組織サイトの管理の基本操作

既存の組織サイトの管理を引き継ぐことになったため、まず組織の健全性を示す主要指標を確認し、最初に把握すべきことと、管理タスクの優先順位を決定することから始めます。

組織ページで組織の健全性を確認

まず、ArcGIS 組織アカウントに管理者としてサイン インし、[組織] ページを確認します。 [組織] ページでは、組織の健全性に関する重要な指標の一部を 1 か所で確認できます。 管理者のロールに移行する際、すべてのメンバーが中断することなく組織サイトにアクセスできるようにするため、このページに記載されている更新日とクレジット使用制限の 2 つの情報をメモしておく必要があります。

  1. 管理者アカウントを使用して ArcGIS 組織サイトにサイン インします。
  2. リボンの [組織] タブをクリックします。

    リボンの組織タブをクリックします。

    [組織] ページが表示されます。 この概要ページで確認するべきアイテムの 1 つとして、アカウントの更新日があります。

  3. [組織] ボックスで [更新日] 情報を確認します。

    組織の概要ボックス

    通常、サブスクリプションの有効期限は 1 年間です。 メンバーが必要なデータ、解析機能、その他のツールに確実にアクセスできるよう、ここに記される更新日以前に組織サイトを更新します。

    次に、組織サイトの残りの ArcGIS Online クレジットを確認します。

  4. [クレジット] ボックスで、残りのクレジットの合計数を確認します。

    組織サイトで利用可能なクレジットがあることを確認してください。

    ArcGIS Online のサービスは、年間サブスクリプションの契約によって提供され、その内容は、割り当てられたメンバー数とクレジット数がそれぞれ含まれているいくつかのレベルのプランに分かれています。 クレジットは、ArcGIS 全体で使用される通貨のようなもので、フィーチャおよびファイル ストレージ、解析の実行、登録者のコンテンツの使用、タイルの公開に消費されます。 ArcGIS Pro など、ArcGIS Online とやり取りをするアプリではすべてクレジットを使用できます。 組織サイトで使用される ArcGIS Online ツールとストレージによって、消費されるクレジットの数が決まります。 多くの場合、クレジットを消費する操作は比較的低コストです。

    クレジットはいつでも購入できますが、更新日までに十分なクレジットが確保されていることを確認してください。 クレジットを管理する方法については、後から説明します。 次に、組織サイトのホスト フィーチャ データをサポートする、組織サイトのフィーチャ データ ストアを確認します。

  5. [組織] ページの [概要] タブで [フィーチャ データ ストア] をクリックします。

    フィーチャ データ ストアをクリックします。

    [フィーチャ データ ストア] ウィンドウが表示されます。

    組織サイトのフィーチャ データ ストア グラフ

    このウィンドウではフィーチャ データ ストアの健全性を報告し、現在使用可能なストレージ領域と、リソースがいつ使用されているかを表示します。 デフォルトでは、ArcGIS Online 組織サイトには 500 GB のストレージを含む標準フィーチャ データ ストアがあります。

    組織サイトのストレージ使用容量が 500 GB に近くなると、次の 2 つのオプションがあります。 コンテンツを削除して領域を空ける方法と、プレミアム フィーチャ データ ストアにアップグレードする方法です。 組織サイトでどちらのオプションが適しているかを判断するために、組織サイトのコンテンツを確認するための管理レポートを後ほど作成します。

  6. [フィーチャ データ ストア] ウィンドウを閉じます。

    [組織] ページには、メンバー、ライセンス、コンテンツに関する情報も表示されますが、これについても後ほど詳しく説明します。

    [概要] ページで、組織サイトのステータスを評価するための一部の指標を確認しました。 次に、組織サイトのセキュリティ設定を確認します。

組織サイトのセキュリティ設定の確認

組織サイトの管理者であるユーザーは、共有、検索、サイン インのための設定を含め、組織サイトの Web サイトのセキュリティ ポリシーを構成できます。

  1. 必要に応じて、管理者アカウントを使用して ArcGIS 組織サイトにサイン インします。
  2. [組織] ページに移動して、[設定] タブをクリックします。
  3. [セキュリティ] をクリックします。

    デフォルトでは、匿名ユーザーは組織のホーム ページにアクセスできません。つまり、サイトの訪問者はメンバー アカウントを使用してサイン インする必要があります。 組織のホーム ページを公開することで、いくつかのメリットがあります。 たとえば、ホーム ページに企業の一般向けのコンテンツを表示するよう構成している場合、見込み客にプロジェクトのポートフォリオが表示されるように公開することができます。

    誰でも組織の Web サイトを見られるよう、アクセスと権限を設定します。

    注意:

    ユーザー独自の ArcGIS Online 組織を使用してチュートリアルを完了します。 チュートリアルを進めていくうちに、組織メンバーのエクスペリエンスに影響を及ぼすようなリアルタイムの更新を行います。

  4. [ポリシー][アクセスおよび権限] セクションで、[組織の Web サイトへの匿名アクセスを許可します] をオンにします。
  5. [メンバーがライセンス供与された Esri アプリケーションをダウンロードできるようにします] が有効であることを確認します。

    匿名アクセスとダウンロードを有効にします。

    この設定を有効にすることで、組織サイトのメンバーがユーザー プロフィール ページからアプリケーションをダウンロードできるようになります。 残りのポリシー設定には、デフォルト値をそのまま使用します。

    次に、組織サイトの共有および検索設定を構成します。

  6. [ポリシー][共有と検索] セクションで、[メンバーはコンテンツ、グループ、プロフィールを公開できます] をオフにします。

    メンバーがコンテンツ、グループ、プロフィールを公開する機能をオフにします。

    アイテムがパブリックに共有されると、誰もがそのアイテムを検索してアクセスできるようになります。 信頼できるコンテンツだけを一般ユーザーと共有できるようにしたいため、メンバーがすべての人と共有することを許可するオプションを無効にします。

    注意:

    管理者は引き続き組織サイト外でコンテンツを共有できます。

  7. [組織サイト外のコンテンツ検索を許可します] が有効であることを確認します。

    この設定を有効にすることで、組織サイトのメンバーが他の組織サイトから ArcGIS Online のコンテンツを検索できるようになります。 残りの共有と検索設定には、デフォルト値をそのまま使用します。

    次に、メンバーが組織サイトにサイン インするときに使用するユーザー名とパスワードに関連する設定を確認します。 ArcGIS アカウントを持つメンバーについて、メンバーのパスワードの形式と再利用ポリシーを指定するルールを設定できます。

  8. [サインイン ポリシー][パスワード ポリシーの管理] をクリックします。

    組織サイトのパスワード ポリシーを管理します。

    メンバーのパスワードに関する各種ルールを示す [パスワード ポリシーの管理] ウィンドウが表示されます。 パスワードに必要とされる最小文字数と文字の種類を定義できます。 メンバーが各自のパスワードをリセットするときに、最近の 5 個のパスワードを繰り返し使用できないようにするルールを設定します。

  9. [パスワード ポリシーの管理] ウィンドウで、[再利用できない過去のパスワードの数] をオンにします。 デフォルト値の 5 をそのまま使用します。

    ユーザーは、過去のパスワードを再利用できません。

    注意:

    サンプルどおりに設定しない場合は、各自の組織サイトのニーズに合わせてオプションをオンにします。

  10. [保存] をクリックします。

    他にも多数のセキュリティ オプションがあります。

    [ログイン] では、所属する企業や学校のログイン認証情報など、既存の組織サイト固有のエンタープライズ アカウントでメンバーがサイン インするよう指定できます。 この方式を使用した場合、メンバーは、基幹システムにアクセスするために複数のユーザー名を作成して記憶しておく必要がありません。 詳細については、シングル サイン オンの設定に関するドキュメントをご参照ください。

    [多要素認証] では、メンバーの ArcGIS アカウントの多要素認証を有効化してセキュリティを強化できます。

    [信頼できるサーバー] では、Web 層認証でセキュリティ保護されたサービスへのアクセス権を付与できます。 これらの設定は、このチュートリアルよりもさらに複雑なシナリオで使用されます。 詳細については、「セキュリティ設定の構成」をご参照ください。

ArcGIS 組織サイトのセキュリティ、共有、検索、パスワード ポリシーの設定を構成しました。 次に、組織サイトのパフォーマンスを監視する方法について説明します。

組織サイトのパフォーマンスの監視

組織サイト内で早急な対応が必要なものがないことを確認したので、次に、メンバーが組織サイトをどのように利用しているか把握するための、一連の管理レポートを生成し、スケジュールを設定します。 これにより、クレジット使用量、ストレージと共有ポリシーなどについて、十分な情報に基づく決定を下せるようになります。 レポートは、組織内で起きているあらゆることを把握し、そのアクティビティに関するスナップショットを作成して、後から解析する際に非常に役立ちます。

  1. 必要に応じて、管理者アカウントを使用して ArcGIS 組織サイトにサイン インします。
  2. [組織] ページに移動して、[ステータス] タブをクリックします。

    組織のステータス タブを開きます。

    [ステータス] ページには、[ダッシュボード] タブと [レポート] タブがあります。

    [ダッシュボード] タブには、[概要] ページで報告されているトピックの一部に関する詳細情報 (クレジット、コンテンツ、メンバーなど) が含まれます。 ここで情報を手動で確認することもできます。これは、特定のメンバーやコンテンツ アイテムの詳細情報を確認したい場合に便利です。

    組織サイトのメンバー、アイテム、クレジットなどの全体像を把握するには、レポートを生成します。 アイテム レポートでは、フィーチャ データ ストアで最も大きな領域を占めているアイテムを確認できます。

  3. ページの上部にある [レポート] をクリックします。
  4. [レポートの作成] をクリックし、[単一レポート] を選択します。

    単一レポートを作成します。

    単一レポートを作成すると、レポートが即座に生成されます。

  5. [レポート タイプ][アイテム] が選択されていることを確認し、[レポートの作成] をクリックします。

    単一アイテム レポートを作成します。

    組織サイトのアイテム数によって、レポートが作成されるまでに数分かかる場合があります。 完了すると、レポートが [レポート] タブに表示されます。 単一レポートを作成する以外に、定期レポートを自動的に生成するようスケジュールも設定します。

  6. [レポートの作成] をクリックし、[レポート スケジュール] を選択します。

    年間を通した追跡を行うために、後から参照できるよう組織サイトに関する定期レポートを生成することをお勧めします。

  7. [レポート タイプ][アイテム] が選択されていることを確認します。 時間範囲で [四半期] を選択し、[開始日] 値が現在の日付であることを確認します。
  8. [スケジュールの作成] をクリックします。

    四半期ごとのアイテム レポートのスケジュールを設定します。

  9. 手順 4 ~ 7 を繰り返して [メンバー] レポートを作成し、四半期ごとに更新するようスケジュールを設定します。

    必要に応じ、他のレポートも生成できます。

  10. [レポート] ウィンドウの [アイテム] レポートの横にある [ダウンロード] をクリックします。

    アイテムの詳細レポートをダウンロードします。

    レポートは .csv ファイルとして生成されます。

  11. [ダウンロード] フォルダー内でレポートを探し、開きます。

    このレポートには、コンテンツの所有者、作成日、ビュー数、必要なストレージなど、組織内のすべてのコンテンツに関する情報が記されています。

  12. スプレッドシートの H 列 (View Counts) を選択し、大きいものから小さいものへ列を並べ替えます。 プロンプトが表示されたら、[選択セットの展開] を選択します。

    ビュー数が多いものから小さいものにコンテンツを並べ替えます。

  13. ビュー数が最も多いアイテムの ID または名前をコピーします。

    ビュー数が多い上位 5 アイテム

    ビューは、コンテンツの人気度または重要度を判断する方法の 1 つです。 たとえば、マーケティング目的でコンテンツを共有およびプロモーションしている場合、オーディエンスに好評を得ているコンテンツまたはトピックのタイプを把握するには、アイテムのビュー数の指標が参考になるでしょう。

  14. 列 J と列 K を大きいものから小さいものに並べ替え、ストレージ使用量が最も大きいアイテムの ID または名前をコピーします。

    アイテムのストレージ サイズ

    詳しく調べたいアイテムをいくつか特定したら、[ステータス] タブの [ダッシュボード] タブで個々のアイテムを掘り下げることができます。 アイテムがもう使われていない、新しいバージョンで置換された、または不要になった場合は、フィーチャ データ ストアの領域を空けるために削除することを検討してください。

  15. [メンバー] レポートをダウンロードし、開きます。

    このレポートを使用し、メンバーのアクティビティを追跡できます。 たとえば、組織サイト内の特定のユーザー タイプ数が限られており、あるメンバーが長期間にわたって組織サイトでアクティブではなかった場合、そのユーザー タイプを、それを必要とする別のメンバーに再割り当てすることができます。 また、各ユーザーが所有しているアイテム数、使用したクレジット数などの情報を追跡することもできます。

これまで、組織サイトの四半期ごとのクレジット、データ ストア、メンバーシップ情報を記録する自動レポートを設定しました。 レポートの内容と、組織サイトを維持するために必要な最も重要な情報を表示するために、情報を並べ替える方法も確認しました。

次に、組織サイトのクレジットを理解し、管理する方法について説明します。

クレジット使用制限について

クレジットは、ArcGIS 全体で使用される通貨のようなもので、フィーチャの保存、解析の実行、プレミアム コンテンツの使用などの特定の処理や保存のタイプに対して消費されます。 組織サイト内のクレジット使用量は、クレジット ダッシュボードを使用すると詳しく把握できます。 生成したレポートは、組織サイト レベルでの消費量を把握するには有益ですが、ダッシュボードは具体的なクレジット消費アクションをさらに深く掘り下げます。

  1. [ダッシュボード] タブをクリックします。

    ダッシュボード タブを開いてクレジット ダッシュボードを表示します。

    [ステータス] ページで [クレジット] タブが開きます。 このタブには、どのメンバーがどのように組織サイトのクレジットを使用しているかが表示されます。 データのデフォルトの報告期間は 15 日間です。

  2. [時間によるクレジット使用量の集約] チャートを使用すると、過去 15 日間に最もクレジット消費量が多かったカテゴリを確認できます。

    時間によるクレジット使用量の集約チャートの任意のバーをクリックすると、選択した日の時間ごとのクレジット使用量が表示されます。

  3. [タイプによる使用量の集約] ドーナツ チャートまで、下方向にスクロールします。

    ストレージを示すタイプによる使用量の集約チャート

  4. 最もクレジット使用量が多いカテゴリを表す、ドーナツ チャートのセグメントをクリックします。

    ドーナツ チャートが更新され、そのカテゴリ内でクレジットを使用する操作の内訳が表示されます。 クレジット使用量が最も多い操作のタイプを理解することで、クレジットの購入数、ユーザーがアクセスする必要がある解析または登録者コンテンツのタイプに応じてユーザーに割り当てる必要がある数、コンテンツの管理方法 (未使用のアイテムの確認と削除を行う頻度など) について、十分な情報に基づく決定を下すことができます。

    クレジット使用制限を有効にし、メンバーが自分のクレジット使用量を確認できるようにするには、これらのオプションが有効であることを確認します。

    注意:

    [クレジット使用制限ツールの有効化] を有効にしなければ、各メンバーが使用できるクレジットの数に制限がなくなります。

  5. リボンの [設定] タブをクリックします。 [クレジット] ボタンをクリックします。
  6. [クレジット割り当て] で、[クレジット使用制限ツールの有効化][各メンバーの利用可能なクレジットを設定ページに表示] の両方を有効にします。

    クレジット使用制限ツールの有効化

    クレジット使用制限を確認したら、組織へのデフォルトのクレジット割り当てを設定するか、メンバーへのクレジットの割り当てを開始することができます。 招待プロセス中にクレジットを割り当てることもできます。

  7. リボンの [メンバー] タブをクリックします。

    各メンバーの横の [残りのクレジット] には、各メンバーが所有するクレジット数が示されます。

    メンバー タブにメンバー ユーザーのクレジットがリストされます

  8. いずれかのメンバーの [残りのクレジット] で、クレジット数をクリックします。

    [クレジット割り当ての設定] ウィンドウが表示されます。

    メンバーのクレジット割り当てを設定します。

    管理者として、メンバーが使用できるクレジットに制限を設けないこともできますが、この制限を設定しておくことをお勧めします。 Map Viewer の解析ツールにはクレジット推定ツールもありますが、解析しているフィーチャにフィルターを適用し忘れた、意図する解析環境を設定していないなどの誤りにより、解析で使用するクレジット数が予定よりも多くなることがあります。

  9. [割り当て量の設定] で、クレジットの数を入力して [保存] をクリックします。

    注意:

    サンプル画像では、クレジット使用制限は 200 に設定されています。 この使用制限は、メンバーの職務や ArcGIS の一般的な用途に基づきます。 メンバーの職務に応じて、クレジット使用制限を高くしたり、低くしたりすることができます。

    組織内のメンバーのクレジットがなくなった場合、いつでもリセットできます。

組織サイトのパフォーマンスに関するさまざまな主要指標を確認したので、最初に注目するべきトピックやタスクを判断できるようになりました。 組織サイトの管理に関するその他のリソースについては、「管理の基本操作」などのドキュメント リソースをご参照ください。