気候とは、日々の気象条件を長期的に平均化したものです。気候データを解析することで、地球全体から特定の場所に至るまでのあらゆる規模で、気候を理解できるようになります。地域の気象条件は、大気と、地表面のすべてのものの間で行われる、複雑な相互作用に左右されます。科学者たちは、その複雑さを General Circulation Model (大気大循環モデル、GCM) によって表現し、考えうる気候をモデル化しています。GCM には、地球上のさまざまな体系の物理特性、化学的地学的性質、そして構成をシミュレートするデータとアルゴリズムが含まれます。GCM の本質を成すのは、数十年にわたって蓄積した、細部にわたる過去の天候の計測値です。モデル化する気候は、実際の気象条件がもととなっています。

20 世紀初め、科学者たちは、大気に温室効果ガス (GHG) の排出が気候変動の原因ではないかと疑い始めました。[1] この仮説が正しいことは、1970 年代に、近年のベースライン気象条件の初期モデルが変化を示したことで立証されました。やがて、これらのモデルから生成されたデータは、自然の過程や人的過程によって排出される GHG の量に相関性があることが判明しました。[1]

GHG の影響は、地球の大気が吸収したエネルギー (熱) と、空間に反射して戻るエネルギーの比率として測定されます。科学者たちは、このバランスを放射強制と呼び、平方メートルあたりのワット数 (W/m2) の単位で表します。大気中の GHG 濃度が増減すると、放射強制値もそれに応じて増減します。つまり、放射強制値が増加すると大気中のエネルギー量も増えるため、気温が上昇するということです。

今日、科学者たちは GHG の量に変化を持たせた GCM を使用し、将来の気候予想を行っています。将来の GHG 濃度を正確に把握することは不可能なので、考えうるさまざまな GHG シナリオで GCM を策定しています。これらのシナリオを「代表濃度経路」(RCP) と呼びます。気候変動に関する政府間パネル (IPCC) では、4 つの標準 RCP を 2014 年に採択しました。この RCP は、4 つの放射強制力 (2.6、4.5、6.0、8.5 W/m2) を与える GHG 濃度を基準にしています。これらのシナリオでは、大気中に排出される GHG 量を、ベスト ケース (2.6) からワースト ケース (8.5) の範囲で示します。ほとんどの気象科学者はこれらのシナリオをもとに、2020 年から 20 年間隔で将来の気候変動を予測しています。

たとえば、RCP 6.0 は放射強制力が 2100 年までに 6.0 W/m2 を超過せずに安定するというシナリオです。[2] シナリオ 6.0 は現実的なシナリオとして考えられています。このシナリオの標準的な GCM 出力値には、2020 年~ 2039 年、および 2040 年~ 2059 年の予想も含まれます。

備考:

シミュレートした気候応答は、「気候予測」ではなく「気候の将来予測」と呼ばれます。気候の将来予測は、解析や推定ではなくモデルに基づいて生成されるからです。

現在、世界中のモデリング機関が 30 以上もの GCM を作成しており、そのそれぞれで独自の仮定やバイアスを取り入れられています。しかし、基本概念や一般的な傾向をとらえるのに理想的なものはありません。そのため、1 つだけを選ぶのは困難です。Esri は、University Corporation for Atmospheric Research (UCAR) および National Center for Atmospheric Research (NCAR) の Research Application Laboratory (RAL) スタッフに、この問題点を提起しました。RAL スタッフからは、マルチモデル アンサンブル (MME) の策定について提案を受けました。MME は、一定の GCM 間の平均値と標準偏差を提示するものです。そこで、RAL スタッフは第 5 次結合モデル相互比較プロジェクト (CMIP5) の GCM を 10 個選択し、このレッスンで使用する MME をまとめました。この MME には将来予測される異常気温と異常降水を含み、現在の気候 (ベースライン) 条件と、将来の気候シナリオとの違いを表します。

これらの異常値は、2020 年~ 2039 年、2040 年~ 2059 年、2060 年~ 2079 年、そして 2080 年~ 2099 年の 4 つの期間の 4 つの RCP に関するものです。また、ベースライン条件も提示しています。これは、1986 年~ 2005 年の地球の平均気温と平均降水量です。

この MME には、最新の気候の将来予測結果が含まれます。