水文解析ツールは、サーフェス上の水の流れをモデリングします。Spatial Analyst の [水文解析] ツールセットにある [サーフェスの平滑化 (Fill)]、[流向ラスターの作成 (Flow Direction)]、[集水域ラスターの作成 (Watershed)] という 3 つの水文解析ツールがブルースポット モデルで使用されます (他のいくつかのツールは使用されません)。[ブルースポットの識別 (Identify Bluespots)] モデルは [サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールのみを使用します。[ブルースポット満水値の識別 (Identify Bluespot Fill Up Values)] モデルは 3 つすべてのツールを使用します。

サーフェスの平滑化 (Fill) ツール

[サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールは DEM の窪地を埋めます。レッスン 1 で説明したとおり、窪地は、地形において水が貯留される凹地を示す一般的用語です。窪地の平滑化により、地形の表現が不正確になると思われるかもしれませんが、これが常に当てはまるわけではありません。DEM 解像度が低く、データ収集法があまり進歩していなかった数年前までは、窪地は、通常、DEM の作成プロセスで生じたエラーでした。そのため、窪地を埋めることで、より高精度の水文解析モデルを生成できました。

新しいテクノロジの使用、特に LIDAR の出現によって、エラーのある窪地はそれほど問題ではなくなりました。ブルースポット モデルは、窪地の深度がデータの垂直方向の精度よりも小さい場合のみ窪地をデータ エラーとみなします。

次の例では、各隣接セルの高度がより高いため、中心のセルが窪地になります。このセルに流れ込んだ水は、あふれ出すまでどこにも流出しません。ただし、中心のセルとその隣接セルの間の最大差は 0.05 メートルです。ゲントフテ市の DEM における標高値の精度は ± 0.05 メートルであるため、この窪地は潜在的エラーとみなされ、モデルによって平滑化されます。窪地の平滑化は、窪地の元の値を元も低い隣接セルの値に置き換えることを意味します。これで、水は左側の隣接セルに流出できるため、流れを妨げる障害がなくなりました (これらの 2 つのセルが結合されると、窪地が生成される可能性があります。[サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールは反復して実行され、窪地が残らなくなるまで DEM の処理を続けます)。

窪地エラーと平滑化

左側の DEM では、中心のセルの値は 10.65 です。窪地が平滑化されるとき、この値が、すぐ左にある元も低い隣接セルの値 10.66 に置き換えられます。エラーのある窪地を平滑化すると、結果として DEM が補正されます。次に、この DEM を解析して、ブルースポット、すなわち、地形を正確に表現している凹地があるかどうかを確認できます。

詳細については、ArcMap ヘルプ トピック「サーフェスの平滑化 (Fill)」および「サーフェスの平滑化 (Fill) の詳細」をご参照ください。

集水域ラスターの作成 (Watershed) ツール

[集水域ラスターの作成 (Watershed)] ツールは、サーフェス、またはサーフェス上の指定された場所の集水域を定義します。

集水域は、流域または集水池とも呼ばれ、日常的な排水のためのエリアです。たとえば、水が特定の河川に流れ込むときの水源となる周辺エリア全体が、その河川の集水域です。ブルースポットの集水域は、突然の豪雨時に雨水がそのブルースポットに流れ込むときの水源となるエリア全体を指します。

ブルースポットの集水域が既知であり、ブルースポットの体積も既知である場合、ブルースポットの体積を集水域の面積で除算して、どれだけの降雨量でブルースポットが満水になるかを計算できます (この数式では、そのエリア全体で降雨が一定し、雨水の完全な流出が達成されていることを仮定しています)。満水値を使用すると、突然の豪雨時の氾濫により、建物が洪水の被害を受けるリスクが最大であるブルースポットを識別できます。

詳細については、ArcMap ヘルプ トピック「集水域ラスターの作成 (Watershed)」、「集水域ラスターの作成 (Watershed) の詳細」、および「集水域システムの概要」をご参照ください。

流向ラスターの作成 (Flow Direction)

[流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツールは、サーフェス上の水流の方向を計算します。流向は、集水域の計算に必要なコンポーネントです (上記を参照)。

エッジにあるセルを除き、DEM の各セルには 8 つのセルが隣接しています。したがって、セルに流入する水は、8 つの方向のうちのいずれかの方向に流出できます。セルが窪地にある場合、水はセルから流出せず、その流向は定義されません。

流向の例

1 つのセルには可能性のある 8 つの流向があります。それぞれのセルでは、最も急な下り勾配方向にある隣接セル、つまり、距離に対する高度の低下が最大であるセルに水が流れます。セルの対角線は、セルの最短距離 (セルとセルの中心間を計測した距離) よりも長くなります。したがって、最も急な下り勾配方向にある隣接セルは、高度の低下が最も大きいセルではない場合があります。

DEM と流向

この流向ラスターの図では、矢印が各セルの流向を示しています。処理中のセル (緑色で示されている) の流向は上方向です。

詳細については、ArcMap ヘルプ トピック「流向ラスターの作成 (Flow Direction)」および「流向ラスターの作成 (Flow Direction) の詳細」をご参照ください。