診療圏域の作成

NCI 指定がんセンターの診療圏域に対する要件は、隣接していることと、がんセンターの患者が多くいる (50 パーセント超) エリアであることのみです。 それ以外は、いくつかの方法で定義できます。ここでは、架空のがんセンターの潜在的診療圏域を 4 つ作成することで、それらの定義方法を詳しく調べます。

プロジェクトを開く

まず、がんセンターの位置と架空の患者情報を含む ArcGIS Pro プロジェクトをダウンロードします。

  1. Cancer_Center_Catchment_Areas プロジェクト パッケージをダウンロードします。
  2. コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。
    注意:

    お使いの Web ブラウザーによっては、ダウンロードを開始する前に、ファイルの場所を選択するよう求めるメッセージが表示される場合があります。 ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでコンピューターのダウンロード フォルダーがダウンロード先の場所になります。

  3. ArcGIS Pro がコンピューターにインストールされている場合は、[Cancer_Center_Catchment_Areas.ppkx] をダブルクリックし、プロジェクトを開きます。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

    プロジェクトにはルイジアナ州の架空のがんセンターの位置を示すマップが含まれています。 このマップには、米国の郡境も含まれています。

    デフォルト マップ

    [コンテンツ] ウィンドウには 3 つ目のレイヤーである [Current Patients] が表示されていますが、このレイヤーはオフになっています。 このレイヤーにはがんセンターの架空の患者に関する情報が含まれています。 このチュートリアルの後半で、このレイヤーを使用して、4 つの潜在的診療圏域のうち 1 つを作成します。

    デフォルトのコンテンツ ウィンドウ

    プロジェクトをダウンロードし、開きました。 これで、1 つ目の診療圏域を作成する準備が整いました。

郡ベースの診療圏域の作成

がんセンターの潜在的診療圏域を作成するために使用する最初の方法は、郡境をベースにするものです。 具体的には、がんセンターがある郡と、その郡と境界が接しているすべての郡とを含むエリアを作成します。

注意:

ルイジアナ州が分割される郡は「カウンティ」ではなく「パリッシュ」と呼ばれています。 米国では、一般的に「パリッシュ」も「カウンティ」と同等のものと見なされています。

がんセンターの診療圏域の最も単純な作図法として、この隣接した郡をベースとする方法は、地元から大半の患者を集めるがんセンターに適した選択肢です。 ただし、米国の郡は規模がそれぞれ大きく異なるため、この方法が適していないエリアもあります。

まず、がんセンターがある郡を選択します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [選択] グループで、[空間条件で選択] をクリックします。

    マップ タブの空間条件で選択ボタン

    このツールは、あるレイヤー内のフィーチャを、別のレイヤーとの空間リレーションシップをベースに選択します。

  2. [空間条件で選択] ウィンドウの [入力フィーチャ] で、[USA Counties Generalized] を選択します。 [リレーションシップ][インターセクト] に設定されていることを確認します。
  3. [選択フィーチャ][Louisiana Cancer Center] を選択します。 その他のパラメーターはそのままにしておきます。

    空間条件で選択ツールのパラメーター

  4. [適用] をクリックします。
    注意:

    [OK] をクリックすると [空間条件で選択] ウィンドウが閉じるので、クリックしないでください。このウィンドウは引き続き使用します。

    がんセンターがある郡が選択されます。

    選択した郡を示すマップ

    ヒント:

    選択内容をマップ上に表示するには、[空間条件で選択] ウィンドウを邪魔にならないところにドラッグする必要があるかもしれません。

    今回の診療圏域には、がんセンターがある郡だけでなく、隣接する郡もすべて含まれます。 ツールのパラメーターを変更して、実行し直すことで、隣接する他の郡を選択できます。

  5. [空間条件で選択] ウィンドウで、[リレーションシップ][境界に接する] に変更します。
  6. [選択フィーチャ][USA Counties Generalized] に変更します。

    選択されているフィーチャ レイヤーを選択フィーチャとして選ぶ場合は、選択されているレコードのみを使用するオプションがあります。

  7. [選択されているレコードを使用] がオンになっていることを確認します。 [選択タイプ][現在の選択に追加] を選択します。

    空間条件で選択ツールを使用して、隣接する郡を選択するためのパラメーター

    これらのパラメーターによって、選択した郡と境界が接しているすべての郡が選択されます。 選択タイプを変更したので、選択内容には選択した郡が含まれたままになります。

  8. [OK] をクリックします。

    マップ上の選択内容が変わります。 現在は、がんセンターがある郡と、隣接する 6 郡すべてが選択されています。

    選択された計 7 郡を示すマップ

    これらの 7 郡は、郡ベースで隣接する、がんセンターの診療圏域を構成します。 選択したフィーチャを新規レイヤーにエクスポートし、後で比較するために診療圏域を保存します。

  9. [コンテンツ] ウィンドウの [USA Counties Generalized] を右クリックし、[データ] にポインターを合わせて [フィーチャのエクスポート] を選択します。

    データ メニューのフィーチャのエクスポート オプション

  10. [フィーチャのエクスポート] ウィンドウで、[入力フィーチャ][USA Counties Generalized] に設定されていることと、[選択されているレコードを使用] がオンになっていることを確認します。

    以前と同様に、選択されているレコードのみでツールを実行することを選択できます。

  11. [出力フィーチャクラス] に「Contiguous_County_Catchment」と入力します。

    フィーチャのエクスポート ツールのパラメーター

  12. [OK] をクリックします。

    新しいレイヤーがマップに追加されます。 このレイヤーは郡のレイヤーにオーバーラップしています。 郡のレイヤーは不要になったため、選択を解除して、オフにします。

  13. リボンの [選択] グループで、[選択解除] をクリックします。 [コンテンツ] ウィンドウで、[USA Counties Generalized] をオフにします。

    これで、診療圏域が見えるようになりました。

    エクスポートしたフィーチャクラスのレイヤーを示すマップ

郡のフィーチャのマージ

診療圏域は 7 つの郡のポリゴンで構成されています。 各郡の境界はまだ表示されています。 診療圏域を、圏域全体の境界のみを表示する 1 つのポリゴンにしたいので、 フィーチャを編集して、7 つの郡を 1 つにマージします。

  1. リボンの [編集] タブをクリックします。 [ツール] セクションで、[マージ] ツールをクリックします。

    マージ ツール

    注意:

    [ツール] ギャラリーには、最もよく使用されるツールから先に一覧表示されます。 [マージ] ツールが見当たらない場合は、ギャラリーを展開してください。 [マージ] ツールは [構築] セクションにあります。

    [フィーチャの修正] ウィンドウが表示されます。 マージするフィーチャを 2 つ以上選択するよう求められます。 郡をすべてクリックして選択することもできますが、すべてのフィーチャを一度に選択する方が素早くできます。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで [Contiguous_County_Catchment] を右クリックします。 [選択] にポインターを合わせ、[すべて選択] を選択します。

    選択ウィンドウのすべて選択オプション

    7 つのフィーチャすべてが選択されます。 これらをマージする前に、マージ後のフィーチャの属性を調整します。

  3. [フィーチャの修正] ウィンドウの [マージ後のフィーチャ属性] にある [Name] で、その名前をクリックして「County-Based Catchment」に置き換えます。

    マージ後のフィーチャの Name 属性

  4. [FIPS] を右クリックして、['<NULL>' に設定] を選択します。

    '<NULL>' に設定オプション

  5. 次の属性を null に設定します。
    • Area in square miles
    • 2020 Total Population
    • People per square mile
    • County FIPS

    マージ後のフィーチャの属性

  6. [フィーチャの修正] ウィンドウの下部で、[マージ] をクリックします。

    複数の郡が 1 つのフィーチャにマージされます。

    最終的な郡ベースの診療圏域

  7. [フィーチャの修正] ウィンドウを閉じます。 選択を解除します。
  8. リボンの [編集の管理] セクションで [保存] をクリックします。

    編集タブの保存ボタン

  9. [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックして編集をすべて保存します。
  10. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] ボタンをクリックして、プロジェクトを保存します。

    プロジェクトの保存ボタン

バッファーを使用した診療圏域の作成

がんセンター周辺の郡をベースとした潜在的診療圏域を 1 つ作成しました。 しかしながら、郡の区画は不規則です。 たとえば、隣接する郡の形状が原因で、郡ベースの診療圏域は北東より北西の方がかなり広がっています。 この不規則な形状のために、一部の患者が診療圏域から除外される可能性があります。

診療圏域の作成に使用する 2 つ目の方法は、バッファーです。 バッファーは、あるポイントまたはポリゴン周辺に、指定された距離で規則的なエリアを作成します。 がんセンターから半径 60 マイルの円形エリアを作成して、潜在的診療圏域として表示します。

  1. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ツール] グループで [ペアワイズ バッファー] をクリックします。

    解析タブのペアワイズ バッファー ボタン

    [ジオプロセシング] ウィンドウが開き、[ペアワイズ バッファー] ツールが表示されます。

  2. [入力フィーチャ][Louisiana Cancer Center] を選択します。
  3. [出力フィーチャクラス] に「Buffer_Catchment」と入力します。

    ペアワイズ バッファー ツールの入力パラメーターと出力パラメーター

    次に、バッファーの距離を設定します。 バッファーによる診療圏域の適切な距離は、その地域のジオグラフィーとがんセンターの収容可能人数によって異なります。 ここでは距離 60 マイルとしますが、他のがんセンターでは、距離を伸ばしたり縮めたりする方がより適切な場合があります。

  4. [距離] に、「60」と入力します。 計測単位を [法定マイル] に設定します。

    ペアワイズ バッファー ツールの距離パラメーター

    また、バッファーの方法を平面から測地線に変更します。 平面距離は 2D 座標系に基づいて算出されますが、測地線距離は 3D 球面空間に基づいて算出されます。 実世界は球面なので、測地線距離の方がより正確な結果が常に得られますが、ツールの実行時間が長くなる場合があります。

    注意:

    平面距離と測地線距離の違いについての詳細は、ドキュメントをご参照ください。

  5. [方法][測地線 (形状維持)] を選択します。

    ペアワイズ バッファー ツールの方法パラメーター

    複数のポイントの周囲にバッファーを作成しているなら、ディゾルブ タイプも設定して、複数のバッファーを 1 つのフィーチャにまとめた方がよいでしょう。 ここでのバッファーは単一のポイント (がんセンター) の周囲に作成されているため、ディゾルブ タイプを気にする必要はありません。 残りのパラメーターはそのままにしておきます。

  6. [ジオプロセシング] ウィンドウの下部で、[実行] をクリックします。

    しばらくすると、バッファーが作成され、マップに追加されます。

    バッファーによる診療圏域を示すマップ

    作成したバッファーは郡ベースの診療圏域を完全に包含していて、エリアが広くなっています。つまり、潜在的な患者がより多く含まれていると考えられます。 バッファーがカバーしているエリアはまた、がんセンターから一定の範囲内にあたります。 (バッファーがマップ上でややゆがんで表示される理由は、3D 球面上と 2D 平面上の距離に違いがあるためです。)

  7. プロジェクトを保存します。

ネットワーク解析による診療圏域の作成

バッファーによる診療圏域は、患者の移動を制限する可能性のある地理的障壁やアクセシビリティの障壁を考慮せずに、直線距離をキャプチャします。 たとえば、診療圏域の一部は、患者が住んでいない湖やその他の水域にまで広がっています。また、がんセンターに道路がつながっていないエリアも取り込んでいる可能性があります。

距離を基にしたアクセシビリティは、正確な道路ネットワークを使用した、より精度の高い測定が可能です。 3 つ目の潜在的診療圏域として、ネットワーク解析を実行し、がんセンターまでの運転距離に基づいてエリアを算出します。 60 マイルのバッファー エリアの結果と比較するために、運転距離に 60 マイルを使用します。

注意:

ネットワーク解析を実行するには、ArcGIS Network Analyst エクステンション を有効にする必要があります。 エクステンションを確認するには、リボンの [プロジェクト] タブをクリックし、[ライセンス] を選択します。 Network Analyst が有効になっていない場合は、組織の管理者に有効にするように依頼してください。

  1. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ワークフロー] グループで、[ネットワーク解析] をクリックします。

    リボンのネットワーク解析ボタン

  2. [ネットワーク解析] メニューで [到達圏] を選択します。

    Service Area オプション

    新規のグループ レイヤーである [Service Area][コンテンツ] ウィンドウに追加されます。 このレイヤーには複数のサブレイヤーがありますが、マップ上に新たなフィーチャは現れません。 まず、レイヤーのパラメーターを設定する必要があります。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで [Service Area] が選択されていることを確認します。 リボンの [到達圏レイヤー] タブをクリックします。

    到達圏レイヤー タブ

    注意:

    [到達圏レイヤー] タブはコンテキスト タブです。 これは、[コンテンツ] ウィンドウで到達圏のレイヤーが選択されている場合にのみ表示されます。

    まず、周囲に到達圏を作成する、拠点となる施設として、がんセンターをインポートします。

  4. [入力データ] グループで、[施設のインポート] をクリックします。

    リボンにある施設のインポート ボタン

  5. [ロケーションの追加] ウィンドウの [入力位置] で、[Louisiana Cancer Center] を選択します。 [OK] をクリックします。

    入力位置に不明な Z 座標系があることを示す警告メッセージが表示されます。 このため、Z 座標は無視されます。 Z 座標は 3D 解析のためのものです。ネットワーク解析は 2D で行うため、問題ありません。 警告は無視してかまいません。

  6. 警告ウィンドウを閉じます。

    次に、移動設定を設定します。

  7. リボンの [移動設定] グループで、[モード][運転距離] に変更します。 [方向][施設へ] に、[カットオフ] を「60」に変更します。

    移動設定パラメーター

    デフォルトで使用される計測単位はキロメートルです。 これを、バッファーに使用した計測単位と揃えるためにマイルに変更します。

  8. [移動モード プロパティの起動] ボタンをクリックします。

    移動モード プロパティの起動ボタン

  9. [レイヤー プロパティ] ウィンドウの [移動モード] タブで、[コスト] を展開します。 [インピーダンス][マイル] に設定します。

    レイヤー プロパティ ウィンドウのインピーダンス パラメーター

  10. [OK] をクリックします。

    [移動設定] グループで、計測単位がマイルに設定されました。

    マイルの計測単位

  11. [出力ジオメトリ] グループで、[標準精度][オーバーラップ][リング] が選択されていることを確認します。

    リボンの出力ジオメトリ グループ

    標準精度では、到達圏のポリゴンが素早く、かなり正確に生成されますが、ポリゴンの境界に近づくと品質が多少低下します。 解析の目的はがんセンターまでの運転距離の感覚を大まかに捉えることなので、標準精度は目的に十分見合っています。

    他の 2 つのパラメーターは、到達圏のポリゴンが互いにオーバーラップするのかマージされるのかということと、どのような形状になるかを示します。 これらのパラメーターは、カットオフが 2 つ以上のネットワーク解析にのみ関係します。 今回のカットオフは 60 マイルのみのため、これらのパラメーターを変更する必要はありません。

  12. [解析] グループで [実行] をクリックします。

    実行ボタン

    しばらくすると、運転距離のポリゴンが作成され、マップに追加されます。

    ネットワーク解析による診療圏域を示すマップ

    この診療圏域により、がんセンターのアクセシビリティに影響する一部の地理的要因が説明されます。 60 マイルのバッファーに近い到達圏もあれば、遠く離れているエリアもあります。

    注意:

    同じ方法を使用して、運転距離のポリゴンではなく運転時間のポリゴンを作成できます。 運転時間のポリゴンは、施設までや施設からの運転距離ではなく運転時間を測定します。 医療専門家の中には、運転距離よりも運転時間の方が医療へのアクセスの指標としてずっと重要であると考えている人もいます。

    到達圏のポリゴンは新しいレイヤーとしては作成されず、[Service Area] グループ レイヤーのサブレイヤーの 1 つに追加されました。 それを独自のレイヤーにエクスポートします。

  13. [コンテンツ] ウィンドウの [Service Area][Polygons] サブレイヤーを右クリックし、[データ] にポインターを合わせて、[フィーチャのエクスポート] を選択します。
  14. [フィーチャのエクスポート] ウィンドウの [出力フィーチャクラス] に「Driving_Distance_Catchment」と入力します。 [OK] をクリックします。

    到達圏のポリゴンが新しいレイヤーとしてエクスポートされます。 これで、[Service Area] グループ レイヤーは不要になりました。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[到達圏] を右クリックし、[削除] を選択します。
  16. プロジェクトを保存します。

患者データを使用した診療圏域の作成

最後の潜在的診療圏域を定義するために、がんセンターの患者データを使用して、中核的ながん患者の大多数がいるエリアを作成します。

まず、患者データの空間的外れ値を特定し、データセットからフィルターします。 次に、残った患者のポイント データを診療圏域の基礎となるポリゴンに集約します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Current Patients] レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにして、このレイヤーを有効にします。

    患者がポイントとしてマップに表示されます。

    患者データを表示しているマップ

    ほとんどの患者ががんセンターの近くにいますが、一部の患者はアーカンソー州やテキサス州といった遠方にいます。 これらの外れ値により、診療圏域ががんセンターの対応能力をはるかに超える範囲となってゆがむ可能性があるため、これらの外れ値を特定して排除します。

  2. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。

    ツール ボタン

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウの検索ボックスに「空間的な外れ値の検出」と入力します。 結果リストの [空間的な外れ値の検出] ツールをクリックします。

    空間的な外れ値の検出の検索結果

    このツールは統計を使用して、データセットの外れ値を検出し、 他のフィーチャとの距離に基づいて外れ値を確定します。

  4. [入力フィーチャ][Current Patients] を選択します。 [出力フィーチャ] に「Patient_Outlier_Detection」と入力します。

    次に、外れ値の検出に使用する統計手法のパラメーターを設定します。 グローバルの外れ値ではなく、ローカルの外れ値を検索します。 グローバルの外れ値はフィーチャクラス内の他のすべてのポイントから遠く離れている値で、ローカルの外れ値は最近傍から遠く離れている値です。

    ローカルの外れ値を検索することで、病院から比較的近い一部の外れ値が除外される可能性があります。 今回の診療圏域に関しては、これは許容範囲です。 目標は患者クラスターの大多数を囲む診療圏域を作成することです。 外れ値は、たとえ病院に比較的近い値であっても、診療圏域の人口統計と人口に影響を与える可能性があります。

  5. [外れ値タイプ] で、[ローカル] を選択します。

    ローカルの外れ値の検出では、解析に使用する近傍数を 2 以上にする必要があります。

  6. [近傍数] に「2」と入力します。

    また、すべての場所のうちの 10 パーセントを外れ値と見なすようにツールを設定します。 この値は推定値ですが、近傍から離れたすべての患者を考慮する必要があります。

  7. [外れ値と見なされる場所の割合] に、「10」と入力します。

    空間的な外れ値の検出ツールのパラメーター

  8. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、警告ありで完了します。 警告は、一致するフィーチャがある場所が 3 か所あり、ツールの結果を解釈するときに注意深く検討する必要があることを示しています。 検討すべき場所は少なく、結果を大きくゆがめる可能性が低いため、この警告を無視します。

    マップでは、通常値はグレーのポイントで表示され、外れ値は大きめのオレンジのポイントで表示されます。

    通常値と外れ値を示すマップ

    通常値のみを表示するようにデータセットをフィルターします。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで、[Patient_Outlier_Detection] をダブルクリックします。

    [レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  10. [定義クエリ] タブをクリックします。 [新しい定義クエリ] をクリックします。

    定義クエリ タブの新しい定義クエリ ボタン

  11. [Where 句 外れ値 ID が 0 と等しい] というクエリを作成します。

    Where 句 外れ値 ID が 0 と等しいというクエリ

  12. [レイヤー プロパティ] ウィンドウの下部で、[OK] をクリックします。

    外れ値がデータセットからフィルターされます。

    通常値のみを示すマップ

    次に、通常値のポイントを集約します。 ポイントを集約すると、ポイント クラスターの周囲にポリゴン フィーチャが作成され、患者ベースの診療圏域の基礎として使用できます。

  13. [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。

    ジオプロセシング ウィンドウの戻るボタン

  14. ポイントの集約 (カートグラフィ ツール) ツールを検索し、開きます。
  15. [入力フィーチャ] に「Patient_Outlier_Detection」と入力します。 [フィルターされたレコードを使用] がオンになっていることを確認します。
  16. [出力フィーチャクラス] に、「Aggregate_Patients_Catchment」と入力します。

    集約距離を 60 マイルに設定します。 この距離にすることで、ある患者から 60 マイル以内の患者周りにのみ集約ポリゴンが作成されます。 ほとんどの外れ値はすでに除外されていますが、この距離によって、残っている外れ値が最終結果に含まれなくなります。

  17. [集約距離] に「60」と入力し、[法定マイル] を選択します。

    ポイントの集約ツールのパラメーター

  18. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、集約されたポリゴンが作成されます。

    集約された患者データのポリゴンを示すマップ

患者データの保護

集約された患者データのポリゴンの頂点は、患者の自宅住所上に直接配置されています。 患者情報を非公開のままにするために、中核的な患者の自宅住所周囲に 5 マイルの小さなバッファーを作成します。 このバッファーにより、患者の自宅住所が、作成する診療圏域のポリゴンの頂点にならなくなります。

  1. リボンの [解析] タブをクリックします。 [ツール] グループで [ペアワイズ バッファー] をクリックします。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウの [入力フィーチャ][Aggregate_Patients_Catchment] を選択します。 [出力フィーチャ] に「Aggregate_Patients_Catchment_Buffer」と入力します。
  3. [距離] に「5」と入力し、[法定マイル] を選択します。 [方法][測地線 (形状維持)] を選択します。

    ペアワイズ バッファー ツールのパラメーター

  4. [実行] をクリックします。

    ツールが実行され、バッファーのフィーチャがマップに追加されます。

    バッファーされた集約診療圏域を示すマップ

    これで、診療圏域が患者の住所を頂点として使用しなくなり、患者のプライバシーが保護されます。 バッファーされていない集約診療圏域をマップから削除できます。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Aggregate_Patients_Catchment] を右クリックして [削除] を選択します。
  6. プロジェクトを保存します。

ここでは、がんセンターの 4 つの潜在的診療圏域を、各々異なる方法を使用して作成しました。 それぞれ、郡境をベースとしたもの、バッファーをベースとしたもの、運転距離到達圏をベースとしたもの、集約した患者データをベースとしたものです。

これらの方法は、複雑さ、正確度、包括性のレベルが異なりました。 がんセンターに最適な方法の選択は、組織の目標と地域のジオグラフィーによって変わります。


診療圏域の比較

4 つの潜在的診療圏域を作成したので、次はこれらを比較します。 まず、各診療圏域の住民の人口統計および健康データを示すインフォグラフィックスを作成します。 続いて、4 つの圏域を視覚的に比較するマップ シリーズを作成します。

データの整理

診療圏域を比較する前に、作成したレイヤーを整理します。 必要なくなったレイヤーを削除し、レイヤー名とシンボルを変更し、透過表示をなくします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Patient_Outlier_Detection] を右クリックし、[削除] を選択します。
  2. [USA Counties Generalized] を右クリックして [削除] を選択します。 [スタンドアロン テーブル] で、[Aggregate_Patients_Catchment_Tbl] を右クリックして [削除] をクリックします。

    これで、マップにがんセンター、患者、4 つの診療圏域のポリゴンのみが含まれている状態になります。

    ヒント:

    誤ってマップからレイヤーを削除してしまった場合、プロジェクト ジオデータベースからマップに戻すことができます。 [カタログ] ウィンドウで、[データベース] を展開し、[cancer_center_catchment_areas.gdb] を展開します。 レイヤーを追加するには、該当するレイヤーを右クリックして、[現在のマップに追加] を選択します。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで [Aggregate_Patients_Catchment_Buffer] をクリックして選択し、もう一度クリックして、名前を変更できるようにします。 名前を「Aggregate Patients Catchment」に変更します。
  4. 次のレイヤーの名前を変更します。
    • [Driving_Distance_Catchment] を「60-Mile Driving Distance Catchment」に変更します。
    • [Buffer_Catchment]を「60-Mile Buffer Catchment」に変更します。
    • [Contiguous_County_Catchment] を「Contiguous County Catchment」に変更します。

    これで、マップのレイヤーの名前がすっきりとしてわかりやすくなりました。

    名前が変更されたレイヤーを表示するコンテンツ ウィンドウ

    次に、デフォルトのシンボルを使用して、各診療圏域をシンボル表示します。 簡単にするために、ダウンロードしたプロジェクト パッケージにはスタイルとして使用する特定のシンボルが含まれているため、シンボル ギャラリーからシンボルを選択するだけで済みます。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Aggregate Patients Catchment] のシンボルをクリックします。

    Aggregate Patients Catchment レイヤーのシンボル

    [シンボル] ウィンドウが開き、シンボルのギャラリーが表示されます。 カスタム スタイルとしてプロジェクトに追加された [Catchment Area] シンボルが、ギャラリーの上部に表示されます。

  6. ギャラリーの [Catchment Area] をクリックします。

    ギャラリーの Catchment Area シンボル

    シンボルが自動的に変更されます。

  7. [60-Mile Driving Distance Catchment][60-Mile Buffer Catchment][Contiguous County Catchment] の各レイヤーで、シンボルを [Catchment Area] シンボルに変更します。

    すべてのレイヤーに同一のシンボルが使用されます。

    同じシンボルを使用する 4 つの診療圏域

    [60-Mile Driving Distance Catchment] レイヤーおよび [Contiguous County Catchment] レイヤーにはデフォルトでレイヤーの透過表示が設定されているため、シンボルが多少異なって表示されます。 透過表示をなくします。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで、[60-Mile Driving Distance Catchment] をクリックして選択します。
  9. リボンの [フィーチャ レイヤー] タブをクリックします。 [効果] グループで、[透過表示] を「0.0%」に変更します。

    フィーチャ レイヤー タブの透過表示オプション

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、[Contiguous County Catchment] をクリックして選択します。 [透過表示] を「0.0%」に変更します。

    これで、マップ上ですべての診療圏域が同じように表示されます。

名前フィールドの追加

これから作成するインフォグラフィックスでは、診療圏域の属性テーブルの名前フィールドを使用して、インフォグラフィックスの上部で診療圏域を識別します。 すべての診療圏域レイヤーに適切に書式設定された名前フィールドがあるわけではないため、これから追加します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Aggregate Patients Catchment] を右クリックして、[属性テーブル] を選択します。

    レイヤーのテーブルが表示されます。 レイヤーに名前フィールドがありません。

  2. テーブルで、[フィールドの追加] ボタンをクリックします。

    属性テーブルのフィールドの追加ボタン

    [フィールド] ビューが開き、テーブルのフィールドが表示されます。 リストの下部に新しいフィールドが追加されます。

  3. 新しいフィールドの [フィールド名] に「Name」と入力します。 [データ タイプ][Long] をダブルクリックして、[テキスト] を選択します。

    新しいフィールドのフィールド名およびデータ タイプ パラメーター

  4. [フィールド] ビューを閉じます。 変更を保存するよう求められた場合は、[保存] をクリックします。

    属性テーブルに戻ると、[Name] フィールドに [<Null>] と表示されたセルがあります。

  5. [<Null>] をダブルクリックして「Aggregate Patients Catchment」と入力し、Enter キーを押します。

    Aggregate Patients Catchment レイヤーの Name フィールド

    ヒント:

    フィールドが小さすぎてテキスト全体が表示されない場合は、右側のエッジをドラッグして広げることができます。

    レイヤーに適切な名前フィールドが設定されます。 他の診療圏域レイヤーに対しても同じプロセスを繰り返します。

  6. 属性テーブルを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、[60-Mile Driving Distance Catchment] レイヤーを右クリックして、[属性テーブル] を選択します。

    このレイヤーには [Name] フィールドがすでにありますが、わかりやすい名前にはなっていません。

  7. [Name] で、[Louisiana Hospital : 0 - 60] をダブルクリックします。 「60-Mile Driving Distance Catchment」と入力して Enter キーを押します。

    Driving Distance Catchment の Name フィールド

  8. 属性テーブルを閉じ、[60-Mile Buffer Catchment] レイヤーの属性テーブルを開きます。 [Name] フィールドの名前を「60-Mile Buffer Catchment」に変更します。

    Buffer Catchment の Name フィールド

  9. 属性テーブルを閉じ、[Contiguous County Catchment] レイヤーの属性テーブルを開きます。 [Name] フィールドの名前を「Contiguous County Catchment」に変更します。

    Contiguous County Catchment の Name フィールド

  10. 属性テーブルを閉じます。

    レイヤー データを編集したため、続行する前に編集内容を保存する必要があります。

  11. リボンの [編集] タブをクリックします。 [編集の管理] グループにある [保存] をクリックします。

    編集タブの保存ボタン

  12. [編集の保存] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

    編集内容が保存されます。

  13. プロジェクトを保存します。

インフォグラフィックスの作成

作成した 4 つの診療圏域のポリゴンはそれぞれ、異なる圏域に対応するものであり、異なる人口特性を表しています。 がんセンターには、診療圏域を選択する際の目標がいくつかあります。 診療圏域は、すでにサービスを提供している患者の大多数を代表し、長すぎる移動距離を含まず、他からのサービス提供がまったくないか不十分な住民を含むべきです。

医療システムの目標に対処するためには、最終的ながんセンターの診療圏域境界を選択する前に、各診療圏域の人口統計および健康情報を考慮することが重要です。 そのために、この情報を示すインフォグラフィックスを作成します。

  1. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [照会] グループで、[インフォグラフィックス] ボタンをクリックします。

    リボンのインフォグラフィックス ボタン

    マップをポイントすると、ポインターがインフォグラフィックス アイコンに変わります。 選択した任意のポリゴンのインフォグラフィックスを表示できます。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Current Patients] レイヤーをオフにします。 マップ上で、最も大きい診療圏域ポリゴンである [Aggregate Patients Catchment] をクリックします。

    [インフォグラフィックス] ウィンドウが表示されます。 しばらくすると、選択した診療圏域についての重要データを示すインフォグラフィックスが作成されます。

    重要データ インフォグラフィックスを含むインフォグラフィックス ウィンドウ

    ヒント:

    ウィンドウのサイズを変更して、インフォグラフィックスをより詳細に表示できます。 また、[ズーム] オプションを変更し、インフォグラフィックスを拡大または縮小して表示することもできます。

    インフォグラフィックス用に選択可能な複数のテンプレートの中に、医療の統計情報に合わせたテンプレートが 1 つあります。 そのテンプレートを使用します。

  3. [テンプレート] で、[医療と保険の統計情報] を選択します。

    医療と保険の統計情報テンプレート

    このインフォグラフィックスには、健康保険の対象と種類、医療支出、一般的な人口データについての情報が含まれています。

    医療と保険のインフォグラフィックス

    この情報はがんセンターの意思決定者にとって有用ですが、他の潜在的診療圏域の同じ情報と比較する際により価値あるものとなります。

  4. [比較] スイッチをオンにします。

    比較スイッチ

  5. [マップからフィーチャを追加] ウィンドウで [OK] をクリックします。

    これで、マップ上の追加フィーチャを選択して比較できるようになりました。

  6. 必要であれば、マップ上に複数の診療圏域が表示されるよう、[インフォグラフィックス] ウィンドウをドラッグするか、そのサイズを変更します。
  7. [コンテンツ] ウィンドウで、[Aggregate Patients Catchment] をオフにします。 マップ上で、[60-Mile Driving Distance Catchment] ポリゴンをクリックして選択します。

    [インフォグラフィックス] ウィンドウが [比較] ウィンドウになり、両方のフィーチャのインフォグラフィックスが並べて表示されます。

    2 つのインフォグラフィックスを並べて表示する比較ウィンドウ

    4 つの圏域すべてのインフォグラフィックスを一度に比較することもできます。

  8. マップ上で、[60-Mile Buffer Catchment] ポリゴンを選択します。

    3 つ目のインフォグラフィックスが [比較] ウィンドウに追加されます。

  9. マップ上で、[Contiguous County Catchment] ポリゴンを選択します。 (これを選択するには、他の診療圏域をオフにする必要があることがあります。)

    これで、4 つの診療圏域すべてにインフォグラフィックスがある状態になりました。

    比較ウィンドウの 4 つのインフォグラフィックス

    並べて比較することで何がわかるでしょうか。 まず、診療圏域のうち 3 つでは健康保険の平均年間支出が同程度ですが、Contiguous County Catchment では平均支出が $200 ほど高くなっています。 この高めの平均支出は、面積が最も小さいために人口も最小である、この診療圏域に見合っています。

    最大の診療圏域の人口は約 300 万人ですが、最小の診療圏域の人口は約 80 万人です。 がんセンターの規模と収容人数によって、サービスを提供する診療圏域として最適な人口の値が決まると考えられます。

    インフォグラフィックスをエクスポートして、共有またはプレゼンテーションで使用できるようにします。

  10. [比較] ウィンドウで、[インフォグラフィックスのエクスポート] ボタンをクリックします。

    インフォグラフィックスのエクスポート ボタン

    注意:

    インフォグラフィックスをエクスポートするにはクレジットが必要です。 クレジットを消費したくない場合、インフォグラフィックスのエクスポートのステップをスキップできます。

    [インフォグラフィックスのエクスポート] ウィンドウが表示されます。 デフォルトでは、インフォグラフィックスが PDF ファイルとしてエクスポートされます。 ヘッダーまたはフッターを追加して、そこに詳細情報を入力することができます。

  11. [エクスポート] をクリックします。

    [Health Care and Insurance Statistics.pdf] というファイルがコンピューターにダウンロードされます。 このファイルには、[比較] ウィンドウに表示される 4 つのインフォグラフィックスが含まれています。

    ヒント:

    インフォグラフィックスを別の方法で表示するには、[比較] ウィンドウの [ズーム] および [表示] の設定を調整します。 また、[比較] スイッチをオフにして、1 つの診療圏域のみのインフォグラフィックスをエクスポートすることもできます。

  12. [比較] ウィンドウを閉じます。 [コンテンツ] ウィンドウで、オフにした診療圏域レイヤーをオンにします。
  13. プロジェクトを保存します。

マップ シリーズの作成

インフォグラフィックスで各診療圏域についての人口統計データを比較しましたが、プレゼンテーションやレポートで圏域そのものも比較できるようにしたいと思います。 4 つのポリゴンを一度に表示することが困難なのは、重なり合ってしまい、どの境界がどの診療圏域のものなのかが見分けにくいからです。

この問題を解決するために、マップ シリーズを作成します。 マップ シリーズを使用すると、同じ場所の複数のマップを 1 つのドキュメントとしてエクスポートできます。 それぞれの潜在的診療圏域に対応する 4 つのマップを含むマップ シリーズを作成します。

まず、4 つの診療圏域レイヤーをグループ化します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで Shift キーを押しながら、4 つの診療圏域レイヤーをすべて選択します。
  2. 選択したレイヤーのいずれかを右クリックして、[グループ] を選択します。

    4 つの診療圏域レイヤーのグループ オプション

    選択したレイヤーが新しいグループ レイヤーとしてグループ化されます。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで、[New Group Layer] をクリックして選択します。 これをもう一度クリックして、名前を編集可能にし、「Potential Catchment Areas」に変更します。

    新しい名前を設定したグループ レイヤー

    一度に表示できる診療圏域が 1 つのみになるようにグループ タイプを変更します。

  4. 必要な場合、[Potential Catchment Areas] をクリックして選択します。 リボンの [グループ レイヤー] タブをクリックします。
  5. [オプション] グループで、[グループ タイプ] をクリックして [ラジオ] を選択します。

    グループ タイプ メニューのラジオ オプション

    デフォルトでは、[Aggregate Patients Catchment] はオンになっていますが、他の 3 つの診療圏域はオフになっています。

    次に、新しいマップ レイアウトを挿入します。 レイアウトは、エクスポートまたは印刷するためにマップを表示する方法です。 マップ シリーズは、レイアウトを使用してマップを表示できる方法の 1 つです。

  6. リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[新しいレイアウト] をクリックして [レター 8.5x11] を選択します。

    新しいレイアウト メニューのレター オプション

    [レイアウト] ビューがプロジェクトに追加されます。 現時点では空白です。 マップを挿入する必要があります。

  7. リボンの [マップ フレーム] グループで、[マップ フレーム] をクリックして [マップ] を選択します。

    マップ フレーム メニューのマップ オプション

    レイアウトでマップ フレームの範囲を描画します。

  8. [レイアウト] ビューで、空白のレイアウトの 1 つのコーナーから反対側のコーナーにポインターをクリック アンド ドラッグします。

    マップ フレームでレイアウトを完全に覆います。

    マップ フレームを使用したレイアウト

    マップには診療圏域が表示されていない領域が多くあります。 作成するマップ シリーズでは、すべてのマップが同じ範囲を使用している必要があります。そのため、最大の診療圏域をマップ フレームの範囲として設定します。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで、[マップ フレーム] をダブルクリックします。

    マップ フレームの [エレメント] ウィンドウが表示されます。

  10. [エレメント] ウィンドウで、[表示オプション] タブをクリックします。

    表示オプション タブ

  11. [位置情報の設定] で、[範囲] ボタンをクリックします。

    範囲ボタン

  12. [マップ フレームの範囲] ウィンドウの [範囲を取得] で、[Aggregate Patients Catchment] をクリックします。 [OK] をクリックします。

    マップ フレームが、最大の診療圏域の範囲までズームされます。 次に、マップ シリーズを追加します。

  13. リボンの [マップ フレーム] グループで、[マップ シリーズ] をクリックして [主題] を選択します。

    マップ シリーズ メニューの主題オプション

    [レイアウト プロパティ] ウィンドウが開き、マップ シリーズのオプションが表示されます。 デフォルトでは、設定したマップ フレームがマップ フレームとして選択され、[Potential Catchment Areas] グループ レイヤーがラジオ グループ レイヤーとして選択されています。

    マップ シリーズのオプション

  14. [OK] をクリックします。

    [コンテンツ] ウィンドウに 4 ページのマップ シリーズが表示されるようになります。 各ページが 1 つの潜在的診療圏域に対応しています。

    コンテンツ ウィンドウのマップ シリーズ ページ

マップ シリーズの書式設定

4 ページのマップ シリーズを作成しました。 次に、表示しているページに合わせて変化するダイナミック タイトルを追加します。

  1. リボンの [挿入] タブにある [グラフィックスとテキスト] グループで、[ダイナミック テキスト] をクリックします。

    ダイナミック テキスト ボタン

  2. メニューで、[マップ シリーズ] セクションまで下にスクロールして [ページ名] をクリックします。

    ページ名オプション

  3. レイアウト上部のタイトルを表示する位置にボックスを描画します。

    レイアウト上のデフォルトのタイトル

    テキストは小さく中央に配置されていません。 また、描画したテキスト ボックスもおそらく完全に中央には配置されてはいません。 テキスト ボックスをページに合わせて配置し、その後、テキストのコンテンツと書式設定を変更します。

  4. レイアウト上でテキスト ボックスの枠線を右クリックし、[配置] をポイントして、[ページに合わせて配置] を選択します。

    ページに合わせて配置オプション

  5. もう一度テキスト ボックスの枠線を右クリックし、[配置] をポイントして、[中央揃え] を選択します。

    これで、テキスト ボックスがレイアウトの完全に中央に配置されます。

    テキスト ボックスを追加した時点で、[エレメント] ウィンドウが更新されてテキスト ボックスのオプションが表示されました。 これらのオプションを使用して、タイトルをよりわかりやすくします。

  6. [エレメント] ウィンドウの [テキスト] で、[ページ名] の前でクリックして Enter キーを押し、タイトルに行を追加します。 新しい行に「Potential NCI-Designated Cancer Center Catchment Areas」と入力します。

    テキスト ボックスに追加された新しい行

  7. [ページ名] というテキストを「Catchment Type」に置き換えます。

    Catchment Type テキスト

    レイアウト上でテキストが自動的に更新されます。 次に、テキストのサイズを変更し、水平方向に揃えます。

  8. [テキスト シンボル] をクリックします。

    テキスト シンボル タブ

  9. [サイズ][22 pt] を選択します。

    サイズ オプション

  10. [位置] セクションを展開します。 [横軸方向の配置][中央] を選択します。

    横軸方向の配置パラメーターの中央オプション

  11. このウィンドウの下部にある [適用] をクリックします。

    変更がレイアウトに適用されます。 これで、タイトルが適切に書式設定されます。

    最終的なタイトル

    さらに、縮尺記号、方位記号、凡例など、他の標準マップ エレメントをレイアウトに追加することもできます。 このチュートリアルでは、これらのエレメントは追加しません。

  12. プロジェクトを保存します。

マップ シリーズのエクスポート

次に、このレイアウトを、各ページがマップ シリーズの各マップに対応する、4 ページの PDF ファイルとしてエクスポートします。

  1. リボンの [共有] タブをクリックします。 [出力] グループで、[レイアウトのエクスポート] ボタンをクリックします。

    レイアウトのエクスポート ボタン

  2. [レイアウトのエクスポート] ウィンドウの [ファイル タイプ][PDF] を選択します。

    ファイル タイプ オプション

  3. 必要に応じて、[名前] で PDF ファイルの場所と名前を選択します。
    ヒント:

    コンピューター上の容易にアクセスできる場所を選択することをおすすめします。

    エクスポートする場所と名前

  4. [マップ シリーズ] タブをクリックします。

    マップ シリーズ タブ

  5. [ページ][すべて (4 ページ)] を選択します。

    すべて (4 ページ) オプション

  6. [ファイル][単一ファイル] を選択します。

    単一ファイル オプション

  7. ウィンドウの下部にある [エクスポート] をクリックします。

    しばらくすると、ファイルがエクスポートされます。

  8. [エクスポートが完了しました] の下の [エクスポートしたファイルの閲覧] をクリックします。

    エクスポートしたファイルの閲覧リンク

    PDF ファイルが表示されます。 4 ページあり、それぞれのページが異なる診療圏域を示しています。 各ページのタイトルが、表示されている診療圏域を反映して変化します。

このチュートリアルでは、隣接する郡、バッファー、運転距離、集約された患者データという異なる方法を使用して、4 つの潜在的診療圏域を作成しました。 インフォグラフィックスを使用して各診療圏域の人口統計および医療情報を比較し、マップ シリーズを作成してマップ上で各診療圏域の範囲を比較しました。

マップ シリーズとインフォグラフィックスを組み合わせることで、がんセンターの診療圏域の定義に関するオプションを効果的に示すことができます。 がんセンターの最終的な診療圏域によって、組織の説明責任の指標が定まります。 たとえば、がんセンターによって、選択した圏域の住民のがん罹患率が長期的に低下することが期待されるでしょう。 これらの説明責任の指標はがんセンターの資金調達に関連する可能性があります。つまり、最適な診療圏域を選択することが非常に重要です。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。