画像探索の開始
最初に、Landsat Explorer アプリを開き、マルチスペクトル画像およびスペクトル バンドの基礎について理解を深めます。
- Web ブラウザーで Landsat Explorer を開きます。
注意:
Landsat Explorer アプリとそれに含まれるデータの詳細については、アプリ左上隅の [このアプリについて] ボタンをクリックします。
また、USGS (United States Geological Survey) と NASA が共同で実施している Landsat プログラムの詳細については、プログラムの Web ページをご参照ください。
マップには、米国カリフォルニア州の都市レッドランズが表示されています。 地形は、人間の目に映るような自然に見える色では表示されません。 都市エリアは薄い紫色で、植生エリアの一部は明るい緑色です。 なぜでしょうか?
Landsat プログラムはマルチスペクトル画像を生成します。つまり、複数の波長範囲の情報を捉えていますが、その一部は人間の目には見えません。 これらの各範囲はスペクトル バンドと呼ばれ、ある種の地形フィーチャまたはプロパティをハイライト表示するのに特に適しています。 Landsat 8 および Landsat 9 センサーによって 2013 年以降に収集された Landsat 画像には、11 のスペクトル バンドが含まれています。以前のバージョンのセンサーでは、それよりもやや少ないバンドを収集していました。 次のテーブルに、Landsat 8 および 9 の主要バンドを示します。
バンド番号 バンド名 このバンドで最適に表示される事物 1
コースタル エアロゾル
浅瀬、細かいちり粒子
2
青
深海、大気
3
緑
植物
4
赤
製造物、土壌、植生
5
近赤外 (NIR)
海岸線、植生
6
短波赤外 1 (SWIR 1)
改善した雲の貫通性、土壌や植生中の水分
7
短波赤外 2 (SWIR 2)
改善した雲の貫通性、土壌や植生中の水分
9
表面温度
地表面温度の測定
注意:
アプリで使用する Landsat 画像は Level-2 科学プロダクトに加工されたものです。つまり、元のスペクトル バンドにさまざまな修正が加えられ、信頼性が最も高い情報を提供するものであるとともに、アナリストがすぐに使用できる状態になっています。
マルチスペクトル画像を使用する際に、使用可能なすべてのスペクトル バンドを同時に表示することはできません。 ただし、最大 3 つのバンドを選択して組み合わせて、1 つのコンポジット画像にすることが可能です。 バンド割り当てが異なれば、画像での地上フィーチャの見え方が大きく変わることがあります。したがって、バンド割り当てを利用して、特定のフィーチャまたはプロパティをハイライト表示することができます。 アプリでこのような 2 つのバンド割り当てを比較します。
- アプリの下部にあるツールバーの [レンダラー] で、[農業] タイルをポイントします。
詳細情報が表示されます。
現在、マップの画像は、短波赤外 1、近赤外、青のバンド (バンド 6、5、2) で構成される [農業] バンド割り当てで表示されています。 この割り当てでは、健全な植生が明るい緑でハイライト表示され、地表や市街地など、他の土地被覆タイプとは区別されます。 比較のために [ナチュラル カラー] バンド割り当てに切り替えます。
- [レンダラー] で [ナチュラル カラー] をクリックします。
この新しい [ナチュラル カラー] バンド割り当て (赤、緑、青のバンド、つまりバンド 4、3、2) を使用することで、画像の大部分はアースカラーが占めていることがわかります。 赤、緑、青のバンドは、人間の目に見える光線のスペクトルを構成します。 3 つのバンドを組み合わせて、人の目に映るときの地形に近づけます。
[ナチュラル カラー] バンド割り当ては一部のアプリケーションで役立ちますが、多くの場合アナリストは、ハイライト表示する特定のフィーチャに基づいて他のバンド割り当てを選択します。
- [ナチュラル カラー] と [農業] のバンド割り当てを何度か切り替えて、違いをよく確認します。
スンダルバンスのマングローブ林の監視
次の目的地は、インドとバングラデシュの国境にあるスンダルバンスのマングローブ林です。 Landsat 画像を使用し、変化の影響を特に受けやすい生態系に生育するマングローブ林の健全性をモニタリングします。 また、赤外カラーという新しいバンド割り当てについても確認します。
- この Landsat Explorer リンクをクリックしてスンダルバンス地域に移動します。
衛星では 1 枚の画像で世界全体を捉えることができないので、複数の画像を撮影し、それらをつなぎ合わせて、「モザイク」と呼ばれるパッチワーク画像を作成します。 現在はかなり広域を見ているため、マップ上にこのパッチワーク効果が見えます。 また、表示されている画像は異なる日時に撮影されたため、色の強度が異なる場合があります。
注意:
Landsat Explorer アプリでは、このつなぎ合わせた画像のビューを [ダイナミック] モードと呼びます。このダイナミック モザイクでは、雲量率が最も低い最新画像がリアルタイムでつなぎ合わせられて自動的に表示されます。 特定の画像を選択して表示する方法については、このチュートリアルで後ほど説明します。
スンダルバンスはベンガル湾の北に広がっています。 現在の [ナチュラル カラー] バンド割り当ての状態でこの地域を一見すると、森林に密に覆われたスンダルバンス地域と、北西に広がる高度に都市化されたコルカッタ市との違いがわかります。 元のマングローブ林の大半は伐採されましたが、残りの部分はインドおよびバングラデシュの両政府によって保護されています。
マングローブの植生をより明確に区別するため、[赤外カラー] バンド割り当てを使用します。これは、近赤外 (NIR)、赤、緑 (5、4、3) バンドを組み合わせたものです。 NIR バンドでは、植生地物と非植生地物が明確に区別されます。 [赤外カラー] バンド割り当てでは、健全な植生が明るい赤で表示されます。
- [レンダラー] で [IR カラー] (赤外カラー) をクリックします。
画像が更新されます。 スンダルバンスのマングローブ林が明るい赤で表示されるようになりました。これは、密集した全体的に健全な植生を表します。 マングローブを通過する水域は、植生はないが堆積物が多く、ターコイズ ブルーに見えています。 コルカッタのような市街地は、グレーやベージュで表されます。 農業が行われている地域は、薄めの赤の色合いで示されます。これは、ある程度の植生は見られるが、マングローブ林よりも密度が低いことを意味します。 最後に、ベンガル湾の水域は深い青の色調で表示されています。
- アプリの左上隅にある [拡大] ボタンを数回クリックして、マングローブ林の中心を拡大表示します。
ヒント:
マウスのホイール ボタンを使用して拡大縮小することもできます。
- 必要な場合は、マウスを使用して、マングローブ林がマップの中央にくるように画面を移動します。
ヒント:
Landsat 画像は定期的に最新の画像に更新されるため、スンダルバンスの一部地域の最新画像が曇っていたりはっきりしていなかったりすることがあります。 その場合は、雲のない単一の Landsat 画像を表示しているこのマップを代わりに使用することもできます。
広大な三角州地帯で、森林の間にはいくつかの河川と入り組んだ感潮水路が走っています。 小さな島の多くは船でしか往来できないため、地上での観察の妨げとなっています。そのため、森林のモニタリングにおける衛星画像の必要性がますます高まっています。 植生が健康であればあるほど赤が鮮やかになりますが、赤が薄い、またはベージュの地域も見られます。 アナリストとして、これらの地域の植生は健康ではない可能性があり、詳細な調査が必要であると見なすことができます。
- 拡大、縮小、画面移動して、マングローブ林を探索します。
- マングローブ林の西側に移動します。ここでは、大部分の色が赤からベージュに大きく変化しています。
保護マングローブ地域の終端でコントラストがはっきりしています。 保護されていない地域の陸地は、以前はマングローブ林に覆われていましたが、今は完全に伐採されています。 大部分がベージュか薄いピンクで、植生が存在しないことを意味します。 アナリストとして、こうした色の違いを利用して、保護エリアにおける不法伐採を検出できます。
マングローブ林は、海水位や水中塩分の変化に加え、汚染、不法伐採、その他の要因に大きな影響を受けます。 マングローブ林の喪失は、マングローブ林の多様な動植物の生息環境を危険にさらすだけでなく (ベンガルトラなど、数多くの絶滅危惧種を含む)、周辺地域をモンスーンから守ることもできなくなることを意味します。 森林の健康状態を守るのは重要です。画像がその役に立ちます。
注意:
[赤外カラー] バンド割り当てと、[農業] バンド割り当ての違いは何でしょうか。 どちらも健康な植生をハイライト表示するのに適しています ([赤外カラー] は明るい赤、[農業] は明るい緑)。 [赤外カラー] は、多種多様な衛星画像や航空写真で使用される、より一般的なバンド割り当てです。必要なのは緑と赤の可視光線バンドに加えて近赤外 (NIR) バンドのみであるためです。 [農業] バンド割り当ては、NIR バンドのみならず、短波赤外 (SWIR) バンドも必要であるため、赤外カラーほど一般的ではありません。 NIR は植物の健全性を明確化するのに適しています。健全な緑の植生は NIR 光をより反射するためです。 また、植生の実際の含水量を検知するには SWIR も有用です。 [農業] バンド割り当ては汎用性に優れ、いくつかの土地被覆タイプを明確に表示します。
都市部のヒート アイランド現象の視覚化
一部の Landsat センサーには、地表の温度に関する情報を取得する機能があります。 その情報を他のデータ ソースと組み合わせて使用し、表面温度バンドが作成されています。これは、レンダラー オプションの 1 つを通じてアプリで視覚化できます。
この機能を使用して、米国ワシントン D.C. の都市部のヒート アイランド現象を視覚化します。 ヒート アイランドは、周辺地域と比べて持続的な気温の上昇が見られる場所です。 通常は、不浸透面 (歩道、屋上、建物など) が多く、樹木などの植生被覆の割合が低い都市空間で発生します。 気候変動に起因する極端な温度上昇により、都市部のヒート アイランドは地域住民の健康と生活の質を脅かしています。
熱波に襲われた暑い夏の日における、都市部のヒート アイランド現象を取り上げます。 スワイプ マップを作成し、2 つの異なる方法でレンダリングされた Landsat 画像を比較します。一方では土地被覆タイプ、もう一方では表面温度を明確化します。 まず、対象地域のマップにフォーカスします。
- [住所または場所の検索] 検索ボックスに「Washington, DC」と入力し、Enter キーを押します。
マップが更新され、ワシントン D.C. エリアが表示されます。
- 下部のツールバーで、[スワイプ] をクリックします。 [左] ボタンが選択されていることを確認します。
マップが更新されてスワイプ モードになり、2 つのセクションに分かれます。 マップの左側に表示する特定の画像 (またはシーン) を選択します。 下部のツールバーにカレンダーが表示され、特定の日付に撮影されたシーンを選択できます。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2024] を選択します。
カレンダーが更新され、現在のマップの範囲で使用できる 2024 年の画像が、小さいライト グレーのボックスとして表示されます。
- カレンダーで、[2024 年 7 月 16 日] のボックスをクリックします。
注意:
一部の Landsat 画像では、雲で地面が隠れています。 [雲] スライダーで、画像の最大の雲量パーセントを選択できます。
カレンダーで、塗りつぶされたライト グレーのボックスは、この雲量基準に当てはまる画像であることを示しています。 ライト グレーの枠のみのボックスは、雲量が高い画像であることを示しています。
Landsat データセットには常に新しい画像が追加されているため、例の画像にあるものよりも多くのシーンが使用可能になっている場合があります。
スワイプ マップの左側が更新され、2024 年 7 月 16 日に撮影された Landsat シーンが表示されます。 これを [農業] レンダリングで表示し、この地域のさまざまな土地被覆タイプを明確化します。
- [レンダラー] で [農業] をクリックします。
スワイプ マップの左側が更新され、植生地域は明るい緑、都市部の市街地は紫とピンクの色調、河川などの水域は濃い青で表示されます。
ヒント:
このビューでは、道路が [Map Labels] レイヤーの一部として、画像の上にトレースされています。 [マップ ラベル] チェックボックスで、レイヤーのオン/オフを切り替えることができます。
マップの右側に表示するために同じ画像を選択し、表面温度を示すようにレンダリングします。
- [右] ボタンをクリックします。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2024] を選択します。 カレンダーで、[2024 年 7 月 16 日] の日付をクリックします。
- [レンダラー] で [表面温度] (表面温度) をクリックします。
[表面温度] レンダラーは、地面の温度を表します。 異なる値が異なる色でシンボル表示されます。
- [表面温度] タイルをポイントして、凡例を表示します。
白色から青色は低温、オレンジ色から濃い赤色は高温、緑色から黄色は中程度の温度をシンボル表示しています。 これでスワイプ マップは完成です。 同じ画像が、左側では [農業] レンダリングで、右側では [表面温度] レンダリングで表示されています。
- スワイプ カーソルを左右にドラッグして、レンダリングを比較します。
地域全体が高温に達していましたが、市街地はより極端な温度 (濃い赤) であり、植生に覆われた部分と水域は比較的低温 (薄い赤またはオレンジ) でした。
- マップ上のさまざまな地点をクリックして、ポップアップに表示される表面温度の値を確認します。
作成したスワイプ マップは、都市部のヒート アイランド現象をわかりやすく示しています。 マルチスペクトル画像は、この現象を理解して対応するのに役立つパワフルなツールです。 市の中心は、周囲の田園地帯よりも平均 10 度以上暖かくなる場合があります。 ヒート アイランドを特定した後、植樹を増やす、温度を下げる舗装材料に切り替える、屋上を緑化するなど、冷却戦略のための計画を立てることが重要です。
ヒント:
スワイプ マップ、または Landsat Explorer アプリで作成した他のマップの URL をコピーして、コミュニティの人々と共有できます。 ご参考までに、作成した最終的なスワイプ マップはこちらです。
スペクトル プロファイルを使用してオアシスを調査
マルチスペクトル画像をより深く理解するために、エジプトのエル ファイユーム オアシスに移動し、スペクトル プロファイル、スペクトル シグネチャ、スペクトル指標について学習します。
- この Landsat Explorer リンクを使用してエル ファイユーム オアシス地域に移動します。
Landsat 画像が [農業] バンド割り当てでレンダリングされて表示されます。 エル ファイユームは、古代エジプト時代から存在している巨大なハート型のオアシスです。 このオアシスはサハラ砂漠の中にあり、植生と水の宝庫となっています。 東側では、ナイル渓谷がマップを斜めに横切っています。 人工の運河を通ってナイル川からオアシスに水が供給されます。
マルチスペクトル画像を使用する際に、特定の対象地点のスペクトル プロファイルをプロットすると便利なことがあります。 スペクトル プロファイルは、特定の画像ピクセルにおけるさまざまなスペクトル バンドの値を示すグラフです。 エル ファイユーム地域における複数の地点のスペクトル プロファイルを作成します。
- 下部のツールバーで、[分析] をクリックして [スぺクトル プロファイル] を選択します。
このオプションを使用するには、特定の Landsat 画像を選択する必要があります。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2023] を選択します。 カレンダーで、[2023 年 2 月 19 日] の日付をクリックします。
マップに画像が表示されます。 画像の北東の隅にエル ファイユーム オアシスが表示されます。
まず、植生を表すピクセルを調べることから始めます。 エル ファイユーム オアシスの一般的な植生は主に、綿花、クローバー、穀物などの作物の耕作地で構成されており、ヤシの木や果樹もいくつか景観に点在しています。
- マップ上で十字線ポインターを使用して、植生で覆われているように見える、オアシス内の位置 (明るい緑色) をクリックします。
下部のツールバーで、[プロファイル] の下に、その特定のピクセルのスぺクトル プロファイル チャートが表示されます。 チャートのタイトルは [健全な植生] です。
ヒント:
ピクセルが健全な植生として識別されなかった場合は、いくつかの建物や地表、その他のフィーチャを含む混合ピクセルを選択した可能性があります。 この場合には、健全な植生として識別されるまで、植生のある 1 つまたは 2 つの位置を追加でクリックします。
チャートで、x 軸 (水平) は、各種スペクトル バンド ([コースタル]、[青]、[緑]、[赤]、[NIR]、[SWIR 1]、[SWIR 2]) を表します。 Y 軸 (垂直) は、選択したピクセルにおけるこれらの各バンドの値を表します。 正確には、反射率の値を表します。さまざまなバンドにおいてその位置の素材 (今回の場合、健全な植生) が反射した光量のことです。 バンドの値をつなげて形成された曲線は、ライト グレーで表示されます。
チャートにはトレースされた緑の点線があります。 その凡例には [健全な植生のスペクトル プロファイル] というラベルが付いています。 健全な植生、水、砂などのタイプの土地被覆はそれぞれ、スペクトル シグネチャと呼ばれる典型的ではっきりとしたスペクトル プロファイルを持つ傾向があります。 画像ピクセルのスペクトル プロファイルを標準スペクトル シグネチャと比較すると、そのピクセルの土地被覆タイプを自動的に識別することができます。 このチャートでは、ピクセルのスペクトル プロファイルは、特に [NIR] の反射率の値が高く、[Red] の反射率の値が低くなっていることからも確認できるように、[健全な植生] スペクトル シグネチャに最も似ていることがわかりました。
- マップ上で、次のものを表すと思われる位置をクリックします。
- 湖 (濃い青)
- 砂漠 (黄色味のあるベージュ)
スペクトル プロファイル チャートでは、これらの地点がそれぞれ [澄んだ水] と [砂] として識別されます。
澄んだ水、砂、健全な植生などのさまざまな素材のスペクトル シグネチャの違いを確認することができます。 素材の物理的、化学的側面の両方が波長の反射の違いに影響しています。 ほとんどの画像解析手法では、これらのスペクトル プロファイルの変化を活用して、画像の土地被覆タイプについての情報を自動的に検出しています。
そのような手法の 1 つがスペクトル指標の計算です。 スペクトル指標では、特定の現象をハイライト表示する目的で、計算式を適用し、画像内の各ピクセルについて、異なるバンド間の比率を計算します。 これから、それらのうち 2 つを確認します。
- [レンダラー] で [MNDWI] をクリックします。
[MNDWI] は、Modified Normalized Difference Water Index (修正正規化水指数) の略です。 これは、短波赤外 1 と緑のバンド間の比率を計算して水域をハイライト表示するものです。 この指標を適用すると、水域は青でハイライト表示されます。 現在のマップでは、これらは主にエル ファイユーム オアシスにある湖です。
- [レンダラー] で [NDVI カラー化] をクリックします。
[NDVI] は、Normalized Difference Vegetation Index (正規化植生指数) の略です。 これは、近赤外と赤のバンド間の比率を計算して植生をハイライト表示するものです。 密で健全な植生は濃い緑色でハイライト表示され、まばらな植生は茶色でハイライト表示されます。
これで、スペクトル プロファイル、スペクトル シグネチャ、スペクトル指標について理解できました。 画像解析手法では、スペクトル プロファイルの変化を活用して、画像の土地被覆タイプについての情報を自動的に検出していることを学習しました。 エル ファイユーム地域のアナリストとして、これらの手法を使用し、農作物の健全性、干ばつの状況、山火事の影響、その他の現象をモニタリングできます。 マルチスペクトル画像を使用することで、広大な地域、国全体、あるいは全世界でも、そのようなモニタリングを行うことが可能です。
アニメーションを使用した都市の成長の視覚化
これまで、ある瞬間を表す画像を見てきました。また、見ていたのは過去数年間に撮影された Landsat 画像でした。 経時的な傾向を追跡したい場合はどうでしょうか。 スンダルバンスのマングローブの健全性について現在と 10 年前の様子を比較したり、エル ファイユーム オアシスの湖が過去数十年でどのように拡大縮小してきたかを見たりしたい場合はどうすればよいでしょうか。 Landsat 衛星の 1 号機が 1972 年に打ち上げられて以来、50 年以上にわたって蓄積された Landsat 画像を比較に使えます。
注意:
古い衛星には最新の衛星の機能がすべて搭載されているわけではないので、一部スペクトル バンドを検出することはできせん。それでも、衛星画像は世界の変化の様子を捉えるのに重要な役割を果たすことがあります。
このような Landsat 画像の使用法の例として、中国で急成長を遂げている都市の 1 つであるホーフェイが 1995 年から現在までどのように進化してきたかを視覚化するアニメーションを作成します。
- この Landsat Explorer リンクをクリックして中国のホーフェイに移動します。
Landsat 画像が [ダイナミック] ビューに設定されて表示されます。 これは最新画像を示しており、[赤外カラー] バンド割り当てでレンダリングされています。 市街地は茶色またはグレーで表示され、市を取り囲む植生は明るい赤で表示され、水域は濃い青で表示されます。
注意:
[赤外レッド] が市街地を表示するのに必ずしも最適なレンダリングであるとは限りませんが、この特定の使用例では、試行錯誤の結果、このレンダリングで都市の経時変化がはっきりと表現されることが判明しました。
- 下部のツールバーで、[アニメーション] をクリックして [シーンの追加] を選択します。
最初の画像のスロットが追加されます。
1995 年のシーンをアニメーションに追加します。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[1995] 年を選択します。 カレンダーで、[1995 年 9 月 02 日] の日付をクリックします。
1995 年 9 月 2 日に撮影された画像がマップに表示されます。 画像の中央にホーフェイが小さい町として表示されます。
次に、2000 年のシーンを追加します。
- [シーンの追加] をクリックして 2 つ目の画像スロットを追加します。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2000] 年を選択します。 カレンダーで、[2000 年 9 月 15 日] の日付をクリックします。
マップに画像が表示されます。 これから作成するアニメーションには合計 8 個のシーンが含まれ、およそ 3 ~ 5 年ごとに 1 個のシーンを選択します。 完全なリストは次のとおりです。
- [1995 年 9 月 02 日] (追加済み)
- [2000 年 9 月 15 日] (追加済み)
- 2005 年 8 月 12 日
- 2009 年 5 月 03 日
- 2013 年 8 月 02 日
- 2016 年 7 月 25 日
- 2020 年 5 月 17 日
- 2023 年 4 月 16 日
このワークフローを円滑に実行するために、8 個のシーンがすでに追加された新しいマップを開きます。
- この Landsat Explorer リンクをクリックして 8 個のシーンすべてを読み込みます。
次に、アニメーションを実行します。
- [シーンの追加] の横の [アニメーションの再生] ボタンをクリックします。
画像が 1 つずつ時系列で表示され始めて、アニメーションが作成されます。 このアニメーションは非常に高速であるため、スピードを遅くします。
- [速度] スライダーを動かして最小レベルにします。
アニメーションを低速にすると、ホーフェイ市が 1995 年以降に大きく拡大してきたことがわかります。
注意:
必要に応じ、[アニメーションのリンクのコピー] ボタンをクリックして、アニメーションを共有することができます。 また、[アニメーションのダウンロード] ボタンをクリックして、アニメーションを MP4 ビデオにエクスポートすることもできます。
- アニメーションの視聴が終わったら、[アニメーションの停止] ボタンをクリックします。
浸水エリアの定義
異なる時点で撮影された Landsat 画像のもう 1 つの活用法は、変化の検出です。 変化の検出では、単一地域で異なる時期に収集された画像を比較して、変化の種類、大きさ、位置を特定します。 変化は、人間の活動、突発的な自然かく乱、あるいは長期的な気候や環境の傾向によって発生する可能性があります。
これから、浸水事象について独自の、変化の検出分析を実行します。 2022 年 7 月の大雨により、チャドのレレ地域とグエグー地域に含まれる複数の地域が深刻な浸水被害を受けました。 アナリストとして、最大の影響を受けた地域を特定したいと思います。
- この Landsat Explorer リンクをクリックしてレレ地域に移動します。
Landsat 画像が [ダイナミック] ビューに設定されて表示されます。 これは最新画像を示しており、[農業] バンド割り当てでレンダリングされています。 [Map Labels] レイヤーはオンになっており、主要道路の描写を含んでいます。 2 つの湖があり、その周囲にレレ、ラオ、ケビなどの複数の町や村があります。
- 下部のツールバーで、[分析] をクリックして [変化の検出] を選択します。 [シーン A の選択] が選択されていることを確認します。
浸水前と浸水後の 2 つの画像を選択する必要があります。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2022] 年を選択します。 カレンダーで、[2022 年 5 月 8 日] の日付をクリックします。
画像が更新され、大雨が降る前の 2022 年 5 月 8 日に撮影された Landsat シーンが表示されます。 前に選択した [農業] バンド割り当てで表示されています。 レレ湖とトレネ湖の 2 つの湖の輪郭がはっきりわかります。 細い青い線はマヨ・ケッビ川とベヌエ川に対応しています。
- [シーン B の選択] をクリックします。
- [シーン選択] の下の年ドロップダウン メニューで、[2022] 年を選択します。 カレンダーで、[2022 年 7 月 11 日] の日付をクリックします。
- [レンダラー] で [農業] をクリックして、2 つ目のシーンにも同じバンド割り当てを適用します。
画像が更新されて 2022 年 7 月 11 日に撮影された Landsat シーンが表示され、浸水が発生したときの状況がわかります。 前のシーンでは陸地だった広いエリアが水に覆われ、湖が広がりすぎて川と見分けがつかなくなっています。
次に、シーン A とシーン B の間の変化を視覚化します。
- [ビューの変更] ボタンをクリックします。
- [変化] の横で [水指数] を選択します。
この変化の検出による分析では、前後の画像のどこに水のピクセルがあるかを特定することを目的として、このチュートリアルで先ほど学習した水指数 (MNDWI) を各画像に適用します。 その後、水指数の値を比較して、次の現象が見られた各ピクセルを特定します。
- MNDWI 値の上昇 (非水域から水域へ)
- MNDWI 値の低下 (水域から非水域へ)
- MNDWI 値の変化なし (水域から水域へ、または非水域から非水域へ)
マップでは、ほとんどの陸地が黄色で表示され、変化がなかったことを示しています。 しかし、湖の周囲一帯は明るいターコイズ ブルーで表示されており、水で覆われたことを示しています。 これが浸水エリアです。
注意:
薄いベージュまたはライト ブルーで表示されているピクセルは、水指数の値に少し変化があることを示しています。 天候や撮影日時によって前後の画像で値の強度が多少異なる場合があるため、必ずしもそのことに意味があるとは限りません。
マップを解釈しやすくするために、非水域から水域への変化が最も明確だったピクセルのみを表示します。
- [水指数] の下で、黄色、ベージュ、ライト ブルーのピクセルがすべて見えなくなるまで、下限ハンドルを動かします。
それらのピクセルが表示されなくなるのは、水指数の値が [0.65] 程度のときです。
マップに浸水エリアが明るいターコイズ ブルーで表示されるようになりました。
[水指数] の下の [推定変化面積] の値は、マップに表示されている浸水エリアの面積が約 [10.79] 平方キロメートルであることを示しています (ご自身で実行した場合の数値は、これとは多少異なることがあります)。
注意:
ご参考までに、得られるはずである、変化の検出マップの最終版はこちらです。
この分析では、変化の検出を実行し、浸水事象の影響を受けたエリアを特定しました。 作成したマップを現場の救援チームと共有し、最適な重点対応が可能となるように支援することもできます。
注意:
画像は、自然災害管理を支援するため、ますます一般的に使用されるようになっています。 ただし、Landsat 画像は所定の位置を最大でも週に 1 回しか撮影せず、その空間解像度は 30 メートル (ピクセルあたり) しかないため、壊滅的事象の状況において最もタイムリーで詳細な画像を提供するとは限りませんのでご注意ください。 より高解像度の画像をより高頻度に提供し、災害管理に適しているかもしれない、他の衛星画像タイプもありますが、このチュートリアルの範囲外です。
その他の場所の探索
Landsat Explorer アプリには、世界中の多くの場所がブックマークされています。 最も興味深いフィーチャをハイライト表示する特定のバンド割り当てを使用した観察で、各地の印象的な地勢や独特の地勢が表示されます。 これから、そのような場所をいくつか確認します。
- 下部のツールバーで、[探索] をクリックして [ダイナミック] を選択します。
- [興味深い場所] の下で、いくつかのサムネイルをクリックしてさまざまな場所を表示します。
これらの場所を見て、さまざまなバンド割り当てやスペクトル指標を適用し、このチュートリアルで学んだ機能を使用することができます。 また、検索ボックスを使用して独自の対象地域を探すこともできます。
注意:
Landsat Explorer の機能について学習を続けるには、「Learn to explore Landsat imagery using Landsat Explorer」の記事をご参照ください。
このチュートリアルでは、Landsat Explorer アプリを使用して世界中を移動しながら Landsat 画像を探索しました。マルチスペクトル画像の基本的な概念を学び、多くの応用方法について理解を深めました。 これで、画像を通じて引き続き世界を探索する準備ができました。
画像に関するその他のチュートリアルについては、「画像およびリモート センシングの概要」チュートリアル コレクションをご参照ください。