メディケア支出のマッピング
マップは重要な意思決定ツールです。 マップを使用すると、問題のある地域を特定し、資源を有効に活用できる場所を把握することができます。 ただし、マップは必ずしも 1 つの事実だけを提示するとは限りません。 同じ一連のデータの中から新たな事実が見つかることもあります。 ここでは、2022 年度のメディケア制度の 1 人当たりのコストを考察します。 このコストは地域ごとに大きく異なります。 マップを作成する場合は、このように変動するコスト値をグループ化する方法についての意思決定を下す必要があります。 どの地域のコストが高くて、どの地域のコストが低いでしょうか? 意思決定を下すことは空間パターンを作成する手助けとなり、このパターンによってマップ ユーザーは結論を導き出せます。 この結果、データを最適に視覚化して、信頼性のあるパターンを見つけ出す方法についての関心が高まります。
最初に、一般的によく用いられるデータの分類 (グループ化) 方法を比較し、選択した方法がマップ上の空間パターンにどう影響するかを確認します。 郡別に集約されたメディケア コスト データを使用します。 メディケアとは、アメリカ合衆国政府が約 5000 万人を対象に実施している 65 歳以上の高齢者と一定の医学的条件を満たした患者向けの医療保険制度です。 メディケア制度に関する情報は、メディケア メディケイド サービス センタから入手できます。
マップを開く
このセクションでは、マップを開き、そのマップのフィーチャと属性を十分に把握し、これ以降の作業のために自分専用のマップを保存します。
- Medicare Spending by County マップを開きます。
米国のすべての郡が表示されたマップが Map Viewer で開きます。
マップには、各郡の 2022 年度のメディケア支出額に関するデータのレイヤーがあります。 このデータを使用してマップのスタイルを設定し、支出額が高い地域と低い地域を表示します。
- 必要に応じて、ArcGIS 組織のアカウントにサイン インします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- 必要に応じて、[コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーの下部の [展開] をクリックします。
- [コンテンツ] ツールバーの [レイヤー] をクリックします。
マップには、[State Boundaries] (表示設定はオフ) と [Medicare Spending by County] の 2 つのレイヤーがあります。
- [レイヤー] ウィンドウの [State Boundaries] レイヤーで [表示設定] ボタンをクリックします。
州境界と郡境界が一致する部分が表示されるようになります。
次に、[Medicare Spending by County] レイヤーのポップアップを操作します。
- マップ上の郡をクリックします。
郡および州の名前と 2022 年度の 1 人当たりのメディケア支出額が記載されたポップアップが表示されます。
使用する 1 人当たりのコスト データは、標準化後かつリスク調整後のコストです。 このコストは、次の 2 つの点で実際のコストとは異なります。 まず、アメリカ合衆国の地域間の賃金格差と商品コストおよびサービス コストの差を埋めるように標準化されています。 次に、年齢、性別、現在の健康状態、その他の関連する人口統計学的要因を考慮してリスク調整されています。 標準化後かつリスク調整後の値は、社会経済状況、人口統計学的条件、および健康状態がアメリカ合衆国全域で均等な場合の実際のコストを最も正確に推定する値です。
注意:
標準化とリスク調整の計算方法の詳細は、「Medicare Data for the Fee-for-Service Geographic Variation Public Use File: A Methodological Overview (May 2024 Update)」をご参照ください。
- それ以外のいくつかの地域をクリックしてポップアップを確認した後、ポップアップを閉じます。
ポップアップから個々のフィーチャを把握できますが、空間パターンは確認できません。 パターンを確認するには、データをシンボル化する必要があります。 変更内容を保存できるように、自分専用のマップで分類を行います。
- [コンテンツ] ツールバーで、[保存して開く] ボタンをクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。
- [マップの保存] ウィンドウの [タイトル] に「Medicare Costs per Capita in 2022」と入力し、自分の名前かイニシャルを追加します。
注意:
ArcGIS 組織に同じ名前で 2 つのレイヤーを作成することはできません。 レイヤー名にユーザーのイニシャルを追加すると、組織の他のユーザーもこのチュートリアルを完了することができます。 レイヤーが作成されたら、マップ内で名前を変更してイニシャルを削除できます。基になるデータ レイヤーの名前には影響しません。
- [保存] をクリックします。
アメリカ合衆国の各郡の 2022 年度のメディケア支出額を含む Web マップを開いて確認しました。 マップのコピーを保存し、「国内でメディケア支出額が有意に高い地域はどこか」という調査質問に答えるためにマップのスタイルを設定できるようになりました。
自然分類によるスタイル設定
マップ上に空間パターンを表示する方法として、一連のデータ値をカラー ランプに関連付ける方法が一般的です。 値の範囲の指定によく使用される方法がいくつか存在します。 このセクションでは、[自然分類] 分類方法を使用します。
- [コンテンツ] ツールバーの [レイヤー] をクリックします。
- [レイヤー] ウィンドウで、[Medicare Spending by County] レイヤーが選択されていることを確認します。
レイヤー名の横にある青いラインは、そのレイヤーが選択されていることを示しています。
- [設定] (明るい背景の) ツールバーで、[シンボル] をクリックします。
- [シンボル] ウィンドウの [属性の選択] で [フィールド] をクリックします。
- [フィールドの選択] ウィンドウで、[Standard Payment per capita] → [追加] の順にクリックします。
属性を選択すると、使用可能な描画スタイルが表示されます。 推奨のスタイルが自動的に適用され、[スタイル] ウィンドウにチェック マークで示されます。
マップ上の郡が、青の階調で表示されます。 陰影が暗いほど、その地域の 2022 年度のメディケア支出額が高かったことを表しています。
レイヤー スタイルに対する理解を深めるために、レイヤーのスタイル オプションを確認します。
- [スタイルの変更] ウィンドウの [数と量 (色)] スタイルで、[スタイル オプション] をクリックします。
レイヤーのスタイル設定を構成できるすべての方法が含まれる [スタイル オプション] ウィンドウが表示されます。 [スタイル オプション] ウィンドウにはヒストグラムがあります。これは、レイヤーのスタイル設定に使用するフィールドの値の範囲と、これらの値をシンボル表示するための対応する色を示しています。
ヒストグラムは、データとレイヤーのスタイル設定方法に関する多くの役立つ情報を提供します。 ヒストグラムの上と下には、データセットの最低値と最高値が表示されます。 ヒストグラムの側面にある中央の値は、データの平均値です。 平均の上下にある値は、標準偏差の値です。
スタイルで現在使用されているのは、連続的な未分類のメソッドです。つまり、シンボルの色は単純に最小値から最大値まで徐々に変化します。
続いて、分類方法を使用してみます。 データを分類して、つまりデータをクラスまたはグループに分けて、各クラスの範囲および閾値を変更します。 各種の分類方法によりクラスの設定を変えるだけで、マップの外観は一変します。
- [スタイル オプション] ウィンドウの最下部で、[データの分類] をオンにします。 [クラス数] に「5」と入力します。
5 つのクラスを選択することで、クラスが多すぎて各クラス間の違いがわかりにくくなることなく、マップにより変化を付けることができます。
マップの凡例で、デフォルトの [自然分類] 分類方法を使用してコスト値の範囲を 5 つのクラスにグループ化します。
[自然分類] では、値の範囲内のクラスターとギャップを使用してクラスを定義します。
[自然分類] 分類方法の 1 つの特徴として、クラスごとに値の範囲が異なる場合があります。 ここでは、最低のクラス (4,244 ~ 9,263 ドル) の値の範囲は 5,019 ドルですが、その次のクラス (9,263 ~ 10,848 ドル) の値の範囲は 1,585 ドルにすぎません。 もう 1 つの特徴として、クラスごとにメンバーの数が異なる場合があります。 たとえば、最高のクラスには 118 の郡が含まれていますが、最低のクラスには 536 の郡が含まれています。
また、NULL 値があるかどうかを考慮することも重要です。
- [スタイル オプション] ウィンドウで、ヒストグラムの下の [範囲外または値がないフィーチャの表示] をオンにします。
コネチカット州の郡がグレーで表示されるようになります。
コネチカット州は 2022 年に郡の境界線を変更しました。 2022 年度のメディケア支出額のデータは、現在の境界線とは異なる境界線を使用しているため、結果として NULL 値が発生しています。 このチュートリアルでは、このデータは解析から除外します。
注意:
コネチカット州の郡の変更の詳細については、「Change to County-Equivalents in the State of Connecticut for 2022 ACS」をご参照ください。
次に、カラー ランプを変更してレイヤー スタイルを調整します。
- [スタイル オプション] ウィンドウで、[シンボル スタイル] の下にあるシンボルをクリックしてシンボルを変更し、シンボル設定を指定します。
- [シンボル スタイル] ウィンドウで、[色] のカラー ランプをクリックします。 [ランプ] ウィンドウで、[Purple 2] を選択します。
ヒント:
カラー ランプの名前を表示するには、そのカラー ランプをポイントします。
- [完了] をクリックします。
レイヤー スタイルが更新されます。
- [スタイル オプション] ウィンドウで [完了] を 2 回クリックします。
- [コンテンツ] ツールバーで、[保存して開く] をクリックし、[保存] を選択してマップを保存します。
空間パターンの調査
マップ上の空間パターンを調査するには、[Medicare Spending by County] レイヤーの凡例を確認してから、それぞれの地理的地域にズームしてポップアップを開きます。
- [レイヤー] ウィンドウで、[State Boundaries] レイヤーの [表示設定] ボタンをクリックします。
マップ上に明確なパターンが表示されます。 南部全域 (特にテキサス州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、およびフロリダ州) で高い支出率が表示されています。 また、グレート プレーンズ全域、特にオクラホマ州とカンザス州でも、高い支出額が多く見られました。 さらに、国内の他の地域にも、孤立した高い支出額が存在しています。
- [コンテンツ] ツールバーにある [凡例] をクリックします。
凡例に、それぞれの色に関連付けられた値の範囲が表示されます。 どの分類方法でもクラス閾値が重要となる理由は、ある地域のコストが高く、別の地域のコストが非常に高いように見える場合に、クラス閾値によって、マップ ユーザーが判断下せるようになるからです。 ただし、実際に、それぞれのクラスでペアになっている値同士の差はわずかです。
- [コンテンツ] ツールバーの [ブックマーク] をクリックし、[ブックマーク] ウィンドウで [南西部] をクリックします。
- 5 つのクラスの中間のスタイルが設定されている郡のいずれかをクリックします。
サン・バーナディーノ郡では、2022 年度に 11,986 ドルの 1 人当たりメディケア支出額が報告されました。 中間クラスの範囲は 1 人当たり 10,848 ~ 12,452 ドルです。
- ポップアップを閉じます。 ネバダ州の最高クラスの郡をクリックし、ポップアップの情報を確認します。
クラーク郡の 2022 年度の支出額は 12,660 ドルでした。 これらの 2 つの地域の差はわずか 674 ドルですが、少なくとも [自然分類] 分類方法では、別々のクラスに配置するのに十分な差です。
- ポップアップを閉じます。
- [中西部] ブックマークと [北東部] ブックマークにズームして、その他の郡のメディケア支出額を比較します。
アイオワ州南部のモンロー郡をはじめとするいくつかの郡は、近隣の郡と比較してメディケア支出額が非常に高くなっています。 最高クラスのスタイルが設定されているある郡の支出額が、最低クラスのスタイルが設定されている近隣の郡と比較して実際に著しく高く見える場合もあります。 しかし、クラスのスタイルが異なるにもかかわらず、差がそれほど大きいとは思えない事例もあるかもしれません。 郡の間の差をよりわかりやすく伝えられる可能性がある、データのスタイルを設定するための別の方法も存在します。
- 確認が終了したら、[ブックマーク] ウィンドウで [USA] をクリックして再びアメリカ合衆国にズームを戻します。
- [レイヤー] ウィンドウで [State Boundaries] レイヤーをオフにします。
- マップを保存します。
次のセクションではさまざまな分類方法を試してみます。
その他の方法によるデータの分類
[自然分類] がただ 1 つの有効な分類方法ではありません。 [等間隔] 分類方法と [等量] 分類方法を使用した場合は、空間パターンがどの程度まで変化するかを確認します。
- [レイヤー] ウィンドウで [Medicare Spending by County] レイヤーを確認し、[設定] ツールバーの [スタイル] をクリックします。
- [スタイル] ウィンドウの [数と量 (色)] スタイルで、[スタイル オプション] をクリックします。
- [データの分類] の [方法] で [等間隔] を選択します。
これらのクラス閾値は異なります。 [等間隔] 分類方法の代表的な特徴として、すべてのクラスで値の範囲が同じです。 この場合の値の範囲は約 4,307 ドルです。 クラスは任意の数の郡を含むことができ、郡を全く含まないことも可能です。
大きい値と小さい値のパターンが極めて近似していることが明白であっても、別々のイメージが作成されます。 最低クラスと最高クラスに属する地域が少なくなった結果、これらの地域が目立ち、マップは全体的に一様な見た目となっています。
- [スタイル オプション] ウィンドウの [方法] で、[等量] を選択します。
再びクラスが変更されます。 [等量] 分類方法の代表的な特徴として、すべてのクラスでメンバーの数が同じです (この場合は 626 または 627 の郡)。 値の範囲はクラスごとに大きく異なる場合があります。 ここでは、最低クラスの値の範囲は 5,266 ドル、中間クラスの値の範囲は 714 ドルです。
1 つ前のマップとは異なり、[等量] 分類方法は値の高低を強調する傾向にあり、その重要性が誇張される場合があります。
どの分類方法が正しくて、どの分類方法が間違っているということはありません。 値の範囲全体でデータが連続的かつ均等に分布している場合、[等間隔] 分類方法と [等量] 分類方法は精度の高い結果を示します。 ただし、このような好結果がもたらされないケースもよくあります。 データ内にギャップとクラスターがある場合は、[自然分類] 分類方法をおすすめします。
この状況では、カラー ランプの隣にあるグレーのバー チャートが示すように、データはほぼ正規の鐘形の分布を示しています。 このような線形または均一な分布が存在する場合は、[等量] 分類方法をおすすめします。 各クラスのフィーチャが同じ数でグループ化されるため、不均一に分布したデータセットが存在する場合は、作成されたマップの意図が正しく伝わらない場合がよくあります。
[等量] 分類方法は、リソースの割り当ての決定にも役立つスタイルです。 たとえば、最も必要性の高い地域を支援することを目標とした健康政策を策定する必要がある場合、5 つのクラスによる [等量] 分類方法を使用することが考えられます。最高クラスは、この財政的支援を最優先で受けるべき上位 20 パーセントの郡となります。
注意:
分類方法の詳細については、「スタイル オプションの使用 (Map Viewer) - 分類方法」およびビデオ「Configure a choropleth map」をご参照ください。
- [シンボル] ウィンドウで [完了] をクリックします。
- マップを保存します。
データの分類方法に関する意思決定には、主観が少なくとも一部入っています。 マップの表示方法の好みや特定のメッセージを伝えたいという気持ちなどが主観の一例です。 分類方法に間違いがなくても、明らかに異なるデータの側面が強調されることがあります。 しかし、安定性と信頼性のある空間パターンを十分に把握し、その他の地域よりも突出している地域を確認できるものでしょうか?
その答えは、もちろんできます。主観がほとんど入らない方法でデータのグループ化と視覚化を実行できる分析方法があります。 プレゼンテーションや意思決定の目的で使用する分類方法を選択する前に、複数の分類方法を試してみることをおすすめします。 次回は、ホット スポット分析を調査し、統計的評価でデータに含まれる有意に高い値と有意に低い値の空間クラスターを特定する方法を確認します。
メディケア支出についてのホット スポット分析
前のセクションでは、データ分類方法に応じてマップ上の空間パターンがどのように変化するかを確認しました。 今回は、パターンに関してより明確な結論を導き出すためにデータのホット スポット分析を行います。 この場合のホット スポット分析は、値が標準値と大幅に異なる地域を特定する統計的検査に相当します。
ホット スポット分析
前のセクションでは、スタイルを設定したマップで、全国のメディケア支出額の変動を示しました。 2022 年には、南部およびグレート プレーンズの州での支出額が比較的高くなりました。 ニュー イングランド、中西部の一部、北西部、ロッキー山脈地域では支出が低くなっています。 しかし、異なる分類方法でマップをスタイル設定しても、統計的に有意な差があるかどうかはわかりません。 ホット スポット分析ツール は、Getis-Ord Gi* 統計を使用して、統計的に有意な高い値 (ホット スポット) と低い値 (コールド スポット)、またはデータ数を識別します。
- 必要に応じて、ArcGIS 組織アカウントにサイン インしていることを確認し、[Medicare Spending by County] マップを開きます。
- [コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーの [レイヤー] をクリックします。 [レイヤー] ウィンドウで、[Spending by County] レイヤーをクリックして選択します。
- [設定] (明るい背景の) ツールバーで [解析] をクリックします。
- [分析] ウィンドウで、[ツール] をクリックします。 [ツール] ウィンドウの検索バーに「hot spot」と入力し、Enter キーを押します。
[ホット スポット分析] ツールが結果リストに表示されます。
[ホット スポット分析] ツールは、空間統計手法を使用して空間パターンを特定し、高い値または低い値のクラスターの存在に対する信頼度を提供します。
- 結果のリストで [ホット スポット分析] ツールをクリックします。
[ホット スポット分析] ウィンドウが表示されます。 ウィンドウの上部、ツール名の横にある [ヘルプ] ボタンをクリックすると、ツールの詳細情報が記載された Web ページに移動します。
最初のパラメーターは [入力フィーチャ] です。 [入力フィーチャ] グループには、ホット スポット分析を実行するポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャを含むレイヤーである [入力レイヤー] パラメーターが含まれます。
- [ホット スポット分析] ウィンドウの [入力フィーチャ] で、[Medicare Spending by County] を選択します。
[ホット スポットの設定] セクションの [解析フィールド] は、高い値 (ホット スポット) と低い値 (コールド スポット) のクラスターを解析するフィールドです。 あなたは、メディケア支出のホット スポットとコールド スポットを解析したいと考えています。
- [解析] フィールドでは、[Standard Payment per capita] を選択します。
残りの設定はデフォルト設定のままにしておきます。 最後に、ツールの実行時に作成されるレイヤーの名前を指定します。
- [出力名] に「Medicare Spending Hot Spots」と入力し、自分の名前またはイニシャルを追加します。
- [クレジットの推定] をクリックします。
クレジットは、ArcGIS Online で使用される通貨です。 クレジットは、解析の実行、フィーチャの保存、ジオコーディングなど、特定の処理を行う際に消費されます。
このツールの実行には 3.143 クレジットが必要です。
注意:
クレジットの詳細については、クレジットの概要をご参照ください。 組織の管理者が情報の閲覧を有効にしている場合は、ArcGIS Online アカウントの残りクレジット数を確認できます。 有効であれば、ページの上部でユーザー名をクリックして、[設定] を選択します。 [設定] ページで [クレジット] をクリックすると、アカウントの残りのクレジット数が表示されます。 有効でない場合は、組織アカウントの管理者にお問い合わせください。
- [実行] をクリックします。
ツールの実行中に、[解析] ウィンドウで [履歴] タブをクリックすると、進行状況を確認できます。
数分後、[Medicare Spending Hot Spots] レイヤーがマップに追加されます。
マップ上の赤色と青色の地域はそれぞれ統計的に有意な高コストと低コストのクラスターを表します。 白でシンボル化された地域では、支出額が特に高くも低くもありませんでした。
有意性の信頼度は、分析範囲の高い値または低い値がクラスター化される可能性を明らかにします。 90 パーセント以上の信頼度でホット スポットとコールド スポットが検出されたことは、この空間クラスタリングが偶然によるものではなく、何らかの空間プロセスの結果である可能性が高いことを示しています。 信頼度が高くなると、観察されたパターンが特定の理由で発生しているという確信が高まります。
結果は、南部および大平原のいくつかの州で実際に統計的に有意に高い支出があることを示しています。 チュートリアルの前半では明らかではなかった、支出額が多いホット スポットの 1 つは、ニュージャージー州とニューヨーク市周辺の郡です。
- [コンテンツ] ツールバーの [凡例] をクリックします。
レイヤーの凡例のラベルはシンボルの説明です。 たとえば、「hot spot with 99 percent confidence」は、高コストのクラスターがランダムに発生している可能性が 1% しかないことを意味します。
シンボルの上に表示される凡例の見出しは、レイヤー テーブルのフィールド名のエイリアスを基に生成されます。 この見出しは、チュートリアルの後半で、意味のある内容に変更します。
- マップを保存します。
[ホット スポット分析] 解析ツールを使用すると、2022 年のメディケア支出額のより明確で統計的に有意な違いを確認することができました。
レイヤー シンボルの変更
マップ ユーザーにとっては、ホット スポットとコールド スポットに郡境界が表示されているよりも、州境界が表示されていることの方が有用な場合があります。
- [レイヤー] ウィンドウで [Medicare Spending Hot Spots] レイヤーを選択し、[設定] ツールバーの [スタイル] ボタンをクリックします。
- [スタイル] ウィンドウの [数と量 (色)] スタイルで、[スタイル オプション] をクリックします。
- [スタイル オプション] ウィンドウで [シンボル スタイル] ボタンをクリックします。
- [シンボル スタイル] ウィンドウで、[アウトライン幅] に「0」と入力します。
- [スタイル オプション] ウィンドウで [完了] を 2 回クリックします。
- [レイヤー] ウィンドウで、[State Boundaries] レイヤーの [表示設定] ボタンをクリックします。
- [State Boundaries] レイヤーを [レイヤー] ウィンドウの最上位にドラッグします。
これでマップに州境界だけが表示されます。
メディケア支出のホット スポットは、メキシコ湾沿岸地域のオクラホマ州、カンザス州、ニュージャージー州に存在します。 主なコールド スポット地域は北西部、ロッキー山脈、中西部の一部、ニューイングランド、バージニア州にあります。
- マップを保存します。
ホット スポットの結果の理解
このセクションでは、結果として得られたホット スポット レイヤーをさらに詳しく調べて、ツールが解析した内容をより深く理解します。 まず、[ホット スポット分析] ツールによって生成されたホット スポット レイヤー フィールドを調べます。
- [レイヤー] ウィンドウの [Medicare Spending Hot Spots] レイヤーで、[オプション] ボタンをクリックして [テーブルの表示] を選択します。
テーブルが表示されます。
ヒント:
テーブル内のフィールド名をより見やすくするには、ウィンドウを閉じてツールバーを折りたたむことができます。 フィールドの名前にポインターを合わせても、そのフィールドの名前全体を表示できます。
探索する主要なフィールドを表示するようにテーブルを構成し、さまざまな郡の結果を比較して、[ホット スポット分析] 解析の結果を詳しく理解します。
- テーブルの上部にあるフィールドの表示ボタンをクリックします。
- [フィールドの表示設定] ウィンドウで、[Source_ID] と [Standard Payments per capita] をオフにして、[完了] をクリックします。
テーブルには 5 つのフィールドのみが表示されます。
- マップ上の赤い郡をクリックします。
選択されたフィーチャは明るいシアン色で強調表示されます。
- テーブルで、[選択の表示] ボタンをクリックします。
テーブルはフィルターされ、選択したレコードのみが表示されます。
- マップ上で、青いコールド スポット郡と、重要でない白い郡をクリックします。
クリックした郡がフィルターされたテーブルに追加されます。 これで、結果のフィールドについてさらに詳しく知るために、互いに比較できる 3 つの異なるホット スポット結果レコードが得られました。
- テーブルで、[GIPValue] フィールドと [GiZScore] フィールドを確認します。
フィールド名の Gi 部分は、z スコアと p 値 の計算に使用される Getis-Ord Gi* (発音はジー-アイ-スター) 統計値を指します。 Gi* は、 各フィーチャをその近隣フィーチャと相関させ、ローカル平均を分析範囲内のすべてのフィーチャの平均と比較して、この値クラスターが分析範囲全体で大幅に高くなるか低くなる確率を計算します。 このツールは、近隣フィーチャのコンテキスト内で各フィーチャを調べることによって機能します。
注意:
Getis-Ord Gi* 統計値の詳細については、「ホット スポット分析 (Getis-Ord Gi*) の詳細」をご参照ください。
フィールド エイリアスの末尾の数字 174529 は、近隣のサイズを決定するために使用される距離バンドです。
[GiPValue] フィールドは p 値であり、0.01 未満の値は 99 パーセントの信頼度で統計的に有意であることを示します。 フィールド エイリアス名の fixed という単語は、使用される近傍方法が固定距離バンドであることを示します。
[GiZScore] フィールドは結果の Z スコアであり、標準偏差の測定値です。 たとえば、Z スコアが 2 の場合、その郡のメディケア支出額は他のすべての郡よりも 2 標準偏差高かったことを意味します。
注意:
z スコアと p 値の詳細をご参照ください。
- 赤いホット スポット レコードの Z スコアは 7.29、p 値は 0.00 であることに注意してください。
ヒント:
どのレコードがどの郡のものか思い出せない場合は、各レコードの先頭にあるチェックボックスをオンにして、マップ上で強調表示することができます。
これは、この郡のメディケア支出額が国内の他のすべての郡よりも 7 標準偏差以上高かったことを意味します。 p 値が低いということは、この結果がランダムではないという信頼度が 99 パーセントあることを意味します。
- この同じレコードについて、次のフィールド [Gi_Bin] に注目してください。
[Gi_Bin] フィールドは、統計的に有意なホット スポットとコールド スポットを識別します。
- +/-3 ビン内のフィーチャは、99 パーセントの信頼度での統計的有意性を反映します。
- +/-2 ビン内のフィーチャは 95 パーセントの信頼度を反映します。
- +/-1 ビン内のフィーチャは、90 パーセントの信頼度を反映します。
- ビン 0 内のフィーチャのクラスタリングは統計的に有意ではありません。
FDR は False Discovery Rate の略で、FDR 補正はデフォルトで Map Viewer の [ホット スポット分析] に適用されます。
FDR 補正により、統計的検定における共通多重検定の問題と、1 つのデータセット内のすべてのフィーチャにわたる反復検定による空間依存性も考慮して、有意水準 (p 値) が引き下げられます。
注意:
FDR 補正の詳細ご参照ください。
赤色のホット スポット郡のレコードでは、[Gi_Bin] フィールドは 3 です。これは、この郡は FDR 補正により、統計的に有意に高いメディケア支出があると判断されることを意味します。
[Statistical Significance] フィールドはテキスト フィールドであり、全体的なホット スポット分析結果のラベルとして機能します。
- 学んだことを活用して、他の 2 つのレコードに関する次の質問に答えてください。
- Gi_Bin 値が 0 のレコードの場合、それが統計的に有意でない理由を説明するフィールドはどれですか?
- コールド スポット郡は平均値より何標準偏差下ですか?
- コールド スポット レコードの信頼度が 99 パーセントであることを示すフィールドはどれですか?
ヒント:
テーブルで比較するには、マップ上で Gi_Bin +/- 1 または 2 にある郡をさらに選択することを検討してください。
次に、[ホット スポット分析] 解析ツールによって生成された最後のフィールドを確認します。
- テーブルで、[NNeighbor] フィールドを確認します。
[NNeighbor] フィールド名には、他のフィールドと同様に解析値のスケールも含まれます。 しかし、この数字はどこから来るのでしょうか?
これらの値をよりよく理解するには、解析履歴の結果を表示します。
- [設定] ツールバーの [解析] をクリックします。 [解析] ウィンドウの [履歴] タブをクリックします。
- [ホット スポット分析] ツールの履歴アイテムについては、オプション ボタンをクリックし、[詳細の表示] をクリックします。
[ホット スポット分析] ウィンドウに [結果] タブが表示されます。
[結果] タブには、判定された外れ値の数や、それらが解析値のスケールの計算に含まれなかったことなどの重要な詳細が表示されます。
デフォルトでは、このツールは最も近い 30 個の近傍までの距離を平均化して、最適な固定距離バンドを計算します。 この解析で使用される固定距離バンドは 174,529 メートルで、これは属性テーブルのフィールド名の末尾に表示された値です。 各フィーチャについて、174,529 メートルのバッファー ゾーン内のフィーチャは、そのフィーチャの近傍フィーチャと見なされます。 このフィールドは、各フィーチャの 174,529 メートルのバッファー内で使用されている近傍フィーチャの数を示します。
[ホット スポット分析] では、FDR 補正によって 3,123 個のフィーチャのうち 2,127 個について統計的有意性が判定されたこともわかります。
このチュートリアルでは、全国でメディケアの支出が最も高い場所を明らかにする分類方法を調べました。 [ホット スポット分析] ツールを使用して、解析をさらに進め、メディケア支出が高いエリアと低いエリアの統計的に有意な場所を特定しました。 また、ホット スポット分析の結果を調べて、解析ツールに入力された結果のフィールドと計算をより深く理解しました。
これらのマップは、国内の特定の地域で支出がなぜ高かったり低かったりしたかについて因果的な説明は提供していませんが、医療費支出には地理的な違いがあるという洞察を提供しています。 マップを作成すると、さらなる探索が促され、新たな疑問が生まれることがよくあります。 たとえば、このチュートリアルで作成されたマップでは、なぜメディケアの支出がメキシコ湾沿岸地域の州で特に高いのか?などの疑問が生じます。 なぜニュージャージー州は北東部で唯一のホット スポットなのでしょうか?
これらの質問に答えるのに役立つ、回帰解析などの追加の空間統計手法があります。 回帰分析は一種の統計的手法であり、データ内の変数相互の関係を把握するのに役立ちます。 一部の地域では他の地域よりも医療費が高くなる理由をより深く理解するために、より多くの空間統計手法を適用して解析をさらに進めることを検討してください。
注意:
回帰解析の詳細については、「場所が金利に及ぼす影響を確認する」チュートリアルをご参照ください。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。