湖の表示
湖の面積の経時的な変化を算出するため、1984 年から 2014 年の間に Landsat 衛星によって撮影された湖の画像を比較します。 Landsat 衛星プログラムは 40 年以上にわたって稼働しており、その画像は、大きな惑星変化の監視において重要な役割を果たしています。 最初にプロジェクトを設定し、画像を視覚的に比較します。
プロジェクトを開く
プロジェクトをダウンロードし、ArcGIS Pro で開きます。
- Lake Poyang プロジェクト パッケージ ファイルをダウンロードします。
注意:
.ppkx ファイルは、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージです。これには、ArcGIS Pro で開くことができるマップ、データ、その他のファイルが含まれます。 .ppkx ファイルの管理の詳細については、このガイドをご参照ください。
- コンピューター上でダウンロードしたファイルを指定し、ドキュメント フォルダーなどの見つけやすい場所に移動します。
注意:
ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでコンピューターのダウンロード フォルダーがダウンロード先の場所になります。
- ArcGIS Pro がある場合は、[Lake_Poyang_Project.ppkx] プロジェクト パッケージをダブルクリックして開きます。 サイン インするように求められた場合は、ライセンスが割り当てられた ArcGIS アカウントまたは ArcGIS Enterprise アカウントを使用してサイン インします。
注意:
ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください。
プロジェクトで中国の中東部が開きます。 位置がわかるよう、三峡ダム、長江、およびハ陽湖の 3 つのレイヤー (とベースマップ) がオンになっています。 ハ陽湖は三峡ダムの数百マイル下流にあります。
ハ陽湖の経時的変化の視覚的な比較
プロジェクトには 3 つの画像レイヤーもあり、現在オンになっています。 これらのレイヤーは、1984 年、2001 年、2014 年の雨季のピーク時におけるハ陽湖の様子を示します。 湖の形状の経時的変化を把握するため、画像を見て比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Lake Poyang] (ハ陽湖) レイヤーを右クリックして、[レイヤーにズーム] を選択します。
ハ陽湖の大部分は細長く、長江から南方向に流れています。 形状が細長いため、湖の表面積がごくわずかに縮小するだけで、水生生息地が分断してしまいます。 さらに、湖周辺の複数の都市の経済は、湖での漁業や運送業で支えられています。 また、国家レベルで見るとハ陽湖は中国最大の淡水源です。 湖が縮小すると、生態学的にも経済的にも打撃を受けることになります。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Three Gorges Dam] (三峡ダム)、[Yangtze River] (長江)、[Lake Poyang] (ハ陽湖) レイヤーの横にあるボックスをオフにして、そのレイヤーを無効にします。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[June 1984.tif] レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにして、そのレイヤーを有効にします。
- 画像全体が表示されるよう、マップを画面移動してズームします。
この画像は、1984 年 6 月に Landsat 5 衛星が捉えた画像です。
注意:
Landsat 衛星プログラムは、USGS (アメリカ地質調査所) と NASA (アメリカ航空宇宙局) の 2 つの政府機関が共同で行っているイニシアチブです。 Landsat プログラムの詳細については、USGS Landsat Missions のページをご参照ください。
この画像では、青い湖と、その周辺の緑の植生がはっきりと分かれています。 自然の色のように見えますが、実際には、通常は人間の目には見えない電磁スペクトルの組み合わせによる色です。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[June 1984.tif] レイヤーの横にある矢印をクリックします。
Landsat 画像には、電磁スペクトル上のさまざまな色のバンドが表示されます。 次の表に示すように、Landsat の種類によって、画像には 7 ~ 11 個のバンドが含まれます。
バンド Landsat 5 Landsat 7 Landsat 8 1
青
青
コースタル エアロゾル
2
緑
緑
青
3
赤
赤
緑
4
近赤外 1
近赤外
赤
5
近赤外 2
短波赤外
近赤外
6
熱赤外
熱赤外
短波赤外 1 (SWIR 1)
7
中赤外
中赤外
短波赤外 2 (SWIR 2)
8
パンクロマティック
パンクロマティック
9
Cirrus
10
熱赤外 1
11
熱赤外 2
すべてのバンドを同時に表示することはできないため、通常は、人間の目で見えるカラー チャンネル (赤、緑、青) によって表現される 3 つのバンド割り当てを選びます。 凡例でもわかるように、1984 年の画像では近赤外 2 を赤色のチャンネル、近赤外 1 を緑色のチャンネル、赤を青色のチャンネルに使っています。
今回のプロジェクトの 3 つの画像では、どれも植生を強調するバンド割り当てを使用しているので、湖と周辺の地勢との違いがさらに明確になります。 次に、1984 年の画像と、その後に撮影された画像を比較し、湖の変化を確認します。
- [June 2001.tif] レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにして、そのレイヤーを有効にします。
この画像は Landsat 5 ではなく Landsat 7 で撮影されたので、色が異なります。 今回、植生を強調するために使用するバンド割り当ては、短波赤外、近赤外、赤です。 横に並べて比較しない限り、どこが変化したのか正確に把握するのは困難です。 [スワイプ] ツールを使用し、画像を横に並べて比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[June 2001.tif] レイヤーをクリックして選択します。
- アプリケーション上部のリボンの [ラスター レイヤー] タブをクリックします。 [比較] グループの [スワイプ] をクリックします。
ポインターをマップの上に移動すると、ポインターが矢印になります。
- 矢印の方向にマップをドラッグします。
選択されたレイヤーは、ポインターをドラッグした部分で非表示になります。 これで 2 つの画像を比較できるようになりました。 [スワイプ] ツールを前後 (または上下) にドラッグすると、変化の大半は湖の南端と東端で起こっているのがわかります。 湖が後退した部分には植生がないので、くすんだ橙色で示されています。 全体的に見ると、2001 年の湖の表面積は 1984 年に比べると明らかに小さくなっています。 これらの画像はいずれも 2003 年の三峡ダムの運用開始前に撮影されているので、この期間の湖の縮小は、干ばつなどの異常気象が原因として考えられます。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[May 2014.tif] レイヤーを有効にします。
この画像は Landsat 8 が撮影したものです。 この画像で、植生を強調するために使用したバンド割り当ては、短波赤外 1、近赤外、赤です。 2001 年の画像では、湖が後退した部分の地表が橙色で示されていましたが、今回は植生の成長によって鮮やかな緑色になっています。これは、水位の変化が長期にわたったことを意味します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[May 2014.tif] レイヤーをクリックして選択します。
- [スワイプ] ツールを使用し、2014 年の画像と 2001 年の画像を比較します。
湖の表面積は、特に南側と西側でさらに縮小したようです。 一見すると、1984 年から 2014 年の間に湖が縮小したのは明らかですが (少なくとも、3 つの画像が撮影された雨季の間)、その正確な規模はわかりません。
- リボンの [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] ボタンをクリックして、スワイプ モードを終了します。
これで、通常のナビゲーションを行えるようになりました。
次に、面積の縮小をより正確に数値化します。
土地被覆の分類による湖の識別
1984 年から 2014 年までの湖の表面積の変化を数値化するには、両方の画像の土地被覆を分類します。これによって水域を特定し、植生や都市部などの他の土地被覆と区別します。 Landsat のようなマルチスペクトル画像では、画像の中の個々のピクセル (またはセル) には、各スペクトル バンドの値が割り当てられています。 ハ陽湖の鮮やかな画像からもわかりますが、陰影や色相の数だけ明度も異なります。 しかし、同じ土地被覆を表すすべてのピクセルは、スペクトル値も類似する傾向があります。 画像を分類することで、類似した値を持つピクセルを特定し、それらをグループ化できます。このグループで、水や植生、都市部といった小数のクラスを表すことができます。
今回は、「教師なし分類」と呼ばれる分類方法を使用します。ソフトウェアが統計分析を実行し、同じクラスにグループ化できる、類似する値を決定する方法です。 ユーザーがクラス数を指定するだけで、ツールがそのクラス数を生成します。 この処理では、Iso クラスターの教師なし分類を使用します。
1984 年の土地被覆の分類
最初に 1984 年の画像を分類します。
- リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
[ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの検索ボックスに、「ISO クラスターの教師なし分類」と入力します。 同じ名前の検索結果をクリックします。
[ISO クラスターの教師なし分類 (Iso Cluster Unsupervised Classification)] ツールが開きます。 このツールは、画像レイヤーまたは選択したラスターで教師なしの分類を実行します。 Iso Cluster アルゴリズムを使用し、セルを自然にグループ分けできるような特徴を把握し、指定したクラス数に基づいて出力レイヤーを作成します。 1984 年の画像レイヤーでツールを実行します。
ここでは、湖だけを表示したいので、1984.tif 画像のピクセルを 4 つのクラスにのみ分類します。そのため、多種多様な土地被覆を区別するための多くのクラス数は必要ありません。
- [ISO クラスターの教師なし分類 (Iso Cluster Unsupervised Classification)] ツール パラメーターで、次の値を選択します。
- [入力ラスター バンド] で [June 1984.tif] を選択します。
- [クラス数] に「4」と入力します。
- [poyang.gdb] の最後にある [出力分類ラスター] に「Iso_1984」と入力します。
- その他のパラメーターはそのままにしておきます。
- [実行] をクリックします。
ツールが終了すると、出力レイヤーがマップに追加されます。 お使いのマップの色は、この画像例とは異なる場合があります。
新しいレイヤーは、1984 年 6 月の元の画像に似ていますが、今回は 4 つの色しかありません。これらの色は、分類ツールによって生成された 4 つの色を表します。 すべての画像レイヤーはピクセルのグリッド (セルと呼ばれる) で構成されていますが、元の画像では、ピクセルには数千もの色が使われていました。 [ISO クラスターの教師なし分類 (Iso Cluster Unsupervised Classification)] ツールでは、元の画像のすべてのピクセルを、スペクトルの類似性に基づいて 4 つの値クラスに分類しました。 その後、各クラスをシンボル表示するために、4 つの色をランダムに選択しました。 水のセルはすべて 1 つのクラスに分類され ([Value 1] (値 1))、植生、雲量、およびその他の土地被覆タイプは、残り 3 つのクラスに分類されているようです。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Iso_1984] レイヤーで [Value 1] (値 1) を右クリックし、色を [ヨゴ ブルー] に変更します。
- 他の値 (2、3、4) は [色なし] にします。
そうすると、水の値だけが表示された状態になります。 1984 年 6 月の元の画像と比べ、分類が正しいことを確認します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [May 2014.tif] と [June 2014.tif] レイヤーを無効にします。
- [Iso_1984] レイヤーをクリックして選択します。 リボンの [ラスター レイヤー] タブで [スワイプ] ツールをオンにし、1984 年の 2 つのレイヤーを比較します。
湖の境界の大半は一致しますが、分類された値には、湖周辺の小さな水域も含まれます。 こうした小さな水域の一部を、次のセクションで除去します。 また、雲量によって、湖の一部が他の部分とは異なる値に分類されることもあります。
雲がかかっていると、衛星画像の地物が不明瞭になることも珍しくありません。 この画像の雲量は比較的少ないので分析には大きな影響はありませんが、雲量がさらに少ない画像を使うことで分析結果を向上させることができます。
- リボンの [マップ] タブにある [マップ操作] ツールをもう一度有効化します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Iso_1984] レイヤーと [June 1984.tif] レイヤーをオフにします。
2014 年の土地被覆の分類
次に、2014 年の画像を分類し、湖の経時的な変化を確認します。 [ISO クラスターの教師なし分類 (Iso Cluster Unsupervised Classification)] ツールで [ジオプロセシング] ウィンドウがすでに開いているので、ツールを再実行する前に、パラメーターの変更のみ行います。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[May 2014.tif] レイヤーを有効にします。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、次のパラメーターを変更します。
- [入力ラスター バンド] で [June 1984.tif] を [May 2014.tif] に変更します。
- [poyang.gdb] の最後にある [出力分類ラスター] に「Iso_2014」と入力します。
- その他のパラメーターはそのままにしておきます。
- [実行] をクリックします。
前回同様、水のセルは新しいレイヤーの [Value 1] (値 1) に分類されています。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Iso_2014] レイヤーの [Value 1] (値 1) の色を [ライト アップル] に変更します。
- 他の値 (2、3、4) は [色なし] にします。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブで [スワイプ] ツールをオンにし、2014 年の 2 つのレイヤーを比較します。
ここでも、2 つの水の分類は正確なようです。
- [コンテンツ] ウィンドウで [May 2014.tif] をオフにし、[Iso_1984.tif] レイヤーをオンにします。
青の部分は、1984 年には水域だったものの 2014 年には水域ではなくなった部分です。2 年の間に湖がどれだけ縮小したかがより明確にわかります。
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
注意:
以前のバージョンのソフトウェアでプロジェクトが作成済みであることを示すメッセージが表示された場合は、[はい] をクリックして、マップを現在のバージョンで保存します。
ここでは、1984 年と 2014 年の画像を分類して土地被覆を示しました。元の画像では水に対して多数の値が使われていましたが、単一の値を割り当てました。 次に、湖の境界をスムージングし、ハ陽湖周辺で分類されている、多くの小さな水域を除去します。
分類のクリーンナップ
湖周辺のわずかな誤差や、小さな水域を除去するために、単純化して解析するツールを使用して、分類画像を処理します。 また、湖の境界もスムージングします。
個々のピクセルのフィルタリング
まず、水域として分類されているがハ陽湖を構成していない、小さな個々のピクセルを除去します。 これらのピクセルは小さな池や水塊のこともあれば、誤って分類されたものもあります。 いずれにせよ、これらはハ陽湖の面積の計測に含めてはならないので、ジオプロセシング ツールを実行して、できるだけ多く除去します。
- 必要に応じて、ArcGIS Pro で [Poyang Land Cover] プロジェクトを開きます。
- リボンの [解析] タブで、[ツール] をクリックして [ジオプロセシング] ウィンドウを開きます。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで、[戻る] ボタンをクリックして検索ボックスに戻ります。
- 検索ボックスに「大多数フィルター (Majority Filter)」と入力します。 [大多数フィルター (Majority Filter)] ツールをクリックします。
[大多数フィルター (Majority Filter)] ツールは、データ単純化ツールです。 隣接セルの大多数の値に基づき、画像またはラスター レイヤーのセルを置換します。 あるセルがクラス 1 (水域) として分類されているが、4 つの隣接セルのうち残り 3 つがクラス 2 として分類されている場合、ツールによって値 1 が周辺の値 (クラス 2) に合わせて変更されます。 それぞれの分類画像ごとに 1 回ずつ、合計で 2 回ツールを実行します。
- [大多数フィルター (Majority Filter)] ツールの [入力ラスター] で [Iso_1984] を選択します。
- [poyang.gdb] の最後にある [出力分類ラスター] の名前を「Filter_2014」に変更します。
他のパラメーターでは、ツールが使用する隣接セルの数や、連続セルの大半が同一の値でなくてはならないか、あるいは半分だけでいいのかを指定できます。 個々のピクセルの最大数を単純化し、スムージングの効果をさらに高めるには、半分を使用します。
- [閾値の変更] で [半数] を選択します。
- [実行] をクリックします。
単純化により、個々のピクセルは多数除去されましたが、それでもまだたくさん残っています。 さらに単純化するのも妥当かもしれませんが、単純化によって、必要なデータが削除されるというリスクもあります。この場合は、ハ陽湖を表すセルが失われるおそれがあります。 残りの問題点は、後から境界をスムージングする際に解消しますが、現時点では、他の画像レイヤーでもツールを実行します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウで [入力ラスター] を [Iso_2014] に、[出力ラスター] 名を「Filter_2014」に、それぞれ変更します。
- [実行] をクリックします。
単純化された 2014 年の画像がマップに追加されます。
2 つの分類画像を単純化したバージョンが作成されたので、マップ上に元の分類画像は必要ありません。そのため、これらを削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Iso_2014] レイヤーを右クリックし、[削除] を選択します。
- 同様に、[Iso_1984] レイヤーも削除します。
3 つのレイヤー (およびこのプロジェクトで作成したその他すべてのレイヤー) に再度アクセスする必要がある場合は、[カタログ] ウィンドウの [poyang.gdb] データベースにあります。
画像境界のスムージング
各画像の個々のピクセルの一部は除去しました。 次に、各画像の値の境界をスムージングし、ピクセルの粗いエッジを除去します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックします。
- [境界のスムージング (Boundary Clean)] ツールを検索し、開きます。
[境界のスムージング (Boundary Clean)] ツールは、境界を拡大してクラス間の境界をスムージングし、その後で元のサイズに縮小します。 そうすると、個々のピクセルが除去され、周辺のピクセル値に置換されます。 [大多数フィルター (Majority Filter)] ツールと同様の効果を得られますが、クラス境界にフォーカスを置いています。
- [境界のスムージング (Boundary Clean)] のパラメーターで、次の値を選択します。
- [入力ラスター] には [Filter_1984] を選択します。
- [出力ラスター] の名前を Clean_1984 に変更します。
[並べ替えタイプ] パラメーターは、境界の拡大時に大きい方の面積の値を優先するか、または小さい方の面積の値を優先するかを決定します。チェックボックスは、プロセスの実行回数を指定します。 これらのパラメーターについては、デフォルトのオプションをそのまま使用します。
- [実行] をクリックします。
新しい 1984 年のレイヤーがマップに追加されます。 大きな変化は見られませんが、値の間の境界がスムージングされました。 また、画像全体に散在していた、小さな個々のピクセルがさらに除去されました。 ピクセルはまだ少し残っていますが、単純化ツールによって、画像は大幅にスムージングされました。 ご自分の目で変化を確かめるには、[スワイプ] ツールを使用し、画像を拡大して比べてみてください。 次に、他の画像でも [境界のスムージング (Boundary Clean)] ツールを実行します。
- Filter_2014 ラスターに [境界のスムージング (Boundary Clean)] ツールを実行します。 [出力ラスター] の名前を Clean_2014 に変更します。
新しい 2014 年のレイヤーがマップに追加されます。 [大多数フィルター (Majority Filter)] ツールで作成した画像は必要ないので、削除します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Filter_2014]レイヤーと [Filter_1984] レイヤーを削除します。
- プロジェクトを保存します。
元の分類画像をスムージングし、多数の小さな誤差や、迷いピクセルの塊を除去しました。 次に、1984 年と 2014 年の八陽湖の面積を計算し、この期間で失われた湖の表面積を確認します。
過去の面積の計算
次に、1984 年と 2014 年のハ陽湖の面積をヘクタール単位で計算します。 まず、適切な式を決定します。
面積の計算式の策定
湖の面積を計算する方法を調べます。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Clean_1984] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] を選択します。
テーブルが表示されます。
レイヤーの 4 つの値 (4 つのクラス) にピクセル数があります。 水域に該当する Value 1 (値 1) は、約 300 万ピクセルです。 膨大なピクセル数ですが、1 ピクセルの実際の大きさはどれくらいでしょうか。 画像の解像度を確認すると、1 ピクセルが実際にはどれくらいの大きさに相当するかがわかります。
注意:
下記の手順では、属性テーブルに記されているピクセル数に基づいてフィーチャの面積を計算しますが、これは面積を大幅に変形させない投影座標系を使用する場合にのみ有効な手段です。 後述のとおり、ここで使用する座標系は [WGS 1984 UTM Zone 50N] なので問題ありません。 Web マップで使用されることが多い [Web メルカトル] などの座標系は使用できません。
- 属性テーブルを開いたままにしておきます。 [コンテンツ] ウィンドウで [Clean_1984] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
[レイヤー プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウの左側にある [ソース] をクリックします。
[ソース] タブには、レイヤーのデータ タイプやコンピューター上の場所、データの規模、データがマップ上にどのように投影されているかといった情報が含まれています。
- [ラスター情報] をクリックします。
[セル サイズ X] パラメーターと [セル サイズ Y] パラメーターは、各セルまたはピクセルの長さ (X) と高さ (Y) です。 ここでは、マップ上の各ピクセルは、実際には 30 単位四方に相当します。 ただし、測定単位がまだわかりません。 30 インチでしょうか。 それとも 30 キロメートルでしょうか。 ヘクタール単位で算出したいので、測定単位を把握することが重要です。
- [ラスター情報] を再度クリックして閉じます。 [空間参照] をクリックします。
[距離単位] パラメーターとは、レイヤーがデフォルトで使用するすべての空間計算の測定単位です。 ここでは、単位はメートルです。つまり、1 ピクセルは実際には 30 メートル四方 (900 平方メートル) に相当します。
[空間参照] を見ると、使用される [投影座標系] は、前述したように [WGS 1984 UTM Zone 50N] であることがわかります。
- [レイヤー プロパティ] ウィンドウを閉じます。
画像の各値の面積を算出するには、ピクセル数に 900 を乗算し、平方メートル単位に換算します。 その値を 10,000 で除算し、ヘクタールあたりの平方メートル数を算出します。 式は次のとおりです。
ヘクタール = (ピクセル数 x 900) / 10,000
式を策定したので、次に、これを使用して湖の面積を計算します。
失われた湖の面積の計算 (ヘクタール単位)
1984 年と 2014 年の湖の面積をヘクタール単位で計算します。 次に、この期間で失われたヘクタール数を計算します。
- [Clean_1984] 属性テーブルで、[フィールドの追加] ボタンをクリックします。
フィールド ビューが開きます。ここでは、属性テーブルのフィールドを管理できます。 新しいフィールドがリストの最後に追加されます。
- 新しいフィールドについて、[フィールド名] の値を「Hectares」に変更します。 [データ タイプ] を [Float] に設定します。
Float とは、小数点を含む数値を使用できるデータ タイプです。
- リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。
- [フィールド: Clean_1984] ビューを閉じて属性テーブルに戻ります。
テーブルに [Hectares] フィールドが追加されていますが、値がありません。 次に、前述の換算式を使用して、各クラス値をヘクタールに変換します。
- [Hectares] フィールドの見出しを右クリックし、[フィールド演算 (Calculate Field)] を選択します。
[フィールド演算] ツールが開きます。
- [フィールド演算 (Calculate Field)] ツールで、次の内容を確認します。
- [入力テーブル] の値が [Clean_1984] である。
- [フィールド名 (既存または新規)] の値が [Hectares] である。
- [式の種類] の値が [Python] である。
- [Hectares =] の下で、式「(!Count! * 900) / 10000」を作成します。
ヒント:
[フィールド] ボックスの [データの個数] をダブルクリックすると、[データの個数] フィールドを式に追加できます。
- [OK] をクリックします。
属性テーブルの [Hectares] フィールドに、画像の各値の面積がヘクタール単位で表示されます。 1984 年の湖の面積では、水域を表す Value 1 (値 1) は約 270,000 ヘクタールです。
- 属性テーブルを閉じます。
同様に、2014 年の湖の面積をヘクタール単位で計算します。 空間解像度などの特徴は 2 つの画像で共通しているため、前回と同じ式を使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Clean_2014] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] を選択します。 属性テーブルで、[フィールドの追加] ボタンをクリックします。
- 新しいフィールドについて、[フィールド名] を「Hectares」に変更し、[データ タイプ] を [Float] に変更します。
- リボンの [フィールド] タブの [変更] グループで、[保存] をクリックします。 [フィールド: Clean_2014] ビューを閉じて属性テーブルに戻ります。
- [Hectares] フィールドの見出しを右クリックし、[フィールド演算 (Calculate Field)] を選択します。 [入力テーブル] が [Clean_2014]、[フィールド名 (既存または新規)] が [Hectares]、[式の種類] が [Python] であることを確認します。
- [Hectares =] の下で、式「(!Count! * 900) / 10000」を作成します。 [OK] をクリックします。
属性テーブルの [Hectares] フィールドに数値が入力され、水域を表す Value 1 (値 1) はおよそ 200,000 ヘクタールであることが示されます。 これが、2014 年の湖の面積です。
- 属性テーブルを閉じます。
1984 年の湖の面積は約 270,000 ヘクタールで、2014 年の面積は約 200,000 ヘクタールです。 1984 年から 2014 年までの間に、ハ陽湖は約 70,000 ヘクタールも縮小しました。年平均では 2,300 ヘクタールほどです。
注意:
分類を完了後、他の方法で面積を計算することもできます。 たとえば、[ラスター → ポリゴン (Raster to Polygon)] ツールを使用して、湖のポリゴン フィーチャを生成し、平方メートル単位で面積を表します。 その後、この面積を 10,000 で乗算してヘクタールに換算する方法があります。
- プロジェクトを保存します。
今回のチュートリアルでは、ハ陽湖の Landsat 画像を視覚的に比較して分類し、湖の面積が経時的にどれだけ変化したか確認しました。 その結果、深刻な問題があることが判明しました。ハ陽湖はわずか 30 年の間に数千ヘクタールも縮小しました。 計算しただけではハ陽湖の縮小の原因はわかりませんが、深刻な問題があることが実証的な根拠として示されたので、環境科学者などがさらに踏み込んだ調査を行うきっかけとなります。
注意:
この 30 年の間に、八陽湖の変化の速さをより詳しく知るには、期間の中間の日付 (2001 年 6 月など) の画像に対して同じ解析を実行します。 そうすることで、時間の経過に伴う変化をプロットし、一定した速度で変化が起こったのか、あるいは急速に変化したのかを把握できます。
同様のレッスンについては、「画像およびリモート センシングの概要」ページをご参照ください。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。