インデックス変数の準備

熱リスク インデックスを作成するには、まず入力データを準備します。 インデックスには、夏季の平均地表温度、樹木被覆がないエリアの割合、人口密度の 3 つの変数を使用します。 これらの入力は、いずれも ArcGIS Living Atlas of the World データから生成されたもので、繰り返し使用したり、近傍やその他の対象地域に合わせてカスタマイズしたりすることができます。

分析範囲のデータの追加

一例として、スペイン南部の都市であるセビージャの熱リスク インデックス (HRI) を計算します。 リスク インデックスを構成するデータを処理する前に、セビージャの国勢調査データを特定し、準備します。 このレイヤーは、グローバル ラスター サービスのフィルターとクリップに使用され、ローカルでの計画と介入に有益な、近傍レベルのジオメトリ内のインデックスを作成することができます。

  1. ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または ArcGIS アカウント (ArcGIS Online 用または ArcGIS Enterprise 用) がない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

  2. [新しいプロジェクト] の下の [マップ] をクリックします。

    新しいプロジェクトの下のマップ テンプレート

  3. [新しいプロジェクトの作成] ウィンドウの [名前] で「Sevilla Heat Resilience Index」と入力します。 [OK] をクリックします。

    プロジェクトが作成されます。 まず、境界レイヤーをマップに追加します。 このチュートリアルでは、ArcGIS Living Atlas のスペイン国勢調査セクションの境界を使用します。

    ヒント:
    インデックスの目的に応じて、異なる境界を選択する方がよい場合があります。 たとえば、地域の決定が近隣地域または市議会レベルで行われる場合、意思決定者に具体的な状況を提供するには、それらの境界を使用する方が意味があると考えられます。 その他のケースでは、地域の行政単位や国勢調査単位が十分に小さくなかったり、より小さい解像度で分析したければ、分析用にテッセレーション、つまりより小さい格子線を作成することを検討してください。 どちらのジオグラフィーを選択する場合でも、人口統計データを追加する必要がある可能性が高いことに留意してください。

  4. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [データの追加] ボタンをクリックします。

    データの追加ボタン

  5. [データの追加] ウィンドウのサイド メニューで、[ポータル] の下の [Living Atlas] をクリックします。
  6. Spain census sections owner:esri_dm」を検索します。 [Spain Census Section Boundaries] フィーチャ レイヤーをクリックして選択します。
    ヒント:

    検索に「owner:」と所有者名を追加すると、特定の所有者で検索結果をフィルターできます。

    検索結果のリストの Spain Census Section Boundaries レイヤー

  7. [OK] をクリックします。

    レイヤーがマップに追加され、マップがスペインにズームします。 国勢調査区画をフィルターし、セビージャのみを表示します。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで [ESP_CensusSection] を右クリックし、[属性テーブル] を選択します。

    属性テーブルが開きます。 各国勢調査区画が所在する都市が、[名前] フィールドにリストされます。

    注意:

    [名前] フィールドが表示されない場合は、属性テーブルのリボンで [オプション] ボタンをクリックし、[すべてのフィールドを表示] をクリックします。

  9. 属性テーブルの [選択][属性条件で選択] をクリックします。

    属性テーブルの属性条件で選択のボタン

    [属性条件で選択] ツールが開きます。

  10. [属性条件で選択] ツールで [Where 句 Name が Sevilla に等しい] というクエリを作成し、[OK] をクリックします。

    属性テーブルの下部に、521 個の区画が選択されていることが示されます。 データを操作できるよう、このフィルターされたレイヤーのコピーをプロジェクトに保存します。

  11. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。

    [ジオプロセシング] ウィンドウが開きます。

  12. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[フィーチャのエクスポート (変換ツール)] を検索して開きます。
  13. [入力フィーチャ][ESP_CensusSection] を選択します。 [出力フィーチャクラス] に「Sevilla_Census_Sections」と入力します。

    フィーチャのエクスポート ツールのパラメーター

  14. [実行] をクリックします。

    ツールの実行が終了すると、[Sevilla_Census_Sections] レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 これで、元の Census Sections レイヤーは削除できます。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[ESP_CensusSections] を右クリックして [削除] を選択します。

    次に、後から追加するレイヤーの上に表示されるよう、[Sevilla_Census_Sections] レイヤーをシンボル表示します。

  16. [コンテンツ] ウィンドウで [Sevilla_Census_Sections] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
  17. [シンボル] で、現在のシンボル見本をクリックします。 [ギャラリー] タブの [ArcGIS 2D][黒 (アウトライン付き - 1 ポイント)] をクリックします。

    ギャラリーの黒 (アウトライン付き 1 ポイント) のスタイル

    このレイヤーには透過表示も適用されているため、ベースマップに重ねると境界が見づらくなります。

  18. リボンで [フィーチャ レイヤー] コンテキスト タブをクリックします。 [効果] グループで [透過表示][0%] に変更します。
  19. [コンテンツ] ウィンドウで [Sevilla_Census_Sections] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。

    シンボル表示した Sevilla_Census_Sections レイヤー

    対象地域のレイヤーがシンボル表示され、マップの中心に配置されます。 この範囲は、後でラスター データをクリップするために使います。

  20. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] ボタンをクリックします。

    プロジェクトの保存ボタン

    プロジェクトが保存されます。

Landsat 地表温度データの準備

インデックスの最初の変数は夏季の平均地表温度です。これは、ArcGIS Living Atlas で利用可能なグローバル Landsat Level-2 画像から取得できます。 この入力を準備するために、イメージ サービスをマップに追加し、対象地域で使用可能なシーンを見つけます。 次に、ラスターをローカルでコピーし、[ゾーン統計をテーブルに出力] ツールを使用して、各セビージャ国勢調査区画内の最大値を決定します。

ヒント:
分析範囲と利用可能なデータに応じて、熱データに別のソースを使用することを選択できます。 たとえば、Landsat Explorer アプリから Landsat データをダウンロードしたい場合があります。 このアプリでは、ダウンロードする前にシーンを選択してプレビューできます。 もう 1 つの選択肢は、NIHHIS (National Integrated Heat Health Information Systems) および CAPA (Climate Adaptation Planning and Analytics) プログラムによる高解像度の都市部のヒート アイランド データを使用することです。 NIHHIS-CAPA データは、ヒート マッピング キャンペーンに参加した米国および世界中の特定の都市のものが利用できます。 自分の都市がマップされているかどうか、または申請方法を確認してください

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [レイヤー] グループの [データの追加] ボタンをクリックします。
  2. [データの追加] ウィンドウで、[Living Atlas] が選択されていることを確認します。 [esri_imagery] が所有する [Landsat Level-2] 画像レイヤーを検索して追加します。

    ArcGIS Living Atlas の Landsat Level-2 画像レイヤー

    Landsat Level-2 画像レイヤーがプロジェクトに追加されます。 Level-2 の科学的プロダクトのコレクションには、1982 年までの大気補正された表面反射率と地表温度のデータが含まれています。 Landsat サービス プロパティを調整し、対象となる温度データのみを取得します。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで、[Landsat Level-2] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  4. [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[処理テンプレート] タブをクリックします。
  5. [処理テンプレート] で、[Surface Temperature (Celsius)] を選択します。

    Band 10 Surface Temperature in Celsius 処理テンプレート

  6. [モザイク] タブをクリックします。 [モザイク オペレーター][平均] を選択します。

    このサービスでは、モザイク データセットを使用して、数十年分のシーンを管理します。 デフォルトでは、最初のシーンが表示されます。 平均演算子を選択すると、対象地域で利用可能なすべてのシーンから、適用するフィルターに基づいて平均気温値が計算されます。 次に、「雲量が 10 パーセント以下で、シーンが夏季に取得された」という 2 つの引数を持つ定義クエリを追加します。

  7. [定義クエリ] タブをクリックし、[新しい定義クエリ] をクリックします。

    新しい定義クエリ ボタン

  8. [Where 句 Cloud Cover が 0.10 以下] という式を作成します。 [項目の追加] をクリックします。

    Cloud Cover の定義クエリ

    このクエリでは、雲量が 10 パーセントを超えるすべてのシーンが除外されます。 Landsat シーンに雲や雲の影があると、解析の結果に悪影響を及ぼします。

  9. [And Month に値 6,7,8 を含む] という式を作成します。

    この項目では、北半球で夏と見なされる月のみが含まれます。 これで、クエリには 2 つの項目が含まれるようになりました。

    2 つの句があるクエリ

  10. [クエリ 1][適用] をクリックします。 [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[OK] をクリックします。

    サービスが更新されるまで数分かかることがあります。 完了すると、シーンがグレーの四角形として表示されることがあります。 レイヤーの夏季の平均温度を視覚化するには、ラスターをシンボル表示します。

  11. [コンテンツ] ウィンドウで、[Landsat Level-2] を右クリックし、[シンボル] を選択します。
  12. [シンボル] ウィンドウの [統計情報][データセット] をクリックし、[DRA] を選択します。

    シンボル ウィンドウで統計情報に DRA を設定

    DRA は「ダイナミック レンジ調整」の略称で、画像をナビゲートする際に現在の表示内のピクセル値のみに基づいてアクティブなストレッチ タイプを自動調整する機能です。

  13. [配色] で、[インフェルノ] などの等級カラー ランプを選択します。
    ヒント:

    カラー ランプをポイントすると、そのランプの名前が表示されます。

    Landsat 画像からの地表温度データ

夏季の平均地表温度の計算

Landsat 画像で処理テンプレートとフィルターを設定したので、関連するシーンのみをプロジェクトにコピーします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Landsat Level-2] を右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
  2. 属性テーブルの下部で [範囲によるフィルター] ボタンをクリックします。

    範囲によるフィルター ボタン

    テーブルがフィルターされ、マップの現在の範囲 (セビージャ地域) で使用できるシーンのみが表示されます。

  3. 属性テーブルを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで [Sevilla_Census_Sections] を右クリックし、[レイヤーにズーム] を選択します。
  4. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ラスターのコピー] ツールを開きます。
  5. [入力ラスター] で、[Landsat Level-2] を選択します。
    注意:

    [入力ラスター] パラメーターの横に赤色の X が表示されることがありますが、これはパラメーターが無効であることを示しています。 Landsat イメージ サービスでは、一度に 4000 x 4000 ピクセルを超えるエクスポートは行えません。 このツールを実行する前に、ラスター エクスポートがこの範囲内に収まるように、処理範囲を設定する必要があります。

  6. [出力ラスター データセット] で、[参照] ボタンをクリックします。

    このラスターを TIFF ファイルとして保存します。これはジオデータベースには保存できません。

  7. [出力ラスター データセット] ウィンドウの [プロジェクト] の下で、[フォルダー] をクリックします。 [Sevilla Heat Resilience Index] プロジェクト フォルダーをダブルクリックします。
    注意:

    プロジェクトに別の名前を付けた場合は、プロジェクト フォルダーの名前も異なります。

  8. [名前] に「Avg_SurfaceTemp_Sevilla.tif」と入力します。

    出力ラスター データセット ウィンドウの名前パラメーター

  9. [保存] をクリックします。
  10. [ジオプロセシング] ウィンドウの [環境] タブをクリックします。 [範囲] で、[レイヤーの範囲] ボタンをクリックし、[Sevilla_Census_Sections] を選択します。

    環境タブの範囲パラメーター

    処理範囲を設定すると、入力ラスターを設定したときに表示されたエラー状態が解決されます。

  11. [実行] をクリックします。

    処理が完了すると、[Avg_SurfaceTemp_Sevilla.tif] ラスターが [コンテンツ] ウィンドウとマップに追加されます。

    注意:

    ツールが完了した後に、[警告 003485: 入力レイヤーにすでにアクティブな処理テンプレートがあるので、処理テンプレートは出力ラスター データセットには保存されません] という警告メッセージが表示されることがあります。 画像データのみがコピーされ、他のサービス処理テンプレートはコピーされないので、この警告は予期されるものです。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Landsat Level-2] を右クリックし、[削除] を選択します。

    コピーした地表温度のラスター レイヤー

    対象地域の地表温度ラスターがローカル ファイルにコピーされたので、[ゾーン統計をテーブルに出力] ツールを使用して、各国勢調査ポリゴン内のすべての温度値を集計し、平均値を決定できます。

  13. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ゾーン統計をテーブルに出力 (Spatial Analyst ツール)] ツールを開きます。

    [ゾーン統計をテーブルに出力] ツールは、別のデータセットのゾーン内にあるラスター セルの統計情報を計算します。 ここでは、各国勢調査区画内の最高平均温度を特定するために、[最大] 統計を計算します。

  14. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力ラスター、またはフィーチャ ゾーン データ][Sevilla_Census_Sections] を選択します。
    • [ゾーン フィールド] で、[ID] を選択します。
    • [入力値ラスター][Avg_SurfaceTemp_Sevilla.tif] を選択します。
    • [出力テーブル] に「Avg_SurfaceTemp_Sevilla」と入力します。
    • [統計情報の種類][平均値] を選択します。

    ゾーン統計をテーブルに出力ツールのパラメーター

  15. [実行] をクリックします。

    [Avg_SurfaceTemp_Sevilla] テーブルが、[コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] の下に追加されます。

  16. [コンテンツ] ウィンドウで、[Avg_SurfaceTemp_Sevilla] テーブルを右クリックし、[開く] を選択します。

    [MEAN] フィールドには平均値統計が表示されます。 わかりやすくするために、このフィールド名を変更します。

  17. リボンの [スタンドアロン テーブル] コンテキスト タブをクリックします。 [データ設計] グループで、[フィールド] をクリックします。

    データ設計グループのフィールド ボタン

  18. [フィールド] テーブルの [エイリアス] 列で、[MEAN] をダブルクリックしてレコードを編集します。 「Avg Summer Temp (C)」と入力します。

    MEAN フィールドのエイリアス

  19. リボンの [編集の管理] グループで、[保存] をクリックして、編集内容をテーブルに保存します。
  20. 両方のテーブルを閉じて、プロジェクトを保存します。

    これで、熱レジリエンス インデックスの最初の入力を準備するワークフローが完了しました。 まず、ArcGIS Living Atlas データを使用して、Landsat Level-2 イメージ サービスの処理テンプレートをもとに対象地域の地表温度を取得しました。 次に、サービスのプロパティを調整し、シーンを属性でフィルターして、フィルターしたシーン全体の平均値を計算しました。 また、空間フィルターを適用し、シーンを国勢調査境界周辺のエリアに制限しました。 画像をプロジェクトにエクスポートした後、各国勢調査区画内の平均地表温度を計算しました。

樹冠欠如の抽出

熱リスク インデックスの 2 つ目の入力は、樹冠欠如です。 この入力は、ArcGIS Living AtlasEuropean Space Agency WorldCover 2021 Land Cover のイメージ サービスから取得されました。

ヒント:
インデックスの目的に応じて、異なる分類方法や異なるデータを使用することを選択できます。 このインデックスの目的は植樹キャンペーンのエリアを特定することなので、土地被覆レイヤーを再分類して、すでに樹木が生えている場所を表示します。 不浸透面の除去や雨水庭園の作成など、他の種類の介入エリアを識別するためにインデックスを作成している場合は、土地被覆データを再分類して、各国勢調査区域の樹木被覆、灌木地、草地を識別することで、緑地がどの程度存在するかを示すことを選べます。 あるいは、正規化差植生指数 (NDVI) や土壌調整植生指数 (SAVI) などのバイオマスと植生の健全性の尺度を使用することもできます。 これらの尺度は Landsat Level-2 サービスに含まれており、ArcGIS Pro で計算することもできます

  1. リボンの [マップ] タブで、[データの追加] ボタンをクリックします。 [Living Atlas] ポータルから、[esri_environment] が所有する [European Space Agency WorldCover 2021 Land Cover] レイヤーを追加します。

    Living Atlas ポータルの ESA WorldCover 2021 レイヤー

    このレイヤーは、11 の土地被覆クラスを持つグローバル土地被覆データセットです。 これらの分類ピクセルのうち、樹木被覆を示すもののみが必要です。 [再分類] ツールを使用し、樹木被覆ピクセルのみを分離します。

  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで [再分類 (Spatial Analyst ツール)] ツールを開きます。
  3. [入力ラスター] で、[European Space Agency WorldCover 2021 Land Cover] を選択します。 [再分類フィールド][ClassName] に設定されていることを確認します。
  4. [再分類] テーブルで [Tree Cover][New] 値を [1] のままにしておきます。 [NODATA] 以外のその他すべての [新規] 値を [0] に変更します。

    再分類ツールのパラメーター

  5. [出力ラスター][参照] をクリックします。 [Sevilla Heat Resilience Index] プロジェクト フォルダーを参照します。
  6. [名前] に「Tree_Canopy_Sevilla.tif」と入力します。 [保存] をクリックします。

    対象地域に関連するピクセルのみを処理するには、処理範囲を使用し、ラスターをクリップします。

  7. [環境] タブをクリックします。 [処理範囲][範囲] で、[レイヤーの範囲] ボタンをクリックし、[Sevilla_Census_Sections] を選択します。
  8. [実行] をクリックします。

    ラスターの処理が完了すると、[コンテンツ] ウィンドウに追加され、マップに描画されます。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで、[European Space Agency WorldCover 2021 Land Cover] を右クリックし、[削除] を選択します。

    マップの再分類されたラスター

    注意:

    ラスターのシンボルは、サンプル画像とは異なる場合があります。

    [Tree_Canopy_Sevilla.tif] レイヤーには、樹木被覆とその他すべての 2 つのクラスがあります。 このラスターを使用して、インデックスへの入力となる樹木被覆不足の変数を計算します。

    樹冠欠如は、「100 - 樹冠の割合」という式で計算されます。

  10. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[ゾーン統計をテーブルに出力 (Spatial Analyst ツール)] ツールを開きます。

    今回は、ツールを使用して、各国勢調査ポリゴン内の樹木被覆ピクセルの数を集計します。 このツールは、各ゾーン (ポリゴン) 内のピクセルの総数もカウントするため、樹木で覆われるポリゴン ピクセルの割合も計算できます。

  11. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力ラスター、またはフィーチャ ゾーン データ][Sevilla_Census_Sections] を選択します。
    • [ゾーン フィールド] で、[ID] を選択します。
    • [入力値ラスター] で、[Tree_Canopy_Sevilla.tif] を選択します。
    • [出力テーブル] で、「Tree_Pixels」と入力します。
    • [統計情報の種類] で、[合計値] を選択します。
  12. [実行] をクリックします。

    [Tree_Pixels] テーブルが [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] の下に追加されます。

  13. [Tree_Pixels] テーブルを開きます。

    このテーブルには、対象となる [COUNT][SUM] という 2 つの列があります。COUNT は各ポリゴン ゾーン内のピクセル数の総数で、SUM は樹木被覆ピクセルの総数です。 次の式を使用し、各国勢調査ポリゴンの樹木被覆の割合と、樹木被覆のない割合を計算します。

    • PCT_Tree_Cover = (Sum / Count) * 100
    • PCT_Lacking = 100 - PCT_Tree_Cover
  14. 属性テーブルで、[計算] をクリックします。

    計算ボタン

  15. [フィールド演算] ツールの [フィールド名 (既存または新規)] に「Pct_Tree_Cover」と入力します。 [フィールド タイプ] で、[Float (32 ビット浮動小数点)] を選択します。
  16. [式][Pct_Tree_Cover =] で、式「(!SUM! / !COUNT!) * 100」を作成して [OK] をクリックします。

    属性テーブルの最後に新しいフィールドが追加されます。

  17. [計算] をクリックします。 [フィールド名 (既存または新規)] に「Pct_Lacking」と入力し、[フィールド タイプ][Float (32 ビット浮動小数点)] を選択します。
  18. [Pct_Lacking =][100 - !Pct_Tree_Cover!] という式を作成し、[OK] をクリックします。

    [Tree_Pixels] テーブルには、[Pct_Tree_Cover][Pct_Lacking] という 2 つの新しいフィールドが作成されます。 Pct_Lacking 属性は、樹木被覆のない国勢調査区画の割合を表し、熱レジリエンス インデックスへの 2 つ目の入力です。

    Pct_Tree_Cover フィールドと Pct_Lacking フィールド

  19. [Tree_Pixels] テーブルを閉じ、プロジェクトを保存します。

人口密度の計算

熱リスク インデックスへの最後の入力は人口密度です。 インデックスのこのコンポーネントを使用すると、介入によって最も多くの人が恩恵を受ける可能性のある人口密集エリアでのアクションを優先順位付けできます。 人口密度の入力値は、[Sevilla_Census_Sections] レイヤーのスペインの国勢調査データから取得します。

ヒント:

インデックスの目標に応じて、人口統計変数を追加することを検討してください。 説明のためこのチュートリアルでは、植樹キャンペーンが最も多くの人々に役立つ可能性のある場所を表す手段として、人口密度の一般的な尺度のみを使用します。 インデックスを構築する場合、この入力にはより細かいニュアンスが必要になる可能性があります。人口が熱ストレスに対して最も脆弱となる場所を示す人口統計データを追加することを検討してください。 熱ストレスの影響を受けやすい人には、子供や高齢者、屋外で過酷な仕事をしている人、健康状態に慢性的な問題のある人、障害のある人、ホームレスの人などが含まれます。

人口統計変数を選択するときは、関係者と緊密に連携して優先事項をはっきりさせ、それをインデックスでどのように表現するかを決定することをお勧めします。 地域の優先事項と、含める指標の数に応じて、人口と脆弱性を表すサブインデックスをインデックス内に作成することを検討してください。

  1. [Sevilla_Census_Sections] レイヤーの属性テーブルを開きます。

    レイヤーには、総人口と、面積 (平方キロメートル単位) の属性が含まれます。 人口を面積で除算して、新しいフィールドを計算します。

  2. 属性テーブルの [フィールド][計算] をクリックします。 [フィールド演算] ウィンドウで [フィールド名 (既存または新規)] に「PopDensity」と入力し、[フィールド タイプ][Float (32 ビット浮動小数点)] を選択します。
  3. [式][PopDensity =] に、式「!TOTPOP_CY! / !AREA!」をコピーして貼り付けます。

    PopDensity 属性を計算します。

    注意:

    属性はエイリアスかわかりやすい名前で表示されますが、[フィールド] ウィンドウでは、フィールド名が式に使用されます。

  4. [OK] をクリックします。

    テーブルに [PopDensity] フィールドが追加されます。 生成された 3 つの入力を熱リスク インデックスに組み込み、マップでシンボル表示する準備が整いました。 最初に、処理のためにすべての入力を [Sevilla_Census_Sections] レイヤーに転送します。

  5. [ジオプロセシング] ウィンドウで [フィールドの結合] ツールを開きます。
  6. 次のパラメーターを入力します。
    • [入力テーブル][Sevilla_Census_Sections] を選択します。
    • [入力結合フィールド][ID] を選択します。
    • [結合テーブル] で、[Avg_SurfaceTemp_Sevilla] を選択します。
    • [結合テーブル フィールド] で、[ID] を選択します。
    • [転送フィールド] で、[Avg Summer Temp (C)] を選択します。

    フィールドの結合ツールのパラメーター

  7. [実行] をクリックします。

    ツールの実行が終了すると、[Avg Summer Temp (C)] フィールドが [Sevilla_Census_Sections] テーブルに追加されます。

  8. [結合フィールド] ウィンドウで、[結合テーブル][Tree_Pixels] に変更し、[Avg Summer Temp (C)][Pct_Lacking] に変更します。 [実行] をクリックします。

    これで、3 つの入力すべてが同じテーブルに設定されました。

  9. テーブルを閉じます。 プロジェクトを保存します。

熱インデックスの作成に必要な変数が準備できました。 インデックスを作成する準備はこれで完了です。


熱リスク インデックスの作成

すべてのインデックス入力を準備したので、次に、インデックスを作成します。 目的に応じて、インデックスを作成、結合、解釈する方法はさまざまにありますが、このチュートリアルでは [コンポジット インデックスの計算] ツールを使用します。 このツールには、データの前処理とデータ結合のステップが組み込まれており、データに合ったインデックス方法を選択するのに役立ちます。 異なる分析範囲や変数を使用している場合は、コンポジット インデックスの計算ツールに関するドキュメントベスト プラクティス ガイドを参考に、インデックス方法を適宜調整してください。

インデックス入力の概要

効果的なインデックスを作成するには、データの前処理と結合に使用する方法を選択する必要があります。 コンポジット インデックスの計算ツールでは前処理のステップで、変数同士に互換性があり、インデックス内で結合可能であることを確認します。 そのステップを選択するためには、まず入力変数の分布について理解する必要があります。 また、この段階で歪度や欠損値などの不整合に対処することもできます。 変数について理解するために、データ エンジニアリング ビューを使用します。このビューには、データの探索、視覚化、クリーニングのためのツールが備わっています。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Tree_Canopy_Sevilla.tif] および [Avg_SurfaceTemp_Sevilla.tif] をオフにして無効にします。
  2. [Sevilla_Census_Sections] を右クリックし、[データ エンジニアリング] を選択します。

    [データ エンジニアリング] ビューが開きます。 この [データ エンジニアリング] ツールを使用して各入力変数のヒストグラムを表示し、マップ上でシンボル表示し、統計サマリーを計算して値について理解します。

  3. [フィールド] パネルで、[PopDensity] をクリックします。 Shift キーを押しながら [Pct_Lacking] をクリックして、準備した 3 つのインデックス入力を選択します。
  4. 選択した 3 つのフィールドを [統計] パネルまでドラッグします。

    統計パネルへのフィールドの追加

    3 つのフィールドが追加されます。 次に、統計情報を計算します。

  5. [統計] パネルのリボンで、[計算] をクリックします。

    各入力について、平均値、中央値、外れ値、歪度などの統計情報が計算されます。 次に、入力をマッピングしてヒストグラムを作成し、その分布を理解します。

  6. [フィールド] パネルで、[PopDensity] フィールドにポインターを合わせて、[シンボルの更新] をクリックします。

    シンボルの更新ボタン

    マップが更新され、国勢調査区画が人口密度に基づいて表示されます。 市の中心部に近い小さい国勢調査地域では密度が高く、大きい国勢調査地域と郊外の地域は密度が低いことがわかります。

    Sevilla_Census_Sections レイヤーの人口密度フィールドを示すマップ

  7. [統計] パネルの [PopDensity] フィールドで、チャートのプレビューを右クリックし、[ヒストグラムを開く] を選択します。

    PopDensity ヒストグラムを開く

    PopDensity ヒストグラムが表示されます。 このヒストグラムにデータの分布が表示されます。分布はやや正に偏っています。

  8. ヒストグラムを閉じます。 [データ エンジニアリング] ビューで、[歪度] 統計値が表示されるまでスクロールします。

    PopDensity フィールドの歪度の統計値は 0.823 です。 一般的に、-0.5 未満または 0.5 を超える値は偏っていると見なされます。 ある変数の歪度が高いと、インデックスの結果に対するその変数の影響度が変化する可能性があります。 [コンポジット インデックスの計算] ツールには、スケーリングなど、歪度に対処できる前処理の方法が用意されていますが、それらの方法は、偏りのある変数だけでなく、入力として使用されるすべての変数に適用されます。 コンポジット インデックス ツールを使用する前に、[データ エンジニアリング] のツールを使用して変数に対処する方が、個々の変数をより細かく制御できます。 ここでは、[フィールドの変換] ツールを使用して、正規分布に近づくように [PopDensity] 変数を変更します。

  9. [PopDensity] フィールドで、[歪度] の統計値を右クリックし、[フィールドの変換] を選択します。

    フィールドの変換ツール

  10. [フィールドの変換] ツールで、[変換方法][ボックス-コックス] であることを確認します。

    それ以外はすべて、デフォルト値のままにします。 入力テーブルのいずれかの値が負である場合は、[シフト] パラメーターを使用できます。 累乗の値を指定するには、[累乗] パラメーターを使用します。 値が指定されない場合、正規分布曲線の最良近似が使用され、それがジオプロセシング メッセージに表示されます。

  11. [フィールドの変換] ツールで、[OK] をクリックします。

    フィールドの変換ツールの実行

    ツールの実行が完了すると、新しいフィールドが [Sevilla_Census_Sections] テーブルに追加されます。

  12. [データ エンジニアリング] ビューの [フィールド] パネルで、[PopDensity_BOX_COX][統計] パネルにドラッグし、[計算] をクリックします。
  13. ヒストグラムと統計情報を使用して、[PopDensity] フィールドと [PopDensity_BOX_COX] フィールドを比較します。

    [PopDensity_BOX_COX] の歪度の統計値は -0.033 になり、正規分布に近くなりました。 次に、この手順を繰り返して、大きく負に偏っている [PCT_Lacking] フィールドのマッピングと変換を行います。

  14. [フィールド] パネルで、[PCT_Lacking] フィールドにポインターを合わせて、[シンボルの更新] をクリックします。

    Pct_Lacking 属性のマップ

    マップが更新され、国勢調査区画が樹木被覆率別に表示されます。 緑の色合いが暗くなるほど、樹木被覆のない土地の割合が高いエリアであることを表しています。 中心街にある小さい国勢調査区画の多くは、樹木被覆がほとんどありません。 また、周辺部にあるいくつかの大きい国勢調査区画も、樹木被覆がほとんどない状況です。 これらのパターンをより詳しく理解するために、ベースマップを変更して、衛星画像を表示できます。

  15. リボンの [マップ] タブで [ベースマップ] をクリックし、[衛星画像ハイブリッド] を選択します。

    この衛星画像から、樹木がほとんどない工業団地、倉庫街、農業用地が、周辺部の大きい国勢調査区画の多くに存在していることがわかります。 樹木被覆がない国勢調査区画が多数あるため、この変数は大きく偏っています。 そのため、もう一度 [フィールドの変換] ツールを使用して、正規分布に近いものになるように分布を変更します。

  16. [PCT_Lacking] 属性で、チャートのプレビューを右クリックし、[フィールドの変換] を選択します。
  17. [フィールドの変換] ツールで、[変換方法][ボックス-コックス] であることを確認し、[OK] をクリックします。
  18. [データ エンジニアリング] ビューの [フィールド] パネルで、[Pct_Lacking_BOX_COX][統計] パネルにドラッグし、[計算] をクリックします。
  19. ヒストグラムと統計情報を使用して、[Pct_Lacking] フィールドと [Pct_Lacking_BOX_COX] フィールドを比較します。

    このフィールドの偏りが大きかったため、変換により新しい歪度パラメーターが -0.233 となりました。それでも、正規分布の大まかな近似として使用している -0.5 から 0.5 までの範囲に収まっています。

    このマップの最後のフィールドは、[Avg Summer Temp (C)] フィールドです。

  20. [フィールド] パネルで、[Avg Summer Temp (C)] フィールドにポインターを合わせて、[シンボルの更新] をクリックします。

    夏季の平均温度のマップ

    最後の属性である [Avg Summer Temp (C)] がマップ上に描画されます。 興味深いことに、周辺部にある大きい国勢調査区画でも高い温度になっているようです。 これには、データ処理のアーティファクト、小さい中心街と比較した区画のサイズといった複数の要因が考えられます。 たとえば、工業団地や倉庫街の温度の高さが、この区画全体の平均値を押し上げている可能性があります。 [統計] ウィンドウを見ると、平均温度の最低と最高はそれぞれ摂氏 40.91 度と 50.84 度となっています。

    インデックス入力について理解を深めることができたので、前処理のステップとインデックス方法の選択に移ります。

インデックス方法の選択

次に、前処理のステップを選択します。 [コンポジット インデックスの計算] ツールの前処理では、変数の方向を合わせるための変数の反転と、範囲や単位を合わせるための変数のスケーリングを重点的に行います。 異なる分析範囲や変数を使用している場合は、コンポジット インデックスの計算ツールに関するドキュメントベスト プラクティス ガイドを参照して、適切な前処理のステップと結合方法を選択してください。

  1. [ジオプロセシング] ウィンドウで、[コンポジット インデックスの計算] ツールを検索して開きます。

    インデックスを作成する方法はたくさんありますが、今回はこのツールを使用します。このツールは、複数のデータ処理ステップを 1 つのツールに組み込み、インデックス ツールの結果の検証に役立つ一連のチャートを作成するからです。

    まず、準備した 3 つの入力を追加し、使用したい前処理パラメーターを設定します。

  2. [入力テーブル][Sevilla_Census_Sections] を選択します。 [出力フィーチャまたはテーブル] に「Sevilla_HRI_MeanofScaled」と入力します。

    ヒント:
    複数の前処理の方法とインデックス結合方法をテストすると良いでしょう。 後で区別できるように、使用するパラメーターを表す出力名を選択します。

  3. [変数の入力][複数追加] ボタンをクリックします。

    複数追加ボタン

  4. [夏の平均気温][PopDensity_BOX_COX][Pct_Lacking_BOX_COX] を選択します。 [追加] をクリックします。

    変数の入力パラメーターの 3 つのインデックス入力

    注意:

    [変数の入力] がエイリアスではなくフィールド名でリストされている場合は、[フィールド リストの設定] ボタンをクリックし、[フィールドのエイリアスを表示] を選択します。

    各入力には、方向を反転するチェックボックスがあります。 入力変数の準備方法によっては、変数の方向を反転した方が良い場合もあります。 変数を反転すべきかどうかを判断するために、高い値がすべてそのインデックスの共通の結果を表していることを確認する必要があります。 今回のケースでは、高い値はその国勢調査区画への植樹による恩恵が大きくなることを表し、低い値はその国勢調査区画への恩恵が小さくなることを表すように、すべての変数を準備しました。 値の方向には互換性があるため、どの変数も反転する必要はありません。

    次に、入力をスケーリングする方法を選択します。 スケーリングとは、すべての入力を共通の範囲に標準化するための方法です。 今回のケースでは、使用している変数の単位やスケールがそれぞれ異なるため、結合する前に標準化する必要があります。 たとえば、ある国勢調査区画の摂氏 1 度の変化による影響を、樹木被覆率 1 % の変化による影響と比較することは困難です。 これらの変数のスケーリングによって、値を 0 ~ 1 などの共通の範囲にマッピングします。

    使用しているデータとインデックスの目的によって、スケーリングの方法は異なります。 たとえば、非常に偏ったデータを使用している場合や、データセット内の各変数のランクの方が実際の値よりも重要である場合は、パーセンタイルの平均を使用するよう選択できます。パーセンタイルの平均は、値を 0 から 1 までのパーセンタイルに変換することで標準化します。 あるいは、住宅価格の中央値などの臨界値があり、インデックスによってその臨界値を上回るエリアと下回るエリアを特定したい場合は、閾値によるフラグのカスタム オプションを使用するよう選択できます。

  5. [変数のスケール方法と結合方法の事前設定] で、[値の結合 (スケール処理済みの値の平均値)] を選択します。

    このプリセット オプションで、[入力変数をスケール処理する方法][最小値 - 最大値] に、[スケール処理済み変数を結合する方法][平均] に設定します。 まず入力変数が 0 から 1 までの範囲で再スケーリングされ、次に再スケーリング後の入力変数の平均値を使用して、インデックスとして結合されます。 スケーリング プロセスで入力データの値の差の大きさを考慮し、その他の値との関連からその国勢調査区画の優劣の程度を定量化できるため、この方法は適切です。

    データセットの最小値と最大値が再スケーリングに使用されるため、この方法は偏りのあるデータに対しては適していないことが多いです。 これまでの手順で PopDensity 属性と PctLacking 属性の変換を行わなかったとすれば、パーセンタイルの平均などの方法を検討することになります。この方法では、データの大きさではなくランクが保持されます。 ランクを保持する方法は、条件の優劣が付く状況は示すが、その優劣の程度は定量化しないインデックスを作成する場合に有効です。

  6. [入力変数をスケール処理する方法] で、[最小値 - 最大値] が選択されていることを確認します。
  7. [スケール処理済み変数を結合する方法] では、[平均] が選択されていることを確認します。

    次のパラメーターでは、各変数の加重を設定します。 各要素がインデックスの一部となる中で、その相対的な重要度を表すために、変数が重み付けされることがあります。

  8. [変数のウェイト] セクションを展開します。

    デフォルトではすべての加重は 1 に設定され、各変数の加重は均等になります。 このインデックスでは、人々に直接の恩恵がある場所に植樹するという目的があるため、[PopDensity_BOX_COX] 変数に対して他の 2 つの変数よりも重み付けを大きくします。

    [出力設定] パラメーターでインデックス属性フィールドの名前を選択できます。 ツールが生成するシンボル表示されたレイヤーを追加で選択することもできます。

  9. [加重] で、[PopDensity_BOX_COX][加重] を「2」に設定します。

    次に、インデックス出力の設定を行います。 まず、1 から 10 までのスケールなど、インデックスの範囲に関する最小値と最大値を選択できます。 この範囲の設定は任意ですが、設定することで値を解釈しやすくなります。 次に、追加の出力レイヤーを選択して、結果を評価する方法を増やすことができます。

  10. [出力設定] を展開します。 [出力インデックス名] に「HRI」と入力します。

    複合インデックスの計算ツールのパラメーター

  11. [出力インデックスの最小値と最大値] で、[最小] に「1」、[最大] に「10」と入力します。
  12. [出力設定][追加分類出力][標準偏差] の横にあるチェックボックスをオンにします。

    カスタム インデックス パラメーター

  13. [実行] をクリックします。

    ツールの実行が終了すると、[Sevilla_HRI_MeanofScaled] グループ レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 このグループ レイヤーには 3 つのレイヤーがあります。未分類のカラー ランプを使用するインデックス値を示すレイヤー、パーセンタイルとしてインデックス値を示すレイヤー、そして標準偏差クラスとしてインデックス値を示すレイヤーです。 [HRI] レイヤーには、複数のチャートも含まれています。

インデックスのマッピングと解釈

インデックスを作成したので、次に結果を調査して解釈します。 コンポジット インデックス ツールにより作成されたチャートと出力を使用して、インデックスが目的に合った働きをしているか、または追加の前処理のステップとインデックス方法をテストする必要があるかを判断できます。 インデックスの結果に問題がなければ、他の人が見てもわかりやすいようにスタイルを設定します。 これまで見てきたインデックス値は自分にとっては意味があっても、他の人が見る場合は追加の情報が必要になります。

さらに、このインデックスに基づいて行動するには、その地域に関する情報と知識が必要になります。 たとえば、植樹を行う予算はいくらか? どのような許認可が必要になるか?コミュニティの近隣地域は植樹を求めているか?などです。 このようなことを直接的に理解していなければ、インデックスの解釈を示すマップを生成すると、誤解を招きかねません。 代わりに、生成した標準偏差の出力を使用して、国勢調査地域を「最大の恩恵を受ける」、「中程度の恩恵を受ける」、「あまり恩恵を受けない」に分類します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウの [HRI] の下で [インデックスの分布] を右クリックし、[開く] を選択します。

    インデックスの分布チャートのオプションを開きます。

    インデックス値が高い場合は、熱レジリエンス対策として植樹の恩恵を最も大きく受けられる地域であると解釈できます。 同様に、インデックス値が低い場合は、対策として植樹を行っても、受ける恩恵が非常に少ないと解釈できます。 これは、これらの地域では夏季の温度が高くない、あるいはレジリエンス対策を取り入れる必要がないという意味ではなく、植樹以外の対策を検討できるかもしれないということです。

  2. チャート ウィンドウで、最大のインデックス値を表すバーをクリックし、マップ上で選択します。

    チャートで最も高いインデックス値

  3. マップ上で選択された国勢調査区画のいずれかをクリックし、情報ポップアップを開きます。

    インデックス レイヤーのポップアップ

    ポップアップに、この国勢調査区画の総合インデックス スコアと、各変数のスケーリング後の値が表示されます。

  4. マップ上のさまざまな場所をクリックし、ヒストグラムを使用して、インデックス値が高い国勢調査区画と低い国勢調査区画を調査し、そのようなランクになっている原因を把握します。

    このインデックス出力レイヤーと付属のチャートは、インデックス値自体が自分にとって意味のある場合に役立ちます。 たとえば、インデックス値が 8 以上の国勢調査区画での植樹運動の実施を目指している場合は、このヒストグラムは有効な出発点となります。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[HRI] レイヤーをオフにして、[HRI - Percentile] レイヤーをオンにします。 ポップアップと [Distribution of HRI - Mean (Percentile)] チャートを使用して、パーセンタイル出力を調査します。

    この出力は、インデックス スコアよりも区画のランクを重要視している場合に有効です。 たとえば、95 パーセンタイルに位置する国勢調査区画での植樹運動の実施を目指している場合は、この出力を使用できるでしょう。

    今回のケースでは、地元の情報提供や関係者のフィードバックを得ずに、汎用的なインデックスを作成しています。そのため、最終的な出力である標準偏差の出力を使用して、国勢調査地域を「最大の恩恵を受ける」、「中程度の恩恵を受ける」、「あまり恩恵を受けない」に分類します。 このマップは解析の通過点として見るべきです。 議論のきっかけとして、関係者の考え方を収集して、使用する変数、重み付け、方法を洗練するためにこのマップを使用できます。

  6. [コンテンツ] ウィンドウの [Sevilla_HRI_Percentiles_GeomMean Layers] で、[HRI - Percentile] レイヤーをオフにし、[HRI - Standard Deviation Classes] レイヤーをオンにします。 [Counts by HRI – Mean (Standard deviation classes)] チャートを開きます。

    標準偏差のマップとテーブル

    このレイヤーは、標準偏差によってシンボル表示されたインデックス データを示しています。最大のインデックス値と平均には 3 標準偏差の差があります。

  7. チャートを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで [HRI- Standard Deviation Classes] を右クリックし、[シンボル] を選択します。

    レイヤーは現在、6 つのクラスでシンボル表示されています。

  8. [プライマリ シンボル][個別値] をクリックし、[等級色] を選択します。

    等級色オプション

  9. [フィールド][HRI – Mean (Standard Deviation Classes)] を選択します。
  10. [クラス] で、[3] を選択します。

    これら 3 つのクラスは、最も大きな恩恵を受ける、中程度の恩恵を受ける、あまり恩恵を受けない国勢調査地域を表します。

  11. [配色] をクリックして [すべて表示] をオンにします。 [茶-緑 (3 クラス)] カラー ランプを選択します。

    茶-緑 (3 クラス) カラー ランプ

    ヒント:

    [名前の表示] ボックスをオンにし、各カラー ランプの名前を表示します。

    次に、どの国勢調査地域が 3 つのカテゴリに属するかを決定します。 この決定はインデックス作成プロセスと同様に主観的なので、地域のニーズやガイドラインに応じて調整することができます。

  12. [クラス] タブの 1 つ目のクラスで [上限値][≤ –1] に設定されていることを確認します。 [ラベル] に「Least Benefit」と入力します。
  13. 2 つ目のクラスで [上限値][≤ 1] に設定されていることを確認します。 [ラベル] に「Moderate Benefit」と入力します。
  14. 3 つ目のクラスで [上限値][≤ 3] に設定されていることを確認します。 [ラベル] に「Greatest Benefit」と入力します。

    更新されたラベルのクラス

    このインデックスの結果の共有と周知で使用する方法に応じて、Web マップとして公開したり、マップ レイアウトを作成して印刷バージョンを共有したりできます。 いずれにせよ、このマップは植樹を実施する前にコミュニティから情報や意見を収集するための通過点として見るべきです。

  15. プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、人口密度、既存の樹冠不足、夏季の平均地表温度に基づき、植樹によって猛暑の軽減への恩恵が大きい場所を示す熱リスク インデックスを作成しました。

レジリエンス インデックスの方法は、世界中の他の対象地域や別の気候災害でも応用でき、コミュニティ固有の指標の情報 (リスク人口など) を含めることができます。 独自のインデックスを作成する場合は、データに特化した方法でデータ前処理とインデックス作成を行うようにしてください。 コンポジット インデックスの計算ツールに関する詳しいガイダンスについては、ツールのドキュメント ページと「ArcGIS を使用したコンポジット インデックスの作成: ベスト プラクティス」テクニカル ペーパーをご参照ください。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。