データの情報付加
分析はデータを必要としますので、Gwinnett 郡の国勢調査地区を含むレイヤーを作成します。 その後、適合性解析において使用する重要な社会経済的脆弱性指標を用いて、地区の情報を加えます。
プロジェクトの作成
最初に、ArcGIS Pro でプロジェクトを作成します。 また、チュートリアルを完了するのに必要な ArcGIS Business Analyst ライセンスがあることも確認します。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [新しいプロジェクト] の下の [マップ] をクリックします。
- [新しいプロジェクト] ウィンドウで、[名前] に「Socioeconomic_vulnerability_in_Gwinnett_County」と入力します。 [場所] は変更せず、[このプロジェクトのフォルダーを作成] がオンになっていることを確認します。
- [OK] をクリックします。
デフォルト マップでプロジェクトが作成されます。 今のところ、唯一のレイヤーは、地理的コンテキストを提供する [地形] ベースマップです。
- リボンの [プロジェクト] タブをクリックします。
- [ライセンス] をクリックします。
- [ArcGIS Pro エクステンション] で、このチュートリアルを完了するために必要な ArcGIS Business Analyst ライセンスがあることを確認します。
注意:
ArcGIS Business Analyst ライセンスとその取得方法については、 ArcGIS Business Analyst 製品ページをご参照ください。
- 戻るボタンをクリックします。
プロジェクトに戻ります。
国勢調査地区の境界を追加する
次に、ArcGIS Business Analyst エクステンションと共に利用可能なジオプロセシング ツールを使用して、Gwinnett 郡における国勢調査地区の境界のレイヤーを作成します。
注意:
このチュートリアルにおけるワークフローは、米国の任意の郡または郡に相当するものに対して実行することができます。 必要に応じて、Gwinnett 郡の代わりに自分が関心のある郡を使用することができますが、結果は例示的な画像とは異なります。 Gwinnett 郡のワークフローを完了させてから、別の郡で試みることをお勧めします。
続行する前に、Esri からの米国の最新データを使用していることを確認します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。
- [ワークフロー] グループで、[ビジネス解析] をクリックします。
- メニューの一番下で、[Business Analyst データ ソース] が [アメリカ (Esri 2024)] に設定されていることを確認します。
注意:
データ ソースが [アメリカ (Esri 2024)] に設定されていない場合、[データ ソースの変更] をクリックします。 [Business Analyst データ ソース] ウィンドウの [ポータル] で、[北アメリカ] をクリックします。 [アメリカ] を展開し、[Esri 2024] をクリックします。 [OK] をクリックします。
次に、国勢調査地区の境界を作成します。
- [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索バーに、「Generate Standard Geography Trade Areas」と入力します。 結果のリストで、[標準区画商圏の生成 (Generate Standard Geography Trade Areas)] をクリックします。
このツールは、アクティブ ArcGIS Business Analyst データ ソースに基づいて指定するレベルで基本的な区画境界を有するレイヤーを作成します。
- [区画レベル] で、[Census Tracts (US.Tracts)] を選択します。
- [出力フィーチャクラス] に 「Gwinnett_County_tracts」と入力します。
次に、出力レイヤーに含めたい国勢調査地区を選択します。 米国の任意の郡から国勢調査地区を検索し、選択することができます。
- [区画 ID リスト] の [参照] ボタンをクリックします。
- [区画の選択: US.Tracts] ウィンドウで、[US by Tracts] をクリックします。
すべての州のリストが表示されます。 Gwinnett 郡はジョージア州にあります。
- [Georgia] をクリックします。
- ジョージア州各郡のリストで下にスクロールし、[Gwinnett County] をクリックします。
ヒント:
検索バーを使用して、郡を検索することもできます。
郡のすべての国勢調査地区のリストが表示されます。 各国勢調査地区は数字で指定されます。 郡のすべての地区を選択します。
- [Gwinnett County] のチェックボックスをオンにします。
アイコンによって、220 の国勢調査地区が選択されていることが示されています。 この数は、Gwinnett 郡における地区の総数を表しています。
注意:
[標準区画商圏の生成 (Generate Standard Geography Trade Areas)] ツールは、最大 1,000 レコードしか処理することができません。 1,000 を超える国勢調査地区を有する郡については、代わりに、[Counties (US.Counties)] に設定された [区画レベル] および対象の郡に設定された [区画 ID リスト] を用いてツールを実行することをお勧めします。 これにより、郡境界のレイヤーが作成されます。 次に、[重複する区画ポリゴンの生成 (Generate Geographies From Overlay)] ツールを実行して、郡境界内に国勢調査地区を作成します。 このツールに関する詳細については、「標準区画、距離、または時間ベースの商圏の生成」のドキュメント ページをご参照ください。
- [OK] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 Gwinnett 郡の国勢調査地区のレイヤーが作成され、マップに追加されます。
注意:
デフォルトのシンボルはこの画像例とは異なる場合があります。
ベースマップを最小限のデザインのものに変更し、分析結果をマップの焦点として強調します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックします。
- [キャンバス (ライト グレー)] ベースマップを選択します。
ベースマップが変更されます。
- [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。
ヒント:
Ctrl + S キーを押してプロジェクトを保存することもできます。
社会経済的指標の追加
分析範囲の国勢調査地区データがあるので、それに、収入、住宅、雇用、健康保険などを含む社会経済的脆弱性を評価するための重要な指標の情報を加えます。 地理的位置に基づいてフィーチャに人口統計データを追加する、[レイヤーへの情報付加 (Enrich Layer)] ツールを使用します。
注意:
実際のシナリオでは、社会経済的脆弱性を判断するのにどのような指標を使用するかを決定する前に、影響を受けるエリアの住民を含む幅広い利害関係者と協力し、分析の目的と回答しようとする質問を定義することが重要です。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。
- 検索バーに 「Enrich Layer」と入力します。 結果のリストで [レイヤーへの情報付加 (Business Analyst ツール)] を選択します。
- [入力フィーチャ] で [Gwinnett_County_tracts] を選択します。 [出力フィーチャクラス] に「Gwinnett_County_enriched」と入力します。
- [変数] の横にある追加ボタンをクリックします。
[データ ブラウザー] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウは、選択されたデータ ソースに利用可能なすべてのデータ変数を分類して表示します。 社会経済的脆弱性の以下の要素をとらえる変数を検索して追加します。
- 収入と雇用状態
- 貧困と政府援助
- 住宅価格と負担
- 医療アクセス
- 教育とデジタル アクセス
- 身体障害とアクセシビリティ
注意:
各変数、それらのディメンション、およびそれらを分析に含める理由のリストは、チュートリアルの最後の「変数の論理的根拠」セクションに示します。
- [データ ブラウザー] ウィンドウの検索バーに「Household Income」と入力し、Enter キーを押します。
- 結果のリストで、[2024 Median Household Income] のチェックボックスをオンにします。
この変数には、メトリクスとして知られる 2 つのオプション、[#] と [インデックス] があります。 これらのメトリクスは、収入が生の数値として測定されるのか、またはそれを国内平均と比較する指数として測定されるのかを決定します。 いずれかまたは両方のメトリクスを含めることを選択することができますが、このチュートリアルの場合、デフォルトで選択される数値メトリクスを追加するだけです。
[詳細パネルの表示/非表示] のアイコンは、1 つの変数を選択したことを示します。
- 検索バーに「Food Stamps」と入力し、Enter キーを押します。
- 結果のリストで、[2022 HHs w/Food Stamps/SNAP (ACS 5-Yr)] チェックボックスをオンにします。 パーセント メトリクス ([%]) を選択し、カウント メトリクス ([#]) を選択解除します。
ここで、フード スタンプを利用している世帯 ([HHs]) のデータは、生の数値ではなく、世帯の総数に占める割合として表示されます。
- 検索バーを使用して、以下の変数を検索して追加します。メトリクスとして、変数の横に示したものを指定します。
変数 メトリクス 2024 Median Home Value
#
2024 Owner Occupied HUs
%
2022 HHs/Gross Rent 50+% of Income (ACS 5-Yr)
%
2022 HHs: Inc Below Poverty Level (ACS 5-Yr)
%
2024 Pop Age 25+: Bachelor's Degree
%
2024 Unemployed Population 16+
%
2022 HHs w/1+ Persons w/Disability (ACS 5-Yr)
%
2022 Pop 35-64: No Health Insurance (ACS 5-Yr)
%
2022 Pop 65+: No Health Insur (ACS 5-Yr)
%
2022 HHs w/No Internet Access (ACS 5-Yr)
%
これで合計 12 個の変数を選択しました。
- [OK] をクリックします。
変数が、[レイヤーへの情報付加] ツール ウィンドウに追加されます。 後で異なる郡を分析するために再び使用したい場合に備えて、この変数のリストを保存しておきます。
- [リストの保存] をクリックします。
- [変数リストの保存] ウィンドウの [名前] で、「Socioeconomic and Demographic Variables」と入力します。 [OK] をクリックします。
後で [データ ブラウザー] ウィンドウを開き、[変数リスト] タブをクリックすることによって、この変数リストにアクセスすることができます。
このツールを実行する前に、使用するクレジットを推定します。 このツールで消費されるクレジットの数は、変数の数と区画エリアの大きさによって異なります。 小さな分析範囲を使用しているので、クレジットの数は比較的少なくなるはずです。 多くの国勢調査地区を有する大きな郡でツールを実行する場合、クレジットの数は非常に多くなる可能性があります。 クレジットを消費するツールを実行する前に、クレジットの使用数をチェックすることをお勧めします。
- [レイヤーへの情報付加] ツール ウィンドウの上部で、[クレジットの推定] リンクをクリックします。
このツールは 26.4 クレジットを消費します。 アカウントのクレジット数が比較のために表示されます。
注意:
このステップを完了するのに十分なクレジットがない場合やクレジットを使いたくない場合、提供された情報付加済みのレイヤーを使用してチュートリアルを継続することができます。 このレイヤーを追加するには、リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[データの追加] をクリックします。 「Gwinnett_County_enriched owner:Learn_ArcGIS」を検索します。 結果のリストで [Gwinnett_County_enriched] レイヤーを選択します。 次に、ツールを実行せずに [ジオプロセシング] ウィンドウを閉じます。
- [実行] をクリックします。
[Gwinnett_County_enriched] レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加され、マップ上に表示されます。 レイヤーの見た目は元のレイヤーと変わりませんが、属性テーブルに新しい情報が追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Gwinnett_County_enriched] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。 テーブルで右にスクロールします。
選択した変数が属性フィールドとして追加されました。 各変数は、テーブルの列で表示されます。
- テーブルを閉じます。 プロジェクトを保存します。
変数間の相関を評価
分析のために追加された変数を使用する前に、それらの間の相関を調査します。 強く相関した変数は、不釣り合いな影響を与えて結果を歪める可能性があります。 2 つの変数が相関している場合、どちらか 1 つを削除する必要があるかもしれません。
相関を確認するために、データのパターンと関係を表示する散布図マトリックスを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Gwinnett_County_enriched] レイヤーが選択されていることを確認します。
- リボンの [データ] タブをクリックします。 [視覚化] グループで [チャートの作成] をクリックし、[散布図マトリックス] を選択します。
空のチャートと [チャート プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [チャート プロパティ] ウィンドウで、[数値フィールド] の下の [選択] をクリックします。
- [選択] メニュー上で、以下のフィールドのチェックボックスをオンにします:
- 2024 Median Household Income
- 2022 HHs w/Food Stamps/SNAP (ACS 5-Yr): Percent
- 2024 Median Home Value
- 2024 Owner Occupied HUs: Percent
- 2022 HHs/Gross Rent 50+% of Income (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 HHs: Inc Below Poverty Level (ACS 5-Yr): Percent
- 2024 Pop Age 25+: Bachelor's Degree: Percent
- 2024 Unemployed Population 16+: Percent
- 2022 HHs w/1+ Persons w/Disability (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 Pop 35-64: No Health Insurance (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 Pop 65+: No Health Insur (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 HHs w/No Internet Access (ACS 5-Yr): Percent
- [適用] をクリックします。
チャートが更新され、選択されたフィールドの散布図マトリックスが表示されます。 チャートを設定して、変数間の相関の程度を評価する統計的方法である、Pearson の相関係数を使用します。
- [トレンド] で、[トレンド ラインの表示] を選択します。
- [マトリックス レイアウト] の下で、以下のパラメーターを設定します。
- [左下] で、[Pearson の相関係数] を選択します。
- [右上] で、[散布図] を選択します。
- [並べ替え] で [Pearson の相関係数] を選択します。
チャートが更新されます。
注意:
変数名を見やすくするために、チャートのサイズを変更することができます。 また、長方形にポインターを合わせて、比較される変数の名前を見ることもできます。
色付きの長方形は、x 軸および y 軸上の対応する変数間の相関の程度を示します。 濃いピンクの長方形は、負の相関 (一方の変数が増加すると他方が減少する) を示し、濃い緑の長方形は、正の相関 (一方の変数が増加すると他方が増加する) を示します。 各長方形内の数字は、-1 〜 1 の範囲の Pearson の相関係数値です。 0 の値は相関がないことを示します。 -0.8 より小さい値は非常に強い負の相関を示し、一方で 0.8 より大きい値は非常に強い正の相関を示します。
全体として、ほとんどの変数間にはあまり相関がありません。 世帯収入中央値と持ち家住宅ユニットの間に最も強い相関があります。 この長方形は、Pearson の相関係数値 0.72 を示しています。
これらの変数の強い相関に起因して変数の 1 つを分析から除去するオプションがあります。 しかし、このチュートリアルでは変数間に何らかの相関関係を有することが許容されるので、両方をキープします。
- チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
- プロジェクトを保存します。
ここまでの段階で、ジョージア州 Gwinnett 郡の国勢調査地区のレイヤーを作成しました。 社会経済的データを用いてレイヤーに情報を付加し、散布図マトリックスを用いて変数間の相関を評価しました。 適合性解析を行う準備ができました。
優先度スコアの計算
ArcGIS Business Analyst Pro を使用した適合性解析では、複数の重み付けされた条件に基づいてサイトをランク付けおよびスコア付けすることができます。 この場合、条件は国勢調査地区レイヤーへの情報付加のために使用した変数です。 適合性解析を使用して、社会経済的脆弱性が高いエリアを識別し、それらの必要性に基づいて介入の優先度を付けることができます。
適合性解析の実行
まず、適合性解析のためのレイヤーを作成します。 次に、適合性条件として使用するフィールドを指定し、各条件の影響を適切に調整します。 分析の結果は、各国勢調査地区に対する適合性スコアであり、介入のための優先度レベルの高低が示されます。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ワークフロー] グループで [ビジネス解析] をクリックして [適合性解析] を選択します。
[適合性解析レイヤーの作成 (Make Suitability Analysis Layer)] ツールが表示されます。 このツールは、分析結果を格納する新しいレイヤーを [コンテンツ] ウィンドウに作成します。
- [入力フィーチャ] で [Gwinnett_County_enriched] を選択します。 [レイヤー名] に「Gwinnett County Priority Levels」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行され、レイヤーが作成されます。 次に、分析すべき条件を選択します。
- リボンで [適合性解析] タブをクリックします。 [条件] グループで [条件の追加] ドロップダウン メニューをクリックして [入力レイヤーからフィールドを追加] を選択します。
[フィールドに基づく適合性条件の追加 (Add Field Based Suitability Criteria)] ツールが表示されます。
- [入力適合性解析レイヤー] で、[Gwinnett County Priority Levels] が選択されたことを確認します。 [フィールド] で、[複数追加] ボタンをクリックします。
情報の付加によって追加された変数を含む、レイヤー内のフィールドのリストが表示されます。
- フィールドのリストで次のフィールドのチェックボックスをオンにします。
- 2024 Median Household Income
- 2022 HHs w/Food Stamps/SNAP (ACS 5-Yr): Percent
- 2024 Median Home Value
- 2024 Owner Occupied HUs: Percent
- 2022 HHs/Gross Rent 50+% of Income (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 HHs: Inc Below Poverty Level (ACS 5-Yr): Percent
- 2024 Pop Age 25+: Bachelor's Degree: Percent
- 2024 Unemployed Population 16+: Percent
- 2022 HHs w/1+ Persons w/Disability (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 Pop 35-64: No Health Insurance (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 Pop 65+: No Health Insur (ACS 5-Yr): Percent
- 2022 HHs w/No Internet Access (ACS 5-Yr): Percent
- [追加] をクリックします。
12 のフィールドが追加されました。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 これは、選択したフィールドに基づいて、各国勢調査地区の適合性スコアを計算します。 [Gwinnett County Priority Levels] レイヤー シンボルが更新され、適合性スコア値の範囲が表示されます。
これらの結果は、12 のフィールド、つまり条件すべてに同じ加重と影響があるとみなしています。 しかし、すべての条件が社会経済的脆弱性に同じように影響を及ぼすわけではありません。 たとえば、世帯収入の中央値が高いほど脆弱性は低く、失業者数が多いほど脆弱性は高くなります。 変数が分析に適切な影響を及ぼすように、変数を調整します。
デフォルトでは、条件に変更を加えると、結果が自動的に計算され、マップに適用されます。 すべての変更を行うまで、自動計算をオフにします。
- [適合性解析] タブの [適合性スコア] グループで、[自動計算] をオフにします。
- [条件] グループで、[適合性解析ウィンドウ] をクリックします。
[適合性解析] ウィンドウが表示されます。 これは、分析に使用される条件を列挙します。 各条件には、関連付けられたパラメーターが複数あります。
[適合性解析] ウィンドウの [設定] で、[加重] をクリックすると、デフォルトではすべての条件で [加重] 値が同じになっていることが確認できます。 加重は、ある条件が他の条件に対して分析上どの程度重要であるかを表します。 これは百分率として表され、すべての加重を合計すると必ず 100 になる必要があります。 12 個の変数があるので、デフォルト加重は 100 を 12 で割ったもの、すなわち 8.33 となります。 加重を調整して、分析における特定の変数の重要度を高くしたり低くしたりできます。 たとえば、世帯収入の中央値をより重要視して、フード スタンプを利用している世帯の重要度を低くすることができます。
[影響度] パラメーターは、条件が分析に与える影響が正か負かを決定します。 デフォルトでは、すべての条件は正の影響を有し、値が高いほど介入の優先度も高くなることを示します。 この影響はほとんどの条件で正しい一方、一部 (世帯収入の中央値など) は負の影響を有するはずであり、ここでは値が低いほど優先度が高いことになります。
[フィルター] オプション、[最小値] パラメーターと [最大値] パラメーターは、分析から最小または最大範囲外のフィーチャを除外するために使用されることがあります。
このチュートリアルの場合、加重の変更や値のフィルターは行いません。 ただし、いくつかのパラメーターについては影響度を変更します。
- [条件] タブで、スクロールして [2024 Median Household Income] 変数を見つけます。 [影響度] で [負] を選択します。
- 次の変数について、[影響度] を [負] に変更します。
- 2024 Median Home Value
- 2024 Owner Occupied HUs: Precent
- 2024 Pop Age 25+: Bachelor's Degree: Percent
これで、すべての条件は、分析に対して適切な影響力を持つようになります。 適合性スコアを再計算します。
- リボンの [適合性スコア] グループで、[計算] をクリックします。
[Gwinnett County Priority Level] レイヤー が更新され、行った変更が反映されます。 低い優先度の地区は黄色であり、高い優先度の地区は赤色です。
マップでは、郡の中央西部に優先度の高い国勢調査地区が多く、北部と南部には優先度の高い国勢調査地区が少ないことを示しています。
- [結果の表示] をクリックし、結果のサマリーにアクセスします。
ヒストグラム、散布図、テーブル ビューで対話的に調査し、結果を Excel にエクスポートすることができます。 [サマリー] ビューで、Gwinnett 郡には 220 の国勢調査地区があり、社会経済的脆弱性指数の平均スコアが 0.3 であることが確認できます。 脆弱性スコアに基づき、国勢調査地区の上位 5 地区および下位 5 地区を対話的に調査することもできます。
- プロジェクトを保存します。
地区のシンボル化
適合性解析が完了したので、結果をシンボル化します。 現在、データセット内の統計パターンによって定義される 5 つのシンボル クラスがあります。 これらのシンボルは、データを四分位に分類、すなわちデータを 4 つの等しい部分に分割します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Gwinnett County Priority Levels] を右クリックして、[シンボル] を選択します。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。 レイヤーは、そのシンボルについてすでに等級色を使用しているので、方法とクラスの数を変更するだけで構いません。
- [方法] で [等量] を選択します。 [クラス] で、[4] を選択します。
また、配色も変更します。
- [配色] で [紫 (4 クラス)] を選択します。
ヒント:
配色の名前を見るには、その配色にポインターを合わせるか、[名前の表示] の隣のチェックボックスをオンにします。
マップ上でシンボルが更新されます。 ここで、レイヤーには 4 つのシンボル クラスがあります。 各シンボル クラスは国勢調査地区の総数の 25 パーセントを表し、優先度レベル別に分けられています。
シンボル クラスのラベルは、各四分位の適合性スコア カットオフを使用します。 適合性スコアは、その意味を理解していないユーザーにとってはあまり意味がないかもしれません。 代わりにシンボル クラスのラベルを変更し、各四分位の優先度レベルを記述します。
- [クラス] の下で、最初のシンボル クラスのラベルをダブルクリックして編集します。 「Class 1: Least Priority」(最低優先度) と入力して、Enter キーを押します。
- 第 2 のシンボル クラスのラベルを「Class 2: Low Priority」(低優先度) に、第 3 のシンボル クラスのラベルを「Class 3: Moderate Priority」(中程度の優先度) に、第 4 のシンボル クラスのラベルを「Class 4: High Priority」(高優先度) に変更します。
[コンテンツ] ウィンドウでラベルが更新されます。
- [シンボル] ウィンドウを閉じます。 プロジェクトを保存します。
社会経済的脆弱性を改善するために、ArcGIS Business Analyst Pro において適合性解析を実施して、どの国勢調査地区に優先的に介入すべきかを評価しました。 次にチャートと人口統計データを用いて、結果をコンテキスト化します。
結果のコンテキスト化
作成したレイヤーは、社会経済的脆弱性の指標に基づいて、Gwinnett 郡の国勢調査地区への介入の優先度を付けます。 分析は完了したとはいえ、郡の人口統計をより深く理解できるコンテキストを用いてマップをさらに改善できます。
まず、各優先度レベルについて、収入などの特定の人口統計変数を示すチャートを作成します。 次いで、マップに別のレイヤーを追加し、各地区において顕著な人種と民族を表示します。 このコンテキストは、必要に基づく公平な方法でのリソース分配について、政策決定者がより多くの情報に基づいた意思決定を行うことを助けることができます。
優先度レベルによる地区の分類
優先度レベル レイヤーをシンボル表示する際、データを四分位に分類しました。 これらの四分位は、最低優先度から高優先度までの範囲の優先度レベルの基礎として機能しました。 現在、この分類はレイヤーのシンボルにのみ存在します。 この分類を使用してチャートを作成したり、さらなる分析を実行したりするには、レイヤーの属性テーブル内にフィールドを作成して、各地区の優先度レベルを表示する必要があります。 これは、[フィールドの再分類] ツールを使用して実行できます。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで [フィールドの再分類] ツールを検索して開きます。
このツールは、指定された統計的方法に基づいてフィールドを再分類し、その結果を用いて新しいフィールドを作成します。
- [入力テーブル] で [Gwinnett County Priority Levels\候補地] を選択します。
次に、再分類するフィールドを選択します。 適合性解析によって作成された出力フィールドは [最終スコア] と呼ばれます。
- [再分類フィールド] で [最終スコア] を選択します。
- [再分類方法] で [等量分類] を選択します。 [クラス数] に「4」と入力します。
- [出力フィールド名] に「Priority_Level_by_Quartile」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 分析が影響を与えるのは属性テーブルだけなので、マップは変化しません。
- [候補地] レイヤーの属性テーブルを開きます。 テーブルの最後へスクロールします。
このツールにより、テーブルの最後に[Priority_Level_by_Quartile_CLASS] と [Priority_Level_by_Quartile_RANGE]という 2 つのフィールドが追加されました。 最初のものは、地区が第 1、第 2、第 3、第 4 四分位のどれにあるかを示し、2 番目のものは、地区の四分位における値の範囲を示します。 レイヤーのシンボルに対して同じ分類方法を使用したので、テーブル内のクラスはシンボルに対応します。
- テーブルを閉じます。
チャートの作成とクラスの比較
四分位クラスを有するフィールドを作成する値は、さらなる分析のためにこれらのクラスを使用できるところにあります。 たとえば、収入の中央値などの特定の社会経済的指標がクラス間でどのように異なるかを知りたい場合にはどうすればいいでしょう? ここでは、各クラスの収入の中央値の平均を示すチャートを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[候補地] を右クリックして [チャートの作成] をポイントし、[バー チャート] を選択します。
チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [チャート プロパティ] ウィンドウの [カテゴリまたは日付] で、[Priority_Level_by_Quartile_CLASS] を選択します。
y 軸を設定して平均世帯収入を表示します。
- [集約] で、[平均] を選択します。
- [数値フィールド] で [選択] をクリックします。 [2024 Median Household Income] をオンにして [適用] をクリックします。
チャートが更新され、各優先度レベルについて 2024 年度の世帯収入の平均中央値が表示されます。 チャートを見る前に、チャートのタイトルと軸のラベルを変更して、よりわかりやすくなるようにします。
- [チャート プロパティ] ウィンドウで、[一般] タブをクリックします。
- 次のパラメーターを設定します。
- [チャートのタイトル] に「Priority class by 2024 median household income」と入力します。
- [X 軸タイトル] に「Priority class」と入力します。
- [Y 軸タイトル] に「Mean of 2024 median household income」と入力します。
チャートがここで完成しました。
このチャートは、優先度クラスが高いほど世帯収入の中央値が低いという明らかな傾向を示しています。 クラス 1 の収入 (約 133,000 ドル) はクラス 4 の収入 (約 58,645 ドル) の 2 倍を超えており、郡全体の経済格差がわかります。 2024 年度のジョージア州の世帯収入の中央値は 86,853 ドルでした。 クラス 3 はそれよりもわずかに上であり、クラス 4 はそれを 30,000 ドル近く下回っています。
ヒント:
このセクションのワークフローを繰り返して、適合性解析に使用した任意の人口統計変数のチャートを作成できます。 [レイヤーへの情報付加] ツールを使用して、比較のために他の変数を追加することもできます。 たとえば、人種と民族に関する情報をデータに付加し、優先度レベルによってそれをチャート化して、人種と民族が社会経済的グループごとにどのように異なるかをよりよく理解できます。
- チャートと [チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。
人種と民族データの追加
ここまでのところ、分析は人種と民族を考慮していません。 人種と民族は社会経済的脆弱性と絡み合うことが多く、介入のためにどのようにリソースを優先させるかを意思決定する際に考慮すべき重要な要因となり得ます。 分析結果をコンテキスト化するために、各国勢調査地区において顕著な人種を示す ArcGIS Living Atlas レイヤーを追加します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [データの追加] ボタンをクリックします。
- [データの追加] ウィンドウで、[ポータル] の下の [Living Atlas] をクリックします。 「ACS Race and Hispanic Origin Variables」を検索します。
- [ACS Race and Hispanic Origin Variables - Centroids] をダブルクリックします。
このレイヤーには、county、state、tract という異なる区画に対応する 3 つのサブレイヤーがあります。 分析は国勢調査地区を含むため、地区レイヤーを追加します。
- [tract] をダブルクリックします。
レイヤーが、マップに追加されます。
このレイヤーは重心、すなわちポリゴン (この場合、国勢調査地区ポリゴン) の中心を表すポイント シンボルを示します。 円のサイズは人口に対応し、色は各地区において顕著な人種または民族に対応します。 各シンボルの透明度は、優位性の強さを示します。
Gwinnett 郡のみを表示する定義クエリを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[tract] をダブルクリックします。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[定義クエリ] タブをクリックします。 [新しい定義クエリ] をクリックします。
- [Where 句 State が Georgia と等しい] という句を作成します。 [And 句 County が Gwinnett County と等しい] という句を追加します。
- [OK] をクリックします。
[レイヤー プロパティ] ウィンドウが閉じ、クエリが適用されます。 これで、Gwinnett 郡の重心のみが表示されます。
最後に、重心が優先度レベル上でより明確に表示されるようにシンボルを調整します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Tract] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
各シンボルにハローを付加すると、さまざまな背景色の上により明瞭に表示されるようになります。
- [クラス] で [詳細] をクリックし、[すべてのシンボルの書式設定] を選択します。
- [プロパティ] タブをクリックします。 [ハロー] を展開し、[ハロー シンボル] を [黒 (塗りつぶし)] に変更します。
- [ハローのサイズ] を「0.5」pt に変更します。
- [シンボル] ウィンドウの下部にある [適用] をクリックします。
ハローがマップに適用されます。 シンボルのサイズと透明度も調整します。
- オプション ボタンをクリックし、[属性によってシンボルを変更] を選択します。
- [透過表示] を展開します。 [低い値] に「60%」と入力します。
- [サイズ] を展開します。 [最小値] を 「5」pt に、[最大値] を「35」pt に変更します。
変更内容がマップに適用されます。 これで、各シンボルの色が読み取りやすくなります。
このマップは、Gwinnett 郡の人種と民族の多様性を明らかにしています。 郡の西部にある優先度の高い国勢調査地区の多くには、緑色 (ヒスパニック) または黄色 (黒人) の重心があり、社会経済的脆弱性についての人種格差の要素を示唆しています。 政策決定者はこのコンテキストにより、人種と民族がどのように結果に影響を及ぼすかをよりよく理解できます。
- プロジェクトを保存します。
変数の論理的根拠
この分析例で使用されている変数または指標の各々は、社会経済的脆弱性の異なるディメンションを反映します。 影響を受けるコミュニティのメンバーまたは代表者を含む利害関係者のグループと協力して、ディメンションおよび指標を選択し、開発することをお勧めします。 複合インデックスを作成する際の指標の選択の詳細については、Esri のテクニカルペーパー Creating Composite Indices Using ArcGIS: Best Practices をご参照ください。
ディメンション | 変数または指標 | 論理的根拠 |
---|---|---|
収入と雇用状態 |
| 収入と雇用状態は、あるエリアの全体的な経済的健全性と雇用市場の強さを示すことができます。 |
貧困と政府援助 |
| 貧困率の高さは、コミュニティ全体の経済的健全性や、食料、住居、医療といった基本的なニーズを満たすのに苦労していると思われる人口の割合の 1 つの指標です。 貧困は多くの場合、質の高い教育へのアクセスの制限、犯罪率の高いエリアとの接触、健康リスクの増加など、さまざまな脆弱性とも関連しています。 貧困状態で成長する子供は特に危険にさらされており、教育、健康、将来の経済的機会に長期的な影響を及ぼします。 |
住宅価格と負担 |
| 住宅価格は、世帯の経済的負担を明らかにします。 住宅費用は、世帯収入の 28 〜 33% を超えないことが理想です。 住宅ローン返済の負担が大きい世帯は、収入減少や失業というシナリオにおいて、経済的に不安定な状態に陥りやすくなります。 住宅価値の中央値は、そのエリアの全体的な経済的繁栄を反映する 1 つの指標であり、一方、持ち家住宅ユニットの割合は、コミュニティの安定性と長期的な投資に関する貴重な情報を提供します。 |
教育とデジタル アクセス |
| 教育レベルが高いほど、一般的に仕事の見通しが立ち、収入が上がり、生活の質が向上します。 インターネットへのアクセスは、教育、仕事探し、サービスへのアクセスに欠かせません。 デジタル アクセスの欠如は、教育格差と経済格差を悪化させる可能性があります。 |
医療アクセス |
| 健康保険のない人は、高い医療費を負担することがあります。 特に予期せぬ重大な病気や怪我をした場合には、経済的に大きな負担を強いられる可能性があります。 健康保険のない人々は、定期健診、予防接種、病気の早期発見などの予防医療サービスを受ける機会が少なくなります。 その結果、診断や治療が遅れ、治療費がかさむ深刻な健康状態に陥る可能性があります。 |
身体障害とアクセシビリティ |
| このコンポーネントは、障害のある家族がいる世帯が直面する固有の課題を認識するものです。 身体障害は、雇用の機会、収入レベル、医療へのアクセス、そして生活の質全体に影響を及ぼすことがあります。 |
このチュートリアルでは、社会経済的脆弱性を特定するための適合性解析を行いました。 社会経済的指標を用いて国勢調査地区データに情報を付加し、各地区について脆弱性スコアを計算し、その結果を人種や民族のデータでコンテキスト化することで、重要な詳細情報と潜在的な政策的意味を明らかにしました。 この分析により、Gwinnett 郡の国勢調査地区のうち、重点的な介入を行うべき地域を強調し、政策決定者にデータ主導の知見を与えてコミュニティの前向きな変化を促すことができました。
このワークフローは、米国内のどの郡でも実行できます。 国家レベルの分析を見るには、Socioeconomic Vulnerability Web マップをご参照ください。 適合性解析ワークフローの詳細については、「適合性解析の実行」をご参照ください。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。