母集団による選挙区の区割り

合衆国憲法では、10 年ごとに米国の人口を集計することが義務付けられています。国勢調査の結果は、各州への下院議席数の再配分に影響を与えます。各州の議会や再区画委員会は独自の方法で再区画を行っていますが、すべての州が人口と差別禁止に関連する合衆国憲法の要件に準じる必要があります。これらの要件は、選挙区を見分けやすくするとともに、公平性と一貫性を確保する目的で定められるものです。

合衆国憲法の要件の例として、第 1 条第 2 節に再配分に関する項があり、すべての選挙区の人口を可能な限り等しくする必要があることが定められています。その他の重要な法律には、1965 年に設定された投票権法があり、意図の有無にかかわらず、人種に基づいた市民の投票権の否定につながる計画や行為を禁止しています。

各州では、州独自の再区画基準、あるいは原則を採択して区割を行うことができます。原則や基準は州憲法あるいは州法に記載されているか、議会、評議会、委員会で採択されます。たとえば、メリーランド州では、選挙区をコンパクトにすることと、既存の自然境界や政治的境界を考慮して区割りを行うことを義務付けています (メリーランド州憲法第 III 条、第 3-5 節)。コロラド州など、各選挙区の人口偏差の幅を規定している州もあり、各選挙区の人口偏差が 5% を超えてはなりません (コロラド州憲法第 V 条、第 46 節)。

新たな選挙区の区割りを支援するため、Esri Redistricting を使用します。これは、行政や支持者、市民が規制に準拠する区画再編成計画を作成、編集、および共有するための Web ベースのソリューションです。

注意:

Esri Redistricting の使用方法の詳細。

プランを開く

メリーランド州は米国最初の 13 州の 1 つであり、大西洋からアパラチア山脈へとまたがる多様性に富む州です。メリーランド州は人口約 600 万。陸地面積は全国で 42 位と小規模ながら、人口は 19 番目に多い州です。人口密度は比較的高く、米国下院には 8 人が選出されていますこのチュートリアルでは、7 つの選挙区をマッピングします。

はじめに、Esri Redistricting を起動して、新しい再区画計画を開始します。

「ArcGIS の組織アカウント」にサインインします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェアアクセスのオプションをご参照ください。
ページの上部で、アプリランチャーボタンをクリックします。
[Esri Redistricting] をクリックします。
注意:
Esri Redistricting が開かない場合、ブラウザーの言語が英語に設定されていることを確認します。
[サインイン] をクリックします。必要に応じて、[Licensing Agreement] で [Agree] をクリックして続行します。
Esri Redistricting が開き、[Open Plan] ウィンドウが表示されます。
[Open Plan] ウィンドウで、[Create Plan] をクリックします。
[New Plan] ウィンドウが表示されます。ここから、メリーランド州で 7 つの選挙区を作成します。
[New Plan] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [District Caption] が [District] に設定されていることを確認します。
- [Number of Districts] に「7」と入力します。
- [Maximum Deviation] ではデフォルト値の [10.0] パーセントを受け入れます。
- [Census Year] では [2010] を選択します。
- [Select source geography] で [States] を展開し、[Maryland_2010] を選択します。
- [Select data hierarchy] が [County-Tract-Block Group-Block] に設定されていることを確認します。
[次へ] をクリックします。
次のウィンドウでは、選挙区の色を変更できます。デフォルト設定をそのまま使用します。
[次へ] をクリックします。
次のウィンドウで人口統計値を割り当てます。同一選挙区内で複数の人口構成グループが均等になるよう区画再編成する作業は、時間と手間がかかることがあります。このチュートリアルの目的に合わせて、このレッスンでは、非ヒスパニック系白人と非ヒスパニック系黒人の人口統計グループの分布のみを考慮することにします。
[Select demographics to display] の [Name] 列で、[Standard] を展開します。
人種および民族カテゴリが、詳細な説明とともに表示されます。
注意:
米国国勢調査局では、人種と民族の基準として　1997 年の行政管理予算局 (OMB) の標準に準拠することが定められています。 Esri Redistricting では、米国国勢調査局と同じ言語を使用します。
[WHITENH] および [BLACKNH] で、[Sum] 列をオンにします。
注意:
[WHITENH] と [BLACKNH] の [NH] は、非ヒスパニック系を意味します。
[完了] をクリックします。
[Save Plan] ウィンドウが表示されます。プランは、プランの作成中または後で保存することができます。このチュートリアルでは、後でプランを保存します。
[キャンセル] をクリックします。
7 つの選挙区はどれもまた割り当てられていないため、メリーランド州のマップは 1 色で表示されます。選挙区に投票者が割り当てられると、新しい色がマップに追加されます。
マップの下にある [District Window] には、現在のプランの選挙区、各選挙区のシンボル、各選挙区の人口数、各選挙区の人口統計が表示されます。トレーニングの便宜上、選挙区は郡レベルで維持し、目標人口を 600,000 から 1,000,000 人の間に保ちます。目標人口を [District Window] に固定しておくと、各選挙区の人口目標の目安となります。
リボンの [表示] タブをクリックします。 [Districts] グループで [Show Target Values] をオンにします。
[District Window] で [TARGET] 列が表示されるようになり、1 選挙区あたりの目標平均住民数が 824,793 人であることを示しています。これは、メリーランド州の 24 個の郡を均等にバランスの取れた 7 つの下院議員選挙区に区割りするうえで理想的な数です (ボルチモア市は、1851 年のボルチモア郡からの分離後、郡に相当する独立市になりました)。郡レベルでは、すべての選挙区に人口を均等に分けることは不可能です。このように分けるには、道路ごとの区画再編成が必要となります。

選挙区を作成する

人口目標が定まったので、Esri Redistricting ワークフローを使用して 7 つの選挙区を区割りし、選挙区間の人口分布が相対的に等しくなるようにします。

リボンの [Learn] タブをクリックします。
[Learn] タブでは Esri Redistricting ワークフローの説明、クイックツアー、よくある質問への回答を提供します。
[Create] タブをクリックします。
[Redistricting] グループでは、ポイント、四角形、ポリゴン、ポリラインによって地理を選択することができます。 [Select geography] ツールを使用してポイントで選択します。先ほど、選択レベルとして郡を指定したため、クリックするたびに、作成する選挙区内のすべての郡が含まれます。
[Redistricting] グループで [Select geography by picking them] ツールをクリックして有効にします。
[Redistricting] グループの [District] で [District 1] を選択します。
[District 1] が、編集中のアクティブな選挙区として設定されました。
注意:
あるいは、[District Window] で任意の行をクリックし、その選挙区を有効にします。
[ビュー] タブの [District Display] グループで、[Show District Field] をクリックします。
[Show District Field] をオンにすると、マップ上に作成している選挙区の累積人口が表示されます。
メリーランド州の西側の境界からポインターを東に移動しながら、最初の 5 つの郡をクリックします。
クリックすると、District 1 の総人口が算出されます。最初の 5 つの郡はメリーランド州の細長い取っ手のような部分を網羅し、地区の人口は 653,133 人です。地区の色は、この画像例とは異なる場合があります。
ヒント:
変更するには、[Create] タブの [Redistricting] グループで [Undo] ボタンと [Redo] ボタンをクリックします。
[Create] タブの [Redistricting] グループにある [District] で [District 2] を選択します。マップ上で、ジャーマンタウンがあるワシントン D.C. の北西に隣接する郡をクリックします。
この郡の人口は 971,777 人です。
アクティブな選挙区を [District 3] に選択し、ボルチモア市をクリックします。
注意:
郡をクリックすると選挙区に追加されます。選挙区に含まれる郡を変更するには、はじめに該当する選挙区の行を [District Window] でクリックするか、[District] ドロップダウンメニューで選択します。その後、有効にした選挙区に含める郡をクリックできるようになります。
次の手順に従って、残りの地区を作成します (問題がある場合は、次のステップのマップを参照します)。
- [District 4] で、ボルチモア市の北部にある郡をクリックします (人口は 805,029 人です)。
- [District 5] で、州の西部にある 10 個の郡をクリックします。まず、District 4 の西にある郡から始めます (10 個の群の総人口は 694,052 です)。
- [District 6] で、ボルチモア市の南にある郡を直接クリックし、次にその郡の南にある郡を直接クリックします。その後、選挙区にまだ割り当てられていない、州の最南部にある 2 つの郡をクリックします (4 個の群の総人口は 878,095 です)。
- [District 7] で、Washington, D.C. の西にある郡 (人口は 863,420) を直接クリックします。
ヒント:
必要に応じて、マップの左上隅または [Tools] グループにある操作ボタンを使用して、画面移動やズームを行います。操作ボタンを使用する場合は、[Select geography] ボタンをもう一度クリックして作業を再開する必要があります。
1 つの郡が未割り当てのままです。各選挙区が目標値である 824,793 人にできるだけ近くなるようにします。最後の未割り当ての郡を最初の選挙区に追加して、目標に近くなるようにします。
[District 1] で、District 2 の西にある未割り当ての郡をクリックします。
これで、マップには均等にバランスがとれた 7 つの選挙区が示されます。

プランを保存して名前を付ける

区画再編成マップ案が作成されたので、それに名前を付けて保存し、後から共有できるようにしておきます。

Esri Redistricting の上部にある [Save the plan using a different name] ボタンをクリックします。
ヒント:
または、[File] メニューの [Plans] グループで、[Save As] ボタンをクリックすることもできます。
[Save Plan] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [Name] には、「First draft」と入力します。
- [Description] には、「First draft of redistricting plan for seven congressional districts in Maryland. (メリーランド州の 7 つの下院議員選挙区の区画再編成の第 1 案)」と入力します。
[OK] をクリックします。

メリーランド州の区画再編成計画を作成しました。 7 つの下院議員選挙区の間で、有権者の数が平等になるよう調整しました。詳細については、「プランの作成と編集」をご参照ください。

次に、メリーランド州の 2012 年の下院議員選挙区計画をダウンロードし、人種および民族データを使用して選挙区を調整します。

選挙区境界の編集と再区割り

これまでは、メリーランド州におよそ 600 万人の住民がいることを前提に、人口を 7 つの下院議員選挙区に均等に区割りしたプランを作成しました。次に、111th Maryland Congressional District というファイルをダウンロードします。このファイルは、メリーランド州の現在の下院議員選挙区を示すものです。このプランに新しい名前を付けて保存し、2 つの選挙区の境界を調整する練習を行います。

特定の州憲法および投票権法で定められたすべての条件を満たすよう選挙区を調整するのは困難であり、時間と労力がかかります。各人口でニーズは異なり、多様なコミュニティがさまざまな形で分布しています。各選挙区の有権者の適切な割合は、特定の州、人口分布、そして時には特定の再区画機関の政治的決定に左右されます。このチュートリアルでは、3 区の選挙区の境界を再区割りし、黒人居住者の割合が 40 ～ 50% になるようにします。

注意:

米国議会の再区画や投票権法の影響については、「アメリカの区画改正の歴史」をご参照ください。

プランの読み込みと準備

Esri Redistricting で使用および認識されるファイル形式を持つ PLAN ファイルをダウンロードします。

111th-maryland-congressional-district zip ファイルをダウンロードします。ファイルをコンピューター上の便利な場所 (デスクトップなど) に抽出します。
Esri Redistricting で、[File] タブをクリックします。 [Plans] グループで [Open] をクリックします。
[Open Plan] ウィンドウで [Open Local Plan] をクリックし、展開したフォルダーを参照します。
[111th-maryland-congressional-district] フォルダーを開き、[111th-maryland-congressional-districts.plan] PLAN ファイルをクリックし、[Open] をクリックします。
PLAN ファイルが読み込まれると、メリーランド州の 2012 年の下院議員選挙区マップが表示されます。
マップは、第 111 期連邦議会時のメリーランド州の 8 つの下院選挙議会区を示しています。重複するレイヤーがいくつかあるため、マップコンテンツを調べて、使用しないレイヤーを非表示にします。
マップの横にあるグレーの矢印をクリックしてサイドパネルを展開します。 [コンテンツ] タブをクリックして、[コンテンツ] ウィンドウを表示します。
[コンテンツ] ウィンドウには、[Streets] ベースマップなどの複数のレイヤーが含まれています。

作業は [Districts] レイヤーで行います。このレイヤーには、以前にダウンロードした PLAN ファイル [111th-maryland-congressional-districts] から取得したデータが含まれています。 [US Congressional Districts 2011] レイヤーは [Maryland_2010] レイヤーを隠してしまうため、オフにします。
[コンテンツ] ウィンドウで、[US Congressional Districts 2011] レイヤーをオフにします。
選挙区名、編集可能な選挙区、および各地区の人口の合計を把握しながら調整できるようにするには、[ビュー] タブで表示設定を構成します。
[コンテンツ] ウィンドウを折りたたみます。
リボンの [表示] タブをクリックします。 [District Display] グループの [Display Locks] と [Display Names] をオンにします。 [Show District Field] がオンになっていることを確認します。
すべての選挙区は、選挙区内のデータがロックされていることを示す斜線が表示されているはずで、編集はできません。 [District Window] の [Lock] 列は、選挙区がロックされているかどうかを示し、オンおよびオフにして、特定の選挙区を編集可能にしたり、編集できないようにロックしたりすることができます。
これでプランが構成され、選挙区の境界を編集する準備ができました。
次に、プランを保存します。
[File] タブの [Plans] グループで [Save As] をクリックします。
[Save Plan] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [Name] に「Proposed Congressional Districts」と入力してイニシャルを付加します。
- [Description] に「First draft of a new District 3 in Maryland.」(メリーランド州の新しい 3 区の第 1 案) と入力します。
[OK] をクリックします。
プランは新しい名前で保存されます。この名前は Esri Redistricting の先頭にリストされます。次に、[District 3] のロックを解除して拡大します。
[Create] タブをクリックします。 [Redistricting] グループの [District] で [District 3] を選択します。
[ズーム] をクリックすると、選択した選挙区が表示されます。
マップで [District 3] が拡大されます。この選挙区で再区割りを行います。 1 レベル拡大してもかまいません。マップカラーは異なる場合があります。
[District Window] には、住民数が 7,000 人を上回っている、あるいは下回っている選挙区については 2010 年の米国国勢調査で均衡化したことが示されています。
この割合を表示するには、[Demographics] テーブルを開き、非ヒスパニック系の黒人人口と白人人口の割合を示す [District Window] に割合を追加します。
[Create] タブで、[Statistics] グループの [Demographics] をクリックします。
[Demographics] テーブルで [Standard] を展開します。 [Percent] 列で [WHITE NH] と [BLACKNH] のチェックボックスをオンにします。
[OK] をクリックします。
[District Window] に、非ヒスパニック系の黒人人口と白人人口の割合を示す列が追加されます。
3 区は現在、非ヒスパニック系黒人居住者が 55.5% を占めています。

選挙区の人口の調整

コミュニティは必ずしも管轄区の小さな地区に収まるとは限らないため、選挙区の境界を設定して平等な有権者数を確保するには、複雑なプロセスが必要になる可能性があります。理想的な選挙区とは、有色人種のコミュニティが適切な割合で存在し、その選挙区の人口統計を最もよく表すことができる代表者が選出される選挙区だと言えます。ただし、有色人種の割合が下げすぎないようにしてください。有色人種のコミュニティが複数の選挙区に分断され、それらのコミュニティが希望する候補者に投票できなくなる可能性があるためです。選挙区内の有色人種の割合を上げすぎると、希望する候補者が圧倒的な差で勝利し、有色人種の一票一票の重みが低下する可能性があります。選挙区内で法的に許容される有色人種の割合を判断するには、選挙結果を統計的に解析し、人種間の偏りの度合いを調べ、その統計解析の結果を使用して、希望する候補者を選出できる有色人種の割合の高い選挙区を設定することが必要です。

このチュートリアルでは、統計解析を実施しません。ただ、公平な方法で境界を設定する作業は複雑だが重要であることを認識する価値はあります。ボルチモア都市区と歴史的な黒人コミュニティを代表する [District 3] と、白人居住者が集中している Howard、Frederick、Carroll の各郡の一部を含む [District 2] の一部との間の選挙区の境界を再区割りします。

次に、[District 2] と [District 3] を交互に有効にします。切り替えるたびに、[Select geographies by rectangle] および [Select geographies by polygon] ツールを使用し、選挙区の間で一部の地区を移行します。選挙区の境界が変化すると [District Window] が更新され、各選挙区の人口統計の割合が表示されます。

[District Window] の [Lock] 列で、各選挙区のチェックボックスがすべてオンになっていることを確認します。
[District 2] と [District 3] の [Lock] をオフにします。
これら 2 つの選挙区ではロックされたデータを表す斜線が消えますが、一度に有効にできるのは 1 つの選挙区だけです。
[Create] タブの [Redistricting] グループで、[District 3] が有効であることを確認します。 [Select geographies by rectangle] をクリックします。
[Select geographies by rectangle] ツールは、選挙区の大きな部分を移行する場合に便利です。一方で、[Select geographies by polygon] (右横にあるボタン) は、小さなエリアを移行する場合や、境界線を再描画する際のミスを修正する場合に適しています。
[District 2] と [District 3] の境界部分を拡大します。
ヒント:
マップ空間を最大限に確保するために、ハンドルを下にドラッグして [District Window] を最小化できます。[Districts 2] と [District 3] が表示されたままであることを確認します。
[Select geographies by rectangle] ツールを使用し、[District 3] が有効な状態で、Eldersburg 地域を四角形で囲みます。
[District 2] の一部の地区が [District 3] に移行され、[District Window] のフィールド値が更新されます。
注意:
マップおよび生成されるテーブルの表示は、このチュートリアルの画像例と正確には一致しないことがあります。
[District Window] で、[TOTAL] 列に注目します。 [District 2] と [District 3] の両方で、人口が 720,000 人程度に維持されるようにします。
非ヒスパニック系黒人人口の割合を表す [BLACKNH_P] 列で、[District 3] の値が 40 ～ 50% になるように境界を再区割りすることを目標にします。
次に、[District 2] を有効にし、[Select geographies by polygon] ツールを使用して、小さな変更を加えていきます。
[Redistricting] グループの [District] で [District 2] を選択します。
[District 3] の選挙区に変更を加えたのと似た方法で、[Select geographies by polygon] ツールを使用して別のエリアを選択し、それを [District 2] に移行します。
2 つの選択ツールを使用して、[District 3] の [BLACKNH_P] が約 50% になり、両選挙区の [TOTAL] が 714,000 ～ 728,000 人になるまで、[District 2] と [District 3] の間で地域を移動します。地域を移行する間は、[District Window] を開いたままにしておきます。
ヒント:
選挙区間で区画を移行すると、想定した選挙区に移行されずに分断または孤立した領域が意図せずに作成される場合があります。これは、基になる区画 (ブロック、ブロックグループまたは区域) によるもので、区画の選択ツールで見落とした可能性があります。これらの欠陥領域は、ロックされた選挙区にリンクされた区画から発生する可能性もあります。このような分断または孤立した地域が作成されないようにするには、選択を行う際にブロックまたはブロックグループレベルに拡大します。また、[Selection Level] スライダーで選択レベルを変更することもできます。
[District Window] には [District 2] と [District 3] の総人口が 714,000 ～ 728,000 人であり、District 3 の非ヒスパニック系黒人人口が約 50% として示されているはずです。
注意:
数値が画像例と正確に一致している必要はありません。
マップは次の画像例と似ているかもしれませんが、同一である必要はありません。
チェックボックスをオンにして [District 2] と [District 3] をロックします。
プランを保存します。

これで、メリーランド州の [District 2] と [District 3] に関する提案を作成できました。

計画のテスト

これまでは、メリーランド州の [District 2] と [District 3] の間の選挙区境界線を再区割りしました。次に、[Analysis] グループでツールを使用して、これら 2 つの選挙区に関する一連のテストを実施します。計画が失敗した場合には、エラーを修正します。

適合性チェック

下院議員選挙区はコンパクトで連続しており、均等である必要があります。 Esri Redistricting には、計画が要件を満たしているかどうかを確認できるツールがあります。

[レビューアー] タブをクリックします。 [Analysis] グループで [Check Integrity] をクリックします。
Esri Redistricting が適合性テストのレポートを生成します。ここでは、すべての選挙区は隣接している必要があるため、マップは [Connectivity Check] に失敗します。
[Integrity Tests] ウィンドウの [Connectivity Check] で [Details] をクリックします。
[Discontiguous Districts] ウィンドウが表示されます。
注意:
District 2 と District 3 の間の選挙区境界線を再区割りする方法によっては、数字はこの画像例とは異なる場合があります。
このテーブルは、いくつかの選挙区に、残りの選挙区から分断または孤立した地域があることを意味するものです。
[Discontiguous Districts] ウィンドウで、リストされた最初の選挙区 (画像例では、District 3) をクリックします。 [次のパート] をクリックします。
最初にリストされている投票区のメインパートがハイライト表示されます。
[次のパート] をもう一度クリックします。
投票区の隣接していない小さいパートがハイライト表示されます (画像例とは異なるパートが表示されることがあります)。
隣接していないパートを最も近い投票区に移動します。画像例では、たとえば、District 3 のパートを隣接する District 7 に移動します。
[District Window] で、現在隣接していないパートがある投票区 (画像例では、District 3) とその移動先の投票区 (画像例では、District 7) のロックを解除します。
[Create] タブをクリックします。 [Redistricting] グループの [District] で、隣接していないポリゴンを追加する投票区 (画像例では、District 7) を選択します。
[Select geography by picking them] ツールを使用して、隣接していないポリゴンをクリックします。
隣接していないポリゴンが隣接する投票区に追加され、隣接していない状態ではなくなりました。
[Discontiguous Districts] ウィンドウで [更新] をクリックします。
[パート数] の数値の 1 つが 1 つ減ります。
[Discontiguous Districts] ウィンドウを使用して、他の隣接していないパートを特定し、隣接する投票区に追加します。
ヒント:
District 8 のパートのような、2 つの隣接していない大きいパートが見つかった場合、隣接していないすべてのパートを別の投票区に移動しなくても、隣接するようにパートを投票区に追加してみることもできます。
[Discontiguous Districts] テーブルが空白になったところで、ウィンドウを閉じて [Integrity Tests] をもう一度実行します。
再構成を行う中で、適合性違反がさらに生じることもあります。必要であれば、[Details] をクリックして、問題に対処してください。すべての選挙区が隣接していなければ、テストは失敗します。
結果ボックスの中で緑色のチェックマークが 6 つ付くと、このテストが成功したことを意味します。
[District Window] のすべての選挙区をロックします。
すべてのテーブルを閉じて、計画を保存します。

コンパクト性のテスト

コンパクト性とは、政治的境界の再区割りにおいてアナリストが考慮に入れる条件の 1 つです。ほとんどの州では、選挙区をコンパクトに集約することが求められています。とはいえ、多くの州ではコンパクト性の基準が定められていない、あるいは詳細が明確になっていないので、統一的な定義はありません。

しかし、コンパクト性を決定する 30 個もの数式が、学者たちの手で作成されました。 Esri Redistricting では、これらの数式のうち 7 つを使用します。これには、Reock Test (選挙区の面積と円を比較)、Perimeter (周辺の長さを計算し、その結果をマイルで報告)、Polsby-Popper (選挙区の周辺の長さと円を比較) などがあります。テストごとにスコアリングシステムがあります。それぞれの数式にはメリットとデメリットがあります。

Esri Redistricting では、さまざまなコンパクト性スコアを表示するテストを、ボタンを 1 つで実行できます。

リボンの [レビューアー] タブをクリックします。
[Analysis] グループで [Compactness Tests] をクリックします。
[Compactness Tests] テーブルには、各選挙区の測定値が記載されます。 [Check Integrity] テストで分断した地域を除去したので、右側の [Holes] 列の行はすべて 0 になっているはずです。
注意:
投票区の描画方法によっては、値は画像例に示される値と一致しない場合があります。
[Compactness Tests] テーブルに含まれる情報は、各州のコンパクト性の基準によっては貴重な情報となり得ます。境界線を再描画すると、測定値が変わります。
テーブルを閉じます。
プロジェクトを保存します。

[Check Integrity] ツールと [Compactness Tests] ツールを使用して区割り案をテストしました。 [Check Integrity] では、結果テーブルに記載されたエラーを修正しました。 [Compactness Tests] では、マップ案に対して適用された 7 つの数式をテーブルに示しました。これらのチェックは、計画案を通す前に、審査委員会や裁判所への申し立てで考慮する必要がある重要な基準にその計画が準拠し、信頼できるものであることを確認するのに役立ちます。詳細については、「再区画プランの分析とレビュー」をご参照ください。

計画の Web マップとしての公開

これまでは、下院議員選挙区計画を正常にテストしました。次に、他のアナリストが作業内容を確認できるよう、マップを公開します。 ArcGIS 組織内で計画を Web マップとして共有すると、再区画計画を一般公開できるようになるまで内部用に維持しておくことができます。

作業の共有

区画再編成計画が作成されたので、まず同僚に見せて意見を聞いてみましょう。

リボンの [共有] タブをクリックします。
[Community] グループには、マップパッケージを公開するか、KML を公開するか、またはフィーチャレイヤーを公開するかを選択するオプションがあります。マップパッケージを使用すると、ArcMap を介して共有できます。一方で KML を使用すると、ArcMap または ArcGIS Online に公開することができます。このチュートリアルでは、[Publish Feature Layer] を使用します。これは、ユーザーが ArcGIS Online で編集できるようにして、フィーチャサービスとして高い柔軟性を提供します。
[Community] グループの [Publish Feature Layer] をクリックします。
[ArcGIS Online - Feature Service] ウィンドウで [Next] をクリックします。
現時点では、マップを一般公開する準備は整っていません。スタッフによる確認が必要なので内部用にしておきます。一般公開する準備が整ったときも同じワークフローを実行しますが、[すべての人に公開 (パブリック)] チェックボックスをオンにします。
任意のフォルダーに保存して [次へ] をクリックします。
次のウィンドウで、以下のパラメーターを設定します。
- [Use Constraints] ボックスに「Confidential, internal use only until ready for public release.」と入力します。
- [Summary] ボックスに「Staff research into proposed redistricting plans for Maryland.」と入力します。
[公開] をクリックします。
しばらくすると、フィーチャサービスが正常に公開されたことを示すウィンドウが表示されます。
ウィンドウのリンクをクリックします。
注意:
[OK] をクリックした場合、ArcGIS Online アカウントにサインインしてマップを操作する必要があります。
リンクが開き、フィーチャレイヤーの詳細ページが表示されます。
詳細ページで [Map Viewer で開く] をクリックします。
注意:
組織とユーザーの設定によっては、Map Viewer Classic が開いている場合があります。ArcGIS Online には、マップの表示、使用、作成のための 2 つの Map Viewer があります。利用可能で使用する Map Viewer の詳細については、こちらの「FAQ」をご参照ください。

フィーチャレイヤーが ArcGIS Online で開きます。
拡大して、District 3 の任意の場所をクリックします。
ポップアップが表示され、人口統計の割合と総人口数が表示されます。
注意:
この時点では、ArcGIS Online マップは読み取り専用です。この情報をもとに新規マップを作成するには、このマップを自分のマップとして保存してレイヤーを編集できるようにする必要があります。マップの外観とポップアップの構成やマップの作成および共有については、チュートリアル「はじめての ArcGIS Online」を探索することを検討してください。
Web マップを設定することで、同僚スタッフが独自のマップを作成し、組織内で共有できるようになります。また、内部でディスカッションを行ったり、回覧したりできるプレゼンテーションも作成できます。マップの最終版が決定したら、ポータルを使用してマップ案を一般公開して検証を行ってもらうとともに意見を募ります。その後、公選役職者がマップを承認するか、却下するかを投票で決定します。詳細については、「Esri Redistricting を使用した他のユーザーやグループとの共同作業」をご参照ください。

このチュートリアルでは、2010 年の米国国勢調査データに基づいて、再区画マップを作成しました。 2 つの選挙区間の境界も編集しました。作成した計画は 6 つの整合性テストを正常に完了したので、公選役職者に承認される可能性が高くなるとともに、状況によって裁判になった場合でも有利に使えます。最後に、ポータルを介してスタッフにも計画を共有しました。

Esri Redistricting は州や下院議員選挙区の再区割りに使用できますが、そのツールは日頃はあまり注目されないような区割り (ゴミ回収、防災、校区、警察分署など) にも使えます。

GIS ツールを使用した再区画の詳細については、チュートリアル「ArcGIS Insights を使用した議員選挙区再編成の影響解析」をご参照ください。さまざまな再区画計画案の人口統計を探索し、その潜在的な影響を理解することができます。

他のチュートリアルについては、チュートリアルギャラリーをご覧ください。

母集団による選挙区の区割りメリーランド州の郡を、7 つの下院議員選挙区にまとめます。	45 分
選挙区境界の編集と再区割り既存の 2 つの選挙区間の境界を編集します。	30 分
計画のテスト提案された選挙区を調査し、適合性テストを実施します。	30 分
計画の Web マップとしての公開マップを Web フィーチャサービスとして公開し、作業内容を共有します。	15 分

母集団による選挙区の区割り

選挙区境界の編集と再区割り

計画のテスト

計画の Web マップとしての公開

注意:

プランを開く

注意:

注意:

注意:

注意:

選挙区を作成する

注意:

ヒント:

注意:

ヒント:

プランを保存して名前を付ける

ヒント:

注意:

プランの読み込みと準備

選挙区の人口の調整

ヒント:

注意:

ヒント:

注意:

適合性チェック

注意:

ヒント:

コンパクト性のテスト

注意:

作業の共有

注意:

注意:

注意:

政府に関する GeoInquiries

米国の歴史に関する GeoInquiries

Using ArcGIS for Geospatial Intelligence Analysis

要件

Outline

母集団による選挙区の区割り

選挙区境界の編集と再区割り

計画のテスト

計画の Web マップとしての公開

母集団による選挙区の区割り

注意:

プランを開く

注意:

注意:

注意:

注意:

選挙区を作成する

注意:

ヒント:

注意:

ヒント:

プランを保存して名前を付ける

ヒント:

選挙区境界の編集と再区割り

注意:

プランの読み込みと準備

選挙区の人口の調整

ヒント:

注意:

ヒント:

注意:

計画のテスト

適合性チェック

注意:

ヒント:

コンパクト性のテスト

注意:

計画の Web マップとしての公開

作業の共有

注意:

注意:

注意:

使用許諾

フィードバックを送信

このチュートリアルの共有と再利用

詳細​

関連する Esri トレーニング

政府に関する GeoInquiries

米国の歴史に関する GeoInquiries

Using ArcGIS for Geospatial Intelligence Analysis

詳細