不正排出物の発生源の特定

下水道インフラは、廃水を安全に処理および廃棄できるプラントに送ることを目的としています。 しかしながら、違法な汚染物質があると、このプロセスに支障をきたすことがあるほか、潜在的に有害な物質が含まれる場合もあります。 このセクションでは、市の下水道ユーティリティ ネットワークを使用し、汚染物質が発見された場所から上流方向へとトレースして、不正排出物を調査します。

ネットワークの理解

はじめに、市の下水道ユーティリティ ネットワークのあるプロジェクト パッケージをダウンロードします。 ネットワークについて理解を深めてから先へ進み、インフラが下水道管理にどのように使用されているかを学びます。

  1. Wastewater_Utility_Network プロジェクト パッケージをダウンロードします。

    [Wastewater_Utility_Network.ppkx] という名前のファイルがコンピューターにダウンロードされます。

    注意:

    .ppkx ファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。

  2. ファイルがダウンロードされた場所を開き、[Wastewater_Utility_Network.ppkx] をダブルクリックして ArcGIS Pro で開きます。 サイン インを求められたら、ArcGIS アカウントを使用して、サイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または ArcGIS アカウント (ArcGIS Online 用または ArcGIS Enterprise 用) がない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    プロジェクトには、イリノイ州ネイパービルの下水道ユーティリティ ネットワークを示すマップが含まれています。

    ネイパービルの下水道ユーティリティ ネットワークのデフォルト マップ

    マップ上のラインは [Sewer Networks] レイヤーからのものです。レイヤーには縮尺ベースのシンボルがあり、異なるマップ範囲ではシンボルも異なることを意味しています。 拡大すると、シンボルが単一のシンボルから、ネットワークのサブネットワーク (集水域とも呼ばれる) を反映するものに変化します。

  3. マップで縮尺記号のドロップダウン メニューをクリックし、[1:24,000] を選択します。

    1:24,000 がハイライトされている縮尺記号のドロップダウン メニュー

    マップが拡大され、[Sewer Networks] シンボルが変化し、サブネットワークが表示されます。

    サブネットワークが見えるまで拡大されたマップ

    下水道ネットワークとサブネットワークをトレースし、ポップアップを開いて詳細を確認します。

  4. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。

    ユーティリティ ネットワーク タブ

  5. [サブネットワーク] グループで [検索] をクリックします。

    リボンの検索ボタン

    [サブネットワークの検索] ウィンドウが表示されます。 下水道システム全体 ([Naperville Collection System]) と 4 つのサブネットワークが一覧で表示されます。

  6. [Naperville Collection System] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] をクリックします。

    サブネットワークのトレース オプション

    マップ上で Naperville Collection System のすべてのパーツが選択されます。

    マップ上でトレースされた Naperville Collection System

  7. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Naperville Collection System] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    ポップアップが開き、そのネットワークに関連付けられた属性情報が表示されます。

    Naperville Collection System のポップアップ

    システム全体について、幹線の長さ、枝線の長さ、サービス接続数がポップアップにリスト表示されます。

  8. ポップアップを閉じます。 [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。

    今度は、サブネットワークのみが選択されます。

    マップ上でトレースされた Southeast Naperville Sewershed

  9. [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    このポップアップにも幹線の長さ、枝線の長さ、サービス接続数が表示されますが、表示されるのは Southeast Naperville Sewershed のもののみです。

  10. ポップアップを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。

    現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除ボタン

    選択が解除されます。

    計画部門およびエンジニアリング部門は、これらの集水域を使用してシステムの最大容量のトラッキングや管理を行います。 ポップアップの情報は、新しい建造物の対応を決定したり、さまざまな都市改善プロジェクトへのリソースの割り当てを決定するうえでヒントとなります。

    各集水域の内容を理解することは、ユーティリティ ネットワークが下水道データセットに行う解析の種類の 1 つにすぎません。 解析は、現実世界の問題に対するソリューションを導き出すのにも使用できます。

不正排出物の調査

下水道インフラの維持管理では、定期的にシステムを監視して問題がないかの確認も行います。 このプロセスでは通常、障害物がないか確認を行いますが、脂肪、油、グリース (FOG) プログラムの維持管理も含まれます。 FOG プログラムでは、法人顧客と連携して、各社の設備の適切な管理を徹底します。 また、潜在的に有害な化学物質や汚染物質を含む不正排出物の監視も行います。

次に、システム内で発見された汚染物質の発生源と思われる場所を特定し、下水道ネットワークを使用して不正排出物のレポートを調査します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Illicit Discharge] を選択します。

    Illicit Discharge ブックマーク

    マップが Northwest Naperville Sewershed の部分にズームします。 このズーム範囲では、下水道ネットワークのマンホールの位置などの詳細が表示されています。

    ウィンドウのサイズや ArcGIS Pro の設定によっては、解析のこのパートで必要とする以上の詳細が表示されているかもしれません。 縮尺を調整し、必要なもののみが表示されるようにしてください。

  2. マップの下の縮尺バーをクリックして「1:5,200」と入力し、Enter キーを押します。

    この範囲では、マップには集水域、枝管、マンホールのみが表示されます。

    Illicit Discharge ブックマークが表示されたマップ

    不正排出物は、このエリアにあるマンホール 1740 で見つかりました。 マンホールの上流方向をトレースし、不正排出物の発生源の可能性のあるネットワークの箇所をすべて特定します。

  3. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [ツール] グループで、[トレース] ボタンをクリックします。

    リボンのトレース ボタン

    [トレース] ウィンドウが表示されます。 マップをポイントすると、ポインターが選択ツールになり、トレースの始点とするマンホールを選択できるようになります。

  4. マップで、Cress Creek と I-34 が交わるジャンクションにあるマンホール 1740 をクリックします。

    マップ上のマンホール 1740

    マンホールが選択され、[トレース] ウィンドウに [Manhole 16113] としてリスト表示されます (アセット ID ではなく オブジェクト ID に基づいています)。

  5. [トレース] ウィンドウで、[指定構成] をクリックします。

    指定構成タブ

  6. [上流トレース] をクリックし、[実行] をクリックします。

    マンホール 1740 から上流方向にあるネットワークの箇所がすべて選択されます。

    マンホール 1740 の上流方向のエリアが選択された状態のマップ

    選択された箇所のどれかが不正排出物の発生源である可能性があります。 選択した部分を詳しく調査します。

  7. マップで [選択フィーチャにズーム] ボタンをクリックします。

    選択フィーチャにズーム ボタン

    マップがズームし、エリアの詳細が表示されます。

  8. リボンの [編集] ウィンドウをクリックします。 [選択] グループで、[属性] をクリックします。

    リボンの属性ボタン

    [属性] ウィンドウが表示されます。 選択フィーチャがフィーチャのタイプで分類された状態で、リスト表示されます。

    属性ウィンドウ

    マンホールの上流方向には、一般家庭顧客、法人顧客、工業系顧客が混在しています。 不正排出物の種類次第では、違反している可能性がある顧客をさらに絞り込むことができそうです。 例えば、水に流せる汚れ拭きシートは一般家庭顧客、大量の調理用油や調理廃棄物は法人顧客、高濃度の化学物質は工業系顧客からのものである可能性が高いです。 違反している可能性がある顧客に連絡を取り、廃棄物の不法廃棄に潜む危険性を理解してもらえるよう取り組んでもいいでしょう。

    マンホールの上流方向のグリース トラップについても調査します。汚染物質の流れに影響している可能性があるためです。

  9. [属性] ウィンドウで、[Service Device: Grease Trap] までスクロールします。 右クリックし、[これだけを選択] を選択します。

    これだけを選択オプション

    マップ上で 3 つの上流方向のグリース トラップのみが選択されます。

    マップ上のグリース トラップ

    不正排出物に油や脂肪が含まれている場合、グリース トラップから汚染物質が下水道システムにあふれ出ているかもしれません。 検査や、場合によっては清掃の必要があります。

  10. マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。 [属性] ウィンドウ、[トレース] ウィンドウ、[サブネットワークの検索] ウィンドウを閉じます。
  11. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。

    プロジェクトの保存ボタン

下水道ユーティリティ ネットワークのトレース機能を使い、フィールドからのレポートを基に不正排出物の発生源の可能性のある場所を絞り込みました。 別の利用法としては、下流方向トレースを使用して、汚染物質が処理プラントまで流れ着く経路を特定することも可能です。 将来的に不正排出物により影響を受ける可能性のある場所を特定する際に役に立つでしょう。


ネットワークの編集

新しいインフラストラクチャを建設する際は、対応する GIS ユーティリティ ネットワークを定期的に更新することが重要です。 最近、ネイパービルの下水道ネットワークは、新たに建設された地域の水道本管、マンホール、サービス接続を含む範囲まで拡張されました。

ArcGIS Pro の編集ツールと ArcGIS Utility Network のフィーチャ テンプレートを使用して、これらの拡張を反映するようネットワークを編集します。 このプロセスは建設の現況記録として知られており、通常、インフラストラクチャの建設作業員による作業スケッチ、資材リスト、現場メモに基づく編集が必要になります。 このチュートリアルでは、新たな建設を反映する GPS ポイントに基づく編集を行います。

水道本管とマンホールの作成

まず、システムを通じて水を分配する大型の配管である自然流下管を追加します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [New Construction] を選択します。

    このブックマークは、供給エリアの端に最近建設された学校の位置を表示します。

    新しい学校を表示するマップ

    追加された水道本管と支管を含めるように GIS ユーティリティ ネットワークを更新する必要があります。 現場作業員が収集した建設物の詳細が GPS ポイントのコレクションとして提供されています。 これらの GPS ポイントを編集する際の参照として使用します。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[GPS Points] レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにしてレイヤーを有効にします。

    ポイントがマップに表示されます。

    GPS Points レイヤーを表示したマップ

    これらのポイントは、建設物の位置と建設内容の両方を表示します。

  3. リボンの [編集] タブをクリックします。 [フィーチャ] グループの [作成] をクリックします。

    リボン上の作成ボタン

    [フィーチャ作成] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウには、ユーティリティ ネットワークに関連するすべての編集テンプレートが一覧表示されます。 これらを使用することで、あらゆるタイプのフィーチャをより迅速に作成できます。

  4. [Sewer Line: Gravity Main] まで下にスクロールします。 [Sanitary Collector Gravity Main with Manhole] テンプレートをクリックします。

    Sanitary Collector Gravity Main with Manhole テンプレート

    このテンプレートには作成できるフィーチャのタイプが 2 つ含まれており、水道本管用とマンホール用になっています。 デフォルトでは水道本管用のテンプレートが選択されています。

    追加する前に水道本管の資材と直径を調整できます。 この場合、デフォルト値が設置されたものと一致するため、変更しません。

    この種類のテンプレートはグループ テンプレートとして知られており、一度のスケッチで複数のフィーチャが作成できます。 このテンプレートには複数のフィーチャが含まれるため、正しい順番で必要なクリックを行うために、テンプレートに含まれる手順を読む必要があります。

  5. [Sanitary Collector Gravity Main with Manhole] を右クリックして [プロパティ] を選択します。

    [テンプレート プロパティ] ウィンドウが表示されます。 [説明] フィールドにテンプレートの使用方法手順が書かれています。

    水道本管とマンホール用テンプレートの手順説明

    手順によると、最初に新しいマンホールを追加したい位置をマップ上でクリックします。 次に、接続する既存のマンホールの位置をクリックします。

    これは自然流下管であり、重力を使用して水を分配します。 下水道フィーチャを編集する際は、常に上流方向のフィーチャから始めて下流方向のフィーチャに向かって描画していく必要があります。 こうすることで、不法排出の調査に使用したものを含め、トレース ツールが正常に動作できるようになります。

  6. [テンプレート プロパティ] ウィンドウを閉じます。

    スナップを使用することで、既存のネットワークおよび GPS ポイントの位置と正確に一致した編集が可能になります。 スナップがオンになっていることを確認します。

  7. リボンの [スナップ] グループで [スナップ] がハイライト表示され、スナップがオンであることを示しているか確認します。

    リボンのスナップ ボタン

    注意:

    ボタンがハイライト表示されていない場合、ボタンをクリックしてオンにできます。

  8. 必要に応じて、マップ上で GPS ポイントをさらに拡大します。

    編集テンプレートの手順に従って、まず GPS ポイントが示す新しいマンホールの位置をクリックします。

  9. Hillside Road と Brainard Street の交差点のマンホールを示す GPS ポイントをクリックします。

    Hillside Road と Brainard Street の交差点にあるマンホール

    スケッチが開始されます。 次に、新しいマンホールを接続する既存のマンホールをクリックします。

  10. 新しいマンホールのすぐ東にあるマンホール 328 をクリックします。

    マップ上のマンホール 328

  11. マップの下部にある [完了] ボタンをクリックします。

    完了ボタン

    ヒント:

    間違えてしまってスケッチに満足できない場合は、[完了] ボタンの横の [キャンセル] ボタンをクリックして破棄できます。

    スケッチが完了し、作成したフィーチャが選択されます。 マンホールと、下流方向のマンホールに接続する自然流下管が含まれています。 新しい水道本管の中心にある流れの矢印は水の流れる方向を示しており、フィーチャを正しく描画したことが確認できます。

    新しいフィーチャを表示するマップ

    ヒント:

    流れの矢印の方向が間違っている場合または別の誤りがあった場合、フィーチャを削除してもう一度試すこともできます。 これを行うにはリボンの [フィーチャ] グループで、[削除] をクリックします。

    新しいフィーチャを囲む青色のボックスはダーティ エリア、すなわち未検証のエリアを示します。 このチュートリアルでは、後で編集内容を検証します。

    2 つ目のマンホールを示す GPS ポイントに基づくフィーチャも作成します。

  12. マップ上で Brainard Street のマンホールを示す GPS ポイントをクリックします。

    Brainard Street のマンホールを示す GPS ポイント

  13. Hillside Road と Brainard Street の交差点にある 1 つ目のマンホールを示す GPS ポイントをクリックします。 [完了] ボタンをクリックします。

    新しいフィーチャを両方含むマップ

    新しい地域の自然流下管とマンホールを作成できました。

支管の作成

次に、より大規模なシステムに建物を接続する小型の配管である支管を追加します。 下水道備品のレイヤーのテンプレートを使用し、栓フィーチャに関連したスナップ ルールを使用します。

  1. [フィーチャの作成] ウィンドウの [Sewer Junction: Fitting] の下にある [Lateral - Residential with Cleanout, Connection, and Tap] テンプレートをクリックします。
    ヒント:

    テンプレートが見つからない場合、ウィンドウ上部の検索バーから検索できます。 たとえば、このテンプレートを探すのに適した検索語は「lateral」です。

    Lateral - Residential with Cleanout, Connection, and Tap テンプレート

    複数のテンプレート フィーチャが一覧表示されており、グループ テンプレートであることがわかります。

  2. テンプレートの名前を右クリックして [プロパティ] を選択します。

    [テンプレート プロパティ] ウィンドウ内の説明には 3 つの手順が書かれています。 最初にサービス接続の位置 (建物がサービスを受ける場所) をクリックします。 次に、掃除口の位置をクリックします。 最後に支管が水道本管に接続する位置をダブルクリックします。

  3. [テンプレート プロパティ] ウィンドウを閉じます。

    2 つの支管を作成します。 1 つ目は、住宅がある Brainard Street の東の GPS ポイントを使用します。 2 つ目は、新しい学校がある Brainard Street の西の GPS ポイントを使用します。

  4. マップ上で Brainard Street の東の住宅のサービス接続を示す GPS ポイントをクリックします。

    Brainard Street の東のサービス接続

  5. サービス接続のすぐ西にある掃除口の GPS ポイントをクリックします。

    サービス接続のすぐ西にある掃除口

  6. Brainard Street の水道本管の栓を示す GPS ポイントをダブルクリックします。

    1 つ目の支管が完了

    ダブルクリックすると、[完了] ボタンをクリックした場合と同様にスケッチを完了します。 水道本管を作成したときと同じように、新しいフィーチャには関連する流れの矢印とダーティ エリアが表示されます。

    ヒント:

    栓をダブルクリックせずに 1 度だけクリックした場合、[完了] ボタンをクリックすることでスケッチを完了できます。

    完成した支管は、住宅用顧客および掃除口を水道本管の栓に接続します。 栓への接続は、支管を水道本管に接続する標準的な方法です。

    次に、Brainard Street の西にある学校の支管を作成します。

  7. マップ上で、学校の建物の端にあるサービス接続を示す GPS ポイントをクリックします。

    学校のサービス接続

  8. サービス接続の東の掃除口を示す GPS ポイントをクリックします。 掃除口の東のマンホールを示す GPS ポイントをダブルクリックします。

    2 つ目の支管が完了

    完成した支管は、学校および掃除口を水道本管のマンホールに接続します。 下水道支管を水道本管に接続するには栓の使用が標準的ですが、支管がマンホールに直接排水する場合もあります。

    この編集テンプレートは、水道本管から離れた栓を描画するように設計されています。 支管をマンホールに接続したため、トポロジ エラーが発生します。 後で品質保証を実行し、この問題を見つけて修正します。

  9. [フィーチャ作成] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。
  10. リボンの [編集の管理] グループで [保存] をクリックします。

    リボンの保存ボタン

  11. [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

    編集内容が保存されます。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[GPS Points] の選択を解除してレイヤーをオフにします。
  13. プロジェクトを保存します。

ネットワークを編集し、新しい建設を反映するフィーチャを作成しました。 水道本管と支管の両方を作成しました。 次に、編集に対して品質保証を実行します。


品質保証の実施

ユーティリティ ネットワークを編集して下水回収システムを拡張できたので、編集内容にネットワーク解析の実行を妨げるエラーがないことを確認する必要があります。 編集後のトポロジを検証して品質保証を実施し、その後、サブネットワークを更新して新しい水道本管と支管の長さの統計を反映します。

トポロジの検証

まず、編集後のトポロジを検証します。 ユーティリティ ネットワークは、ネットワーク トポロジを使用してフィーチャ間の接続性を管理し、維持しています。 検証により、ネットワーク トポロジを定義しているルールや制約に編集内容が従っているかをチェックします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Sewer Utility Network] を展開します。 [Dirty Areas] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
  2. マップ上で、新しい編集内容を囲むダーティ エリア (青色で囲まれたフィーチャ) を 1 つクリックします。

    フィーチャのポップアップが表示されます。

    ダーティ エリアのポップアップ

    ポップアップには [Status Description] という名前のフィールドがあります。 このフィールドはダーティ エリア フィーチャが挿入/更新され、新しく作成されたことを示します。

  3. ポップアップを閉じます。
  4. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [ネットワーク トポロジ] グループで、[整合チェック] ボタンをクリックします。

    リボンの整合チェックボタン

    エラーが見つかったことを示すメッセージが表示されます。 マップから消えた一部のダーティ エリアは検証済みであることを示し、赤色に変わった他の部分はエラーがあることを示しています。

    エラーがあるダーティ エリアは 2 つあり、互いに隣接しています。 両方のダーティ エリアに個別のエラーがある可能性もありますが、両方に隣接するマンホール フィーチャによってエラーが発生している可能性が高いです。

  5. マップ上で 2 つの大きいダーティ エリアの間にあるマンホールを拡大します。

    ダーティ エリアの間にあるマンホールを表示するマップ

    ズームすると、マンホールにだけ焦点を合わせた小さいダーティ エリアがもう 1 つあることがわかります。

  6. 大きいダーティ エリアをクリックしないように、マンホールを囲む小さいダーティ エリアをクリックします。

    このエリアのポップアップが表示されます。 ポップアップの上部に複数のフィーチャが一覧表示されており、この位置には複数のダーティ エリアがあることを示しています。

    2 つのダーティ エリアを表示するポップアップ

    注意:

    大きいダーティ エリアのいずれかを誤ってクリックした場合、2 つではなく 3 つ以上のダーティ エリアが一覧表示されることがあります。 その場合、マンホールを囲む小さいダーティ エリアを拡大してクリックし、ポップアップに一覧表示されるダーティ エリアが 2 つだけになるようにします。

    ポップアップ下部にはダーティ エリアに関するエラーが表示されます。

    ダーティ エリアのエラーを示すポップアップ

    エラーによると、この位置は接続性が無効です。 また、スタックされたポイント フィーチャもあります。 一般的に、スタックされたポイント フィーチャはユーティリティ ネットワーク データセットにさらに多くの問題を引き起こすため、優先的に解決する必要があります。

    選択ツールを使用してマンホールの周囲のすべてのフィーチャを選択し、スタックされたフィーチャがどれか確認します。

  7. ポップアップを閉じます。 リボンの [編集] タブの [選択] グループで、[選択] ボタンをクリックします。

    リボン上の [選択] ボタン

  8. マップ上で、マンホールを中心とする小さいダーティ エリアの境界内に、マンホールを囲むボックスを描画します。

    マンホールと、マンホールに接続するライン フィーチャが選択されます。

    マンホールと、接続するフィーチャを表示するマップ

    マップを見ただけではわかりませんが、マンホールにスタックされたフィーチャはすべて同様に選択されています。

  9. リボン上の [選択] グループで [属性] をクリックします。

    [属性] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウは、前に不法排出を調査した際に使用しました。 ここでは選択されているすべてのフィーチャが一覧表示されています。

    選択されているフィーチャを示す属性ウィンドウ

    マップ上では、マンホール、自然流下管、支管の 3 つのフィーチャが選択されていることがわかります。 しかし、同様に継手も選択されています。 この継手がマンホールにスタックされたフィーチャです。

    ユーティリティ ネットワークは、ネットワークに接続する連結部または装置が同一座標に複数あることを認めていません。 これは、ネットワーク トポロジの検証時に数多く実施するチェックの 1 つです。

    この問題を解決するためには、現場作業員と状況について話し合い、現場に何が取り付けられたかを知る必要があります。 支管からマンホールに直接排出される場合、継手フィーチャの削除が必要になります。 支管がマンホールではなく水道本管に接続されている場合、現場作業員は支管を接続した現場の位置を特定し、更新された座標を提供する必要があります。 その後、継手フィーチャを新しい位置に移動しなければなりません。

    このチュートリアルでは、支管からマンホールに直接排出されるという現場作業員の報告を受けたと想定します。 この問題を解決するために、継手フィーチャを削除します。

  10. [属性] ウィンドウで [Sewer Junction: Fitting] を右クリックして [削除] を選択します。

    継手の削除オプション

  11. [削除] ウィンドウでデータを削除するか確認されたら、[はい] をクリックします。

    継手が削除されます。 マップ上でマンホールを囲むダーティ エリアのシンボルが変化し、さらに検証が必要であることを示します。

    更新されたダーティ エリアのシンボルを表示するマップ

  12. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループの [マップ操作] ボタンをクリックします。

    マップ操作ボタン

    選択ツールがオフになります。 これで、フィーチャをクリックしてポップアップをもう一度確認できます。

  13. マンホールを囲む小さいダーティ エリアをクリックします。 ポップアップで、[25,9] から始まるダーティ エリアを選択します。

    ポップアップの 25,9 から始まるダーティエリア

    ポップアップ下部にはこのダーティエリアのステータスが表示され、削除したフィーチャが書かれています。

    ポップアップの削除したフィーチャのステータス

    トポロジの検証をもう一度行う準備ができました。 その前にズーム アウトする必要があります。 デフォルトでは現在の拡大範囲のみで検証が実施されますが、すべてのダーティ エリアを検証する必要があります。

  14. ポップアップを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[Dirty Areas] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
  15. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [ネットワーク トポロジ] グループで、[整合チェック] ボタンをクリックします。

    検証が成功したことを示すメッセージが表示されます。 マップからすべてのダーティ エリアが消えます。 解決したエラーは複数のダーティ エリアが交わる箇所であったため、すべて検証できました。

    トポロジの検証は完了です。 続行する前に、すべての選択を解除して編集内容 (継手フィーチャの削除) を保存します。 サブネットワークを更新して新しい配管寸法を反映する前に、すべての編集内容を保存する必要があります。

  16. [属性] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。
  17. リボン上の [編集] タブにある [編集の管理] グループで、[保存] をクリックします。 [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

サブネットワークの更新

ユーティリティ ネットワークの編集後の最後のステップは、サブネットワークの更新です。 このチュートリアルの始めに、ネットワーク内容の理解を深めるために、サブネットワークを探してトレースしました。 もう一度サブネットワークを探してエラーがないか確認します。

  1. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [サブネットワーク] グループで [検索] をクリックします。

    [サブネットワークの検索] ウィンドウが表示されます。 すべてのサブネットワークではなく、現在の拡大範囲にあるサブネットワークすべてが一覧表示されています。

    2 つのサブネットワークを表示するサブネットワークの検索ウィンドウ

    確認できるサブネットワークはどちらも [ステータス] 列にエラー アイコンが表示されており、ダーティであることを示しています。 これらのエラーは、処理が必要なサブネットワークに編集を加えたために発生しています。

    ヒント:

    4 つのサブネットワークすべてが表示される場合または [ステータス] 列にエラー アイコンが表示されない場合、[更新] ボタンをクリックします。

  2. [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。

    マップ上で管渠に属するすべてのフィーチャが選択されます。 新しいすべてのフィーチャが選択されているため、これが新しいフィーチャの属する管渠です。

    すべての新しいフィーチャが選択されたマップ

  3. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    ポップアップの [MainLength][LateralLength][ServiceCount] フィールドは、このチュートリアルで新しいフィーチャを作成する前に見たときから変わっていません。 新しいフィーチャが追加されたことによって、以前よりも長さが延び、サービス接続の数が増えています。 サブネットワークを更新すると、これらの値が再計算されます。

  4. マップ上で、学校の南端に作成したサービス接続をクリックします。

    新しいサービス接続のポップアップ

    ポップアップのサブネットワーク名は不明になっていますが、このサービス接続は Southeast Naperville Sewershed の一部です。 他の値同様、サブネットワークを更新するとこれらの値も再計算されます。

  5. ポップアップを閉じます。 [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[サブネットワークの更新] を選択します。
    注意:

    [サブネットワークの更新] オプションが使用できない場合、編集内容を保存していない可能性があります。 リボンの [編集] タブをクリックし、[保存] をクリックします。

    サブネットワークの更新オプション

    サブネットワークが更新されます。 [ステータス] 列のエラー アイコンが消え、サブネットワークがクリーンであることを示します。

  6. [Naperville Collection System] を右クリックし、[サブネットワークの更新] を選択します。

    これで、エラー アイコンはなくなりました。

    エラーがないサブネットワークの検索ウィンドウ

    ポップアップを確認し、先ほど見た値が更新されていることを確認します。

  7. [Southeast Naperville Sewershed] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    [MainLength][LateralLength][ServiceCount] の値が更新されています。

  8. マップ上で、学校のサービス接続をクリックします。

    ポップアップは、[System Subnetwork Name][Naperville Collection System][Sewershed Subnetwork Name][Southeast Naperville Sewershed] を一覧表示するようになりました。

  9. ポップアップと [サブネットワークの検索] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。
  10. プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、ユーティリティ ネットワークを使用してデータを分析し、不法排出の追跡に役立てる方法を学びました。 また、編集を行って現場の新しい建設に基づいてネットワークを拡張する方法を学びました。 編集に対して品質保証を実施し、ネットワーク トポロジを検証し、サブネットワークを更新しました。

ArcGIS のユーティリティ ネットワークについてさらに詳しく知りたい場合は以下のリソースをお試しください。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。