アイテムの削除
レイアウトが完成したと判断する前に、立ち止まって作成したものを評価することが重要です。 まず、レイアウトから削除できるものがないか考えます。
興味深い情報は、重要な情報から注意をそらすことがあります。 この場合、すでに余分な情報をすべて凡例から削除しており、過剰なテキスト ブロックやマップに情報を詰め込み過ぎないように注意しました。 マップとレイアウトの設計プロセスにおいて、どの情報が重要でどの情報が無関係かを問いかけることが重要です。 そうでないと、この時点でたくさんのアイテムを削除する必要が出てきます。
この場合、レイアウトから不要なラベルを削除します。
- 前のチュートリアル「レイアウトの配置」を完了している場合は、[AmericanRiver.aprx] を再度開きます。 完了していない場合は、AmericanRiver3.ppkx をダウンロードします。 ファイルをダブルクリックし、ArcGIS Pro で開きます。
注意:
.ppkx ファイルは ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。
- サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントを使用して ArcGIS Pro にサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [Cover Type] マップ上で、差し込みマップによって一部が隠れている [河口] ラベルを探します。
このように切り取られたテキストは、乱雑で意図がないように見えます。 この場合、ラベルを読むことができません。 差し込みマップを動かさずにこのラベルを他の場所に配置するのは困難です。 幸いなことに、[河口] ラベルは他のマップでも使われているため、文字が切り取られているラベルを削除できます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Cover Type] マップ フレームを展開します。 必要に応じて、[Cover Type] マップも展開します。
このマップ上のラベルは、実際は、個別に編集して配置できるアノテーション フィーチャです。 アノテーション フィーチャのプロパティは、属性として格納されます。
注意:
アノテーションの作成方法や編集方法など、アノテーションの詳細について学習するには、「Pro マップ テキスト II: アノテーション」をご参照ください。
フィルター設定を使用してマップからこのラベルを削除します。
- [Annotation] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] をクリックします。
このレイヤーにはすでにフィルター設定があります。
- [編集] ボタンをクリックします。
既存のクエリがレイヤーをフィルターして別のラベルを削除します。 さらに [河口] ラベルを削除するために、クエリに 2 つ目の項目を追加します。
- [項目の追加] をクリックします。
- 最初のメニューが [And] に設定されていることを確認します。 次の 3 つのメニューで [テキスト文字列]、[等しくない]、[河口] を選択します。
- [適用] をクリックします。 [OK] をクリックします。
[Cover Type] マップから [河口] ラベルが消えます。 [Tidal Class] マップでは表示されたままです。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Cover Type] マップ フレームを折りたたみます。
レイアウトの一貫性の評価
次に、レイアウト設計内で一貫性が無い箇所を探します。 他とは異なるフォントが使用されているテキスト エレメントはありませんか。 黒色エレメントにはすべて同じ黒色が、ターコイズ色エレメントにはすべて同じターコイズ色が使用されていますか。 2 つのマップは同じ縮尺と位置になっていますか。 レイアウト設計において一貫性は重要なエレメントです。 一貫性が無くてもよいのは、その理由を示すことができる場合のみです。
このレイアウトには、2 つの凡例のテキスト書式設定において一貫性がありません。 [Cover Type] の凡例では、各単語が大文字で表記されるタイトル ケースを使用し、[Tidal class] の凡例では、各行の最初の単語のみが大文字で表記されるセンテンス ケースを使用しています。 この矛盾は、一部の読者によっては気に障る入力ミスとなります。 一貫性があるのであれば、どちらの書式設定を選択しても問題ありません。 マップ上のラベルは先頭だけ大文字なので、凡例の書式設定も同じようにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tidal Class] マップ フレームを展開します。 必要に応じて、[Tidal Class] マップも展開します。
- [Tidal class] レイヤーを、大文字の C を使用して「Tidal Class」という名前に変更します。
ヒント:
項目の名前を変更するには、[コンテンツ] ウィンドウで目的の名前を 1 回クリックして選択してから再度クリックするか、F2 を押して編集可能にします。
- 必要に応じて、[Tidal Class] レイヤーを展開します。 [Stranded tidal] シンボル クラスを、大文字の T を使用して「Stranded Tidal」という名前に変更します。
レイアウトにスペルの変更が反映されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tidal Class] マップ フレームを折りたたみます。
レイアウトの見かけの階層の評価
見かけの階層は、マップ エレメントのランク順序を表します。 レイアウトを設計する際は、見かけの階層の原則を使用して、マップなどの重要な情報が最初に注目され、著作権情報のテキストなどの二次情報が最後に注目されるようにするべきです。 見かけの階層を構築するために最も重要な方法は、コントラストを使用することです。 背景とのコントラストが高いものは、画像の前景にあるように見え、最初に注目され、コントラストが低いものは、背景にあるように見え、最後に注目されます。
- レイアウトの周囲のルーラーを右クリックして、[ガイド] をオフにします。
これで、レイアウトの表示が明確になりました。
- 閲覧者に注目してもらいたい順序に、レイアウトの全エレメントを並べます。
- レイアウトを見直してすべての項目を注目されると思う順序に並べます。
リストが次のようになっているはずです。
順序 望ましい見かけの階層 実際の見かけの階層 1
マップ
タイトル
2
タイトル
マップ
3
凡例
差し込みマップ
4
説明テキスト
凡例
5
差し込みマップ
説明テキスト
6
スケール バー
スケール バー
7
著作権情報のテキスト
著作権情報のテキスト
ページ上で最も大きいのは河口マップです。 閉じたフォーム、鮮やかな色、詳細な線とテクスチャがあります。 これらのプロパティはすべて、見かけの階層を高くするのに役立ちます。 しかし、タイトルが、大きく、見慣れた形 (文字) があり、タイトル自体 (黒い背景に白い文字) と他のレイアウト (明るい背景に黒いボックス) とのコントラストが非常に高いため 最初になります。
2 つのリストの大半の項目は近しいです。 タイトルと 2 つの大きなマップが最初に注目され、著作権情報のテキストと縮尺記号は最後に注目されます。 マップの見かけの階層を改善するために変更するエレメントは差し込みマップです。
現在、差し込みマップはレイアウトに貼り付けられたステッカーのように見え、他のアイテムよりもユーザーの近くにあるように見えます。これは、見かけの階層が高いことを意味します。 これは、背景とのコントラストが高く、閉じた形状を強調する黒い枠線によるものです。 この効果を抑えるために枠線の色を変更します。
- 差し込みマップをクリックします。 [エレメント] ウィンドウで [表示] ボタンをクリックします。
多くの場合、差し込みマップに枠線は必要ありません。 しかし、この場合、差し込みマップの地形が [Cover Type] マップの一部に見えないようにするために、枠線が必要です。
- [枠線] で色を白に変更し、幅を [4 pt] に変更します。
白色は、差し込みマップと背景の両方においてコントラストが低くなります。 コントラストが非常に低いため、特にマップを低品質の紙に印刷したり、スクリーンに映し出したりした際に、見づらくなる可能性があります。 追加の幅を使用することで見やすくなります。
- レイアウトの外側をクリックして、差し込みマップの選択を解除します。
見かけの階層に関する問題は修正しましたが、それにより一貫性に関する問題が生じました。2 つの大きなマップには黒の細い枠線を使用していますが、差し込みマップには白の太い枠線を使用しています。
- [コンテンツ] ウィンドウで、Shift キーを押しながら [Tidal Class] マップ フレームと [Cover Type] マップ フレームを選択します。
レイアウト ビュー上ではロックされているため、選択できません。
- [エレメント] ウィンドウの [枠線] で色を白に変更し、幅を [4 pt] に変更します。
枠線は、2 つのマップを分けるレイアウトの中央ではよさそうに見えますが、エッジの周囲、特に [Tidal Class] マップのグレーの海とのコントラストが気になります。
- [エレメント] ウィンドウで幅を [0 pt] に変更します。
枠線を使用する代わりに、レイアウトに白い線を追加して 2 つのマップを分けます。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [グラフィックスとテキスト] グループで、[ライン] ボタンをクリックします。
- レイアウト上で、クリックしてタイトルからレイアウトの一番下のエッジまで、中心ガイドに沿ってラインを引きます。
ガイドが表示されていなくても、ガイドにスナップすることができます。
- [エレメント] ウィンドウで [シンボル] タブをクリックします。
- [色] で白を選択します。 [ライン幅] で [4 pt] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[ライン] エレメントをマップ フレーム上部のタイトルの下に配置します。
これで、ラインは他のエレメントを隠すことなく 2 つのマップを分けています。
レイアウトのエクスポート
レイアウトをエクスポートする準備ができました。 クライアントが印刷したり、オンラインで共有したりできる .pdf ファイルとしてレイアウトをエクスポートします。
- リボンの [共有] タブをクリックします。 [出力] グループで、[レイアウトのエクスポート] ボタンの下半分をクリックします。
- 表示されたメニューで、[平坦化された PDF] をクリックします。
- [エクスポート] ウィンドウの [名前] で [参照] ボタンをクリックします。 簡単にアクセスできる場所を選択し、ファイルに「AmericanRiver_Draft1.pdf」という名前を付けます。 [保存] をクリックします。
- [画像として出力] がオンになっていることを確認します。
このオプションは、すべてのベクター (テキストなど) およびラスター (画像など) エレメントを 1 つのラスター画像へと平坦化します。 これによってレイアウトの鮮明さが低下するかもしれませんが、ファイル サイズも小さくなります。
- [ベクター解像度] を 「300」[DPI] に変更します。
印刷グラフィックスの標準解像度は、300 DPI (Dots Per Inch) です。 この解像度であれば、ベクター グラフィックスが画像に変換されても鮮明に表示されます。
- [PDF 設定] で [ジオリファレンスされた情報のエクスポート] をオフにします。
- [エクスポート] をクリックします。 [レイアウトのエクスポート] ウィンドウは閉じないでください。
レビューの要求とフィードバックへの対処
エクスポートした PDF ファイルは完成版ではなく、ドラフトです。 次に、レビューを求めます。 エクスポートしたレイアウトを何人かの友人や同僚に見せて、マップについて説明してもらう必要があります。 フィーチャが何を表しているのかわからない場合、凡例アイテム、テキスト ブロック、ラベル、イラスト、図などの情報を追加する必要があるかもしれません。 重要でないと思われるものが気になる場合、そのエレメントを削除するか、外観を控えめにする必要があるかもしれません。
レビューしてもらうために、クライアントにもドラフトを送ります。 クライアントは、マップは気に入っているが、方位記号が必要だと言っています。 また、マップのサイズを大きくしたいとも言っています。
あなたは、マップに方位記号が必要かどうか迷っています。 北はページの上側で、マップの閲覧者が想定する方向です。 しかし、この点においてクライアントと話し合う必要があるのかもわかりません。 小さく、その他のデザインよりも低いコントラストであれば、方位記号を追加してもレイアウトの邪魔にはなりません。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [地図整飾] グループで、[方位記号] ボタンの下半分をクリックします。
- 表示されたメニューで、最後から 2 番目のオプションである [シンプル塗りつぶし方位記号] をクリックします。
- 著作権情報のテキストの上に小さな箱を描画して、方位記号を配置します。
- リボンで [方位記号] タブをクリックします。 [シンボル] グループの [塗りつぶし] でターコイズの [河口] の色を選択します。
レイアウト サイズの変更
次に、クライアントの要望に応えるため、レイアウトのサイズを A3 から A1 に変更します。 レイアウトのサイズと範囲は、他の多くのデザインの選択肢を決定し、後から変更するのが難しい場合があるため、プロセスの早い段階でクライアントに確認する必要があります。 しかし、A 判用紙はすべて同じ比率なので、スケーリングは困難ではありません。
- リボンの [レイアウト] タブをクリックします。 [ページ設定] グループで [サイズ] ボタンをクリックします。
- [ISO サイズ] で [A1] をクリックします。
マップの更新に数分かかることがあります。 マップが更新されますが、レイアウトは以前とほぼ同じように見えます。 新しいページ サイズに合うようにテキストとシンボルが更新されました。 調整が必要なアイテムがいくつかあります。凡例と縮尺記号です。
- マップ上か [コンテンツ] ウィンドウで、凡例のいずれかを右クリックし、[プロパティ] をクリックして、[エレメント] ウィンドウを再度開きます。
- [プロパティの表示] ボタンをクリックします。
- [サイズ設定] で、[パッチの幅] に「48」pt と入力します。 [パッチの高さ] に「24」pt と入力します。
凡例パッチのサイズが 2 倍になり、他のレイアウト エレメントのサイズに合うようになりました。
- 他の凡例を選択します。 [エレメント] ウィンドウで [プロパティの表示] をクリックします。
- [パッチの幅] を「48」pt に変更し、[パッチの高さ] を「24」pt に変更します。
次に、凡例内にあるエレメント間のギャップを広げます。
- Shift キーを押しながら、両方の凡例を選択します。 [エレメント] ウィンドウで、[凡例配置オプション] ボタンをクリックします。
- [間隔] セクションを展開します。 次のプロパティに「10」pt と入力します。
- クラス
- レイヤー名とその下のアイテム
- パッチとテキスト
凡例のサイズと間隔がレイアウトに合うようになりました。
縮尺記号のサイズも大きくします。
- 縮尺記号を選択します。 [エレメント] ウィンドウで [プロパティ] ボタンをクリックします。
- [バー] セクションを展開します。 [高さ] に「12」pt と入力します。
最終ドラフトをエクスポートする準備ができました。
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
- [エレメント] ウィンドウを閉じて、[レイアウトのエクスポート] ウィンドウを再び開きます。
ヒント:
[レイアウトのエクスポート] ウィンドウが見つからない場合は、前のセクションの手順を実行して再び開き、プロパティをリセットします。
- [名前] フィールドでファイル名を「AmericanRiver_Draft2.pdf」に変更します。
- [エクスポート] をクリックします。
- [エクスポートしたファイルの閲覧] をクリックして、完成したマップを開きます。
このチュートリアルでは、レイアウトに最後の仕上げを行いました。 不要なアイテム、一貫性、見かけの階層の設計の評価を行いました。 マップ ラベルの削除、マップの枠線の変更、方位記号の追加を行いました。 フィードバックを求め、レイアウトのサイズ変更を行いました。
このチュートリアル シリーズで、3 つのマップ、2 つの凡例、およびテキストを組み合わせたレイアウトを作成しました。 次の実行方法を学習しました。
- ガイドおよびマップ フレームを含むレイアウトを作成する。
- 凡例、縮尺記号、方位記号、差し込みマップ、レイアウト テキストを追加およびスタイル設定する。
- ダイナミック テキストを使用する。
- 色、テキスト シンボル、凡例をスタイルに保存する。
- レイアウト アイテムを配置、整列、およびグループ化する。
- レイアウト アイテムの名前を変更し、順序を変える。
- レイアウトのサイズを変更する。
- レイアウトを .pdf ファイルにエクスポートする。
良い設計は、反復と実験を必要とします。 このチュートリアルのための 1 つのレイアウトが選択される前に、複数のバージョンが設計されました。 [カタログ] ウィンドウでこのレイアウトのコピーを作成し、自分自身の設計を作成することをお勧めします。 たとえば、垂直のレイアウトにしたり、別のフォントや色を選んだり、マップをずらしたり、マップの周囲を異なる配置にしたりすることができます。 この例の代替設計を考えましょう。
このシリーズのすべてのチュートリアルは、「ArcGIS Pro でのレイアウトの設計」にあります。 カートグラフィのその他のチュートリアルについては、カートグラフィの概要ページをご参照ください。