公平性指数の設計
インデックスを作成する方法は複雑ではありませんが、ほとんどの場合、最も複雑な要素はワークフローを通して決定事項を深く理解することです。
設計段階は、インデックスが意図する目的をより明確に定義し、各インジケーターと重みの選択と目的について検討し、その正当性を文書化するための重要なステップです。
注意:
ArcGIS でコンポジット インデックスを作成するためのベスト プラクティスに関する詳しいガイドについては、「ArcGIS を使用したコンポジット インデックスの作成: ベスト プラクティス」(PDF) テクニカル ペーパーをご参照ください。
インデックスの設計コンポーネントの決定
コンポジット インデックスを開発する設計段階では、インデックスが回答する質問を定義し、インデックスを構成する変数を選択して重みを割り当て、インデックスの分析範囲を決定します。
インデックスに使用する変数やインジケーターを決定する前に、最も大きな影響を受けている地域の住民など幅広い関係者と協力して、インデックスの目的と、インデックスによって明らかにする解析の質問を定義することが重要です。
- インデックス設計の意思決定プロセスに含める関係者を決定します。
ここでは環境正義に関連する公平性指数を作成するので、以下のような関係者を含めることを検討してください。
- 環境正義コミュニティにおいて信頼を得ている地域密着型の組織
- 環境問題や健康問題に取り組むコミュニティ連合
- 医療関係者
- 学者、コンサルタントなどの各分野の専門家
- 運輸局
- 公衆衛生局
- 計画・環境規制局
最も重要な関係者は、影響を受けるコミュニティのメンバーです。 脆弱な人々が関与する公平性解析を行う場合は、直接的に不平等を被っている人々を意思決定プロセスに参加させることが不可欠です。
注意:
GIS を活用して人種的平等、社会正義、包括的発展を推進しているパートナーシップの例については、Esri ブログの「公平性と社会正義」セクションをご参照ください。
- インデックスの目的と、インデックスが回答する解析の質問を明確にします。
インデックスの目的と解析の質問を絞り込むために、次のような質問に答えてみましょう。
- インデックス マップの用途は? それは資源の割り当ての決定に役立つか? 社会的または環境的負担を過度に被っている地域を特定するのに役立つか?
- インデックス マップは誰のために作成するか? コミュニティの人々が、自分たちのコミュニティを考察したり、理解したりするために使用されることが多いか? あるいは、意思決定者がデータに基づいた政策決定を行うために使用されるか? もしくはその両方か?
- プロジェクト エリアのすべてのエリアについて不平等の差を理解することが重要であるか、あるいは負担がはるかに大きい地域に最も懸念があるか?
このチュートリアルにおけるインデックスの目的は、オハイオ州の中で、他の地域と比べて環境的および社会的負担が最も大きい地域を判断するために、環境正義スクリーニング ツールを作成することです。 ここで回答したい解析の質問は、「州全体でコミュニティが経験している累積的な環境的および社会的負担は何か?」です。
解析の質問が定義されたので、関係者と協力して、インデックスに含めるべき重要な優先順位とディメンションを決定します。
- インデックスに含める優先順位とディメンションを決定します。
ここでの目標は、コミュニティが経験している環境的および社会的な累積負担を特定することです。関係者は、環境災害への曝露と環境災害への脆弱性を考慮することが重要であると明らかにしています。
環境災害は、大気汚染物質や有害化学物質にさらされる可能性や、緑地までの距離といった緩和要因を考慮します。 環境災害に対する脆弱性のディメンションは、人々が環境災害への曝露に対応するための資源を持てなくする社会的要因 (低年齢または高齢、低所得、環境汚染の影響を受けやすい既往症を持つなど) を考慮します。
- 変数を選択します。
ディメンションに関与する要因に精通している専門家の助言を求めることを推奨します。 以下のようなリソースに頼るのも良いでしょう。
- 査読付き学術誌発表論文や研究内容、専門家による書籍、会議録など、分野に特化した文献
- コミュニティやアドボカシーの実践者、学術研究者、大学教授、コンサルタントなどの分野の専門家
- コミュニティのメンバーと、彼らの利益を代弁するグループ (特に、歴史的に環境正義の問題の影響を受けてきた地域に住む人々)
注意:
ArcGIS を使用した複合インデックスの作成: ベスト プラクティス (PDF) テクニカル ペーパーの 12 ページ「変数の選択に関する特別な検討事項」のセクションをご参照ください。
また、OECD (経済協力開発機構) が作成した Handbook on Constructing Composite Indicators: Methodology and User Guide (オンライン PDF) もご参照ください。OECD とは、公共政策のベスト プラクティスのためのデータと調査を策定する国際組織です。
このチュートリアルでは、以下の変数を使用します。
- 喘息有病率
- 失業率
- 過去 1 年間の所得が貧困レベルの 2 倍未満の割合
- 学歴が高卒以下の 25 歳以上の割合
- 住宅に対して重大な負担がある割合 (所得の半分以上を家賃や住宅ローンに費やしている)
- 子どもの鉛リスク (貧困レベル以下の子どもと、1949 年以前に建てられた住宅の割合)
- Distance to nearest park
- 2014 年~ 2016 年の PM 2.5 の平均値
- 主要交差点の交通量
- 1 マイル以内に放出された有害化学物質の排出量
このインジケーター リストは、環境正義指数を規定するものでも包括的なものでもありません。 このチュートリアルでは、コンポジット インデックスの設計と作成の方法に関する学習資料として、これら 10 個のインジケーターを使用します。 環境正義指数を作成する際は、各自の管轄区域における経験、ニーズ、優先事項に沿った手順に従ってください。
注意:
このチュートリアルに対して選択したインジケーターは、CalEnviroScreen 4.0 から生成したインジケーターの例です。 CalEnviroScreen のインジケーターと、そのインジケーターで使用された方法の詳細については、CalEnviroScreen 4.0 (PDF) をご参照ください。
- 変数の重みを設定します。
変数の重みとは、変数がインデックスの一部となる中で、その相対的な重要度を表します。 同じ重みを維持する場合でも、あるいは重みを追加する場合でも、その決定には確固たる根拠が必要となります。
このチュートリアルでは重みを割り当てません。 これらすべての変数を組み合わせたときの累積負担を見たいので、ここで重みを付ける必要はありません。
注意:
このチュートリアルの後半で、社会的脆弱性変数間の相関による重み付けを再検討します。 サブインデックスの重み付けの根拠については、該当するセクションで詳しく説明します。
- 分析範囲と空間単位を選択します。
空間単位はインデックスの各位置に対応し、分析範囲とは、分析範囲内のすべての空間単位で網羅されるエリアのことです。 一般的に、それぞれの地理的単位があまり変動しないよう、できる限り小さい範囲 (または最高の解像度) を使用することをお勧めします。 これにより、変数値が、その単位の人々の経験を反映する可能性を最大限に高めることができます。
このチュートリアルでは、分析範囲としてオハイオ州を使用します。 空間単位として、国勢調査地区を使用します。
このセクションでは、コンポジット インデックス ワークフローの設計ステップを完了しました。 関係者のリストを決定し、インデックスの解析の質問を定義し、重み付けなしで変数を選択し、分析範囲と空間単位を決定しました。
コンポジット インデックスの作成
前のセクションでは、コンポジット インデックス設計のステップを確認しました。 ワークフローの次のステップでは、変数を作成し、準備してからインデックスを作成します。 手間を省くため、変数は ArcGIS Pro パッケージで使用できるよう用意されています。
インジケーターの調査
はじめに、ArcGIS Pro パッケージをダウンロードし、ArcGIS Pro のツールを使用して各インジケーターを調査してから、コンポジット インデックスの作成に着手します。
- このチュートリアルの ArcGIS Pro パッケージをダウンロードし、開きます。
まず、ArcGIS Pro パッケージで準備されたインジケーターを調査します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [OhioEJIndicators] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
[OhioEJIndicators] レイヤーの属性テーブルが表示されます。
- 属性テーブルを右にスクロールし、インジケーターを表示します。
フィーチャ レイヤーでデータの詳細を見ることはできますが、各フィールドの情報の範囲を完全に理解することは困難です。 データ エンジニアリング ビューを使用し、各インジケーター フィールドの統計情報を生成し、調査します。
- テーブルを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [OhioEJIndicators] レイヤーを右クリックし、[データ エンジニアリング] を選択します。
データ エンジニアリング ビューが表示されます。
- [Current asthma crude prevalence (%)] フィールドを統計情報パネルにドラッグします。
[Current asthma crude prevalence (%)] フィールドが統計情報パネルに追加されます。 次に、残り 9 個のインジケーターを統計情報パネルに追加します。
- 以下の 9 個のインジケーターを統計情報パネルにドラッグします。
- Percent Unemployed
- Percent income in past year below 2x poverty level
- Percent 25+ Education Less Than High School
- PerSevHousingBurden
- ChildLeadRisk - Mean
- Distance to nearest park (miles)
- Avg PM2.5 2014--2016
- Sum Traffic
- Toxic Release Chemicals (lb/km2) within 1 mile
ヒント:
複数のフィールドを選択するには、追加する先頭のフィールドをクリックし、Shift キーを押しながら末尾のフィールドをクリックします。その間にあるすべてのフィールドも選択されます。
- データ エンジニアリング ビューの上部で [計算] をクリックします。
各フィールドの統計情報が表示されます。 データを調査する前に、[エイリアス] 列を固定表示して、統計情報パネルをスクロールしても表示されるようにします。
- [エイリアス] を右クリックし、[固定/解除] をクリックします。
[エイリアス] 列が統計情報パネルの 1 列目に固定されます。
[チャートのプレビュー] 列には、各インジケーターの値のヒストグラムが表示されます。 データの分布に注目し、複合インデックスに最適な方法を検討するのに役立ちます。
- [外れ値] 列にスクロールします。
[外れ値] 列では、外れ値のデータ値の数を確認できます。 また、データ エンジニアリング ビューを使用してマップ上でハイライト表示もできるため、その位置を視覚化できます。
- [Percent income in past year below 2x poverty level] 行で [外れ値] の値を右クリックし、[外れ値を選択] を選択します。
[Percent income in past year below 2x poverty level] インジケーターで外れ値を持つ国勢調査地区がマップ上でハイライト表示されます。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックして選択を解除します。
データ エンジニアリング ビューを使用し、各インジケーターの四分位で値を選択することもできます。
- データ エンジニアリング ビューの統計パネルで、[Q3] 列までスクロールします。
- [Percent Unemployed] 列で [Q3] 値を右クリックし、[選択] にポインターを合わせて [四分位より上] をクリックします。
第 3 四分位以上の値は、フィールドのすべての値の上位 25 パーセントに入る値を表します。 このマップは、失業率が最も高い国勢調査地区の上位 25% を選択します。
- リボンの [マップ] タブをクリックして選択を解除します。
データ エンジニアリング ビューは、NULL 値も特定します。
- データ エンジニアリング ビューの統計パネルで、[Nulls] 列までスクロールします。 [Percent 25+ Education Less Than High School] 行で [Nulls] 値を右クリックし、[Null を選択] をクリックします。
[Percent 25+ Education Less Than High School] インジケーターが Null 値の地区がマップ上でハイライト表示されます。 これらの地区は人口が存在しない地域を表すため、Null 値となっています。 [コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールはこれらのレコードを自動的に無視し、インデックスの計算から除外します。
- 引き続き、インジケーターの調査を行います。 終了したら選択を解除し、データ エンジニアリング ビューを閉じます。
このセクションでは、データ エンジニアリングを使用して環境正義のコンポジット インデックスを作成するための 10 個のインジケーターを調査しました。 次に、[コンポジット インデックスの計算] ツールを使用し、コンポジット インデックスの前処理、作成、後処理を行います。
コンポジット インデックスの計算ツールの使用
[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用し、コンポジット インデックスを作成します。 インジケーターの前処理、結合、後処理のための各ツール パラメーターを調査します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索バーに「calculate composite index」と入力します。
- 結果のリストで [コンポジット インデックスの計算] ツールをクリックします。
- [コンポジット インデックスの計算] ツール ウィンドウの [入力テーブル] で [OhioEJIndicators] を選択します。 [出力フィーチャまたはテーブル] に「Ohio_EJIndex」と入力します。
- [変数の入力] の横にある [複数追加] ボタンをクリックします。
- [複数追加] メニューで 10 個のインジケーター フィールドのチェックボックスをオンにし、[追加] をクリックします。
次に、インジケーターの前処理と結合のためのパラメーターを選択します。 [変数のスケール処理方法と結合方法の事前設定] を使用し、インジケーターのスケールと結合に使用する一般的な方法を選択します。 [入力変数をスケール処理する方法] オプションと [スケール処理済みの変数を結合する方法] オプションを手動で選択することもできます。
ここでは、デフォルトの選択 (つまり、スケール処理の方法として最小値-最大値を使用し、スケール処理済みの値の平均によって値を結合する) をそのまま残しておきます。
- [変数のスケール処理方法と結合方法の事前設定] で [値の結合 (スケール処理済みの値の平均値)] が設定されていることを確認します。
次に、[変数のウェイト] 設定を確認します。
- [変数のウェイト] セクションを展開します。
この時点では、各インジケーターには同じ重みを設定します。それは、インジケーターがどのように結合し、コミュニティが直面する累積負担を反映するのかに関心があるからです。 そのため、加重は変更しません。
最後に、[出力設定] オプションと後処理パラメーターを構成します。
- [出力設定] セクションを展開します。
- [出力インデックス名] に「Ohio_EJIndex」と入力します。 [最小] に「0」と入力し、[最大] に「100」と入力します。
[出力インデックスの最小値と最大値] の範囲を 0 から 100 に設定するのは、結果のインデックス スコアをわかりやすくする方法の 1 つです。
これで、[コンポジット インデックスの計算] ツールの前処理、結合、後処理パラメーターの設定が完了しました。
- [実行] をクリックします。
コンポジット インデックスの計算が警告とともに完了します。 いずれかの変数に NULL 値が含まれている場合、ツールは解析でそれらのフィーチャをスキップします。 生成されたコンポジット インデックス マップが表示されます。
いずれかのインジケーターが NULL 値だった地区は、コンポジット インデックスから除外されました。
[コンテンツ] ウィンドウの [Ohio_EJIndex Layers] グループ レイヤーに、[コンポジット インデックスの計算] ツールの出力がすべて含まれています。
2 つのマップが作成されました。 [Ohio_EJIndex - Mean] は、0 ~ 100 の間でスケール処理された生のインデックス値によってスタイル設定されています。 また、インデックスの出力をより詳しく調査するためのチャートも多数含まれています。 [Ohio_EJIndex - Percentile] は、パーセンタイル値によってインデックスの平均値をスタイル設定しています。
続行する前に、プロジェクトを保存します。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックします。
次のセクションでは、[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールで作成されたチャートを調査し、インデックス結果を評価します。
スケール処理済み変数の関係の調査
[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールは、インデックス結果の評価と査定に役立つコンポジット インデックスの結果のマップとチャートを生成します。 ここでは、マトリックス リレーションシップ チャートに注目します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [スケール処理済み変数とインデックスの関係] をダブルクリックします。
マトリックス チャートが表示されます。
緑のセルは高い相関を示します。 つまり、1 つの変数が大きくなると、他の変数も大きくなります。 たとえば、[Percent Unemployed] インジケーターと [Percent income in past year below 2x the poverty level] インジケーターには 61 パーセントの相関があります。
ピンクのセルは、負の相関を示します。 つまり、1 つの変数が大きくなると、他の変数は小さくなります。 たとえば、[Distance to toxic releases] インジケーターと [Percent severe housing burden] インジケーターは負の相関があります。 それは、住宅負担は都市部と高く相関し、有害物質の排出は農村部に高く相関していることが理由として考えられます。
ここで特に重要なのは、インデックス スコアと各インジケーターの相関を示す一番下の行です。
非常に高い値 (所得の 0.9) がありますが、これは、最終的なインデックスが、このインジケーターと 90 パーセント相関していることを意味します。 また、非常に低い値 (有害物質排出までの距離の 0.03) も見られます。 各入力を均等に重み付けしたものの、相関は互いに異なります。 これは、変数の範囲や入力間の相関によるものと考えられます。
環境要因への近接性に関するインジケーターの多くは、インデックス スコアとの相関がかなり低くなっています。 社会的脆弱性のインジケーターの多くは人口密集地域に強い相関があるため、互いの相関も強くなり、相関効果が増えることが考えられるため、これは不思議なことではありません。
インジケーターと、インジケーター間の相関をより細かく制御するには、これらをサブインデックスに分類する方法があります。 そこで、2 つのサブインデックスを作成し、インデックスの次の反復処理で再結合することにしました。
- [Toxic Release Chemicals] インジケーターの列を探します。
[Toxic Release Chemicals] インジケーター値の分布が特に興味深いのは、ほとんどの値が非常に低く、非常に高いのはごくわずかだからです。 つまり、このインジケーターには大きな偏りが見られるため、前処理で使用した最小値-最大値の方法は最良の選択肢ではない可能性があります。 次の反復処理では、前処理の方法としてパーセンタイルを使用することにしました。
- チャートを閉じます。
データ エンジニアリング ビューを使用して、インデックスのインジケーターを調査しました。 [コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用し、インデックスの前処理、結合、後処理を行いました。 このツールでインデックス マップとチャートを作成して調査し、より正確な環境正義指数マップを生成するにはサブインデックスを作成する必要があると判断しました。
最終インデックス向けのサブインデックスの作成
10 個のインジケーターを結合して環境正義指数を作成し、最小値-最大値の前処理手法で前処理を行いました。 生成されたコンポジット インデックスを検証した結果、パーセンタイルの前処理手法を使用する方が適切であることがわかったため、インデックスの各ディメンションについてサブインデックスを作成することにしました。
サブインデックスの作成
ここでは 2 つのサブインデックスを作成します。1 つは社会的脆弱性インジケーターで、もう 1 つは環境インジケーターです。 [コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用し、各インデックスを作成します。
- 必要に応じ、[ジオプロセシング] ウィンドウで、[コンポジット インデックスの計算] ツールを検索して開きます。
- [コンポジット インデックスの計算] ツール ウィンドウで、次の内容を入力します。
- [入力テーブル] で [OhioEJIndicators] を選択します。
- [フィールドを入力テーブルに追加] チェックボックスをオンにします。
最終的にはサブインデックス スコアを結合するため、新しいフィーチャ レイヤーとテーブルを作成する代わりに、ツールの出力を入力テーブルに付加することをお勧めします。
次に、社会的脆弱性に関するインジケーターとその結果を追加します。
- [変数の入力] で [複数追加] ボタンをクリックします。 次のフィールドのチェックボックスをオンにします。
- Current asthma crude prevalence (%)
- Percent Unemployed
- Percent 25+ Education Less Than High School
- PerSevHousingBurden
- Percent income in past year below 2x poverty level
- [追加] をクリックします。
社会的脆弱性に関する 5 つのインジケーターが [コンポジット インデックスの計算] ツール ウィンドウに追加されます。
- [変数のスケール方法と結合方法の事前設定] で [ランクの結合 (パーセンタイルの平均)] を選択します。
- [出力設定] を展開して、以下の内容を入力します。
- [出力インデックス名] に「SV subindex」と入力します。
- [出力インデックスの最小値と最大値] の [最小] に「0」と入力します。
- [最大値] に「100」と入力します。
- [実行] をクリックします。
[SV subindex] フィールドが作成され、[OhioEJIndicators] レイヤーの属性テーブルに追加されました。
- [コンテンツ] ウィンドウで [OhioEJIndicators] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] をクリックします。 [SV subindex] フィールドが表示されるまでテーブルをスクロールします。
追加されたフィールドには、5 つの社会的脆弱性インジケーターの前処理済みの値と、サブインデックスの平均値が含まれます。
次に、[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用して環境サブインデックスを作成します。
- [コンポジット インデックスの計算] ツール ウィンドウの [入力変数] で各フィールドにカーソルを合わせ、[削除] ボタンをクリックします。
- [変数の入力] の横にある [複数追加] ボタンをクリックし、環境インジケーターに関するフィールドのチェックボックスをオンにします。
- ChildLeadRisk Score
- Distance to nearest park
- Avg PM2.5 2014-2016
- Sum Traffic
- Toxic Release Chemicals
- [追加] をクリックします。
- [変数のスケール処理方法と結合方法の事前設定] が [ランクの結合 (パーセンタイルの平均値)] に設定されていることを確認します。
- [出力設定] の [出力インデックス名] に「ENV subindex」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ENV サブインデックスのフィールドが [OhioEJIndicators] 属性テーブルに追加されます。
- プロジェクトを保存します。
ヒント:
Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存できます。
2 つのサブインデックス値を作成し、[OhioEJIndicators] 属性テーブルに追加しました。
サブインデックスの結合と結果の検証
このセクションでは、[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用して 2 つのサブインデックスを結合し、環境サブインデックスに重みを追加します。
出力を [OhioEJIndicators] 属性テーブルに追加する必要がなくなったため、[フィールドを入力テーブルに追加] オプションのチェックボックスをオフにします。
- [コンポジット インデックスの計算] ツール ウィンドウで、次のパラメーターを更新します。
- [入力テーブル] で [フィールドを入力テーブルに追加] チェックボックスをオフにします。
- [出力フィーチャまたはテーブル] に「Ohio_EJIndex_Final」と入力します。
- [変数の入力] で既存のフィールドを削除し、[SV subindex - Mean] と [ENV subindex - Mean] を追加します。
このチュートリアルの前半で、社会的脆弱性インジケーター間に強い相関が見られることを確認しました。 この強い相関が全体的なインデックス スコアに影響を及ぼし、生成されるインデックス スコアに環境関係のインジケーターがあまり寄与しない原因となっていました。
そこでサブインデックスを作成し、これを修正しました。 この環境正義スクリーニング ツールの開発について助言している専門家パネルは、サブインデックスを使用する以外に、環境要因にさらに 50% の重みを付けることを推奨しました。
- [変数のウェイト] セクションを展開します。 [ENV subindex - Mean] フィールドに「1.5」と入力します。
- [出力設定] の [出力インデックス名] に「Ohio_EJIndex_Final」と入力します。 [追加分類出力] で [等間隔]、[等量分類]、[標準偏差] のチェックボックスをオンにします。
- [実行] をクリックします。
マップに [Ohio_EJIndex_Final] レイヤーが表示されます。
次に、最終的なインデックスの 2 つのサブインデックス間の相関について理解を深めるため、マトリックス チャートを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Ohio_EJIndex_Final] レイヤーで、[スケール処理済み変数とインデックスの関係] チャートをダブルクリックします。
チャートが開きます。
チュートリアルの前半で、最初に作成したインデックスのマトリックス チャートでは、各変数の互いの相関とインデックス スコアとの相関を示しました。 このチャートでは、各サブインデックスの相関を確認します。
環境サブインデックスは、社会的脆弱性のサブインデックスよりも、最終的なインデックスと強い相関を示しています。 環境サブインデックスには重みを追加したので、これは当然のことです。
青色のバーは、各サブインデックスと最終的なインデックス スコアのヒストグラムです。 サブインデックスの分布は平坦な線になります。 これは、最小値-最大値の前処理ではなく、パーセンタイルを使用したことによる効果です。 パーセンタイル手法を使用すると、元の分布は保持されません。
- チャートを閉じます。
次に、生成されたインデックスを、サブインデックスを使用せず、かつ最小値‐最大値でインジケーターを前処理した最初のインデックスと比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Ohio_EJIndex Layers] グループ レイヤーを展開します。 [Ohio_EJIndex] を右クリックし、[コピー] をクリックします。
マップ上で、最終的なインデックス レイヤー以外のすべてのレイヤーをオフにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Ohio_EJIndex Layers] グループ レイヤーと [OhioEJIndicators] レイヤーのチェックボックスをオフにし、非表示にします。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[新しいマップ] をクリックします。
- 必要に応じ、マップ 1 ビュー タブをクリックします。 [コンテンツ] ウィンドウで [マップ 1] を右クリックし、[貼り付け] をクリックします。
次に、元のマップと一致するよう、新しいマップのベースマップを更新します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックして、[キャンバス (ライト グレー)] を選択します。
次に、[マップ 1] を最初のマップの横にドッキングし、同時に並べて表示できるようにします。
- [マップ 1] タブをドラッグし、[マップ] タブの右側ドックにドロップします。
これで、2 つのマップが並べて表示されます。 次に、2 つのマップのビューもリンクし、いずれかのマップを移動したときにその範囲が一致するようにします。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [リンク] グループで、[ビューのリンク] ボタンの下半分をクリックして [中心と縮尺] を選択します。
これで、いずれかのマップをズームしたり画面移動したりすると、マップの範囲が一致するようになります。
次に、オハイオ州の特定のエリアを調査し、2 つのインデックスの結果を比較します。
- いずれかのマップで、オハイオ州北東端に位置するクリーブランド市を拡大します。
2 つのマップを並べてみると、最初のインデックスの結果は、サブインデックスを結合した 2 回目の反復処理と違うことがわかります。
クリーブランドはオハイオ州最大の都市の 1 つです。 最初のインデックスの結果 (右) は、社会的脆弱性を強調しています。 人口密集地と強い相関がありますが、潜在的な環境災害とリスクはあまり考慮していないようです。
2 つ目のインデックスは環境的および社会的ディメンションをより細かく制御しているため、最初のマップの環境曝露の影響をより多く捉えているように見えます。 湖の境界沿いには、多くの有害物質排出施設があります。 また、改訂されたインデックスは単に環境災害を強調するものではなく、社会的脆弱性のインジケーター値が高いエリアに対する優先度が保持されていることも重要な点です。
- 人口が密集していないオハイオ州ライマ市にズームします。
ライマ市には、州内で最も多くの化学物質を排出している有害物質排出施設があります。 最初のインデックス結果 (右側の画像) では、インデックスは主に社会的に脆弱なエリアを強調しました。 左側の画像で生成されたインデックスでサブインデックスを使用することで、1 つの施設がエリアに与えうる相当な環境的影響が強調されるだけでなく、濃い紫色で示される社会的に脆弱なエリアも保持されます。
- プロジェクトを保存します。
このセクションでは、[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールを使用し、2 つのサブインデックスを結合して、最終的な環境正義指数マップを生成しました。 最終的なインデックス値における 2 つのサブインデックス間の相関を調べ、サブインデックスを使用しなかったインデックスの結果と最終的なインデックスを比較しました。
インデックスの詳細な調査
インデックス作成プロセスの最後の手順では、評価、関係者とのコンサルティング、調整を行います。 このチュートリアルではこれらの手順は行いませんが、時間があれば、次の手順を実施してインデックスをさらに掘り下げてみましょう。
- インデックスの影響を受ける人々に、インデックスの調査に関与してもらいます。
マップを ArcGIS Online に共有し、アプリを作成して、関係者の関与とインデックス解析プロセスの理解を促進できます。
関係者がマップについて具体的なフィードバックを提供できるよう、ArcGIS Survey123 で調査を作成して最終的なインデックス マップを含めることもできます。
注意:
ArcGIS Instant Apps でのアプリの作成の詳細については、「食料アクセスのマッピングと分析」をご参照ください。 ArcGIS Survey123 の詳細については、ArcGIS チュートリアル「はじめての ArcGIS Survey123」をご参照ください。
- インデックスをさらに反復処理し、より多くのバージョンを作成します。
インデックス作成プロセスは、インデックスを作成して新しいことを学び、その結果として変数の追加または削除、重みの調整、結合方法の変更の必要性が生じるというサイクルであることがほとんどです。
- インデックス結果をさらに解析するには、ArcGIS Pro のその他のツールを使用します。
空間クラスタリングと回帰解析を実施するために、次のツールを使用することをご検討ください。
- ホット スポット分析
- クラスター/外れ値分析
- 多変量クラスター分析
- 一般化線形回帰分析
これらのツールは、統計的有意な高い/低いインデックス値のクラスターが見られる地域を特定し、分析範囲全体のインデックス結果を左右する共通のパターンを明らかにし、作成したインデックスの設計と有効性を正当化するのに役立ちます。
- インデックス作成手法を明確に周知します。
インデックスの作成手法、仮定、意図した用途、インデックスの限界を明確に文書化することが重要です。
以下のインデックス作成のドキュメントの例をご参照ください。
- Human Development Index (HDI) (国連開発計画)
- Social Vulnerability Index (米国疾病予防管理センター)
- European innovation scoreboard (欧州委員会)
インデックスのディメンションとその相関をより細かく制御するために、2 つのサブインデックスを使用して最終的な環境正義指数を作成しました。 結果を調査し、更新したインデックスと、サブインデックスを使用しなかった元のインデックスを比較しました。
公平性指数を作成することは、実質的に、それを定義する直接的な変数がない現象 (環境正義など) を定量化することです。 インデックスを設計し、適切な質問をし、変数と重みの変数を選択するプロセスは、芸術と科学の両方の側面を持ちます。 このプロセスをサポートするために、幅広い関係者を関与させ、設計における各決定を意図的に下し、関係者と結果を反復し、評価する準備をしておくことをお勧めします。
インデックス作成のプロセスは単にボタンを押すだけのプロセスではなく、意図的な意思決定と協力が必要なものであることを理解しておくことが重要です。 インデックス マップは、あなたが理解しようとしている抽象的な現象に対する答えを導くためのものではなく、特定の分析範囲における具体的なニーズに対応するための数あるツールの 1 つとして扱われるべきです。
[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールはインデックス設計ワークフローの一部であり、インデックスの前処理、結合、後処理、評価を行う ArcGIS Pro の解析ステップを能率化します。 このチュートリアルでは、さまざまな前処理手法を使用してインデックスを作成し、サブインデックスを使用した場合と使用していない場合のインデックス作成の結果を比較しました。
注意:
[コンポジット インデックスの計算 (Calculate Composite Index)] ツールの詳細については、「 ArcGIS Pro を使用してコンポジット インデックスを作成する」のリソース ページをご参照ください。
このチュートリアルでは、人種的平等と社会正義のワークフローにおける不平等のマッピングと解析のステップのみを扱っている点に注意してください。 公平性ワークフロー全体でコミュニティを関与させることに加え、不平等のマッピングと解析を行った後には、さらに 2 つの重要な手順があります。1 つは不平等に対応する介入策を決定して適用し、ポジティブな慣習を事業化すること。もう 1 つは不平等に対応するための介入プロセスを監視して公平性の目標に向けた進捗を管理することです。
注意:
ポジティブな慣習の事業化の詳細については「環境公平性計画の事業化」チュートリアルをご参照ください。 公平性目標の監視の例については、「Maps Help Ensure Equity in Philadelphia's Journey to Curb Blight」の記事をご参照ください。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。