2 つの名前付きバージョンの作成
ブランチ バージョニングが有効な Web フィーチャ レイヤーとしてデータが共有されたので、編集できるようになりました。 名前付きバージョンをデフォルト バージョンに対してリコンサイルする際、競合を検出、確認、解決できるようにするため、これからのすべての編集は名前付きバージョンで行う必要があります。 次に、デフォルト バージョンから 2 つの名前付きバージョンを作成します。 これらの名前付きバージョンを使用し、後から編集を行います。
注意:
このチュートリアルを完了する前に、あなたか、組織内の他の誰かが、このシリーズの最初のチュートリアルである「ブランチ バージョン対応データの準備と公開」を完了している必要があります。
ArcGIS Pro のマップに Web レイヤーを追加する
まず、組織のポータルに接続し、[Madrid Solar Project] Web レイヤーを新しいマップに追加します。
- ArcGIS Pro を起動します。
- [新しいプロジェクト] の下の [テンプレートを使用せずに開始] をクリックします。
- リボンの上部で [サイン インしていません] をクリックし、[サイン イン] をクリックします。
- [ArcGIS サイン イン] ウィンドウで、編集権限を持つポータル アカウントのユーザー名とパスワードを入力します。 [サイン イン] をクリックします。
- [カタログ] ウィンドウで [ポータル] タブをクリックし、[組織] ボタンをクリックします。
最初のチュートリアルで作成した [Madrid Solar Project] アイテムを含む、組織のポータル アイテムがすべて表示されます。
- [Madrid Solar Project] フィーチャ レイヤー (黄色のアイコン) を右クリックし、[新しく追加] にポインターを合わせて、[マップ] をクリックします。
新しいマップにデータが表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Madrid Solar Project] の横にある矢印をクリックし、グループ レイヤーを展開します。
グループ レイヤーには、[Buildings] と [Neighborhoods] の 2 つのレイヤーが含まれています。
バージョンを作成する
次に、リボンの [バージョニング] タブを有効にし、バージョン ビューを開き、Web フィーチャ レイヤーの新しいバージョンを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [データ ソース別にリスト] ボタンをクリックします。
マップのレイヤーは、マップ上で描画される順序ではなく、データ ソース順にリストされます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Madrid Solar Project] データ ソース ([sde.DEFAULT (Madrid_Solar_Project)] など) をクリックします。
前のチュートリアルでこのデータ ソースのブランチ バージョニングを有効にしたため、リボンに [バージョニング] タブが表示されます。
- リボン上の [バージョニング] タブをクリックします。
- [バージョニング] グループで [バージョンの管理] をクリックします。
バージョン ビューが表示されます。
バージョン ビューには [デフォルト] というバージョンしかありません。 すべてのエンタープライズ ジオデータベースはデフォルト バージョンで作成されます。これには、データの信頼済みバージョンが含まれます。 次に、編集タスクに使用する 2 つの名前付きバージョンを作成します。
リボンの [バージョン] タブの [バージョンの管理] グループで、[新規] をクリックします。
新しい行がテーブルに表示されます。
- [名前] に「Imperial Work Order 1」と入力します。
各バージョンには、バージョン所有者が決定した名前があります。 次に編集する必要があるのは「Imperial」という地区です。
- Tab を押します。
[所有者] フィールドはすでに設定済みです。 デフォルト バージョンの所有者は、常にジオデータベース管理者です。 名前付きバージョンの場合、所有者はバージョンを作成したポータル ユーザーです。
- Tab キーを 2 回押します。 [説明] フィールドに「Batch edit of solar potential field in the Imperial neighborhood」と入力します。 Tab を押します。
- [アクセス] で [プライベート] を選択します。
バージョンのアクセス権はパブリック、プロテクト、プライベートのいずれかです。 通常、バージョンを作成したユーザー以外はそのバージョンにアクセスする必要はないため、バージョンのアクセス権はプライベートに設定されています。 アクセス権がパブリックに設定されている場合、他のユーザーもバージョンを編集できます。 アクセス権がプロテクトに設定されている場合、他のユーザーはバージョンを表示できますが、編集はできません。
注意:
このチュートリアルでは、デフォルト バージョンは、ユーザー アカウントを余分に追加しなくても済むよう [パブリック] アクセスに設定されています。 しかし、独自のワークフローでは、デフォルト バージョンの [アクセス] を [プロテクト] に設定することをお勧めします。 これにより、昇格した権限を持つポータル ユーザーのみがデフォルト バージョンを直接編集できるようになります。 デフォルト バージョンのアクセス タイプを変更する方法については、「デフォルト バージョンを保護する」ドキュメントをご参照ください。
テーブルには、2 つの空白のフィールドがあります。
- [リコンサイル済み] フィールドには、最終リコンサイル操作の日時が表示されます。 作成日以降または最終ポスト日以降リコンサイルされていない場合は、このフィールドは空白になります。
- [整合チェック済み] フィールドには、属性ルールの最終評価日時が表示されます。 ジオデータベースに属性ルールが定義されていない、またはルールが一度も評価されたことがない場合は、空白になります。 このプロパティは、ブランチ バージョンにのみ利用できます。
- リボンの [バージョン] タブの [バージョンの管理] グループで、[保存] をクリックします。
別のバージョンを作成する
次に、上記と同じ手順で 2 つ目の名前付きバージョンを作成します。
- バージョン ビューの任意の場所を右クリックし、[新規] をクリックします。
- [名前] に「Imperial Work Order 2」と入力します。
- [説明] に「Attribute edits in the Imperial neighborhood」と入力します。
- [アクセス] で [プライベート] を選択します。
- バージョン ビューの任意の場所を右クリックし、[保存] をクリックします。
- バージョン ビューを終了します。
このモジュールでは、ArcGIS Pro の新しいマップに [Madrid Solar Project] Web フィーチャ レイヤーを追加しました。 リボンの [バージョニング] タブを有効にし、バージョン ビューを開きました。 そこから、2 つの名前付きバージョンを作成しました。 次に、両方のバージョンのデータに対して編集を行います。
Imperial Work Order 1 バージョンでの編集
最終的には、チームで日射量データを収集し、マドリードにあるすべての建物の予想日射量を計算します。 これまで、6 つの地区に対して、このプロセスが完了しました。 マップで、これらの地区の建物はオレンジ色と赤色の陰影でシンボル表示され、予想日射量を示しています。

マップの 7 つ目の地区 (Imperial) では、データ収集プロセスはまだ一部しか完了していません。 次に、Imperial 地区の建物の編集を続けます。 ただし、データはブランチ バージョン対応登録されているため、以降の編集はすべて名前付きバージョンで行われます。 名前付きバージョンで編集を実行することで、複数のユーザーが同時にデータを編集できるようになるとともに、編集間の競合を検出して解決できるようになります。
名前付きバージョンへの接続
ブランチ バージョニングを有効にした後、デフォルト バージョンは確認および完了したデータ用に予約されているため、どのユーザーも編集しないでください。 そのため、編集を行う前に、名前付きバージョンのいずれかに接続します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Madrid Solar Project] ワークスペースを右クリックし、[バージョンの変更] をクリックします。
- [バージョンの変更] ウィンドウで [Imperial Work Order 1] バージョン (例: [ADMIN.Imperial Work Oder 1]) をクリックします。
- [OK] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Madrid Solar Project] ワークスペースに [Imperial Work Order 1] というテキストが含まれていることを確認します (例: [ADMIN.Imperial Work Order 1 (Madrid_Solar_Project)])。
ワークスペース名の変化により、デフォルト バージョンではなく、名前付きバージョンに接続されていることが確認できます。
編集する建物の選択
[Imperial Work Order 1] バージョンに接続したので、このバージョンのデータを編集できるようになりました。
Imperial 地区では、日照時間、面積、入射放射量などの属性は収集されていますが、予想日射量はまだ計算されていないため、この地区の建物はすべて薄黄色でシンボル表示されています。 次に、Imperial 地区の建物を選択し、一度に編集できるようにします。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[選択] をクリックします。
- マップで、Imperial 地区の境界をクリックして選択します。
- リボンの [空間条件で選択] をクリックします。
- [空間条件で選択] ウィンドウの [入力フィーチャ] で、[Buildings] レイヤー (例: [Madrid Solar Project\GIS.Buildings]) を選択します。
このレイヤーのフィーチャが選択セットに対して評価されます。
- [関連性] で [含まれる] を選択します。
- [選択フィーチャ] で、[Neighborhoods] レイヤー (例: [Madrid Solar Project\GIS.Neighborhoods]) を選択します。
このレイヤーでは、1 つのフィーチャ (Imperial 地区) のみが選択されています。 このツールは、選択した地区内のすべての建物を見つけて選択します。
- [OK] をクリックします。
Imperial 地区のすべての建物が選択されています。 マップの下にある [選択フィーチャにズーム] ボタンは、[387] 個のフィーチャが選択されていることを示しています。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Buildings] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] をクリックします。
- 属性テーブルの下にある [選択レコードを表示] ボタンをクリックします。
テーブルには、選択したレコードのみが表示されます。
一括編集の実行による予想日射量の計算
[Potencialidad solar] フィールド内のすべての値が、選択した建物に対して 0 に設定されます。 [フィールド演算] ツールを使用し、他のフィールドですでに収集されたデータに基づいて、Imperial 地区の各建物の予想日射量を計算します。
- [Potencialidad solar] フィールド ヘッダーを右クリックして [フィールド演算] をクリックします。
- [フィールド演算] ウィンドウの [式の種類] で、[Python] を選択します。
- [POT_SOLAR =] ボックスで、次のテキストを入力するか、コピーして貼り付けます。「(!Building_AREA! * !rad_incide!) / 20」
- [OK] をクリックします。
属性テーブルの [Potencialidad solar] フィールドには、選択したレコードに対して 0.047611 〜 4.408547 の値が設定されています。
注意:
このチュートリアルで予想日射量の計算に使用する式は、説明のみを目的としています。 Imperial 地区の建物の実際の予想日射量の値については、元のデータセットをご参照ください。 これらの値は、日照時間の割合、方位、傾斜角、各建物の面積を使用した適合性モデルを使用して計算されました。
- 属性テーブルを閉じます。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックして選択を解除します。
マップで、Imperial 地区の建物がオレンジ色と赤色の陰影でシンボル表示されるようになり、新しい予想日射量の値が反映されました。
この 2 つ目のモジュールでは、[Imperial Work Order 1] バージョンに接続し、フィーチャのグループを選択し、[フィールド演算] ツールを使用して、Imperial 地区のすべての建物の予想日射量を計算しました。
Imperial Work Order 2 バージョンでの編集
チームが Madrid Solar Project データの編集を開始すると、複数のユーザーが複数のバージョンを、多くの場合は同時に編集することになります。 次に、このチュートリアルで以前に作成した 2 つ目のバージョンで編集をテストします。 Imperial 地区のある建物の日射量インジケーターを手動で変更します。
2 つのバージョンで編集を行うことで、後でこのシリーズの最後のチュートリアルでバージョンのリコンサイルをテストすることができます。
名前付きバージョンへの接続
[Madrid Solar Project] ワークスペースは、[Imperial Work Order 1] バージョンに接続されたままです。 次の編集を実行する前に、[Imperial Work Order 2] バージョンに接続します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Madrid Solar Project] ワークスペースを右クリックし、[バージョンの変更] をクリックします。
- [バージョンの変更] ウィンドウで [Imperial Work Order 2] バージョン (例: [ADMIN.Imperial Work Order 2]) をクリックします。
- [OK] をクリックします。
[コンテンツ] ウィンドウで、ワークスペースが新しいバージョン名で更新されます。
マップで、Imperial 地区の建物が再び薄黄色でシンボル表示されます。 前のモジュールで予想日射量を計算する際に行った編集は、別のバージョンに属しており、表示されません。
属性値の編集
次に、Municipal Sports Center ビルディングを選択します。 入射放射線の値を編集し、最新の正確な計測値を反映します。 この変更に基づいて、予想日射量の値も再計算します。
- マップで、Imperial 地区にズームします。
Municipal Sports Center は地区の中心部付近にあります。 [Paseo Imperial] というラベルが付いた道路と 3 つの運動場の間にある大きな長方形の建物です。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択] をクリックします。
- マップで、Municipal Sports Center ビルディングをクリックして選択します。
最近、この建物の入射放射線を再計算したところ、データで報告されている現在の値が正しくないことがわかりました。 フィーチャの属性でこの値を更新します。
- リボン上の [選択] グループで [属性] をクリックします。
[属性] ウィンドウが開き、選択したフィーチャの属性が表示されます。
- [属性] ウィンドウで、[Radiación incidente] (入射放射線) 値を「0.00512」に編集します。
[Potencialidad solar] 値は [Radiación incidente] 値から取得されているため、このチュートリアルの前半で使用したのと同じ計算を使用して、このフィールドも更新します。
- [Potencialidad solar] 値を「1.876058」に編集します。
- ウィンドウの下部で、[適用] をクリックするか、[自動的に適用] チェックボックスがオンになっていることを確認します。
- マップで、建物の色がオレンジ色に変化し、周辺の建物の黄色よりも少し濃くなっています。
次に、編集内容をコミットします。
- リボンの [編集] タブをクリックします。 [編集の管理] グループにある [保存] をクリックします。
- [編集の保存] ウィンドウで [はい] をクリックします。
ひとまず編集が完了したため、フィーチャ レイヤーのデータ ソースをデフォルト バージョンに戻します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Madrid Solar Project] ワークスペースを右クリックし、[デフォルトに変更] をクリックします。
マップで、Municipal Sports Center ビルディングの色が黄色に戻ります。 2 つの名前付きバージョンで行った編集は、デフォルト バージョンには存在しません。
- ArcGIS Pro を閉じます。 プロジェクトを保存する必要はありません。
このモジュールでは、Imperial Work Order 2 バージョンに接続し、Municipal Sports Center ビルディングの属性を変更しました。
このチュートリアルでは、Madrid Solar Project Web フィーチャ レイヤーの 2 つの名前付きバージョンを作成しました。 各バージョンに順番に接続して編集を行いました。 最初のバージョンでは、[フィールド演算] ツールを使用して一括編集を実行しました。 2 つ目のバージョンでは、1 つの建物の属性を手動で編集しました。
このシリーズの最後となる次のチュートリアル「バージョンのリコンサイルとポスト」では、2 つの名前付きバージョンをデフォルト バージョンとリコンサイルし、それらの間に存在する競合を解決します。