素 ([出力] パラメーター) をドラッグして [傾斜角] 関数 ([DEM] パラメーター) につなげます。
- [ラスター] を右クリックし、[名前の変更] をクリックします。 「Input DEM」と入力して Enter キーを押します。
- [傾斜角] 関数をダブルクリックします。 [傾斜角のプロパティ] ウィンドウで [変数] タブをクリックします。 [DEM] では [パブリック] フィールドをオンにします。
[パブリック] オプションを使用すると、後のツール処理で入力データを変更できます。
- [OK] をクリックします。
ラスター関数は入力数値標高モデルを使用してその傾斜角を計算します。 次の [再分類] 関数は、傾斜角を 5 つの傾斜カテゴリに分類します。
- [ラスター関数] ウィンドウの [システム] タブで、「再分類」を検索します。
- [再分類] 関数を [関数エディター] の [傾斜角] 関数の右側にドラッグします。
- [傾斜角] の [出力] を [再分類] の [ラスター] 入力に設定し、[傾斜角] を [再分類] につなげます。
次に、再分類の入力を設定し、傾斜角を 5 つのカテゴリにインデックス化します (単位: 度)。
- [再分類] 関数をダブルクリックします。 [再分類のプロパティ] ウィンドウで、[最小値] 見出しの下の最初のボックスをクリックして「0」と入力します。 [最大値] には「5」と入力し、[出力] には「1」と入力します。
- その他のカテゴリを以下の値に設定します。
最小 最大 出力 2
5
15
2
3
15
25
3
4
25
35
4
5
35
91
5
- [一般] タブをクリックします。 [出力ピクセル タイプ] のドロップダウン メニューで、[符号付き 8 ビット] を選択します。
次に追加する [属性テーブル] ツールは、8 ビットの入力ラスターのみを受け取ることができます。 そのため、[出力ピクセル タイプ] を [符号付き 8 ビット] に設定します。
- [OK] をクリックします。
- [再分類] 関数を右クリックし、[名前の変更] をクリックします。 「Slope Remap」と入力して Enter キーを押します。
こうすると、チュートリアル後半でラスター関数チェーンをつなげるときに関数を区別しやすくなります。
- [ラスター関数] ウィンドウで [属性テーブル] 関数を検索して [関数エディター] ウィンドウ内の [Slope Remap] の右側にドラッグします。
- [再分類] 関数の出力と、[属性テーブル] 関数の入力 ([ラスター]) をつなげます。
- [属性テーブル] 関数をダブルクリックし、[テーブル タイプ] を [手動] に設定します。
- 空白のテーブルで、[生成] ボタンをクリックします。
- [最大値] で [5] を選択します。 [OK] をクリックします。
1 ~ 5 の値と、デフォルトの緑色から赤色の配色が設定された 5 つの行が追加されます。
- 各行の [クラス名] をクリックし、傾斜角クラスを以下のように割り当てます。
値 クラス名 1
フラット
2
低
3
Moderate
4
Steep
5
Very Steep
- [OK] をクリックします。
ラスター関数テンプレートが完成したので、これを保存します。
傾斜角関数の保存と実行
ラスター関数テンプレートをプロジェクトに保存して実行し、傾斜角インデックス レイヤーを作成します。
- [関数エディター] ウィンドウで [名前を付けて保存] をクリックします。
[名前を付けて保存] ウィンドウが表示されます。
- [名前を付けて保存] ウィンドウで、[名前] に「Slope_Index」と入力します。
- [カテゴリ] が [カスタム] に設定されていて、[サブカテゴリ] が [Custom1] に設定されていることを確認します。
- [説明] に、「入力 DEM から傾斜角を生成するラスター関数テンプレート」と入力します。
- [OK] をクリックします。
Slope_Index ラスター関数テンプレート (RFT) が [ラスター関数] ウィンドウの [カスタム] カテゴリに表示されます。
ヒント:
この RFT を表示するには、検索バーをクリアする必要がある場合があります。
- [ラスター関数] ウィンドウで [Slope_Index] をクリックします。
- [入力 DEM] で DEM_30m.tif を選択します。 [出力レイヤー タイプ] が [ラスター レイヤー] に設定されていることを確認します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
処理が完了すると、レイヤーがマップに表示され、[コンテンツ] ウィンドウに Slope_Index_DEM_30m.tif という名前でリストされます。
- [関数エディター] ウィンドウの [Slope_Index] RFT を閉じ、プロジェクトを保存します。
傾斜角を分類する関数ができたので、複数の RFT と条件を結合して地滑りリスク マップを作成します。
地滑りリスク マップの作成
地滑りリスク ラスター関数の構築
地滑りリスクは、先ほど使用した 2 つの変数 (火災被害度と傾斜角) を組み合わせて計算します。 また、地滑りリスクにおいて重要な意味を持つ土地被覆も含まれます。 植生は、根によって斜面を安定化させます。 山火事によって、安定化効果のある植生の大半が焼失します。 とはいえ、一部の植生 (特にチャバラルの種など) は山火事に適応しており、その根系は地中深くにまで張り巡らされているので火災を耐え抜くことができます。 先ほど、斜面の安定化効果に応じて、土地被覆を 5 つのカテゴリにインデックス化しました。 地滑りリスクを計算するには、チェーンにラスター関数テンプレートを 3 つ追加して、ArcGIS Enterprise デプロイメントで処理します。
- リボンの [画像] タブで [関数エディター] をクリックします。
[関数エディター] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、Ctrl キーを押しながら RFT Landcover_Remap、Burn_Severity、Slope_Index を選択します。 これらを [関数エディター] キャンバスにドラッグします。
デフォルトでは、RFT はクラスター化されています。 これを個別に分離して、出力をつなげやすくします。
- マウスをドラッグして [Slope_Index] 関数をボックスで囲み、グループ全体を [Burn_Severity] RFT の下の位置までドラッグします。
ヒント:
緑色の入力ボックスは、関数チェーンの始点を表します。 Slope_Index RFT は緑色の [Input DEM] ボックスから開始します。
- Landcover_Remap RFT を Slope_Index RFT の下にドラッグします。
- 各 [属性テーブル] 関数を右クリックし、対応する [再分類] 関数に一致させて名前を変更します。
新しい名前は、「火災被害度属性テーブル」、「傾斜角属性テーブル」、および「土地被覆属性テーブル」にする必要があります。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[システム] タブをクリックして、[加重オーバーレイ] 関数を検索します。 これを [関数エディター] ウィンドウの、他の 3 つの RFT の右側にドラッグします。
- 3 つの [属性テーブル] 出力を、[加重オーバーレイ] 関数の入力パラメーターにつなげます。
- [関数エディター] ウィンドウで、[自動レイアウト] ボタンをクリックします。
RFT はコンパクトに並べ替えられます。
- [加重オーバーレイ] 関数をダブルクリックします。
[加重オーバーレイ プロパティ] ウィンドウが表示されます。 [加重オーバーレイ テーブル] 内で、各ラスターをパーセント単位で重み付けすることができます。
- [加重オーバーレイ テーブル] の [<火災被害度属性テーブル.出力ラスター>] の横のセルに、[30] と入力します。 <傾斜角再分類属性テーブル.出力ラスター> レイヤーでは、55 パーセントを割り当てます。 <土地被覆再分類属性テーブル.出力ラスター> レイヤーでは、15 パーセントを割り当てます。
これらの災害の加重は、USGS が National Landslide Hazards Program で実施した調査に基づいています。
[再分類テーブル] は空白のままです。 3 つのレイヤーのインデックス カテゴリ数が同じなので、各レイヤーを 1 対 1 でマッピングします。
- [加重オーバーレイ テーブル] で、<火災被害度属性テーブル.出力ラスター> レイヤーをクリックします。 [再分類テーブル] の [値] で [NODATA] をクリックして属性フィールドを編集し、「1」と入力します。 [許容値] で [NODATA] をクリックして、[1] を選択します。
- [再分類テーブル] で、[値] 列の下部の空の行をダブルクリックして、「2」を入力します。 [許容値] で「2」を選択します。
- 前のステップを繰り返し、[加重オーバーレイ テーブル] の 3 つすべてのラスターに対して 1 ~ 5 の列を追加します。
- [OK] をクリックします。
- [ラスター関数] ウィンドウの [システム] タブで [属性テーブル] 関数を検索し、[関数エディター] の [加重オーバーレイ] 関数の右側にドラッグします。
- [加重オーバーレイ] 関数の出力と、[属性テーブル] 関数の入力をつなげます。
- [属性テーブル] 関数をダブルクリックします。 [属性テーブルのプロパティ] ウィンドウの [テーブル タイプ] で [手動] を選択します。
- 空白のテーブルで [生成] ボタンをクリックし、[最大値] を 5 に設定します。 [OK] をクリックします。
1 ~ 5 の値と、デフォルトの緑色から赤色の配色が設定された 5 つの行が追加されます。
- 各行の [クラス名] をクリックし、以下のように値を割り当てます。
値 クラス名 1
低
2
中
3
高
4
Very High
5
Extreme
- [OK] をクリックして [属性テーブルのプロパティ] ウィンドウを閉じます。
地滑りリスク ラスター関数テンプレートが完成しました。
地滑りリスク ラスター関数を保存して実行
次に、ラスター関数テンプレートを保存して実行し、地滑りリスク レイヤーを作成します。 このテンプレートでは、地滑りリスクを判断する主な基準として、傾斜角、火災被害度、土地被覆を考慮します。
- [関数エディター] で [名前を付けて保存] をクリックします。
- [名前を付けて保存] ウィンドウで、[名前] に「Landslide_Risk」と入力します。 [カテゴリ] が [カスタム] に設定されていて、[サブカテゴリ] が [Custom1] に設定されていることを確認します。
- [説明] に、「山火事の火災被害度、傾斜角、および土地被覆に基づいて地滑りリスクを計算するためのラスター関数テンプレート」と入力します。
- [OK] をクリックして [関数エディター] ウィンドウを閉じます。
ラスター関数が完成しました。 次に、分散ラスター解析を使用してこれを実行します。
- [ラスター関数] ウィンドウで、検索を消去します。
- 必要に応じて、[カスタム] タブをクリックします。 [Landslide_Risk] をクリックします。
Landslide_Risk ラスター関数が表示されます。
- 入力パラメーターを以下のように設定します。
- [Pre-Fire Imagery] で [Before_L8.tif] を選択します。
- [Post-Fire Imagery] で [After_L8.tif] を選択します。
- [Slope Input DEM] で [DEM_30m.tif] を選択します。
- [Landcover Remap Raster] で [Sonoma_NLCD2011.tif] を選択します。
- [出力レイヤー タイプ] で [Web イメージ レイヤー] を選択し、[次へ] をクリックします。
注意:
出力を [Web イメージ レイヤー] に設定するオプションが表示されない場合は、管理者に連絡して、ラスター解析サーバーが適切に設定されて操作可能になっていることを確認してください。
[出力の生成] ウィンドウが開き、Enterprise で作成する Web レイヤーのプロパティを設定できます。
- [名前] に「Landslide_Risk」と入力します。 [説明] には「This web layer shows a landslide risk estimate for Sonoma County, CA.」と入力します。
- [タグ] に、「Sonoma County」、「landslide」、「risk」、「wildfire」と入力します。 Enter キーを押します。
4 つのタグが追加されます。
- [実行] をクリックします。
処理チェーンが Enterprise デプロイメントに送信され、分散処理が行われます。 処理が送信された旨のメッセージが表示されます。
- [ラスター関数] 通知をクリックすると、RFT のステータスを確認できます。
[ラスター関数] タブが選択された状態で [履歴] ウィンドウが表示されます。 これまでに使用したラスター関数がここにリストされます。
注意:
[ラスター関数] 通知が消えた場合、ラスター処理のステータスにアクセスする別の方法があります。 リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[履歴] をクリックします。 [履歴] ウィンドウで、[ラスター関数] タブをクリックします。
処理が正常に完了すると、ラスター関数の横に緑のチェック マークが表示されます。
ラスター関数を使用して地滑りリスク レイヤーを作成し、ポータルに Web イメージ レイヤーとして共有しました。 後で、Map Viewer Classic でこのレイヤーを使用して、ラスター解析を実行します。
集水域の流域ごとの地滑りリスクの集計
ポータルへの流域レイヤーの共有
地滑りリスク マップは便利ですが、特にリスクが大きいエリアをさらに細分化しようと思います。 地滑りリスクは降水パターンや集水域の特徴によって影響を受けるため、調査地域内の集水域の流域によってリスクを集計します。 まず、集水域の流域レイヤーを Portal に公開します。 次に、前のセクションで作成した地滑りリスク データセットを使用して、分流域ごとにリスクをまとめます。
- [カタログ] ウィンドウで、[プロジェクト] タブをクリックして [LandslideData] フォルダー接続を参照します。
- [Basins.tif] を右クリックし、[Web レイヤーとして共有] を選択します。
[Web レイヤーとして共有] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウでは、このラスター データセットを Portal に公開するときの名前を指定して構成することができます。
- [アイテムの詳細] で、以下を設定します。
- [名前] に、「Basins」と入力します。
- [サマリー] に、「カリフォルニア州ナパ郡とソノマ郡の集水域の分流域」と入力します。
- [タグ] に、「watershed」、「basin」、「California」と入力して Enter キーを押します。
次に、このラスター データセットが LandslideData フォルダーから参照され、コピーとして Portal に保存されないようにします。
- [レイヤーおよびデータ タイプ] で、[登録済みデータを参照] が選択されていることを確認します。
- [場所] の下の [サーバーおよびフォルダー] で、[Basins] レイヤーを格納する場所を選択します。
注意:
サーバーの場所はセット アップによって決まり、画像に示されている例と異なる場合があります。
- [分析] をクリックします。
ほとんどの場合、データ ソースがサーバーに登録されていないというエラー警告が表示されます。 これは想定される結果です。 エラーや警告が表示されなかった場合は、すでにデータ ストアが登録されているため、ステップ 12 に進むことができます。
注意:
Enterprise に Web サービスを公開し、登録済みデータの参照を選択する場合、データ ソースが ArcGIS Server に登録されている必要があります。 この登録により、サーバーがデータにアクセスし、そのデータを Web レイヤーのソースとして使用できるようになります。 サーバーがデータにアクセスできるようにするには、データ ストアの作成が必要です。 データ ストアは、エンタープライズ データベース、フォルダー、クラウド ストア、NoSQL データベースなど、使用するデータを格納しているあらゆる場所を指します。 データをサーバーに登録した後は、公開された Web サービスがデータ ソースとの直接接続を確立します。 この接続によって、複製することなく、Web サービスがデータ ストアのデータを確実に参照できます。
通常、警告が出た時点で公開を進めることができますが、この場合、データのコピーではなく、データへの参照を共有していることを確実にするために、データをサーバーに登録することを推奨します。
- 警告を右クリックして、[データ ソースをサーバーに登録] を選択します。
- [データ ストアの追加] ウィンドウで、[タイトル] に「BasinsDS」と入力します。
- [タグ] に「basins」および「data store」と入力します。
- [データ ストアを追加するサーバーの選択] で、サーバーのチェック ボックスをクリックして [検証] をクリックします。
注意:
データ ストアの登録と管理の詳細については、「登録済みデータ ストアの管理」をご参照ください。
- [作成] をクリックします。
データ ストアを作成すると、データがサーバーに登録され、警告の横に緑色のチェック マークが表示されます。 これで、Web レイヤーを公開できるようになります。
- [公開] をクリックします。
- [Web レイヤーの管理] リンクをクリックします。
Basins レイヤーのアイテム詳細ページが表示されます。
- リボンの [コンテンツ] タブをクリックします。
Web レイヤーを共有する際、ポータルにイメージ レイヤーとデータ ストアの 2 つのアイテムを作成しました。 データ ストアは、データ ソースをサーバーに登録した際に作成され、ポータルに共有するために必要です。
ラスター解析の実行
Basins レイヤーをポータルに共有したので、解析に含めることができます。 エリア内での集計というラスター解析ツールを使用して、集水域の分流域の特性に基づき地滑りリスクを集計します。
- [Basins] レイヤーをクリックして、アイテムの詳細ページに戻ります。
- [Map Viewer で開く] の横にある下矢印をクリックして、[Map Viewer Classic で開く] を選択します。
Map Viewer Classic が開きます。
次に、Landslide_Risk データセットをマップに追加します。
- リボンの [追加] をクリックし、[レイヤーの検索] を選択します。
- [マイ コンテンツ] を検索する設定になっていることを確認します。 Landslide_Risk レイヤーを見つけて [追加] ボタンをクリックします。
Landslide_Risk レイヤーがマップに追加されます。
注意:
地滑りリスク レイヤーがマップへの読み込みに失敗する場合は、処理が完了するまで数分待って、もう一度やり直す必要があることがあります。
流域とリスクのレイヤーを作成した後は、[エリア内でのラスターの集約] ツールを使用して流域ごとの平均リスクを計算します。
- リボンの [解析] をクリックし、[ラスター解析] を選択します。
- [データの集約] を展開し、[エリア内でのラスターの集約] ツールをクリックします。
- [エリア内でのラスターの集約] ツールで、次のパラメーターを入力します。
- [定義された境界内でラスター レイヤーを集計するエリア レイヤーを選択] で、[Basins] を選択します。
- [境界を定義するフィールドの選択] で、[値] を選択します。
- [集計するラスター レイヤーの選択] で、[Landslide_Risk] を選択します。
- [計算する統計情報の選択] で、[平均] を選択します。
- [計算時に欠損値を無視] で、[無視] の横のボックスをオンにします。
- [多次元として処理] で、[すべてのスライス] の横のボックスをオフにします。
- [結果レイヤーの名前] に「Risk per Basin」と入力します。
- [現在のマップ表示範囲を使用] の横のボックスをオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
解析の実行が終了すると、集水域ごとの平均リスクを示すデータセットがマップに追加されます。
白色と薄い灰色のエリアは、地滑りリスクの値が高い場所です。 これは、ラスター関数テンプレートの傾斜角、火災被害度、土地被覆の重み付けした入力値を使用して計算したリスクに基づきます。 ただし、この表示設定では現在の結果がわかりにくくなっています。 マップを保存した後で、表示設定を更新します。 これにより、解析結果がわかりやすくなります。
- リボンの [保存] をクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。
[マップの保存] ウィンドウが表示されます。
- [マップの保存] ウィンドウで、以下を設定します。
- [タイトル] に、「Landslide Risk per Basin (Sonoma and Napa)」と入力します。
- [タグ] に、「landslide」、「risk」、「wildfire」と入力し、Enter キーを押します。
- [サマリー] に、「山火事の火災被害度、傾斜角、および土地被覆に基づいたソノマ郡とナパ郡の流域ごとの地滑りリスク」と入力します。
- [マップの保存] をクリックします。
これで、Web マップがコンテンツに保存され、さらなる解析のためにアクセスしたり、他のアプリに含めたりすることができるようになりました。
注意:
アプリの作成の詳細については、本 チュートリアル をご参照ください。
このチュートリアルでは、ラスター関数テンプレートを作成して基準レイヤーを処理し、Portal にイメージ レイヤーを共有して、Map Viewer Classic のラスター解析ツールを使用して集水域の分流域ごとにリスクを集計しました。 これで、地滑りリスクの高いエリアを示す最終結果のレイヤーを他の Web マップやアプリに含めて、組織全体で共有できます。