データのマッピング
まず、ArcGIS Online で火災事故のデータを Web マップに追加します。
- 「ArcGIS の組織アカウント」にサイン インします。
注意:
組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。
新しい無題の Web マップが Map Viewer に表示されます。 マップにはデフォルトのベースマップが表示されます。このベースマップは、大陸、水域、国境などに関するコンテキスト情報を提供します。
[レイヤー] ウィンドウには、マップ内に表示されているレイヤー、または空間データのコレクションが一覧表示されます。 現時点ではこのウィンドウは空です。 イリノイ州ネイパービルで 2017 年から 2021 年までに発生した火災事故に関するデータを含むレイヤーを追加します。
- [レイヤー] ウィンドウの [追加] をクリックします。
ヒント:
[レイヤー] ウィンドウが表示されていない場合は、[コンテンツ] (暗い背景) ツールバーの [レイヤー] ボタンをクリックして表示できます。
デフォルトでは、[レイヤーの追加] ウィンドウには自分のアカウントのコンテンツが表示されます。 組織などの他のソースから取得したデータを追加することもできます。 追加するレイヤーは一般向けに共有されたレイヤーであり、別の組織にホストされています。
- [マイ コンテンツ] をクリックして [ArcGIS Online] を選択します。
これで、マップに追加するレイヤーの検索時に、ArcGIS Online 上のすべてのパブリック コンテンツが検索されます。
- 検索バーに「Naperville Fire owner:Learn_ArcGIS」と入力し、Enter キーを押します。
ヒント:
「owner:」と追加することで、特定のアカウントのコンテンツを検索できます。
- 結果のリストで、[Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] の [追加] をクリックします。
レイヤーが、マップに追加されます。 データにズームするようマップの範囲が変化し、イリノイ州ネイパービル付近にフォーカスされます。
注意:
このシリーズ内の前回のチュートリアルである火災データのジオコード化を完了している場合は、Microsoft Excel から自分の ArcGIS アカウントに火災データのレイヤーを公開済みの状態です。 そのデータをマップに追加することも可能ですが、このチュートリアルでは前回のチュートリアルのデータセットよりも広範なデータセットを使用します。 前回のチュートリアルとこのチュートリアルの手順に従って、独自の火災事故データを Excel から公開し、そのデータを ArcGIS Online 内のマップに追加することができます。
データのフィルター
追加したレイヤーには、ネイパービル消防署に通報のあったすべてのインシデントが含まれています。 ただし、そのすべてのインシデントが実際の火災に対応するわけではなく、救急医療、事故、誤警報に対応するものもあります。
目標は、火災リスクへの理解を深めるために過去に火災が発生した場所を確認することです。そのため、火災に関連しない通報については今は関心がありません。 ここでは、データを詳しく調査し、目標には関係のないインシデントを非表示にするためのフィルターを作成します。
- [レイヤーの追加] ウィンドウで、[戻る] ボタンをクリックします。
[レイヤー] ウィンドウに戻ります。 [Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] という 1 つのレイヤーのみが表示されています。
- [Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] の [オプション] ボタンをクリックします。
- オプションのリストで、[テーブルの表示] をクリックします。
マップの下部にテーブルが表示されます。 このテーブルには、各レイヤーに関連付けられた追加情報 (属性) が含まれます。 テーブルの各行はマップ上の個々のポイント (フィーチャ) に対応し、各列は情報のタイプ (フィールド) に対応します。
このテーブルには、レイヤー内のフィーチャの総数も示されます。 このレイヤーには 43,161 個のフィーチャがあります。
注意:
Excel から公開したレイヤーのテーブルを見てみると、このテーブルはレイヤーの作成時に使用したスプレッドシートのテーブルに対応しています。
- テーブルをスクロールして、[Incident Type Code (National)] フィールドを見つけます。
ヒント:
列が狭すぎてヘッダー全体が表示されない場合は、右側のエッジを横にドラッグして広げることができます。
このフィールドは、各インシデントの NFIRS (National Fire Incident Reporting Systems) のインシデント タイプ コードを表します。 一般的に、100 から 199 までのコードが火災に関係し、その他のコードは他のタイプのインシデントに関係しています。
注意:
コード リファレンスの完全版など、このコードの詳細については、「NFIRS Complete Reference Guide」をご参照ください。
- テーブルを閉じます。
レイヤーにフィルターを適用して、火災関連のインシデントの通報だけを表示します。
- [設定] (明るい背景の) ツールバーの [フィルター] ボタンをクリックします。
注意:
[フィルター] ボタンがグレー表示されているか使用できない場合は、[レイヤー] ウィンドウで [Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] が選択されていることを確認してください。
[フィルター] ウィンドウが表示されます。 フィルターを追加するには、レイヤーのどのデータを表示するかを示す条件を、テーブルの情報に基づいて作成します。 コードが 100 から 199 までの火災事故の通報のみが表示されるように、条件を使用してフィルターを作成します。
- [フィルター] ウィンドウで、[新しく追加] をクリックします。
- [条件] で、[Object ID] をクリックし、[Incident Type Code (National)] を選択します。
- [以上] をクリックし、[間にある] を選択します。
- 最初の数値を「100」に、2 番目の数値を「199」に変更します。
この条件により、レイヤーに表示されるフィーチャが、インシデント タイプ コード 100 から 199 までに制限されます。 条件の下にあるヒストグラムには、各コードに対応するフィーチャの数が表示されます。 このようにデータにフィルターを適用することで、火災事故とは無関係の相当数のフィーチャを非表示にすることができます。
- [保存] をクリックします。
レイヤーにフィルターが適用されました。 マップに表示されるフィーチャはかなり減少しましたが、表示中のフィーチャはすべて火災関連のインシデントに直接関係しています。
ヒント:
フィルターを削除してデータセット全体を再表示する場合は、[フィルター] ウィンドウをもう一度開き、[フィルターの削除] をクリックします。
スタイルの変更
次に、レイヤーのスタイル、つまりマップ上での表示方法を変更します。 現時点では、すべての火災のインシデント ポイントが同じ緑の円で表示されています。 しかし、テーブルの情報を基にするなど、他の方法でデータのスタイルを設定できます。
現在のデータには 2017 年から 2021 年までの火災事故が含まれています。 インシデントの年が異なれば表示も異なるよう、データのスタイルを設定します。 このようにすれば、火災事故の発生場所に関する時間経過に伴う傾向を視覚的に調査できるようになります。
- [設定] ツールバーの [スタイル] をクリックします。
[シンボル] ウィンドウが表示されます。 まず、マップに表示するフィールドをテーブルから選択します。 年を示すフィールドを選択します。
- [シンボル] ウィンドウの [属性の選択] で、[フィールド] をクリックします。
- [フィールドの選択] ウィンドウの検索バーに「Year」と入力します。 結果リストで、[Alarm Date - Year] を選択します。
- [追加] をクリックします。
マップ上のスタイルが自動的に変更され、インシデントが年ごとに異なるシンボルで表示されます。 デフォルトでは、スタイルはサイズに基づいて適用されますが、このケースでは役に立ちません。 このスタイルを変更し、年ごとに個別のシンボルを指定します。
- [スタイル] ウィンドウの [スタイルの選択] で、下部へスクロールして [タイプ (個別値シンボル)] をクリックします。
シンボルをカスタマイズします。
- [タイプ (個別値シンボル)] で、[スタイル オプション] をクリックします。
他のスタイル オプションが表示されます。 それぞれの年に固有の色が割り当てられましたが、小さいシンボルになっています。 シンボルのサイズを大きくします。
- [シンボル スタイル] をクリックします。
- [シンボル スタイル] ウィンドウで [サイズ] を「10」px に設定します。
- [シンボル スタイル] ウィンドウを閉じます。
変更内容がマップに自動的に適用されます。
目視検査によと、火災の空間位置と火災発生年を関連付けるパターンはなさそうです。火災は毎年ネイパービル全域に均等に分散しています。
一方、2017 年 (赤) は他の年よりも多くの火災が発生したようです。 [スタイル オプション] ウィンドウに各年のフィーチャの数が一覧表示されています。これを見ると、2017 年の火災事故件数 (196) は他の年の 2 倍以上であることを確認できます (2 番目は 2020 年の 82 件)。
なぜ 2017 年のインシデントが多くなっているのでしょうか。 それ以降の火災リスク軽減の取り組みが成功し、火災発生件数が減少したという可能性があります。 あるいは、これほどすぐに大幅に件数が減少しているのは、データの完全性に問題があることを示している可能性もあります。 (このチュートリアルでは、ネイパービルの火災事故通報データセット全体のサブセットのみを使用しています。) データが何を表しているかについては常に批判的に考察し、データの正確度を確保するようにしてください。
現時点では、年の順に並んでいません。 また、西暦にはふさわしくないカンマ区切りが使用されています。 年はマップの凡例にも表示されるため、適切に編集します。
- [2,017] をクリックします。
名前が編集可能になります。
- 名前を「2017」(カンマなし) に変更して Enter キーを押します。
- その他の年の名前についても、カンマを削除します。
- [2020] の横のハンドルを [2019] と [2021] の間にドラッグします。
年が正しい順序で表示されるようになりました。
この変更はマップ上の凡例にも反映されます。 スタイルの変更が完了しました。
- [スタイル オプション] ウィンドウの最下部で [完了] をクリックします。 [スタイル] ウィンドウの下部にある [完了] をクリックします。
ホット スポット分析
火災事故を年別に視覚化しても、このエリアの火災リスクについて理解を深められるような空間パターンに関する洞察は得られませんでした。 次に、このデータの分析を実行して、火災事故の統計的に有意な集中地区を計算します。 このようなタイプの分析はホット スポット分析と呼ばれています。
ホット スポット分析は元々統計的であり、ただマップ上でデータを視覚化するよりも客観的です。 この分析により、ネイパービル内で火災事故が顕著に集中している場所について、統計的に高い確度のある情報を得られます。
- [設定] ツールバーの [解析] をクリックします。
- [分析] ウィンドウで、[ツール] をクリックします。
- 検索バーに「ホット スポット」と入力します。 結果のリストで [ホット スポットの検索] をクリックします。
[ホット スポットの検索] ツールを実行するには複数のパラメーターが必要です。 1 つ目のパラメーターは入力レイヤー (ツールを実行するレイヤー) です。
- [入力レイヤー] で [レイヤー] をクリックし、[Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] を選択します。
このレイヤーが入力として追加されます。
487 というフィーチャの数が表示されていますが、これはデータセット内のフィーチャの総数 (43,161) ではなく、火災事故の件数です。 フィルター適用後のデータセット上でツールを実行すると、そのフィルターにより表示されているフィーチャだけが分析で使用されます。
次に、このホット スポット自体にパラメーターを設定します。 ホット スポット分析はポイント データをポリゴン ビンに集約し、各ビンのポイントの数を使用して集中地区を特定します。 デフォルトでは、ポリゴン ビンは四角形の格子線です。 六角形の方がこのデータ内の曲線を表しやすいため、六角形の格子線に変更します。
注意:
四角形の集約と六角形の集約の違いについては、「六角形を使用する理由」をご参照ください。
- [集約形状タイプ] で [六角形のセル] を選択します。
この他にも、データ内の特定の属性フィールドに基づいたホット スポット分析を実行するためのパラメーターを設定したり、集約に使用される六角形ビンの正確なサイズを定義したりできます。 このチュートリアルでは、火災事故件数に基づいてホット スポットを特定すればよく、デフォルトのビンのサイズで問題ないため、他のパラメーターは変更しません。
- [出力名] に「Fire Incident Hot Spots」と入力し、自分の名前またはイニシャルを付け加えて、組織内でレイヤー名が一意になるようにします。
注意:
解析処理で作成した新しいアイテムの名前は、組織サイト内で一意である必要があります。一意でない場合、それらの URL は競合します。 レイヤーが作成されたら、マップ内で名前を変更できます。
分析ツールによりフィーチャに関する自動統計計算が実行されますが、分析のタイプと分析対象のフィーチャの数に応じた数のクレジットが必要になります。
- [環境設定] で [クレジットの推定] をクリックします。
このツールの実行に必要とされる推定クレジットは 0.487 で、非常に少なくなっています。
- [実行] をクリックします。
ツールが実行されます。 約 1 分後に分析が完了し、結果レイヤーがマップに追加されます。 分析の結果が見やすくなるよう元の火災事故レイヤーをオフにします。
- [レイヤー] ウィンドウで [Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] をポイントし、[表示設定] ボタンをクリックします。
レイヤーが非表示になります。 もう一度表示するには、[表示設定] ボタンを再びクリックします。 マップにホット スポット レイヤーのみが表示されるようになりました。
- マップで、マウスのスクロール ボタンを使用してズームします。 必要に応じて、マップをドラッグして画面移動します。
このマップは、ネイパービルの北西部に明確なホット スポットのグループがあることを示しています。 このエリアは火災事故の統計的に有意な集中地区を表しています。 白い六角形は、火災事故発生数が概ね平均的なエリアを示します。
火災事故はネイパービル全域で発生していますが、北西部の顕著な集中地区は、この都市の他のエリアと比較して火災リスクが特に高いエリアであることを示します。 このエリアでは特に火災に備えるべきと言える可能性があります。
マップを保存する
次に進む前に、[レイヤー] ウィンドウ内のアイテムの調整、ベースマップの変更など、マップに対して最終的な変更を行います。 最後にマップを保存して、自分のアカウントのコンテンツから再度アクセスできるようにします。
- [レイヤー] ウィンドウで、[Naperville 2017-2021 Fire Incident Calls] の [オプション] ボタンをクリックし、[名前の変更] を選択します。
- レイヤーの名前を「Fire Incidents 2017-2021」に変更し、[OK] をクリックします。
これで、このレイヤーがすべての通報ではなく火災事故のみを示すことがレイヤーの名前に反映されました。 次に、ホット スポット レイヤーから自分の名前またはイニシャルを削除します。 これにより元のホット スポット レイヤーには自分の名前やイニシャルが残るものの、自分の名前やイニシャルはマップに表示されなくなります。
- [Fire Incident Hot Spots Your Name] の名前を変更し、レイヤー名の末尾から自分の名前またはイニシャルを削除します。
次に、インシデントがホット スポットの上に表示されるようにレイヤーを並べ替えます。 一般的な話として、ポイント レイヤー (この例ではインシデント) をポリゴン レイヤー (この例ではホット スポット) の上に配置することをお勧めします。
- [レイヤー] ウィンドウで、[Fire Incidents 2017-2021] を [Fire Incident Hot Spots] の上にドラッグします。
ホット スポット レイヤーには白い六角形が多く存在するため、白い六角形がさらに目立つように、暗めのベースマップに変更します。
- [コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーにある [ベースマップ] をクリックします。
- ベースマップのリストをスクロールして、[キャンバス (ダーク グレー)] を選択します。
ホット スポット レイヤーが見やすくなりました。
マップが完成したので、保存します。
- [コンテンツ] ツールバーで [保存して開く] をクリックして [名前を付けて保存] を選択します。
保存時には、ユーザーがマップの目的を把握できるよう、適切なメタデータを追加することをお勧めします。
- [マップの保存] ウィンドウで、[タイトル] に「Naperville Fire Incidents 2017-2021」と入力します。
- [タグ] に「Firefighting」および「Hot Spots」と入力し、タグごとに Enter キーを押します。
- [サマリー] に「Hot spots of fire incidents in Naperville, Illinois, between 2017 and 2021」と入力します。
- [保存] をクリックします。
マップが保存されます。 これで、自分のアカウントからアクセスできるようになりました。 完了する前に、他のユーザーが表示できるようにマップを共有します。
- [コンテンツ] ツールバーの [マップの共有] をクリックします。
- [共有] ウィンドウの [共有レベルの設定] で、[すべての人に公開 (パブリック)] を選択します。 [保存] をクリックします。
マップで使用されているレイヤーを共有する必要もあります。
- [アイテムの共有が正常に更新されました] ウィンドウで、[共有の確認] をクリックします。 [共有の確認] ウィンドウで、[共有の更新] をクリックします。
これで、URL があれば誰でもマップを表示できるようになりました。
このチュートリアルでは、イリノイ州ネイパービルの火災事故データをマッピングしました。 最初に、火災事故通報レイヤーをマップに追加しました。 次に、データにフィルターを適用して、火災に直接関連する通報だけを表示しました。 年ごとの火災件数を表示するようレイヤーのスタイルを変更し、ホット スポット分析を実行して、データ内の空間パターンを特定しました。
このワークフローは独自の火災事故データを使用しても実行できます。 さらに学習する場合は、独自のデータにフィルターを適用し、スタイルを変更してホット スポットを見つけてみてください。 そのデータにはどのような空間パターンが見つかるでしょうか?
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。