レイアウトの挿入
ArcGIS Pro では、分析、編集、マップ設計を行うマップ ビューとは別の、レイアウト ビューでレイアウト設計を実行します。 このチュートリアルのマップは、すでにシンボル表示され、ラベル付けされています。 まず、マップ ビューで確認します。 次に、新しいレイアウトを作成して、それに 2 つのマップを追加します。 チュートリアル シリーズの残りの部分で、レイアウト ビューを操作します。
- American River プロジェクト パッケージをダウンロードします。
American_River.ppkx という名前のファイルが、コンピューターにダウンロードされます。
注意:
.ppkx ファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。
- コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。 [American River.ppkx] をダブルクリックして、ArcGIS Pro で開きます。
- サイン インを求められたら、ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
マップが開き、河口域の各エリアをカバーしている主な植生または堆積物のタイプが表示されます。 河口域は湿地帯の一種です。 通常、河口域は、河川からの淡水と、海との接続部分からの海水が混じり合う沿岸の水域です。 このように水が混じり合うことで、多くの栄養素が供給され、その結果、生物多様性が高くなります。
この河口域は American River と名付けられ、南オーストラリア州のカンガルー島にあります。 渉禽類、海鳥、魚類にとって重要な場所であり、ペリカン ラグーン保護公園があります。 ただし、開発、観光、栄養塩負荷の増加による脅威に直面しています。
注意:
このマップのデータは南オーストラリア州政府から取得されました。 American River とカンガルー島の他の河口域の詳細については、南オーストラリア州政府の環境遺産局のレポート「Kangaroo Island Natural Resources Management Region: Estuaries Information Package」(カンガルー島自然資源管理地域: 河口域情報パッケージ) をご参照ください。
- マップ上部の [Tidal Class] タブをクリックします。
Tidal Class マップが表示されます。 これが現在のアクティブ ビューです。 このマップは、河口域の潮間帯、潮上帯、座礁感潮域を定義します。 この情報を最初のマップに含めることもできましたが、別のマップに含めたほうが読みやすくなります。 1 つのマップに多くの情報を盛り込むほど、その情報の解釈は難しくなります。 多くの場合、2 つ目のマップを作成するのが最善策です。
- ズームや画面移動してマップを調査し、河口への理解を深めます。
次に、レイアウトをプロジェクトに挿入します。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[新しいレイアウト] をクリックします。
- 表示されたメニューで下方向にスクロールします。 [ISO - 横] セクションで、[A3] をクリックします。
これはクライアントが希望しているサイズです。 ISO は、オーストラリアを含め、世界のほとんどで使用されている用紙サイズの標準で、ANSI は、主に北米で使用されている標準です。
レイアウト ビューが開き、新しい空のレイアウトが表示されます。
ガイドの追加
マップをレイアウトに追加する前に、そのマップや他のエレメントの配置に役立つガイドを設定します。
- リボンの [レイアウト] タブをクリックします。 [表示] グループで、[ルーラー] と [ガイド] の両方がオンになっていることを確認します。
- レイアウト ビューの周囲のルーラーを右クリックして、[複数のガイドの追加] をクリックします。
[ガイドの追加] ウィンドウが表示されます。 余白を統一させるために、レイアウトの各端からオフセットするガイドを 4 つ追加します。
- [ガイドの追加] ウィンドウで、以下のパラメーターを変更します。
- [方向] で [両方] を選択します。
- [配置] に [エッジからのオフセット] を選択します。
- [余白] に「10」mm と入力します。
- [OK] をクリックします。
これで、細い青色の線が、マップの周囲の余白領域を示します。 印刷時に切れてしまうため、これらの線の外側に文字やその他の情報を配置しないようにします。
次に、ページ上で 2 つのマップをどのように配置するかを検討します。 マップは縦長なので、横に並べて配置するのが最も簡単です。 マップを配置しやすくするために、レイアウトの中央にガイドを追加します。
- ルーラーを再度右クリックして、[複数のガイドの追加] をクリックします。
- [方向] で [垂直] を選択します。 [配置] で、[中央] を選択します。
- [OK] をクリックします。
ガイドがレイアウトの中央に表示されます。
マップ フレームの追加
次に、マップごとに 1 つずつ、2 つのマップ フレームをレイアウトに追加します。 マップ フレームを後で区別しやすくするために、[コンテンツ] ウィンドウでマップ フレームの名前を変更します。
- レイアウト ビューの下に [スナップ] ボタンがハイライト表示され、スナップがオンであることを示していることを確認します。
- [スナップ] ボタンにポインターを合わせて、最初の 3 つのオプションがハイライト表示されていることを確認します。
4 つ目のオプションもハイライト表示されていても構いません。
これらを設定することで、対話型レイアウト ツールを使用する場合に、ガイド、その他のエレメント、ページ境界にスナップできます。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [マップ フレーム] グループで、[マップ フレーム] をクリックします。
[Cover Type] の下に、2 つのオプションがリストされます。 両者の違いはマップの初期縮尺と範囲のみで、これらは後で変更できます。
- [Cover Type] をクリックします。
- (ガイドの角ではなく) レイアウト ページの左上隅にポインターを合わせます。
破線がマップに表示され、角にスナップできることが分かります。
- 破線が両方向に表示されている場合は、クリックして、レイアウトの下部中心 (中心ガイドがページの下端と接する位置) にスナップするまでドラッグします。
ページの半分にマップ フレームが表示されます。 河口の表示が小さすぎたり、中心からずれたりしてもかまいません、後で、縮尺と位置を調整します。
- リボンで [マップ フレーム] を再びクリックします。 今回は [Tidal Class] を選択します。
- クリックして、2 つ目のマップでレイアウトのもう一方の半分が埋まるまでドラッグします。
次に、マップ フレームを区別しやすくするために、[コンテンツ] ウィンドウで 2 つのマップ フレームの名前を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [マップ フレーム 1] をクリックして選択し、もう一度クリックして名前を変更できるようにします。
ヒント:
F2 を押して、名前を編集することもできます。
- 「Tidal Class」と入力します。
マップ レイヤーにアクセスする必要がない間は、マップ フレームを折りたたんだままにしておきます。 これにより、エレメントをさらに追加しても、[コンテンツ] ウィンドウを整然とした状態に保てます。
- [Tidal Class] マップ フレームの横の矢印をクリックして、折りたたみます。
- [マップ フレーム] アイテムの名前を「Cover Type」に変更し、同様に折りたたみます。
マップの配置
このレイアウトでは、2 つのマップが最も重要なエレメントです。 そのため、マップの位置を最初に設定します。他のすべてのエレメントは、後でその周辺に配置できます。 2 つのマップ フレームをアクティブ化し、マップの縮尺と位置を変更します。 位置を後で再設定するためのブックマークと、両方のマップが同じ縮尺と位置を共有するようにマップ フレームの制約を作成します。
- レイアウトで [Tidal Class] マップ フレーム (画像のあるマップ) をクリックして選択します。
- レイアウト ビューの下部にある縮尺ボックスをダブルクリックします。 「36000」と入力して Enter キーを押します。
縮尺が 1:36,000 に更新されます。
本チュートリアルでは、縮尺が提案されています。 実際には、設計に合わせて最適な縮尺を判断するために試行する必要があります。
- [Tidal Class] マップ フレームを右クリックして [アクティブ化] をクリックします。
これで、マップを対話的に操作することができます。
- 河口域が右側のガイドと下側のガイドの両方に接するようにマップを画面移動します。
この位置にすると、レイアウトの上側にタイトル用の余白が残ります。
ヒント:
マップの代わりにレイアウト上で画面移動およびズームするには、1 キーを押したままにします。 誤ってマップ上でズームした場合は、縮尺ボックスに「36,000」と再入力します。
リボンの [マップ] タブがアクティブ化しています。 レイアウトからマップ フレームをアクティブ化すると、すべてのマップのツールにアクセスできます。 ブックマークをマップに追加します。 後でマップを誤って移動した際に、縮尺と位置を簡単に再設定できます。
- リボン上の [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで [ブックマーク] をクリックします。
- [新規ブックマーク] をクリックします。
- [ブックマークの作成] ウィンドウで、[名前] に「1:36,000」と入力します。
- [OK] をクリックします。
- レイアウト ビューの上部で [レイアウトに戻る] ボタンをクリックして、アクティブ化を終了します。
次に、もう 1 つのマップの縮尺と位置が最初のマップと正確に一致するように、それらを設定します。 これを行うには、マップをアクティブ化して新しいブックマークにズームする方法がありますが、今回はその代わりに、マップ フレームの制約を使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Cover Type] マップ フレームを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
[エレメント] ウィンドウが表示されます。 [エレメント] ウィンドウには、現在選択されているレイアウト エレメントのプロパティが表示されます。
- [エレメント] ウィンドウで [表示オプション] ボタンをクリックします。
- [制約] で [リンクされたマップ フレーム範囲] を選択します。 [マップ フレーム] で、[Tidal Class] を選択します。
[Cover Type] マップが、もう 1 つのマップの縮尺と範囲に合わせて変わります。
ここで、決定したことを変更し [Tidal Class] マップ フレームの新しい縮尺と範囲を選択すると、[Cover Type] マップ フレームは自動でその縮尺と範囲に更新されます。
- [コンテンツ] ウィンドウの両マップ フレームの横にある [ロック] ボタンをクリックします。
マップフレームをロックすると、レイアウト上のマップを誤って選択したり、移動させたりできなくなります。 これにより、後でマップの上部にその他のエレメントを配置するのが簡単になります。
タイトルの追加
次に、タイトルを追加します。 マップのラベルに合うフォントの形式を設定し、テキスト シンボルをスタイルに保存して、レイアウトの他の場所で再利用できるようにします。 また、フォントのプロパティを調整して、タイトルが大きくなりすぎることなく、レイアウト上部全体に広がるようにします。
- リボン上の [挿入] タブにある [グラフィックスとテキスト] グループで [直線状のテキスト] ボタンをクリックします。
初期のフォントサイズは小さいため、まず、レイアウトを拡大します。
- 拡大します。 任意の場所をクリックして、「American River Marine Estuary」と入力します。
- クリックして入力を終了します。
テキストは、ボックスで囲まれたままであり、それが選択されていることを示しています。 マップのラベルで使用されているフォントに一致するように、フォントを変更します。 2 つまたは 3 つ以上のフォントをマップ上で使用すると、乱雑で意図が分からない見た目になる恐れがあります。
- テキストが選択されていない場合は、テキストをクリックします。 リボンで [テキスト] タブをクリックします。
- [テキスト シンボル] グループで、現在のデフォルトの書体である [Tahoma] をクリックし、「bah」と入力して検索します。 [Bahnschrift] をクリックして、選択したテキストの新しい書体として設定します。
- テキストを選択したままで、フォント スタイルを [Bold] に変更します。 フォント サイズを [12 pt] に変更します。
後でタイトルを 12 ポイント以上にしますが、ここではマップ ラベルと同じサイズに設定して、テキスト スタイル 1 つをそこから保存できるようにします。
- マップで [American River Marine Estuary] を右クリックし、[スタイルに保存] を選択します。
- [名前を付けてテキスト シンボルを保存] ウィンドウの [名前] に「Layout」と入力します。
- [OK] をクリックします。
[Layout] テキスト スタイルは後で使用します。
- タイトルの端をドラッグして、拡大します。
これは直線状のテキスト エレメントのため、フォントサイズも同時に大きくなります。
- リボンの [レイアウト] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで [全体表示] ボタンをクリックします。
レイアウト ビューがズームして、レイアウト全体が表示されます。
- おおよそページの幅いっぱいになるように、タイトルのサイズを変更します。
また、タイトルをすべて大文字に変更します。 すべての文字を消して再入力するのではなく、[エレメント] ウィンドウから変更できます。
- [エレメント] ウィンドウで、[テキスト シンボル] タブ、[一般設定] ボタンの順にクリックします。
ヒント:
[エレメント] ウィンドウが表示されていない場合、タイトルをダブルクリックするか、タイトルを右クリックして [プロパティ] をクリックします。
- [テキスト タイプ] で [大文字] を選択します。
- ウィンドウの下部にある [自動的に適用] がオンになっていることを確認します。
タイトルが非常に大きく表示されました。 タイトルをより小さくしつつも、ページ幅全体におよぶようにしていきます。 単語の間隔と文字の間隔を広げることで可能です。
- [エレメント] ウィンドウで [書式設定] ボタンをクリックします。
- [単語間隔] で、「130」パーセントと入力します。 [文字の間隔] で、「50」パーセントと入力します。
- レイアウト上でタイトルが上、右、左のガイドにスナップするように、タイトルのサイズを再設定して配置します。
タイトルへの背景の追加
次に、タイトルに背景を追加して、タイトルに重みを加え、マップと区別を付けます。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [グラフィックスとテキスト] グループで、ギャラリーを展開します。
- [ポリゴン] で、[四角形] をクリックします。
- レイアウト上で、クリックおよびドラッグして、タイトルを囲み、レイアウトの上部を埋める四角形を作成します。
- 必要に応じて、四角形のサイズを再設定してレイアウトの上端、右端、左端にスナップするように配置し、タイトル テキストのすべての辺に均等な余白が形成されるようにします。
デフォルトでは、四角形シンボルは塗りつぶしなしで、アウトラインは細い黒色です。 これをソリッド塗りつぶしでアウトラインなしに変更し、ページの上にバナーのように表示する設定にします。
首尾一貫した見た目のレイアウトを作成するには、マップに繰り返し同じ色を使用するなど、限られた色のパレットの使用が重要です。 2 つのマップは両方とも非常に色鮮やかであり、これらのマップを目立たせる必要があります。 レイアウトのマップ以外のエレメントに黒、白、グレーなどの中間色を使用すると、マップが目立ちやすくなります。 黒は中間色で、マップにも使用されている色なので、ヘッダーに適しています。
- [エレメント] ウィンドウで [シンボル] タブをクリックします。
[色] で、黒を選択します。 [アウトライン幅] で [0 pt] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[テキスト] エレメントを [四角形] エレメントの上にドラッグします。
- [エレメント] ウィンドウで [テキスト シンボル] タブをクリックします。 [色] で白を選択します。
テキストが、黒い背景に白のテキストで表示されます。
サブタイトルの追加
タイトル テキストのコピーを作成し、それを調整してサブタイトルを作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[テキスト] エレメントを右クリックして、[コピー] をクリックします。
- [レイアウト] を右クリックして [貼り付け] をクリックします。
- [エレメント] ウィンドウの [テキスト] で、「Kangaroo Island, South Australia」と入力します。
レイアウトには、以前に構成した設定により、テキストが大文字で表示されます。
- [エレメント] ウィンドウで [テキスト シンボル] タブをクリックします。 [サイズ] に「19」pt と入力します。
- 新しいテキスト エレメントをドラッグして、タイトル テキストの下に配置します。 ページの中心にスナップします。
次に、サブタイトル用に四角形の背景を作成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[四角形] エレメントのコピーを作成します。 両テキスト エレメントの下にドラッグします。
- サブタイトルのテキスト用に背景が均一になるように、新しい四角形のサイズと位置を変更します。
すべてのタイトル エレメントをグループ化して、[コンテンツ] ウィンドウを整理した状態にします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、Shift キーを押しながら、テキストと四角形エレメントのすべてをクリックすると、それらを同時に選択できます。
- 右クリックして、[グループ] をクリックします。
- [グループ エレメント] の名前を「Title」に変更します。
- [Title] グループを折りたたみます。
- [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] ボタンをクリックして、プロジェクトを保存します。
このチュートリアルでは、レイアウトを作成しました。 複数のガイド、2 つのマップ フレーム、1 つのタイトルを追加しました。 また、マップの配置とタイトル テキストの書式設定を行いました。 タイトルの背景を形成する四角形のグラフィックスを追加しました。 マップとタイトルはレイアウト内で最も大きく、最も重要なエレメントになるため、それらを始めにデザインするのがポイントです。
次に、レイアウトの配置のチュートリアルで、凡例や縮尺記号などの地図整飾をレイアウトに追加してみてください。