プロジェクトの作成
城の 3D モデルを作成する最初のステップは、Drone2Map プロジェクトの作成および構成です。
画像のダウンロード
ドローンが撮影した画像は、.zip ファイルとしてオンラインで保存されています。 ファイルをダウンロードし、その内容を解凍して画像を 1 つ確認してから、Drone2Map プロジェクトに追加します。
- Create_3D_products_with_ArcGIS_Drone2Map .zip ファイルをダウンロードします。
注意:
このファイルは 4.6 GB を超えるため、ダウンロードに数分かかる場合があります。
- ダウンロードしたファイルを見つけます。 このファイルを、お使いのコンピューターの探しやすい場所 ([ドキュメント] フォルダーなど) に展開します。
- [Create_3D_products_with_ArcGIS_Drone2Map] フォルダーを開きます。 [Drone Imagery] フォルダーを開きます。
画像は 360 枚あります。
- [DJI_20210412144652_0005] という名前の画像を開きます。
ヒント:
フォルダー内の 5 枚目の画像です。
プレビューが表示されます。 画像は横向きに表示されますが、Drone2Map はこの画像を処理できます。
- プレビューを閉じます。
- [Drone Imagery] フォルダーを閉じます。
テンプレートを使用したプロジェクトの作成
次に、Drone2Map でプロジェクトを作成します。 このプロジェクトは、ニーズに合ったテンプレートに基づいて作成されます。ダウンロードした画像もここに追加されます。
- ArcGIS Drone2Map を起動します。
注意:
Drone2Map がない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- 求められた場合、ArcGIS アカウントにサイン インします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
最初に、処理テンプレートを選択します。 テンプレートは、2D プロダクトと 3D プロダクトを作成するためのデフォルト設定になるものです。 このプロジェクトでは、[3D プロダクト] テンプレートを選択します。 このプロジェクトでは、点群と、メッシュと呼ばれる 3D モデルを作成できます。 これらは、マネージャーから求められた、城の計測に使用するプロダクトです。
注意:
処理テンプレートの詳細については、「プロジェクトの作成」をご参照ください。
- [処理テンプレート] で [3D プロダクト] を選択します。
次に、プロジェクトに名前を付けます。
- [プロジェクト名] に「Trakai_Island_Castle」と入力します。
- 必要に応じて、プロジェクトの保存場所を選択します。
プロジェクトが作成されると、Drone2Map プロジェクト ファイル、画像プロダクト、その他のデータセット用のフォルダー ディレクトリが作成されます。
次に、プロジェクトにドローン画像を追加します。 特定の画像を選択するか、画像が格納されたフォルダーを追加することができます。 [Drone Imagery] フォルダーに画像があるため、このフォルダーをプロジェクトに追加します。
- [フォルダーの追加] をクリックします。
[画像フォルダーの参照] ウィンドウが開きます。
- [Drone Imagery] フォルダーを参照して選択します。 [OK] をクリックします。
先ほど確認した 360 枚の画像がプロジェクトに読み込まれます。
各画像に、[Lat [Y]] (緯度 (度))、[Lon [X]] (経度 (度))、および [Alt [Z]] (高さ) の属性を持つメタデータが含まれています。 これらの地理的属性は、各画像の撮影時にドローンによって保存されたものであり、これらの属性を使用して各画像のカメラ位置をマップ上で特定できます。
注意:
コントロール ポイントをプロジェクトに追加して、最終出力の位置精度を高められます。 コントロール ポイントを Drone2Map プロジェクトに追加する方法については、「地上コントロール ポイントの精度の評価」および「ArcGIS Drone2Map での 2D プロダクトの作成」をご参照ください。
- [作成] をクリックします。
画像の位置がマップに追加され、プロジェクトが自動的に保存されます。 さらに、ドローンのフライト パスを推測するライン フィーチャである [フライト ライン] が、各ドローン画像のタイム スタンプから作成されます。
このモジュールでは、Drone2Map プロジェクトを作成し、ドローン画像を 360 枚追加しました。
画像の処理と結果の確認
画像を Drone2Map に追加したので、画像を処理する準備がほぼ整いました。 処理を開始する前に、処理オプションを見ていきます。 処理オプションを使用して、Drone2Map で作成されるプロダクトの内容とその全体的な品質を指定できます。
処理オプションの設定
画像を処理する前に、[オプション] ウィンドウを使用してプロジェクトの入出力を確認します。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [処理] グループで、[オプション] をクリックします。
[オプション] ウィンドウが表示されます。
このウィンドウでは、固有の分析要件に合うように写真測量プロセスの主要なコンポーネントを設定できます。 [3D プロダクト] テンプレートの選択時にデフォルトのオプションが設定されました。
注意:
使用できるオプションの詳細な説明については、「処理オプション」をご参照ください。
次に、一部のオプションを見ていきます。
- [オプション] ウィンドウで、[一般] タブが選択されていることを確認します。
[一般] タブでは、出力プロダクトの品質や解像度を調整できます。 また、それらのプロダクトを生成する際に使用されるコンピューターの処理能力の大きさを定義できます。 たとえば、画像の処理時間を短縮したい場合は、[ポイント クラウド密度] パラメーターを [中] に変更できます。 この変更によって画像の処理時間は短縮しますが、出力の品質も下がることになります。
- [画像の調整] タブをクリックします。
[画像の調整] タブでは、ブロック調整プロセス、タイ ポイントの一致、点群の生成で使用される設定を定義できます。 これらは、Drone2Map での画像プロダクトの作成時に発生するさまざまなサブプロセスです。
- [3D プロダクト] タブをクリックします。
[3D プロダクト] タブでは、点群、DSM テクスチャ メッシュ、3D テクスチャ メッシュの処理オプションおよび目的の出力の調整が可能です。 [点群の作成] プロダクトと [3D テクスチャ メッシュの作成] プロダクトがデフォルトで選択されますが、これは [3D プロダクト] テンプレートを選択したためです。 これらはユース ケースに応じてさまざまなフォーマットで作成できます。
[オプション] ウィンドウのその他のタブでは、2D プロダクトの出力、プロジェクトの座標系の確認、プロジェクトに関するその他の詳細の表示が可能です。
画像の処理を開始する前に、[管理] ウィンドウで出力を確認します。
- [OK] をクリックします。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [処理] グループで [管理] をクリックします。
[管理] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウでは、画像の処理時に作成されるプロダクトの概要が表示されます。
- [管理] ウィンドウで、[2D プロダクト] と [レポート] のグループを展開します。
[3D プロダクト] で、[3D メッシュ] と [3D 点群] が処理のキューに配置されます。 [2D プロダクト] では、[画像コレクション] のみが選択されます。Drone2Map で画像を処理する際に、これが常に必要であるためです。 [トゥルー オルソ]、[数値表層モデル]、[数値地形モデル]、[DSM ポイント クラウド] はオンになっていません。 これは [3D プロダクト] テンプレートを選択したためです。 [レポート] では [処理レポート] が作成されます。 このレポートには、画像の入力および出力の品質や正確度に関する有益な情報が表示されます。
次に、画像を処理します。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [処理] グループで [開始] をクリックします。
注意:
[処理に関する警告] ウィンドウが表示されたら、[いいえ] をクリックします。この警告は、ドローン画像の座標系とプロジェクトの座標系の間に座標変換が見つからないことを示しています。 正しい座標変換を取得するために、[ArcGIS Coordinate Systems Data] をインストールする必要があります。 プロジェクトを保存し、Drone2Map を閉じます。ArcGIS Coordinate Systems Data をインストールし、もう一度 Drone2Map プロジェクトを開いて処理を開始します。
処理には 1 ~ 2 時間かかる場合がありますが、これはお使いのコンピューターのハードウェアによって異なる場合があります。
処理の進捗は [管理] ウィンドウに表示されます。
- 処理が終了したら、[3D マップ] ビューをクリックします。[コンテンツ] ウィンドウとシーンに追加される複数のレイヤーが表示されます。
画像プロダクトの確認
ここでは、マップ上の画像プロダクトを詳しく調べて、プロジェクト エリアへの理解を深めます。 3D メッシュを詳しく調べる際に、この城独特の設計に注意を払います。Trakai Island Castle は 14 世紀にリトアニアの君主の要塞として建設された城で、侵略者からの防御のために島に戦略的に配置されました。 現在保存されている建築物からは、中世の東ヨーロッパの壮麗な趣が伝わります。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[プロジェクト データ] グループを折りたたんでオフにします。
3D 画像プロダクトが見やすくなりました。
次に、プロジェクト エリア内の 3D データを詳しく調べます。 [3D Mesh] レイヤーでの調査から始めます。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] をクリックします。
- シーン内の城の詳細を探索します。マウスの左ボタンをクリックして押したままにすると、マップをドラッグして画面移動することができます。 マウスの右ボタンを押したままにすると、拡大/縮小できます。 中央ボタンを押したままにすると、クリックしたポイントを中心に傾斜または回転させることができます。 マウス ボタンの代わりに、B キーと V キーを使用して移動することもできます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[3D Mesh] および [DEM] をオフにします。 [3D Point Cloud] をオンにします。
- 城の点群を詳しく調査します。
[Point Cloud] レイヤーの各ポイントには情報が含まれています。 次に、任意のポイントを詳しく調べます。
- 任意のポイントをクリックします。
[ポップアップ] ウィンドウが開き、座標や標高など、そのポイントに関する情報が表示されます。
- [ポップアップ] ウィンドウを閉じます。
次に、プロジェクトを保存します。
- [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] をクリックします。
プロジェクト エリアのクリップ
シーンを探索中に、島を囲む植生と水域によって、作成したプロダクトにアーティファクトとノイズが生じていることに気付きました。 これらの画像プロダクトを共有する前に、3D メッシュをクリップして、水域と植生を削除します。 これにより、プロダクトの対象ユーザーの注目が城に集まります。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [後処理] グループで、[クリップ エリア] をクリックします。
[クリップ エリア] ツールを使用すると、特定の境界に沿ってプロダクトをクリップする形状を定義できます。 独自のエリアを定義するか、または既存のエリアをインポートすることができます。 エリアを含むシェープファイルは、以前にダウンロードした [Create_3D_products_with_ArcGIS_Drone2Map] フォルダー内に提供されました。 このエリアを使用します。
- [クリップ フィーチャのインポート] を選択します。
[フィーチャクラスを参照] ウィンドウが表示されます。
- [フィーチャクラスを参照] ウィンドウで、[Create_3D_products_with_ArcGIS_Drone2Map] フォルダーを参照します。 [Project Area] フォルダーを開きます。 [Project_Area] を選択します。
- [OK] をクリックします。
エリアは [プロジェクト データ] グループのシーンに追加されますが、表示されません。 クリップ エリアが表示されるように、いくつかのレイヤーの表示設定を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[3D Mesh] をオンにします。 [3D Point Cloud] をオフにします。
- シーンを画面移動して、[クリップ エリア] の境界を確認します。
次に、この境界の外側にあるすべてのものを削除して、城のみを残します。 このクリップ処理により新しい 3D メッシュが作成されます。 元々の画像プロダクトは削除されません。
- リボンの [ホーム] タブをクリックします。 [後処理] グループで、[クリップ] をクリックします。
- [クリップ プロダクト] ウィンドウで [はい] をクリックします。
クリップされたメッシュが [コンテンツ] ウィンドウの [Clipped 3D Products] グループに追加されます。 シーンにも表示されます。
次に、クリップの結果を詳しく調べます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Project Data] をオフにします。
- クリップされた城の 3D メッシュを探索します。
このモジュールでは、Drone2Map の処理オプションを構成し、3D メッシュと点群を作成しました。 そして、結果を詳しく調べ、3D メッシュをプロジェクト エリアにクリップし、周囲の水域および植生を削除しました。
結果の共有と計測
ここでは、これらのプロダクトを同僚、関係者、クライアント、Web シーンを使用している一般ユーザーと共有します。 この 3D モデルをオンラインで共有することで、トラカイ島城の情報にアクセスできる人が増加し、その美観が紹介され、その遺産がデジタル形式で保存されます。 コンテンツを Web に共有する際には、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise のアカウントを使用できます。
3D メッシュの共有
このセクションでは、作成した 3D メッシュを Web に共有します。
- リボンの [共有] タブをクリックします。 [共有] グループの [シーン レイヤー] をクリックします。
[シーン レイヤーの共有] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウで、公開するレイヤーを選択できます。 ここではクリップしたメッシュのみを共有します。
- [シーン レイヤーの共有] ウィンドウの [レイヤー] で、[3D Mesh Clip] の横にあるチェックボックスをオンにします。
次に、レイヤーに関する詳細情報を入力します。 これらの詳細情報により、組織内や Web 全体でデータセットが検索しやすくなります。
- 次の情報を入力します。
- [タイトル] に「Trakai Island Castle」と入力します。
- [説明] に「Mesh of Trakai Island Castle to view and explore」と入力します。
- [タグ] に「Trakai Island Castle」と入力し、Enter キーを押します。
次に、3D メッシュにアクセスできるユーザーを選択します。 マネージャーおよび同僚と行う最初の社内レビューのために、3D メッシュを組織と共有します。
- [グループ] で、[組織] の横にあるチェックボックスをオンにします。
メッシュを Web に共有できる状態になりました。
- [共有] をクリックします。
[管理] ウィンドウが表示されます。 データがパッケージ化され、一連のアイテムとして Web に公開されます。 このプロセスには数分かかる場合があります。
共有が完了したら、Web で共有したアイテムを確認します。
- [管理] ウィンドウで、[共有アイテム] の横にある [Trakai Island Castle 3D Mesh Clip] をクリックします。
Web ブラウザーが開きます。 ライセンスされた Drone2Map と同じアカウントを使用してサイン インします。
- ライセンスされた ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
シーン レイヤーの詳細ページが表示されます。
- [Scene Viewer で開く] をクリックします。
シーンが開き、Drone2Map からクリップしたメッシュがレイヤーとして追加されます。
寸法の計測
次に、メッシュを探索し、計測ツールを使用します。 そして、シーンを保存します。
- シーンにおいて、城で最も高い塔の前に移動します。
- ツールバーで、[シーン ツール] をクリックします。
これらのツールは、シーンに追加する可能性のあるメッシュやその他のレイヤーでのさまざまな計測に使用します。 塔全体の標高断面を描画し、高さと幅を計測します。
- [シーン ツール] ウィンドウで、[標高断面] をクリックします。
標高断面は、少なくとも 2 つの点で構成される折れ線グラフです。 ラインの下のサーフェスの標高がグラフ上にプロットされます。 断面には点が 2 つあり、それぞれが塔の片側になります。
- 塔の左側の支持壁近くをクリックします。 塔の右側の支持壁近くをもう一度クリックします。
点を追加するたびに、標高断面が動的に描画されます。
- [シーン ツール] ウィンドウで、[完了] をクリックします。
標高断面ができました。
注意:
誤りがあったり、やり直しが必要だったりする場合は、[新しい断面] をクリックします。
次に、計測値を確認して、地表面からの塔の高さを調べます。
- 標高断面で塔の最も高い部分にポインターを合わせます。
塔の高さは約 626 フィートで、同じ地点の地面の高さは約 493 フィートです。 したがって、塔の高さは 133 フィートになります。
注意:
計測単位を変更するには、[設定の表示] をクリックし、[単位] オプションを変更します。
- [シーン ツール] ウィンドウを閉じます。
最後に、シーンを保存します。
- [デザイナー] ツールバーで [保存] をクリックします。
[シーンの保存] ウィンドウが表示されます。
- [シーンの保存] ウィンドウで以下を入力します。
- [タイトル] に「Trakai Island Castle」と入力します。
- [サマリー] に、「Scene containing a mesh of Trakai Island Castle」と入力します。
- [タグ] に「Trakai Island Castle」と入力し、Enter キーを押します。
- [保存] をクリックします。
このチュートリアルでは、Drone2Map を使用して、未処理のドローン画像を取り込んで、3D プロダクトに加工しました。 3D シーンでプロダクトを詳しく調べ、他の人がそれらを探索できるように Web に共有しました。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。