イメージ サーバーの構成
ArcGIS Enterprise のラスター解析では、大規模な画像とラスター コレクションに対する解析を、分散処理によってスタンドアロンの GIS 環境よりもはるかに高速に実行できます。 複数のステップから成る複雑なラスター モデルも迅速に実行でき、結果を Enterprise に直接公開し、共有することができます。 ラスター解析を実行するには、まず ArcGIS Image Server を ArcGIS Enterprise に構成する必要があります。
このチュートリアルには、次の前提条件があります。
- ラスター解析には ArcGIS Enterprise と ArcGIS Image Server の 2 つのライセンスが必要です。
- 少なくとも ArcGIS Enterprise の基本配置で構成する必要があります。 基本配置の設定を行うには、「 ArcGIS Enterprise Builder の基本操作」をご参照ください。
- また、追加で 1 つ以上のサーバー サイトが必要です。 追加のサーバー サイトのインストールと構成が行われていない場合は、 「1 台のコンピューター上での ArcGIS Server のインストール」をご参照ください。
-
追加のサーバーは、ArcGIS Image Server でライセンスされる必要があります。 これについては、「ArcGIS Server の認証」をご参照ください。
管理権限がある場合は、すぐにチュートリアルを開始できます。 権限がないときは、ArcGIS Enterprise 管理者にこの最初のモジュールを実行してイメージ サーバーを構成してもらう必要があります。その後、このチュートリアルの 2 番目のモジュールを開始できます
新規データ ストアの登録
ラスター解析サービスは、結果のラスターを登録済みのデータ ストアに保存します。 これはファイル共有またはクラウド ストアのいずれかを登録します。 このチュートリアルでは、エンタープライス コンピューターに、ラスター データ ストアと、チュートリアル データを含むファイル共有の 2 つの新しいデータ ストアを登録します。
注意:
クラウド ストアを使用している場合は、詳細について、「ラスター データ ストアにクラウド ストアを使用」のドキュメントをご参照ください。
- エンタープライズ コンピューターの C ドライブに、「RasterStore」と「LandslideData」というフォルダーを 2 つ作成します。
次に、これらのフォルダーがすべてのサーバー サイトと共有され、アクセス可能であることを確認します。
注意:
ラスター データ ストアのパスを登録または編集するときは、ArcGIS Server Manager が HTTPS を通じて通信していることを確認してください。
- LandslideData.zip ファイルをダウンロードし、C ドライブ上に作成した LandslideData フォルダーにそのコンテンツを展開します。
31 のファイルは、サブフォルダー内ではなく、C:\LandslideData フォルダーのルートの場所に配置する必要があります。
組織の他のメンバーがチュートリアルを完了できるようにイメージ サーバーを構成している場合は、そのメンバーがフォルダーに制限なくアクセスできることを確認する必要があります。 次に、これらのフォルダーの設定を構成します。
- C ドライブで [LandslideData] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [LandslideData のプロパティ] ウィンドウで [共有] タブをクリックし、[詳細な共有] をクリックします。
- [このフォルダーを共有する] チェックボックスをオンにし、[適用] をクリックします。
- [権限] をクリックします。
フォルダーを登録するため、これらの場所に対する権限を ArcGIS Server アカウントに付与する必要があります。 ArcGIS Server アカウントは、ArcGIS Server サイトを作成したときに指定したプライマリ サイト管理者ではなく、ArcGIS Server をインストールするために使用されたアカウントです。 スタート メニューにある [サービス] アプリで検索することによって、このアカウントを見つけ、[ログオン] 列内の ArcGIS Server サービスを実行するアカウントをオンにすることができます。
- [グループまたはユーザー名] リストで、ユーザーのアカウントを選択します。 必要に応じて、選択する前に [追加] をクリックし、アカウントを検索して追加します。
- [権限] ボックスで、[フル コントロール] の [許可] をオンにします。
- [権限] ウィンドウで、[適用] をクリックし、[OK] をクリックします。
- [詳細な共有] ウィンドウで、[適用] をクリックし、[OK] をクリックします。
[LandslideData のプロパティ] ウィンドウで、フォルダーのネットワーク パスをメモしておきます。これは後からこのフォルダーをデータ ストアとして登録する際に必要となります。
- [LandslideData のプロパティ] ウィンドウを閉じます。
- [RasterStore] フォルダーについても、ステップ 3 ~ 11 を繰り返します。
2 つのフォルダーを作成してその権限を更新した後は、ArcGIS Server Manager を使用して、これらを ArcGIS Server に登録します。
注意:
複数のサーバー サイトからフォルダーにアクセスできない場合は、チュートリアル データを含むフォルダーを各サーバー コンピューターにコピーし、データを含むファイル共有が ArcGIS Server Manager を使用して各サーバーに登録されていることを確認します。 複数の ArcGIS Server サイトにフォルダーを登録する方法をご参照ください。
- 管理者アカウントを使用し、エンタープライズ コンピューターの ArcGIS Server Manager を開きます。
ヒント:
ArcGIS Server Manager は、https://gisserver.domain.com:6443/arcgis/manager にあります。
このサイトに構成された ArcGIS Web Adaptor (IIS) がある場合、ArcGIS Server Manager は http://gisserver.domain.com/webadaptorname/manager にあります。 「webadaptorname」は、最も一般的に「server」として定義されます。
- [サイト] タブをクリックし、[データ ストア] をクリックします。
- [登録] で、ドロップダウン リストをクリックし、[ラスター ストア] を選択します。
- [名前] に「RasterStore」と入力します。
英数字とアンダースコアのみを使用し、登録済みの場所に一意の名前を指定します。
- 必要に応じて、[タイプ] で [ファイル共有] を選択します。
- [パス] の横で、ラスター ファイル共有へのフル パスを「\\gisserver\RasterStore」のパターンを使用して指定します。 gisserver は、エンタープライズ コンピューターのサーバー名に置き換えます。
サーバー サイトのすべてのノードで同じデータ フォルダーが使用可能でない限り、ローカル パス (C:\RasterStore など) は使用しないでください。
- [作成] をクリックします。
登録したラスター データ ストアが、登録済みデータ ストアのリストに表示されます。 次に、チュートリアル データが保存されている場所を登録します。
注意:
画像内のデータ ストアは実際に構成したデータ ストアとは異なる場合があります。
- [登録] で、ドロップダウン リストをクリックし、[フォルダー] を選択します。
- [名前] に「LandslideData」と入力します。
- [公開者のフォルダー パス] にはフォルダー名「\LandslideData」を入力し、[公開者のフォルダー ホスト名] には \\gisserver というパターンを使用してサーバー名を入力します。 gisserver は、エンタープライズ コンピューターのサーバー名に置き換えます。
[公開者のフォルダー パス] と [公開者のフォルダー ホスト名] の 2 つによって完全なフォルダー パスが指定されるため、スラッシュを正しい位置に追加してください。 前回と同様、サーバー サイトのすべてのノードで同じデータ フォルダーが使用可能でない限り、ローカル パス (C:\LandslideData など) は使用しないでください。
- [作成] をクリックします。
チュートリアル データを含むフォルダーが、登録済みデータ ストアのリストに表示されます。
- [すべてを整合チェック] をクリックします。
データ ストアの整合チェックが完了すると、緑色のチェック マークが表示されます。
注意:
次に、Enterprise コンピューター上に作成したフォルダーに対応するフォルダーを ArcGIS Image Server コンピューター上に作成します。 これは 2 台の異なるコンピューターを使用している場合にのみ行います。 イメージ サーバーのコンピューターが Enterprise コンピューターでもある場合、ステップ 25 ~ 28 はすでに完了しています。
- 必要に応じて、ArcGIS Image Server コンピューターにアクセスします。 ステップ 3 ~ 11 を繰り返して、フォルダーを作成して共有します。
- 必要に応じて同じプロセスに従い、[arcgisserver] フォルダーを「すべてのユーザー」と共有します。
- 管理者アカウントを使用して、イメージ サーバー コンピューターの ArcGIS Server Manager を開きます。
- 「gisserver」をイメージ サーバーの名前に置き換えて、ステップ 14 ~ 24 を繰り返します。
ヒント:
システムのラスター解析の性能を最適化するため、サーバーのインスタンス数とコア数が一致するよう設定する必要があります。 ArcGIS Server Manager で [サービス] > [System] > [RasterProcessing] の順にクリックします。 [プール] の [コンピューターごとのインスタンスの最大数] を、使用可能なコア数に設定します。
このチュートリアルのデータを格納するフォルダーを作成して ArcGIS Server Manager に登録した後は、お使いのサーバーを Portal とフェデレートします。
ArcGIS Server サイトのフェデレート
構成を完了するには、イメージ サーバーとしてライセンス付与されている ArcGIS Server サイトを Portal とフェデレートする必要があります。 フェデレーション サーバーがポータルに表示されると、それをホスティング サーバー、ラスター解析サーバー、あるいはその他のサーバー タイプとして割り当てることができます。 これは、このチュートリアルで後から ArcGIS Pro を使用して分散ラスター解析を実行する際に必要となります。
- 管理者として Enterprise Portal にサイン インします。
注意:
ArcGIS Enterprise Portal は https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/home にあります。 「webadaptorname」は、最も一般的に「portal」として定義されます。
- リボンの [組織] タブをクリックし、[設定] タブをクリックします。
- サイド パネルで、[サーバー] をクリックします。
[サーバー] ウィンドウが表示されます。
- [サーバー] ウィンドウの [フェデレーション サーバー サイト] で、[サーバー サイトの追加] をクリックします。
[サーバー サイトの追加] ウィンドウが表示されます。
このウィンドウを使用して、ArcGIS Image Server を Portal にフェデレートします。
- [サービス URL] でイメージ サーバーの URL を入力します。
これは、ArcGIS Server サイトにアクセスするときに外部ユーザーが使用する完全修飾ドメイン URL を入力する必要があります。
ヒント:
このサイトに構成された ArcGIS Web Adaptor (IIS) がある場合、URL が「http://gisserver.domain.com/webadaptorname」の形式になります。
それ以外は、URL が「https://gisserver.domain.com:6443/arcgis」の形式になります (これは次のステップで使用する URL と同じ)。
- [管理 URL] では、内部ネットワークで管理操作を実行する場合に ArcGIS Server へのアクセスに使用する URL を入力します。
この URL の形式は、https://gisserver.domain.com:6443/arcgis です。
- [ユーザー名] に、最初に ArcGIS Server Manager にログインし、ArcGIS Server を管理するために使用されたプライマリ サイト管理者アカウントの名前を入力します。
- [パスワード] では、プライマリ サイト管理者のアカウントのパスワードを入力します。
- [次へ] をクリックします。
数分後に、サーバーがフェデレートされるか、Enterprise アカウントにリンクされます。 次に、[サーバー ロールの構成] タブで [ラスター解析サーバー] として設定します。
- [ラスター解析サーバー] まで下にスクロールし、切り替えボタンを使用してサーバー上のラスター解析を有効化します。
- [保存] をクリックします。
フェデレーション サーバーの設定が保存されます。
ラスター解析を実行する ArcGIS Server に自分の Enterprise からアクセスできるようになりました。 ただし、管理者の他には、まだ誰にもアクセス権が付与されていません。 次のセクションでは、他のユーザーがあなたの ArcGIS Image Server の解析機能を利用できるようにするためのロールを作成します。
ラスター解析を実行するための権限の割り当て
他のユーザーがラスター解析を実行するには、ロールを作成または編集して、ArcGIS Image Server を使用するための適切な権限を付与する必要があります。 自分自身か、管理者ロールが付与されている他のユーザーが残りのチュートリアルを完了する場合は、それぞれ適切な権限がすでに付与されていますので、次のモジュールに進むことができます。
組織の管理者以外のメンバーがこのチュートリアルを完了する場合は、以下の手順を完了して、ラスター解析を実行するためのカスタム ロールの編集または作成を行う必要があります。
- サイド パネルで、[メンバー ロール] をクリックします。
このウィンドウでは、新しいロールの作成や既存のロールの編集を行うことができます。
- [ロールの作成] をクリックします。
- [ロール名] に「ラスター アナリスト」と入力します。 [説明] に、「ラスター解析を実行する権限のあるロール」と入力します。
- [ロール権限] の [一般権限] で、切り替えボタンを使用して、最低限次の権限が有効化されていることを確認します。
カテゴリ 権限 メンバー
表示
格納物
作成、更新、削除
ホスト フィーチャ レイヤーの公開
ホスト ダイナミック イメージ レイヤーの公開
サーバーベース レイヤーの公開
共有
グループで共有
ポータルで共有
パブリックに共有
コンテンツと解析
標準フィーチャ解析
画像解析
- [保存] をクリックします。
次に、同僚がチュートリアルを完了できるように [ラスター アナリスト] ロールを同僚に割り当てます。
- ページの上部近くにある [メンバー] タブをクリックします。
- チュートリアルを完了する組織のメンバーを見つけます。 [ロール] でメニューをクリックして [ラスター アナリスト] を選択します。
[ラスター アナリスト] ロールに割り当てたすべての権限がこのメンバーに付与されました。 以上で、このユーザーは ArcGIS Pro および Enterprise の Map Viewer Classic を使用しながら ArcGIS Server から分散ラスター解析を実行できるようになりました。
このモジュールでは、ArcGIS Image Server でラスター解析を実行するための前提条件を確認しました。 また、データ ストアを追加し、ArcGIS Server サイトをフェデレートし、ラスター解析を実行するために適切な権限を割り当てました。 ラスター解析にイメージ サーバーを使用する準備が整いました。 次のモジュールでは、分散ラスター解析を使用して地滑りリスク マップを作成します。
地滑りリスク マップの作成
画像およびラスター データ解析は、危機管理アプリケーションの意思決定支援に有益な情報を提供します。 画像は、場所と状況に関する最新情報を提供し、過去の画像やその他の空間情報とともに解析することができます。 ファイルは大きく複雑になることが多いため、ラスター データの処理は困難です。 さらに、組織やソースの異なるデータを企業全体で共有し、解析しなければならないことも珍しくありません。 Raster Analytics の柔軟な分散処理設計は、膨大な量のラスター データを迅速に共有、処理するのに効果的な方法で、タイムクリティカルのアプリケーションに適しています。 最適化した処理チェーンを保存して組織のメンバーと共有し、ArcGIS Pro または ArcGIS Enterprise の Map Viewer Classic から Raster Analytics デプロイメントで処理を実行することができます。
前のモジュールでは、分散ラスター解析用に ArcGIS Enterprise を構成しました。 このモジュールでは、地滑りリスク マップを作成し、集水域の分流域に基づく地滑りリスクをまとめます。 ラスター関数チェーンを使用し、火災被害度マップ、地形の傾斜角マップ、土地被覆インデックス マップを生成します。 これらの個々の処理チェーンを 1 つの処理チェーンに集約し、Raster Analytics システムでの分散処理で使用して、集水域の分流域ごとにまとめます。
注意:
このチュートリアルでは Map Viewer Classic を使用します。Map Viewer Classic は、Map Viewer の前身です。 一部の機能は、Map Viewer では使用できません。 以下のワークフローについては、Map Viewer の今後のリリースでサポートされるようになるまで、Map Viewer Classic を使用することをお勧めします。
アクティブなポータルの設定
最初に、ArcGIS Pro でアクティブなポータルを設定する必要があります。 この構成ステップでは、ArcGIS Pro とアカウントのライセンス情報を共有し、処理したデータを ArcGIS Enterprise と共有します。
- ArcGIS Pro を開きます。 [設定] をクリックします。
- [ポータル] をクリックします。
- ポータルがリストされていない場合は、[ポータルの追加] にポータル URL を入力します。
検出されたポータルは、リストに追加されます。
- ポータルを右クリックし、[サイン イン] を選択します。
サイン インする際には、ラスター解析機能を使用するための適切な権限が付与されているアカウントを使用してください。
- ユーザー名とパスワードを入力し、[サイン イン] をクリックします。
- ポータルを右クリックし、[アクティブなポータルとして設定] を選択します。
ポータル接続の横に緑色のチェックマークが表示されます。
- 戻る矢印をクリックします。
Portal に接続したら、プロジェクト テンプレートを開いて解析を開始します。
- [別のテンプレートを使用して開始] をクリックします。
- エンタープライズ コンピューター上の C:\LandslideData を参照します。 プロジェクト テンプレート ファイル [Landslide_Risk_Project.aptx] を選択して [OK] をクリックします。
ヒント:
このファイルを特定できない場合は、 LandslideData.zip をローカル コンピューターにダウンロードして展開できます。
- [新しいプロジェクトの作成] ウィンドウで、プロジェクトに「Landslide_Risk」という名前を付け、コンピューターに保存します。 [OK] をクリックします。
新しいプロジェクトが開いて、カリフォルニア州サンタローサの中心に配置されてマップが表示されます。
火災被害度マップの作成
植生や資材の燃焼強度は、その成分、密度、地形、風、土壌水分などの条件に左右されます。 一般的に、燃焼強度が高ければ撥水度も高くなり、降雨事象による浸食も大きくなります。 燃焼強度や被害度は、近赤外線および中間赤外バンド (Landsat 8 画像など) のマルチスペクトル画像から導き出すことができます。 処理チェーンでラスター関数を使用し、2017 年にカリフォルニア州サンタローサで発生した山火事の前後に撮影された Landsat 8 画像をもとに焼失率を計算します。
最初に、山火事の前後に撮影された Landsat 8 画像、数値標高モデル、土地被覆ラスター データセットを追加します。
- リボンの [挿入] タブをクリックします。 [プロジェクト] グループで、[フォルダーの追加] をクリックします。
- エンタープライズ コンピューターの C ドライブの [LandslideData] フォルダーを参照します。 選択して、[OK] をクリックします。
- リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで、[カタログ ウィンドウ] を選択します。
[カタログ] ウィンドウが表示されます。
- [カタログ] ウィンドウの [プロジェクト] タブで、[フォルダー] を展開し、LandslideData フォルダーを展開します。 その中の [Basins.tif] 以外のデータセットをすべて選択して、マップ上にドラッグします。
ヒント:
Ctrl キーを押しながら各ファイルをクリックすることで、複数のアイテムを同時に選択できます。
データは [コンテンツ] ウィンドウにリストされます。 これには、ナパ郡とソノマ郡の 2017 年 10 月の山火事が起きる前 ([Before_L8.tif]) と起きた後 ([After_L8.tif]) の Landsat 8 画像が含まれます。 また、リスク マップの入力として使用する 2 つのレイヤーもあります。 DEM_30m.tif レイヤーは地形の標高を示す数値標高モデルです。 Sonoma_NLCD2011.tif レイヤーは、土地使用と優勢的な植生タイプを示す、National Landcover Dataset の一部です。
- [コンテンツ] ウィンドウで After_L8.tif レイヤーをリスト上部にドラッグし、すぐ下に Before_L8.tif をドラッグします。 Sonoma_NLCD2011.tif レイヤーと DEM_30m.tif レイヤーをオフにして折りたたみます。
現在のところ、Landsat 画像は赤、緑、青のバンドを使用してマップに表示されています。 焼け跡を比較するため、画像のマルチスペクトルバンドの一部を表示します。
- After_L8.tif の下で、赤色のチップを右クリックして [srband5] を選択します。
- 緑色については [srband4]、青色については [srband3] をそれぞれ選択します。
このバンドの組み合わせは Landsat 8 画像バンドを赤外カラー モードで表示します。 植生は、明るい赤色で表示されます。 草木の生えていない地域や都市部など、植生のないフィーチャは、濃淡がさまざまに違うグレーや青色で表示されます。
- Before_L8.tif レイヤーは、以下のように設定します。
- 赤色のチップを [srband5] に変更します。
- 緑色のチップを [srband4] に変更します。
- 青色のチップを [srband3] に変更します。
次に、[スワイプ] ツールを使用して、山火事の前後の画像を比較します。
- [コンテンツ] ウィンドウで After_L8.tif をクリックして選択します。
- リボンの [ラスター レイヤー] タブをクリックします。 [比較] グループで [スワイプ] ツールをクリックします。
ポインターが、マップ表示の矢印として表示されます。
- クリックしてマップの画像をスワイプし、山火事の前と後の画像を比較します。
スワイプは垂直方向でも水平方向でも行えます。 [Before_L8.tif] では赤色になっている多くのエリアが [After_L8.tif] では緑色になって、植生が失われたことを示していることに注意してください。
- リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] をクリックします。
通常のポインターに戻ります。 すべてのデータがマップに追加されたので、ラスター関数を使用して火災被害度を計算します。
- リボンの [画像] タブをクリックします。 [解析] グループで [ラスター関数] を選択します。
[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。 [システム] タブには、ラスター解析で使用できる関数のカテゴリがあります。 このチュートリアル用として、2 つのラスター関数テンプレート (RFT) が作成されています。 これらのカスタム関数テンプレートは、[プロジェクト] タブの下にリストされます。
- [ラスター関数] ウィンドウで [プロジェクト] タブをクリックします。
- [Landcover_Remap] を右クリックして [移動] にポインターを合わせ、[カスタム] にポインターを合わせて [Custom1] をクリックします。
これらの関数をカスタム カテゴリに移動することで、RFT に加えた編集内容は、関数エディターで保存されると保存されます。 プロジェクト カテゴリの変更は、プロジェクトが保存されないと失われます。
- [プロジェクト] タブをクリックします。 Burn_Severity を右クリックし、Custom1 に移動します。
次に、Burn_Severity RFT を開いて調査します。
- [カスタム] タブで [Burn_Severity] テンプレートを右クリックし、[編集] を選択します。
関数エディターが開き、処理チェーンが表示されます。
バンド演算関数は、画像のピクセルを条件式に変換します。 火災後の画像が火災前の画像から除去され、再分類関数が実行されます。 再分類関数は、ピクセル値を火災被害度の 5 つのカテゴリに分類します。 5 つの火災被害度値のブレークポイントは、地形評価調査 (Key and Benson、2005 年) から取得されます。 処理チェーンの属性テーブル関数は、火災被害度マップにカラー ランプを割り当てます。 これはすでに作成されています。
- [関数エディター] ウィンドウの [Burn Severity] を閉じます。
このラスター関数の仕組みについて理解した後は、この関数を使用してプロジェクト エリアの火災被害度を計算します。
- [ラスター関数] ウィンドウで [Burn_Severity] テンプレートをクリックします。
[Burn_Severity のプロパティ] ラスター関数が表示されます。
- [Pre-Fire Imagery] で [Before_L8.tif]、[Post-Fire Imagery] で [After_L8.tif] を選択します。
- [出力レイヤー タイプ] が [ラスター レイヤー] に設定されていることを確認し、[新しいレイヤーの作成] をクリックします。
処理が完了するまでに、数分かかります。 完了したら、処理結果のレイヤーがマップに表示され、[コンテンツ] ウィンドウにリストされます。 ラスター関数は一時的です。つまり、計算はマップを移動するときにリアルタイムで行われ、自動的には保存されません。 火災被害度は、レイヤーを操作中に動的に計算されます。
- [クイック アクセス ツールバー] の [保存] ボタンをクリックします。
ラスター関数の機能について確認した後は、次のセクションで、ラスター関数テンプレートを構築し、傾斜角インデックス マップを作成する方法について学びます。
傾斜角インデックス マップの作成
傾斜角マップは、斜面の安定性を判断するうえで重要なレイヤーです。 傾斜の角度は、デジタル標高モデル (DEM) から生成されます。 斜面が急勾配であればあるほど、特に、安定化効果のある植生が焼失した後の降雨中に地滑りが起きやすくなります。 次に、ラスター関数テンプレートを構築および保存し、勾配度を計算して、傾斜角インデックスを作成します。
- リボンの [画像] タブをクリックします。 [解析] グループで [関数エディター] をクリックします。
[関数エディター] ウィンドウがマップ ウィンドウの下部にドッキングされます。
- [ラスター関数] ウィンドウで [システム] タブをクリックします。 [サーフェス] グループを展開します。
- [傾斜角] 関数を [関数エディター] ウィンドウ内にドラッグします。
- [関数エディター] ウィンドウのリボンで [ラスター変数の追加] をクリックします。
[ラスター] というタイトルが付いた緑色のボックスが [関数エディター] ウィンドウに追加されます。
- [ラスター] ボックスを選択し、[傾斜角] 関数ボックスの左側に配置します。
[ラスター] ボックスは、[傾斜角] 関数の入力データセットを定義します。
- [ラスター] ボックスの上にカーソルを置くと、[出力] パラメーターが表示されます。 [出力] をクリックし、ラスター要素 ([出力] パラメーター) をドラッグして [傾斜角] 関数 ([DEM] パラメーター) につなげます。
- [ラスター] を右クリックし、[名前の変更] をクリックします。 「Input DEM」と入力して Enter キーを押します。
- [傾斜角] 関数をダブルクリックします。 [傾斜角のプロパティ] ウィンドウで [変数] タブをクリックします。 [DEM] では [パブリック] フィールドをオンにします。
[パブリック] オプションを使用すると、後のツール処理で入力データを変更できます。
- [OK] をクリックします。
ラスター関数は入力数値標高モデルを使用してその傾斜角を計算します。 次の [再分類] 関数は、傾斜角を 5 つの傾斜カテゴリに分類します。
- [ラスター関数] ウィンドウの [システム] タブで、「再分類」を検索します。
- [再分類] 関数を [関数エディター] の [傾斜角] 関数の右側にドラッグします。
- [傾斜角] の [出力] を [再分類] の [ラスター] 入力に設定し、[傾斜角] を [再分類] につなげます。
次に、再分類の入力を設定し、傾斜角を 5 つのカテゴリにインデックス化します (単位: 度)。
- [再分類] 関数をダブルクリックします。 [再分類のプロパティ] ウィンドウで、[最小値] 見出しの下の最初のボックスをクリックして「0」と入力します。 [最大値] には「5」と入力し、[出力] には「1」と入力します。
- その他のカテゴリを以下の値に設定します。
最小 最大 出力 2
5
15
2
3
15
25
3
4
25
35
4
5
35
91
5
- [一般] タブをクリックします。 [出力ピクセル タイプ] のドロップダウン メニューで、[符号付き 8 ビット] を選択します。
次に追加する [属性テーブル] ツールは、8 ビットの入力ラスターのみを受け取ることができます。 そのため、[出力ピクセル タイプ] を [符号付き 8 ビット] に設定します。
- [OK] をクリックします。
- [再分類] 関数を右クリックし、[名前の変更] をクリックします。 「Slope Remap」と入力して Enter キーを押します。
こうすると、チュートリアル後半でラスター関数チェーンをつなげるときに関数を区別しやすくなります。
- [ラスター関数] ウィンドウで [属性テーブル] 関数を検索して [関数エディター] ウィンドウ内の [Slope Remap] の右側にドラッグします。
- [再分類] 関数の出力と、[属性テーブル] 関数の入力をつなげます。
- [属性テーブル] 関数をダブルクリックし、[テーブル タイプ] を [手動] に設定します。
- 空白のテーブルで、[生成] ボタンをクリックします。
- [最大値] で [5] を選択します。 [OK] をクリックします。
1 ~ 5 の値と、デフォルトの緑色から赤色の配色が設定された 5 つの行が追加されます。
- 各行の [クラス名] をクリックし、傾斜角クラスを以下のように割り当てます。
値 クラス名 1
Flat
2
Low
3
Moderate
4
Steep
5
Very Steep
- [OK] をクリックします。
ラスター関数テンプレートが完成したので、これを保存します。
- [関数エディター] ウィンドウで [名前を付けて保存] をクリックします。
[名前を付けて保存] ウィンドウが表示されます。
- [名前を付けて保存] ウィンドウで、[名前] に「Slope_Index」と入力します。
- [カテゴリ] が [カスタム] に設定されていて、[サブカテゴリ] が [Custom1] に設定されていることを確認します。
- [説明] に、「入力 DEM から傾斜角を生成するラスター関数テンプレート」と入力します。
- [OK] をクリックします。
Slope_Index ラスター関数テンプレート (RFT) が [ラスター関数] ウィンドウの [カスタム] カテゴリに表示されます。
ヒント:
この RFT を表示するには、検索バーをクリアする必要がある場合があります。
- [ラスター関数] ウィンドウで [Slope_Index] をクリックします。
- [入力 DEM] で DEM_30m.tif を選択します。 [出力レイヤー タイプ] が [ラスター レイヤー] に設定されていることを確認します。
- [新しいレイヤーの作成] をクリックします。
処理が完了すると、レイヤーがマップに表示され、[コンテンツ] ウィンドウに Slope_Index_DEM_30m.tif という名前でリストされます。
- [関数エディター] ウィンドウの [Slope_Index] RFT を閉じ、プロジェクトを保存します。
傾斜角を分類する関数を作成した後は、複数の RFT を結合して地滑りリスク マップを作成します。
地滑りリスク マップの作成
地滑りリスクは、先ほど使用した 2 つの変数 (火災被害度と傾斜角) を組み合わせて計算します。 また、地滑りリスクにおいて重要な意味を持つ土地被覆も含まれます。 植生は、根によって斜面を安定化させます。 山火事によって、安定化効果のある植生の大半が焼失します。 とはいえ、一部の植生 (特にチャバラルの種など) は山火事に適応しており、その根系は地中深くにまで張り巡らされているので火災を耐え抜くことができます。 先ほど、斜面の安定化効果に応じて、土地被覆を 5 つのカテゴリにインデックス化しました。 地滑りリスクを計算するには、チェーンにラスター関数テンプレートを 3 つ追加して、ArcGIS Enterprise デプロイメントで処理します。
- リボンの [画像] タブで [関数エディター] をクリックします。
[関数エディター] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、Ctrl キーを押しながら RFT Landcover_Remap、Burn_Severity、Slope_Index を選択します。 これらを [関数エディター] ウィンドウ内にドラッグします。
デフォルトでは、RFT はクラスター化されています。 これを個別に分離して、出力をつなげやすくします。
- マウスをドラッグして [Slope_Index] 関数をボックスで囲み、グループ全体を [Burn_Severity] RFT の下の位置までドラッグします。
ヒント:
緑色の入力ボックスは、関数チェーンの始点を表します。 Slope_Index RFT は緑色の [Input DEM] ボックスから開始します。
- Landcover_Remap RFT を Slope_Index RFT の下にドラッグします。
- 各 [属性テーブル] 関数を右クリックし、対応する [再分類] 関数に一致させて名前を変更します。
新しい名前は、「火災被害度属性テーブル」、「傾斜角属性テーブル」、および「土地被覆属性テーブル」にする必要があります。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[システム] タブをクリックして、[加重オーバーレイ] 関数を検索します。 これを [関数エディター] ウィンドウの、他の 3 つの RFT の右側にドラッグします。
- 3 つの [属性テーブル] 出力を、[加重オーバーレイ] 関数の入力パラメーターにつなげます。
- [関数エディター] ウィンドウで、[自動レイアウト] ボタンをクリックします。
RFT はコンパクトに並べ替えられます。
- [加重オーバーレイ] 関数をダブルクリックします。
[加重オーバーレイ プロパティ] ウィンドウが表示されます。 [加重オーバーレイ テーブル] 内で、各ラスターをパーセント単位で重み付けすることができます。
- [加重オーバーレイ テーブル] の [<火災被害度属性テーブル.出力ラスター>] の横のセルに、[30] と入力します。 <傾斜角再分類属性テーブル.出力ラスター> レイヤーでは、55 パーセントを割り当てます。 <土地被覆再分類属性テーブル.出力ラスター> レイヤーでは、15 パーセントを割り当てます。
これらの災害の加重は、USGS が National Landslide Hazards Program で実施した調査に基づいています。
[再分類テーブル] は空白のままです。 3 つのレイヤーのインデックス カテゴリ数が同じなので、各レイヤーを 1 対 1 でマッピングします。
- [加重オーバーレイ テーブル] で、<火災被害度属性テーブル.出力ラスター> レイヤーをクリックします。 [再分類テーブル] の [値] で [NODATA] をクリックして属性フィールドを編集し、「1」と入力します。 [許容値] で [NODATA] をクリックして、[1] を選択します。
- [再分類テーブル] で、[値] 列の下部の空の行をダブルクリックして、「2」を入力します。 [許容値] で「2」を選択します。
- 前のステップを繰り返し、[加重オーバーレイ テーブル] の 3 つすべてのラスターに対して 1 ~ 5 の列を追加します。
- [OK] をクリックします。
- [ラスター関数] ウィンドウの [システム] タブで [属性テーブル] 関数を検索し、[関数エディター] の [加重オーバーレイ] 関数の右側にドラッグします。
- [加重オーバーレイ] 関数の出力と、[属性テーブル] 関数の入力をつなげます。
- [属性テーブル] 関数をダブルクリックします。 [属性テーブルのプロパティ] ウィンドウの [テーブル タイプ] で [手動] を選択します。
- 空白のテーブルで [生成] ボタンをクリックし、[最大値] を 5 に設定します。 [OK] をクリックします。
1 ~ 5 の値と、デフォルトの緑色から赤色の配色が設定された 5 つの行が追加されます。
- 各行の [クラス名] をクリックし、以下のように値を割り当てます。
値 クラス名 1
Low
2
Medium
3
High
4
Very High
5
Extreme
- [OK] をクリックして [属性テーブルのプロパティ] ウィンドウを閉じます。
- [関数エディター] で [名前を付けて保存] をクリックします。
- [名前を付けて保存] ウィンドウで、[名前] に「Landslide_Risk」と入力します。 [カテゴリ] が [カスタム] に設定されていて、[サブカテゴリ] が [Custom1] に設定されていることを確認します。
- [説明] に、「山火事の火災被害度、傾斜角、および土地被覆に基づいて地滑りリスクを計算するためのラスター関数テンプレート」と入力します。
- [OK] をクリックして [関数エディター] ウィンドウを閉じます。
ラスター関数が完成しました。 次に、分散ラスター解析を使用してこれを実行します。
- [ラスター関数] ウィンドウで、検索を消去します。
- 必要に応じて、[カスタム] タブをクリックします。 [Landslide_Risk] をクリックします。
Landslide_Risk ラスター関数が表示されます。
- 入力パラメーターを以下のように設定します。
- [Pre-Fire Imagery] で [Before_L8.tif] を選択します。
- [Post-Fire Imagery] で [After_L8.tif] を選択します。
- [Slope Input DEM] で [DEM_30m.tif] を選択します。
- [Landcover Remap Raster] で [Sonoma_NLCD2011.tif] を選択します。
- [出力レイヤー タイプ] で [Web イメージ レイヤー] を選択し、[次へ] をクリックします。
注意:
出力を Web イメージ レイヤーに設定するオプションが表示されない場合は、管理者に連絡して、ラスター解析サーバーが適切に設定されて操作可能になっていることを確認してください。
[出力の生成] ウィンドウが開き、Enterprise で作成する Web レイヤーのプロパティを設定できます。
- [名前] に「Landslide_Risk」と入力します。 [説明] には「This web layer shows a landslide risk estimate for Sonoma County, CA. (カリフォルニア州ソノマ郡の地滑りリスク予想を示す Web レイヤー)」と入力します。
- [タグ] に、「Sonoma County」、「landslide」、「risk」、「wildfire」と入力します。 Enter キーを押します。
4 つのタグが追加されます。
- [実行] をクリックします。
処理チェーンが Enterprise デプロイメントに送信され、分散処理が行われます。 処理が送信された旨のメッセージが表示されます。
- [ラスター関数] 通知をクリックすると、RFT のステータスを確認できます。
[ラスター関数] タブが選択された状態で [履歴] ウィンドウが表示されます。 これまでに使用したラスター関数がここにリストされます。
注意:
[ラスター関数] 通知が消えた場合、ラスター処理のステータスにアクセスする別の方法があります。 リボンの [解析] タブをクリックします。 [ジオプロセシング] グループで、[履歴] をクリックします。 [履歴] ウィンドウで、[ラスター関数] タブをクリックします。
処理が正常に完了すると、ラスター関数の横に緑のチェックマークが表示されます。 後から Map Viewer Classic を使用してこのレイヤーを解析します。
分流域ごとの地滑りリスクの集計
地滑りリスク マップは便利ですが、特にリスクが大きいエリアをさらに細分化しようと思います。 地滑りリスクは降水パターンや集水域の特徴によって影響を受けるため、調査地域内の集水域の流域によってリスクを集計します。 まず、集水域の流域レイヤーを Portal に公開します。 次に、前のセクションで作成した地滑りリスク データセットを使用して、分流域ごとにリスクをまとめます。
- [カタログ] ウィンドウで、[プロジェクト] タブをクリックして [LandslideData] フォルダー接続を参照します。
- [Basins.tif] を右クリックし、[Web レイヤーとして共有] を選択します。
[Web レイヤーとして共有] ウィンドウが表示されます。 このウィンドウでは、このラスター データセットを Portal に公開するときの名前を指定して構成することができます。
- [アイテムの詳細] で、以下を設定します。
- [名前] に、「Basins」と入力します。
- [サマリー] に、「カリフォルニア州ナパ郡とソノマ郡の集水域の分流域」と入力します。
- [タグ] に、「watershed」、「basin」、「California」と入力して Enter キーを押します。
次に、このラスター データセットが LandslideData フォルダーから参照され、コピーとして Portal に保存されないようにします。
- [レイヤーおよびデータ タイプ] で、[登録済みデータを参照] が選択されていることを確認します。
- [場所] の下の [サーバーおよびフォルダー] で、[ホスティング サーバー] を選択します。
- [解析] をクリックし、警告が表示されなければ [公開] をクリックします。
注意:
データ ソースが登録されていないという警告が表示された場合、管理者に連絡して、LandslideData フォルダー データストアが正しく構成されていることを確認してください。
Web レイヤーの公開が成功したら、その旨を示すメモがウィンドウに表示されます。
- プロジェクトを保存します。
- [Web レイヤーの管理] リンクをクリックします。
Basins レイヤーのアイテム詳細ページが表示されます。
- [Basins] レイヤーの横にある参照ボタンをクリックして、[Map Viewer Classic で開く] を選択します。
Map Viewer Classic が開きます。
次に、Landslide_Risk データセットをマップに追加します。
- リボンの [追加] をクリックし、[レイヤーの検索] を選択します。
- [マイ コンテンツ] を検索する設定になっていることを確認します。 Landslide_Risk レイヤーを見つけて [追加] ボタンをクリックします。
Landslide_Risk レイヤーがマップに追加されます。
注意:
地滑りリスク レイヤーがマップへの読み込みに失敗する場合は、処理が完了するまで数分待って、もう一度やり直す必要があることがあります。
流域とリスクのレイヤーを作成した後は、[エリア内でのラスターの集約] ツールを使用して流域ごとの平均リスクを計算します。
- リボンの [解析] をクリックし、[ラスター解析] を選択します。
- [データの集約] を展開し、[エリア内でのラスターの集約] ツールをクリックします。
- エリア内でのラスターの集約ツールで、次のパラメーターを入力します。
- [定義された境界内でラスター レイヤーを集計するエリア レイヤーを選択] で、[Basins] を選択します。
- [境界を定義するフィールドの選択] で、[値] を選択します。
- [集計するラスター レイヤーの選択] で、[Landslide_Risk] を選択します。
- [計算する統計情報の選択] で、[平均] を選択します。
- [計算時に欠損値を無視] で、[無視] の横のボックスをオンにします。
- [多次元として処理] で、[すべてのスライス] の横のボックスをオフにします。
- [結果レイヤーの名前] に「Risk per Basin」と入力します。
- [現在のマップ表示範囲を使用] の横のボックスをオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
解析の実行が終了すると、集水域ごとの平均リスクを示すデータセットがマップに追加されます。
白色と薄い灰色のエリアは、地滑りリスクの値が高い場所です。 これは、ラスター関数テンプレートの傾斜角、火災被害度、土地被覆の重み付けした入力値を使用して計算したリスクに基づきます。 ただし、この表示設定では現在の結果がわかりにくくなっています。 マップを保存した後で、表示設定を更新します。 これにより、解析結果がわかりやすくなります。
- リボンの [保存] をクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。
[マップの保存] ウィンドウが表示されます。
- [マップの保存] ウィンドウで、以下を設定します。
- [タイトル] に、「Landslide Risk per Basin (Sonoma and Napa)」と入力します。
- [タグ] に、「landslide」、「risk」、「wildfire」と入力し、Enter キーを押します。
- [サマリー] に、「山火事の火災被害度、傾斜角、および土地被覆に基づいたソノマ郡とナパ郡の流域ごとの地滑りリスク」と入力します。
- [マップの保存] をクリックします。
ラスター関数チェーンを使用し、火災被害度マップ、傾斜角インデックス マップ、土地被覆インデックス マップを作成しました。 さらに地滑りリスク マップを作成し、Portal にレイヤーを公開して、リスクを集水域の分流域ごとに集計しました。 次に、Enterprise 全体で結果を共有する Web アプリを作成して、緊急対応チーム内の他のメンバーにも調査結果を周知します。
Web アプリの共有
前のモジュールでは、分流域ごとに地滑りリスクを集計するリスク マップを作成しました。 次に、この調査結果を、オフィス内および現場の緊急対応担当者を含む組織全体に周知します。 結果を共有するため、Portal で Web アプリを作成します。
マップの準備
解析が完了し、マップをさらに体裁の良い形式で対象ユーザーに表示するための準備が整いました。 これに、Map Viewer を使用します。
- 必要に応じて、Web ブラウザーで ArcGIS Enterprise Portal を開いてサイン インします。 前のモジュールで作成した Landslide Risk per Basin (Sonoma and Napa) マップを参照します。
- [Map Viewer で開く] をクリックします。
次に、このマップからいくつかのレイヤーを削除します。
- [レイヤー] ウィンドウで、[Basins] の [オプション] をクリックします。 [削除] を選択します。
- Landslide_Risk レイヤーを削除します。
Map Viewer に切り替えると、Risk_per_Basin レイヤーの名前にアンダースコアが追加されていました。 アンダースコアを削除します。
- Risk_per_Basin の [オプション] をクリックします。 [名前の変更] を選択します。 [タイトル] に、「Risk per Basin」と入力します。 [OK] をクリックします。
次に、レイヤーの表示設定を更新します。
- [レイヤー] ウィンドウで、Risk per Basin レイヤーを選択します。
- [設定] (明るい背景の) ツールバーで、[シンボル] をクリックします。 [スタイルの選択] で、[ストレッチ] が選択されていることを確認し、[スタイル オプション] をクリックします。
- [ストレッチ タイプ] で [割合クリップ] を選択します。
- [配色] で、[編集] ボタンをクリックします。 [配色] ウィンドウで、[編集] ボタンをクリックします。
[ランプ] ウィンドウが表示されます。 リスクが高いエリアが赤色で表示され、リスクが低いエリアが緑色で表示される、緑から赤のカラー ランプを選択します。
- [ランプ] ウィンドウで、[Slope] という名前の、緑から赤のカラー ランプを選択します。
ヒント:
カラー ランプをポイントすると、その名前が表示されます。
色が逆になっています。 現在は、リスクが低いエリアが赤色で表示されています。 次にこれを修正します。
- [ランプ カラーの反転] をクリックし、[スタイル オプション] ウィンドウで [完了] をクリックします。
- Risk per Basin レイヤーを適切な表示設定にした後は、ブレンド モードを適用して、リスク値が含まれているレイヤーと基になるベースマップが対象ユーザーに同時に表示されるようにします。
- [設定] (明るい背景の) ツールバーにある [プロパティ] をクリックします。
[プロパティ] ウィンドウが表示されます。
- [表示設定] の [ブレンド] で [乗算] を選択します。
[乗算] ブレンド モードでは、ベースマップ上のフィーチャと分析範囲におけるリスクを表す色を同時に確認できます。
結果を共有する前に、マップの範囲を更新します。
- [レイヤー] ウィンドウで、Risk per Basin レイヤーの [オプション] をクリックします。 [ズーム] を選択します。
マップの中心に Risk per Basin レイヤーが表示されます。
- [コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーで、[保存と開く] をクリックします。 [保存] を選択します。
次に、マップをアプリとして共有して他のユーザーが使用できるようにします。
Web アプリの作成
アプリによって結果を Enterprise 内の他のユーザーと共有することができます。 作成したマップを ArcGIS Instant Apps で共有します。 これらのアプリは数分で構成できます。 各種テンプレートから選択できますが、このチュートリアルでは基本アプリを作成します。 このアプリはあらゆるデスクトップやモバイル デバイスでシームレスに機能します。
- [コンテンツ] (暗い背景の) ツールバーで [アプリの作成] をクリックします。[Instant Apps] を選択します。
さまざまなテンプレートから選択できます。
- [基本] テンプレートを見つけて [選択] をクリックします。
[アプリの作成 - 基本] ウィンドウが表示されます。 アプリを構成する前に、名前とタグを入力します。
- [アプリのタイトルを入力] に、「Landslide Risk per Basin (Sonoma and Napa)」と入力します。 必要に応じて、[タグ] に、「landslide」、「risk」、「wildfire」と入力します。
- [アプリの作成] をクリックします。
アプリが生成され、アプリを構成するページが開きます。 [高速] ウィンドウでは、ステップに従ってアプリを作成すると、最終的なアプリのプレビューが表示されます。
注意:
[高速] ウィンドウが表示された場合、閉じることができます。 このウィンドウでは、Instant Apps を構成する方法について追加の情報が提供されます。
このアプリを共有する前に、いくつかの調整を行います。 このアプリにはマップがすでに含まれているため、[ステップ 2. 情報] から始めます。
- [高速] ウィンドウで、[ステップ 2. 情報] をクリックします。
[情報] ウィンドウが表示されます。 タイトルと凡例を追加し、アプリでポップアップを表示する場所を選択できま。
- [情報] ウィンドウで、切り替えボタンを使用して [ヘッダー] をオンにします。
アプリの上部にタイトルが表示されます。これはマップと同じタイトルです。
- [次へ] をクリックします。
[対話性] ウィンドウで、アプリの操作方法を構成できます。レイヤーのオン/オフの切り替え、スクリーンショットの撮影、場所の検索を行えるように、各種ウィジェットをアプリに追加したり、削除したりすることができます。 デフォルトのままにします。
- [次へ] をクリックします。
最後のステップは [テーマとレイアウト] ウィンドウです。 アプリの配色を変更したり、ウィジェットをアプリ内の別の場所に移動したりすることができます。アプリのテーマを更新します。
- [テーマとレイアウト] ウィンドウで、[モードの選択] の下の [暗色] を選択します。
バナーとウィジェットのアイコンが濃い灰色に変わります。 次に、アプリを公開します。
- [公開] をクリックします。 [公開] ウィンドウで、[確認] をクリックします。
しばらくすると、公開処理が完了します。 アプリを他のユーザーと共有する前に、先に必ずテストするようにします。
- [共有] ウィンドウで、[起動] をクリックします。
アプリがブラウザー タブで開きます。 アプリを実際に動かしてテストします。
アプリが完成しました。 次に、アプリを組織と共有します。 前のステップでアプリを構成したブラウザー タブに戻ります。
- ブラウザーで、[ArcGIS Instant Apps の構成] タブをクリックします。
アプリの構成ページに戻ります。 次に、アプリを共有します。
注意:
アプリに変更を加えたい場合には、いつでも行うことができます。 変更を加えた後で必ずアプリを再公開してください。
- [共有] ウィンドウで [共有設定の変更] をクリックします。
注意:
[共有] ウィンドウが表示されない場合、[コンテンツ] ツールバーの [共有] をクリックします。
ここで、アプリへのアクセス権を誰に付与するかを選択できます。
- [共有レベルの設定] で [組織] を選択します。 [保存] をクリックします。
[共有の更新] ウィンドウが表示されます。 アプリを組織と共有するため、アプリの基になる Web マップとマップに含まれてるすべてのデータセットも組織と共有する必要があります。 Landslide Risk per Basin (Sonoma and Napa) マップと Risk_per_basin イメージ レイヤーの共有設定を更新します。
- [更新] をクリックします。
アプリとその基になるコンテンツが共有されました。 次に、他のユーザーと共有可能なアプリのリンクを取得して、他のユーザーがこのアプリにアクセスできるようにします。
- [コンテンツ] ツールバーの [共有] をクリックします。 [リンクのコピー] をクリックします。
- 新しいブラウザー タブを開きます。 リンクを Web アドレス バーに貼り付けて Enter キーを押します。
アプリが開きます。 このリンクを、アプリにアクセスする必要がある他のユーザーと共有することができます。
このモジュールでは、地滑りリスク マップを共有するための Web アプリを作成しました。 ArcGIS Enterprise で Web アプリを共有すると、組織内の全メンバー (オフィス ワーカーでも現場作業員でも) が意思決定に欠かせない情報にアクセスできるようになります。 ArcGIS Enterprise で共有し、ArcGIS Instant Apps でカスタマイズできる柔軟性を活用することで、必要な情報を必要な人と分かち合うことができます。
さらに、ArcGIS Enterprise デプロイメントでラスター解析を行えるようになりました。 ラスター解析の分散処理機能を利用することで、地滑りリスク マップを作成して、集水域の分流域ごとにその結果を集計しました。 マップに示されるパターンを見ることで、山火事が発生した後に地滑りが最も起こりやすい分流域を特定できます。 最後に、調査結果を組織全体に周知し、他の緊急対応担当者が地滑りリスクに関する貴重な洞察を得られるよう、Web アプリを作成して共有しました。
他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。