過去のコレラ流行のマッピング

コレラのデータの調査

1840 年代から 1850 年代にかけて、ロンドンはコレラの大流行に見舞われていました。 当時、細菌やその他の微生物がどのようにして病気を発生させるのかについては、ほとんど理解されていませんでした。 コレラは空気中の瘴気または有害な蒸気により感染すると言われていました。 ジョン・スノウ医師の考えは異なりました。 観測結果により、コレラは水を介して拡散される細菌であると確信していました。 ロンドンでの流行が収束し始めた頃、スノウ医師はデータを集め、パターンを探すためのマップ製作を依頼しました。 ここでは、ポップアップとヒート マップ スタイルを使用してスノウ医師のデータを探索し、コレラが空気により伝播するのか、他の経路で伝播するのかを調査します。

GIS では、地理データをレイヤーとして比較できます。 マップ内の各レイヤーには、パターンおよびそれらがどのように影響し合っているかを見やすくして十分に理解するために比較できる、さまざまな情報が含まれています。 最初に Map Viewer を使用して、1854 年のコレラ流行のデータを表示する、マップ内のレイヤーを探索します。

  1. Cholera Outbreak, 1854 マップを開きます。

    Map Viewer にマップが表示されます。 これには、ロンドンのソーホー地区が表示されています。ロンドンのウェスト・エンドのシティ・オブ・ウェストミンスターにあるエリアです。

    Map Viewer におけるデフォルト マップ

  2. 必要に応じて、リボンで [サイン イン] をクリックします。 ArcGIS Online の組織アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    エラーが発生する場合や、アカウントにサイン インできない場合には、パスワードは大文字と小文字が区別されることを思い出してください。 ArcGIS パスワードを忘れた場合、サイン イン ページからパスワードをリセットできます。 詳細については、「アカウントに関するトラブルシューティング」ページをご参照ください。

    サイン インすると、[レイヤー] ウィンドウが表示されます。

    レイヤー ボタン

    このマップには 3 つのレイヤーがありますが、[Snow's Cholera Map] のみが表示されています。 このマップは、ジョン・スノウ医師がコレラの流行時に収集したデータを記録するために公開したものです。

  3. 画面移動ツールとズーム ツールを使用して、ソーホー地区でも、コレラが特に大流行している場所をマップで調べます。

    道路に沿ってハッシュ記号が積み上げられているマップの細部

    各ハッシュ記号 (道路沿いの改行された太字のライン) は、それぞれの住所でコレラが原因で死亡した人を表します。

    最も死亡報告が多いエリアまたは特定の住所はありますか?

  4. [レイヤー] ウィンドウの [Cholera Cases] レイヤーで、[Cholera Cases の表示] ボタンをクリックします。

    Cholera Cases の表示ボタン

    レイヤーがオンになり、マップ上に表示されるようになります。 [Cholera Cases] レイヤーに、スノウ医師のマップと同じ住所がポイントとして描画されます。 静的画像に含まれるハッシュ記号とは異なり、これらのポイントは操作可能です。

  5. マップ上でいずれかのポイントをクリックします。

    住所と死者数を示すポップアップ

    ポップアップが表示されます。 クリックしたポイントの住所と、そこで発生した死者数が表示されます。 GIS には、マップで描画したり、ラベリングしたりする以上に多くの情報を格納できます。 ポップアップや、レイヤーの属性テーブルで、この情報 (属性情報と呼ばれます) にアクセスできます。

  6. ポップアップを閉じます。
  7. [レイヤー] ウィンドウの [Cholera Cases][オプション] ボタンをクリックしてから [テーブルの表示] を選択します。

    [Cholera Cases] レイヤーの [テーブルの表示] オプション

    レイヤーの属性テーブルが開きます。 各住所で発生した死者数が一覧表示されます。 属性テーブルには、マップ フィーチャに関連する情報を提供する行と列があります。

  8. テーブルの [Deaths] 列で、[メニュー] ボタンをクリックし、[降順で並べ替え] を選択します。

    [降順で並べ替え] オプション

    死者数が最も多い住所から順に、属性テーブルが降順で表示されるようになりました。 これで、最も影響を受けた住所がわかりますが、その理由はわかりません。

  9. 属性テーブルで、[閉じる] ボタンをクリックします。

    属性テーブルの閉じるボタン

    次に進む前に、マップに変更を加えられるように、このマップのコピーを保存します。

  10. [コンテンツ] ツールバーで [保存と開く] をクリックして [名前を付けて保存] を選択します。

    名前を付けて保存オプション

  11. [マップの保存] ウィンドウで、[タイトル] に「1854 Cholera Outbreak Map」と入力します。
  12. [保存] をクリックします。

    マップのコピーが ArcGIS Online アカウントに保存されます。

ヒート マップの作成

属性テーブルは、コレラ死者の場所の詳細を示します。 しかし、マップ上にデータを表示すると、一部のパターンが検出しやすくなる場合があります。 たとえば、ポイントの分布によって、事象の発生頻度が高い位置や低い位置を示すことができます。 これらのパターンをさらに明確にするため、ポイントの表示方法をヒート マップに変更します。 ヒート マップでは、連続したサーフェスとしてポイントが表示されます。このサーフェスでは、ポイントの密度の高い位置が強調されます。

  1. [レイヤー] ウィンドウで、[Cholera Cases] レイヤーが選択されていることを確認します。
    注意:

    選択したレイヤーの名前の横に青いバーが表示されます。 レイヤーを選択するには、クリックします。

    レイヤー ウィンドウで Cholera Cases レイヤーが選択されている状態

  2. [設定] (明るい背景の) ツールバーで、[シンボル] をクリックします。

    シンボル ボタン

    [シンボル] ウィンドウが表示されます。 選択したレイヤー (このケースでは [Cholera Cases]) のスタイル オプションが表示されます。

    デフォルトでは、レイヤーは各ポイントに対して単一シンボルでスタイル設定されます。 このスタイルをすぐに [ヒート マップ] に変更することも可能ですが、その場合のヒート マップは、各ポイントが 1 つの症例を表すという前提でポイントの密度を示すだけのものになります。 しかし、属性テーブルから、一部のポイントは複数のコレラ症例を表すことがわかっています。 この属性データを説明するようにスタイルを変更します。

  3. [シンボル] ウィンドウの [属性の選択][フィールド] をクリックします。

    フィールド ボタン

  4. [フィールドの選択] ウィンドウで、[Deaths] を選択します。

    Deaths フィールド

  5. [追加] をクリックします。

    マップが更新され、大きさの異なるポイント シンボルが表示されます。 マップには、コレラ死者が発生した住所の位置だけでなく、各住所での死者数も表示されるようになりました。死者数が多いほど円が大きくなります。 このスタイルは、ハッシュ記号を使用して死者数を表す、元のマップにより近いものです。

    次に、ヒート マップとしてデータが表示されるようにスタイルを変更します。

  6. [スタイルの選択] で、下にスクロールして [ヒート マップ] をクリックします。

    現在のスタイルとして選択されているヒートマップ

    マップが再度更新されます。

  7. [完了] をクリックします。

    ヒート マップは、密度 (特定のエリアでの現象の程度) を視覚化するのに役立ちます。 紫色と赤色は、コレラ死者の密度が低かったエリアを表します。 黄色は、最も密度が高い場所です。 密度は、位置の近傍性と、各位置での死者数を考慮に入れています。

    ヒート マップ スタイルのマップ

    スノウ医師のマップがヒート マップ シンボルの下にあり見えにくいため、[Cholera Cases] レイヤーの [ブレンド] 設定を調整します。 ブレンドによりレイヤーが視覚的に統合され、すべてのレイヤーが見えやすくなります。

  8. [設定] ツールバーにある [プロパティ] をクリックします。

    プロパティ ボタン

  9. [プロパティ] ウィンドウにある [表示設定] セクションの [ブレンド] で、[通常] をクリックします。

    通常オプション

  10. [ブレンド] ウィンドウで、[暗くする] セクションまでスクロールし、[乗算] を選択します。

    乗算オプション

  11. [ブレンド] ウィンドウを閉じます。

    さらに、レイヤーの透過表示レベルを設定して、そのレイヤーの背後にある他のレイヤーを見やすくすることができます。

  12. [透過表示] ではスライダーを [ 25% ] に移動します。

    透過表示のスライダーを 25% に設定

    マップが更新され、スノウ医師のマップが見えやすくなります。

給水ポンプの調査

次に、スノウ医師のマップにおけるもう 1 つの特徴である、給水ポンプについて見ていきます。

  1. [レイヤー] ウィンドウで、[Water Pumps] レイヤーの表示をオンにします。

    給水ポンプがマップ上に表示されます。 ヒート マップの最も明るい黄色ゾーン近くに給水ポンプがあります。

    透明のヒート マップと給水ポンプのポイント データを重ねた古地図

  2. ヒート マップの明るい黄色ゾーンに最も近い給水ポンプのシンボルをクリックします。

    給水ポンプのポップアップが表示されます。

    マップで特定された中央の給水ポンプ

    これは Broad Street のポンプです。 (その後、Broad Street は Broadwick Street という名称に変更されました。) このマップを見ると、流行発生源の候補として Broad Street のポンプを調査するべきであるという、スノウ医師が達したのと同じ結論になるでしょう。 このマップが公開される前に、スノウ医師は調査結果と論点を市の職員に提示し、市の職員は 1854 年 9 月にこのポンプを水道設備から撤去しました。

    汚染されたポンプが使用停止になると、コレラ流行の勢いが弱まりました。なお、スノウ医師は、市外への転出者によってもコレラ死者数が減少した可能性があることを認めていました。 スノウ医師は自著で、コレラは細菌によって引き起こされ、水を介して伝播すると主張しましたが、興味深いことに、広く読まれ引用されたのはその書籍ではありませんでした。 彼が製作を依頼し、ポンプの撤去後に公開されたマップこそが、その後も彼の調査内容を物語り続けています。

  3. ポップアップを閉じます。 必要に応じて、マップ上のすべてのデータが表示されるまで拡大または縮小します。
  4. [コンテンツ] ツールバーで [保存と開く] をクリックして [保存] を選択します。

このチュートリアルでは、ジョン・スノウ医師が実施した調査を示す Web マップを探索し、属性テーブル、ポップアップ、ヒート マップ スタイルを使用して、コレラ流行の発生源を特定しました。 この例では、データセットは小規模で、レイヤー間の関係は比較的容易にわかるものでした。 多くの場合、地理データセットはより大きく複雑です。 複雑な空間に関する疑問に答え、困難な問題を解決するためには、GIS データを迅速に整理、解析、共有するためのシステムが必要になります。

ジョン・スノウは空間解析の成果を共有し、人々の役に立ちました。 Web マップはアプリとして共有できるため、一般ユーザーが GIS の専門知識を必要とせずに表示できます。 このチュートリアルでは Web アプリの作成方法を扱いませんでしたが、「アプリの作成」チュートリアルで詳細を学習できます。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。