施設と競合のジオコーディング
医療機関は通常、新しい市場への拡大を計画するとき、あるいは既存の住民によりよいサービスを提供しようとするときに、複数の要素を比較検討します。 このプロセスには、自組織の医療ネットワークおよび競合に属する既存施設の位置を評価する、コミュニティの移動手段や移動モード (車、徒歩、公共交通機関の利用可否など) に基づいて所定の場所のアクセシビリティを測定する、現在の患者の分布を調べる、などの作業があります。 ただし、個々の患者データを使用する際は注意する必要があります。 法的および倫理的なガイドラインにより、保護対象保健情報 (PHI) および個人識別情報 (PII) について特別な処理が必要です。
施設のマッピング
組織の成長、効率性、関連性、持続可能性について適切な意思決定を行うため、病院の戦略担当者には地理的観点が必要です。 医療ネットワークに対する理解が深まることで、サービスを提供する多様なコミュニティをサポートし、ギャップを埋めてよりよい医療を提供できます。 その洞察を得る最初のステップとして、主要な病院敷地や一次医療診療所のネットワークなど、コミュニティ内のさまざまな医療システム施設をマッピングします。 この基礎データは、次のようないくつかの計算の基礎として使用できます。
- 到達圏の特定
- 人口特性の調査
- サービスと治療結果のギャップの特定
- 競合の近接性
自組織および競合の施設をマッピングします。 このワークフローではクレジットを消費しますが、ツールの実行前に、その操作で使用されるクレジットの数を見積もるオプションがあります。
- Protect_Patient_Data_Zipped_Folder.zip 圧縮プロジェクト フォルダーをダウンロードします。
[Protect_Patient_Data_Zipped_Folder.zip] ファイルがコンピューターにダウンロードされます。 お使いのブラウザーと設定に応じて、[ダウンロード] フォルダー、または [デスクトップ] に保存されます。
- ダウンロードされたファイルをコンピューター上で見つけ、zip ユーティリティーを使用して zip ファイルをフォルダーに解凍します。 出力フォルダーの場所を指定し、[次へ] をクリックします。
これはパスワードによって保護された zip アーカイブです。 パスワード ウィンドウが表示されます。
- [パスワード] に、パスワード「I_Understand_This_Is_Fictitious_Data」を入力し、[OK] をクリックします。
このパスワードを使用することで、このデータが架空であることがわかります。
zip ファイルがコンピューターにフォルダーとして解凍されます。
- Windows ファイル エクスプローラーで [Protect_Patient_Data_Zipped_Folder] を開きます。
このフォルダーには、[ProtectPatientData.ppkx] ファイルが含まれています。
.ppkx ファイルは ArcGIS Pro の [プロジェクト パッケージ] (プロジェクトを共有するための圧縮ファイル) です。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれています。
- [ProtectPatientData.ppkx] をダブルクリックして ArcGIS Pro で開きます。 サイン インを求められたら、ArcGIS アカウントを使用して、サイン インします。
テネシー州ナッシュビルのマップが表示されます。
[patients] ポイント レイヤーは、自組織の施設で治療中の架空患者の位置を示します。 後で、新しい架空患者のファイルをジオコーディングし、このレイヤーに追加します。
注意:
このデータは架空です。 このチュートリアルにおけるワークフローを説明するために作成されています。 データはワークフローを進める上で現実味があり、このような状況で用いるデータと同じように構成されていますが、この種の実際のデータを共有することは法的に制限されているため、データは完全に架空のものです。 このデータを信頼しないでください。 このデータに基づいて結論を導いたり実世界での意思決定を行ったりしないでください。 このデータを AI モデルや ML モデルのトレーニングに使用しないでください。結果が不正確になります。 ジオコーディングについて説明し、作業に適したデータを提供するため、このデータセット内の住所は実際の住所ですが、データとこれらの住所との間に実際の関連はありません。 データセット内のこれらの住所に関連付けられている名前や属性値はすべて架空のものであり、これらの地域に実在する人物や症状とは一切関係ありません。最初のステップは、自組織の医療施設のテーブルのジオコーディングです。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[patients] レイヤーをオフにします。
このレイヤーを調べて、後で新しい患者を追加します。
- [カタログ] ウィンドウが開いていない場合は、リボンの [表示] をクリックし、[ウィンドウ] グループで [カタログ ウィンドウ] をクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー]、[ProtectPatientData]、[commondata]、[userdata] を展開します。
userdata フォルダーは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージでパッケージ化されたファイルが保存される場所です。
このフォルダーには、プロジェクトに追加するデータを含む 3 つのカンマ区切り値 (.csv) ファイルが含まれています。
- [CompetitorLocations.csv] をクリックし、Shift キーを押しながら [new_patients.csv] をクリックします。
3 つの .csv ファイルが選択されます。
- 3 つのファイルを選択した状態で、いずれかをクリックして 3 つすべてをマップ上にドラッグします。
テーブルにはジオメトリがないのでマップには表示されませんが、[コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] グループに追加されます。
これらのテーブルの住所をジオコーディングして、ポイント フィーチャを作成します。 病院や診療所の場所は PHI や PII ではないため、このプロセスでは特別な措置は必要ありません。
- [コンテンツ] ウィンドウで [FacilityLocations.csv] を右クリックし、[テーブルのジオコーディング] をクリックします。
[テーブルのジオコーディング] ウィンドウが表示されます。
- [テーブルのジオコーディング] ウィンドウで、[開始] をクリックします。
- [入力ロケーター] でドロップダウン リストをクリックし、[ArcGIS World Geocoding Service] を選択して、[次へ] をクリックします。
リストに [ArcGIS World Geocoding Service] オプションが表示されない場合は、ArcGIS Online 組織にサイン インする必要があります。
ArcGIS World Geocoding Service は、1,000 件の住所あたり 40 ArcGIS Online クレジットを消費します。 このテーブルには 8 か所の医療施設の住所が格納されているので、ジオコーディングすると 0.32 クレジットが消費されます。
注意:
組織が ArcGIS StreetMap Premium を購入している場合は、オプションとしてそのロケーターも表示されます。 ArcGIS StreetMap Premium では、ストリート データおよびロケーターは組織のファイアウォール内でホストされますが、ArcGIS World Geocoding Service は ArcGIS Online でホストされます。 これらの両ロケーターは、ストリート、その方向、制限速度、番地などを含む参照データを使用して構築されています。 人々の実生活に影響を与えるデータ主導の意思決定を行う場合は、ジオコーディングの結果に対する信頼性が非常に重要です。 詳細については、ArcGIS World Geocoding Service のドキュメント、および ArcGIS StreetMap Premium 製品ページをご参照ください。
- [属性テーブル] ボタンをクリックして、[FacilityLocations.csv] テーブルのフィールドを表示します。
施設のテーブルには、住所の一部を表す複数のフィールドがあります。
ArcGIS World Geocoding Service は、施設の場所を特定するために、[Address]、[City]、[State]、[Zip] フィールドを使用します。
- デフォルト値の [複数のフィールド] をそのまま使用して、[次へ] をクリックします。
ジオコーディング ツールはフィールドを検出し、ロケーターが場所を識別するために使用できるフィールドにマッピングします。
ロケーターが自動的に照合できない異なるフィールド名を持つテーブルの場合は、ドロップダウン リストで正しいフィールドを選択できます。
- [出力] で [参照] ボタンをクリックし、[出力] ウィンドウの [名前] テキスト ボックスに「Facilities」と入力して、[保存] をクリックします。
新しいフィーチャクラスのデフォルトの場所は [protectpatientdata.gdb] です。これは、プロジェクトのデフォルト ジオデータベースです。
- [優先位置情報] で、デフォルト値の [住所位置] をそのまま使用します。
- [出力フィールド] のドロップダウン リストをクリックし、[最小] をクリックして [次へ] をクリックします。
これにより、出力フィーチャクラスに追加されるフィールドの数が減ります。 主な目的はこれらの場所を視覚化することなので、出力の一部として包括的なジオコーディング フィールドが必要になる可能性はほぼありません。
注意:
一致した住所、信頼度スコア、住所タイプ、一致タイプなど、ジオコーディング プロセスに関する情報を含むいくつかの新しいフィールドを引き続き取得しますが、[最小] オプションにより、入力フィールドの重複や、空の可能性がある他のジオコーディング出力フィールドの追加が回避されます。 - [国] で [United States] をオンにして、[次へ] をクリックします。
- [カテゴリで制限] ウィンドウですべてのカテゴリをオフのままにして [完了] をクリックします。
ArcGIS World Geocoding Service は、さまざまなタイプの住所に一致するよう設計されています。 これらのカテゴリをオフのままにすることで、ロケーターが最大限の柔軟性で住所を照合できるようになります。 この後、より限定された住所タイプのセットを指定して照合します。
- [クレジットの推定] リンクをクリックして、プロセスで使用されるクレジット数を確認します。
メッセージが更新され、ジオコーディング プロセスで消費されるクレジット数が表示されます。
8 か所の住所をジオコーディングする場合に推定される必要なクレジットは、0.32 クレジットです。
- [実行] をクリックします。
ジオコーディング プロセスが完了すると、住所を再照合するよう求められます。 メッセージで、一致しない住所がなかったと報告されているため、再照合は不要です。
- [いいえ] をクリックします。
ネットワーク内の 8 つの施設がマップに追加されました。
医療施設の場所をジオコーディングしました。 次に、このプロセスを繰り返して、地域内の競合をジオコーディングして視覚化します。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
競合のマッピング
次のステップでは、地域の主要な競合である Tennessee Star Medical Group の場所のジオコーディングします。 競合施設の場所のテーブルには、自組織の施設のテーブルと同じ列形式で住所が格納されています。 6 か所の住所が格納されています。
- [コンテンツ] ウィンドウで [CompetitorLocations.csv] を右クリックし、[テーブルのジオコーディング] をクリックします。
自組織の施設をジオコーディングする際は、6 つのステップのガイド付きワークフローに沿って行いました。 ここではこのステップをスキップし、直接ツールで作業します。
- [テーブルのジオコーディング] ウィンドウで、[ツールへ移動] をクリックします。
- [入力ロケーター] ドロップダウン リストをクリックし、[ArcGIS World Geocoding Service] をクリックします。
この操作によってクレジットが消費される旨のメッセージがツール上部に表示されます。 ジオコーディングするのは 6 か所だけなので、わずかにクレジットが消費されます。
[CompetitorLocations.csv] テーブルを右クリックしてジオコーディング対象として選択し、[テーブルのジオコーディング] ツールを開いたので、[入力テーブル] ボックスにはすでに [CompetitorLocations.csv] が入力されています。 [ArcGIS World Geocoding Service] を選択するときに、テーブルのフィールドが [ArcGIS World Geocoding Service] が使用するフィールドの一部に自動的にマッピングされました。
- [出力] で [参照] ボタンをクリックし、[名前] ボックスに「Competitors」と入力して [保存] をクリックします。
- [出力フィールド] のドロップダウン リストをクリックし、[最小] をクリックします。
- [国] のドロップダウン リストをクリックし、[United States] をオンにします。
- [クレジットの推定] リンクをクリックして、プロセスで使用されるクレジット数を確認します。
この処理では 0.24 クレジットを消費します。
- [実行] をクリックします。
ツールが完了すると、再照合処理を開始するよう求められます。
- すべての住所が一致したので、[いいえ] をクリックします。
- [テーブルのジオコーディング] ツールを閉じます。
自組織および競合の施設をジオコーディングしました。
医療施設の位置データは PII や PHI ではないため、特別に保護されていないデータに適用できる標準的なジオコーディング方法を使用しました。 これは保護対象の情報ではないので、作成したポイント レイヤーは、デスクトップ、ArcGIS Enterprise 環境、あるいは ArcGIS Online にお好きなように保存することもできます。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
施設のシンボルを変更
自組織および競合の施設の分布状況をマップで調べます。 見やすくするため、ポイントのシンボルを変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Facilities] を右クリックして [シンボル] をクリックします。
- [シンボル] ウィンドウで、[プライマリ シンボル] ドロップダウン リストをクリックして、[個別値] をクリックします。
- [フィールド 1] ドロップダウン リストをクリックし、[FacilityType] をクリックします。
[Facility Type] フィールドには、値として 1 と 2 が含まれています。 コード 1 は病院を示し、コード 2 は一次医療センターを示します。 さまざまなタイプの施設にシンボルを設定します。 - [Facility Type] [1] の行のポイント シンボルをクリックします。
- [検索] バーに「病院 押しピン」と入力して Enter キーを押し、病院の押しピンで最大のシンボルをクリックします。
- [シンボル] ウィンドウで、[戻る] ボタンをクリックします。
- [Facility Type] [2] の行のポイント シンボルをクリックします。
- [検索] バーに「病院」と入力して Enter キーを押し、病院の円で最大のシンボルをクリックします。
自組織のネットワーク内の病院および診療所のシンボルを表示しました。
競合のシンボル設定
次に、競合に対して同じシンボルを使用しますが、異なる色を選択します。 自組織の施設のシンボルを設定する作業はすでに完了しているので、それをインポートして、競合の施設を視覚的に区別できるように色を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Competitors] レイヤーをクリックします。
- [シンボル] ウィンドウで、[オプション] をクリックして [シンボルのインポート] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [シンボル レイヤー] で、ドロップダウン リストをクリックして [Facilities] をクリックし、[実行] をクリックします。
[Facilities] レイヤーのシンボルがインポートされ、[Competitor] レイヤーに適用されます。
- [病院] シンボルを右クリックし、カラー パレットで色を中程度の色調を持つグレーに変更します。
- 同じ方法で、競合する一次医療センターのシンボルの色を変更します。
- [シンボル] ウィンドウを閉じます。
患者、競合の施設、自組織の施設をマップ上にまとめて表示できるようになりました。
マップを探索しながら、追加情報を得るためのラベルを追加することができます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Facilities] を右クリックして [ラベル] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Competitors] を右クリックして [ラベル] をクリックします。
- 自組織の施設が競合に近い場所のいくつかを拡大表示して、名前を確認します。
自組織の一次医療施設と Tennessee Star の一時医療施設は、ナッシュビルの中心地をはさんで位置しています。 それでも、これら 2 つの場所は、サービスを提供する人口がかなり重複している可能性があります。
自組織の医療施設のうち、いくつかの一次医療施設は、競合の施設の近くにもあります。
Tennessee Star Medical Group - North と Nashville Memorial Primary Care - Grizzard は、かなり近接している 2 つの一次医療施設です。
- Tennessee Star Medical Group - Nashville Primary Care South と Nashville Memorial Primary Care - North もかなり近い距離にありますが、24 時間対応の診療所と家庭医療が同じ地域、同じ条件でサービスを提供しそうにありません。 2 つの施設の患者には、人口統計上の違いがあるか、求められている医療のタイプに違いがあると考えられます。
Tennessee Star Medical Group - Nashville Primary Care South-East と Nashville Memorial Primary Care - Antioch は、各医療グループにとってナッシュビル市の中心部から最も離れた 2 つの場所のようです。 ただし、現段階では到達圏がどの程度重複するかは不明です。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
このデータをマップに表示し、簡単な視覚的解析を行うと、有用な情報を大量に収集できます。 また一方で、他の GIS ツールを使用して、データをさらに深く掘り下げ、これらの医療ネットワークがサービスを提供するコミュニティについての理解を深めることができます。 この解析によって、ビジネスの意思決定をサポートする結論を導き出すことができ、ナッシュビル地域により公平な医療を提供するための第一歩となります。
到達圏の特定
医療施設をマッピングしたら、到達圏を計算できます。 到達圏の作成は、ポイントのバッファー処理に似ています。 ポイントをバッファー処理する場合、直線距離を指定すると、その距離を使用して円が作成されます。 ポイントの周囲に到達圏を作成する場合は半径のタイプも指定しますが、バッファーとは異なり、半径は、道路網や歩道網などのネットワークに沿って移動できる最長時間や最大距離を表します。 その結果、指定した時間または距離内でそのポイントに到達できることを示す到達圏ポリゴンが得られます。 この計算で正確な結果を得られるということから、ArcGIS World Geocoding Service や ArcGIS StreetMap Premium と同様に、利用できる最適な参照データを使用していることを確信できます。
施設の到達圏を特定
健康調査によると、移動距離よりも移動時間の方が、医療へのアクセスの指標としてより重要であることがわかっています。
- リボンの [解析] タブをクリックし、[ワークフロー] グループで [ネットワーク解析]、[到達圏] の順にクリックします。
[新しい解析レイヤーを作成しています] というメッセージが表示されます。 処理が完了すると、[到達圏] レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
グループ レイヤーには、解析の入力と出力のサブレイヤーが含まれます。 到達圏フィーチャの色はランダムに割り当てられるため、ご使用のマップはこのチュートリアルで表示されている色と一致しない場合があります。
[施設] サブレイヤーに医療施設を読み込むと、解析の実行時に [ポリゴン] サブレイヤーに結果の運転時間ポリゴンが表示されます。 この解析では、[ライン] サブレイヤーは必要ありません。 3 つの [バリア] サブレイヤーにより、交通網が通行できない場所を指定できます。 この解析では、バリアを追加する必要はありません。
- [コンテンツ] ウィンドウで [到達圏] をクリックします。
このグループ レイヤーをクリックすると、リボンの [到達圏レイヤー] タブが有効になります。このタブには、到達圏解析を実行するためのツールが用意されています。
- リボンの [到達圏レイヤー] タブをクリックします。
- [到達圏レイヤー] タブの [入力データ] グループで、[施設のインポート] をクリックします。
- [ロケーションの追加] ツールで、[入力ロケーション] ドロップダウン リストをクリックして [Facilities] レイヤーをクリックします。
医療施設フィーチャが、ネットワーク解析の [到達圏] レイヤーの [施設] サブレイヤーに読み込まれます。
[入力ネットワーク解析レイヤー] が [到達圏] に設定され、サブ レイヤーが [施設] に設定されています。
- [OK] をクリックして [ロケーションの追加] ツールを実行します。
入力データの [名前] フィールドが [施設] サブレイヤーの [名前] フィールドより長いという警告が表示される場合があります。 これは、テキスト データを含むフィールドを .csv ファイルからインポートする方法が原因です。 フィールドの住所値は、500 文字よりはるかに短いので切り詰められませんでした。
[施設] サブレイヤーに [Facilities] ポイントが追加されました。 ポイントは、黒いアウトラインの色付きの円としてマップ上に描画されます。
- リボンの [到達圏レイヤー] タブの [移動設定] グループで、[モード] が [運転時間] になっていることを確認します。
- [カットオフ] ボックスの値を編集して 15, 30 にします。
この設定で、運転時間が 15 分と 30 分の到達圏が計算されます。
到達圏解析ツールは、入力フィーチャの数と運転時間の数に基づいてクレジットを消費します。 このレイヤーには 8 つの入力フィーチャがあり、15 分と 30 分の運転時間を解析しているので、16 個の到達圏が作成され、到達圏あたり 0.5 クレジットがかかります。 つまり合計 8 クレジットが消費されます。
- [到達圏レイヤー] タブの [解析] セクションで、[実行] をクリックします。
解析処理は数秒間実行されます。 完了すると、[ポリゴン] レイヤーのシンボルが更新されて 15 分と 30 分の運転時間ポリゴンが表示され、マップに到達圏ポリゴンが追加されます。
運転時間が 30 分の到達圏は、ナッシュビルの市境のほぼすべてをカバーしているので、市内中心部で車を所有している住民であれば、Nashville Memorial の場所まで 30 分以内に移動できるでしょう。 運転時間の到達圏は高速道路に沿って広がっており、速度が上がると指定時間内により長い距離をカバーできるようになります。 運転時間が 15 分の到達圏はこれより狭く、ナッシュビルの中心部のほとんどを占めます。 この地域の運転手は、15 分以内に施設に到着できます。
Nashville Memorial の患者人口のうち、車を利用できない人がどのくらいいるかについて考えてみる価値はあります。 運転時間の到達圏の計算と同じ手順を、徒歩時間の到達圏にも適用できます。 適用する場合は、新しい [到達圏] レイヤーを作成して施設を読み込み、[モード] オプションを [徒歩時間] に設定して、到達圏解析を再度実行します。
徒歩時間の到達圏は、市内のはるかに狭い地域です。 患者の人口統計を分析し、患者集団が車を所有していない場所を特定して、そこにサービスを追加提供したり、それらの場所と施設間の往復の交通手段を提供したりできます。
考慮する価値のある追加要因として、ナッシュビルの市内中心部に住む一部の患者は、乗用車を利用できる可能性は低い一方で、公共交通機関の利用は容易である可能性があるということです。 公共交通機関データがある場合は、解析でそのデータを考慮できます。 詳細は、ヘルプのネットワーク解析における交通機関データの活用をご参照ください。
これらの手法を駆使して、Tennessee Star Medical Group の到達圏を解析することもできます。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
施設をマッピングし、運転時間が 15 分と 30 分の到達圏を特定したので、施設と患者の関係性を調べることができます。
患者のジオコーディング
ネットワークから患者の住所をジオコーディングすると、架空の Nashville Memorial の患者の居住地を視覚化できます。 これは、アクセス手段のない場所を特定するための最初のステップです。 これにより、施設の到達圏外に多数の患者が居住しているかどうかがわかります。
ArcGIS World Geocoding Service を使用したジオコーディングには、患者の住所データを組織ネットワークやファイアウォールで保護されたデバイスの外部に送信する必要があるので、個人情報を保護する規制事項を考慮する必要があります。
繰り返しになりますが、次の手順では架空データを使用します。 今後、組織の個人健康情報をジオコーディングする場合は、目的のワークフローでそのようなデータにアクセスして使用する権限があることを確認してください。
新しい患者データ テーブルを 2 つのテーブルに分割します。1 つは PII およびキー値を含み、もう 1 つは住所およびマッチング キー値を含みます。 これにより、ポイントの位置を取得するために必要以上の情報を送信せずに、住所データを ArcGIS World Geocoding Service に渡すことができます。 ジオコーディング プロセスによってポイントが返されると、共有キーを使用して、患者データをそれらのポイントに再度結合することができます。
これは、ArcGIS World Geocoding Service を使用して、データをジオコーディングする最善の方法ですが、それだけでは個人データを保護するには不十分です。 ArcGIS World Geocoding Service は、他のほとんどのジオコーダーとは異なります。これは、ArcGIS Online の医療保険の携行性と責任に関する法律 (HIPAA) として指定され、承認されているからです。つまり、HIPAA ガイドラインに準拠していることが検証されており、サービスに送信されたデータは、これらのガイドラインに従って保護される方法で処理されています。 この特定サービスは、米国でのジオコーディングでのみ利用できます。 詳細については https://trust.arcgis.com/en/privacy/hipaa.htm をご参照ください。
.csv ファイルのインポート
.csv ファイルは読み取り専用です。 これをデータベース内の新しいテーブルにインポートし、一時的なキー値を保持するフィールドを追加します。
- リボンの [解析] タブをクリックし、[ジオプロセシング] セクションで [ツール] をクリックします。
- [検索] ボックスに「table to geodatabase」と入力します。
検索により [テーブル → ジオデータベース] ジオプロセシング ツールが返されます。
- [テーブル → ジオデータベース] ツールをクリックします。
- [テーブル → ジオデータベース] ツールで、[入力テーブル] ドロップダウン リストから [new_patients.csv] を選択します。
- [出力ジオデータベース] で、[参照] ボタンをクリックします。
- [出力ジオデータベース] ウィンドウで、[プロジェクト] を展開し、[データベース] を展開した後、[protectpatientdata.gdb] をクリックして [OK] をクリックします。
- [実行] をクリックします。
- [カタログ] タブをクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで [データベース] を展開し、[protectpatientdata.gdb] を展開します。
- [new_patients_csv] を右クリックして [名前の変更] をクリックします。
- テーブル名末尾の _csv を削除し、テーブル名を new_patients にして、Enter を押します。
- [new_patients] テーブルをクリックして、マップにドラッグします。
[new_patients] テーブルが [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] セクションに追加されます。
.csv ファイルは、プロジェクトで不要になったので削除できます。 追加した [new_patients] テーブルはプロジェクトに保持します。
- Shift キーを押しながら、3 つの .csv ファイルをそれぞれクリックして選択し、それらのいずれかを右クリックし、[削除] をクリックします。
- [new_patients] を右クリックし、[開く] をクリックします。
テーブルには、住所情報だけでなく、PII と見られる患者情報も含まれています。
この情報を保護するには、住所から個人情報を分割します。 住所テーブルを PII テーブルに再結合するために使用する一時キー値を格納するフィールドを作成する必要があります。
既存の PatientID フィールドを使用することも考えられますが、これにより個人が特定され、医療システムの別の部分にある他の患者レコードに紐づけられる可能性があるので、今回の目的のために任意の一時的な値を割り当てる方が適当です。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
一時キー値のフィールドを追加
次に、一時キー値を格納する新しいフィールドをテーブルに追加します。
- テーブル上部の [フィールド] 行で [追加] をクリックします。
[フィールド: new_patients] 設計ウィンドウが開きます。
- フィールド リストの一番下の新しい行の [フィールド名] ボックスに「TempKey」と入力します。
[データ タイプ] は、デフォルト値の [Long] をそのまま使用できます。
- リボンの [スタンドアロン テーブル] タブの [変更] セクションで、[保存] をクリックします。
- [フィールド: new_patients] タブを閉じます。
一時キー値の計算
TempKey フィールドを追加したので、このフィールドの新しい値を計算します。 算出された値は、住所のジオコーディング後に、患者データを住所ポイントに再結合する際のキーになります。
- [new_patients] テーブルを、[TempKey] フィールドが表示されるまで右にスクロールします。
- [TempKey] フィールドの列ヘッダーを右クリックして、[フィールド演算] をクリックします。
- [フィールド演算] ツールで [ヘルパー] セクションを下にスクロールし、[連番] を表示します。
- [連番] をダブルクリックします。
これにより、[SequentialNumber()] が、[TempKey =] フィールド ボックスに追加されます。 この行は、[コード ブロック] ボックスのヘルパー関数コードを実行します。
[SequentialNumber()] 関数を定義する Python コードが、[コード ブロック] ボックスに追加されます。
[コード ブロック] ボックスに、Python コードが追加されます。このコードにより、開始値である [pStart] と間隔である [pInterval] を指定できます。 [フィールド演算] ツールを実行すると、[new_patients] テーブルの [TempKey] フィールドの各行に、[pStart] 値から始まり、[pInterval] 値ずつ増加する連続した値が割り当てられます。
- [pStart] の値を編集して「539」にします。
539 はランダムに選択されたオフセット値なので、[TempKey] フィールド値は、[OBJECTID] フィールド値と一致しません。
Long Integer データ タイプに適合する別の整数値を選択することもできますが、この場合は 539 が適切に機能します。
- [pInterval] の値を編集して「3」にします。
これにより、値は行ごとに 3 ずつ増加します。
- [確認] ボタンをクリックして、Python コードが編集後も正しいことを検証します。
[式が有効です] というメッセージが表示されます。 このメッセージが表示されない場合は、[消去] ボタンをクリックし、[SequentialNumber()] 関数を再度追加して、開始値と増分値をもう一度更新します。
- [OK] をクリックして、[フィールド演算] ツールを実行します。
TempKey フィールド値が更新されます。 新しい値は 539 から始まり、行ごとに 3 ずつ増加します。
これらの値は、患者レコードに直接リレートしませんが、住所テーブルをジオコーディングした後、患者の PII をポイントに結合し直すことができます。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
個人情報を含まないジオコーディング用テーブルの作成
次に、住所フィールドと [TempKey] フィールドのみを含むジオコーディング用テーブルを作成します。
- [カタログ] ウィンドウの [protectpatientdata.gdb] で、[new_patients] を右クリックして [コピー] をクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで [protectpatientdata.gdb] を右クリックし、[貼り付け] をクリックします。
テーブルのコピーが [new_patients_1] という名前でジオデータベースに追加されます。
- [new_patients_1] を右クリックして [名前の変更] をクリックします。
- テーブル名に「patients_no_identifiers」と入力します。
この出力名は、このチュートリアルのプロセスをわかりやすく表した名前です。 実際の状況では、ファイルやテーブルの名前に「patient (患者)」という単語は使用しないことをお勧めします。
- [patients_no_identifiers] テーブルをクリックして、マップにドラッグします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] セクションで、[patients_no_identifiers] を右クリックし、[開く] をクリックします。
[patients_no_identifiers] テーブルは、new_patients テーブルのコピーです。 次に、そこから PII フィールドを削除します。
- [Name] 列のヘッダーをクリックします。
Name 列が選択されます。
- Shift キーを押したまま、[PatientID] 列のヘッダーをクリックします。
これで、[Name] および [PatientID] 列と、それらの間の列が選択されます。
- 選択した列のいずれかのヘッダーを右クリックして [削除] をクリックし、[はい] をクリックしてそれらのフィールドの削除を確定します。
これで、[Name]、[Sex]、[RaceSelected]、[Hispanic_Latino]、[Lang_Pref_Home]、[PatientID] フィールドが削除されます。
列がテーブルから削除され、ジオコーディングに必要な列と、元のテーブルをジオコーディングされた結果に結合するために使用する TempKey 列のみが残ります。
テーブルのジオコーディング
他の個人識別子や健康識別子を含まない患者の住所データが得られたので、テーブルをジオコーディングして、患者の位置をマップ上に表示します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[patients_no_identifiers] を右クリックし、[テーブルのジオコーディング] をクリックします。
- [テーブルのジオコーディング] ウィンドウで、[ツールへ移動] をクリックします。
- [入力ロケーター] でドロップダウン リストをクリックし、[ArcGIS World Geocoding Service] を選択します。
- テーブルの入力フィールドが、ArcGIS World Geocoding Service フィールドに正しくマッピングされていることを確認します。
- [出力] で、[参照] ボタンをクリックして「new_patient_locations」と入力します。
- [出力フィールド] のドロップダウン リストをクリックし、[最小] をクリックします。
- [国] のドロップダウン リストをクリックし、[United States] をオンにします。
- [カテゴリ] のドロップダウン リストをクリックし、[住所] を展開します。
- [サブアドレス]、[ポイント アドレス]、[ストリート住所] をオンにします。
実際の患者の住所のみをマッピングする必要があるので、交差点や距離マーカーなどは除外する必要があります。
すべてのカテゴリをオンのままにすると、患者の自宅である可能性が高い、実際の住所以外の交差点や目標物にマッピングされた結果を得る可能性があります。 これらのレコードが他のカテゴリに一致しておらず、不一致のままであれば、適切な住所一致がない結果に焦点を当てることが容易になります。
- [クレジットの推定] リンクをクリックします。
新しい患者の住所テーブルのジオコーディングでは、3.88 クレジットが使用されます。
- [実行] をクリックします。
ジオコーディング プロセスでは、新しいレコードのうち 96 件は一致しましたが、1 件が一致しませんでした。
レコードは、さまざまな理由で一致しない可能性があります。 ArcGIS World Geocoding Service でジオコーディングした場合、ほとんどの住所は通常、郵便番号ポリゴンの重心のような精度の低い住所タイプにすることで、近似一致を検出します。 一致タイプで [サブアドレス]、[ポイント アドレス]、[ストリート住所] のみを有効と指定した場合、情報が欠落し、これらの場所のカテゴリに一致しない行は一致しません。
- [はい] をクリックします。
再照合ダイアログ ボックスが開き、不一致レコードが表示されます。
データ入力またはテーブル管理エラーが発生しているようです。 ストリート住所が分割されているようです。ストリート名の一部が [City] フィールドに入力され、[City] の値が [Subregion] フィールドに入力されています。
実際の状況では、患者または [new_patients.csv] ファイルのソースに連絡して正しい住所を入手し、システム内の別の場所で修正しますが、このチュートリアルの目的上、ここでエラーを修正して続行します。
- [Address] フィールドを、完全な住所である「840 Old Lebanon Dirt Rd」になるよう編集します。
- [City] フィールドの値を「Hermitage」になるよう編集します。
- [Subregion] フィールドの値を「Davidson County」になるよう編集します。
フィールドを編集して正しい値にしたので、住所を再照合できます。
- [適用] をクリックします。
住所は、信頼性の高い値であるスコア 100 のポイント位置と一致します。
- [一致] をクリックします。
- [編集の保存] をクリックします。
- [住所の再照合] ウィンドウを閉じます。
住所の再照合についての詳細は、ドキュメントをご参照ください。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
患者情報とポイントの結合
新しい患者レコードをすべてジオコーディングしたので、名前、人種、性別などの保護されたデータを再結合できるようになりました。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで「join field」を検索して、[フィールドの結合] ツールをクリックします。
- [入力テーブル] でドロップダウン リストをクリックし、[new_patient_locations] レイヤーを選択します。
- [入力フィールド] でドロップダウン リストをクリックし、[TempKey] をクリックします。
- [結合テーブル] でドロップダウン リストをクリックし、[new_patients] をクリックします。
- [結合フィールド] でドロップダウン リストをクリックし、[TempKey] をクリックします。
- [転送方法] は、デフォルト値の [転送フィールドの選択] をそのまま使用します。
- [転送フィールド] ドロップダウン リストをクリックし、[Name] をクリックします。
- [Name] の下に、別のドロップダウン リストが表示されます。
- 同じ方法で、[転送フィールド] に [Sex]、[RaceSelected]、[Hispanic_Latino]、[Lang_Pref_Home]、[PatientID] を追加します。
- [実行] をクリックします。
PII フィールドが、ジオコーディングされた患者に結合されます。
プライバシー ガイドラインに準拠するため、出力データを ArcGIS Enterprise に保存するのではなく、ローカル コンピューターまたは ArcGIS Online 環境のセキュリティ保護されたサーバーに保存する必要があります。 PII を含む健康データの ArcGIS Online への保存は、ArcGIS World Geocoding Service を使用したジオコーディングを許可するルールと同じ HIPAA によって承認されていません。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
新しい患者の追加
[new_patient_locations] フィーチャクラスが、メインの [patients] フィーチャクラスに追加できるようになりました。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで「アペンド」を検索して、[アペンド] ツールをクリックします。
- [アペンド] ツールで、[入力データセット] のドロップダウン リストをクリックして、[new_patient_locations] をクリックします。
[アペンド] ツールは、データ レイヤーを 1 つ以上取得し、それらを別のレイヤーにコピーします。
- [アペンド] ツールで、[ターゲット データセット] のドロップダウン リストをクリックし、[patients] をクリックします。
- [フィールド マッチング タイプ] ドロップダウン リストをクリックし、[フィールド マップを使用してフィールドの違いをリコンサイル] をクリックします。
これにより、スキーマが正確に一致していないにもかかわらず、[new_patient_locations] を [patients] に追加できます。 [TempKey] フィールドは、[patients] レイヤーには存在しません。 デフォルト オプションを使用した場合は、両方のレイヤーにまったく同じフィールドが必要です。
フィールドは、正確には一致しないので、[patients] の既存フィールドにマッピングしないことで、[TempKey] の値を削除できます。 これらの値は、PII をポイントに再結合する際にのみ役立つため、保持する必要はありません。
フィールド マップには、[出力フィールド] セクションと [ソース] セクションがあります。 [patients] レイヤーの各フィールドが、[出力フィールド] に一覧表示されます。 表示されたフィールドをクリックして、そのフィールドが、[ソース] レイヤーのどのフィールドにマッピングされるかを確認できます。
両方のテーブルのフィールド名が基本的に同じであると便利です。
フィールド マッピングを使用すると、あるフィールドから別の名前のフィールドにデータを転送できます。 たとえば、[patients] レイヤーに [Region] の代わりに [State] という名前のフィールドがある場合は、そのフィールドをクリックすると、[new_patient_locations] レイヤーの [Region] フィールドのデータを追加するよう指定できます。
- [実行] をクリックします。
新しく 97 名の患者が、[patients] レイヤーに追加されました。 これで、そのレイヤーを解析で使用して、サービスが不十分な可能性のある集団から患者集団を特定できるようになりました。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[patients] レイヤーをオンにして、患者の分布を表示します。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
PII を保護し、HIPAA ルールに準拠した方法で、[new_patients] テーブルをジオコーディングしました。 この新しいデータで、メインの患者レイヤーを更新したので、安全に保存されたこのローカル データを解析に使用できるようになりました。
サービス拡充を計画する場所の特定
ナッシュビルでは、人口の 17% が家庭で英語を話していません。 このグループでは、家庭で話されている最も一般的な言語はスペイン語です。 このグループのほぼ半数はスペイン語しか話せません。 情報や治療が使い慣れた言語で提供されないと、患者は、治療に対する満足度の低下、予防治療へのアクセスの減少、健康転帰の悪化を経験する可能性があります。
自組織の医療システムでは、スペイン語話者の患者へのより質の高いサービスの提供を検討しており、到達圏で計測して、患者が特定の診療所の近くに空間的に集中しているかどうかや、診療所にアクセスしにくい地域に患者が集中しているかどうかを確認したいと考えています。 到達圏内における患者の優先する言語とニーズを理解することは、医療システムによる適切な翻訳および通訳サービスの確実な提供に役立ちます。 すべての患者にとって、自分の健康について情報に基づいた意思決定を行うために、完全に理解可能な情報とサービスが提供されることが重要です。
運転時間が 15 分の到達圏外の患者を特定
到達圏に関して導き出した情報と患者データを組み合わせて、運転時間が 15 分の到達圏内に居住していない患者を検索できるようになりました。
- [コンテンツ] ウィンドウで [到達圏] グループ レイヤーをオンにして表示します。
- [到達圏] グループ レイヤーで、[ポリゴン] を右クリックして [属性テーブル] をクリックします。
- [ポリゴン] 属性テーブルで、[FromBreak] の列ヘッダーを右クリックして [降順で並べ替え] をクリックします。
- テーブルを下にスクロールし、[FromBreak] フィールドで値が 0 の最初の行の行ヘッダーをクリックします。
- Shift キーを押しながら、[FromBreak] フィールドで値が 0 の最後の行の行ヘッダーをクリックします。
これで、運転時間が 0 ~ 15 分の到達圏のポリゴンがすべて選択されました。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[ポリゴン] を右クリックして [レイヤーにズーム] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [検索] ボックスに「空間検索」と入力します。
- [空間検索] ツールをクリックします。
- [入力フィーチャ] で [patients] をクリックします。
- [選択フィーチャ] で [到達圏\ポリゴン] をクリックします。
[選択フィーチャ] 入力ボックスの下に、[到達圏\ポリゴン] フィーチャクラスに選択が含まれ、その 8 つのレコードが処理されることを示す通知が表示されます。 以前に同様のメッセージが表示されたときは、すべてのフィーチャが処理されるように選択を解除する必要がありました。 この場合は、運転時間が 0 ~ 15 分の到達圏ポリゴンを意図的に選択し、使用することで、選択を作成しています。 選択を解除する必要はありません。
- [実行] をクリックします。
運転時間が 0 ~ 15 分の到達圏ポリゴン内の患者が選択されます。 これは、必要な情報を得るための 1 ステップであり、それはこのセットを反転したものです。 つまり、この範囲外のすべての患者が必要です。
- [patients] テーブルを開きます。
合計で 5,429 人から 4,687 人の患者が選択されました。
- [切り替え] をクリックします。
これにより選択が切り替わります。 今度は、5,429 人のうち 742 人の患者が選択されました。 これらの患者は、運転時間が 0 ~ 15 分の到達圏外にいる患者です。 これらの患者は、施設に近い患者に比べてサービスの利用が難しい可能性があります。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
これらの患者のスペイン語話者サブセットを特定
運転時間が 15 分の到達圏外にいる患者を選択したので、このグループ内でスペイン語話者の患者を選択します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [検索] ボックスに「属性検索」と入力します。
- [属性検索] ツールを開きます。
- [入力行] で [patients] レイヤーを選択します。
ツールは選択されていることを示します。 ツールを実行すると、選択されたレコードのみが処理されます。
- [選択するタイプ] で [現在の選択からサブセットを選択] を選択します。
- [式] セクションの [Where] 入力ボックスで、[フィールドの選択] をクリックして [Lang_Pref_Home] をクリックします。
[Lang_Pref_Home] フィールドには、患者の家庭で優先的に話されている言語が含まれています。
- デフォルトの比較演算子である [と等しい] をそのまま使用します。
- 値ドロップダウン リストで [Spanish] を選択します。
- [実行] をクリックします。
ツールは、運転時間が 0 ~ 15 分の到達圏外にいる、すでに選択されている患者の中から、[Lang_Pref_Home] フィールドの値が [Spanish] である患者を選択します。
- 選択したフィーチャを確認できるよう、[ポリゴン] レイヤーをオフにします。
町の南西側と北東側に集団が存在しているようです。
選択したフィーチャのエクスポート
この特定の選択基準セットを満たす一連の患者を特定しました。 これらのポイントを独自のフィーチャクラスに保存すると、すべての選択手順を実行しなくても、ポイントを操作できます。 サービス拡充計画プロジェクトでは、対象となる集団が複数ある場合があるので、複数の患者ポイントのセットを生成できます。 たとえば、データに情報を付加し、乗用車保有率が低い地域の患者を特定して徒歩時間の到達圏解析を行い、利便性の高い徒歩圏の外側にいる患者集団を選択できます。
- [コンテンツ] ウィンドウの [patients] レイヤーを右クリックし、[データ] にポインターを合わせて [フィーチャのエクスポート] をクリックします。
[入力フィーチャ] パラメーターはすでに patients レイヤーに設定されています。 ツールは、選択があってそれらが処理されることを通知します。 これは目的とする処理なので、続行してください。
- [フィーチャのエクスポート] ウィンドウの [出力フィーチャクラス] に「patients_underserved_1」と入力します。
デフォルトの出力場所のプロジェクトのジオデータベースである [protectpatientdata.gdb] をそのまま使用します。 これは patients レイヤーのサブセットなので、PII を含んでおり、ローカル コンピューターまたはファイアウォールの内側の ArcGIS Enterprise サーバーに安全に格納される必要があります。
- [OK] をクリックします。
ツールが実行され、[patients_underserved_1] レイヤーがマップに追加されます。
- [patients_underserved_1] レイヤーを確認できるよう、[patients] レイヤーをオフにします。
サービスが不十分な可能性のある患者として特定した 2 つの大規模な集団を見ると、北東の集団が競合施設である Tennessee Star Medical Group - Primary Care Hermitage に近いことに気づきます。 この事実を考慮すると、この集団は自組織のネットワーク内ではサービスを受けていませんが、一見したほどサービスが不十分なわけではない可能性があります。 運転時間の到達圏解析を行えば、この集団内の多くの患者が競合の診療所から車で 15 分以内に居住していることがわかるでしょう。
対照的に、南西にあるもう 1 つの集団は、自組織と競合のいずれのネットワーク内の医療施設にも近接していません。
最終的には北東の集団と競合の近くに拠点を構築する価値があると考えられますが、南西の集団の近くに新たにサービス提供施設を構築することが、コミュニティに最大の利益をもたらすでしょう。
さまざまな基準に合致する、サービスが不十分な他の患者集団を特定して解析を続行し、それらの結果を組み合わせて拡充を計画することもできます。
- [プロジェクトの保存] をクリックして、プロジェクトを保存します。
このチュートリアルでは、医療システムの戦略計画の観点から、医療情報のジオコーディングと到達圏解析について学習しました。 患者データをジオコーディングする際は、患者のプライバシーに関する規制とガイドラインを考慮することが重要です。 架空のデータを使用して、公な医療データには標準のジオコーディング プロセスを適用し、保護された医療データには HIPAA に準拠したジオコーディング プロセスを適用する方法を学びました。 架空のデータを使用して、患者の住所テーブルから識別フィールドを除いて処理後に再結合して、住所情報のみをジオコーディングに使用する方法を学びました。 ArcGIS World Geocoding Service が HIPAA ガイドラインに準拠しながら、それらのフィールドを除外する最適な方法であることがわかりました。 米国内で ArcGIS World Geocoding Service を使用した場合、患者データは保護されます。 また、患者データを保存またはホストする際に注意が必要であることも学びました。
このチュートリアルの目的は、学習者が機微なデータのジオコーディングに関する自信と理解を深めることです。 データ セキュリティ、特に医療データ セキュリティのトピックは多岐にわたり、このチュートリアルだけでは潜在的な脅威をすべて網羅するには不十分であることもご理解ください。
さらにこのトピックに関する知識をつけるためには、特に地理情報に関する場合、「可視化と共有のための医療データの匿名化」というタイトルのチュートリアルを完了することをお勧めします。このチュートリアルでは、機微な情報をさらに保護するためのさまざまなマスキングおよびデータ集約の手法について説明しています。 いつもどおり、個人を特定できる情報と保護された医療情報に関連する独自の組織ポリシーおよび手順を認識し、それに従う必要があります。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。