不正排出物の発生源の特定

雨水インフラは、地表を流れる雨水を人工または天然のインフラに貯水または排水することを目的としています。 しかしながら、違法な汚染物質があると、このプロセスに支障をきたすことがあるほか、潜在的に有害な物質が含まれる場合もあります。 このセクションでは、市の雨水ユーティリティ ネットワークを使用し、汚染物質が発見された場所から上流方向へとトレースして、不正排出物を調査します。

ネットワークの理解

はじめに、市の雨水ユーティリティ ネットワークを含むプロジェクト パッケージをダウンロードします。 ネットワークについて理解を深めてから先へ進み、インフラが雨水流出管理にどのように使用されているかを学びます。

  1. Stormwater_Utility_Network プロジェクト パッケージをダウンロードします。

    [Stormwater_Utility_Network.ppkx] という名前のファイルが、コンピューターにダウンロードされます。

    注意:

    .ppkx ファイルは ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。

  2. ファイルがダウンロードされた場所を開き、[Stormwater_Utility_Network.ppkx] をダブルクリックして ArcGIS Pro で開きます。 プロンプトが表示されたら、ArcGIS アカウントの認証情報を使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    プロジェクトには、イリノイ州ネイパービルの雨水ユーティリティ ネットワークを示すマップが含まれています。

    ネイパービルの雨水ユーティリティ ネットワークのデフォルト マップ

    マップ上のラインは [Stormwater Networks] レイヤーのものです。 サブネットワークごとに異なる色でスタイル設定されており、それぞれがネットワーク内の別々の集水構造を表しています。 これらのフィーチャは縮尺依存で、拡大すると表示されなくなります。その一方で他のレイヤーが表示されるようになり、ネットワークがより詳細に表示されます。

    サブネットワークの詳細を確認するために、トレースしてポップアップを開きます。

  3. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。

    ユーティリティ ネットワーク タブ

  4. [サブネットワーク] グループで [検索] をクリックします。

    リボンの検索ボタン

    [サブネットワークの検索] ウィンドウが表示されます。 この地域の河川流域 ([DuPage River Basin]) と 13 のサブネットワークのそれぞれが一覧表示されます。

  5. [Catchment I] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。

    Catchment I のサブネットワークのトレース オプション

    このユーティリティ ネットワークでは、この集水構造のすべての落ち口をトレースして、マップ上でこの集水構造に属するすべてのフィーチャを選択します。 サブネットワークで選択されない部分がある場合、その部分は集水構造に接続されていないことになります。

    マップ上の Catchment I

  6. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Catchment I] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    ポップアップが開き、そのネットワークに関連付けられた属性情報が表示されます。

    Catchment I のポップアップ

    ポップアップに、このサブネットワークに関連付けられた排水ます、落ち口、その他のフィーチャの個数が一覧表示されます。 また、このサブネットワークの管および水路の合計の長さも表示されます。

  7. ポップアップを閉じます。

落ち口の調査

雨水ユーティリティ ネットワークの調査の続きとして、ここでは落ち口 (Outfall) について調査します。落ち口とは、雨水が河川や湖などの水域に排出される場所を表します。 落ち口は雨水管理の基本要素であるため、雨水ユーティリティ ネットワークで正確に描画する必要があります。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Catchment I Outfall] を選択します。

    Catchment I Outfall ブックマーク

    Catchment I (選択中) が DuPage River Basin (青のライン フィーチャ) に排水している場所にマップが移動します。 このサブネットワークはこの流域に接続していますが、物理的には接していません。

    マップ上の Catchment I Outfall ブックマーク

  2. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [関連付け] グループで [表示] をクリックします。

    表示ボタン

    マップ上で、フィーチャ間の関連付けが破線で表示されます。

    マップ上の関連付け

    関連付けは、フィーチャ間にある非空間の接続性を表します。 このケースでは、Catchment I の落ち口が DuPage River Basin の開水路接続ポイントに接続しています。

    次に、上流トレースを実行し、指定した場所から上流のすべての位置を選択することで、この集水構造から河川に排水されることを確認します。

  3. [ユーティリティ ネットワーク] タブの [ツール] グループで、[トレース] ボタンをクリックします。

    リボンのトレース ボタン

    [トレース] ウィンドウが表示されます。 マップをポイントすると、ポインターが選択ツールになり、トレースの始点とするマンホールを選択できるようになります。

    次に進む前に、スナップがオンになっていることを確認します。 スナップにより、マップ上のフィーチャを選択しやすくなります。 スナップを使用しない場合、ほんの少しでもフィーチャがずれていると、トレース ツールで始点を指定できなくなります。

  4. リボンの [編集] タブをクリックします。 [スナップ] グループで [スナップ] がハイライト表示され、オンであると示されていることを確認します。

    リボンのスナップ ボタン

    注意:

    ボタンがハイライト表示されていない場合、ボタンをクリックしてオンにできます。

  5. マップ上で、Catchment I の関連付けの下流にある、DuPage River Basin 上の場所をクリックします。

    Catchment I の下流にある、DuPage River Basin 上のポイント

  6. [トレース] ウィンドウで、[指定構成] タブをクリックします。 [上流トレース] を選択します。

    指定構成タブの上流トレース オプション

  7. [トレース] ウィンドウの下部にある [実行] をクリックします。

    クリックしたポイントの上流にあるすべてのエリアが選択されます。 Catchment I も選択されたままです。つまり、DuPage River Basin に水が正常に流れ込んでいます。

    ポイントの上流にある選択されたフィーチャ

    雨水ユーティリティ ネットワークの最も重要な利点の 1 つは、上流トレースと下流トレースを実行しながら、落ち口と水路の場所を正確にマッピングできることです。 次に、DuPage River Basin を詳しく調べ、この流域に排水する落ち口の総数を確認します。

  8. [トレース] ウィンドウの下部にある [サブネットワークの検索] タブをクリックします。

    サブネットワークの検索タブ

    [サブネットワークの検索] ウィンドウが再度アクティブになります。

    ヒント:

    [サブネットワークの検索] ウィンドウを閉じた場合は、リボンの [サブネットワーク] グループにある [検索] ボタンをクリックして再度開くことができます。

  9. [DuPage River Basin] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。

    この河川流域がトレースされます。ただし現在のマップ範囲では、その結果を確認できません。

  10. [DuPage River Basin] を右クリックし、[ズーム] を選択します。

    マップ上で選択したフィーチャの範囲が拡大表示されます。 DuPage River Basin が蛇行しながらネイパービル全域に広がっています。 この流域に排水するすべての落ち口も選択されています。

    マップ上の DuPage River Basin

  11. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [DuPage River Basin] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    ポップアップに、95 の落ち口がこの河川流域に排水していることが示されます。

    DuPage River Basin のポップアップ

    各落ち口には個別の許可が関連付けられています。 規制遵守のために、落ち口を定期的に検査する必要があります。 フィーチャの調査は、マップ上でクリックしてポップアップでその属性を確認することで実行できますが、[属性] ウィンドウでフィーチャの属性情報にアクセスすることもできます。

  12. ポップアップを閉じます。
  13. リボンの [編集] タブをクリックします。 [選択] グループで、[属性] をクリックします。

    リボンの属性ボタン

    [属性] ウィンドウが表示されます。 選択フィーチャがフィーチャのタイプで分類された状態で、リスト表示されます。 管排水口を調査して、正確な落ち口 ID と許可 ID が設定されているかどうかを確認します。

  14. フィーチャのリストを、[Stormwater Device : Outlet] が表示されるまでスクロールします。 [Pipe Outlet: Otlt-27] をクリックします。

    属性ウィンドウの Pipe Outlet: Otlt-27

    フィーチャのリストに、選択したフィーチャの属性が一覧表示されます。 この排水口は落ち口 (Outfall) ですが、[Outfall ID] 属性も [Permit ID] 属性も設定されていません。

    Otlt-27 の Outfall ID 属性、Outfall 属性、Permit ID 属性

    これらの属性フィールドを使用して、落ち口とその許可の ID を格納することができます。これらによって、部門をまたがる情報共有が可能になり、規制要件遵守の徹底につながります。 ユーティリティ ネットワーク内に許可 ID のない落ち口が見つかった場合は、その情報を入力する措置をすぐに講じることをおすすめします。 このチュートリアルにおいては、この時点では何も変更しません。

不正排出物の調査

雨水インフラの維持管理では、定期的にシステムを監視して、汚染物質などの問題がないかの確認も行います。

次に、雨水ネットワークを使用して不正排出物のレポートを調査します。 検査官が年次検査中に、市が管理する貯水池の 1 つで汚染物質を見つけたと想定します。 詳細な調査により、その現場には少量の有害化学物質が存在することが確認され、それが不正排出物であることが示されました。

市は検出された化学物質を使用しているすべての工業系顧客のリストを管理しているため、その排出源は、市内の数十箇所に絞り込まれました。 今、市は不正排出物を監視するための装置を設置したいと考えています。 そのため、ユーティリティ ネットワークを使用して、排出物が見つかった場所とその発生源となり得る場所に基づいて、この装置を設置するための最適な場所を決定します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Illicit Discharge] を選択します。

    マップに 1 つの貯水池が表示されます。この貯水池には、4 つの管排水口から水が流れ込んでいます。 汚染物質が発見されたのは、この貯水池内です。

    マップ上の Illicit Discharge ブックマーク

  2. [属性] ウィンドウの下部にある [トレース] タブをクリックして、[トレース] ウィンドウに戻ります。
    ヒント:

    または、リボンから [トレース] ウィンドウを再度開きます。 [ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックし、[ツール] グループで [トレース] ボタンをクリックします。

    新たなトレースを実行する前に、以前のトレースで追加した始点をクリアする必要があります。

  3. [トレース] ウィンドウで [始点] タブをクリックします。 [Open Channel DuPage River Basin] の横にある削除ボタンをクリックします。

    以前の始点の削除ボタン

    次に、この貯水池に流れ込む各排水口に始点を追加します。

  4. マップ上で、貯水池に接続している 4 つの排水口 ([Otlt-36][Otlt-37][Otlt-193][Otlt-194]) のそれぞれをクリックします。

    貯水池に接続している 4 つの排水口

    [トレース] ウィンドウに、クリックした 4 つの排水口がすべて表示されます。

  5. [トレース] ウィンドウで、[指定構成] タブをクリックします。 [上流トレース] を選択し、[実行] をクリックします。

    4 つの排水口の上流にあるすべてのフィーチャが選択されます。

  6. マップ上で、選択したすべてのフィーチャが表示されるまで縮小し、画面移動します。

    貯水池の 4 つの排水口からの上流トレース

    市の不正排出物チームはこれらの結果を使用して、選択された場所のどの顧客が、検出された化学物質を使用しているかを判断できます。

    このチュートリアルでは想定として、排水ます 2265 の顧客が、検出された化学物質を使用していると特定されたことにします。 ここでは、この排水ますについてさらに調査します。

  7. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Catch Basin 2265] を選択します。

    マップにこの排水ますが表示されます。上流トレース エリアの終端にあります。

    マップ上の Catch Basin 2265 ブックマーク

    この排水ますが不正排出物の発生源であることが明らかになりましたので、下流トレースを実行して、ここを発生源とする排出物が到達した可能性のある場所を特定します。

  8. [トレース] ウィンドウで [始点] タブをクリックします。 先ほど追加した 4 つの始点を削除します。
  9. マップ上で [Ctch-Bsn-2265] をクリックして、始点をこの位置に追加します。

    Catch Basin 2265 にある始点

  10. [トレース] ウィンドウで、[指定構成] タブをクリックします。 [下流トレース] をクリックします。

    下流トレース オプション

    このタイプのトレースでは、選択した位置 (複数可) の下流にあるフィーチャを特定します。 排出物の正確な範囲は、排出時に降雨があったかどうかによって変化する可能性があります。 このモデルは悲観的な解析を実行します。つまり、排出物が降雨時に排出されたと仮定してすべてのトレースを扱い、可能な限り最大のトレース範囲を表示します。

  11. [実行] をクリックします。 マップ上で、選択したすべてのフィーチャが表示されるまで縮小し、画面移動します。

    下流トレースで選択されたフィーチャ

    この不正排出による物質は複数の BMP サイト (流出管理に使用されるエリア) に行き着く可能性があります。 また、排出が発生したときのシステムの水量によっては、河川そのものにまでこの物質が到達する可能性も考えられます。

    この顧客の排出物を監視する 1 つの方法は、下流の各落ち口に監視装置を設置することです。 その他にも、顧客に最も近い雨水貯水槽に監視装置を設置するという方法があります。

  12. [Catch Basin 2265] ブックマークに戻ります。 [Swr-Strm-Vlt-1623] が表示されるまで、南に画面移動します。

    マップ上の Swr-Strm-Vlt-1623

    Storm Vault 1623 はこの顧客に近い位置にあり、現在選択中であるため下流にあります。 この貯水槽に監視装置を設置するよう、担当者に指示できます。 監視装置を配備したら、不正排出物に関連した、天然資源に対するリスクや罰則について顧客に指導しつつ、今後のインシデントに備えて監視することができるでしょう。

  13. [トレース] ウィンドウ、[属性] ウィンドウ、[サブネットワークの検索] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。

    現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除ボタン

    選択が解除されます。

  14. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。

    プロジェクトの保存ボタン

ここでは、雨水ユーティリティ ネットワークのトレース機能を使用し、現場からのレポートに基づいて、不正排出物の発生源の可能性がある場所を絞り込みました。また、この汚染物質の影響を受けた可能性があるインフラを特定しました。


ネットワークの編集

新しいインフラストラクチャを建設する際は、対応する GIS ユーティリティ ネットワークを定期的に更新することが重要です。 最近、ネイパービルの雨水ネットワークは、新たに建設された地域の本管、マンホール、流入口を含む範囲まで拡張されました。

ArcGIS Pro の編集ツールと ArcGIS Utility Network のフィーチャ テンプレートを使用して、これらの拡張を反映するようネットワークを編集します。 このプロセスは建設の現況記録として知られており、通常、インフラストラクチャの建設作業員による作業スケッチ、資材リスト、現場メモに基づく編集が必要になります。 このチュートリアルでは、新たな建設を反映する GPS ポイントに基づく編集を行います。

セジメント トラップの作成

まず、システムを通じて水を分配する自然流下管を、雨水によって流れ込んだ堆積物を捕らえるセジメント トラップと共に追加します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックし、[Main Extension] を選択します。

    このブックマークは、サービス エリアの端に最近建設され、この都市の雨水ネットワークに組み込まれた地域の位置を表示します。

    主な拡張の位置を示すマップ

    建設された新しい雨水インフラストラクチャを含めるために、GIS ユーティリティ ネットワークを更新する必要があります。 現場作業員が収集した建設物の詳細が GPS ポイントのコレクションとして提供されています。 これらの GPS ポイントを編集する際の参照として使用します。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[GPS Points] レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにしてレイヤーを有効にします。

    現在の拡大範囲では、マップ上の Case Street に新しいポイントが 1 つ表示されます。 ポイントは他にもありますが、今回はこのポイントに注目します。

    [コンテンツ] ウィンドウに一覧表示されているシンボルから、2 種類の GPS ポイントがあることが分かります。排水ます (セジメント トラップの別名) とマンホールです。

    GPS Points レイヤーのシンボル

    マップ上で確認できるポイントには排水ますのシンボルがあります。これは、現場作業員がこの位置に排水ますを構築したことを意味します。 雨水ネットワーク内に新規フィーチャを作成し、この構築を反映します。

  3. リボンの [編集] タブをクリックします。 [フィーチャ] グループの [作成] をクリックします。

    リボン上の作成ボタン

    [フィーチャ作成] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウには、ユーティリティ ネットワークに関連するすべての編集テンプレートが一覧表示されます。 これらを使用することで、あらゆるタイプのフィーチャをより迅速に作成できます。

  4. [雨水ライン: 管] まで下にスクロールします。 [セジメント トラップがある自然流下管] テンプレートをクリックします。

    セジメント トラップがある自然流下管テンプレート

    ヒント:

    上記の代わりに、ウィンドウ上部の検索ボックスでもテンプレートを検索できます。

    このテンプレートには作成できるフィーチャのタイプが 2 つ含まれています。自然流下管用とセジメント・トラップ用です。 デフォルトで、自然流下管テンプレートが選択されています。

    追加する前に本管の資材と直径を調整できます。 この場合、デフォルト値が設置されたものと一致するため、変更しません。

    これは自然流下管であり、重力を使用して水を分配します。 雨水フィーチャを編集する際は、常に上流のフィーチャから始めて、下流のフィーチャに向かって描画していく必要があります。 こうすることで、不正排出物の調査に使用したようなトレース ツールが正常に動作するようになります。 今回の場合は、まず GPS ポイントで示された新しいセジメント トラップの位置でマップをクリックします。

  5. マップの Case Street にある GPS ポイントをクリックします。

    Case Street の GPS ポイント

    スケッチが開始されます。 次に、新しいセジメント トラップを接続する既存のマンホールをクリックします。

  6. 新しいセジメント トラップのすぐ東にある Swr-Strm-Vlt-237 をクリックします。
    注意:

    このマンホールをクリックする前に、ポインターの上に [マンホール水路: ポイント] が表示されることを確認します。 [雨水ライン - 流れの矢印: 終点] というホバー テキストが表示された場合は、クリックした場所が正しくありません。

    マップの Swr-Strm-Vlt-237

  7. マップの下部にある [完了] ボタンをクリックします。

    完了ボタン

    ヒント:

    間違えたら (違う位置をクリックした場合など)、[完了] ボタンの横の [キャンセル] ボタンをクリックすると、スケッチを破棄できます。

    スケッチが完了し、作成したフィーチャが選択されます。 そこにはセジメント トラップと自然流下本管が含まれています。自然流下本管はセジメント トラップとその下流のマンホールを接続しています。 新しい本管の中心にある流れの矢印は水の流れる方向を示しており、フィーチャを正しく描画したことが確認できます。

    新しいフィーチャを表示するマップ

    ヒント:

    流れの矢印の方向が間違っている場合または別の誤りがあった場合、フィーチャを削除してもう一度試すこともできます。 これを行うにはリボンの [フィーチャ] グループで、[削除] をクリックします。

    新しいフィーチャを囲む青色のボックスはダーティ エリア、すなわち未検証のエリアを示します。 ダーティ エリアは未検証の編集内容の追跡に使用され、編集されたフィーチャについてのポップアップ情報を含んでいます。

  8. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループの [マップ操作] ボタンをクリックします。

    マップ操作ボタン

    マップ上でポインターが変わります。 フィーチャをクリックするとポップアップを表示できます。

  9. マップ上で、ダーティ エリアを示す青色のボックスをクリックします。

    フィーチャのポップアップが表示されます。 ポップアップ下部の [Status Description] フィールドから、ダーティ エリアは挿入または更新されたフィーチャを表していることが分かります。

    Status Description フィールド

    ユーティリティ ネットワークのダーティ エリアをクリーン アップするには、編集内容を検証する必要があります。 これは本チュートリアルの後半で行うので、今はマップ上のダーティ エリアを非表示にし、見た目をすっきりさせ、以降の編集がしやすくなるようにします。

  10. ポップアップを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウの [Stormwater Utility Network] にある [Dirty Areas] レイヤーのチェックボックスをオフにします。

    ダーティ エリアのフィーチャがマップ上で非表示になりますが、編集内容は引き続き追跡されます。

追加フィーチャの作成

GPS ポイントに基づいて、引き続きフィーチャを追加します。

  1. 追加したセジメント トラップの西側にある GPS ポイントがマップに表示されるまで、マップを縮小して画面移動します。

    すべての GPS ポイントが表示されたマップ

    スケッチする GPS ポイントがさらに複数あります。 ほとんどが排水ます (セジメント トラップ) のフィーチャですが、作成したフィーチャのすぐ西にあるフィーチャを含め、マンホールのフィーチャが少しあります。 このマンホールのフィーチャを、別のフィーチャ テンプレートを使用して追加します。

  2. [フィーチャの作成] ウィンドウの [雨水ライン: 管] で、[マンホール水路と貯水槽がある自然流下管] をクリックします。

    マンホール水路と貯水槽がある自然流下管

    以前と同様、フィーチャのデフォルト属性は変更しません。

    次のフィーチャは Sherman Avenue と Case Street の交差点にある GPS ポイントに配置します。 このフィーチャを使用することにより、ユーティリティ ネットワークで、これら 2 本の道路からの雨水とシステムの残りの部分とを組み合わせることができます。

  3. マップ上の、Sherman Avenue と Case Street の交差点にあるマンホールの GPS ポイントをクリックします。

    Sherman Avenue と Case Street にあるマンホールを示すマップ

  4. 追加したセジメント トラップのフィーチャをクリックします。 マップの下部にある [完了] ボタンをクリックします。

    新しいマンホールのフィーチャを示すマップ

    マンホール水路と貯水槽がある自然流下管を新たに追加しました。 次に、Sherman Avenue に沿って北に延びる、一連の、セジメント トラップがある自然流下管のフィーチャを追加します。

  5. [フィーチャの作成] ウィンドウで、[セジメント トラップがある自然流下管] テンプレートをクリックします。
  6. マップ上で、マンホールの北側のセジメント トラップで始まり、マンホールで終わるフィーチャを作成します。 [完了] をクリックします。

    Sherman Avenue にある新しいセジメント トラップのフィーチャを示すマップ

  7. マップ上で、GPS ポイントに基づいて、フロー方向が南向きのセジメント トラップのフィーチャをさらに 3 つ作成します。
    注意:

    フィーチャを作成するごとに、必ず [完了] をクリックしてください。

    Sherman Avenue にあるフィーチャ

    次に、ネットワークを Case Street に沿って広げます。

  8. マップ上で、マンホールの西側にあるセジメント トラップの GPS ポイントとマンホールの GPS ポイントとを接続する、セジメント トラップがある自然流下管のフィーチャを作成します。

    Case Street にあるセジメント トラップのフィーチャ

    次の GPS ポイントはマンホールなので、別のフィーチャ テンプレートに切り替えます。

  9. [フィーチャの作成] ウィンドウで、[マンホール水路と貯水槽がある自然流下管] テンプレートをクリックします。 マップ上で、Case Street と Columbia Street の交差点のマンホールから、作成したセジメント トラップのフィーチャに向かうフィーチャを作成します。
  10. [セジメント トラップがある自然流下管] テンプレートに戻ります。 マップ上で、最も西側のセジメント トラップから Case Street と Columbia Street の交差点にあるマンホールに向かうフィーチャを作成します。
  11. Columbia Street にある最初の 4 つのセジメント トラップをそれらのすぐ南にあるフィーチャに接続する、一連の 4 つのフィーチャを作成します。

    Columbia Street にある最初の 4 つのセジメント トラップ フィーチャを示すマップ

    マンホールのフィーチャがもう 1 つあるため、テンプレートを再度変更する必要があります。

  12. [マンホール水路と貯水槽がある自然流下管] テンプレートに切り替えます。 最後のマンホールの GPS ポイントから最後に作成したセジメント トラップのフィーチャに向かうフィーチャを作成します。
    ヒント:

    必要に応じてマップを拡大表示すると、フィーチャを作成しやすくなります。

  13. [セジメント トラップがある自然流下管] テンプレートに切り替えます。 Columbia Street にある最後の 3 つのセジメント トラップをそれらのすぐ南にあるフィーチャに接続する、一連の 3 つのフィーチャを作成します。

    Columbia Street 上に最後の 3 つのセジメント トラップ フィーチャが表示されたマップ

    最後に接続する GPS ポイントは、Columbia Street と Burlington Avenue の交差点にあるマンホールのすぐ東にある、Burlington Avenue 上のポイントです。

  14. Burlington Avenue にズームします。 Burlington Avenue にあるセジメント トラップから、そのすぐ西にあるマンホールに向かうフィーチャを作成します。

    マップ上の最後のフィーチャ

    これで、GPS ポイントに基づいて新しいフィーチャを作成する作業をすべて終えました。

  15. [フィーチャ作成] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。
  16. [コンテンツ] ウィンドウで、[GPS Points] レイヤーをオフにして、[Dirty Areas] レイヤーをオンにします。 新たに追加したすべてのフィーチャがマップに表示されるまで、マップを縮小します。

    追加したすべてのフィーチャとダーティ エリアを示すマップ

    マンホールのフィーチャを新たに 3 つ作成しました。それらは道路の交差点に表示されています。 管は一定の方向に流れ、新しいフィーチャはダーティ エリアによって追跡されます。

    編集内容を検証する前に、それらを保存する必要があります。

  17. リボンの [編集の管理] グループで [保存] をクリックします。

    リボンの保存ボタン

  18. [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

    編集内容が保存されます。

  19. プロジェクトを保存します。

ネットワークを編集し、新しい建設を反映するフィーチャを作成しました。 セジメント トラップがある管とマンホールがある管の両方を作成しました。 次に、編集に対して品質保証を実行します。


品質保証の実施

ユーティリティ ネットワークを編集して雨水収集システムを拡張した後、情報が正しく入力されていることを確認するにはどうしたらよいでしょうか? 編集内容が市の要件を満たす正確かつ完全なネットワークを生成できていることを確認するために、品質保証は重要です。 編集後のトポロジを検証して品質保証を実施し、その後、サブネットワークを更新して新しいパイプの長さの統計を反映します。

トポロジの検証

まず、編集後のトポロジを検証します。 ユーティリティ ネットワークは、ネットワーク トポロジを使用してフィーチャ間の接続性を管理し、維持しています。 検証により、ネットワーク トポロジを定義しているルールや制約に編集内容が従っているかをチェックします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Dirty Areas] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。

    すべてのネットワークを検証するのではなく、編集したもののみを検証します。 検証はマップ範囲を基にして行えるため、検証前に正しい範囲にズームすることが必要になります。 また、[サブネットワークの検索] ウィンドウを開き、正しい集水構造が表示されていることを確認します。

  2. リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [サブネットワーク] グループで [検索] をクリックします。

    このズーム範囲では、Catchment I のみがウィンドウに表示されています。 編集したのはこの集水構造であるため、ズーム範囲は適切です。 検証を行う準備が整いました。

  3. リボンの [ネットワーク トポロジ] グループで、[整合チェック] ボタンをクリックします。

    リボンの整合チェックボタン

    検証が成功し、エラーが見つからなかったことを示すメッセージが表示されます。 マップからすべてのダーティ エリアが消え、検証済みであることを示しています。

    検証済みフィーチャが表示されているマップ

    注意:

    一方、エラーが見つかったというメッセージが表示された場合は、エラーのあるダーティ エリアはマップに残り、赤色に変わります。 ほとんどのエラーは、無効な接続性がある場合のエラーです。 エラーが表示された場合は、作成したフィーチャを削除し、正しいフィーチャ テンプレートまたはフロー方向を使用してフィーチャを再度作成することが必要になる場合があります。

  4. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [更新] ボタンをクリックします。

    更新ボタン

    Catchment I の [ステータス] 列に警告アイコンが表示されます。 編集内容を検証したところ、Catchment I のコンテンツが変更されていることがユーティリティ ネットワークにより特定されました。

    Catchment I のステータスの警告

    サブネットワークを更新し、品質保証を完了する必要があります。

サブネットワークの更新

ユーティリティ ネットワークの編集後の最後のステップは、変更されたサブネットワークの更新です。 このチュートリアルの始めに、ネットワーク内容の理解を深めるために、サブネットワークを探してトレースしました。 また、ネットワークに関係のあるポップアップを確認し、存在する排水ますやマンホールの数に関する統計を表示しました。 サブネットワークを更新すると、これらの統計の正確性を確認できます。

  1. マップで、新たに建設された重力パイプ フィーチャのいずれかをクリックします。

    フィーチャのポップアップで、サブネットワークが [不明] としてリストされます。

    ポップアップ内のサブネットワーク名フィールド

    現在、フィーチャはサブネットワークに属していません。 サブネットワークを更新すると、このフィールドが入力されます。

  2. ポップアップを閉じます。 [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Catchment I] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    チュートリアルで先ほど確認したものと同じポップアップが表示されます。 新しく複数追加したにも関わらず、以前と同じ数の排水ますとマンホールが表示されています。 新しいフィーチャはサブネットワークの統計にはまだ含まれていません。

  3. ポップアップを閉じます。 [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Catchment I] を右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。

    マップで、作成したすべての新しいフィーチャが選択されます。

    トレース済みフィーチャが選択されているマップ

    トレース中に選択されているフィーチャは、フィーチャが残りの集水構造に適切に接続されたことを意味しています。 サブネットワークを更新すると、これらのフィーチャがサブネットワークの統計に反映されるはずです。

  4. [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Catchment I] を右クリックし、[サブネットワークの更新] を選択します。
    注意:

    [サブネットワークの更新] オプションが使用できない場合、編集内容を保存していない可能性があります。 リボンの [編集] タブをクリックし、[保存] をクリックします。

    サブネットワークの更新オプション

    サブネットワークが更新されます。 [ステータス] 列のエラー アイコンが消え、サブネットワークがクリーンであることを示します。 ポップアップを確認し、先ほど見た値が更新されていることを確認します。

  5. [Catchment I] を右クリックし、[ポップアップ] を選択します。

    [Catch Basin Count][Manhole Count][Pipe Subnetwork Length] の値が更新されました。

  6. ポップアップを閉じます。 マップで、作成したパイプのフィーチャのいずれかをクリックします。

    ポップアップの [サブネットワーク名] に、[Catchment I] がリストされるようになりました。

  7. ポップアップと [サブネットワークの検索] ウィンドウを閉じます。 マップ下部の [現在選択されているすべてのフィーチャを選択解除] ボタンをクリックします。
  8. プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、雨水ユーティリティ ネットワークを使用してデータを分析し、不法排出の追跡に役立てる方法を学びました。 また、編集を行って現場の新しい建設に基づいてネットワークを拡張する方法を学びました。 編集に対して品質保証を実施し、ネットワーク トポロジを検証し、サブネットワークを更新しました。

ArcGIS のユーティリティ ネットワークについてさらに詳しく知りたい場合は以下のリソースをお試しください。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。