解析用のデータの準備
洪水解析を実行する前に、ArcGIS Pro プロジェクトで環境設定が正しく行われ、必要に応じた適切なデータがあることを確認する必要があります。 2 つのラスターから始めます。それらを 1 つに結合して、ラスター データの隙間の穴を埋め、ラスターを分析範囲にクリップして、標高単位をメートルからセンチメートルに変換します。
データのダウンロード
まず、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージをダウンロードし、このチュートリアルで使用するデータについての理解を深めます。
- Model how land subsidence affects flooding ArcGIS Pro プロジェクトをダウンロードします。
- ダウンロードした .ppkx ファイルをクリックし、ArcGIS Pro で開きます。 サイン インを求められたら、ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise アカウントにサイン インします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
パッケージには、複数のレイヤーが含まれており、マップと [コンテンツ] ウィンドウに表示されます。 これらのレイヤーは、分析範囲、建物、標高、および地盤沈下を表します。
2 つの標高ラスター レイヤーがあります。 1 つは分析範囲の西部、もう 1 つは東部を表しています。 解析中に使用するツールには、単体の標高レイヤーが必要なので、レイヤーを結合します。
ジオプロセシング環境の設定
レイヤーの解析を実行する前に、ジオプロセシング環境を設定します。 これらの設定は、ツールがデータ出力を処理する方法を決定します。 解析時に座標系、処理範囲、ラスター セル、マスク、およびスナップ ラスターが一貫していることを確認します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[環境] をクリックします。
[環境] ウィンドウが表示されます。
最初に、プロジェクトの [出力座標系] を設定します。 座標系は、データを地球の表面上に正確かつ相互に相対的に配置して表示するために使用されます。 これはオランダのプロジェクトなので、RD_New 座標系を使用します。 このオランダのプロジェクト用の国際座標系では、距離単位としてメートルを使用します。
- [出力座標] で [出力座標系] を [現在のマップ [分析範囲を示すマップ]] に設定します。
すでに開いているマップは RD_New 座標系を使用しているので、このパラメーターでマップの座標系を設定します。
次に、[処理範囲] を設定します。 このパラメーターはマップ上に長方形を定義し、すべての解析がこの内側で実行されます。 この長方形の外側にあるデータはすべて無視され、削除されます。
- [処理範囲] の [範囲] で、[レイヤーの範囲] ボタンをクリックし、[Study Area Mask] を選択します。
次に、[セル サイズ] を設定します。 このパラメーターは、作成する新しいラスターの解像度、つまりセル サイズ (またはピクセル) を決定します。 指定された標高ラスターのセル サイズは 5 メートルで、新しいすべてのラスターはこの解像度に一致します。 距離単位のメートルは、前に設定した座標系によって決まります。
- [ラスター解析] の [セル サイズ] に、「5」と入力します。
次に、[マスク] を設定します。 マスクが設定されていると、ラスター解析ツールは、マスクの地理的な境界内にあるセルのみを考慮します。
- [マスク] を [Study Area Mask Raster] に設定します。
最後に、[スナップ対象ラスター] パラメーターを設定します。これにより、別のラスターのピクセルが解析用に適切に調整されます。
- [スナップ対象ラスター] を [Study Area Mask Raster] に設定します。
- [OK] をクリックします。
環境パラメーターが設定されたので、解析用のデータを準備できるようになりました。
ラスター モザイクの作成
最初に、2 つの標高ラスター レイヤーを 1 つのデータセットに結合します。 複数の小さいラスター レイヤーで構成されたラスター レイヤーは「モザイク」と呼ばれます。
ラスターを結合するには、ジオプロセシング ツールを使用します。
- リボンの [コマンド検索] で、「Mosaic To New Raster」と入力します。 検索結果のリストで [新規ラスターにモザイク] を選択します。
[ジオプロセシング] ウィンドウが開き、[新規ラスターにモザイク] ツールが表示されます。 ジオプロセシング ツールは、データセットを処理および解析でき、ユーザーが選択した入力によって構成されます。
まず、解析する入力ラスターを選択します。 次に、出力データセットが保存される場所を選択します。
- [入力ラスター] で、[Elevation Raster West] と [Elevation Raster East] を選択します。
- [出力場所] で、[参照] ボタンをクリックします。
[出力場所] ウィンドウが表示されます。
- [プロジェクト] で、[データベース] をクリックします。 [model_how_land_subsidence_affects_flooding.gdb] ジオデータベースをクリックします。
これは、プロジェクトのデフォルトのジオデータベースです。 ここに、このチュートリアル用のデータをすべて保存します。
- [OK] をクリックします。
- [ラスター データセット名 (拡張子)] に「elevation」と入力します。
新しいラスターはジオデータベースに保存されるので、拡張子は不要です。
[ラスターの空間参照] パラメーターは、入力レイヤーの空間参照、つまり [RD_New] に自動的に設定されます。 このパラメーターを変更する必要はありません。
次に、[ピクセル タイプ] パラメーターを設定します。 このパラメーターは、ラスター内のセルが含むことのできる値の範囲を決定します。 このツールに入力されるラスターは 32 ビット浮動小数点なので、出力ラスターもこれに一致するよう設定します。 入出力のピクセル タイプを同じにすることで、ピクセル値の丸めを回避します。
- [ピクセル タイプ] に [32 ビット浮動小数点] を選択します。
[セルサイズ] パラメーターを設定する必要はありません。 このパラメーターは、デフォルトで、前に構成した 5 メートルのセル サイズ環境設定になります。
次に、バンド数を選択します。 バンドは、ラスター内の特性の尺度です。 標高ラスターの特性は、高さの 1 つのみです。 したがって、含まれるバンドは 1 つです。
- [バンド数] に「1」と入力します。
[モザイク オペレーター] パラメーターは、入力ラスター間のセルのオーバーラップを処理する方法を決定します。 このパラメーターを設定して、重なり合うセル間の平均値を決定し、出力でその値を使用します。
- [モザイク オペレーター] で [平均値] を選択します。
- [実行] をクリックします。
[elevation] という名前のラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
元の東西のラスター レイヤーは必要なくなったため、削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation Raster West] レイヤーを右クリックし、[削除] を選択します。
ラスターがマップから削除されました。
- [Elevation Raster East] レイヤーをマップから削除します。
[elevation] ラスターには、元のラスター レイヤーよりも小さいエリアが含まれています。 これは、[処理範囲] 環境の結果です。 元の標高レイヤーに含まれているエリアの一部のみが残っています。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックします。
データの穴埋め
次に、標高ラスターでデータがないエリアの穴埋めをします。 これらのエリアは、水域と建物フットプリントを表しています。 まず、隙間がある場所を調べます。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Voids] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Study Area Buildings] レイヤーをオフにします。
ブックマークの位置にラスターのす隙間があり、そこから下層のベースマップが見えます。
これらの隙間は埋める必要があります。 [標高穴埋め] ラスター関数を使用してこれを行います。 データセットに隙間があれば、この関数が、隙間の周囲のセルを探して隙間を埋める値を計算します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ラスター] グループで、[ラスター関数] ボタンをクリックします。
[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。
- 検索バーに「標高穴埋め」と入力します。 [サーフェス] にある [標高穴埋め] をクリックします。
[標高穴埋め] ラスター関数が開きます。 ラスター関数には、ジオプロセシング ツール同様、パラメーターを設定する必要があります。
- [DEM] を [elevation] に設定します。 [短い範囲 IDW 半径] が [-1] であることを確認します。
[短い範囲 IDW 半径] パラメーターは、穴埋めで使用される最大検索範囲です。 有効なピクセルからこの閾値より遠い隙間は、隙間のまま残されます。 1 の値は、このパラメーターを無効化します。
次に [最大間隔幅] パラメーターを設定します。これは、穴埋めされる隙間の最大サイズを指定します。 隙間の周囲の境界ボックスの幅と高さが最大間隔幅の値より大きい場合、その隙間は穴埋めされません。 0 の値を指定すると、関数は、サイズに関係なくすべての隙間の穴埋めをします。
- [最大間隔幅] に「0」と入力します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
[標高穴埋め_elevation] という名前のレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウおよびマップに追加されます。 このレイヤーは、隙間がなく、解析に使用できます。
次に、標高レイヤーが必要なくなったため、削除します。 分析範囲の全体が表示されるよう表示も拡大します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [elevation] レイヤーを右クリックし、[削除] を選択します。
- [Study Area Mask] レイヤーを右クリックして [レイヤーにズーム] を選択します。
マップに、プロジェクトの全範囲が表示されます。
[Study Area Mask] レイヤーの内側のエリア (赤) を検索しますが、[標高穴埋め_elevation] レイヤーはこの境界の外側まで及んでいます。
ラスター レイヤーのクリップ
標高ラスターが分析範囲の境界を越えているので、標高ラスターを [Study Area Mask] レイヤーにクリップします。 レイヤーをクリップすると、特定の範囲外のデータが削除されます。
- リボンの [コマンド検索] に「clip raster」と入力します。 [ラスターのクリップ (Clip Raster)] を選択します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [入力ラスター] で、[標高穴埋め_elevation] を選択します。
- [出力範囲] で、[Study Area Mask] を選択します。
- [クリップ ジオメトリに入力フィーチャを使用] をオンにします。
- [出力ラスター データセット] で、「elevation_clipped」と入力します。
- [実行] をクリックします。
分析範囲に制限されたラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [標高穴埋め_elevation] レイヤーをマップから削除します。
[elevation_clipped] ラスターが表示され、[Study Area Mask] レイヤーにクリップされます。
- プロジェクトを保存します。
計測単位の変換
現時点では、標高ラスターの高さはメートルで計測されています。 地盤沈下はゆっくりと発生するため、通常はセンチメートルで計測します。 洪水が時間の経過とともに変化する様子をよりよく比較するために、標高ラスターの計測単位をメートルからセンチメートルに変換します。 この変換計算を行うため、[ラスター演算] ツールを使用します。 このジオプロセシング ツールは、ユーザーが作成した式に基づいて、ラスターの各ピクセルで計算を行います。 各ピクセルの値を 100 倍して、値をメートルからセンチメートルに変換します。
- リボンの [コマンド検索] に「raster calculator」と入力します。 [ラスター演算] を選択します。
[ジオプロセシング] ウィンドウに[ラスター演算] ツールが表示されます。
- [ラスター演算] ツールの [ラスター] で、[elevation_clipped] をダブルクリックします。
[elevation_clipped] レイヤーが、二重引用符で囲まれて式ボックスに表示されます。
次に、1 メートルは 100 センチメートルなので、ラスターを 100 倍します。
- [ツール] で [乗算] 数学演算子をダブルクリックします。
式の [elevation_clipped] の後ろに乗算演算子が表示されます。
- 式で、乗算演算子の後ろをクリックして「100」と入力します。
「"elevation_clipped" *100」という式が完成しました。
- [出力ラスター] で、「elevation_cm」と入力します。 [実行] をクリックします。
出力ラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
出力ラスターの値は、計算により、100 倍大きくなります。
- [elevation_clipped] レイヤーを削除します。
データをわかりやすくするため、[elevation_cm] レイヤーの名前を、現在の標高であることを示すよう変更します。
- レイヤー名の [elevation_cm] をクリックして F2 キーを押します。 「Elevation Today (cm)」と入力して Enter キーを押します。
[コンテンツ] ウィンドウで、このレイヤーの名前が更新されます。
- プロジェクトを保存します。
これで、地盤沈下の前に洪水を特定するために使用できる標高ラスターが準備できました。 次に、地盤沈下を表す同様のラスターを作成します。
地盤沈下のモデル化
地盤沈下には多くの原因がありますが、オランダでは、主に土壌層の圧縮が弱く、酸化により泥炭に富む層が失われたことが原因となっています。 次の目標は、現在から 2050 年の間に、地盤沈下により分析範囲内の標高がどのように変化するかをモデル化することです。
現在の標高を表すラスターがあります。 このラスターから、予測される地盤沈下を差し引いて、2050 年の標高を計算します。 最後に、この標高の変化が洪水に与える影響を確認します。
地盤沈下データのリサンプリング
はじめに、すべてのラスターのセル サイズが同じであることを確認します。 現在の標高ラスターの解像度は 5 メートルで、予測される地盤沈下レイヤーの解像度は 100 メートルです。
ラスター レイヤーの解像度を変更するプロセスは、リサンプリングと呼ばれます。 100 メートルの解像度のラスターを 5 メートルの解像度にリサンプリングします。
注意:
ラスターのグリッド サイズを 100 メートルから 5 メートルに変更することは、空間解像度の大きな変更です。 作成している 5 メートルの地盤沈下ラスターは、現地の実際の地盤沈下の正確な説明ではなく、現実の近似と見なす必要があります。 ご自身で調査する場合は、より正確な地盤沈下データを現地で直接収集することをお勧めします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation Today (cm)] レイヤーをオフにします。 [Land Subsidence] レイヤーをオンにします。
このレイヤーは、2050 年の地盤沈下の予測です。 このラスターの各ピクセルのサイズは 100 メートルで、標高ラスターのピクセルよりはるかに大きいサイズです。
- リボンの [コマンド検索] で、「resample」と入力します。 [リサンプル (Resample)] ツールを選択します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[入力ラスター] に [Land Subsidence] を選択します。
- [出力ラスター データセット] で、「land_subsidence_5m」と入力します。
次に、リサンプリング手法を選択します。 [リサンプリング手法] パラメーターは、リサンプリングされたラスターのピクセル値が、既存のピクセル値およびその隣接ピクセル値に基づいてどのように計算されるかを決定します。 標高データに最適な [共一次内挿法] リサンプリング手法を選択します。
- [リサンプリング手法] で [共一次内挿法] を選択します。
- [実行] をクリックします。
ラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 このラスターは、100 メートルの解像度の入力ラスターに似ていますが、解像度は 5 メートルです。 解像度の高いラスターが用意できたので、次に、[Land Subsidence] レイヤーを削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、マップから [Land Subsidence] レイヤーを削除します。
- [Project Boundary] ブックマークを参照します。
地盤沈下ラスターはリサンプリングされていますが、このラスターの一部は分析範囲外にあり、それ以外の部分が分析範囲として不十分です。
次に、この問題の解決に取り組みます。
リサンプリングされたデータの調整
プロジェクト エリアの一部は、地盤沈下ラスターの範囲外です。 ラスターのその他の部分は、プロジェクト エリアを越えて広がっています。 [標高穴埋め] ラスター関数と [ラスターのクリップ (Clip Raster)] ツールを再度使用して、この問題を解決します。
- リボンの [解析] タブの [ラスター] グループで、[ラスター関数] ボタンをクリックします。
- 必要に応じて、[ラスター関数] ウィンドウで「標高穴埋め」を検索します。
- [標高穴埋め] 関数をクリックします。 次のパラメーターを設定します。
- [DEM] で [land_subsidence_5m] を選択します。
- [短い範囲 IDW 半径] が [-1] に設定されていることを確認します。
- [最大間隔幅] に「0」と入力します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
地盤沈下のラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[land_subsidence_5m] レイヤーを削除します。
- [標高穴埋め_land_subsidence_5m] レイヤーを右クリックして [レイヤーの全体表示] を選択します。
穴埋めされたラスターは、プロジェクト エリア全体に及びますが、多くの場所でそれをはるかに超えて広がっています。
次に、穴埋めされたラスターをプロジェクト範囲にクリップします。
- リボンの [コマンド検索] で「clip raster」と入力し、[ラスターのクリップ (Clip Raster)] を選択します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、次のパラメーターを設定します。
- [入力ラスター] で、[標高穴埋め_land_subsidence_5m] を選択します。
- [出力範囲] で、[Study Area Mask] を選択します。
- [クリップ ジオメトリに入力フィーチャを使用] の横のボックスをオンにします。
- [出力ラスター データセット] で、「land_subsidence」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ラスター レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[標高穴埋め_land_subsidence_5m] レイヤーを削除します。
5 メートルの空間解像度を持ち、分析範囲全体を含む地盤沈下ラスターができました。 沈下の値はすでにセンチメートルで表されているので、追加の計算は不要です。
- [land_subsidence] レイヤーの名前を [Land Subsidence] に変更します。
- プロジェクトを保存します。
2050 年の標高の計算
現在の標高と、2050 年の標高について予測される変化はわかっています。 これらのデータセットを使用して、2050 年の標高モデルを作成します。 [ラスター演算 (Raster Calculator)] ツールを使用して、現在の標高から沈下の値を減算します。
- リボンの [コマンド検索] で、「raster calculator」と入力して、[ラスター演算 (Raster Calculator)] を選択します。
- [ラスター] で、[Elevation Today (cm)] をダブルクリックします。
式にデータセットが追加されます。
- [ツール] で [減算] 演算子をダブルクリックします。
- [ラスター] で、[Land Subsidence] をダブルクリックします。
最終的な式は、["Elevation Today (cm)" - "Land Subsidence"] になります。
- [出力ラスター] で、「elevation_2050」と入力します。
- [実行] をクリックします。
分析範囲の地盤沈下に基づく 2050 年の予測標高を示すラスター レイヤーが、マップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、名前を [elevation_2050] から [Elevation 2050 (cm)] に変更します。
- [Elevation Today (cm)] レイヤーをオンにし、[Study Area Mask] レイヤーをオフにします。
次に、ポップアップを開いて、マップでオンにしたレイヤーのデータを調べます。 確実に正しいレイヤーのポップアップを開けるよう、マップの操作方法の設定を変更します。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] ドロップダウン メニューをクリックして [表示レイヤー] を選択します。
- プロジェクト エリアの内部をクリックします。
ポップアップが表示されます。
注意:
クリックする場所によって、この画像例とは値が異なります。
ポップアップには、オンにした 3 つのラスターのピクセル値が表示されます。 [Elevation Today (cm)] レイヤーの値から [Land Subsidence] の値を減算した場合、結果は [Elevation 2050 (cm)] の値になります。
- ポップアップを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation 2050 (cm)] レイヤーをオフにし、[Land Subsidence] レイヤーを削除します。
- プロジェクトを保存します。
次に、一連のジオプロセシング ツールでこれらの 2 つの標高データセットを使用して、洪水が起きる地域と、洪水によって発生が予想される被害を特定します。 現在の標高を表すデータセットから始めます。
洪水による被害の特定
オランダは低地にあるため、洪水は依然として懸念される問題です。 洪水とその経済的リスクは、以前に作成したデータセットを使用して推定することができます。 氾濫する地域、氾濫水量、およびその被害額を特定します。
浸水深の計算
最初に、[Elevation Today (cm)] ラスターで浸水深を特定します。 具体的には、海面下 200 センチメートル以下の地域を特定します。 これらの地域は特に、標高が低いために洪水の影響を最も大きく受けます。
- リボンの [コマンド検索] で、「con」と入力します。 [Con] をクリックします。
[Con] ツールが [ジオプロセシング] ウィンドウで開きます。 このツールは、ユーザーが作成した式に基づいて、低地で最も洪水が発生しやすいピクセルなど、特定条件を満たすラスター内のピクセルをすべて検出します。
- [入力条件ラスター] で [Elevation Today (cm)] を選択します。
次に、入力セルのどれが true でどれが false かを判定します。 標高が -200 センチメートル以下のすべてのセルが true と見なされます。 その他のセルはすべて false と見なされます。 false のセルは、条件より標高が高く浸水する可能性が低いので、データセットから削除されます。
- [新しい式] をクリックします。 [Where 句 VALUE が -200 以下] という式を作成します。
次に、入力 true ラスターを設定します。 前の式で true に判定されたセルに対し、このパラメーターはそれらの値を決定します。 これにより、-200 センチメートル以下の標高値が返されます。
- [条件式が TRUE のときの入力ラスター、または定数値] で [Elevation Today (cm)] を選択します。
- [出力ラスター] で、「flooded_area」と入力します。 [実行] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation Today (cm)] レイヤーをオフにし、[Study Area Mask] レイヤーをオンにします。
標高が最も低い地域は西にあり、これらの地域では洪水が発生する可能性が高くなります。 これらの地域の標高は、海面下 -200 ~ -677 センチメートルの範囲です。
現時点では、この地域の洪水時の浸水深がどの程度になり得るかは、はっきりわかっていません。 これをわかりやすく表示するため、ラスター計算を行って最大浸水深を特定します。 この計算で、範囲をゼロから始まるように調整し、深さの値が正になるよう反転します。
- リボンの [コマンド検索] に「raster calculator」と入力します。 [ラスター演算] を選択します。
- 式に「(」と入力します。
- [ラスター] で、[flooded_area] をダブルクリックします。
- 式の末尾をクリックして、「+200)*-1」と入力します。
この計算で、標高ラスターは浸水深ラスターに変換されます。浸水深ラスターは、ゼロから始まり、正の範囲の値を持ちます。 以降の解析で使用するため、ラスターの値は小数点以下の桁数がない整数でなければなりません。 式に [Int] (整数) ツールを追加します。 このツールは、結果を整数に丸めます。
- 式で、最初の括弧の前をクリックします。 「Int(」と入力します。
- 式の末尾をクリックして「)」と入力します。
「Int(( "flooded_area"+200)*-1)」という式が完成しました。
- [出力ラスター] で、「flood_depth」と入力します。 [実行] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、マップから [flooded_area] を削除します。
次に、配色を青のグラデーションに変更して、浸水深をわかりやすく表示します。
- [flood_depth] レイヤーでシンボルを右クリックし、[連続配色] ドロップダウン メニューをクリックします。 [名前の表示] をオンにして [海底地形 #3] を選択します。
配色を変更するときには、メニューが閉じますが、再度開いて配色を反転します。
- [flood_depth] でシンボルを右クリックし、[配色を反転] ボタンをクリックします。
注意:
変更内容は、メニュー以外の場所をクリックしてこれを閉じるまで表示されません。
[コンテンツ] ウィンドウとマップで色が更新されます。
浸水深は、洪水による浸水が深いほど濃い青になる論理的な配色で表されます。
- プロジェクトを保存します。
洪水のリスクが高い地域の建物を探す
洪水が発生する可能性のある地域と水深を特定したので、これらのリスクのある地域内の建物を特定します。 ただし、建物フットプリント レイヤーはラスター レイヤーではありません。 ピクセルではなくポリゴンを使用するベクター レイヤーです。 2 つのデータセットを比較しやすいよう、浸水深ラスターをポリゴン ベクター レイヤーに変換します。
- リボンの [コマンド検索] で、「raster to polygon」と入力します。 [ラスター → ポリゴン (Raster to Polygon)] をクリックします。
このツールは、ラスターをポリゴンに変換します。
- [入力ラスター] で [flood_depth] を選択します。
- [出力ポリゴン フィーチャ] に「flood_depth_polygons」と入力します。
- [実行] をクリックします。
ポリゴン レイヤーが、マップおよび [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 このレイヤーを使用して、洪水の多い地域内の建物を特定します。 出力レイヤーに [gridcode] という名前のフィールドがあります。 各ポリゴンについて、この属性に浸水深の値が格納されます。 この値はチュートリアルの後半で使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Study Area Buildings] レイヤーをオンにします。 それを [flood_depth_polygons] レイヤーにドラッグします。
マップ上に建物が表示されます。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[空間条件で選択] をクリックします。
[空間条件で選択 (Select By Location)] ツールは、設定したパラメーターに基づいて、別のレイヤーのフィーチャと空間的に相互作用するレイヤーのフィーチャを選択します。 建物を選択したいので、入力として建物レイヤーを選択します。
- [入力フィーチャ] で [Study Area Buildings] が選択されていることを確認します。
特に、浸水深ポリゴン レイヤー内の建物を選択する必要があります。
- [選択フィーチャ] で [flood_depth_polygons] を選択します。
- [OK] をクリックします。
マップで、洪水地域と交差する建物は、水色のアウトラインで選択されます。 マップの下に、選択された建物の合計数が一覧表示されます。
マップの下に、選択された建物の合計数が一覧表示されます。
これらの洪水の可能性がある地域内には、643 棟の建物があります。 ただし、この数からは各建物の浸水深はわかりません。 水位がより高い洪水に見舞われた建物は、被害が大きくなる可能性が高くなります。
- プロジェクトを保存します。
浸水深と被害の集計
どの建物が洪水の危険にさらされているかが把握できたので、各建物の浸水深と潜在的な被害額を判断できます。
- リボンの [コマンド検索] で、「summarize within」と入力します。 [エリア内での集計 (Summarize Within)] (解析ツール) を選択します。
このツールは、ポリゴン レイヤーを別のレイヤーとオーバーレイして、ポリゴン内で交差しているフィーチャに関する属性フィールド統計情報を集計します。 建物を洪水ポリゴンとオーバーレイして、各建物の平均浸水深を新しい建物レイヤーに追加します。
- [入力ポリゴン] で [Study Area Buildings] を選択します。
- [入力集計フィーチャ] で、[flood_depth_polygons] を選択します。
- [出力フィーチャクラス] に 「Buildings_Flooded」と入力します。
次に、各建物について計算する統計情報を決定するためのパラメーターを設定します。 建物ごとに平均化された gridcode (浸水深)
- [集計フィールド] の下の [フィールド] で [gridcode] を選択し、[統計情報] で [平均値] を選択します。
- [すべての入力ポリゴンを維持] をオフにします。
このチェックボックスをオフにすると、選択した建物のみが出力レイヤーに含まれるようになります。
- [実行] をクリックします。
[Buildings_Flooded] レイヤーがマップに追加されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Study Area Buildings] レイヤーをオフにします。
最初に選択された建物のみが表示されます。
- [Buildings_Flooded] レイヤーを右クリックして [属性テーブル] を選択します。
レイヤーの属性テーブルが開きます。 [Mean gridcode] フィールドは、各建物フィーチャの平均浸水深をセンチメートルで示します。
調査 (Stowa, 2019) に基づき、浸水深から平均被害額を算出できます。 テーブルに別のフィールドを追加し、計算を実行して被害額を見積もります。
注意:
Stowa, 2019 で文書化された調査は、洪水被害の計算の一例です。 自分のプロジェクトの被害を最もよく予測するモデルを使用する必要があります。
- リボンの [コマンド検索] で、「calculate field」と入力します。 [フィールド演算 (Calculate Field) (データ管理ツール)] ツールを選択します。
このツールでは、フィールドを追加すると同時に、式に基づいてそのフィールドを計算することができます。
- [入力テーブル] で [Buildings_Flooded] を選択します。
- [フィールド名 (既存または新規)] に「DamageCosts」と入力します。
次に、フィールド タイプを選択します。 フィールド タイプは、新しいフィールドに格納できる数値またはテキストの種類を決定します。 Double (倍精度浮動小数点数) は、小数点以下の桁がある数字を格納できます。
- [フィールド タイプ] で [Double (64 ビット浮動小数点)] を選択します。
次に式の種類を選択します。これは式のコーディング言語を決定します。 複雑な計算を組み込むことができる Esri 独自のコーディング言語である Arcade を使用します。
- [式の種類] で、[Arcade] を選択します。
次に、式を作成します。 作成する式は、建物の浸水深が 1 センチメートルより大きいか小さいかによって異なるので、複雑になります。 大きい場合は、Stowa, 2019 のコスト計算を使用します。 Stowa, 2019 の計算の正確度は浸水深の値が小さいと低下するため、小さい場合はゼロとして被害を計算します。
- [式] で、[Damage Costs=] の下に次のコードをコピーして貼り付けます。
if ($feature.MEAN_gridcode > 1) { (0.298 * (Log(0.01 * $feature.MEAN_gridcode)) + 1.4502) * 271 * $feature.Shape_Area } else { 0 }
- [実行] をクリックします。
DamageCosts という名前のフィールドが、属性テーブルの右側に追加されます。 このフィールドには、洪水の推定被害額がユーロで記述されます。
- 属性テーブルを閉じます。
被害額属性を使用して、被害額が大きい建物と小さい建物の表示が異なるように [Buildings_Flooded] レイヤーをシンボル表示します。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。
選択されたすべてのフィーチャの選択が解除されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Buildings_Flooded] レイヤーを右クリックし、[シンボル] を選択します。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。
- [プライマリ シンボル] で [等級色] を選択します。
- [フィールド] で、[DamageCosts] を選択します。
- [配色] で [名前の表示] と [すべて表示] をオンにします。 [黄から赤] を選択します。
マップ上の建物フィーチャは、洪水の推定被害額を反映します。 被害額が大きいフィーチャは赤、小さいフィーチャは黄色で表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [flood_depth_polygons] を削除します。
マップは、現在の標高で被害を受けやすい建物を示しています。
これで現在の状況が視覚化されました。次に、未来年の潜在的な被害を計算します。
2050 年の潜在的な被害の計算
次に、2050 年の予測標高に基づいて、潜在的な被害を解析します。 この解析の手順は、現在の標高を解析する手順と同様です。 ただし、すべてのツールを一度に 1 つずつは実行しません。 代わりに、解析を自動化するモデルを使用して時間を節約します。
GIS ユーザーが、同じ解析を、毎回 1 つか 2 つの変数のみを変更して繰り返し実行するのはよくあることです。ModelBuilder は、1 回で完結するプロセスで一連のツールを実行します。 ダウンロードしたプロジェクトにより、先ほど完了した手順のモデルが提供されています。 まず、入力レイヤーとマップが 2 番目の解析に使用できるよう準備ができていることを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Buildings_Flooded] レイヤーと [flood_depth] レイヤーをオフにします。 [Study Area Buildings] レイヤーをオンにします。
次にモデルを開きます。 モデルは、プロジェクトのデフォルト ツールボックスに保存されます。
- リボンの [表示] タブにある [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] ボタンをクリックします。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。
- [ツールボックス] を展開します。 [Model how land subsidence affects flooding.tbx] を展開します。
- [Flood Model] を右クリックして、[編集] をクリックします。
モデルはそれぞれ独自のビューで開きます。
モデルは、ツール、データ入力、およびデータ出力を連結します。 モデルでは、青い楕円は入力レイヤー、黄色いボックスはツール、緑の楕円は出力レイヤーです。 このモデルは、5 つのセクションに分類され、現在の標高データセットの解析で使用したツールを使用します。 モデルが正しく実行されるよう、すべての入力が正しいことを確認します。
注意:
モデル全体を表示できない場合は、モデル ビューを調整できます。 リボンの [ModelBuilder] タブの [表示] グループで、[ウィンドウに合わせる] をクリックします。
- モデルの [入力 DEM] グループで、[2050 Elevation Raster] エレメントをダブルクリックします。
[2050 Elevation Raster] として [Elevation 2050 (cm)] がすでに設定済みであることに注意します。
- [OK] をクリックします。
- [Select buildings in flooded areas] グループで、[Study Area Buildings] エレメントをダブルクリックします。
モデルの建物レイヤーとして、[Study Area Buildings] レイヤーがすでに設定されています。
- [OK] をクリックします。
次に、洪水の投影に使用するラスター演算を探索します。
- [Flood depth calculations] グループで、[Raster Calculator] エレメントをダブルクリックします。
ツールのパラメーターは、すでに入力されています。
式では、flooded_area_2050 レイヤーは、パーセント記号 (%) で囲まれています。 これらの記号は、レイヤーが存在しないことを示しますが、モデル内の前のツールがレイヤーを作成したため、ツールが実行されるまでには存在するようになります。
- [OK] をクリックします。
モデルを実行できるようになりました。
- リボンの [ModelBuilder] タブの [実行] グループで、[実行] をクリックします。
モデルでツールが実行されると、黄色いエレメントが一度に 1 つ赤くなります。 ツールが終了すると、ツールと緑色の出力データセットの円の背後にグレーの影が表示されます。 これらのシンボルの変化を確認して、モデルの進捗を追跡できます。
モデルが完了するまでに、場合によっては数分ほどかかります。 完了すると、[Flood Model] ウィンドウに [終了] と表示されます。
- [Flood Model] ウィンドウを閉じ、[はい] をクリックして変更内容を保存します。
モデル出力がマップと [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。
[ModelBuilder] グループが、[Buildings_Flooded (2):Buildings_Flooded_2050] と [flood_depth_2050:flood_depth_2050] の 2 つのレイヤーとともに追加されました。
これらのレイヤーの名前を、簡潔な名前に変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、次のレイヤーの名前を変更します。
- [Buildings_Flooded (3):Buildings_Flooded_2050] を [Buildings Flooded 2050] に名前変更します。
- [flood_depth_2050:flood_depth_2050] を [Flood Depth 2050] に名前変更します。
- [Buildings_Flooded] を [Buildings Flooded] に名前変更します。
- [flood_depth] を [Flood Depth] に名前変更します。
- [Study Area Mask]、[Study Area Buildings]、[Buildings Flooded 2050] をオフにします。
- [ModelBuilder] を右クリックして、[グループ解除] をクリックします。
ModelBuilder の 2 つのレイヤーはグループではなくなりました。
- 選択を解除し、プロジェクトを保存します。
現在と、2050 年に予測される地盤沈下後に、洪水が発生する地域と推定被害額を特定しました。 また、モデルを使用して、解析プロセスを繰り返しました。 次に、結果を比較して、地盤沈下が建物や土地に与える影響を確認します。
洪水シナリオの比較
被害の可能性を理解するため、現在と 2050 年のデータセットを比較します。 洪水の範囲と被害の変化を調べます。
浸水深の比較
まず、現在と 2050 年で洪水の範囲がどのように変化しているかを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Flood Depth] レイヤーを [Flood Depth 2050] の直下に移動します。
- [Flood Depth 2050] でシンボルを右クリックし、[連続配色] ドロップダウン メニューをクリックします。 [海底地形 #3] を選択して配色を反転します。
2050 年の浸水深のレイヤーは、現在の浸水深のレイヤーと同じカラー ランプを使用していますが、浸水深の値の範囲は異なります。 現在の浸水深のシンボルを、2050 年の予測のシンボルに一致するよう変更します。
- [Flood Depth] レイヤーをオンにします。 レイヤーを右クリックして、[シンボル] を選択します。
- [シンボル] ウィンドウで [オプション] ボタンをクリックして [レイヤーからインポート] を選択します。
[ジオプロセシング] ウィンドウで [レイヤーのシンボル情報を適用 (Apply Symbology From Layer)] ツールが開きます。
- [シンボル レイヤー] を [Flood Depth 2050] に設定します。
- [実行] をクリックします。
[Flood Depth] レイヤーと [Flood Depth 2050] レイヤーは、比較のため、同じシンボルを使用しています。
レイヤーを比較するには、[スワイプ] ツールを使用します。 このツールにより、マップをスワイプして一方のレイヤーを隠し、その下のレイヤーを表示します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Flood Depth 2050] レイヤーをクリックして選択します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブの [比較] グループで、[スワイプ] をクリックします。
- マップで、Flood Depth 2050 レイヤーの下の [Flood Depth] レイヤーが表示されるようドラッグします。
注意:
画面上のポインターを置いている場所に応じて、縦方向または横方向にスワイプできます。
[Flood Depth 2050] レイヤーのほうが濃い青で表示され、以前に実行した地盤沈下ラスターの計算により水深がより深いことを示しています。 現在に比べると 2050 年は、分析範囲のより広い部分が浸水します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Flood Depth 2050] レイヤーと [Flood Depth] レイヤーをオフにします。
- リボンの [マップ] タブで [マップ操作] ツールをクリックし、スワイプを無効にします。
洪水の推定被害の比較
洪水が発生する地域とその深さを評価したので、建物に起こる可能性のある被害を調べます。 浸水深と同様に、[スワイプ] ツールを使用して洪水の被害を比較します。 まず、より正確に比較できるよう、[Buildings Flooded 2050] レイヤーのシンボルを、[Buildings Flooded] レイヤーに一致するよう変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Buildings Flooded] レイヤーを [Buildings Flooded 2050] の下に移動します。
- [Buildings Flooded] レイヤーと [Buildings Flooded 2050] レイヤーがどちらもオンになっていることを確認します。
- [Buildings Flooded 2050] レイヤーをクリックして選択します。
- リボンの [フィーチャ レイヤー] タブの [描画] グループで、[インポート] をクリックします。
[シンボルのインポート] ウィンドウが開きます。
- [シンボル レイヤー] で [Buildings Flooded] を選択します。
- [OK] をクリックします。
洪水の推定被害を示す 2 つのレイヤーでは、同じ配色および値範囲が使用されています。
- [スワイプ] ツールを使用して、現在および 2050 年に起きる可能性のある洪水の推定被害を比較します。
[Buildings Flood 2050] レイヤーのほうが、現在の洪水を示すデータセットより、濃い青の建物がより多くあります。 また、特に分析範囲の中央部と東部に、2050 年に浸水する建物が他の地域より多くあります。 これらの建造物のほとんどは、被害が少ないより小規模な建物です。
最後に、現在と 2050 年の総被害額を算出し、比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Buildings Flooded] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
- [Damage Costs] フィールド見出しを右クリックして、[統計の視覚化] を選択します。
[チャート プロパティ] ウィンドウと [Damage Costs の分布] チャートが表示されます。 [チャート プロパティ] ウィンドウには、建物当たりの平均被害額とすべての被害額の合計が表示されます。
総被害額は 3 億 1,800 万ユーロを超え、建物当たりの平均被害額は 49 万 5,000 ユーロと推定されました。
- 属性テーブルとチャートを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Buildings Flooded 2050] を右クリックし、[属性テーブル] をクリックします。
属性テーブルは、洪水で被害を被るフィーチャが 3,860 あることを示しています。 これは、今後数十年で被害を受ける可能性のある、追加の 3,217 棟の建物です。
- [Damage Costs] フィールド見出しを右クリックして、[統計の視覚化] をクリックします。 [チャート プロパティ] ウィンドウを確認します。
2050 年の被害総額は、3 億 8400 万ユーロです。 建物当たりの平均被害額は 99,000 ユーロです。 より多くの建物が被害を受けますが、建物当たりの被害額は少なくなるでしょう。
- 属性テーブルとチャートを閉じます。
- プロジェクトを保存します。
被害額を、マップ上で視覚的に比較し、また統計により定量的に比較しました。 2050 年までに、地盤沈下によって洪水の被害を受ける建造物の数は増加するでしょう。 それにより、被害総額も膨らみます。 ただし、この建造物の増加はより小規模な建物と見られます。 これらの小規模な建物は、建物当たりの被害が小さく、フィーチャ当たりの平均被害額は低くなります。
このチュートリアルでは、アムステルダム近郊地域のいくつかの標高データセットが提供されました。 ラスター解析できるようデータを準備し、2050 年の新しい標高データセットを計算しました。 2 つの標高データセットを使用して、地盤沈下のために、同じ洪水イベントが将来引き起こすより甚大な被害を比較することができました。 視覚的に、また要約統計量を使用して、これらの変化を調べました。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。