ネットワーク トレースの実行
宅地造成内に追加する必要のある新しい電力サービス拡張区域に関する設計が、公共事業部門のエンジニアから提供されました。 これからネットワーク トレースを実行して、特定の保護デバイスから下流方向の現在の顧客数と定格負荷を把握し、新しい電力サービスを追加すべき電気の相 (フェーズ) の特定に役立てます。
データの確認
まず、このチュートリアル用のデータを含む ArcGIS Pro プロジェクト パッケージをダウンロードして内容を確認します。
- Electric Utility Network プロジェクト パッケージをダウンロードします。
Electric_Utility_Network.ppkx という名前のファイルがコンピューターにダウンロードされます。 デフォルトのダウンロード先はダウンロード フォルダーです。
注意:
.ppkx ファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。
- コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。 [Electric_Utility_Network.ppkx] をダブルクリックして ArcGIS Pro で開きます。
注意:
このチュートリアルで使用されるサンプル データセットは、Electric Utility Network Foundation から入手した Essential モデルに基づいています。
このプロジェクトにはイリノイ州ライルの電気ユーティリティ ネットワークの一部が含まれます。
- ArcGIS アカウントにサイン インします。
注意:
ArcGIS アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Electric Device] レイヤーの横にある矢印をクリックして展開します。
Electric Device 内のアセット グループごとに、サブタイプ グループ レイヤーが表示されます。
ユーティリティ ネットワーク データが比較的少ないレイヤーに構造化されますが、[アセット グループ] フィールドと [アセット タイプ] フィールドを使用して、各レイヤー内に分類が構築されます。 [アセット グループ] フィールドも、各レイヤーのサブタイプ フィールドです。 サブタイプとは、各アセット グループを独立したレイヤーのように動作させることができる、レイヤーのサブカテゴリ設定方法です。 たとえば、各サブタイプに別々の接続性ルール、リレーションシップ ルール、トポロジ ルールを関連付けることもできます。
このマップでは、サブタイプ グループ レイヤーおよびテーブルが使用されており、これによりアセット グループごとにマップにフィーチャ レイヤーが設定されます。 このため、各アセット グループを個別にシンボル表示し、変更することができます。 [Electric Device] レイヤーを展開すると、このクラスに属するさまざまなアセット グループが表示されます。
- [Fuse] レイヤーを展開します。
Fuse は [Electric Device] の 1 つのアセット グループ (サブタイプ) を表します。 サブタイプ別に分類することでレイヤー数が制限されるため、パフォーマンスが良くなります。
[Fuse] を見てみると、[アセット タイプ] のそれぞれの値 ([Overhead Bank]、[Station Bank] など) に独自のシンボルが割り当てられています。 ヒューズのさまざまなアセット タイプは、ユーティリティ ネットワークのフィーチャを分類するための工夫の 1 つを表しています。
注意:
ユーティリティ ネットワークの構造とユーティリティ ネットワーク フィーチャの分類については、それぞれのリンク先をご参照ください。
上流トレースの実行
次に、ネットワーク内に構成されたサブネットワークを確認し、トレースを実行します。 ほとんどのネットワークはサービスの供給や制御を行う設備に基づいて、異なるエリアに分割できます。 Utility Network では、それらのエリアのことをサブネットワークと呼び、サブネットワークを管理するフィーチャのことをサブネットワーク コントローラーと呼びます。 ユーティリティ ネットワークでは多くの種類のネットワークをモデリングできるため、このような一般的な用語が利用されています。 各ネットワークには、管理対象となるサブネットワークのタイプに応じた独自の定義があります。 あるユーティリティ ネットワークにより管理される資源のタイプのことをドメインと呼びます。今回のケースでは、電力がドメインにあたります。
ユーティリティ ネットワークでは、トレースの大半がサブネットワークを頼りにして実行されます。 サブネットワークベースのトレースがこの情報に依存しているのは、上流トレース、下流トレース、分離トレース、サブネットワーク トレース、サブネットワーク コントローラー トレースを実行するために、サブネットワークのソース (複数の場合もある) の場所をシステムで把握しておく必要があるためです。
- リボンで、[ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックします。 [サブネットワーク] グループで [検索] をクリックします。
[サブネットワークの検索] ウィンドウが表示されます。
このウィンドウには、ネットワーク内の [SubnetLine] フィーチャクラス ジオメトリがあるサブネットワークのリストが表示されます。 ジオメトリのないサブネットワークには、[サブネットワーク] テーブルのフィルタリングによってアクセスできます。 このリストでショートカット メニューを使用して、マップまたはサブネットワーク テーブル内のサブネットワークの操作、サブネットワークのトレース、サブネットワークの更新を実行できます。 マップ上で透過表示せずに目立つよう、サブネットワークを表示できます。 このユーティリティ ネットワークには 6 つのサブネットワークがあります。 これ以降は [Essential 001] サブネットワークを扱います。
ユーティリティ ネットワークの主な機能の 1 つは、ネットワークをトレースしてコネクションを検出し、資源がどう流れるかを把握することです。
- [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Essential 001] サブネットワークを右クリックし、[サブネットワークのトレース] を選択します。
この操作により、Electric Distribution 層に対して作成されたサブネットワーク定義を使用して、Essential 001 サブネットワーク上でサブネットワークのトレースが実行されます。 サブネットワーク定義は、その層内のすべてのサブネットワークのさまざまなプロパティを制御し、サブネットワークベースのトレースの実行時とサブネットワークの更新時に使用されます。
注意:
注意点として、[サブネットワークの検索] ウィンドウからサブネットワークのトレースが実行された場合、マップ内に配置された既存の始点やバリアは無視されます。
- マップの右下隅で、[選択フィーチャ] をクリックします。
Essential 001 サブネットワークの選択フィーチャの範囲にマップがズームされます。
トレースにより、Essential 001 サブネットワークに属しているフィーチャの選択セットが生成されます。 対象のフィーチャがマップ上で選択され、選択フィーチャの数がマップの下部に表示されます。
次に、得られたデータを使用して、いくつかの一般的な解析タスクをネットワーク内で実行します。最初に上流トレースを実行して、ネットワーク内の特定のポイントから上流方向へ保護デバイスを検索します。 上流トレースは、今回のようなソースベースのネットワークで、サブネットワーク コントローラーに向かって実行されます。上流トレースにより、ネットワーク内の特定のポイントから上流にあるフィーチャに関する疑問に答えることができます。 この例では上流トレースを使用して、故障部分を遮断するために自動で作動可能な最初のデバイスを特定して取得します。 次に、このフィーチャを使用して、このデバイスに対する相ごとの下流方向の負荷について理解を深めます。 まずは、引込線の拡張が提案されたエリアにズームします。
- リボンの [マップ] タブの [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [Jonquil Ave. (Extension)] を選択します。
マップが Jonquil Ave. と Main St. の交差点にズームします。
ここが Jonquil Ave. に沿ってサービスを拡張する場所です。 Main St. 沿いの架空導体が上流トレースの始点となります。
- リボンの [マップ] タブの [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。
- [属性条件で選択] をクリックします。
[属性条件で選択] ウィンドウが表示されます。 ここで、属性に基づいてフィーチャを選択するためのクエリを作成できます。
- [入力行] で、[Electric Line\Medium Voltage Overhead Conductor] をクリックします。
注意:
[入力行] パラメーターの外側をクリックすると、値が [Medium Voltage Underground Conductor] に更新されます。
次に、特定のフィーチャを選択するための WHERE 句を作成します。
- [Where] で、ドロップダウン メニューをクリックして、[Asset ID] を選択します。
[と等しい] 演算子をそのままにして、値を選択して句を完成させます。
- 最後のドロップダウン メニューをクリックし、[MV-Ovrhd-COND-5] を選択します。
注意:
[属性条件で選択] ウィンドウの幅を広げると、属性値全体を表示できます。
ツールを実行すると、この選択条件に一致するすべてのフィーチャが選択されます。
- [OK] をクリックします。
Asset ID の値が MV-Ovrhd-COND-5 である中電圧架空導体と架空三相線が選択されます。
- リボンの [ユーティリティ ネットワーク] タブの [ツール] グループで、[トレース] のドロップダウン矢印をクリックし、[始点] をクリックします。
[トレース] ウィンドウが表示されます。
- [トレース] ウィンドウで、[選択の追加] をクリックし、この導体をトレースの始点として追加します。
[トレース] ウィンドウの上部に [指定構成] タブがあります。 指定トレース構成では、ネットワーク用の複雑なトレースを作成して保存し、ArcGIS 組織と共有したり、共通的なトレース タスクの実行用に使用したりできます。 ここでは、トレースを実行するための指定トレース構成がすでに作成されているため、最初から構成する必要はありません。
- [トレース] ウィンドウで、[指定構成] タブをクリックし、[Upstream Protective] をクリックします。
この指定トレース構成はフィルター バリアと出力条件付きで上流トレースを実行するよう構成されており、E:Protective のネットワーク カテゴリが割り当てられた最初のデバイスでトレースを停止してそのデバイスを取得するように定義されています。
- [実行] をクリックします。
- マップの下部にある [選択フィーチャ] をクリックして、トレース結果にズームします。
トレースにより、最初の保護デバイス (架空バンク ヒューズ) が取得されます。
このヒューズを下流トレースの始点として使用します。 このトレースにより、この位置から下流方向について、システムの各相に対する負荷を算出できます。 この結果は、どの相で新しいサービスに電力を供給すべきかの判断に役立ちます。
- 正確なエリアに確実にズームするために、[マップ] タブで [ブックマーク] をクリックし、[Fuse (Overhead Bank) - MV-FS-101] を選択します。
注意:
すでに適切なヒューズの位置にズームしていたために、マップの範囲がほぼ (またはまったく) 変わらない可能性が高いです。
先ほどのトレースで取得した保護デバイスがマップの中央にあります。 同時に多数の行が選択されているため、選択を解除してヒューズのみを選択します。
- [マップ] タブで選択を解除し、[選択] ツールをクリックします。
ネットワーク フィーチャは多くの場合、他の多数のフィーチャと同時に選択されます。 ヒューズのみが選択されるように、選択チップを使用して選択範囲を絞り込みます。この操作によって、同時に選択されたフィーチャの中から特定のフィーチャを選択できます。
- マップ上で、南北導体沿いにある中央のヒューズをクリックします。 選択チップをクリックし、[架空バンク: MV-FS-101] を選択します。
これでヒューズのみが選択されます。このヒューズを下流トレースの始点として使用し、顧客負荷を算出します。
下流トレースの実行
次に、選択したヒューズからの下流トレースを実行して、すべての低圧サービスを取得します。 ヒューズの下流のサービスが判明したら、それらを使用して相ごとの負荷を算出します。
- リボンの [ユーティリティ ネットワーク] タブの [ツール] グループで、[トレース] のドロップダウン メニューをクリックし、[始点] を選択します。
先ほどのトレースの始点がそのまま表示されています。 これを解除して、選択したヒューズを追加します。
- [トレース] ウィンドウで [すべて消去] をクリックします。
- [選択の追加] をクリックし、選択したヒューズをトレースの始点として追加します。
- [指定構成] タブをクリックします。
次に、下流の顧客負荷トレースを実行します。 この指定トレース構成は、出力条件付きで下流トレースを実行するよう構成されており、ネットワーク カテゴリが E:Load - Customer である顧客向けサービスのみを取得するように設定されています。
- [下流顧客負荷 - 下流トレース] をクリックし、[実行] をクリックします。
トレースにより、116 の低圧サービスが選択されました。 次に、選択したフィーチャを入力として使用してモデルを構成し、実行して、これらのサービスの相ごとの負荷の配分についてより深く理解します。
相ごとの顧客数と負荷の特定
バランス調整されていないシステムに新しいサービスを配置するには、相を考慮する必要があります。 引込線の拡張位置から上流にある保護デバイスの特定後、システム内のこのデバイスの下流にある顧客数と負荷を把握したいと思っています。 先ほどのトレースの結果を使用して、保護デバイス (ヒューズ) から下流トレースを実行し、モデルから生成されたレポートを使用してこれらの疑問に答えます。 このモデルをサポートするために、ユーティリティ データ管理サポート ツールボックスをダウンロードしてプロジェクトに追加します。
- UtilityDataManagementSupport.zip ファイルをダウンロードします。
注意:
ユーティリティ データ管理サポート ツールの詳細については、リンク先をご参照ください。
- ダウンロード フォルダーに移動し、ドキュメント フォルダーなどのコンピューター上の任意のフォルダーにこのファイルを解凍します。
- [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] を右クリックして、[ツールボックスの追加] をクリックします。
- ダウンロードしたファイルの保存先 (ダウンロード フォルダー) を参照して、このファイルを選択し、[OK] をクリックします。
このツールボックスがプロジェクトに追加されました。
- [カタログ] ウィンドウで [ツールボックス] を展開し、[UtilityDataManagementSupport] ツールボックスを開いて、[ビット別サマリー] ツールをダブルクリックします。
[ビット別サマリー] ツールが表示されます。
- [入力レコード] で、[Electric Device\Low Voltage Service] を選択します。
下流トレースにより作成された選択項目が入力として使用されます。
- 他のパラメーターについては次のとおり指定します。
- [ビット フィールド] で、[Phases Energized] を選択します。
- [ビット コード] の 1 行目で [1] を選択し、その行の [ビット記述] に「B」と入力します。
- [ビット コード] の 2 行目で [2] を選択し、その行の [ビット記述] に「C」と入力します。
- [ビット コード] の 3 行目で [4] を選択し、その行の [ビット記述] に「A」と入力します。
- [サマリー フィールド] で、[ratedpower: AC Output Power, Light Watts] から始まる長いフィールドを選択します。
- 残りのパラメーターについてはデフォルトのままにして、[実行] をクリックします。
ツールにより、下流トレース操作で取得した 116 の選択フィーチャが処理されます。
ツールは正常に実行されますが、マップ上に結果は表示されません。 ツールによりプロジェクト ジオデータベース内にスタンドアロン テーブルが作成され、[コンテンツ] ウィンドウには、出力として 1 つのテーブルと一連のチャートが表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、レイヤー リストの一番下までスクロールし、[LowVoltageService_SummaryByBits] テーブルを見つけます。
テーブルには、相ごとの顧客数と相ごとの負荷を表す 2 つのチャートが含まれています。
- [Phases Energized Count] チャートと [ratedpower] チャートをダブルクリックしてそれぞれを開きます。
チャートには B 相と C 相により供給されるサービスの配分が表示されます。ヒューズの下流の負荷はすべて B 相と C 相に配置されており、現在 A 相により供給されているサービスはありません。
- チャートを閉じます。
2 つのトレースを実行し、ネットワークの特定のエリアに関する顧客負荷の理解が深まりました。 次に、Jonquil Ave. 沿いの顧客に対して A 相を使用してサービスを拡張します。
ネットワークへのフィーチャの追加
Jonquil Ave. 沿いに建設された一連の住宅が最近完成し、電力の供給を要請しています。 この要求を満たすには、ラインの拡張を実行し、引込線をインストールします。 ユーティリティ ネットワークにこれらの更新を行うには、プリセット編集テンプレートを使用して、インストールされるサービスのタイプをサポートするさまざまな構造とドメイン ネットワーク フィーチャを作成します。 次に、構造付属物の関連付けを作成して、電気ドメイン ネットワーク フィーチャと構造ネットワーク間の接続性をモデル化します。
架空導体を延長し、コネクタ、変圧器、低電圧サービス ラインを作成し、最後に低電圧サービスを作成します。
対象地域を特定
まず、サービスを拡張するラインに沿って電柱の位置を特定します。 Asset ID 値によって電柱を選択します。
- [Jonquil Ave. Primary Pole] ブックマークにズームします。
- [選択] グループで、[属性条件で選択] をクリックします。
- [入力行] で、[Structure Junction\Electric Medium Voltage Pole] をクリックします。
- クエリ [Asset ID が E-MV-Pl-3462 と等しい] を作成します。
Asset ID が E-MV-Pl-3462 の中電圧電柱が選択されます。
電柱の位置がわかったので、この場所の近くから引込線の延長を開始します。
引込線の作成
新しいサービスが必要な Jonquil Ave. 沿いのエリアを特定しました。 次に、編集ツールとプリセット編集テンプレートを使用して適切なフィーチャを作成します。
- リボンの [編集] タブをクリックします。 [フィーチャ] グループの [作成] をクリックします。
[フィーチャ作成] ウィンドウが表示されます。 ここで、作成するフィーチャまたはサブタイプを指定し、最適な編集ツールを選択できます。
- [フィーチャ作成] ウィンドウの検索フィールドで、「service drop」と入力します。
- [電気デバイス: 低電圧サービス] の [Service Drop] テンプレートをクリックします。
- [Service Drop] テンプレートを右クリックして [プロパティ] を選択します。
[テンプレート プロパティ: Service Drop] ウィンドウが表示されます。
- [フィーチャ] タブをクリックします。
ここでは、このテンプレートによって設定されるさまざまなフィーチャクラスと属性を確認できます。
- [低電圧構内 LV] フィーチャの 1 つをクリックします。
[Phases Normal] 属性と [Phases Energized] 属性が [a] 相に設定されていることに注意してください。これは、追加される新しいサービスに適した相です。
- [OK] をクリックします。
- テンプレート上で、[ポイント] ツールが選択されていることを確認します。
- マップ上で、最も西側の導体が選択した電柱に近くなるように、プリセット テンプレートを配置します。
- クリックして引込線を追加します。
プリセット テンプレートからフィーチャが作成され、行われた編集を反映して ダーティ エリア が作成されます。 ダーティ エリアは、編集されているがまだ検証されていないネットワークの部分です。 今のところは、ダーティ エリアをそのままにして、フィーチャが既存のネットワークに適切にスナップされていることを確認します。
- [フィーチャ作成] ウィンドウを閉じます。
スナップを設定してラインを延長
追加した引込線と既存のネットワーク フィーチャ間の接続性を確実にするために、テンプレートによって配置された導体を既存の電気導体に沿った付属物フィーチャにスナップします。 さらに編集する前に、まずスナップ環境が適切に構成されていることを確認します。
- リボンの [編集] タブの [スナップ] グループで、[スナップ] ボタンの下半分をクリックします。
- [スナップ]、および最初の 4 つのスナップ オプション ([ポイント]、[端点]、[頂点]、[エッジ]) が有効になっていることを確認します。
- [Snapping-Main St.] というブックマークに移動し、少しズーム アウトして、追加した引込線と E-MV-Pl-3462 電柱が表示されるようにします。
現在、引込線の一部であるすべてのフィーチャが選択されています。 延長するには架空導体だけを選択します。
- マップ上で、ヒューズの右側にある、新しい引込線の一部である架空導体を選択します。
- [編集] タブの [ツール] グループで [頂点の編集] をクリックします。
選択した架空導体の頂点が表示されます。
- ラインの緑色の頂点をクリックしてドラッグし、電柱と一致する Medium Voltage Attachment ジャンクション フィーチャにスナップします。
- マップ下部のフローティング エディター メニューにある [完了] をクリックします。
ライン拡張用の別のダーティ エリアが表示されます。
電気中電圧電柱は、接続したフィーチャをサポートする構造です。
ネットワークの関連付けの変更
事前設定されたテンプレートを使用しているため、構造付属物の関連付けのほとんどはすでに構成されていますが、1 つの関連付けはまだ設定する必要があります。 次に、ネットワーク フィーチャ間の関連付けを手動で更新します。
- 配置した引込線フィーチャの西側のジャンクションをズームします。
- [選択] ツールを使用して、作成した新しい引込線の新しい電柱を選択します。
注意:
選択する電柱は、ネットワークに接続されていない最東端のポイントです。
- リボンの [ユーティリティ ネットワーク] タブの [関連付け] グループで、[変更] をクリックします。
[関連付けの変更] ウィンドウが表示されます。
- 選択した電柱フィーチャを [アクティブなアイテム] として読み込むには、[選択の読み込み] をクリックします。
- [付属物] タブをクリックして、[付属物] を展開します。
電柱に取り付けられた変圧器と、電柱と架空導体の接続をモデル化する中電圧付属物フィーチャを選択します。
- [関連付けの変更] ウィンドウの [付属物] で選択ツールをクリックします。
- マップ上で、このサービスが拡張される変圧器をクリックします。 選択チップで、ドロップダウン矢印をクリックし、[変圧器] の [架空単相 - MV->LV:] を選択します。
注意:
一致するフィーチャが多数あるため、選択チップが表示され、選択したいフィーチャを選択できます。
変圧器が付属物として追加されます。
次に、中電圧付属物を追加します。
- [関連付けの変更] ウィンドウで、選択ツールをクリックし、マップ上で Medium Voltage Attachment:Point (最西端のポイント) にスナップしてクリックし、選択チップで [架空] を選択または選択されていることを確認します。
Medium Voltage Attachment が電柱のアタッチメント リストに追加されます。 次に、関連付けを適用します。
- マップ上で選択を解除し、[適用] をクリックして構造付属物の関連付けを作成します。
関連付けが作成されました。他のダーティ エリアがあるために表示されませんが、フィーチャの接続性が変更されたために別のダーティ エリアが作成されました。 次に、行った編集を検証して、エラーがないことを確認します。
- すべてのダーティ エリアが現在の範囲内になるようにズーム アウトします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[ElectricNetwork Utility Network] レイヤーを展開します。
[Dirty Areas] サブレイヤーには、5 種類のダーティ エリアが含まれています。 今回のチュートリアルでは、2 つ目のタイプである [Dirty] しか出現しません。このタイプは、ネットワーク トポロジ にまだ反映されていない編集が発生していることを示します。
ユーティリティ ネットワークにはそれぞれ、1 つのネットワーク トポロジがあります。 フィーチャの接続性を維持することで、商品 (今回のケースでは電気) が、ユーティリティ ネットワークを正しく流れるようにします。 ネットワーク トポロジを使用すると、一連のルールに照らし合わせながら、データに対してトレースと整合性チェックを実行できます。
次に、ネットワーク トポロジに対する最近の編集を検証して、新しいフィーチャを追加します。 こうすることで、ダーティ エリアが削除されます。
- リボンの [ユーティリティ ネットワーク] タブをクリックし、[ネットワーク トポロジ] グループで、[検証] ボタンの下半分をクリックし、[現在の範囲] を選択します。
マップ上では、フィーチャにダーティ エリアがなくなり、きれいになっています。
編集内容を検証しましたが、まだ保存する必要があります。
- [編集] タブの [編集の管理] グループで、[保存] をクリックします。
- [はい] をクリックして編集内容をすべて保存します。
ネットワークと追加したフィーチャ間の構造付属物の関連付けを変更し、編集内容の検証を通じてネットワーク トポロジを更新しました。
下流トレースの再実行
新しいサービスが作成されたら、以前の下流トレースを再実行して、拡張の上流にある選択したデバイスから負荷がどのように分散されているかを確認します。
- [Fuse (Overhead Bank) - MV-FS-101] ブックマークに移動します。
- マップ上で、南北導体に沿って中央にあるヒューズを選択します。 選択チップの [Fuse] の下で、[架空バンク: MV-FS-101] を選択します。
このヒューズをトレースの開始点として再度使用し、顧客の負荷を決定します。
- リボンの [ユーティリティ ネットワーク] タブの [ツール] グループで [トレース] のドロップダウン メニューをクリックし、[始点] を選択します。
- [トレース] ウィンドウで、[すべて消去] をクリックし、[選択の追加] をクリックします。
注意:
最後のトレースからの始点として同じヒューズが追加される場合があります。 - [指定構成] をクリックし、[下流顧客負荷 - 下流トレース] をクリックして、[実行] をクリックします。
最近追加した 7 つのフィーチャにより、トレースは保護デバイスの下流にある 123 個の低電圧サービスの選択を返すようになりました。 次に、選択したフィーチャを入力として使用してツールを実行し、編集内容によって相ごとの負荷分散がどのように影響を受けたかをよりよく理解します。 すでに正しいパラメーターを使用してツールを実行したため、プロセスを容易にするためにジオプロセシング履歴からツールを開きます。
注意:
[ジオプロセシング] ウィンドウがまだ開いている場合は、ツールに正しいパラメーターが設定されているため、そこからツールを実行できます。
- リボンの [解析] タブで、[履歴] をクリックします。
- [履歴] ウィンドウで [ビット別サマリー] ツールをダブルクリックします。
以前に使用した同じパラメーターでツールが開きます。 ここで、下流の顧客負荷トレースから選択された 123 個のフィーチャが処理されることに注意してください。
- [実行] をクリックします。
ツールは正常に実行されますが、マップ上に結果は表示されません。 このツールは、ツールの前回の実行を上書きして、出力としてスタンドアロン テーブルを作成します。 [コンテンツ] ウィンドウからテーブルを表示できます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、レイヤー リストの一番下までスクロールし、[LowVoltageService_SummaryByBits] テーブルを見つけます。
テーブルには、相別の顧客数と相別の負荷を表す 2 つのチャートが含まれています。
- [Phases Energized Count] チャートと [RatedPower] チャートをダブルクリックしてそれぞれを開きます。
A 相に追加されたサービスが表示され、3 つの相全体にわたって負荷がわずかに均等に分散されていることがわかります。
- チャートを閉じます。
編集ツールを使用して、新規構築によりネットワークの一部の顧客にサービスを拡張しました。 次に、新しい架空導体をネットワーク内の既存の架空導体にスナップして接続性を確保しました。 次に、構造付属物の関連付けを作成して、電柱と電気ドメイン ネットワーク フィーチャ間の構造的接続性をモデル化しました。 その後、ネットワーク トポロジを検証し、編集内容を保存しました。 また、新しいサービスが追加されるネットワークの一部に引込線構造を追加しました。 次に、構造を既存のネットワーク構造にスナップして接続性を確保しました。 スナップによって接続性が確保されますが、他のネットワーク フィーチャは関連付けを通じて接続されます。 その結果、関連付けを変更して、新しい構造をドメイン ネットワーク フィーチャに接続しました。 その後、トポロジを検証し、編集内容を保存して、ネットワークの編集を完了しました。 最後に、下流の顧客負荷トレースを再度実行して、新しいサービスが相 A に追加され、顧客負荷がより均等に分散された様子を示しました。
サブネットワークの更新
この拡張区域に沿って 7 件のサービスを作成しましたが、これらのサービスはまだサブネットワークの一部となっていません。 トレース結果の正確性を保ち、他のネットワーク機能をサポートするため、サブネットワークを更新して新しいサービス拡張区域が含まれるようにします。
サブネットワークへの新規フィーチャの割り当て
先ほど編集した範囲の架空導体を見ると、ラベルが定義されており、各導体のサブネットワーク名と通電相を確認できます。
- [Jonquil Ave. (Extension)] ブックマークに移動します。
南北に走る架空導体は [Essential 001] とラベル付けされていますが、追加した新しいサービスの架空導体は [Unknown] とラベル付けされていることがわかります。
- [マップ操作] ツールを使い、マップに配置した Medium Voltage Overhead Conductor をクリックします。
その導体に関するポップアップが表示されます。
直前に配置したラインは [サブネットワーク名] が [Unknown] と表示されていますが、サービスの拡張元である西側の導体には [Essential 001] と表示されていることがわかります。 これからサブネットワークの更新を行い、この新しいサービスが Essential 001 サブネットワークに加わったものとして認識されるようにします。
- ポップアップを閉じます。
- リボン上で [ユーティリティ ネットワーク] タブの [サブネットワーク] グループにある [検索] をクリックします。
[サブネットワークの検索] ウィンドウが表示されます。 デフォルトでは、[サブネットワークの検索] ウィンドウには現在の範囲で見つかったサブネットワークが表示されます。 Essential 001 のステータスがダーティとなっていますが、これは Jonquil Ave. に沿って架空導体を拡張した際に、中間部分の頂点を導入することにより、このサブネットワークのフィーチャに編集を施したためです。 ダーティなサブネットワークとは、サブネットワークの編集の検証はされているものの、サブネットワークの更新操作でまだ処理されていないことを意味します。
注意:
[Essential 001] がウィンドウ上部のサブネットワーク グリッドに表示されない場合は、画面移動でマップ範囲を最近の編集箇所まで戻してください。
- [サブネットワークの検索] ウィンドウで [Essential 001] を右クリックし、[サブネットワークの更新] を選択します。
注意:
[サブネットワークの更新] が有効化されていない場合は、編集が保存されているか確認してください。
作成したフィーチャが更新され、サブネットワークに加わります。サブネットワーク名と属性が更新され、[SubnetLine] フィーチャクラス ジオメトリが更新されます。
新しいサービスがサブネットワークに追加されたため、サブネットワーク名や関連ラベルが更新され、Essential 001 サブネットワークへの加入が反映されていることが確認できます。
[SubnetLine] フィーチャクラスのサマリーから、更新済みの情報にアクセスしてサブネットワークに加わっているフィーチャを確認することもできます。
[SubnetLine] フィーチャクラスはシステムが提供する読み取り専用のフィーチャクラスで、サブネットワークの更新操作が実行されると更新されます。 サブネットワークの更新時に実行されたトレースによって返された階層のサブネットワーク定義で定義されている有効なラインはすべて、各サブネットワークで 1 つのフィーチャを構成するように集約されます。 このレイヤーは、視覚化を支援し、サブネットワークのサマリー情報を出力するために使用されます。 サマリーとは、サブネットワーク定義のサブネットワーク トレース構成のオプション コンポーネントであり、サブネットワークに関する追加情報を集め、それを SubnetLine フィーチャクラスの属性に保存することができます。 この機能を使うことで、特定のサブネットワークにどれだけのカスタマー サービスがあるかについてのサマリーを入手できるほか、そのサブネットワーク全体の下流の負荷について収集した情報と同様の情報にアクセスすることができます。
[SubnetLine] フィーチャクラスではこの層のサマリーがすでに構成されており、特定のサブネットワークの総サービス負荷 (ワット) の計算が行われます。
- 選択を解除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Electric SubnetLine] レイヤーを展開します。
- [Electric Distribution] を右クリックして [属性テーブル] をクリックします。
属性テーブルが表示されます。
- [Electric Distribution] テーブルで、[Essential 001] サブネットワークのある行をクリックして選択します。
- マップの右下隅で、[選択フィーチャ] をクリックします。
選択した [SubnetLine] レコードにマップがズームされ、Essential 001 サブネットワークが表示されます。
- テーブルで、[Essential 001] レコードを右クリックし、[ポップアップ] を選択します。
注意:
正しいショートカット メニューを表示するため、属性ではなく、必ずレコード番号をクリックしてください。
[ポップアップ] ウィンドウが表示されます。
- [ポップアップ] ウィンドウで、[Service Load (Watts)] フィールドと Essential 001 サブネットワークの総サービス負荷まで下にスクロールします。
[Service Load (Watts)] の値が更新され、配置したサービスにより追加された 1400 ワットの負荷が更に加えられます。 追加のサマリー フィールドを作成し、ビット別サマリーの操作を実行して収集したような、サブネットワーク全体での相別のサマリーを取得することもできます。
- [ポップアップ] ウィンドウを閉じて、プロジェクトを保存します。
新しいサービスを適切なサブネットワークへ割り当てることができ、新しいフィーチャが A 相から供給され、負荷のバランスがとれたことを確認できました。
このチュートリアルでは、ユーティリティ ネットワークの基本機能の一部について理解を深めました。 ネットワークのステータスについての質問を理解し、それに回答するために、レポートを通じてトレースを実行しました。これにより、保護デバイスの下流方向のさまざまな相で現在かかっている負荷を示すことができました。 また、フィーチャの配置と構造物付属物の関連付けを作成し、サービス ラインの拡張を実行しました。その結果、新しい顧客に電力を届けることができました。 最後に、サブネットワーク情報を返すために [SubnetLine] フィーチャクラスで構成したサマリーを評価し、編集内容からのジオメトリの組み込み、サブネットワークへの加入を反映させるための属性の更新、[SubnetLine] フィーチャクラスでのサマリー属性の更新を行うための、サブネットワークの更新操作を行いました。 以上で、ここで得た知識を活用し、ユーティリティ ネットワークの機能をご自身のデータやワークフローに適用する方法についてさらに学んでいく準備が整いました。