洪水の危険性の解析
注意:
このチュートリアルでは Map Viewer Classic を使用します。Map Viewer Classic は、Map Viewer の前身です。 一部の機能は、Map Viewer では使用できません。 以下のワークフローについては、Map Viewer の今後のリリースでサポートされるようになるまで、Map Viewer Classic を使用することをお勧めします。
まず最初に、洪水氾濫域、地質上の危険性のある区域、国勢調査区を表すレイヤーをいくつか使用して、ボルダー郡の分析範囲を調査します。 これらの相互関係を視覚的に調査して地域特有の地形を十分に理解したら、次に、「Floodways (洪水氾濫域)」レイヤーのバッファーリングと情報付加を行って、洪水の危険性の高い地域を特定します。
サイン インしてマップを調査
データを調査するには、まずマップを開く必要があります。
- ArcGIS Online を開いてサイン インします。
ArcGIS Online
ArcGIS の組織アカウントにサイン インします。
ArcGIS Enterprise
指定ユーザー アカウントを使用して、ArcGIS Enterprise ポータルにサイン インします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- ArcGIS Online グループの「Identify Landslide Risk Areas in Colorado」に移動します。
Learn_ArcGIS 所有の [Boulder County Geologic Hazard Zones] (ボルダー郡の地質上の危険性のある区域) マップのアイテム ページが表示されます。
- [Boulder County Geologic Hazard Zones] アイテム ページで、[Map Viewer] の横の矢印をクリックし、[Map Viewer Classic で開く] をクリックします。
マップが Map Viewer Classic に読み込まれます。
注意:
組織とユーザーの設定によっては、Map Viewer が開いている場合があります。ArcGIS Online には、マップの表示、使用、作成のための 2 つの Map Viewer があります。 利用可能で使用する Map Viewer の詳細については、こちらの「FAQ」をご参照ください。
ここで、変更内容を保存できるようにマップのコピーを作成しておきます。
- リボンの [保存] をクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。
- [タイトル] に「Boulder County Map」と入力し、[サマリー] で既存のテキストを「洪水と地滑りのリスクが高い地域を示した Web マップ。」に変更します。
- [マップの保存] をクリックします。
新しいマップが [マイ コンテンツ] に保存され、ページの上部に新しいタイトルが表示されます。
レイヤーには、「Major Hazard (危険性が高い)」、「Moderate Hazard (危険性が中程度)」、「Moderate Constraint (制約が中程度)」、「Minor Constraint (制約が少ない)」という 4 つの分類があります。 これらの分類は、重大な地質工学的問題 (特に、考えられる地滑り) が発生する可能性を表し、傾斜 (地形の傾き)、方向 (傾斜の方向)、および土質によって決まります。 「Major Hazard (危険性が高い)」区域のほとんどが郡の西側にあり、この区域の細い回廊地帯が郡の中央部まで伸びています。 「Major Hazard (危険性が高い)」区域が他にも南東部に点在しています。
危険性のレイヤーにフィルターを適用
解析の際には、「Major Hazard (危険性が高い)」分類のみを使用します。 このステップでは、この分類だけを表示するようにレイヤーにフィルターを適用することで、視覚解析がわかりやすくなります。
- 必要に応じて、[詳細] ウィンドウにある [コンテンツ] ボタンをクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで 「Geologic Hazard Zones」レイヤーをポイントして、[テーブルの表示] ボタンをクリックします。
テーブルが開き、レイヤーの属性が表示されます。 このデータでただ 1 つの可視属性は、危険区域の種類を記述する [Description] フィールドです。 このフィールドを使用して、レイヤーにフィルターを適用します。
- テーブルを閉じます。
- [コンテンツ] ウィンドウで 「Geologic Hazard Zones」レイヤーをポイントして、[フィルター] ボタンをクリックします。
[フィルター] ウィンドウが開きます。このウィンドウでは、レイヤーに表示されるフィーチャを制限する式を作成できます。
- 式の 1 番目のドロップダウン メニューが [Description] に設定されており、最後のドロップダウン メニューが [Major Hazard (危険性が高い)] に設定されていることを確認します。
式が「Description is Major Hazard (説明 is 危険性が高い)」に設定されました。これで、危険性が高いフィーチャだけが表示されます。
- [フィルターの適用] をクリックします。
マップが再描画され、危険性が高い区域 (赤色) だけが表示されます。
国勢調査区ポイントと洪水氾濫域の調査
地質上の危険性データはボルダー郡の地形を知る手掛かりになりますが、大規模な洪水や地滑りが起きた場合にどの地域が危険にさらされるかを把握するには至りません。 このため、危険性が高い区域と洪水氾濫域レイヤーおよび人口レイヤーとの比較が必要になります。
- [コンテンツ] ウィンドウで「Census Block Points (国勢調査区ポイント)」レイヤーの横にあるボックスをオンにして、そのレイヤーを表示します。
ポイントのレイヤーが表示されます。 各ポイントは国勢調査区の重心 (United States Census Bureau で人口の追跡に使用される地理的な最小単位) を表します。 ポイントが大きくなるほど、人口が多くなることを意味します。
ヒント:
詳細については、「米国の国勢調査区画」をご参照ください。
国勢調査区と地質上の危険性のある区域を視覚的に比較してみると、大部分の国勢調査区が「Major Hazard (危険性が高い)」区域に属していないという好結果がもたらされます。 この結果は、災害が直撃しても大部分の住民 (と家屋) が安全であることを意味していますか?
地滑りとその他の地質災害は地質上の危険性の高い区域で起きると思われますが、残念ながら、それだけで終わるとは限りません。 洪水が発生した場合は、ロッキー山脈の峡谷を通って 1 キロメートル先の下流に土砂が運ばれ、上流が氾濫した結果、危険区域に属していない地域にも被害が及ぶ可能性があります。
1 つの地域から別の地域に地質災害が流動する可能性を解析の範囲に加味するには、「Floodways (洪水氾濫域)」レイヤーを調査します。
- 「Floodways (洪水氾濫域)」レイヤーの左にあるボックスをオンにして、そのレイヤーを有効にします。
河川を視覚的に表現するレイヤーがマップ上に描画されます。 洪水氾濫域は流水路であり、流水路付近の地域から下流に向かって大量の水が流れ込みます。 これらの地域は氾濫原の一部となっているため、大規模な洪水が発生した場合に水没するおそれがあります。
洪水氾濫域は西から北東に及び、標高の高いロッキー山脈から比較的標高の低い東部の平原地帯に水が流れ込みます。 Geologic Hazard Zones レイヤーとは異なり、Floodways レイヤーの多くは人口密度の高い地域と交差しています。 つまり、洪水が発生すると、多数の住民が危険にさらされる可能性があります。
前述のとおり、洪水氾濫域は氾濫原の一部にすぎません。 2013 年 9 月と同様の水害がもたらす危険性を十分に把握したら、洪水の発生時に水没するおそれのある地域を推定する必要があります。
洪水氾濫域のバッファーリングおよび考えられる洪水の範囲の調査
米国連邦緊急事態管理庁 (FEMA) が氾濫原の GIS データを無償で提供していますが、これらのチュートリアルの学習目的に合った Floodways レイヤーに関するバッファーを別途作成して氾濫原を推定します。 洪水の流れを正確に推定できなくても、自然災害の発生に伴う危険の度合いを大まかに把握できます。
- [コンテンツ] ウィンドウで 「Floodways」レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンをクリックします。
- [近接エリアの分析] をクリックし、[バッファーの作成] ツールをクリックします。
- [バッファーの作成] ウィンドウの [バッファー サイズを入力] で [距離] を選択して、[バッファー サイズを入力] に「200」と入力し、[メートル] が選択されていることを確認します。
200 メートルは洪水外縁の推定値であり、洪水氾濫域周辺の地域は大規模な洪水の発生時に水没するおそれがあります。 洪水氾濫域と洪水外縁を組み合わせると、氾濫原になります。
- [結果レイヤーの名前] に「Floodway Buffers」と入力し、自分の名前やイニシャルを付加します。
注意:
レイヤー名は組織内で一意でなければなりません。 自分のレイヤーが組織内の他のユーザーと競合しないようにする簡単な方法として、レイヤー名の末尾に自分の名前を追加します。 マップに追加した後で、レイヤー名をもっと単純な名前に変更することができます。
- [現在のマップ表示範囲を使用] をオフにして [分析の実行] をクリックします。
注意:
現在のマップ表示範囲に表示されている情報は、[バッファーの作成] ツールなどの多くの GIS 解析ツールで使用されます。 拡大しすぎると、一部の関連データが解析の対象にならなくなる場合があります。
解析が完了した時点で、新しいレイヤーがマップに追加されます。
この時点で、「Floodways (洪水氾濫域)」レイヤーはもう必要ありません。
- [コンテンツ] ウィンドウで、「Floodways (洪水氾濫域)」レイヤーをポイントします。 [その他のオプション] ボタンをクリックして [削除] を選択し、[はい、レイヤーを削除します] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウの「Floodway Buffers」レイヤーをポイントします。 [その他のオプション] ボタンをクリックして [名前の変更] を選択します。 自分の名前またはイニシャルを削除して、[OK] をクリックします。
洪水の範囲を推定したら、洪水が何らかの被害をもたらす可能性のあるボルダー郡周辺の地域をいくつか調査します。
- リボンで [ブックマーク] をクリックして「City of Boulder (ボルダー市)」を選択します。
マップがボルダー市にズームします。
ボルダー市はボルダー郡の中で最も人口の多い都市であり、郡庁所在地にもなっています。 推定された氾濫原が市内に複数存在しているため、多くの国勢調査区ポイント (と多数の住民) が危険にさらされています。 適切な機関が設置されていない限り、大規模な洪水の発生時に住民にも家屋にも壊滅的な被害がもたらされる可能性があります。
- [Lyons] ブックマークにズームします。
マップがライオンズ市にズームします。
ライオンズはロッキー山脈の麓に位置する小規模な町ですが、2 つの洪水氾濫域バッファーが合流しています。 ボルダーと比較すると、ライオンズに居住している住民の数はごく少数です。 一方で、ライオンズを通るすべての主要道路 (ユート高速道路やサウス セント ブレイン高速道路など) は洪水氾濫域バッファーに含まれています。 この地域で危険にさらされる住民の数はそれほど多くありませんが、洪水によって道路が封鎖された場合に、これらの住民が孤立してしまう可能性があります。
- [Louisville] ブックマークにズームします。
マップがルイビル市にズームします。
ルイビル市はボルダー郡の南部に位置する郊外都市であり、デンバー都市圏からほど近い場所にあります。 ルイビル市の南端に沿って大規模な洪水氾濫域バッファーが存在しています。 ルイビル市にはライオンズよりもはるかに多くの住民が居住していますが、洪水の危険にさらされた地域に居住している住民の数は比較的少数です。 また、洪水によって一部の主要道路が封鎖される危険性はありますが、氾濫原のほとんどは、コール クリーク ゴルフ コースやダッチ クリーク パークなどの生活基盤として重要でない場所に存在しています。 現時点でルイビル市は、洪水の危険がある地域ではありますが、特に危険度の高い地域とは見なされていません。
- [Boulder County] ブックマークにズームして、マップを保存します。
洪水の発生時に危険にさらされる人口の視覚解析を行いましたが、視覚解析では、実際に起きている状況の大意しかつかめません。 次のセクションでは、危険にさらされる人口に関するより正確な解析を行います。
洪水氾濫域バッファーへの情報付加とデータの表示
「Floodway Buffers (洪水氾濫域バッファー)」レイヤー上で [レイヤーへの情報付加] ツールを使用して、洪水の危険性のある地域に居住している住民の数を推定します。 次に、人口データが適切に表示されるようにレイヤーのポップアップを構成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで「Floodway Buffers」レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンをクリックします。
- [データへの情報付加] をクリックし、[レイヤーへの情報付加] ツールをクリックします。
- [レイヤーへの情報付加] ウィンドウの中央にある [変数の選択] をクリックして、データ ブラウザーを開きます。
データ ブラウザーは、レイヤーへの情報付加に使用できるすべての属性が格納されているディレクトリです。
- [Population] をクリックします。
- [一般的な変数を選択] で [2022 Total Population (Esri)] (2022 年度の総人口 (Esri)) をオンにします。
注意:
[データ ブラウザー] の情報は定期的に更新されます。 使用される変数および値が異なることがあります。 利用可能な最新のデータをご使用ください。
- [データ ブラウザー] の上部で 1 つの変数だけが選択されていることを確認します。 ウィンドウの下部にある [適用] をクリックします。
- [レイヤーへの情報付加] ウィンドウで、結果レイヤーに「Enriched Floodway Buffers」という名前を付け、自分の名前やイニシャルを付加します。 [現在のマップ範囲を使用] をオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
新しいレイヤーがマップに追加されます。 新しいレイヤーは元の「Floodway Buffers (洪水氾濫域バッファー)」レイヤーと変わっていないように見えますが、人口に関する属性情報が含まれています。 この情報は、レイヤーのテーブルまたはレイヤーのデフォルトのポップアップで確認できます。
- [Floodway Buffers] (洪水氾濫域バッファー) レイヤーと [Census Block Points] (国勢調査区ポイント) レイヤーをマップから削除します。
- 名前を「Enriched Floodway Buffers 」から「Floodway Buffers」に変更します。
- マップ上で洪水氾濫域バッファーのいずれかをクリックして、そのバッファーのポップアップを表示します。
[2022 Total Population] 属性はこのポップアップで確認できますが、直観的な方法では表示されません。 このポップアップでは、洪水氾濫域バッファーに表示される内容を説明する情報が使用されることもあります。
- ポップアップを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで 「Floodway Buffers」レイヤーをポイントして、[その他のオプション] をクリックして [ポップアップの構成] を選択します。
- [ポップアップの構成] ウィンドウの [ポップアップ タイトル] で、デフォルトのタイトルを削除します。 [フィールド名の追加] ボタンをクリックし、[Name {Name}] を選択します。
ここに、洪水氾濫域バッファーの基準として使用されている河川の名前が表示されます。
- [ポップアップのコンテンツ] の下にある [属性の構成] をクリックします。
レイヤーの属性のリストを含むウィンドウが開きます。 属性ごとに 2 つの名前があります。そのうちのフィールド名はレイヤーの内部で使用される属性名であり、フィールド エイリアスはレイヤーのテーブルとポップアップに表示される名前です。
- フィールド名 [{TOTPOP_CY}] (フィールド エイリアスは [2022 Total Population]) をクリックします。
各フィールドの右にオプションがいくつか表示されます。
- [書式設定] を [0 小数桁 (複数)] に変更します。
これで、ポップアップに人口フィールドが表示された場合に、小数点以下の桁数がなくなります。 どこかで暮らしている 1 人の人を分数で表しても意味がありません。
- [OK] をクリックします。
- [ポップアップのコンテンツ] の下の [表示] でドロップダウン メニューをクリックして、[属性表示のカスタム設定] を選択します。
- [構成] ボタンをクリックします。
[属性表示のカスタマイズ] ウィンドウが開きます。 [{TOTPOP_CY}] フィールドを使用して属性表示のカスタム設定を作成します。
- 次の文をコピーして [属性表示のカスタム設定] ウィンドウに貼り付けます。
大規模な洪水が発生した場合に水没する地域であると推定されるこの 200 メートル洪水氾濫域バッファーに合計 {TOTPOP_CY} 人の住民が居住しています。
- 「{TOTPOP_CY}」テキストをハイライト表示し、太字ボタンをクリックします。
注意:
一部のインターネット ブラウザーでは、以下のポップアップのように正確にポップアップを書式設定できない場合があります。 正確な書式設定が難しい場合は、書式設定されていないテキストを使用して処理を続行してもかまいません。
- [OK] をクリックします。
- [ポップアップの構成] ウィンドウで、[OK] をクリックします。
- マップ上の洪水氾濫域バッファーのいずれかをクリックして、ポップアップが正しく構成されていることを確認します。
- マップを保存します。
データを調査し、洪水の危険性をマップ上に表示しました。
地滑りの危険性の解析
前回のレッスンでは、ボルダー郡のマップを調査して、地質上の危険性、洪水氾濫域、および人口の空間リレーションシップを十分に理解しました。 また、洪水の危険性をマップ上に表示し、人口統計情報をデータに付加しました。 次に、地滑りの危険性のある地域を特定し、その地域にもたらされるあらゆる危険を把握する上で重要となるデータ変数 (プロパティ値など) をさらに詳しく調査します。
地質上の危険性のある区域と交差している氾濫原の検索
前のチュートリアルで学習したように、氾濫原は洪水が起きる可能性がある場合に限り危険な場所であると考えられています。 しかし、危険はそれだけにとどまりません。 地質上の危険性の高い地域と交差している氾濫原は、地滑りという現象が起きた際に、土砂を運ぶ水路になる可能性があります。 地滑りが起きそうな場所を特定するには、まず地質上の危険性のある区域と交差している氾濫原を検索します。
- 必要に応じて [Boulder County Map] を開きます。
- [コンテンツ] ウィンドウで「Floodway Buffers」レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンをクリックします。
- [位置の検索] をクリックし、[既存フィーチャの検索] ツールをクリックします。
- [既存フィーチャの検索] ウィンドウで、[条件式の追加] ボタンをクリックします。
危険区域と交差している洪水氾濫域バッファーを検索する条件式を構築する必要があります。
- [条件式の追加] ウィンドウで、「[Floodway Buffers] [交差する] [Geologic Hazard]」という式を作成します。
この条件式を基準にして、地質上の危険性のある区域に接している氾濫原だけが含まれるレイヤーが作成されます。 この演算では、フィルターが適用されているフィーチャだけが考慮されるため、解析の対象となるのは「Major Hazard (危険性が高い)」区域に限定されます。
- [追加] をクリックします。
- [既存フィーチャの検索] ウィンドウの [結果レイヤーの名前] に「Potential Landslide Risk Areas」と入力して自分のイニシャルを付加し、[現在のマップ範囲を使用] をオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
「Major Hazard (危険性が高い)」区域と交差している洪水氾濫域バッファーだけが表示される新しいレイヤーがマップに追加されます (新しいレイヤーの横にあるチェックボックスをオン/オフにして、新しいバッファーの表示/非表示を切り替えることができます)。
これらの洪水氾濫域バッファーでは地滑りから生じた土砂が下流に向かって流れ込む可能性がありますが、氾濫原の全長が地滑りの危険区域に相当することはまずありえません。 地滑りから生じた土砂は比較的平坦な東側の平野部に沿って移動しますが、ある程度の地点で止まります。
- [Potential Landslide Risk Areas (自分の名前)] レイヤーの [その他のオプション] ボタンをクリックし、[名前の変更] をクリックして、自分の名前またはイニシャルを削除します。
- マップを保存します。
地滑りから生じた土砂がこれらの氾濫原をつたって移動し、その後に土砂が堆積すると思われる地域を特定するために、さらに解析を行う必要があります。
起点地域の特定
地滑りから生じた土砂が移動する地域を特定するには、まず移動を開始した場所 (この場所を起点地域と呼びます) を把握する必要があります。 Potential Landslide Risk Areas レイヤーと Geologic Hazard Zones レイヤーのオーバーレイを行って新しいレイヤーを作成すると、起点地域が特定されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで Potential Landslide Risk Areas レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンを選択します。
- [データの管理] をクリックし、[オーバーレイ] ツールをクリックします。
- [オーバーレイ レイヤーの選択] で、[Geologic Hazard Zones] が選択されていることを確認します。 [オーバーレイ方法の選択] が [インターセクト] に設定されていることを確認します。
これで、洪水氾濫域と危険区域との接点となる場所を正確に特定できます。
- [結果レイヤーの名前] に「Initiation Areas」と入力して、自分の名前またはイニシャルを付加します。 [現在のマップ範囲を使用] をオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
新しいレイヤーがマップに追加されますが、フィーチャの表示が比較的小さいため、最初は見づらく感じることがあります。
- 新しいレイヤーの一部を見やすくするには、Potential Landslide Risk Areas レイヤーの横にあるチェックボックスをオフにして、非表示にします。 [City of Boulder] ブックマークにズームします。
新しいレイヤーは、危険性が高いと分類される区域と交差する氾濫原を表します。 これらの地域では、危険区域からの土石流が氾濫原に流れ込み、結果的に地滑りが生じる可能性があります。
- リボンの [ブックマーク] をクリックし、[Boulder County] のブックマークをクリックします。
- Potential Landslide Risk Areas (地滑りの危険性のある地域) レイヤーの横にあるボックスをオンにして、このレイヤーをもう一度有効にします。
- [Initiation Areas (自分の名前)] レイヤーで [その他のオプション] ボタンをクリックし、[名前の変更] をクリックして、自分の名前またはイニシャルを削除します。
- マップを保存します。
地滑りの起点となる場所が判明したら、土石流の移動距離と危険にさらされる地域を推定できます。
地滑りの危険地域の作成と結果の調査
このセクションでは、起点地域から一定の距離に新規フィーチャを作成します。 これらの新規フィーチャは、地滑りの被害が及ぶ可能性のある地域 (地滑りの危険地域) を示します。
- Potential Landslide Risk Areas レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンをクリックします。
- [位置の検索] をクリックし、[新規フィーチャの作成] ツールをクリックします。
- [条件式の追加] ボタンをクリックします。
地滑りの危険性のある地域がすでに判明している場合は、必要な地域を求める条件式を構築します。
- [条件式の追加] ウィンドウで、「[Potential Landslide Risk Areas] [一定距離内] [1] [キロメートル] [から] [Initiation Areas]」という式を作成します。
1 キロメートルという距離は、地滑りから生じた土砂が起点地域から移動する距離を推定する場合に使用します。 通常、地滑りから生じた土砂が通過する地域の傾斜や地形によって距離は変わりますが、1 キロメートルは解析目的に十分な長さです。
この式では、「Initiation Areas (起点地域)」レイヤーから 1 キロメートル以内にある「Potential Landslide Risk Areas (地滑りの危険性のある地域)」レイヤー内のすべてのフィーチャを含む新しいレイヤーが作成されます。つまり、地滑りが発生した場所から 1 キロメートル上流の地域と 1 キロメートル下流の地域がすべて氾濫原に入ります。
- [追加] ボタンをクリックします。
- [結果レイヤー名] に「Landslide Risk Areas」と入力して、自分の名前またはイニシャルを付加し、[現在のマップ範囲を使用] をオフにして [分析の実行] をクリックします。
新しいレイヤーがマップに追加されます。 新しいレイヤーは、地滑りの被害が及ぶ可能性のある地域を表します。
- 自分の名前またはイニシャルを削除して、新しいレイヤーの名前を変更します。
- Potential Landslide Risk Areas レイヤーと Initiation Areas レイヤーを削除します。
地滑りが起きやすい地域がマップ上に表示されたら、時間を取ってマップをさらに詳しく調査し、地滑りが発生した場合に人口と基盤にどれだけ影響が及ぶかを確認します。
- 必要であれば、リボンの [ブックマーク] をクリックして [City of Boulder] をクリックします。
洪水の危険性の場合と同様に、ボルダー市では、多数の洪水氾濫域と地質上の危険性のある区域の合流地点に人口密集地域が存在しているため、地滑りの危険性のある地域に比較的多くの住民が居住しています。 地滑りの危険性があるのは主に下流の地域であり、この地域では住民と家屋が地滑りから生じた土砂の下敷きになるおそれがあります。
- [Lyons] ブックマークにズームします。
ライオンズには、地滑りの危険性のある比較的小規模な地域が 1 箇所だけ存在しています。 ボルダー市とは異なり、下流ではなく主に上流の地域に地滑りの危険性があります。 ライオンズの住民と家屋は地滑りから生じた土砂の下敷きになる危険にはさらされていませんが、地滑りによって氾濫原がせき止められた場合に上流で発生した大規模な洪水に飲み込まれるおそれがあります。 ライオンズで地滑りが起きた場合、ライオンズの住民にとってすでに深刻となっている洪水などの自然災害の問題がさらに悪化する可能性があります。
- [Louisville] ブックマークにズームします。
ルイビル市には地滑りの危険地域は 1 箇所しかありませんが、ルイビル市全域に地質上の危険性のある区域が複数点在しているため、この地域はボルダー郡の中で最も危険性の高い地域です。 ルイビル市の中で洪水と地滑りが最も起こりやすい南端に居住している住民の数は比較的少数であることがすでに判明しています。 その一方で、ルイビル市に存在している地滑りの危険地域は規模が大きいため、事前に災害対策を取ることは極めて困難です。
- [Boulder County] ブックマークにズームして、マップを保存します。
視覚解析だけでは全貌が見えません。 全体を把握するには、地滑りの危険地域に関するより正確な統計データが必要です。
地滑りの危険地域への情報付加
前回のチュートリアルでは、[Floodway Buffers (洪水氾濫域バッファー)] レイヤーに人口情報を付加しました。 「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤーにも人口情報を付加しますが、地滑りが発生した場合の危険状況の全体像をさらにわかりやすくするために、別の情報フィールドもいくつか付加します。
- [コンテンツ] ウィンドウで Landslide Risk Areas レイヤーをポイントして、[解析の実行] ボタンを選択します。
- [データへの情報付加] をクリックして [レイヤーへの情報付加] を選択します。
- [レイヤーへの情報付加] ウィンドウで、[変数の選択] をクリックします。
[データ ブラウザー] ウィンドウが開きます。 ここで、総人口以外にも複数の変数を追加しているため、[データ ブラウザー] の検索機能を使用して処理を簡素化します。
- [データ ブラウザー] ウィンドウの上部にある検索バーに「2022 total population」と入力して、Enter キーを押します。 [2022 Key Demographic Indicators (Esri)] の横にあるチェックボックスをオンにします。
- [データ ブラウザー] ウィンドウのメニュー ボタンをクリックして、メイン メニューに戻ります。
- 検索ボックスに「total housing units」と入力して、Enter キーを押します。
- [2022 Housing Unit Time Series (Esri)] を展開し、[2021 Total Housing Units (Esri 2022)] の横にあるチェックボックスをオンにします。
この統計情報は、危険にさらされている家屋を示します。
- メニュー ボタンをクリックします。 検索ボックスに「average household income」と入力して、Enter キーを押します。 [2022 Income (Esri)] の横にあるチェックボックスをオンにします。
この統計情報では、危険にさらされている人口の特性に関する洞察がもたらされます。
- メニュー ボタンをクリックします。 検索ボックスに「seniors」と入力して、Enter キーを押します。 [2022 Seniors (Age 65+)] の横にあるチェックボックスをオンにします。
この統計情報では、地域に居住している高齢者のうち、洪水の発生時に特別な支援が必要な人数がわかります。
- [適用] をクリックします。
- [結果レイヤーの名前] に「Enriched Landslide Risk Areas」と入力し、自分のイニシャルを付加します。 [現在のマップ表示範囲を使用] をオフにして [分析の実行] をクリックします。
新しいレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 次に、道路密度のデータを追加します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Enriched Landslide Risk Areas] レイヤーにポイントして、[解析の実行] をクリックします。
- [データへの情報付加] をクリックして [レイヤーへの情報付加] を選択します。 [レイヤーへの情報付加] ウィンドウで、[変数の選択] をクリックします。
[データ ブラウザー] ウィンドウが表示されます。
- [データ ブラウザー] ウィンドウで、[選択した変数] のドロップダウン メニューの下部から [景観データ] を選択します。
- メニュー ボタンをクリックします。 検索ボックスに「relative road density」と入力して、Enter キーを押します。 「Relative Road Density (Km) (相対道路密度 (Km))」の横にあるボックスをオンにします。
この統計情報は、地域内の 1 平方キロメートル当たりの平均道路総延長を示します。これにより、地滑りの危険地域内の道路基盤に潜んでいる危険性が明らかになります。
- [適用] をクリックします。
- [レイヤーへの情報付加] ウィンドウの [結果レイヤー名] に「Enriched Landslide Risk Areas Landscape」と入力して自分の名前またはイニシャルを付加し、[現在のマップ範囲を使用] をオフにして、[分析の実行] をクリックします。
新しいレイヤーがマップに追加されます。
この新しいレイヤーは、元の [Landslide Risk Areas] レイヤーおよび [Enriched Landslide Risk Areas] レイヤーに似ていますが、人口および地形の属性情報が追加されています。 この情報は、レイヤーのテーブルまたはレイヤーのデフォルトのポップアップで表示できます。
- [Landslide Risk Areas] レイヤーと [Enriched Landslide Risk Areas] レイヤーを、マップから削除します。
- [Enriched Landslide Risk Areas Landscape] レイヤーを「Landslide Risk Areas」という名前に変更します。
- マップを保存します。
関連する人口統計データおよび基盤データを付加し、洪水の危険地域と地滑りの危険地域の両方をマップ上に表示しました。 後は、「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤーをシンボル化し、より明確に情報をビューアーに関連付けるためにポップアップを構成するだけです。
地滑りの危険地域のシンボル表示
マップの意味は正確な解析と空間データだけではありません。 結果を一般ユーザーにうまく伝えることも必要です。 最後のセクションでは、地滑りの危険性を表すカスタム アイコンを使用して、危険にさらされた状況がうまく伝わるように「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤーの視覚的側面を変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤーをポイントします。 [その他のオプション] ボタンをクリックして [透過表示] を選択します。 [レイヤーの透過表示] を 0% に設定します。
- [コンテンツ] ウィンドウで「Landslide Risk Areas」レイヤーをポイントして、[スタイルの変更] ボタンをクリックします。
- [スタイルの変更] ウィンドウで、表示する属性として「Buffer distance in Meters」を選択します。
「Buffer distance in Meters (バッファー距離 (メートル))」に設定すると、「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤー内のフィーチャごとにバッファーのサイズが計測されます。 任意のフィールドを使用してレイヤーをシンボル表示することもできますが、このフィールドは、1 つの値しか設定されていないので便利です。「200」という値は、前のチュートリアルでバッファー距離として設定したサイズです。 これによって、1 つのシンボル タイプが得られます。
通常、アイコンでは、ポイント フィーチャしかシンボル化できません。 ただし、サイズや色などの等級分類スキーマを使用すると、ポイント フィーチャと同じようにポリゴン フィーチャをシンボル化できます。
- [数と量 (サイズ)] をクリックして [オプション] をクリックします。
- [スタイルの変更] ウィンドウで [ポリゴン] をクリックします。
新しいウィンドウが開きます。 このウィンドウを使って、シンボルのアイコンの背景を変更できます。
- カラー パレットで、上から 3 番目の黄色を選択します。 透過表示を [0%] に設定します。
- ウィンドウの上部にある [アウトライン] をクリックします。 カラー パレットで、黒色を選択します。 [アウトラインを自動的に調整] チェックボックスをオフにします。 透過表示を [50%] に設定し、[ライン幅] を [2] ピクセルに設定します。
- [OK] をクリックします。
- [スタイルの変更] ウィンドウの [シンボル] をクリックします。
別のウィンドウが開き、(ポリゴン フィーチャのシンボルではなく) 等級シンボルを変更できます。 デフォルトのシンボルを使う代わりに、カスタム シンボルを追加します。
- ウィンドウの上部にある [形状] をクリックします。 デフォルトの形状の下にある [画像の使用] をクリックします。
テキスト ボックスが表示されます。
- テキスト ボックスで、次の URL をコピーして貼り付けます。
https://learngis.maps.arcgis.com/sharing/rest/content/items/53a098f903b64daa8cf235a428b73d42/data
- テキスト ボックスの横にある [追加] ボタンをクリックして画像を追加します。
この URL は、地滑りの危険性を伝えるために専用に設計されたシンボルに属しています。 デフォルト サイズの 12 ピクセルはかなり小さいサイズですが、属性 (Buffer distance in Meters) によってシンボル化しているため、現在のところ形状のサイズは変更できません。 「Buffer distance in Meters (バッファー距離 (メートル))」の値は常に同じですが、デフォルトで、この属性は複数の値を保持しているものと見なされます。 [データの分類] オプションを使用してこの値を変更することができます。それによって、カスタマイズされたシンボルのサイズを設定できます。
- [OK] をクリックします。
- [スタイルの変更] ウィンドウの [サイズ] で、[データの分類] チェックボックスをオンにし、[最小値] に「24」と入力し、[最大値] に「24」と入力します。
シンボル サイズが、より大きいサイズに設定されます。 「Buffer distance in Meters (バッファー距離 (メートル))」は 1 つの値しか保持していないため、[データの分類] は、クラスの数を 1 に設定します。
- [スタイルの変更] ウィンドウの [凡例] をクリックします。
- [クリックすると、シンボルまたはラベルを編集できます] で、0 ~ 400 ラベルをクリックします。 テキスト ボックス内のテキストをハイライト表示し、スペース キーを押してラベルを完全に削除します。
- [スタイルの変更] ウィンドウの下部にある [OK] をクリックしてから [完了] をクリックします。
マップ上のシンボルが変更され、新しいシンボルが反映されます。
地滑りの危険地域のポップアップの構成
次に、レイヤーに付加した情報だけを伝えるようにレイヤーのポップアップを構成します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」レイヤーをポイントします。 [その他のオプション] ボタンをクリックして [ポップアップの構成] を選択します。
- [ポップアップ タイトル] で、名前を「{Name} Landslide Risk Area」に変更します。
- [ポップアップのコンテンツ] で、[表示] が [属性フィールドのリスト] に設定されていることを確認します。
「Floodway Buffers (洪水氾濫域バッファー)」のポップアップでは、レイヤーが何を表示しているかを説明する属性表示のカスタム設定を作成しました。 一方、「Landslide Risk Areas (地滑りの危険地域)」はさらに内容が一目瞭然であるため、属性フィールドのリストを使用してポップアップを構成します。
- [属性フィールドの構成] をクリックします。
- [属性フィールドの構成] ウィンドウで、[表示] の横にあるチェックボックスをオンにするとすべての属性が選択され、チェックボックスをもう一度クリックするとすべての属性の選択が解除します。
- [表示] 列で、以下の [フィールド エイリアス] を持つ属性のチェックボックスをオンにします。
- 2022 Total Population
- 2021 Total Housing Units (Esri 2022)
- 2022 Average Household Income
- 2022 Seniors (Age 65+)
- Relative Road Density
- 上記の 5 つの属性のうち、[Relative Road Density] を除く属性ごとに、[書式設定] で小数点以下の桁数を [2] から [0] に変更します。
注意:
Relative Road Density 属性は、1 平方キロメートル当たりの平均道路密度を示します。 この属性は人口や世帯数などの全体数ではなく平均値を表しているため、小数点以下 2 桁の書式設定のままにすることができます。
- [OK] をクリックします。 [ポップアップの構成] ウィンドウで、[OK] をクリックします。
- マップ上の地滑りの危険地域のいずれかをクリックして、ポップアップが正しく構成されていることを確認します。
注意:
このポップアップに表示される数値は氾濫原の一般的近似に基づく推定値にすぎないことに留意してください。 その一方で、これらの数値は、地質的に問題の多い地域の計り知れない洪水と地滑りの危険性に関する洞察をもたらします。
- マップを保存します。
このチュートリアル全体を通して、各種データ間の空間リレーションシップを視覚的かつ解析的に特定しました。 ボルダー郡の中で洪水の危険地域と地滑りの危険地域を特定し、これらの地域を人口統計情報および基盤情報に関連付けました。 最後に、結果を明確かつ正確に伝えるためにデータのシンボル化とポップアップの構成を行い、地域特有の地質条件をユーザーが把握できる Web マップを完成させました。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。