ArcGIS Insights での集約されたデータの解析

ワークブック パッケージのインポート

前回のチュートリアルの結果を含むワークブック パッケージを ArcGIS Insights にインポートすることから始めます。 前回のチュートリアルをすでに完了している場合は、次のセクションに進むことができます。

  1. analyze-aggregated-data.insightswbk ファイルをダウンロードします。

    このアイテムは、Insights ワークブック パッケージで、ArcGIS Insights チュートリアルのワークブックの作成からのすべてのデータと解析が含まれています。

  2. 次のいずれかを実行します。
    • Insights in ArcGIS Online でチュートリアルを実行するには、ArcGIS Insights に移動して、[サイン イン] をクリックします。 ArcGIS の組織アカウントにサイン インします。
    • Insights in ArcGIS Enterprise でチュートリアルを実行するには、ポータルにサイン インします。 ユーザー名の横のリボンで、[アプリ ランチャー] ボタンをクリックして Insights を選択します。
    • Insights desktop でチュートリアルを実行するには、Insights desktop アプリを起動して、プロンプトが表示されたら ArcGIS の組織アカウントにサイン インします。
    注意:

    Insights にアクセスするには、組織の管理者からライセンスを付与されていなければなりません。 ArcGIS アカウントまたは Insights のライセンスがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    ダウンロードしたパッケージをインポートします。

  3. ホーム ページの [ワークブック] タブをクリックします。
  4. [インポート] をクリックして、ステップ 1 でダウンロードしたファイルを開きます。

    ワークブックが、[ワークブック] ページにロードされます。

各区の事故件数のカウント

次に、交通事故の解析を開始します。 前回のチュートリアルで [Collisions] データセットのフィールドを確認した際に学習したように、すべての衝突事故に自転車運転者が関わっているわけではありません。 [Number of cyclists] フィールドを使用し、データセットをフィルタリングして、自転車運転者が関わっている事故のみを表示します。

  1. ArcGIS Insights[ワークブック] タブが開かれていることを確認します。
  2. ワークブックのリストで、[Ottawa cycling accidents] ワークブックの名前をクリックして開きます。

    ワークブック カードのタイトル

  3. 必要に応じて、マップ カードをクリックしてツールバーをアクティブ化します。
  4. [カード フィルター] ボタンをクリックします。

    [カード フィルター] ボタン

    [新しいフィルター] ウィンドウが表示されます。

  5. メニューを展開し、[Number of cyclists] を選択します。

    ヒストグラムが表示されます。 ヒストグラムは、データの分布をマッピングするチャートのタイプです。 ヒストグラム上のバーは、[Number of cyclists] フィールドの値と同じ範囲のポイントを示します。

    [Number of cyclists] フィールドには、各位置での自転車運転者が関わった事故の件数が含まれています。 多くの位置での事故件数は 0 であり、自転車運転者が関わった事故は発生していません。 フィルターを変更して、事故件数が 1 以上の位置のみが含まれるようにします。

  6. ヒストグラムの左側のノードをクリックし、「0」から「1」に変更して、Enter キーを押します。

    左側のノードの値が「1」に変更されたヒストグラム

    ヒストグラム上のノードの位置が更新されます。

  7. [適用] をクリックして、[カード フィルター] ウィンドウを閉じます。

    マップが更新され、自転車運転者が関わった衝突事故のみが表示されます。

    自転車運転者との衝突事故のみを表示するようにフィルタリングされたマップ

    [Collisions] という名前の結果データセットがデータ ウィンドウにも追加されます。 結果データセットのデータ ウィンドウには、オレンジ色のアイコンがあります。 結果データセットの名前は元のデータセットの名前と同じになっているため、名前を変更します。

  8. [Collisions] データセットをポイントして、[データセット名の変更] ボタンをクリックします。 「Collisions with cyclists」と入力し、Enter キーを押します。

    結果データセットの名前を「Collisions with cyclists」に変更

    次に、市区町村別に自転車運転者が関わった衝突事故の件数を集計します。 これにより、都市のさまざまなエリアでの衝突事故の件数を比較できます。

  9. データ ウィンドウで、[Wards] データセットをマップ カード上にドラッグし、[空間集約] ドロップ領域にドロップします。

    [空間集約] ドロップ領域

    [空間集約] ウィンドウが表示されます。

  10. [空間集約] ウィンドウで、[エリア レイヤーの選択][Wards][集計するレイヤーを選択][Collisions with cyclists][シンボル設定][Count of Collisions with cyclists] に設定されていることを確認します。

    [空間集約] パラメーター

  11. [実行] をクリックします。

    自転車運転者が関わった衝突事故が市区町村別に集計されます。 マップが更新され、各区の自転車運転者が関わった衝突事故の件数が表示されます。ポイント シンボルが大きいほど、衝突事故の件数が多いことを意味します。 データ ウィンドウで、[Collisions with cyclists] 結果データセットが [空間集約 1] 結果セットに置き換えられます。

    自転車運転者が関わった衝突事故が区単位で集計されたマップ

事故件数の正規化

最も大きなシンボルがオタワの中心部に表示されています。この場所には、多くの都市部の区が存在します。 オタワ市には、都市部、郊外、農村地域を含む広大かつ多様な地域が含まれています。 都市部の区では、衝突事故の総件数が多いため、自転車運転者が関わった衝突事故の件数も多くなっている可能性があります。 総件数ではなく、自転車運転者が関わった衝突事故の件数の割合が最も高い区を表示すると効果的です。 正規化と呼ばれるプロセスを使用して、データの割合を計算できます。

データを正規化するには、衝突事故の総件数と自転車運転者が関わった衝突事故の件数が必要です。 集計にはすでに自転車運転者が関わった衝突事故の件数が含まれており、[Collisions] データセットには衝突事故の総件数が含まれています。 別の空間集約を実行して、[Collisions] データセットを [空間集約 1] データセットに追加します。

  1. [Collisions] データセットをマップにドラッグし、[空間集約] ドロップ領域にドロップします。

    [空間集約] ウィンドウが表示されます。

  2. [空間集約] ウィンドウで、[エリア レイヤーの選択][空間集約 1][集計するレイヤーを選択][Collisions][シンボル設定][Count of Collisions] に設定されていることを確認します。

    [空間集約] パラメーター

    これらのパラメーターは、[Collisions] データセットを [空間集約 1] データセット内のエリア別に集計します。 これらは市区町村と同じエリアを表しています。

  3. [実行] をクリックします。

    [空間集約 2] という名前の結果データセットが作成されます。

  4. データ ウィンドウで [空間集約 2] を展開します。

    [Spatial Aggregation 2] データセットの末尾の 2 つのフィールドは、[Count of Collisions with cyclists] および [Count of Collisions] です。 最初のフィールドは、空間集約を最初に実行したときに追加され、2 番目のフィールドは、空間集約を 2 回目に実行したときに追加されました。 これらのフィールドを使用して、マップのスタイルを設定し、正規化します。

  5. マップの [Count of Collisions] 矢印をクリックします。

    マップの凡例矢印

    [レイヤー オプション] ウィンドウが表示されます。

  6. [シンボル] タブをクリックします。

    シンボル タブ

    [レイヤー オプション] ウィンドウの [シンボル] タブには、レイヤーのスタイル設定を行うパラメーターが含まれています。 自転車運転者が関わった衝突事故の件数別にレイヤーのスタイルを設定し、その数を衝突事故の総件数で除算することでデータを正規化します。 また、比例データの描画には色が適しているため、シンボル タイプをサイズから色に変更します。

  7. 次のパラメーターを変更します。
    • [シンボル設定] で、[Count of Collisions with cyclists] を選択します。
    • [シンボル タイプ] で、[数と量 (色)] を選択します。
    • [分類] を展開します。 [Classification type] で、[Equal interval] を選択します。
    • [Count of Collisions with cyclists の分割] で、[Count of Collisions] を選択します。

    [レイヤー オプション] ウィンドウのパラメーター

    変更内容がマップに適用されます。 自転車運転者が関わった事故の割合が高い地域が、暗い色で表されます。

    自転車運転者が関わった衝突事故の件数を正規化したマップ

    正規化した場合でも、中心の都市部の区で、自転車運転者が関わった事故が最も多く発生しています。

  8. [レイヤー オプション] ウィンドウを閉じます。

    これでマップが作成されたので、マップ カードの名前を変更して、わかりやすい名前にします。

  9. マップ カードを無効にするには、ページの空白部分をクリックします。 [カード 1] をクリックして、「Collisions with cyclists by ward」と入力し、Enter キーを押します。

コンボ チャートの作成

次に、衝突事故の総件数をライン チャートで表示し、自転車運転者が関わった衝突事故の件数をバー チャートで表示するコンボ チャートを作成します。 このチャートは、非空間的にデータを視覚化するのに役立ちます。 ArcGIS Insights では、チャートとマップが同じデータを使用している場合はリンクされているため、チャートを操作してマップに表示されている内容を変更することができます。

  1. データ ウィンドウの [空間集約 2] データセットで、[NAME][Count of Collisions with cyclists]、および [Count of Collisions] の横にある円をクリックします。

    選択したフィールド

    3 つのフィールドがすべて選択されます。

  2. フィールドをマップ カードの横にあるページの空白部分にドラッグし、[チャート] ドロップ領域にポインターを合わせて [コンボ チャート] にフィールドをドロップします。

    [コンボ チャート] ドロップ領域

    チャートが作成されますが、カードのデフォルト サイズが小さいため、一部のデータが読みにくくなる場合があります。

  3. コンボ チャートの右側にあるハンドルをドラッグして、すべての区の名前が表示されるまでサイズを拡大します。

    チャート サイズを拡大するハンドル

  4. コンボ チャート カードを無効にするには、ページの空白部分をクリックします。 [カード 1] をクリックして、カードの名前を「Collisions by ward」に変更します。

    次に、マップとチャートを使用して、自転車事故の割合が最も高い区を特定します。 マップには、特に暗い色のシンボルが付いた区が 1 つあるため、この区にポインターを合わせて詳細を確認します。

  5. マップ カードをクリックしてアクティブ化し、市内の中心部にある最も暗い色の区を拡大表示します。 最も暗い色の区にポインターを合わせます。

    デフォルトのポップアップ

    ポップアップには、自転車運転者が関わった衝突事故の割合である 0.1124 または約 11% が表示されます。 ラインは、すべての区の値が約 0.01 ~ 0.11 の間にあることを示しています。このため、この区の値が最も高いことになります。 平均値は 0.04 です。

    ポップアップには区の名前が含まれていないため、区の名前を含む [NAME] フィールドが表示されるように構成します。

  6. データ ウィンドウで、[空間集約 2] データセットの [Location] フィールドにポインターを合わせ、[表示フィールド] ボタンをクリックします。

    [表示フィールド] ボタン

  7. [表示フィールドの選択][NAME] を選択します。
  8. [空間集約 2] 矢印をクリックして、フィールドを折りたたみます。
  9. 同じ区にポインターを合わせます。

    構成済みのポップアップ

    ポップアップに区の名前 (Somerset) が表示されます。 マップに表示されている内容をコンボ チャートと比較できます。 チャートで、サマセット区の衝突事故の総件数 (ライン) と自転車運転者の衝突事故の件数 (カラム) の両方が最も高い値を示しています。

    サマセット区がハイライト表示されたコンボ チャート

    チャートに基づくと、衝突事故の総件数と自転車運転者が関わった衝突事故の件数はほぼ同じように見えます。 ところが、ライン チャートとカラム チャートの目盛は異なっています。 自転車運転者との衝突事故の件数の目盛はチャートの左側にあり、衝突事故の件数の目盛は右側にあります。 後者の目盛は 10 倍の大きさです。

    サマセット区以外では、一般的に、衝突事故の総件数が多い区ほど、自転車運転者が関わった衝突事故の件数も多くなっているようです。 例外の 1 つはカレッジ区で、衝突事故の件数は非常に多い区ですが、自転車運転者が関わった衝突事故の件数は比較的少なくなっています。

  10. リボン上で [保存] ボタンをクリックします。

このチュートリアルでは空間集約とコンボ チャートを使用して衝突事故データを集計し、衝突事故の多い区と自転車運転者が関わる衝突事故の割合が高い区を特定しました。 次のチュートリアルでは、サマセット区での衝突事故を詳しく調べて、衝突事故の位置と自転車ルートのタイプとの関係を探ります。