ホスト イメージ レイヤーの作成
火災、洪水、地滑りなどの自然災害にぜい弱なインフラストラクチャを特定するには、インフラストラクチャの場所と災害の恐れが最も高い地域を把握する必要があります。 ArcGIS Image for ArcGIS Online でディープ ラーニング解析を使用することで、航空写真から建物フットプリントを自動抽出したり、ラスター関数による解析で地滑り危険度に応じて地形エリアを分類したりできます。 ArcGIS Image for ArcGIS Online は、ホスティング、解析、画像ストリーミング、ラスター コレクションに利用できる包括的な SaaS (Software as a Service) 製品です。 ArcGIS Image for ArcGIS Online の Creator ユーザー タイプとアドオン ライセンスを所有していれば、画像コレクションを管理し、タイル化された動的イメージ サービスを解析のためにストリーミングして、クラウドでディープ ラーニングなどの高度な解析を実行できます。
データのダウンロードとタイル イメージ レイヤーの作成
本セクションでは、グレナダの一部についてホスト イメージ レイヤーを作成します。 そのために、Web ブラウザーでガイド付きのワークフローを利用して Esri クラウドに画像をアップロードし、オンライン組織にレイヤーを作成します。
ホスト イメージ レイヤーの作成前に、チュートリアルに必要な画像ファイルをダウンロードしましょう。
- グレナダの TIFF ファイルをダウンロードします。
- コンピューター上で .zip ファイルを指定し、本チュートリアルで使用するフォルダーに解凍します。
これでデータが用意できました。ArcGIS Online にサイン インしてホスト イメージ レイヤーを作成します。
- ArcGIS Online を開き、組織アカウントを使用してサイン インします。
- リボンの [コンテンツ] タブをクリックします。
- [マイ コンテンツ] タブが選択されていることを確認します。
- [マイ コンテンツ] タブをクリックしてから [新しいアイテム] ボタンをクリックします。
- [新しいアイテム] ウィンドウで、[イメージ レイヤー] をクリックします。
[イメージ レイヤーの作成] ウィンドウが表示されます。 最初に、作成するイメージ レイヤーのタイプを選択します (タイル イメージ レイヤーまたはダイナミック イメージ レイヤー)。
- [ステップ 1 – 開始] で [タイル イメージ レイヤー] を選択して [次へ] をクリックします。
タイル イメージ レイヤー作成時、データは ArcGIS Image for ArcGIS Online によってクラウド ラスター形式 (CRF) に変換されます。 CRF 形式は、分散処理および格納環境で大きなファイルを読み書きするために最適化されています。この形式では、永続的な出力結果を生成するラスター解析ツールに対してタイル イメージ レイヤーが理想的な入力要素となります。 次のトピックではラスター解析ツールを実行して建物フットプリントを抽出するため、今回のワークフローではタイル イメージ レイヤーが推奨オプションとなります。 ラスター解析ではダイナミック イメージ レイヤーを使うこともできます。ただし、データが CRF などのクラウドに最適化されたタイル形式に変換済みでない限りは分散処理をサポートしていないため、今回のワークフローでは推奨されません。 また、ダイナミック イメージのホスト中に発生するコストはタイル イメージ レイヤーよりわずかに高くなります。 ダイナミック イメージ レイヤーの真価はサーバー側におけるリアルタイム処理と解析をサポートしていることですが、このチュートリアルの対象ではありません。
- [次へ] をクリックします。
- [ステップ 2 – レイヤー構成] で [1 つのモザイク画像] をクリックします。
注意:
独立した 64 枚の画像からなるコレクションをアップロードするため、本ステップでは [1 つのモザイク画像] と [複数のイメージ レイヤー] という 2 通りの方法が有効です。 今回のワークフローでは入力画像を単一のイメージ レイヤーに取り込んでモザイク化するので、[1 つのモザイク画像] を選択することが正解です。
- [次へ] をクリックします。
- [ステップ 3 – 画像の定義] で [参照] をクリックします。 抽出した [3-band TIFF JPEG 90] ファイルを参照して開きます。 Ctrl + A を同時押しするか、最初のファイルをクリックしてから Shift を押しながら最後のファイルをクリックすることによって、全画像ファイル (64 件) を選択します。
- [開く] をクリックします。
画像ファイルのアップロードが開始されて、プログレス バーにアップロード状況が表示されます。
画像のアップロード中であっても、次の画面に進んでワークフローを完了してかまいません。
- [画像に最適なラスター タイプを選択] で、パラメーターの設定は [ラスター データセット] のままにします。
- [次へ] をクリックします。
注意:
画像のアップロード中に、次の画面へ進むことができます。
- [ステップ 4 – アイテム詳細の設定] では、次の情報を入力します。
- [タイトル] に、「Grenada_aerial_imagery_yn」と入力し、自分の名前のイニシャルを付加します (yn は名前のイニシャルを示す一般的な省略形ですが、自分の名前のイニシャルを付加してください)。
- [タグ] に「グレナダ」と入力します。
- [サマリー] に「グレナダ島の航空写真」と入力します。
注意:
ユーザー自身か組織内の誰かがこのワークフローを完成させた場合、レイヤー名はすでに存在していることを知らせるエラー メッセージが送られてくることがあります。 このようなメッセージを受け取ったら、末尾にイニシャルを加えるなどして、タイル イメージ レイヤーに一意の名前を付けます。
- 画像レイヤーを格納するデフォルト フォルダーをそのまま使用して、[作成] をクリックします。
アップロードが完了すると、ArcGIS Image for ArcGIS Online はホスト イメージ レイヤーの作成処理を開始します。 数分間の画像処理後、このページを安全に移動できることを知らせるメッセージが表示されます。 レイヤーが作成されると、アイテム詳細ページに自動で移動します。 ArcGIS Online でグレナダに関する複数の TIFF 画像を格納するモザイク画像レイヤーが作成されました。 ここで、Web マップのホスト イメージ レイヤーを開いて、どのように表示されているか建物について点検します。
- イメージ レイヤーの [アイテムの詳細] ウィンドウ上で [Map Viewer Classic で開く] をクリックします。
注意:
ボタン名が [Map Viewer で開く], と表示されている場合は、ドロップダウン矢印をクリックして [Map Viewer Classic で開く] を選択します。
マップにイメージ レイヤーが表示されます。
- マップを拡大表示したり画面移動したりして、建物の場所をより詳細に調べます。
グレナダのこの区域には何百もの建物があります。 各建物を手動で作成して専有面積をフィーチャとしてホスト フィーチャ レイヤーに格納できますが、手間と時間のかかる作業です。 建物フットプリント、土地の利用形態、土地被覆分類などの情報を画像から抽出する際には、人工知能やディープ ラーニングを活用します。 生成されたレイヤーに建物フットプリントが格納されますが、完成までの時間がより少なくなります。
画像コレクションが ArcGIS Online にアップロードされて、クラウドでの分散処理と解析に最適化されたタイル イメージ レイヤーが作成されました。
画像からフィーチャを抽出
独自のディープ ラーニング モデルを構築してトレーニングすることや、既存のトレーニング済みモデルに細やかな調整をすることは高度な作業です。 ディープ ラーニングの使用において最も困難な点は、特定の情報またはユーザーが関心を持っているオブジェクトについてモデルが学習するための一連のトレーニング サンプルを作成することです。 チュートリアルの時間を節約するために、独自モデルを構築するのではなく、既存のトレーニング済みディープ ラーニング モデルを使用します。 ArcGIS Image for ArcGIS Online ではトレーニング済みディープ ラーニング モデルのライブラリを利用可能で、その内容も発展を続けています。 このようなモデルを活用することで、画像からの情報抽出や分析情報の取得にすぐさま人工知能を利用できます。 次に、トレーニング済みモデルを ArcGIS Living Atlas of the World で使用して、ホスト イメージ レイヤーから建物フットプリントを検出します。 このような建物フットプリントと、後で実行する地滑り危険度解析の結果により、地滑りの危険性があるグレナダの建物を特定できます。
ディープ ラーニングを使用した建物フットプリントの抽出
次に、ディープ ラーニング モデルとあわせて人工知能を使用し、画像から建物フットプリントを抽出して、後の解析で使用することになる建物のフィーチャ レイヤーを作成します。
- リボンの [解析] をクリックします。 [解析の実行] ウィンドウで [ラスター解析] をクリックします。
[ラスター解析] ツール ウィンドウが表示されます。
このウィンドウのツールはすべてラスター解析専用です。
- [ラスター解析] ウィンドウ上で [ディープ ラーニング] をクリックして展開し、[ディープ ラーニングを使用したオブジェクトの検出] をクリックします。
[ディープ ラーニングを使用したオブジェクトの検出] ツール ウィンドウが表示されます。
- [オブジェクトの検出に使用する画像を選択] で、[Grenada_aerial_imagery] が選択されていることを確認します。
- [オブジェクトの検出に使用するディープ ラーニング モデルを選択] で、ドロップダウン矢印をクリックして [ディープ ラーニング モデルの選択] を選択します。
[ディープ ラーニング モデルの選択] ウィンドウが表示されます。
- [マイ コンテンツ] をクリックし、[Living Atlas] を選択します。
トレーニング済みディープ ラーニング モデルを備えたディープ ラーニング パッケージが一覧表示されます。
ArcGIS Living Atlas には、Esri が管理するトレーニング済みモデルが豊富に用意されています。
- [Building Footprint Extraction – USA] で [選択] をクリックします。
[オブジェクトの検出に使用するディープ ラーニング モデルを選択] パラメーターが選択したパッケージにあわせて更新されます。
ディープ ラーニング パッケージを選択すると、次のパラメーターである [ディープ ラーニング モデルの引数を指定] は、初期状態で [モデルの引数を検索しています] というテキストを表示しています。
モデル引数のクエリが完了したら、引数と値が表示されます。
- [threshold] に「0.6」と入力します。
[threshold] 引数は解析感度を制御します。つまり、検出される建物の数や偽陽性の数を決定します。 任意の解析に対して最適な値は、許容される偽陽性と偽陰性の数や、画像とモデルのトレーニングに使用される画像との一致度合いにより異なります。 テストの結果からは、0.6 という値が今回のグレナダ画像で良い結果を生み出すとわかりました。
- [結果レイヤーの名前] に「Grenada_buildings」と入力します。
ツールが実行できる状態になっています。 ArcGIS Online で解析を実行する際はいつでも、データ処理に使用するリソースについて Esri のクレジットに関するコストが発生します。 解析実行前に、消費されるクレジット数をツールで決定できます。 解析を実行すると、ユーザーの組織が利用可能なクレジットからクレジットが差し引かれます。
- [現在のマップ表示範囲を使用] チェックボックスをオフにして、[クレジットの表示] をクリックします。
ポップアップが表示され、ツール実行にかかるコストが提示されます。
- [クレジット使用量] ウィンドウを閉じます。
注意:
ArcGIS Image for ArcGIS Online でツールを実行するコストは、解析に複雑さと処理される画素数に基づき決定されます。 [現在のマップ表示範囲を使用] ボックスをオンのままにして解析範囲がより小さくなるようエリアを拡大表示すると、コストを減らすことができます。
- ツール ウィンドウの下部にある [分析の実行] ボタンをクリックします。
ツールの実行には 10 分から 15 分かかることがあります。 ツールの実行中は、ツール ウィンドウが閉じて [コンテンツ] ウィンドウが表示されます。 最初は出力レイヤーが利用不可となっており、待機インジケーターがツールがまだ実行中であることを示しています。
ツールの実行が完了すると、結果レイヤー名が利用可能となり、[コンテンツ] ウィンドウに表示されます。
抽出された建物フットプリントが、イメージ レイヤーが含まれるマップ内に表示されます。
- マップを拡大表示して解析結果を確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Grenada buildings] レイヤーの可視領域を変更して、画像内の建物とディープ ラーニングを使用して検出した建物を確認します。
ディープ ラーニング モデルは、画像内の建物やそこから作成したポリゴンを上手く検出してくれます。 これで、フィーチャ レイヤーとしての建物が用意できました。このレイヤーを使用して、他のレイヤーとあわせて地滑りの危険性を突き止める空間解析など、さまざまな操作を実行できます。
注意:
ディープ ラーニング パッケージは画像から建物を抽出しますが、レイヤーに対してさらなる後処理を加えてより正確にする必要がある場合もあります。 たとえば、削除できる重複した建物があったり、フットプリントを正規化できる場合があります。
ArcGIS Living Atlas でトレーニング済みモデルによるディープ ラーニングを使い、画像から建物フットプリントを抽出してその結果をホスト フィーチャ レイヤーに格納しました。 マップ内で結果を確認したように、モデルはほとんどすべての建物を上手く検出しました。 これで、建物の場所がわかりました。次のタスクでは、地滑りに弱いエリアに建っている建物がないか突き止めます。
地滑り危険度解析の実行
ここまでで、建物の場所がわかりました。次のタスクでは、ラスター解析を実行して、グレナダ島の地滑りに弱いエリアを突き止めます。 この解析では、ArcGIS Online にホスト済みのイメージ レイヤーとラスター関数テンプレートを使用します。 あるエリアの地滑りの危険性を高める主な要因として、土地利用、河川までの距離、土壌タイプを使用します。 この解析から得られた結果により、危険性の高いエリアの建物を特定することができます。
Web マップを開いて解析レイヤーを操作する
グレナダにおける地滑りの危険度を解析するために、共有 Web マップを開いて解析実行の際に使用するイメージ レイヤーを細かく調べます。
- ArcGIS Online から「Grenada landslide analysis」 (グレナダの地滑り解析) Web マップを開きます。
ArcGIS Online アカウントにサイン インしていない場合はサイン インしてください。
注意:
英国が提供するこの Web マップは、グレナダ政府より提供されたデータを使用して作成されたものです。 これは二次的生産物であり、グレナダ政府もしくは英国による検証や認可を受けたものではありません。
- [アイテム詳細] ページで、[Map Viewer Classic で開く] をクリックします。 [Map Viewer で開く] オプションのみが表示されている場合は、ドロップダウン矢印をクリックして [Map Viewer Classic で開く] を選択します。
Web マップが開いてグレナダ島が表示されます。 地形図ベースマップ以外のレイヤーはオフになっているため、表示されません。 現状、Web マップは他の ArcGIS Online 組織にホストされているため、レイヤーを表示する前に Web マップをユーザー自身のアカウントに保存します。
- リボンから [保存] をクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。
- [タイトル] の末尾から [コピー] を削除して [Grenada landslide analysis] という名前にします。 残りの内容はデフォルトのままで、[マップの保存] をクリックします。
これで、ArcGIS Online アカウントに Web マップのコピーが保存されました。
- [コンテンツ] ボタンをクリックします。 [コンテンツ] ウィンドウで各レイヤーのチェックボックスをオンにして、マップ上に表示します。
解析レイヤーがマップに表示されますが、ほとんどのレイヤーが上に描画された別レイヤーに覆われた状態になっています。
注意:
[Grenada DEM 5m] と [Distance to rivers] には連続データが格納され、[Soil types] と [Sentinel 2 land use] はカテゴリを指定します。 狭いエリアを拡大表示してデータを調べると、ピクセル サイズがさまざまでピクセルが互いに整列されていないことがわかります。 このような観察内容は、リサンプリング方法を選択する際に重要な検討事項となります。
- 画面移動、拡大縮小、可視領域の変更、[凡例] ボタンをクリックしてシンボルの意味を確認するなどして、各レイヤーや凡例を細かく調べます。
解析で使用するレイヤーとしては、土地利用、土壌タイプ、標高、道路までの距離が含まれます。 これらすべてが、地滑りの危険性を高める要因となります。 たとえば、土壌が粘度を多く含めば、エリアが地滑りを起こす傾向が強くなります。 次に、マップに追加済みのレイヤーを使用して、ラスター関数テンプレートを使った地滑り危険度解析を実行します。
ラスター関数を使って危険度レイヤーを作成する
次に、ラスター関数とマップに追加済みの解析レイヤーを使って解析を実行します。
- リボンの [解析] をクリックします。 [解析の実行] ウィンドウで [ラスター解析] をクリックします。
[ラスター解析] ツール ウィンドウが表示されます。
- [ラスター解析] ウィンドウで [ラスター関数テンプレートの参照] ボタンをクリックします。
[カスタム解析ツールとラスター関数] ウィンドウが表示されます。
ArcGIS Online に共有されているラスター関数テンプレートにアクセスします。 最初に、検索フィルターで ArcGIS Online のみを検索するように設定します。
- [カスタム解析ツールとラスター関数] で [システム] をクリックし、[ArcGIS Online] を選択します。
これで、ArcGIS Online に共有されているラスター関数だけが検索されるようになりました。
ラスター関数を動作させると、新しいイメージ レイヤーを生成する前に結果をプレビューでき、複雑なワークフローにおいても、ラスター関数テンプレートとして互いに関数チェーンを構成できます。 ArcGIS Image for ArcGIS Online では、ArcGIS Online で既存のラスター関数テンプレートをどのように共有するか選択することもできます。 既存のテンプレートを使用してグレナダの地滑り危険度を解析します。
- 検索ボックスに「Grenada landslide」と入力します。
ラスター関数テンプレート [Landslide Susceptibility Grenada] が表示されます。
このテンプレートの [Landslide Susceptibility Grenada] ラスター関数チェーンは、地滑り危険度 (たとえば、急傾斜があるエリアや河川に近いエリアは、地滑り危険度が高まる) に基づき入力レイヤーを一般的な範囲に正規化します。 レイヤーが一般的な範囲に正規化されると、関数は正規化された値の加重総和を実行して総和値を 5 つの地滑り危険度クラスに分類してシンボル化します。
注意:
ArcGIS Image for ArcGIS Online はラスター関数テンプレート エディターを備えており、独自のテンプレート作成時や、今回のもののような既存テンプレートを開いて構造を確認する際に使用できます。
- [Landslide Susceptibility Grenada] ラスター関数テンプレートで、[選択] ボタンをクリックします。
[Landslide Susceptibility Grenada] ラスター関数テンプレートが、ツール ウィンドウに表示されます。
本ツールでは、最初のパラメーター [入力データの選択とパラメーターの設定] の入力イメージ レイヤーは定義済みとなっています。 ツール実行前に、他のパラメーターを一部調整します。
- [結果レイヤーの名前] で「Landslide Susceptibility Grenada」と入力します。
- [結果の保存方法] が [タイル イメージ レイヤー] に設定されていることを確認します。
- ツール ウィンドウ上部に表示された [Landslide Susceptibility Grenada] の隣で、オプション ボタンをクリックして [分析環境] ウィンドウを開きます。
[分析環境] ウィンドウが表示されます。
- [分析環境] ウィンドウの [ラスター格納] で、[リサンプリング方法] として [最近隣内挿法 (不連続データ用)] が選択されていることを確認します。
リサンプリングによって、解析で使用されるすべてのピクセルが同じサイズであり整列されていることを確認しながら、入力データセットの精度を維持できます。 ソース データのピクセルは、解析に渡される前にリサンプリングされます。 最近隣内挿法では最近傍割当てが実施されるため、不連続データあるいはカテゴリー データを含む解析に適しています。 標高や降水量など連続データのみを含む解析の場合、[共一次内挿法] や [三次たたみ込み内挿法] メソッドがより適した方法となります。 ただし、これらのメソッドは入力値をある程度スムージングすることになります。
- [分析環境] ウィンドウで [適用] をクリックします。
- ラスター関数テンプレート ツール ウィンドウのすべてのパラメーターで、[プレビューの表示] ボタンをクリックします。
数秒後、表示可能なマップ範囲について解析結果のプレビューが表示されます。
先により狭いエリアを拡大表示していれば、よりすばやくプレビューを表示できます。
- 島の狭いエリアを拡大表示します。
- [プレビューの表示] を再びクリックしてオフにします。
- ラスター関数テンプレート ツールで [分析の実行] ボタンをクリックします。
解析実行後、ツール ウィンドウが自動で閉じて [詳細] ウィンドウがもう一度開きます。 コンテンツのマップ テーブルに解析の出力レイヤーが表示されますが、最初は利用不可となっており、待機インジケーターがツールがまだ実行中であることを示しています。 データの全範囲に対して実行された解析は、およそ 2 分で完了します。
建物フットプリントの追加とレイヤーの比較
ラスター関数を実行して地滑り危険度イメージ レイヤーを作成します。 次に、ディープ ラーニングを使用して検出した建物フットプリントを追加して、危険性の高いエリアにある構造物を確認します。
- リボンの [追加] をクリックし、[レイヤーの検索] を選択します。
建物レイヤーを格納している [マイ コンテンツ] がデフォルト位置として設定されているはずです。
リストに [Grenada_buildings] レイヤーがあることを確認します。 見当たらない場合は、[レイヤーの検索] ボックスに名前を入力して検索します。
- 結果のリストで、[Grenada_buildings] レイヤーの [プラス] ボタンをクリックしてマップに追加します。
- [マイ コンテンツ] の隣にある [戻る] ボタンをクリックして [コンテンツ] ビューに戻ります。
- [コンテンツ] ビューで、[Grenada buildings] と [Landslide Susceptibility Grenada] を除くすべてのレイヤーをオフにします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Grenada buildings] レイヤーにポインターを合わせて [凡例を表示] をクリックします。
建物に関する凡例が表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Grenada buildings] にポインターを合わせて、[その他のオプション] ボタンをクリックして [ズーム] を選択します。
ディープ ラーニング モデルを使用して検出した建物に、マップがズームします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Landslide Susceptibility Grenada] レイヤーに関する凡例を表示します。
- マップ全体で画面移動やズームを行い、建物と 5 つの地滑り危険度クラスの関係を洗い出します。
河川からの距離、標高、土地利用、土壌タイプからは、グレナダの建物の大半は危険性の低いエリアに位置しているように見受けられます。
今回のチュートリアルでは、グレナダの地滑り危険度解析で使用するいくつかのレイヤーを作成しました。 Web ブラウザーでシンプルなガイド付きワークフローを使い、ArcGIS Online 組織内にタイル イメージ レイヤーを作成しました。 タイル イメージ レイヤーを作成後は、トレーニング済みのディープ ラーニング モデルを ArcGIS Living Atlas からアクセスして、人工知能を利用してイメージ レイヤーから建物を自動抽出しました。 ArcGIS Online に共有されている既存のラスター関数テンプレートを使ってラスター解析を実行し、地滑り危険度に応じて地形を分類しました。 すべての解析結果は、ユーザー自身や組織の他のメンバーによる追加のマッピングや解析ワークフローでも使用できます。 たとえば、3D Web シーンに解析結果を表示できます。 このシーンでは、チュートリアルで作成して操作したものと同じレイヤーを確認できます。 平らな建物のフットプリントには 20 メートルの立ち上げが適用されているため、建物は 3D オブジェクトとして表示され、その外観は実際より高く 3D 形状に見えます。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。