解析用のデータの準備

メンタリング プログラムを実装する場所の解析を開始する前に、いくつかのソースからのデータをフィルタリングして適合させます。

プロジェクトを開く

まず、デフォルトのプロジェクト データをダウンロードして、ArcGIS Pro で開きます。

  1. Identify_Schools.zip」ファイルをダウンロードします。
  2. コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。
    注意:

    お使いの Web ブラウザーによっては、ダウンロードを開始する前に、ファイルの場所を選択するよう求めるメッセージが表示される場合があります。 ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでダウンロード フォルダーがダウンロード先の場所になります。

  3. ファイルを右クリックして、ドキュメント フォルダーなどの見つけやすい場所にファイルを展開します。
  4. 展開した [Identify_Schools] フォルダーを開きます。

    このフォルダーには、ArcGIS Pro のパッケージ化されたプロジェクト ファイル (.ppkx) およびカンマ区切り値 (.csv) テーブルが含まれています。

  5. コンピューターに ArcGIS Pro がインストールされている場合は、[Identify_Schools.ppkx] ファイルをダブルクリックします。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    チャタム郡の学校と高校の学区

    このプロジェクトには、米国ジョージア州チャタム郡の学校と、高校の学区を示すマップが含まれています。 学校はポイント フィーチャとして表され、学区はポリゴン フィーチャとして表されています。

    これら 2 つのレイヤーは、このエリアの権威あるデータ情報センターである SAGIS Open Data Portal からダウンロードされたものです。

定義クエリの追加

高校の学区よりもかなり多くの学校があります。 これは、Schools レイヤーに、公立高校だけでなく、すべての学校が含まれているためです。 権威あるソースからのデータには、プロジェクトに必要な数よりも多くのフィーチャや属性が含まれていることがよくあります。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] を右クリックして [属性テーブル] をクリックします。

    Schools レイヤーの属性テーブル オプション

    このテーブルの各行には、1 つの学校の値が含まれています。 テーブルの下部にあるテキストで、100 の学校があることがわかります。 テーブルには、各学校を説明する値を含むフィールドがあります。

    [TYPE] フィールドは、各ポイントの学校のタイプを指定します。 高校の卒業率に興味があるため、この属性を使用して、高校のみを表示するようにレイヤーをフィルタリングします。 [SCHOOL_TYP] フィールドは、公立学校と私立学校を識別します。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  3. [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] タブをクリックし、[新しい定義クエリ] をクリックします。

    新しい定義クエリ オプション

    [定義クエリ] ウィンドウに、新しいクエリとして [クエリ 1] が表示されます。 [Where 句] 行に、フィールド、リレーションシップ、値を選択できるドロップダウン リストがあります。

  4. フィールド [TYPE] を選択し、[と等しい] を選択して、[High] を選択します。

    TYPE が High と等しいクエリ

    このクエリにより、レイヤーがフィルタリングされ、高校が表示されます。 このプロジェクトでは公立学校のみが対象であるため、実行前にもう 1 つの項目をクエリに追加します。

  5. [項目の追加] をクリックします。

    [定義クエリ] ウィンドウに、行がもう 1 つ表示されます。

  6. [And] 演算子を残し、[SCHOOL_TYP が Public School と等しい] クエリを作成します。

    SCHOOL_TYP が Public School と等しいクエリ

    これらの項目は [And] 演算子によって結合されているため、高校であり、かつ公立学校である学校のポイント フィーチャのみがマップに表示されます。

    検索条件設定の右上にある SQL スイッチで、SQL (Structured Query Language) コードとして表現されたクエリ句を表示 (および編集) できますが、ほとんどの場合は、これらのコントロールを使用してクエリを作成するほうが簡単です。

  7. [適用] をクリックします。
  8. [OK] をクリックします。

    公立高校のみが表示されたマップ

    [Schools] レイヤーを定義クエリでフィルタリングしました。 これで、解析のこの部分にとって重要となる学校、つまり公立高校のみがレイヤーに表示されるようになりました。

余分なフィールドの非表示化

[Schools] レイヤーには、このプロジェクトで必要のないフィールドがいくつかあります。 これらを非表示にします。

  1. [Schools] レイヤーの属性テーブルで [GRADES] フィールドのヘッダーをクリックします。

    フィールドが、選択されていることを示す色に変わります。

  2. Ctrl キーを押したまま、[AFFILIATIO][RESTRICTIO][ADDRESS][CITY][ZIP] の各フィールドのヘッダーをクリックします。

    これで、複数のフィールドが選択されました。

  3. [RESTRICTIO] を右クリックして、[フィールドを非表示] をクリックします。

    フィールドを非表示オプション

    これらのフィールドは引き続きデータ テーブルに存在しますが、現在は非表示になっています。

    [AttendanceZones] レイヤーにも、現時点で必要のないフィールドがあります。 レイヤーのほとんどのフィールドを非表示にするため、[フィールド] ビューを使用してフィールドを非表示にします。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで [AttendanceZones] を右クリックし、[データ設計] をポイントして [フィールド] を選択します。

    フィールド オプション

    [フィールド] ビューが表示されます。

  5. [フィールド] ビューで [表示] のヘッダー ボックスをオフにして、すべてのフィールドの表示を無効にします。

    オフになった表示チェックボックス

  6. [NAME] の横にある [表示] チェックボックスをオンにして、そのフィールドを有効に戻します。

    NAME フィールドの表示チェックボックス

  7. リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。
  8. [フィールド] ビュー ウィンドウを閉じます。
  9. [コンテンツ] ウィンドウで [AttendanceZones] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。

    [AttendanceZones] レイヤーの属性テーブルが表示され、解析で必要のないフィールドが非表示になっています。 [NAME] フィールドのみが表示されます。

2 つのテーブルの比較

次に、[Schools] レイヤーと [AttendanceZones] レイヤーのテーブルを比較します。

  1. 必要に応じて、[AttendanceZones] レイヤーと [Schools] レイヤーの属性テーブルを開きます。

    これら 2 つのテーブルは、1 つのテーブル ウィンドウ内に 2 つのタブとして配置されることがあります。 これらを並べて比較するために、1 つのタブをそのウィンドウから外にドラッグします。

  2. [AttendanceZones] タブをドラッグし、[Schools] レイヤーの属性テーブルの横に固定します。

    横のゾーンにドッキングする AttendanceZones テーブル タブ

    ウィンドウをドラッグすると、青色の影で表され、ドッキング ターゲットがテーブル ビューの中央にアプリケーション ウィンドウのエッジに沿って表示されます。 各ターゲットは、ウィンドウを配置できる領域を表しています。

  3. [Schools] テーブルで、[NAME] フィールド ヘッダーを右クリックして [昇順で並べ替え] を選択します。
  4. [AttendanceZones] テーブルで、[NAME] フィールド ヘッダーを右クリックして [昇順で並べ替え] を選択します。

    2 つのテーブルによれば、公立高校のほとんどの生徒は学区内の学校に通っていますが、一部の生徒は、学区の境界を越えて生徒を集めている学校に通っています。

    8 つの高校 (Beach、Groves、Islands、Jenkins、Johnson、New Hampstead、Windsor Forest、School of Liberal Studies (Savannah High School 付属)) は、両方のテーブルにあります。

    両方のテーブルにある学校

    一方で、[AttendanceZones] 学区にない学校が 3 つあります。 Savannah Arts Academy、Savannah Early College (Savannah High School 付属)、Woodville Tompkins High / Twilight Program がその学校です。 この 3 校は、マグネット スクールとして学区を越えて学生を集めています。

    米国では、さまざまな特色がある教育プログラム (通常は数学や科学、テクノロジーなどの学科科目に特化) を提供する公立学校または教育プログラムのことをマグネット スクールと呼びます。 マグネット スクールの目的は、居住地域や学区の枠に縛られることなく、専門的な学習の機会を生徒に提供することです。 マグネット スクール プログラムへの参加条件は学区によって異なりますが、通常は実績やくじ引き、その他の条件を組み合わせて判断されます。

テーブルの結合による情報の追加

現在の 2 つのレイヤーのどちらにも、学校の学生数と卒業率が含まれていません。 多くの場合、既存のデータを他のソースからのデータと結合して、既存のデータを拡張する必要があります。 幸いにも、オフィスの友人が、これらの数値を含む州のレポートを見つけ、カンマ区切り値テキスト ファイル (.csv) に入力していました (CSV は非常にシンプルなテーブル形式です)。 州立学校の ID コード値を使用して、このデータを [Schools] レイヤーに結合します。

  1. リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンをクリックします。

    データの追加ボタン

    [データの追加] ウィンドウが開きます。

  2. 展開した [Identify_Schools] フォルダーを参照し、[GraduationRates.csv] をクリックして [OK] をクリックします。

    テーブルが [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] の下に追加されます。

    このテーブルには、各学校の州の ID コードを含む [SCHOOLCODE] というフィールドがあります。 [Schools] レイヤーでは、[School_ID] というフィールドに同じデータ値が含まれています。

    これらのフィールド内の一致する値に基づいてこれらのテーブルを結合することで、2 つのテーブルを接続します。

    注意:

    名前フィールドを結合フィールドとして使用できることもありますが、通常は、数値フィールドまたはコード フィールドのほうが適しています。 名前では、スペル、大文字と小文字、完全であるかどうかなどの違いがあることが多く、それによって一致が妨げられてしまいます。 たとえば、[Schools] レイヤーと [AttendanceZones] レイヤーの [NAME] フィールドは、学校名に対して別の命名規則を使用しています。 [Schools] テーブルでは名前が High と結合され (例: Beach High)、[AttendanceZones] テーブルでは名前が High School と結合されています (例: Beach High School)。 これらは、人にとっては大きな違いではないかもしれませんが、テーブルの適切な結合を妨げます。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで [Schools] を右クリックし、[テーブルの結合とリレート] をポイントして [結合] を選択します。

    結合オプション

    [テーブルの結合] ウィンドウが開きます。

  4. [テーブルの結合] ツールのウィンドウで、次のパラメーターに値を入力します。
    • [入力テーブル][Schools] が選択されていることを確認します。
    • [レイヤー、テーブル ビューのキーとなるフィールド][SCHOOL_ID] を選択します。
    • [結合テーブル][GraduationRates.csv] が選択されていることを確認します。
    • [結合テーブル フィールド][SCHOOLCODE] を選択します。

    テーブルの結合ツール パラメーター

    注意:

    [レイヤー、テーブル ビューのキーとなるフィールド] の横に警告シンボルがありますが、これは、このフィールドにインデックスが付けられていないためです。 結合フィールドにインデックスを付けるとパフォーマンスが向上しますが、このように小さなテーブルではその必要はありません。 [結合の検証] をクリックすると、このツールで、式が正常に機能しているかどうかが検証されます。

  5. [OK] をクリックします。

    [GRCLASSZ] フィールド (高校のクラス サイズ) と [GRDNUM] フィールド (卒業者数) がフィーチャクラスに結合されます。 これで、卒業率を計算できます。

  6. [AttendanceZones] テーブルを閉じます。

新しい値を格納するフィールドの追加

テーブルにデータが含まれていても、必要な情報が含まれているとは限りません。 この場合、テーブルには、卒業クラスのサイズと卒業した学生の数を格納する 2 つの関連フィールドが含まれています。 これらの値から卒業率を計算することができます。 計算を行う前に、結果を格納するフィールドを追加します。

  1. [Schools] テーブルで、[追加] をクリックします。

    追加ボタン

    [Schools][フィールド] ビューが開き、テーブルの下部に新しい編集可能フィールドが表示されます。

  2. [フィールド名] に「GradRate」と入力します。 [エイリアス] に「Graduation Rate」と入力します。
  3. [データ タイプ][Double] に設定します。

    新しいフィールドのパラメーター

  4. リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。

    テーブルにフィールドを追加している間に、学校に関する他の 2 種類の情報を格納する 2 つのフィールドをさらに追加します。その情報とは、学校がマグネット スクール (すべての学区を越えて学生を集めている学校) であるかどうか、および学校の卒業率が州の平均卒業率以上であるか、それを下回っているかです。

  5. [フィールド] ビューの下部で [ここをクリックして、新しいフィールドを追加します。] をクリックします。

    新しいフィールドが追加されます。

  6. 新しいフィールドについて、以下のパラメーターを変更します。
    • [フィールド名] に「Magnet」と入力します。
    • [データ タイプ][Text] を選択します。
    • [長さ] に「5」と入力します。

    Magnet の新しいフィールド行

    このフィールドでは、1 つの学区から学生を集めている学校と、学区を越えて学生を集めている学校を区別できます。

  7. 次のパラメーターを使用して、別のフィールドを追加します。
    • [フィールド名] に「Under82」と入力します。
    • [データ タイプ][Text] を選択します。
    • [長さ] に「5」と入力します。

    このフィールドでは、82% という州の卒業率以上の学校と、それを下回っている学校を区別できます。

  8. リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。
  9. [フィールド] ビュー タブを閉じます。

    新しいフィールドが [Schools] テーブルの最後に追加されます。 これらのフィールドを表示するために、テーブルで右にスクロールする必要が生じることがあります。

    新しいフィールドが追加された Schools テーブル

    フィールドが追加されたので、解析に向けて各学校の卒業率を計算し、他の値で学校にタグを付ける準備が整いました。

新しい値の計算

次に、各学校の卒業率を計算します。 卒業率を計算するために、卒業した生徒の数 ([GRDNUM]) をクラスの合計生徒数 ([GRDCLASSZ]) で割ります。 結果を 100 で乗算し、卒業率をパーセンテージで表します。

  1. [Schools] 属性テーブルで、[Graduation Rate] を右クリックして [フィールド演算] を選択します。

    フィールド演算オプション

    [フィールド演算] ツールが開きます。

  2. [フィールド演算] ツールの [フィールド] で、[式] の下にある [GRDNUM] をダブルクリックします。

    GRDNUM フィールド

    フィールド演算の式ボックスに「!GraduationRates.csv.GRDNUM!」というテキストが追加されます。

    これは結合を含むレイヤーに対する演算であるため、ソース テーブル名が接頭辞としてフィールド名に追加され、それらが感嘆符で囲まれて、それがフィールド名であることが示されます。

  3. 除算ボタン (/) をクリックします。
  4. [フィールド] 列で [GRCLASSZ] をダブルクリックします。
  5. 式ボックスで、式の前後に括弧を入力します。 式の末尾に「* 100」と入力します。

    完成した式

    完成した式は次のようになります。

    (!GraduationRates.csv.GRDNUM! /!GraduationRates.csv.GRCLASSZ!) * 100

    つまり、[GRDNUM] フィールドの値 (卒業者数) を [GRCLASSZ] フィールドの値 (クラス サイズ) で割って、100 を掛けます。 [GRDNUM] にも [GRVLSSZ] にも先頭に [GraduationRates.csv] が付いており、これらが [GraduationRates.csv] テーブル内にあることを示しています。 パーセンテージの値は、[Schools.GradRate] ([Schools] テーブルの [GradeRate] フィールド) に格納されます。

  6. [OK] をクリックします。

    [Schools] テーブルの [Graduation Rate] 列に卒業率が表示されます。

    Savannah Arts Academy、Savannah Early College (Savannah High School 付属)、Woodville Tompkins High / Twilight Program の 3 校は学区を越えて学生を集めています。 [Magnet] フィールドに値を追加して、これらの高校の卒業率を他の高校と区別します。

  7. [Schools] 属性テーブルで [Savannah Arts Academy] の行ヘッダーをクリックして選択します。 Ctrl キーを押しながら [Savannah Early College] および [Woodville Tompkins] の行番号をクリックします。

    各学校の行がハイライト表示され、それらが選択されていることを示します。

    属性テーブルのマグネット スクール

  8. [Schools] テーブルで、[Magnet] フィールド ヘッダーを右クリックして [フィールド演算] を選択します。
  9. [フィールド演算] ツールの式ボックスに「"Yes"」と入力します。

    Yes を二重引用符で囲みます。

    "Yes" に設定された式

  10. [適用] をクリックします。 [フィールド演算] ツールを閉じないでください。

    選択した 3 つの学校の [Magnet] 属性に [Yes] という値が追加されます。

  11. [Schools] テーブルで、[選択セットの切り替え] ボタンをクリックします。

    選択セットの切り替えボタン

    この時点で、他の 8 つの学校が選択されます。

  12. [フィールド演算] ツールで、式を編集して「"No"」に設定し、[OK] をクリックします。

    [Magnet] フィールドの値が更新されます。

  13. [選択セットの解除] ボタンをクリックします。

    選択セットの解除ボタン

    選択が解除されます。

新しいフィーチャクラスへのデータのエクスポート

[Schools] レイヤーに新しいデータを追加したので、高校の卒業率のデータを解析する準備が整いました。 データを新しいフィーチャクラスにエクスポートして、結合したフィールドを保存し、定義クエリの必要性をなくします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] を右クリックし、[データ] にポインターを合わせて [フィーチャのエクスポート] を選択します。

    フィーチャのエクスポート オプション

    [フィーチャのエクスポート] ウィンドウが表示されます。

  2. [入力フィーチャ] パラメーターが [Schools] に設定されていることを確認します。
  3. [出力フィーチャクラス] に「HighSchools」と入力します。

    フィーチャのエクスポートのパラメーター

  4. [OK] をクリックします。

    新しい [HighSchools] レイヤーがマップに追加されます。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] をオフにして、無効にします。
  6. [Schools] テーブルを閉じます。
  7. [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。

    クイック アクセス ツールバーの保存ボタン

プロジェクトの初期データをダウンロードして開き、探索しました。 また、レイヤーが表示するフィールドを変更し、新しいフィールドを追加しました。 .csv ファイルから Schools にデータを結合し、卒業率を計算して、学校をマグネット スクールとして、またはマグネット スクールではない学校としてコード化しました。 追加した情報をすべて含む高校のみの新しいレイヤーをエクスポートしました。


データの調査

次に、データを調べてみます。 データのチャートを使用して、データがどのように分散しているか、卒業率が郡の特定の場所にどのように関連しているかを把握します。

卒業率のヒストグラムの表示

まず、[HighSchools] レイヤーの属性テーブルを開き、並べ替えを行います。

  1. [HighSchools] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
  2. [HighSchools] テーブルで、[Graduation Rate] フィールドのヘッダーを右クリックして [昇順で並べ替え] を選択します。

    昇順で並べ替えオプション

  3. [Graduation Rate] フィールドのヘッダーを右クリックし、[統計情報] を選択します。

    卒業率がヒストグラムとしてプロットされたチャートが表示されます。また、フィールド値の記述的な統計情報が表示された [チャート プロパティ] ウィンドウが開きます。 これらの学校の平均卒業率は 88.63% で、州の平均の 82% よりも高くなっています。 最低卒業率は 75.3% で、最高卒業率は 100% です。

    デフォルトでは、データはヒストグラムの 8 つのビンに分割されますが、これは調整できます。

    このテーブルの数値には、小数点以下の桁数が必要以上に表示されています。 次に、チャートの数値の書式設定を変更します。

  4. [チャート プロパティ] ウィンドウで、[軸] タブをクリックします。 [X 軸] セクションの [数値形式][数値フィールド タイプの表示形式を決定] ボタンをクリックします。

    数値フィールド タイプの表示形式を決定ボタン

  5. 表示されたウィンドウの [カテゴリ][数値] を選択します。 [桁数設定][桁数] に「1」を入力します。

    数値カテゴリ パラメーター

    [Graduation Rates] の数値形式がチャートの X 軸で更新されます。

  6. [適用] をクリックします。
  7. [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
  8. ヒストグラムで最初の列をクリックします。

    最小値のビンのバーをクリックすると、このビンの中の 2 つの学校ポイントが選択されます。 これらは、マップ上および [HighSchools] 属性テーブルで強調表示されます。

  9. 他の列をクリックし、他のビン内の学校の場所を確認します。
  10. 卒業率が最も高い列をクリックします。

    卒業率が最も高い 3 つの学校が選択されます。

  11. [HighSchools] 属性テーブルで、選択されている学校の属性を確認します。

    卒業率が最も高い 3 つの学校はマグネット スクールです。 マグネット スクールは学区を越えて学生を集めています。 マグネット スクールに入学できるかどうかは、成績やくじ引き、過去に同じ学校に入学した兄弟がいるかどうかなど、複数の条件に基づいて判断されます。 マグネット スクールは、その学校の専門分野カリキュラムやプログラム (芸術、科学、数学、またはキャリアと技術教育) に特に関心のある学生を引き付ける傾向にあります。 また、マグネット スクールでは、特別な資金の提供を受けたり、プログラムに特別な関心を持つ進路指導員と接点を持ったりすることができます。 分析対象の学校グループのなかでマグネット スクールの卒業率が最も高いのは、こうしたことが理由の一部である可能性があります。

  12. [HighSchools] テーブルで、[解除] をクリックして選択を解除します。

    あなたの組織でこれらの学校について研究し、これらの学校の卒業率が高い理由を割り出すと役に立つかもしれません。これは、メンタリング プログラムでも適用できます。

  13. [HighSchools] 属性テーブルとチャート ウィンドウを閉じます。

マグネット スクールの除外

マグネット スクールは、学区を越えて学生を集め、かつ卒業率が最高であるという理由から、メンタリング プログラムの対象となる高校と中学校を選択する際には役に立ちません。 定義クエリを追加して、マグネット スクールを除外します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[HighSchools] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  2. [レイヤー プロパティ] ウィンドウで [定義クエリ] タブをクリックし、[新しい定義クエリ] をクリックします。
  3. [Where 句 Magnet が No と等しい] という式を作成します。
  4. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    マグネット スクールがマップに表示されなくなりました。

    マップ上のマグネット スクールではない学校

高校のシンボルの変更

次に、[HighSchools] ポイントのシンボルを変更して、成績の良い学校と悪い学校がどこにあるかをわかりやすく表示します。

  1. [HighSchools] を右クリックして [シンボル] を選択します。

    シンボル オプション

    [シンボル] ウィンドウが表示されます。

  2. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル][等級色] を選択します。 [フィールド][Graduation Rate] を選択します。

    デフォルトの分類方法は、自然分類です。

    等級色シンボルと Graduation Rate フィールド

    この配色では、卒業率が最も高い学校が濃い青のポイントとして描画され、卒業率が下がるほど色が明るくなります。

    等級色シンボルで表示された卒業率

    これらの高校の平均卒業率は 88.6 でしたが、2020 年の州全体の卒業率は約 82% でした。 あなたの組織は、卒業率が州の平均の 82% を下回っている学校でメンタリング プログラムを開始したいと思っています。

    次に、シンボルを変更して、卒業率が 82% 未満の学校を強調します。

  3. [シンボル] ウィンドウの [クラス] で、「2」を選択します。

    2 に設定されたクラス

  4. [クラス] タブの [上限値] 列で、1 行目のボックスをダブルクリックします。 最初の上限値を「82」に設定して、Enter キーを押します。

    82 に設定された、最初のクラスの上限値

  5. [上限値] 列で、2 行目のボックスをダブルクリックします。 上限値を 100 に設定して、Enter キーを押します。
  6. 最初のカテゴリのシンボルをクリックします。

    最初のシンボル

  7. シンボル ギャラリーで [円 3] をクリックします。

    ギャラリーの円 3

    卒業率が州の平均を下回る学校が、このシンボルで強調されます。

    卒業率が 82% を下回る学校

    これらの学校は、郡の中北部に集まっているように見えます。 これは、卒業率が州の平均を下回る高校はどこにあるかという、あなたの組織の質問の一部に回答しています。 これらの学校は、9 年生のメンタリング プログラムの対象となる場所です。 さらに、8 年生のいる学校のうち、どの学校が参加すべきかを特定する必要があります。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで [Schools] レイヤーをオンにして、[HighSchools] レイヤーをオフにします。

    [HighSchools] レイヤーには [GraduationRates.csv] のデータが含まれているため、[Schools] レイヤーの結合されたデータを削除できます。

  9. [Schools] を右クリックして [テーブルの結合とリレート] をポイントし、[すべての結合を解除] を選択します。

    すべての結合を解除オプション

  10. 表示された [結合の解除] ウィンドウで [はい] をクリックします。

8 年生のいる学校の場所の表示

[Schools] レイヤーに対する定義クエリを変更し、8 年生のいる学校を表示するようにします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  2. [レイヤー プロパティ] ウィンドウの [定義クエリ] タブで [クエリ 1] にカーソルを合わせ、[定義クエリの削除] ボタンをクリックします。

    定義クエリの削除ボタン

  3. 表示された [定義クエリの削除] ウィンドウで [はい] をクリックします。

    定義クエリが削除されます。

    次は、中学校、K-8 学校、または K-12 学校として分類される学校を検出するクエリを作成します。これらのどのカテゴリの学校にも 8 年生がいます。 また、項目を追加して、結果を公立学校に制限します。

    このチュートリアルの前半では、[And] 演算子を使用してクエリの 2 つの項目を結合し、[TYPE] フィールドの値が [High] で、かつ [SCHOOL_TYP] フィールドの値が [Public School] であるポイントを表示しました。 必要としていたのは、これら両方のクエリ条件を満たす学校だけを表示するクエリでした。

    このクエリでは、[Or] 演算子を使用して、[TYPE] フィールドの値が [Middle] または [K-8] または [K-12] である学校を検出する 3 つの項目を結合し、[And] 演算子を使用して、[SCHOOL_TYP] フィールドの値が [Public School] である学校を検出します。

  4. [新しい定義クエリ] をクリックします。

    最初に、中学校を表示するクエリを作成します。

  5. [クエリ 1][Where 句 TYPE が Middle と等しい] という式を作成します。
  6. [項目の追加] をクリックして、[And TYPE が K-8 と等しい] という式を作成します。

    TYPE が K-8 と等しいのために作成されたクエリ

  7. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    マップが更新され、クエリが反映されます。

    学校のポイントが表示されていないマップ

    テーブルにはレコードがありません。 何が問題なのでしょうか?

  8. [コンテンツ] ウィンドウで [Schools] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが [定義クエリ] タブに表示されます。

    ここでの問題は、ロジック エラーです。 クエリが間違った演算子を使用して、項目を接続しています。 演算子 [And] を使用することで、クエリは、[TYPE] フィールドの値が [Middle] と等しく、かつ [K-8] とも等しい学校を選択します。 この式は、結果的に一致がないことになります。なぜなら、学校のポイントは、このフィールドに 1 つのテキスト文字列値しか持たないためです。 同時に両方のテキスト値と等しいということにはならないのです。

    [定義クエリ] ビルダーのクエリ式に 2 つ目の項目を追加する場合、デフォルトの演算子は [And] です。なぜなら、これが一般的な選択であるためです。 このフィールドが数値であったなら、同じフィールドに対する 2 つの項目が [And] 演算子で結合されることは理にかなっているかもしれません。 たとえば、100 ~ 300 人の学生のいる学校だけを表示したい場合は、StudentBody >= 100 And StudentBody <= 300 のポイントを検出するクエリを作成できます。

    解決策としては、[Or] 演算子を使用するようにクエリを編集します。

  9. [Query 1] で、[編集] をクリックします。
  10. [And][Or] に変更します。

    Or 演算子

  11. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    これで、[TYPE] フィールドが [Middle] と等しいか、[K-8] と等しい学校を表示できます。 クエリと一致する学校が 26 校存在しています。

  12. [Schools] レイヤーの [レイヤー プロパティ] ウィンドウを開きます。
  13. [Query 1] で、[編集] をクリックします。 [Or TYPE が K-12 と等しい] という項目を追加します。

    Type = Middle または K-8 または K-12 のクエリ

  14. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    これで、[TYPE] フィールドが [Middle][K-8]、または [K-12] と等しい学校を表示できます。 クエリと一致する学校が 26 校存在しています。

    8 年生のいる学校のマップ

私立学校と公立のチャーター スクールの除外

これらの学校の中には、私立学校も公立のチャーター スクールもあります。これらは、マグネット ハイ スクールと同様、学区を越えて学生を集めています。 私立学校と公立のチャーター スクールを除外します。 それを行うために、項目を追加します。

  1. [Schools] レイヤーの [レイヤー プロパティ] ウィンドウを開きます。
  2. [定義クエリ] タブの [Query 1][編集] をクリックします。
  3. [項目の追加] をクリックし、[And SCHOOL_TYP が Public School と等しい] という式を作成します。

    今回は、演算子を必ず [And] にしてください。

    クエリに追加された 4 つ目の項目

  4. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。
  5. [Schools] 属性テーブルを開きます。

    クエリと一致する学校が依然として 26 個存在しています。 これらの学校のいくつかはクエリによって除外されたはずなので、この結果は予想外です。 また、私立学校と公立のチャーター スクールがまだテーブルに表示されています。 何が起こっているのでしょうか?

  6. [Schools] レイヤーの [レイヤー プロパティ] ウィンドウを開きます。 [Query 1] で、[編集] をクリックします。

    現在、式の一部がインデントされています。

    演算子の順序が間違っているクエリ式

  7. [SQL] 切り替えボタンをオンにして、クエリを SQL 式として表示します。

    SQL 切り替えボタン

    SQL 式では、(TYPE = 'K-12' And SCHOOL_TYP = 'Public School') が丸括弧によってまとめられていることがわかります。

    問題は、算術と同じように SQL に演算の順序があることです。 [And] 演算子が最初に評価され、その後に [Or] 演算子が評価されることになっています。 そのルールに従っていることを示すために、丸括弧が自動的に追加されました。 この場合、クエリが実際に表示するのは、[TYPE = K-12 と SCHOOL_TYP = Public School の両方に一致する学校]、または [TYPE = K-8 または TYPE = Middle] の学校です。

  8. 式の SQL ビューで、TYPE = 'Middle' Or TYPE = 'K-8' Or TYPE = 'K-12' を丸括弧で囲むように編集します。

    完全なクエリ式は (TYPE = 'Middle' Or TYPE = 'K-8' Or TYPE = 'K-12') And SCHOOL_TYP = 'Public School' となります。

    演算子の順序を調整するために編集されたクエリ式

  9. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。

    これで、クエリが、8 年生のいる可能性がある公立学校のみを返すようになりました。

  10. [Schools][レイヤー プロパティ] ウィンドウを開きます。
  11. [Query 1] で、[編集] をクリックします。 必要に応じて [SQL] をオフにします。

    正しい項目グループを示すインデント

    SQL コードに対して行った変更が、項目のグループとインデントに反映されています。 このビューで、項目のグループを変更することもできます。

  12. [K-8] 学校を選択する項目の横にあるバーをクリックし、Ctrl キーを押しながら、[Middle] 学校を選択する項目の横にあるバーをクリックします。

    グループ化する項目の選択

    複数の項目を選択すると、クエリの上部にある 2 つのボタンが有効になります。 これらのボタンを使用して、インデント レベルを変更し、項目をグループ化またはグループ解除して、演算の順序を制御できます。

  13. [キャンセル] をクリックして [レイヤー プロパティ] ウィンドウを閉じます。 [Schools] 属性テーブルを閉じます。

学校を一緒に表示

8 年生のいる学校を検出したので、それらの学校を高校と一緒に表示できます。

  1. [HighSchool] レイヤーをオンにします。
  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools] レイヤーのポイント シンボルを右クリックして、[ケツァール グリーン] などの明るい緑色を選択します。

    ケツァール グリーン

    8 年生のいる学校が明るい緑になりました。

    学校と高校

  3. プロジェクトを保存します。

現在の問題は、8 年生のいるこれらの学校のうちどの学校が、メンターを受け入れる必要があるかということです。 参加高校の学区内にあるすべての学校を選択することもできます。 参加高校からある程度の距離内にある学校を選択することもできます。 または、人口統計データを使用して、意思決定をすることもできます。

卒業率が州の平均を下回る高校を検出しました。 これらは、9 年生のメンタリング プログラムの対象となる場所です。 また、定義クエリを使用して、地域内の 8 年生のいる適切な公立学校を表示しました。 次に、人口統計データを表示して解析し、これらの学校のうちどの学校をプログラムに含めるべきかについての決定に役立てます。


人口統計データを使用した学校の選択

次に、人口統計データをマップに追加し、どの学校を含めるかについての意思決定に役立てます。 マップを調べて、卒業率と人口統計的要素の関係を確認してから、データへの情報付加を使用して問題を定量化します。 最後に、データへの情報付加を使用して、メンタリング プログラムに参加すべき、8 年生のいる学校を識別します。

Living Atlas からデータを追加

まず、人口統計データのレイヤーを ArcGIS Living Atlas of the World から追加します。

  1. リボンの [表示] タブにある [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] ボタンをクリックします。

    表示タブのカタログ ウィンドウ

    [カタログ] ウィンドウが表示されます。

  2. [カタログ] ウィンドウで [ポータル] をクリックします。

    ポータル タブ

  3. [Living Atlas] タブをクリックします。 検索バーに「ACS」と入力して Enter キーを押します。

    Living Atlas タブで ACS を検索

    ACS は、American Community Survey (アメリカ地域社会調査) の略称で、米国国勢調査局のデータの年次サンプリングに基づく人口統計データと住宅データのプロジェクトです。

    注意:

    ArcGIS Living Atlas の ACS データの詳細については、「国勢調査とアメリカ地域社会調査」をご参照ください。

    多くの ACS レイヤーがあります。 検索クエリを調整して、特定のレイヤーを見つけます。

  4. 検索バーに「ACS poverty」と入力して Enter キーを押します。
  5. [ACS Poverty Status Variables - Boundaries] を右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。

    現在のマップに追加オプション

    ポリゴンは、国勢調査地区です。 人口が集中している都市部ほど、地区が小さい傾向にあります。

    学校のポイントを含むマップ上の ACS データ

    マップ上で色が濃いエリアほど、貧困率は高くなっています。 卒業率が低い学校は、郡の中心部に近い都会の小さな地区にあり、貧困率が高いように見えます。

  6. マップで、赤いポイントの近くにある地区の 1 つをクリックします。

    その地区のポップアップが表示されます。 ポップアップに、地区番号、地区の居住者数、連邦貧困ラインを下回る居住者数、貧困の中で生活している子供の数が表示されます。

    地区 114 のポップアップ

    ヒストグラムには、人口の年齢構成 (若い年齢クラスは左で、年齢が上がるほど右) が表示されます。

    この地区で貧困の中で生活している子供の数がポップアップに表示され、地区の全人口の大部分が貧困の中で生活していることがわかります。

  7. 郡の西端の近くにある、明るい色の地区をクリックします。

    地区 108.21 のポップアップ

    この国勢調査地区では貧困の中で生活している子供が比較的少なく、地区の全人口のごく一部が貧困の中で生活していることがポップアップからわかります。

    これらの 2 つの地区から、卒業率が高い学校がある地域と比べると、卒業率が低い学校が貧困率の高い地域に集まっていることがわかります。 一方で、貧困率が高い地域にも卒業率が高い学校が複数あります。

    貧困率と卒業率の間に相関関係があると結論付けるには、2 つのポイントを観察するだけでは不十分です。 次は、[情報付加] ツールを使用して、卒業率が高い地域と低い地域の属性をさらに詳しく見ていきます。

  8. ポップアップを閉じます。
  9. プロジェクトを保存します。

学区への人口統計データの追加

卒業率の低さに関係している可能性がある要因を調べるもう 1 つの方法は、学区別に人口統計データを集約することです。 これにより、定量的な比較が可能になります。

  1. [解析] タブをクリックし、[ツール] セクションで [情報付加] ツールをクリックします。

    情報付加ツールのボタン

    [ジオプロセシング] ウィンドウが開き、[情報付加] ツールが表示されます。 このツールでは、ArcGIS Online の人口統計情報をフィーチャに追加できます。

  2. [ジオプロセシング] ウィンドウの [入力フィーチャ][AttendanceZones] を選択します。

    デフォルトの出力名「AttendanceZones_Enrich」を使用します。

  3. [変数] で追加ボタンをクリックします。

    変数パラメーターの追加ボタン

    [データ ブラウザー] ウィンドウが表示されます。

  4. [データ ブラウザー] ウィンドウで [Education] をダブルクリックします。

    データ ブラウザーの Education カテゴリ

  5. [Educational Attainment] フォルダーをダブルクリックします。
  6. [2023 Educational Attainment (Esri)] の下で [2023 Pop Age 25+: High School/No Diploma] チェックボックスをオンにします。 パーセンテージ ボタン (%) をクリックして、高校に通っていたものの卒業しなかった成人のパーセンテージを追加し、数値ボタン (#) をクリックして選択を解除します。

    高校に通っていたものの卒業しなかった成人のパーセンテージ

    注意:

    データは定期的に更新されます。 利用可能な最新のデータをご使用ください。

  7. サイド ウィンドウで [カテゴリ] をクリックして [Income] をダブルクリックします。
  8. [Household Income] をダブルクリックします。
  9. [2023 Income (Esri)] の下で [2023 Median Household Income] チェックボックスをオンにします。

    2023 年度の平均世帯収入変数

    変数の [2023 Income (Esri)] グループと [2023 Educational Attainment (Esri)] グループは、Esri の人口統計学者が最新の国勢調査データや他のデータ ソースから編纂した現行年度の推計です。 これらは、最新の情報で継続的に更新されています。

    この解析では、他にどのような人口統計変数が役立つでしょうか? さまざまなカテゴリを参照したり、他のキーワードを検索したりできます。 このチュートリアルでは、選択した 2 つの変数のみを使用します。

  10. [OK] をクリックします。

    変数が、[情報付加] ツール ウィンドウに追加されます。

    注意:

    [情報付加] ツールは、情報付加されるフィーチャの数と、追加される変数の数に基づいてクレジットを消費します (フィーチャと変数の組み合わせ 100 個につき 1 クレジットの割合)。 人口統計変数をさらに追加する場合、追加の変数 1 つにつきクレジットが 0.08 消費されます。

    クレジットの詳細

  11. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[クレジットの推定] をクリックして、このツールが消費するクレジット数を表示します。 [実行] をクリックします。

    ツールが実行されます。 新しい [AttendanceZones_Enrich] レイヤーには、学区からの情報と、追加した 2 つの人口統計変数からのデータが含まれています。

学区への高校の結合

現時点で、学区には、卒業率が高い学校と低い学校の学区間の差異を定量化するための属性が含まれています。 学区には卒業率が含まれていませんが、空間結合を使用して、[HighSchools] レイヤーからこの情報を追加できます。

  1. [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。

    戻るボタン

  2. 検索ボックスに [空間結合] と入力します。 検索結果リストで [空間結合] ツールをクリックします。

    検索結果の空間結合ツール

    [空間結合] ツールが表示されます。

  3. [ターゲット フィーチャ] で、[AttendanceZones_Enrich] を選択します。

    これらのフィーチャは、それらに含まれる学校から値を取得して、それらの属性に追加します。

  4. [フィーチャの結合][HighSchools] を選択し、その他のデフォルト値はそのまま使用します。

    [結合方法] パラメーターは [1 対 1 の結合] に設定されています。これは、同じ数の高校と学区が存在するためです。

    [HighSchools] レイヤーにはフィルターが存在するので、表示されたフィーチャのみが処理されます。

    空間結合ツールのパラメーター

  5. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、[AttendanceZones__SpatialJoin] レイヤーが作成されます。 これで、このポリゴンが [HighSchools] ポイントからの属性 (卒業率を含む) を持つようになりました。 学区が学校コードを持っていた場合は、テーブル結合でこれを実行できましたが、学区のポリゴンはその値を含むフィールドを持っていませんでした。

Python を使用した値の計算

以前に、[Under82] という変数を [HighSchools] レイヤーに追加しました。 空間結合を実行したため、現時点でこの変数が [AttendanceZones_SpatialJoin] レイヤーの属性テーブルにも含まれています。 次に、人口統計データのチャート化を容易にするため、このフィールドに値を追加します。

フィールド演算を使用して、このフィールドの値を [Above] または [Below] に設定します。 以前に [Magnet] 変数を設定した方法で、これを行うことができます。 今回は、関連情報を含む [Graduation Rate] フィールドがすでに存在するため、Python 関数を作成し、演算でその関数を使用して、値が平均卒業率以上の場合は Above、未満の場合は Below を追加するほうが簡単です。

  1. [AttendanceZones_SpatialJoin] の属性テーブルを開き、[Under82] を右クリックして [フィールド演算] を選択します。

    [フィールド演算] ウィンドウが開きます。

  2. 次のスクリプト スニペットをコピーして、[コード ブロック] ボックスに貼り付けます。

    def classify_school(gradrate):
        if gradrate >= 82:
            return "Above"
        if gradrate < 82:
            return "Below"

    フィールド演算ツールの classify_schools 関数のコード ブロックのスクリプト

    このスクリプトは Python 関数です。 関数とは、何らかのタスクを実行するコードのブロックです。 この場合のタスクは、あるフィールドの値を確認して、別のフィールドに値を割り当てることです。 関数は def で開始されています。これは、「define a function (関数を定義する)」を意味します。

    関数の名前は classify_school で、gradrate という 1 つのパラメーターを取り、このパラメーターは関数名の後ろで丸括弧に囲まれています。 名前とパラメーターの後ろのコロンは、関数によって次のコードが実行されることを示します。

    次の行は、4 つ (または 8 つ) のスペースでインデントされています。 Python では、インデントによって、どの行がまとまっていているか、それらがいつ実行されるかが定義されるため、一貫性のあるインデントが重要となります。

    この関数には 2 つの条件分岐があり、それらは if 文で指定されています。

    この関数は、gradrate パラメーターで受け取る値が 82 以上である場合、文字列値 Above を返します。

    gradrate パラメーターで受け取る値が 82 未満である場合、文字列値 Below を返します。

  3. [コード ブロック] ボックスの上にある [Under82 =]classify_school() と入力します。

    式ボックス内の Classify_school 関数

  4. 括弧の間をクリックします。 [フィールド] リストで [Graduation Rate] をダブルクリックします。

    これにより、フィールド名が関数のパラメーターとして追加されます。 次のようになります。

    classify_school(!GradRate!)

    式ボックス内のフィールド パラメーターを含む Classify_school 関数

    注意:

    フィールド エイリアス (Graduation Rate) ではなく、実際のフィールド名が挿入されます。 フィールド名は感嘆符で囲まれています。

    ツールを実行すると、テーブルの各行の [Under82] フィールドに対して、[式] ボックスのコードが実行されます。 このコードによって、[コード ブロック] ボックスで定義した関数 classify_schools が呼び出されます。 行ごとに [GradRate] の値が 82 以上か、未満かが確認され、関数によって返される結果で [Under82] フィールドの値が更新されます。

  5. [コード ブロック] ボックスで、コードの最後の行の末尾をクリックして Enter キーを押します。

    コードが実行されたため、黄色のハイライトは表示されなくなっています。

    コード ブロック ボックスのコード

  6. [OK] をクリックします。

    属性テーブルの [Under82] フィールドには現在、Python コードに従って値 [Above][Below] が表示されています。

    今回は、更新するフィーチャと値がごくわずかであるため、手動による選択または [属性条件で選択] ツールを使用しても、これらの値の計算にかかる時間はそれほど長くならなかったでしょう。 しかし、多くの異なる値を計算する必要があり、条件も多い場合は、Python 式によって時間を節約できます。

  7. プロジェクトを保存します。

結果のグラフ化

同じフィーチャに対して学区、人口統計データ、卒業率と [Above] または [Below] のカテゴリを用意できたので、これらの変数間の関係を調べることができます。 チャート化は、これに適した方法です。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[AttendanceZones__SpatialJoin] を右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。

    [チャート プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  2. [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付][NAME] を選択します。
  3. [数値フィールド][選択] をクリックします。 [2023 Median Household Income] をオンにして [適用] をクリックします。

    2023 年度の平均世帯収入変数の選択

    チャートが更新されます。

    学区別に集計された 2022 年度の平均世帯収入

    異なる高校学区の間で、平均世帯収入に違いがあります。

  4. [チャート プロパティ] ウィンドウで、[一般] タブをクリックします。 [チャートのタイトル] に「Median Household Income by Attendance Zone」と入力します。

    チャートのタイトル パラメーター

  5. [チャート] ウィンドウで、[エクスポート] ボタンをクリックして [グラフィックスとしてエクスポート] を選択します。

    グラフィックスとしてエクスポート オプション

    [エクスポート] ウィンドウが表示されます。

  6. チャートの画像を「Median_HH_Income_by_Attendance Zone」という名前で .png ファイルとしてコンピューター上に保存します。

    この画像をレポート ドキュメントやプレゼンテーションに追加できます。

  7. [チャート プロパティ] ウィンドウで、[データ] タブをクリックします。 [分割 (オプション)][Under82] を選択します。

    分割パラメーター

    チャートが更新され、[Under82] フィールドの値ごとに各学校が表示されます。

    Under82 変数によって分割された学区別の収入

    学区における卒業率が 82% 以上か、未満かで値を分割すると、平均世帯収入の低さが卒業率の低さと多少関連していることがわかります。 ブレーク ポイントは、約 55,000 ドルの平均世帯収入にあるようです。 このチャートの画像をエクスポートして、プレゼンテーションで使用できます。

  8. チャート ビューと属性テーブルを閉じます。
  9. [コンテンツ] ウィンドウで [ACS Poverty Status Variables - Boundaries] レイヤーをオフにします。

    平均収入と卒業率の関係を識別したので、データへの情報付加を使用して、平均世帯収入が低いエリアで、8 年生のいる学校を検出します。 卒業率が 82% 以上の 2 つの学校でも、学区の平均収入の値が比較的低いため、ここでは、収入が唯一の要因であるとは思われません。 他の人口統計変数と卒業率の関係を調べ、追加の変数を 1 つまたは複数使用して、意思決定をすることができます。

一定距離内の情報付加

平均世帯収入が低い 8 年生がいる学校を検出するには、参加高校と同じ高校学区内にあるそれらの学校を選択することができます。 しかし、学区が大きく、異なる特性を持つ複数の近隣地区が含まれていることがあります。 中学校、K-8 学校、K-12 学校は高校よりも小さく、各学校がより小さなエリアから学生を集めています。 これらの学校の学区を表すポリゴンがないため、[情報付加] ツールで検索距離を指定することによって、それらの近隣地区の近似を得ます。

  1. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ツール] グループで [情報付加] ツールをクリックします。
  2. [情報付加] ツール ウィンドウの [入力フィーチャ][Schools] を選択します。

    デフォルトの出力名「Schools_Enrich」をそのまま使用します。

  3. [変数] で追加ボタンをクリックします。

    [データ ブラウザー] ウィンドウが表示されます。

  4. [データ ブラウザー] ウィンドウの検索バーに「median household income」と入力し、Enter キーを押します。
  5. [2023 Median Household Income] のチェックボックスをオンにして [OK] をクリックします。
  6. [情報付加] ツール ウィンドウで、[距離または時間] が 1 に設定されており、[単位][マイル] に設定されていることを確認します。
  7. ツール ウィンドウの上部にある [クレジットの推定] をクリックします。 [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、各学校の周囲、半径 1 マイルの円について平均世帯収入が集計されて、そのデータが出力の [Schools] テーブルに追加されます。

    ポイントの周囲、半径 1 マイルを使用すると、3.14 平方マイルというサンプリング面積が提供されます。 これは、あるエリアに対して [情報付加] ツールを使用する際に推奨される最小 2 平方マイルというサイズよりも大きい値です。 面積が小さくなるほど、結果の信頼性が低くなります。

    [情報付加] ツールでは、ポイントの周囲の徒歩時間ゾーンまたは運転時間ゾーンを使用して人口統計データを集計することもできます。そのため、各学校から徒歩 10 分以内や、車で 15 分以内のエリアの人口統計データを取得できます。 このチュートリアルでは、シンプルな円でかまいません。

平均世帯収入が低い学校の検出

先ほど追加した収入値で学校をシンボル表示してから、8 年生のメンタリング プログラムの対象となる学校を選択します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Schools_Enrich] を右クリックして [シンボル] を選択します。
  2. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] で、[等級シンボル] を選択します。
  3. [フィールド][2023 Median Household Income] を選択します。

    シンボル ウィンドウのパラメーター

    [Schools_Enrich] レイヤーのシンボルが更新されます。

    近くの平均収入によってシンボル表示された学校

    小さな円は学校の近くの平均収入が低いことを表し、円が大きくなるほど平均収入が高いことを表します。 半径 1 マイル以内の平均世帯収入が低い学校はほとんど、卒業率が 82% 未満の 3 つの高校の近くにあります。

    次に、プログラムの対象となる 8 年生のいる学校を選択します。 卒業率 82% 以上の高校と 82% 未満の高校の間のブレーク ポイントは、世帯収入の中央値で約 55,000 ドルであったため、同じ世帯収入の中央値を 8 年生のいる学校の選択基準として使用します。

  4. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[属性条件で選択] をクリックします。
  5. [属性条件で選択] ウィンドウの [入力テーブル][Schools_Enrich] を選択します。
  6. [式] で、[Where 2023 Median Household Income が 55000 以下] という式を作成します。

    属性条件で選択のパラメーター

  7. [OK] をクリックします。

    学校が選択されました。

    平均世帯収入が 55,000 ドル以下の学校を選択

  8. [Schools_Enrich] レイヤーの属性テーブルを開きます。

    選択された学校がテーブルでハイライト表示されます。 5 校の [TYPE] 値は [Middle]、2 校の値は [K-8] です。

  9. テーブル ヘッダーで [選択セットのコピー] ボタンをクリックします。

    選択セットのコピー ボタン

    選択されている行をスプレッドシートやテキスト ドキュメントに貼り付けて、選択した学校を記録できます。 また、選択されているフィーチャを新しいレイヤーとして保存することも、フィールド値を計算して、これらの学校がプログラムの対象として選択されたことを示すこともできます。 [HighSchools] レイヤーで属性による選択を行って、それらの行をドキュメントにコピーすることもできます。

  10. プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、解析に向けてデータを準備し、定義クエリを使用して適切なフィーチャを選択して表示し、テーブルを結合し、値を計算しました。また、データのシンボル表示とチャート化を行い、レイヤーを空間的に結合し、属性によってフィーチャを選択して、特定の値を検索しました。 また、Python 関数を使用して、あるフィールドの値を別のフィールドのクラスに自動的に分類しました。 さらには、ArcGIS Living Atlas[情報付加] ツールを使用して、人口統計データをプロジェクトに追加し、意思決定に役立てました。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。