ルール パッケージの適用

3D 構造物をさらに現実的にするには、ArcGIS CityEngine で作成されたルール パッケージを使用して、レイヤーのシンボルを設定します。 ルール パッケージには、さらに複雑なシンボルを作成する一連の設計の設定が含まれています。 ArcGIS Pro ではルール パッケージを作成できませんが、外部ファイルから取り込んで変更することができます。

  1. このシリーズの前回のチュートリアル、ヴェネツィアを 3D でマッピングを完了している場合は、ArcGIS Pro で作成した [Venice] プロジェクトを開きます。
  2. 前回のチュートリアルを完了していない場合は、Add realistic detail to a scene プロジェクト パッケージをダウンロードします。 ダウンロードしたプロジェクト パッケージを探し、そのパッケージをダブルクリックして ArcGIS Pro で開きます。 サイン インを求められたら、ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    前回のチュートリアルで作成したプロジェクトを使用している場合でも、プロジェクト パッケージをダウンロードした場合でも、プロジェクトには、ヴェネツィアの構造、運河、ランドマークを表示するシーンが含まれます。

    デフォルトのシーン

    次に、ルール パッケージを追加します。

  3. Venice Facades rule package (ヴェネツィアの外観のルール パッケージ)」をダウンロードしてください。
  4. [ダウンロード] フォルダー内の圧縮ファイルを見つけます。 Windows Explorerを使用して、コンピューターの C: ドライブの [ドキュメント] フォルダー、または選択した場所にファイルの内容を展開します。

    展開したフォルダーには、VeniceFacades.rpk というファイルが 1 つ含まれています。

  5. ArcGIS Pro[コンテンツ] ウィンドウで、[Structures] シンボルをクリックします。

    コンテンツ ウィンドウの Structures シンボル

  6. [シンボル] ウィンドウの [プロパティ] をクリックして、[レイヤー] ボタンをクリックします。

    シンボル ウィンドウの レイヤー タブ

    ダウンロードしたルール パッケージを使用して、ソリッド塗りつぶしのシンボルをプロシージャル塗りつぶしに変更します。

  7. [ソリッド塗りつぶし] をクリックして [プロシージャル塗りつぶし] を選択します。

    プロシージャル塗りつぶしオプション

    オプションが変化してプロシージャル塗りつぶしの設定が表示されますが、現時点でこれらは空です。 ルールを割り当てる必要があります。

  8. [ルール] をクリックします。

    ルール ボタン

    [ルール パッケージの選択] ウィンドウが表示されます。

  9. 展開した VeniceFacades.rpk ファイルの場所を参照して、ファイルをダブルクリックします。
    注意:

    ルール パッケージにアクセスするには、[ルール パッケージの選択] ウィンドウを更新することが必要になる場合があります。

    [シンボル] ウィンドウに、複数のシンボル設定、すなわちルールが入力されます。これは調整することもできます。 ここでは、デフォルトの設定を確認します。

  10. [適用] をクリックします。
    注意:

    構造物のすべてを更新するには時間がかかる場合があります。

  11. 構造の更新が完了したら、[Piazza San Marco] ブックマークに移動します。 シーンを探索して、更新されたシンボルを確認します。

    デフォルトのルールの適用後

    構造物が汎用の色の表示から現実感のある外観に変わっています。 一方で、サンマルコ広場の塔が低くなり、フラットな建物になっています。 他の建物の高さも同様に変更されています。 これは、パッケージ内のルールの 1 つが高さを決定し、構造物の立ち上げに使用した高さ属性を上書きしてしまったためです。

ルールの構成

ルールを構成することで、ルール パッケージの適用方法を改善できます。

  1. [シンボル] ウィンドウで、ルールを確認します。

    シンボル ウィンドウのルール

    [Nbr_of_Floors] の設定により構造物の階数が決定し、[Floor_Height] の設定により各階の高さが決定します。 現在の設定では、各構造物には、およそ 4 メートルの階が 3 つ設定されています (屋根は含みません)。

    3 ~ 4.5 (それぞれ、ルールで設定される最小値と最大値) の間の数字を階の高さに設定できますが、ルールをその構造物の高さ属性に対応させることもできます。

  2. [Floor_Height] 設定の [クリックして属性値を使用したプロパティを設定] ボタンをクリックします。

    クリックして属性値を使用したプロパティを設定ボタン

    [属性マッピングの設定] ウィンドウが表示されます。 階の高さを構造物の高さ属性と正確に同じに設定することができますが、各構造物には階が 3 つあります。 階数を考慮するには、階の高さを高さ属性の 3 分の 1 に設定する式を作成します。

  3. [属性マッピングの設定] ウィンドウで、[式の設定] ボタンをクリックします。

    式の設定ボタン

  4. [式の設定] ウィンドウで、式「$feature.Height/3」を作成します。

    式の設定ウィンドウ

  5. [OK] をクリックします。 [属性マッピングの設定] ウィンドウの [OK] をクリックします。
  6. [シンボル] ウィンドウの [適用] をクリックします。

    構造物が新しい高さデータで更新されます。

    注意:

    フィーチャの再描画には時間がかかる場合があります。

    ルールの適用後

    次に、ベースマップを変更してシーンの外観に追加します。

  7. [マップ] タブの [レイヤー] グループにある [ベースマップ] をクリックします。

    ベースマップ ボタン

  8. [2D ベースマップ] で、[衛星画像] ベースマップを選択します。

    衛星画像ベースマップ

    衛星画像ベースマップでは、ヴェネツィアの衛星画像が表示され、現実感が加わります。

    衛星画像ベースマップを適用

  9. プロジェクトを保存します。

サンマルコ広場の追加

ルール パッケージのシンボルは、ヴェネツィアのほとんどの構造物で正常に機能しますが、サンマルコ広場の有名な構造物 (ドゥカーレ宮殿、サンマルコ寺院など) は、独特の建築様式を取り込んださらに詳細なシンボルを使用すると、さらに外観の質が向上します。 そこで、これらの有名な構造物の外観を持つように CityEngine で特別に設計された新しいフィーチャを追加します。

  1. [マップ] タブの [データの追加] ボタンをクリックします。

    データの追加ボタン

  2. [データの追加] ウィンドウで、[ポータル] の下の [ArcGIS Online] をクリックします。 検索ボックスに「Piazza_San_Marco owner:Learn_ArcGIS」と入力し、Enter キーを押します。
  3. [Piazza_San_Marco] をダブルクリックして、シーンに追加します。
  4. 必要に応じて、[Piazza San Marco] ブックマークに移動し、新しいフィーチャを表示します。

    マップの新しいフィーチャ

    新しいフィーチャが追加されましたが、既存の [Structures] レイヤーと重なっています。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Piazza San Marco] レイヤーとベースマップ以外のすべてのレイヤーをオフにします。
  6. シーンの画面移動、ズーム、傾斜を行って、新しいフィーチャを確認します。

    サンマルコ広場

    新しいフィーチャには、サンマルコ寺院のドーム屋根やアーチなどの要素が取り込まれています。これらは、立ち上げたフィーチャにルールを適用するだけでは表現できません。 これらのフィーチャは、マルチパッチ フィーチャです。 マルチパッチ フィーチャは、[Structures] レイヤーなどの立ち上げフィーチャとは異なり、単に一律の高さ値が設定された 2D フットプリントではありません。 マルチパッチ フィーチャの 3 次元が CityEngine でモデル化されているため、さらに詳細なディテールが可能です。

オーバーラップしているフィーチャの削除

次に、サンマルコ広場とオーバーラップしている [Structures] レイヤーのフィーチャを削除します。 オーバーラップしているフィーチャを選択して、データセットから完全に削除します。 元のデータのバックアップをとってからフィーチャを削除することをお勧めしますので、まずデータのコピーをとってください。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Structures] レイヤーを右クリックし、[データ] にポインターを合わせて [フィーチャのエクスポート] を選択します。

    フィーチャのエクスポート オプション

    [フィーチャのエクスポート] ウィンドウが表示されます。

  2. [フィーチャのエクスポート] ウィンドウの [出力フィーチャクラス] に「Structures_Copy」と入力します。

    フィーチャのエクスポートのパラメーター

    コピーは、プロジェクトのデフォルトのジオデータベースに保存されます。

  3. [OK] をクリックします。

    元の [Structures] レイヤーのコピーが 3D レイヤーとしてマップに追加されます。 データのバックアップがとれていることを確認したら、マップ上のオリジナルは不要になります。 それを削除してから、[Structures_Copy] レイヤーからフィーチャを削除してください。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで、[Structures] を右クリックして、[削除] を選択します。 [Structures_Copy] から [Structures] に名前を変更します。
    ヒント:

    レイヤーで名前を変更するには、レイヤーを選択してから名前をクリックするか、レイヤー名をダブルクリックして [レイヤー プロパティ] ウィンドウで [名前] パラメーターを編集します。

    次に、削除するすべての構造物を選択します。

  5. [マップ] タブの [選択] グループで、[空間条件で選択] をクリックします。

    空間条件で選択ボタン

    [空間条件で選択] ツールが表示されます。 [Piazza San Marco] フィーチャと交差する (接する) [Structures] レイヤーのフィーチャを選択するために、ツールを構成します。

  6. [入力フィーチャ] で、[Structures] を選択します。 [選択フィーチャ][Piazza San Marco] を選択します。

    空間条件で選択 パラメーター

  7. [OK] をクリックします。

    選択されたフィーチャは、水色でハイライト表示されます。

    選択フィーチャ

  8. 選択したフィーチャを確認します。

    探索すると、端がわずかにサンマルコ広場フィーチャと接触しているだけの 2 つのフィーチャが選択されていることがわかります。以下の図で囲んだ部分です。

    わずかに交差するフィーチャ

    ヒント:

    [Piazza San Marco] レイヤーをオフにして、例の図のように、選択したフィーチャを見やすくすることができます。 レイヤーをオフにした場合は、後でもう一度オンにすることを忘れないでください。

    これらフィーチャは実際にはオーバーラップしていないため、削除する必要はありません。 その他のフィーチャは選択したままで、この 2 つのフィーチャだけを選択解除します。

  9. [マップ] タブの [選択] グループにある [選択] ボタンをクリックします。

    選択ボタン

  10. オーバーラップしていないサンマルコ広場の南端のフィーチャを見つけます。 Ctrl キーを押して、フィーチャをクリックし、選択解除します。
    ヒント:

    フィーチャにより近づくために、画面移動、ズーム、または傾斜を行う必要がある場合、C キーを押したままにして [マップ操作] ツールを有効にします。

    最初に選択解除されるフィーチャ

    ヒント:

    誤ったフィーチャを選択解除した場合は、Shift キーを押してクリックすることで、再度そのフィーチャを選択できます。

  11. オーバーラップしていないサンマルコ広場の北端のフィーチャを見つけます。 Ctrl キーを押して、フィーチャをクリックし、選択解除します。

    2 番目に選択解除されるフィーチャ

    次に、選択したフィーチャを削除します。

  12. リボンの [マップ] タブの [ナビゲーション] グループで [マップ操作] をクリックします。
  13. [編集] タブをクリックします。 [フィーチャ] グループで、[削除] をクリックします。

    削除ボタン

    注意:

    フィーチャの削除は永続的なものです。 元のデータのバックアップコピーを作成してある場合にのみ、フィーチャを削除するべきです。

  14. [削除] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

    残りの選択したフィーチャが完全に削除されます。

    最終的に完成したサンマルコ広場

  15. [編集の管理] グループにある [保存] をクリックします。 [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックして編集内容を保存します。
  16. プロジェクトを保存します。

これでシーンが完成しました。 ルール パッケージとマルチパッチ フィーチャを使用して、シーンの外観を現実感のある表示に改善しました。 シーンの現実感が増しただけでなく、ユーザーにとってより魅力的なものになります。 高度な 3D マップ作成機能を使用して、ディテールをシーンに追加する方法を学びました。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。