プロジェクトの設定
最初にプロジェクトを設定します。 データをダウンロードして内容を確認し、ArcGIS Pro プロジェクトを作成して、環境を設定し、リアリティ マッピング ワークスペースを作成します。
注意:
ArcGIS Pro を使用するには、次のソフトウェアを以下の順序でインストールしてライセンス認証する必要があります。
- ArcGIS Pro Standard または Advanced バージョン 3.3 以降
- ArcGIS Reality Studio
- ArcGIS Reality for ArcGIS Pro エクステンション
- ArcGIS Coordinate System Data
このチュートリアルでは、これらの手順がすでに完了していることを前提としています。 手順を追った説明については、「ArcGIS Reality for ArcGIS Pro のインストール」ページをご参照ください。
データのダウンロードと内容確認
このチュートリアルで必要なデータをダウンロードして確認します。 まず、衛星画像から始めます。
- Maxar リソース ページに移動します。
- このページでライセンス情報を確認します。 [View-Ready (Standard) OR2A | 30 cm | 4 band | San Diego, California] のリンクをクリックして画像ダウンロードを開始します。
[ESRI-data-6-13-2024.zip] という名前のファイルがダウンロードされます。
注意:
このファイルのサイズは 12.8 GB を超えるため、ダウンロードに時間がかかります。
ほとんどの Web ブラウザーでは、デフォルトでコンピューターのダウンロード フォルダーにファイルがダウンロードされます。
- Microsoft File Explorer で [ESRI-data-6-13-2024.zip] ファイルを右クリックし、7-Zip のようなユーティリティ ツールを使用してコンピューターの C:\Sample_Data\SanDiegoSat_Data に展開します。
- 展開した [ESRI-data-6-13-2024] フォルダーを右クリックして [Imagery] に名前を変更します。
- C:\Sample_Data\SanDiegoSat_Data\Imagery\050221198010_01 に移動してコンテンツを確認します。
このフォルダーには、入力データとして使用するすべての衛星画像が含まれています。 Maxar の WorldView-3 および WorldView-2 センサーによって取得された画像を格納した 26 のサブフォルダーがあります。 画像フォルダーは、末尾が [_MUL] のものと [_PAN] のものがペアでリストされます。 各 [_MUL] フォルダーには 4 バンドのマルチスペクトル RGB 画像が、また各 [_PAN] フォルダーにはシングルバンドのパンクロマティック画像が入っています。 各ペアは、特定日に撮影された 1 つの衛星シーンを表しています。 このチュートリアルの対象地域が複数の画像で表されています。 画像の日付範囲は 2016年 から 2024年までです。
注意:
取得された画像の日付範囲を 1 年から 3 年に制限することをお勧めします。 日付範囲を広くすると、地形や特徴の変化により、生成されるプロダクトに異常が生じる可能性があります。 ただし、対象の日付範囲に必要な画像がなかったり、画像の品質が低かったりすることもあります。 そのような場合は、古い画像を使用できます。 このチュートリアルで使用するシーンは、2016 年と 2020 年に撮影された 2 つを除き、ほとんどは 2022 年から 2024 年の間に取得されたものです。
- [050221198010_01_P001_MUL] フォルダーを開きます。
このフォルダーには TIFF 形式の画像 (.tif) と、処理に必要なメタデータ ファイル (.rpb、.imd、.til) が入っています。 また、JPEG 形式のサムネイル (.jpg) も入っています。
- このフォルダーで [24APR28184216-M2AS-050221198010_01_P001-BROWSE.JPG] サムネイル画像をダブルクリックし、デフォルトの画像表示アプリケーションで開きます。
注意:
このチュートリアルで使用されている画像はすべて Maxar により提供されました。 Maxar の WorldView-3 および WorldView-2 センサーによって撮影された高解像度の衛星画像です。 WorldView-3 および WorldView-2 の詳細をご参照ください。
- サムネイル画像を表示しているウィンドウを閉じます。
ワークフローを進めるには、さらにいくつかのデータ ファイルが必要です。 これから、それらをダウンロードします。
- [Support_Data.zip] ファイルをダウンロードし、コンピューターの C:\Sample_Data\SanDiegoSat_Data に展開します。
展開した [Support_Data] フォルダーには次のサブフォルダーがあります。
- [AOI] フォルダーでは、2 つのフィーチャクラスによって、対象地域 (AOI) の境界と同地域の水域が提供されます。
- [DEM] フォルダーでは、数値標高モデル (DEM) ラスターによって、AOI の標高情報が提供されます。 この情報は配置処理の補助として使用されます。
- [Output] フォルダーには、このチュートリアルの結果プロダクトが出力されます。 出力結果は、必要に応じてワークフローの後の手順で使用できます。
プロジェクトを作成して、データに接続します。
データのダウンロードと内容確認が完了したので、ArcGIS Pro プロジェクトを作成してデータに接続します。
- ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
- ArcGIS Pro 開始ページの [新しいプロジェクト] で [マップ] をクリックします。
- [新しいプロジェクトの作成] ウィンドウで、[名前] に「SanDiegoSat_Reality」と入力します。
- [場所] で、デフォルトの場所をそのまま使用するか、[参照] ボタンをクリックして (たとえば C: ドライブ上の) 場所を選択します。
注意:
選択した場所に最低 130 ギガバイト (GB) の利用可能な格納領域があることを確認してください。 - [OK] をクリックします。
プロジェクトが開き、マップ ビューが表示されます。
次に、ダウンロードしたデータにプロジェクトを接続します。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] をクリックします。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウには、プロジェクトに関連付けられたすべてのフォルダー、ファイル、データが表示されます。 このウィンドウを使用して、[SanDiegoSat_Data] フォルダーへのフォルダー接続を確立します。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー] の横にある矢印をクリックして展開します。
プロジェクトに関連付けられたデフォルト フォルダーは [SanDiegoSat_Reality] です。これは、プロジェクトの作成時に作成されたフォルダーです。 現時点では、このフォルダーには、空のジオデータベースとツールボックスがいくつか含まれていますが、データは含まれていません。
- [フォルダー] を右クリックして、[フォルダー接続の追加] を選択します。
- [フォルダー接続の追加] ウィンドウで、[コンピューター] > [PC] > [C:] > [Sample_Data] の順に参照します。 [SanDiegoSat_Data] フォルダーを選択し、[OK] をクリックします。
[カタログ] ウィンドウの [フォルダー] に、[SanDiegoSat_Data] フォルダーがリストされます。
- [SanDiegoSat_Data] フォルダーと [Support_Data] フォルダーを展開し、前の手順で確認した画像や関連のデータが含まれていることを確認します。
これで、ArcGIS Pro プロジェクト内からすべてのデータにアクセスできるようになりました。
環境の設定
次に、画像ツールの実行時にシステムが使用する、特定の環境パラメーターの値を選択します。
- リボンの [解析] タブの [ジオプロセシング] グループで、[環境] をクリックします。
- [並列処理] の [並列処理ファクター] に「90%」と入力します。
並列処理ファクターは、処理をサポートするために使用されるコンピューター コアの割合を定義します。 たとえば、4 コアのコンピューターで 50 パーセントと設定すると、処理を 2 つのプロセス (50% * 4 = 2) に分散することになります。
ヒント:
「90%」には必ず「%」記号を含めてください。
- [ラスター格納] セクションが表示されるまで、下方向にスクロールします。
- [ラスターの統計情報] で、[X スキップ ファクター] と [Y スキップ ファクター] に「10」と入力します。
コントラスト ストレッチの適用などの特定のタスクを有効にするには、画像の統計を計算する必要があります。 効率を上げるため、統計は、ピクセルごとではなくピクセルのサンプルに対して生成できます。 スキップ ファクターは、サンプル サイズを決定します。 X に 10、Y に 10 の値を指定すると、画像の行と列の 11 番目ごとのピクセルが統計生成に使用されます。
- [タイル サイズ] の [幅] と [高さ] に、「512」と入力します。
効率を上げるため、多くの場合、画像はタイルと呼ばれる小さな正方形の断片の形式でアクセスされます。 このパラメーターは、タイルのサイズを定義します。512 x 512 ピクセルを選択します。
- [リサンプリング方法] で [共一次内挿法] を選択します。
リサンプリングは、ラスターのセル サイズまたは方位を変更するために使用されるプロセスです。 さまざまなリサンプリング方法がありますが、画像データを処理する場合は共一次内挿法をお勧めします。
- その他のデフォルト設定をそのままにして、[OK] をクリックします。
ワークスペースの作成
次に、すべてのデータを収集および管理するためのリアリティ マッピング ワークスペースを作成します。
- リボンの [画像] タブで、[リアリティ マッピング] グループの [新しいワークスペース] ボタンをクリックします。
[新しいリアリティ マッピング ワークスペース] ウィザード ウィンドウが開き、[ワークスペースの構成] ページが表示されます。
- 次のパラメーターを設定します。
- [名前] に「SanDiegoSat_Workspace」と入力します。
- [ワークスペース タイプ] で、[リアリティ マッピング] が選択されていることを確認します。
- [センサー データ タイプ] で、[衛星画像] を選択します。
- その他のデフォルト設定をそのままにして、[次へ] をクリックします。
[画像コレクション] ページが表示されます。ここでは、画像の撮影に使用されるセンサーに関連するパラメーターを入力します。
- [画像コレクション] ページで、[センサー 1] に次のパラメーターを設定します。
- [センサー タイプ] で [WorldView-3] を選択します。
- [画像を含むフォルダー] で [参照] ボタンをクリックし、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Imagery] の順に参照して [050221198010_01] フォルダーを選択し、[OK] をクリックします。
処理対象の画像の撮影には WorldView-3 と WorldView-2 の 2 つのセンサー タイプが使用されたため、2 つ目のセンサーを定義しなければなりません。
- [センサーの追加] をクリックします。
- [画像コレクション] ページで、[センサー 2] に次のパラメーターを設定します。
- [センサー タイプ] で、[WorldView-2] を選択します。
- [画像を含むフォルダー] で [参照] ボタンをクリックし、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Imagery] の順に参照して [050221198010_01] フォルダーを選択し、[OK] をクリックします。
- [ワークスペースの空間参照]で、画像そのものの水平 (XY) および鉛直 (Z) 座標系に基づいて入力された値を確認します
それぞれ、[WGC 1984 UTM Zone 11N[ と [WGS 1984] です。
- その他のデフォルト設定をそのままにして、[次へ] をクリックします。
[データ ローダー オプション] ページが表示されます。 次に、ワークフローに必要な DEM を指定します。
- [データ ローダー オプション] ページで、次のパラメーターを設定します。
- [標高ソース] で、[DEM] を選択します。
- [DEM] で [DEM の選択] ボタンをクリックし、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Support_Data] > [DEM] の順に参照し、[SRTM_gcs.tif] を選択して [OK] をクリックします。
- [ジオイド補正] で、[EGM96] を選択します。
- [処理テンプレート] で [Pansharpen] を選択します。
注意:
Pansharpen は、高解像度のパンクロマティック画像と低解像度のマルチスペクトル画像を組み合わせて高解像度マルチスペクトル画像を作成する画像融合処理です。 この処理では、WorldView-3 および WorldView-2 画像に両タイプの画像が含まれているという事実を利用します。
- [高度な設定] セクションを展開して、次のパラメーターを設定します。
- [統計情報の推定] オプションがオンになっていることを確認します。
- [ガンマ] を展開します。 [ガンマ ストレッチ] で [ユーザー定義] を選択します。 [値] で、「1.8」と入力します。
- [前処理] を展開し、[統計情報の計算] の横のチェックボックスをオンにします。
- [スキップする列数] および [スキップする行数] で、「1」と入力します。
注意:
[ガンマ] の値は、最初に画像を確認したときに [シンボル] ウィンドウの [ガンマ] 設定を確認したことで決定されています。
- その他すべてのデフォルト設定をそのままにして、[完了] をクリックします。
数分後にワークスペースが作成されます。 [ログ: SanDiegoSat_Workspacee] ウィンドウの最後の行は、プロセスが成功したことを示しています。
新しい [SanDiegoSat_Workspace] マップも作成されています。
さまざまなワークスペース コンポーネントが [コンテンツ] ウィンドウに表示されるようになりました。 この中には [画像コレクション] もあります。これは、13 ペアの衛星画像を含む新しいモザイク データセットです。
[画像コレクション] データセットは、主に [フットプリント] レイヤー (緑色のアウトライン) と、画像自体を含む[イメージ] レイヤーで表されます。 2 つのレイヤーがマップに表示されます。
ヒント:
マップに画像が表示されない場合は、さらに拡大表示します。 画像の表示はマップの縮尺に依存します。
さらに、リボンに [リアリティ マッピング] タブが追加されています。
- リボンで [リアリティ マッピング] タブをクリックします。
このタブには、画像配置の調整とリアリティ マッピング プロダクトの作成をサポートする一連のツールが含まれています。 現時点では、入力画像の配置がまだ調整されていないので、[プロダクト] グループのツールは使用できません。
- [カタログ] ウィンドウのコンテンツを確認します。
ワークスペースの作成後、[リアリティ マッピング] コンテナーがプロジェクトに追加されました。
- [リアリティ マッピング]、[SanDiegoSat_Workspace]、さらに各種コンポーネントを展開します。
ここにワークスペース エレメントが格納されます。 [Imagery] フォルダーには画像コレクション レイヤーのコピーが格納され、[Products] フォルダーには [DEMs] と [Orthos] の 2 つの空のサブフォルダーがあります。これらはこの後、リアリティ マッピング プロセスの出力を格納するために使用されます。
注意:
このワークフローの後半でメッシュ生成プロセスが実行された後に、メッシュ プロダクトを格納する [Meshes] フォルダーがこの場所に追加されます。
- [SanDiegoSat_Workspace] を折りたたみます。
- [クイック アクセス ツールバー] で [プロジェクトの保存] ボタンをクリックして、プロジェクトを保存します。
このワークフローのこのパートでは、入力データをダウンロードし、ArcGIS Pro プロジェクトを設定して、リアリティ マッピング ワークスペースを作成し、そこに入力データを入力しました。 次に、画像配置の調整を実行し、リアリティ マッピング プロダクトを生成します。
画像の処理
プロジェクト、ワークスペース、および画像を設定できたので、画像の処理を開始します。 はじめに、画像レイヤーで NoData エリアを削除し、タイ ポイントを使用して画像の配置を調整します。 その後で、次のプロダクトを生成します。
- DSM: 樹木や建物など、地表にある対象物の高さが含まれる地球の数値表層モデル。 オーバーラップする画像のコレクションから生成されます。
- トゥルー オルソ: 透視投影歪みがないため、地上フィーチャが傾斜せず、他のフィーチャを覆わないオルソ補正画像。
- DSM メッシュ: 重複した画像から抽出された DSM の不規則三角形網 (TIN) バージョンに調整済み画像がドレープされるテクスチャ モデル。
DSM とトゥルー オルソは、2D マップ用の 2D ラスターです。 DSM メッシュは 3D シーン用であるため、2.5D プロダクトと見なされます。 ただし、DSM メッシュの各ポイントに含まれるのは 1 つの Z 値 (高さ) のみです。これに対して、3D プロダクトには各ポイントに複数の高さが含まれます。
ワークスペースのバックアップ
作業を進める前に、プロジェクトの前の状態に戻す必要がある場合に備え、ワークスペースのバックアップを作成します。
- [カタログ] ウィンドウで、必要に応じて [リアリティ マッピング] コンテナーを展開します。
- [SanDiegoSat_Workspace] を右クリックし、[コピー] を選択します。
- [リアリティ マッピング] フォルダーを右クリックし、[貼り付け] を選択します。
新しいファイルである [SanDiegoSat _Workspace - コピー] が [リアリティ マッピング] コンテナーに追加されます。
- [SanDiegoSat _Workspace - コピー] を右クリックし、[名前の変更] を選択して、フォルダー名を [SanDiegoSat_Workspace_orig] に変更します。
この名前は、ワークスペースのこのコピーがワークスペースの元の状態を表すことを示します。
データのないエリアの削除
情報のない黒いピクセルが表示された画像の境界部分を NoData エリアと呼びます。 これらの NoData エリアはオーバーラップした画像でその下のフィーチャを隠してしまうため、フットプリントの構築ジオプロセシング ツールを使用して削除する必要があります。
- [SanDiegoSat_Workspace] ウィンドウで画像フットプリントの南の端点を拡大します。
細長い NoData エリアが黒で表示されます。
- リボンの [解析] タブの [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- 検索ボックスに「フットプリントの構築」と入力します。 結果リストで [フットプリントの構築] ツールをクリックして開きます。
- [フットプリントの構築] ツールで [モザイク データセット] の [画像コレクション] を選択します。
- その他のデフォルト設定をそのままにして、[実行] をクリックします。
プロセスが完了すると、NoData エリアがマップから削除されます。
タイ ポイントを使用した画像アライメントの調整
入力イメージの相対精度を向上させるため、タイ ポイントを使用します。タイ ポイントは、隣接する画像間で重複するエリアで識別される共通のオブジェクトまたは位置です。 [調整] ツールは、画像マッチング手法によってタイ ポイントを自動的に抽出し、抽出されたポイントを使って、画像を相互に相対的な位置に調整します。
- リボンの [リアリティ マッピング] タブにある [調整] グループで、[調整] をクリックします。
タイ ポイントおよび画像の配置調整プロセスの品質と精度を決定する [調整] ツールのパラメーターを設定します。
- [調整] ウィンドウで、[変換タイプ] が [RPC] に設定されていることを確認します。
注意:
有理多項式係数 (RPC) は、センサーと地表の間の関係を示す数学モデルです。 互換性のあるプロダクト タイプの RPC ファイルが画像ベンダーから提供されます。
- [高度な設定] セクション、[タイ ポイントの一致] の順に展開します。
- [タイ ポイントの一致] で、次のパラメーターを設定します。
- [画像位置の精度] で [低] を選択します。この設定により、広い検索範囲と SIFT (スケール不変の特徴変換) アルゴリズムを使用して、多数のタイ ポイントを生成します。
- [タイ ポイントの類似性] で [高] を選択して、類似性の高いポイントのみが考慮されるようにします。
- [タイ ポイントの密度] で [高] を選択して、できる限り多くのポイントを作成します。
- [タイ ポイントの分布] で [ランダム] が選択されていることを確認し、生成されるタイ ポイントが画像全体に適切に分布されるようにします。
- その他のデフォルト値をそのままにして、[実行] をクリックします。
この処理の実行には数分かかります。 [ログ] ウィンドウで進捗を追跡できます。 ツールにより、最初に [タイ ポイントを計算しています]、次に [ブロック調整を計算しています]、最後に [ブロック調整を適用しています] とレポートされます。 アライメント プロセスのため、画像は、複数画像のブロックにグループ化されます。 それからブロックの位置が調整されます。
- [ログ] ウィンドウで、[ブロック調整を適用しています] の後に [完了] メッセージが表示されていることを確かめ、処理が完了していることを確認します。
- [ブロック調整を計算しています] で [RMSE_TIE_IMAGE(xy)] という行を見つけます。
この行は、計算されたタイ ポイントに基づき、調整の精度をピクセル単位で示します。 許容できる二乗平均平方根誤差 (RMSE) は 1 ピクセル未満です。
注意:
取得される精度の数値は、サンプル画像のものとやや異なる可能性があります。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[タイ ポイント] レイヤーのチェックボックスをオンにして、そのレイヤーを有効にします。
マップ上に、[調整] ツールによって生成されたタイ ポイントが表示されます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[タイ ポイント] のチェックボックスをオフにして、レイヤーを無効にします。
画像の相対精度が最適化されました。
注意:
絶対精度を高めるために、地上コントロール ポイント (GCP) を追加できます。 GCP の追加については、このチュートリアルでは説明しません。 プロジェクトに GCP を追加する方法の例については、「ArcGIS Reality for ArcGIS Pro を使用した DSM とトゥルー オルソの生成」をご参照ください。
リアリティ マッピング プロダクトの生成
次に、リアリティ マッピング プロダクトを生成します。 簡単にするために、狭いエリアに限定してプロダクトを生成します。 [SanDiego_AOI.shp] レイヤーは、対象エリアの境界を提供します。 これをマップに追加します。
- [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー]、[SanDiegoSat_Data]、[Support_Data]、[AOI] の順に展開します。
- [SanDiego_AOI.shp] を右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。
マップ上に、AOI ポリゴンが、ランダムに割り当てられた色 (下図の例ではライト ブルー) で表示されます。
画像は、AOI ポリゴンよりも広い範囲を占めています。 これにより、AOI と重複しているすべての画像が確実に含まれるようになります。 高品質な結果を生成するためには、重複しているこれらすべての画像を使用する必要があります。
プロジェクト エリア内部には広い水域があるため、水域境界を表すレイヤーを使用して、水で覆われたエリアを水域として揃える (平坦化) することをお勧めします。 そのためには、用意されているフィーチャクラス、[Waterbody.shp] を使用します。
- [カタログ] ウィンドウの [AOI] フォルダーで [Waterbody.shp] を右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。
マップ上に、[Waterbody] ポリゴンが、ランダムに割り当てられた色 (下図の例ではライト イエロー) で表示されます。
- [SanDiego_AOI] レイヤーと [Waterbody] レイヤーはこの後のワークフローでは不要なので、[コンテンツ] ウィンドウでオフにします。
- リボンの [リアリティ マッピング] タブで、[プロダクト] グループを確認します。
画像の配置調整プロセスの後、そのグループ内のいくつかのツールが使用可能になります。 プロダクトは、各プロダクト ボタン ([DSM]、[トゥルー オルソ]、[DSM メッシュ] など) を使用して個別に生成することも、[複数プロダクト] ボタンを使用して同時に生成することもできます。 ここでは後者のオプションを使用します。
- [リアリティ マッピング] タブで、[複数プロダクト] ボタンをクリックします。
[リアリティ マッピング プロダクト ウィザード] ウィンドウが開き、[プロダクト生成の設定] ページが表示されます。
- 2D プロダクトのすべてのチェックボックス ([数値表層モデル (DSM)]、[トゥルー オルソ]、および [DSM メッシュ]) がオンになっていることを確認します。 [共有された高度な設定] をクリックします。
[高度なプロダクト設定] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウでは、生成されるすべてのプロダクトに影響するパラメーターを設定できます。
- [高度なプロダクト設定] ウィンドウの [品質] で、[超高] が選択されていることを確認します。
値が [超高] であることで、最高の画像解像度を持つプロダクトが生成されます。 [品質] の設定を [高] にすると、プロダクトの座標精度は、ソース画像の座標精度の 2 倍になります。
- [プロダクト境界] で、[SanDiego_AOI.shp] を選択します。
生成されるリアリティ プロダクトは、このフィーチャクラスで定義された範囲に限定されます。
- [水域フィーチャ] で、[Waterbody] を選択します。
- [処理フォルダー] で、[参照] ボタンをクリックします。 処理対象の画像の合計サイズの 10 倍以上の空き容量のあるディスク ドライブのフォルダーを参照します。
注意:
処理フォルダーには、リアリティ処理中に生成される一時ファイルが格納されます。 処理フォルダーは、ストレージに多くの空き容量のある高速ドライブに配置することをお勧めします。
このワークフローでは約 13 GB の画像を扱うため、処理用に 130 GB の容量が必要になります。
- その他のデフォルト設定をそのままにして、[OK] をクリックします。
- [リアリティ マッピング プロダクト ウィザード] ウィンドウの [プロダクト生成の設定] ページで、[次へ] をクリックします。
- [DSM 設定] タブで、次のパラメーターを設定します。
- [出力タイプ] には、[モザイク] を選択します。
- [形式] には、[Cloud Raster Format] を選択します。
- [圧縮] で、[なし] が選択されていることを確認します。
- [リサンプリング] で、[共一次内挿法] が選択されていることを確認します。
- [次へ] をクリックします。 [トゥルー オルソ設定] ぺージで、次のパラメーターを設定します。
- [出力タイプ] には、[モザイク] を選択します。
- [形式] には、[Cloud Raster Format] を選択します。
- [圧縮] で、[なし] が選択されていることを確認します。
- [リサンプリング] で、[共一次内挿法] が選択されていることを確認します。
- [次へ] をクリックします。 [DSM メッシュ設定] ページの [形式] で、[SLPK] が選択されていることを確認します。
。
注意:
お使いのシステム リソースによっては、プロダクトの生成に 3 時間ほどかかる場合があります。 参考までに、Intel i7-9850 プロセッサ、32 GB RAM、SSD ハード ドライブを搭載したコンピューターでの処理時間は 3 時間 6 分でした。
時間を節約するためにこのプロセスを実行しない場合は、チュートリアルの残りの部分ですぐに使える出力データセットを使用できます。 [カタログ] ウィンドウで、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Support_Data] > [Output] の順に展開します。 [SanDiegoSat_DSM.crf] を右クリックし、[現在のマップに追加] を選択します。 [SanDiegoSat_TrueOrtho.crf] についても同じ操作を行います。 このワークフローの後半で、[SanDiegoSat_DSM_Mesh.slpk] を 3D シーンに追加します。
すぐに使える出力データセットを使用する場合は、次の「結果の検証」セクションに進んでください。
- プロセスを実行するには、[完了] をクリックします。
プロセスの実行中、[ログ] ウィンドウにステータス情報が表示されます。 プロセスが完了すると、ログがプロセスの正常終了を示します。 このプロセスの最後は、タイルからのモザイクの生成です。
- Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。
ワークフローのこのパートでは、画像を処理しました。 はじめに、画像レイヤーで NoData エリアを削除し、タイ ポイントを使用して画像の配置を調整しました。 その後、リアリティ マッピング プロダクトを生成しました。
結果の検証
3 つのリアリティ マッピング プロダクト (トゥルー オルソ、DSM、DSM メッシュ) を生成しました (または、既製のプロダクトを使用することを選択しました)。 次に、生成されたプロダクトを検証します。
トゥルー オルソ出力の検証
プロダクトの生成後、DSM プロダクトと トゥルー オルソ プロダクトの両方が [SanDiegoSat_Workspace] マップと [コンテンツ] ウィンドウに自動的に追加されました。 マップ上のビューを再編成した後、トゥルー オルソの検証を行います。
- [コンテンツ] ウィンドウの [画像コレクション] の下にある [フットプリント] レイヤーと [イメージ] レイヤーをオフにします。
- [トゥルー オルソ] レイヤーを右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
[トゥルー オルソ] 出力レイヤーがベースマップ上に表示されます。
- マウス ホイールを使用してズームインし、ドラッグして画面移動します。 非常に詳細な特徴を観察します。
次に、トゥルー オルソ画像を元の衛星画像と比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[DSM] レイヤーをオフにします。
- [画像コレクション] で、[イメージ] レイヤーをオンにします。
インポートしたブックマークを使用して、特定の場所を検証します。
- リボンの [マップ] タブの [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックし、[ブックマークのインポート] を選択します。
- [インポート] ウィンドウで、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Support_Data] > [Output] の順に参照し、[Location for comparison.bkmx] をクリックして、[OK] をクリックします。
- [マップ] タブで、[ブックマーク] をクリックし、[Location for comparison] を選択します。
マップを、2 つのレイヤーを比較するエリアにズームします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[トゥルー オルソ] レイヤーをクリックして選択します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブの [比較] グループで、[スワイプ] をクリックします。
- マップ上で、ポインターを上から下にドラッグして [トゥルー オルソ] レイヤーをめくり、その下の入力 [イメージ] モザイク レイヤーを表示させます。
元の [イメージ] レイヤーでは、建物の側面が見えますが、これはセンサーのオフナディア角によりずれているためです。 対照的に、[トゥルー オルソ] レイヤーでは、同じ建物が垂直方向を向いて表示されます (上から見た状態になります)。 トゥルー オルソからずれの誤差が除去されると、地上構造物は垂直に整列します。 測定された精度が許容範囲内であれば、このトゥルー オルソを使用して、建物のフットプリントなどの特徴を正確に抽出できます。
注意:
トゥルー オルソ フィーチャの絶対精度は、調整プロセスをサポートするのに使用される地上コントロール ポイントの精度に直接関係します。 このトゥルー オルソは信頼できる地上コントロール ポイントを使用せずに作成されたため、その絶対精度は不明です。 しかし、相対精度についてはタイ ポイントの RMSE から算出できます。このプロジェクトの場合は、RMSE X 0.271、Y 0.284 (ピクセル) です。
- リボンの [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] ボタンをクリックして、スワイプ モードを終了します。
DSM 出力の検証
次に、生成された DSM を確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウの [データ プロダクト] で、[トゥルー オルソ] レイヤーをオフにし、[DSM] レイヤーをオンにします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [画像コレクション] で、[イメージ] レイヤーをオフにして、DSM を見やすくします。
建物、水域、その他の地物の標高がどのように表現されているかを観察します。 レイヤーのプロパティを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [DSM] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[ソース] タブをクリックし、[ラスター情報] セクションを展開して、[セル サイズ X] フィールドと [セル サイズ Y] フィールドを見つけます。
DSM ラスターのセル サイズは 0.3 メートル、つまり 30 センチメートルです。 先ほど選択した [Pansharpen] オプションを使用して、ArcGIS Reality for ArcGIS Pro により、入力画像 (この場合はパンクロマティック画像) の最高解像度に匹敵する DSM が生成されました。
- [OK] をクリックして、[レイヤー プロパティ] ウィンドウを閉じます。
DSM を別の視点から表示するには、陰影起伏レイヤーを作成します。このレイヤーでは、陰影処理によって立体的な外観が生まれ、起伏の感覚が表現されます。
- リボンの [画像] タブの [解析] グループで [ラスター関数] ボタンをクリックします。
- [ラスター関数] ウィンドウで、検索ボックスに「陰影起伏」と入力します。 [陰影起伏] ラスター関数をクリックして開きます。
- [陰影起伏プロパティ] ウィンドウの [ラスター] で [DSM] を選択します。
- 他のすべてのデフォルト値をそのまま使用し、[新しいレイヤーの作成] をクリックします。
陰影起伏レイヤーがマップ上に表示されます。
- 拡大して画面移動し、起伏や地物の体積の詳細を観察します。
DSM メッシュ出力の検証
次に、3D シーンに表示される、生成された DSM メッシュを確認します。
- [カタログ] ウィンドウの [リアリティ マッピング] で、[SanDiegoSat_Workspace] > [Products] > [Meshes] の順に展開します。
- [DSM_Mesh.slpk] を右クリックし、[新しく追加] をポイントして、[ローカル シーン] を選択します。
注意:
既製の 3D プロダクトを使用している場合は、[フォルダー] > [SanDiegoSat_Data] > [Support_Data] > [Output] に移動し、[SanDiegoSat_DSM_Mesh.slpk] をローカル シーンに追加します。
DSM メッシュが新しい 3D シーンに表示されます。
メッシュ レイヤーをより詳しく調べるには、[ナビゲーター] ホイールを使用してシーンをズーム、傾斜、回転します。
- 大きな建物がはっきりと見えるようになるまで、マウス ホイールで拡大します。
- シーン内で、シーンの左下にある [ナビゲーター] ホイールを探します。 3D ナビゲーション機能にアクセスするには、[フル コントロールの表示] ボタンをクリックします。
[ナビゲーター] ホイールが 3D 球体に変わり、3D ナビゲーション用のホイールが別に表示されます。
- 展開した [ナビゲーター] ホイールで、中央のホイールを使用して、シーンを傾けたり回転させたりします。 マウスのスクロール ホイールを使用して拡大表示または縮小表示します。
ヒント:
また、キーボードを使用してシーンをナビゲートすることもできます。傾ける場合は V キー、回転させる場合は B キー、画面移動する場合は C キー、ズームする場合は Z キーを押します。[上]、[下]、[左]、[右] 矢印キーと組み合わせて使用できます。
- [Mesh] レイヤーをさまざまな角度から見て探索します。
このレイヤーは、建物、植生、地表の特徴を写真のようにリアルな詳細で表示します。
- 探索が終わったら、[コンテンツ] ウィンドウで [Mesh] レイヤーを右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
- Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。
これらのリアリティ マッピング出力データセットへのアクセスを拡張するには、自分の組織のArcGIS Online アカウントに公開します。 チュートリアルの冒頭で、オンライン 3D シーンに表示される DSM メッシュの例を見ました。 「ホスト シーン レイヤーの公開」ページで詳細をご参照ください。 出力データセットは、さまざまなプロジェクトに統合したり、他の GIS レイヤーと組み合わせたりすることもできます。
このチュートリアルでは、サンディエゴの一部をカバーする高解像度の重なり合う衛星画像を使用して、リアリティ マッピング プロダクトを生成しました。 入力データをダウンロードし、それを管理するために ArcGIS Pro プロジェクト内にワークスペースを作成しました。 次に、NoData エリアを削除し、自動的に生成されたタイ ポイントを使用して画像の配置を調整しました。 リアリティ マッピング プロダクト ウィザードを使用して、位置合わせされた画像から高解像度の DSM、トゥルー オルソ、統合された DSM メッシュを生成しました。 最後に、出力プロダクトを検証しました。
同様のチュートリアルについては、「ArcGIS Reality for ArcGIS Pro を試す」シリーズをご参照ください。