分析範囲とデータの調査

まず、このワークフローに必要なデータをすべて含む ArcGIS Pro プロジェクトをダウンロードします。 マウンテン ライオンの生息地を調査し、提案された解析方針を把握し、データを確認します。

マウンテン ライオンの生息地の調査

まず、プロジェクトをダウンロードして ArcGIS Pro で開きます。 これから、マウンテン ライオンの生息地を調査します。

  1. Mountain_Lion_Corridors 圧縮フォルダーをダウンロードします。
    注意:
    お使いの Web ブラウザーによっては、ダウンロードを開始する前に、ファイルの場所を選択するよう求めるメッセージが表示される場合があります。 ほとんどのブラウザーでは、デフォルトでコンピューターの [ダウンロード] フォルダーがダウンロード先の場所になります。
  2. コンピューター上で、ダウンロードしたファイルを選択します。
  3. ファイルを右クリックして、[ドキュメント] フォルダーなどの見つけやすい場所にファイルを展開します。

    次に、ArcGIS Pro でプロジェクトを開きます。

  4. ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

  5. ArcGIS Pro[開く][別のプロジェクトを開く] をクリックします。

    別のプロジェクトを開くボタン

    注意:

    はじめて ArcGIS Pro を使用する場合は、[既存のプロジェクトを開く] をクリックします。

  6. [プロジェクトを開く] ウィンドウで、展開したプロジェクト フォルダーを参照し、[Mountain_Lion_Corridors.aprx] をクリックして選択した後、[OK] をクリックします。

    プロジェクト フォルダー内の Mountain_Lion_Corridors.aprx

    プロジェクトが開きます。

    プロジェクトの初期表示

    現在、マップ上で 2 つのレイヤーがオンになっています。 [Study Area] レイヤーには、このワークフローの対象地域が長方形のポリゴン (黒) で表示されています。 [World Topographic] ベースマップには、一般的な地理情報が示されています。 分析範囲が米国のロサンゼルス大都市圏に位置していることがわかります。 この地域には、サン フェルナンド バレー、バーバンク、サンタクララなど、複数のコミュニティが存在します。また、いくつかの山岳地帯もこの地域全体に広がっています。 次に、マウンテン ライオンの生息域を調査します。

  7. [コンテンツ] ウィンドウで、[Core Mountain Lion Habitats] のチェックボックスをクリックにして、このレイヤーをオンにします。

    Core Mountain Lion Habitats のチェックボックス

    この分析範囲には、マウンテン ライオンの 4 か所の主要生息地が紫色で表示されています。 これらの生息地は、緑の回廊の場所を提案してつなげたい生息地になります。 マウンテン ライオンはそれぞれの主要生息地の周囲にもっと広く生息している可能性がありますが、紫色のポリゴンはマウンテン ライオンが最も集中している地域を表しています。

    マップ上に表示された Core Mountain Lion Habitats レイヤー

    注意:

    このチュートリアルでは、解析ツールの実行にかかる時間を制限するために、具体的な分析範囲にターゲットを絞ります。 ただし、北カリフォルニアにはマウンテン ライオンの生息地が他にも存在するので、同じワークフローをより広い分析範囲に適用して、さらに多くの生息地を相互につなげることができます。

    ロスパドレス、サンタモニカ、サンガブリエルとして特定された 3 か所の生息地は、実際のマウンテン ライオンの主要生息地を表しています。 これらの生息地は広々とした自然の山岳地帯に位置しており、マウンテン ライオンの大規模な個体群が生息しています。 サンタスザーナの生息地は、国立公園局によって確立された場所であり、ピコキャニオン公園のすぐ外側にあります。この地域は、大規模な主要生息地ではありませんが、地理的につながっていない他の 3 か所の生息地パッチを相互につなげるための重要な地理的ゲートウェイの役割を果たしています。

    4 か所の生息地に生息しているマウンテン ライオンを 4 つの別々の個体群として管理するのではなく、単一のメタ個体群 (個体群の集合) として管理します。 マウンテン ライオンのこの個体群全体が主要生息地パッチ間を移動できるようにすることは、健全性と遺伝的多様性を維持する上で役立ちます。 また、マウンテン ライオンが 1 か所のパッチで局所的に絶滅すると、他のパッチのマウンテン ライオンがそのパッチに移ってきて定着することがあります。 この理由から、既存の生息地パッチをつなげるための緑の回廊を確立することが必要不可欠となっています。

    これらのラベルはこれ以降使用しないため、オフにしておきます。

  8. [コンテンツ] ウィンドウで、[Core Mountain Lion Habitats] レイヤーを右クリックして [ラベル] を選択します。

    ラベル メニュー オプション

    これらのラベルがマップ上に表示されなくなります。

解析方針の把握と関連条件の特定

ここでは、最適な回廊を特定できる解析方針を把握し、 解析に関連する条件を特定します。

最適な回廊とは、マウンテン ライオンが地形を移動する際に、ストレスと危険を最も感じない (最も安心感を覚える) 回廊です。 たとえば、都市化された地域を通過する際には、ストレスと危険が非常に大きくなります。 一方で、人と車に遭遇しない保護対象の森林を通過する際には、ストレスも危険も少なくなります。 ストレスと危険の観点から地形内のどの移動経路がマウンテン ライオンの最小コストになるかを判別する最小コスト解析を実行して、最適な回廊を特定します。

次の 2 つのステップを実行します。

ステップ 1: 分析範囲全体のコスト サーフェスを作成します。 これは、セルごとにコスト値が割り当てられているラスター (つまり、セルまたはピクセルのグリッド) になります。 小さい数値は低コストに相当し、大きい数値は高コストに相当します。 次の図には、値が 1 ~ 5 の間で変化するコスト サーフェスが示されています。

値が 1 ~ 5 の間で変化するコスト サーフェス

ステップ 2: コスト サーフェス上で主要生息地パッチをつなぐ最適な移動経路を特定します。 移動経路では、コスト サーフェス ラスターでセル間を移動する際にコスト値が累積されます。 最適な移動経路は、累積コストが最も低い経路です。 次の図に表示されたラインは、地点 A から地点 B に移動する際の最小コスト パスを示しています。

地点 A から地点 B に移動する際の最小コスト パスを示すライン

コスト サーフェスを作成するには、次の 5 つのステップを実行します。

  1. このトピック (地形を移動するマウンテン ライオン) に適したコスト条件をいくつか特定する。
  2. これらの条件を表すデータセットを特定する。
  3. 必要に応じて、データセットの事前処理を行い、これらの条件を完全に表せるようにする。
  4. これらの条件データセットを 1 〜 10 の共通スケールに変換する。
  5. これらの条件データセットにウェイトを付与し、これらの条件データセットを結合して 1 つのコスト サーフェス ラスターを作成する。

マウンテン ライオンに適したコスト条件をいくつか特定します。 注意点として、潜在的なストレスと危険の観点から、マウンテン ライオンが地形を移動する際のコストを表します。 これには、移動中に獲物を見つけて飢えをしのぐ能力も含まれます。 次の条件を使用します。

  • 地形の土地起伏 - 起伏の多い地形は、マウンテン ライオンが地形の中に身を潜めたり、獲物に忍び寄ったりする目的にかなっています。 また、人間の進入や開拓を妨げる役割も果たしています。 土地起伏が大きいほど、コストが低くなります。
  • 高密度な植生土地被覆 - 樹木と灌木地は、移動する際の安全を確保し、獲物に忍び寄る際の隠れ場所になります。 マウンテン ライオンが嗜好する獲物も、このタイプの土地被覆に生息する傾向があるため、マウンテン ライオンが空腹になる状況が減少します。 地域内で植生の密度が高いほど、コストが低くなります。
  • 保護地域 - マウンテン ライオン自体は、その地域が保護されているかどうかをわかっていませんが、このような地域は、マウンテン ライオンが好む自然環境であり、最小限の人間しか存在せず、都市開発も行われていません。 また、これらの地域は、自然環境が今後も損なわれずに維持されることを保証しています。 地域の保護の度合いが高いほど、コストが低くなります。
  • 道路までの距離 - 道路はマウンテン ライオンにとって危険であるだけでなく、人為的な開発を推進する役割も果たします。 道路から遠く離れているほど、コストが低くなります。
注意:

コスト サーフェスとコスト解析の詳細については、「距離解析の簡素化」と「旅行者がどのように距離に直面するかを確認する」をご参照ください。

マウンテン ライオンの詳細については、Cougar Fund が作成した「Cougar Overview」ページと「Cougar Family Life」ページをご参照ください。

コスト サーフェスのデータを確認

解析の各コスト条件を表すには、適切なデータセットが必要となります。 ここでは、選択した 4 つのデータセットを確認します。 最初のデータセットは、地形の土地起伏条件を表す目的に使用する [Elevation] レイヤーです。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation] レイヤーをオンにします。

    Elevation レイヤーがオンになっている状態

    [Elevation] レイヤーが表示されます。

    マップ上に表示された Elevation レイヤー

    このレイヤーは、各セルが海抜高度を表すラスター レイヤーです。 標高が低いセルは暗い色調で表示され、標高が高いセルは明るい色調で表示されます。 標高が高い山岳地帯が白とライト グレーで表示され、平坦な低地が黒とダーク グレーで表示されていることがわかります。

    どのようにラスター レイヤーがセルで構成されているかを見やすくするために拡大表示します。

  2. マップ上で、標高差の大きい地域を選択し、ラスターを構成している個々のセルが見えるまで拡大表示します。

    Elevation レイヤーが拡大表示された状態

    これらのセルのうち、いくつかのセルの標高値を表示します。

  3. リボン上の [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] 下矢印をクリックして [コンテンツで選択] を選択します。

    コンテンツで選択オプション

    このオプションを使用すると、現在選択されているレイヤーに関する情報が表示されます。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation] レイヤーをクリックして選択します。

    Elevation レイヤーが選択された状態

  5. これらのセルのいずれかをクリックして、情報ポップアップを表示し、そのセルの標高値 (メートル単位) を確認します。

    次の画像例にあるセルは、約 890.8 メートルの標高を表しています。

    890.8 メートルの標高値を示す情報ポップアップ

  6. さらにいくつかのセルをクリックして、これらのセルの標高値がどれだけ異なっているかを確認します。
  7. 情報ポップアップを閉じます。
  8. [コンテンツ] ウィンドウで [Study Area] を右クリックして [レイヤーにズーム] を選択します。

    レイヤーにズーム メニュー オプション

    これで、このレイヤーが土地起伏ではなく標高を表します。 このワークフローで後から、事前処理を行って、土地起伏条件を効果的に表せる新しいレイヤーを取得する必要があります。 ここでは、土地起伏の最大値に最小コストを割り当てます。

    次に、2 つ目の条件である高密度な植生土地被覆に使用するデータセットを確認します。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで [Elevation] レイヤーをオフにします。 [Land Cover] レイヤーをオンにします。

    Elevation レイヤーがオフに設定され、Land Cover レイヤーがオンに設定された状態

    [Land Cover] レイヤーが表示されます。

    マップ上に表示された Land Cover レイヤー

    [Land Cover] はもう 1 つのラスター レイヤーですが、[Elevation] レイヤーとは異なり、黒から白へのシンプルな色のグラデーションがありません。 このレイヤーが表示する内容を理解するために、このレイヤーのシンボルを調べます。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、[Land Cover] レイヤーの横にある矢印をクリックして展開し、このレイヤーのシンボルを表示します。

    Land Cover レイヤーが展開されて、凡例が表示された状態

    このレイヤーは、[常緑樹林][耕作済みの作物] など、さまざまなタイプの土地被覆を示しています。 これらの土地被覆タイプはそれぞれ色でシンボル表示されています。赤色は造成された市街地を表し、緑色は森林または草地を表しています。 茶色は、灌木地または草本群落を表しています。 このレイヤーは事前処理する必要がないため、最小コスト解析で直接使用することができます。この解析では、森林や灌木地などの高密度な植生土地被覆タイプに最小コストを割り当てます。

    次に、3 つ目の条件である保護地域に使用するレイヤーを確認します。

  11. [コンテンツ] ウィンドウで、[Land Cover] レイヤーの横にある矢印をクリックして、シンボルを折りたたみます。
  12. [Land Cover] レイヤーをオフにして、[Protected_Status] レイヤーをオンにします。

    Land Cover レイヤーがオフに設定され、Protected_Status レイヤーがオンに設定された状態

    [Protected_Status] レイヤーがマップ上に表示されます。

    マップ上に表示された Protected_Status レイヤー

    このラスター レイヤーは、Protected Areas Database of the United States (PAD-US) に含まれているすべての土地の保護の度合いを示しています。保護の度合いが高い土地は濃い緑色で表され、保護されていない土地は薄い緑色で表されています。 保護の度合いが高い土地の一例は国有林であり、 保護されていない土地の一例は保養地です。 マップ上で色が付いていない地域は PAD-US 内で追跡されていない場所であり、一般的に、市街地、農地、私的利用のために開発されたその他の土地に相当します。通常、これらの地域は、マウンテン ライオンが最も好まない場所になります。 このレイヤーは事前処理する必要がないため、最小コスト解析で直接使用することができます。この解析では、保護の度合いが最も高い土地に最小コストを割り当てます。

    最後に、4 つ目の条件である道路からの距離に関連するデータセットを確認します。

  13. [コンテンツ] ウィンドウで、[Protected_Status] レイヤーをオフにして、[Roads] レイヤーをオンにします。

    [Road] レイヤーがマップ上に表示されます。

    マップ上に表示された Roads レイヤー

    [Roads] レイヤーは、ラスター レイヤーではなく、フィーチャをラインで表すベクター レイヤーです (これ以外のタイプのベクター レイヤーには、ポイントやポリゴンが含まれることがあります)。各ラインは、小さい道路から主要な幹線道路まで、さまざまな道路を表しますが、ほとんどのワークフローでは、異なるタイプの道路を区別することがありません。 このレイヤーを最小コスト解析で使用するには、このレイヤーを事前処理し、任意のセルから最も近い道路までの距離を表すラスターをこのレイヤーから取得する必要があります。 ここでは、道路までの距離の最大セル値に最小コストを割り当てます。

  14. [コンテンツ] ウィンドウで [Roads] レイヤーをオフにします。

これで、最小コスト解析の条件を表す目的に使用する 4 つのデータセットについて十分に理解できるようになりました。

陰影起伏レイヤーの作成

解析用にデータを準備する前に、陰影起伏レイヤーを作成して、マップにコンテキストをさらに追加し、地形を把握できるようにします。 陰影起伏レイヤーでは、人間の目で認識できるレンダリングのために、明暗で地形の起伏が強調されます。 これは、[Elevation] レイヤーから取得することができます。

  1. リボンの [画像] タブの [解析] グループで [ラスター関数] をクリックします。

    ラスター関数ボタン

  2. [ラスター関数] ウィンドウの検索ボックスに「Hillshade」と入力して Enter キーを押します。 [サーフェス][陰影起伏] ボタンをクリックします。

    Hillshade の検索と陰影起伏ボタン

    [陰影起伏] ラスター関数が表示されます。

  3. [陰影起伏プロパティ] パラメーターの [ラスター][Elevation] を選択します。

    陰影起伏ラスター関数のパラメーター

  4. [新しいレイヤーの作成] をクリックします。

    新しい [Hillshade_Elevation] レイヤーがマップ上に表示されます。

    マップ上に表示された Hillshade_Elevation レイヤー

    このレイヤーでは、分析範囲全体で山岳地帯と低地がどこに位置しているかが人間の目ではっきりとわかります。 このレイヤーは解析自体では使用しませんが、解析全体を通して生成されるさまざまなレイヤーを視覚化する際に有用な背景として使用します。

    [Hillshade_Elevation] レイヤーの名前を変更します。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで、[Hillshade_Elevation] をクリックして選択し、もう一度クリックして編集します。 「Hillshade」と入力して Enter キーを押します。

    名前が変更された Hillshade レイヤー

    このレイヤーはほとんどの場合に背景として使用されるため、[コンテンツ] ウィンドウでデータ レイヤーの下に移動させます。

  6. [コンテンツ] ウィンドウで、[Hillshade] レイヤーを下方にドラッグし、[Protected_Status] レイヤーの下にドロップします。

    Hillshade レイヤーが Protected_Status レイヤーの下にドロップされた状態

    プロジェクトを保存します。

  7. [クイック アクセス ツールバー] で、[保存] をクリックします。

    保存ボタン

このワークフローでこれまでに、プロジェクトをダウンロードして開きました。 分析範囲内でマウンテン ライオンの生息地を確認し、最小コスト解析の方針を把握し、解析の 4 つの条件を特定しました。 また、条件を表す 4 つのデータセットを調査し、陰影起伏レイヤーを生成しました。


解析用のデータの準備

ここでは、解析に使用するデータを準備します。 [Elevation] レイヤーと [Roads] レイヤーの 2 つを事前処理する必要があります。 これ以外の 2 つのレイヤーは直接使用できます。

データを準備する場合でも、解析自体を行う場合でも、ジオプロセシング ツールをいくつか実行する必要があります。 これらのツールは個別に実行できますが、このチュートリアルでは、これらすべてのツールをジオプロセシング モデルにまとめる方法を学習します。 モデルとは、指定した順序で実行される一連のジオプロセシング ツールです。 モデルは、必要に応じて何度でも実行できます。また、モデルを使用してワークフローを自動化したり、モデルを同僚と共有したりすることもできます。 ツールのパラメーターを変更して、解析全体を一括で再実行できるため、解析をすばやく微調整することもできます。

環境パラメーターを設定する

モデルの構築を開始する前に、ジオプロセシング環境パラメーターを設定しておくことをお勧めします。 これらのパラメーターは、実行するすべてのジオプロセシング ツールに適用され、処理の範囲を制限したり、データの保存方法を決定したりするのに役立ちます。

まず、ジオプロセシング ツールによって作成された出力レイヤーが同じ名前の既存のレイヤーを上書きするように、オプションを設定します。 このオプションは、解析ワークフローを複数回繰り返す予定であるが、余分なレイヤーでプロジェクトを煩雑にしたくない場合に役立ちます。 このオプションはデフォルトで有効になっている場合がありますが、解析を開始する前に有効になっているかどうかを確認しておくことをお勧めします。

  1. リボンの [プロジェクト] タブをクリックします。

    プロジェクト タブ

  2. 縦向きのタスクバーで [オプション] をクリックします。

    オプション ボタン

    [オプション] ウィンドウが表示されます。

  3. [オプション] ウィンドウで、[ジオプロセシング] タブをクリックします。

    ジオプロセシング タブ

  4. [ジオプロセシング ツールが既存のデータセットを上書きすることを許可] がオンになっていることを確認します。

    ジオプロセシング ツールが既存のデータセットを上書きすることを許可チェックボックスがオンに設定された状態

  5. [オプション] ウィンドウで [ModelBuilder] タブをクリックします。

    ModelBuilder タブ

  6. [出力をモデル グループ レイヤーに追加] オプションをオフにします。

    出力をモデル グループ レイヤーに追加オプションがオフに設定された状態

    これらのオプションを選択すると、解析を円滑に繰り返し実行できるようになります。

  7. [OK] をクリックします。

    先ほど実行したような [オプション] ウィンドウで変更した設定は、ArcGIS Pro のすべてのプロジェクトに保存されます。 これから選択する残りの設定は、このプロジェクトに固有であるため、プロジェクト自体の中で選択する必要があります

  8. 垂直方向のタスクバーの上部にある戻る矢印をクリックして、プロジェクトに戻ります。

    戻る矢印

  9. リボンの [解析] タブの [ジオプロセシング] グループで、[環境] をクリックします。

    [環境] ボタン

    [環境] ウィンドウが表示されます。 はじめに、デフォルトのワークスペース (ジオプロセシング ツールによって作成された新しいレイヤーの保存場所) が、プロジェクトに接続されたジオデータベースであることを確認します。

  10. [環境] ウィンドウの [ワークスペース] で、[現在のワークスペース][テンポラリ ワークスペース] の両方が [Mountain_Lion_Corridors.gdb] に設定されていることを確認します。

    現在のワークスペースとテンポラリ ワークスペースが Mountain_Lion_Corridors.gdb に設定された状態

    どちらのワークスペースもデータの保存場所を示していますが、テンポラリ ワークスペースは保持したくないデータ用のものです。 この演習では、両方のワークスペースの場所を同じにします。

  11. [出力座標][出力座標系][Elevation] を選択します。

    座標系が自動的に切り替わり、[Elevation] レイヤーの座標系である [NAD 1983 UTM Zone 11N] になります。 デフォルトの座標系を選択して、作成したすべての出力レイヤーで同じ座標系が使用されることを確認します。

    NAD 1983 UTM Zone 11N に設定された出力座標系

  12. [処理範囲][範囲] で、[レイヤーの範囲] を展開して、[分析範囲] を選択します。

    このパラメーターにより、すべての出力レイヤーが自動的に分析範囲にクリップされることが保証されます。 出力サイズを小さくすることで、処理時間が短縮され、結果が確実に調査エリアだけをカバーするようになります。

    [範囲] が更新されて、分析範囲の角の座標系になります。

    分析範囲の角の座標系に設定された範囲

  13. [ラスター解析][セル サイズ][レイヤー Elevation に一致] を選択します。

    このプロジェクトの [Elevation] レイヤーとその他のラスター レイヤーが 30 メートルの解像度になります。 つまり、各セルは実世界の 30 平方メートルの面積を表します。 [セル サイズ] パラメーターを指定すると、解析中に生成されたすべての出力ラスター レイヤーが同じセル サイズになります。

    ヒント:

    ラスター レイヤーの解像度を確認するには、[コンテンツ] ウィンドウでそのレイヤーの名前をダブルクリックして [レイヤー プロパティ] ウィンドウを開きます。 [ソース] をクリックして、[ラスター情報] を展開します。 [セル サイズ] パラメーターに、レイヤーの解像度が表示されます。

  14. [ラスター解析][スナップ対象ラスター][Elevation] を選択します。

    [スナップ対象ラスター] パラメーターを指定すると、すべての出力ラスター レイヤーが、選択したレイヤーのセル配置と一致するようになります。つまり、セルが完全に重なります。

    セル サイズと、Elevation に設定されたスナップ対象ラスター

  15. [OK] をクリックします。

標高から土地起伏を作成

ここでは、新しいジオプロセシング モデルを作成し、そのモデルを使用して、標高レイヤーから土地起伏レイヤーを生成します。

  1. リボン上の [解析] タブにある [ジオプロセシング] グループで、[ModelBuilder] をクリックします。

    [ModelBuilder] ボタン

    新しい空のモデルが表示されます。 まず、そのモデルに [Elevation] レイヤーを追加します。 このレイヤーは、マップの [コンテンツ] ウィンドウに表示されているため、そこからドラッグすることができます。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Elevation] レイヤーを [ModelBuilder] の空白の領域にドラッグします。

    ModelBuilder の空白の領域にドラッグされた Elevation レイヤー

    このレイヤーは、レイヤー名を含む青い楕円としてモデルに表示されます。 青色の楕円は入力データ変数であり、ジオプロセシング ツールで処理する初期データを表します。

    次に、ジオプロセシング ツールを追加します。 このワークフローでは、標高の大規模かつ劇的な変化によって土地起伏が定義されます。 フォーカル統計ジオプロセシング ツールを使用して、標高変動の振幅を示すレイヤーを生成します。 [Elevation] ラスターのセルごとに、このツールは、そのセルの周囲にあるセル (隣接セルとも呼ばれる) を確認し、最小セル値から最大セル値までの範囲を計算します。 たとえば、あるセルの隣接セルで最小値と最大値が 430 メートルと 450 メートルの場合、範囲は 20 メートルになり、この値が該当するセルに割り当てられます。 範囲の値が大きい場合は、起伏の多い土地を意味します。 まず、[フォーカル統計] ツールを検索します。

  3. リボンの [ModelBuilder] タブの [挿入] グループで、[ツール] ボタンをクリックします。

    ツール ボタン

    [ジオプロセシング] ウィンドウが表示されます。

  4. 検索ボックスに「フォーカル統計 (Focal Statistics)」と入力します。

    Focal Statistics の検索

  5. 検索結果で、[フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツール (Spatial Analyst ツール) をモデル内にドラッグして [Elevation] 入力データ エレメントの右側にドロップします。

    モデル内のフォーカル統計 (Focal Statistics)

    現在、このツールはグレーの長方形として示され、グレーの出力に接続されています。 現在、どちらのエレメントも有効でないため、グレー表示になっています。 これらのエレメントを入力レイヤーに接続して有効にする必要があります。

    注意:

    モデル エレメントをドラッグして、自由に再配置することができます。 これらのエレメントのサイズを変更することもできます。

  6. [ModelBuilder] の空白スペースの任意の場所をクリックして、これらのエレメントがいずれも選択されていないことを確認します。
  7. [Elevation] から [フォーカル統計 (Focal Statistics)] までドラッグして矢印を描画します。

    Elevation からフォーカル統計 (Focal Statistics) への矢印

    マウス ボタンを離すと、2 つのモデル エレメントが接続され、接続オプションのリストが表示されます。

  8. [入力ラスター] をクリックします。

    入力ラスター オプション

    [Elevation] エレメントは、このツールで入力ラスターの役割を果たします。 このツールが黄色で、出力エレメントが緑色になります。つまり、これらが現在有効であり、このツールを実行することができます。

    フォーカル統計 (Focal Statistics) エレメントが有効になっています。

    ツールを実行する前に、結果を微調整するための追加のパラメーターを設定します。

  9. モデルで、[フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツールをダブルクリックして、そのパラメーターを開きます。

    出力の名前を変更し、統計情報の種類を選択して、隣接セルの範囲を計算します。

  10. [出力ラスター] で、ラスター名を「Ruggedness」に変更します。 [統計情報の種類] で、[範囲] を選択します。

    [フォーカル統計 (Focal Statistics)] のパラメーター

    注意:

    ツールのパラメーターについて詳しく知りたい場合は、該当するパラメーターにポインターを合わせた後、その横に表示される情報アイコンにポインターを合わせると、詳細な説明が表示されます。 ツールの右上隅にある疑問符ボタンをクリックして、詳細を確認することもできます。

  11. [OK] をクリックします。

    出力エレメントの名前を [Ruggedness] に変更します。 最後に、ツールを実行すると出力レイヤーがマップに追加されるように、出力エレメントを変更します。

  12. [Ruggedness] モデル エレメントを右クリックして、[マップへ追加] をクリックします。

    [マップへ追加] オプション

    モデルに名前を付けて保存します。

  13. リボン上の [ModelBuilder] タブにある [モデル] グループで、[保存] 下矢印をクリックして [名前を付けて保存] を選択します。

    名前を付けて保存オプション

  14. [名前を付けてモデルを保存] ウィンドウで、[名前] に「LeastCostAnalysis」と入力して [保存] をクリックします。
    注意:

    この時点で、モデルには [Ruggedness] レイヤーを生成するためのエレメントしか含まれていません。 ただし、このワークフロー全体を通して、完全な最小コスト解析を構成するまで、モデルにツールをさらに追加していきます。

    モデルが保存されます。 ここで、モデルを実行します。

  15. リボンの [ModelBuilder] タブの [実行] グループで、[実行] をクリックします。

    実行ボタン

    モデルが実行されます。 ウィンドウが表示され、プロセスの状況が通知されます。 しばらくすると、結果として生成された [Ruggedness] レイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

    コンテンツ ウィンドウ内の Ruggedness レイヤー

    また、[Focal Statistics] エレメントと [Ruggedness] エレメントの背後に表示されているグレーの影は、ツールの実行が終了したことを示しています。

    Focal Statistics エレメントと Ruggedness エレメントの背後に表示されているグレーの影

  16. プロセス情報ウィンドウを閉じます。
  17. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    マップ タブ

    [Ruggedness] レイヤーがマップ上に表示されます。

    マップ上に表示された Ruggedness レイヤー

    [Ruggedness] レイヤーでは、土地起伏の度合いが黒から白への色調で表されます。 暗いセルは土地起伏が少ないことを意味し、明るいセルは土地起伏が多いことを意味します。

Ruggedness レイヤーのシンボル表示と確認

レイヤーのシンボルを変更して、土地起伏の違いがより明確になるようにします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness] レイヤーのシンボルをクリックします。

    Ruggedness レイヤーのシンボル

    [Ruggedness] レイヤーの [シンボル] ウィンドウが表示されます。

  2. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] にある [配色] で、ドロップダウン メニューを展開して、[名前の表示] チェックボックスをオンにします。 下にスクロールして [赤-黄-緑 (連続)] を選択します。

    赤-黄-緑 (連続) の配色が選択された状態

    マップが更新されて、新しいシンボルが表示されます。

    新しいシンボルが表示された Ruggedness レイヤー

    緑色は起伏が最も多い地域を示し、赤色は起伏が最も少ない地域を示します。 コンテキストをさらに追加するには、[Hillshade] レイヤーを透過表示にします。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness] および [Hillshade] レイヤーがオンになっており、[Elevation][Land Cover]、および [Protected_Status] レイヤーがオフになっていることを確認します。

    Ruggedness および Hillshade レイヤーがオンになっており、Elevation、Land Cover、および Protected_Status レイヤーがオフになっています。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness] レイヤーをクリックして選択します。
  5. リボン上の [ラスター レイヤー] タブにある [効果] グループで、[透過表示] に「20%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 20% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新され、[Ruggedness] レイヤーが [Hillshade] レイヤーの上にオーバーレイされます。

  6. Hillshade レイヤーの上に Ruggedness レイヤーがオーバーレイされた状態
    ヒント:

    [乗算] を使用して 2 つのレイヤーをブレンドすると、結果が鮮明な色で生成されます。 透過表示を多少加えて、表示される色を弱め、結果を微調整することができます。

  7. マップを調べます。

    地形の起伏に関して土地起伏を見た場合、高く岩だらけの山頂が起伏に富み、低地が平坦で滑らかになる傾向があることは目に見えて明らかです。 マウンテン ライオンにとってのストレスと危険の観点から見ると、起伏が多いほど、コストが低くなります。 当然、マウンテン ライオンの主要生息地パッチは起伏の多い地域に位置しています。

  8. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

道路までの距離を作成

ここでは、[Roads] レイヤーから始めて、道路までの距離のラスター レイヤーを取得します。 これは、各セルから最も近い道路までの距離を示します。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。 [コンテンツ] ウィンドウから、[Roads] レイヤーをモデル内の [Elevation] レイヤーの下にドラッグします。

    モデル内の Roads レイヤー

    道路からの距離を計算するには、距離累積ツールを使用します。このツールは、各セルから最も近い道路までの直線距離を算出します。

  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで「Distance Accumulation」を検索します。

    Distance Accumulation の検索

    ヒント:

    [ジオプロセシング] ウィンドウを閉じた場合や、このウィンドウが見つからない場合は、[ツール] ボタンをクリックして、リボン上の [ModelBuilder] タブから開くことができます。

  3. 検索結果から、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールをモデル内の [Roads] 入力の横にドラッグします。

    モデル内の距離累積 (Distance Accumulation)

    このツールには出力ラスターが複数存在しますが、ここでは距離累積ラスターのみを対象としているので、それ以外の出力ラスターは取り扱いません。

  4. [Roads] 入力から [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールまで矢印を描画して、これらを接続します。 マウス ボタンを離すときに、[入力ラスター、またはフィーチャ ソース データ] を選択します。

    入力ラスター、またはフィーチャ ソース データ オプション

    このツールと [出力距離累積ラスター] エレメントは有効になりますが、それ以外の出力ラスターは有効になりません。 この理由として、これらの出力ラスターはオプションであり、デフォルトで作成されないためです。 このツールのパラメーターを開いて、距離累積出力の名前を変更します。

  5. [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールをダブルクリックして、そのパラメーターを開きます。
  6. [出力距離累積ラスター] で、出力名を「Distance_to_Roads」に変更します。

    [距離累積 (Distance Accumulation)] パラメーター

  7. [OK] をクリックします。
  8. モデル内で [Distance_to_Roads] 出力エレメントを右クリックして [マップへ追加] を選択します。

    モデルを保存します。

  9. リボン上の [ModelBuilder] タブにある [モデル] グループで [保存] ボタンをクリックします。

    保存ボタン

    ヒント:

    デフォルトでは、モデルはプロジェクト ツールボックスに格納されます。 モデルを誤って閉じてしまった場合は、[カタログ] ウィンドウからもう一度開くことができます。 これには、リボン上の [表示] タブで [カタログ ウィンドウ] を選択します。 [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] を展開してから [Mountain_Lion_Corridors.tbx] を展開します。 [LeastCostAnalysis] モデルを右クリックして [編集] をクリックします。

    次に、ツールを実行します。 ただし、[フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツールは再度実行したくありません。 実行したいツールを選択して、モデルの一部だけを実行できます。

  10. モデル内で [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    実行オプション

    ツールが実行されます。 しばらくすると、結果として生成されたレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  11. 処理ウィンドウを閉じた後、[マップ] タブをクリックして有効にします。

    レイヤーのシンボルを変更します。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Distance_to_Roads] レイヤーのシンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  13. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] にある [配色][赤-黄-緑 (連続)] を選択します。

    赤-黄-緑 (連続) シンボル

    マップが更新されて、新しいシンボルが表示されます。 ここでは、[Hillshade] レイヤーを透過表示にします。

  14. [コンテンツ] ウィンドウで [Ruggedness] レイヤーをオフにして、[Distance_to_Roads] レイヤーと [Hillshade] レイヤーがオンになっていることを確認します。
  15. [コンテンツ] ウィンドウで [Distance_to_Roads] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブで、[透過表示] に「30%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 30% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    Hillshade の上に Distance_to_Roads がオーバーレイされた状態

    [コンテンツ] ウィンドウに表示されているレイヤーの凡例は、セル値の範囲が 0 ~ 10,000 メートル (約 7 マイル) 以上であることを示しています。 分析範囲の大部分は道路 (赤色) の近くにあり、道路から離れた地域 (薄い黄色または緑色) はわずかしかなく、分断されています。 これは、この地域で人為的な開発がいかに広範囲に及んでいるかを示しています。 道路から離れたごくわずかな地域は、高い山頂に位置している傾向があります。 マウンテン ライオンの主要生息地パッチの大部分は、道路から離れたごくわずかな地域に存在することがわかります。 マウンテン ライオンにとってのストレスと危険の観点から見ると、道路までの距離が長いほど、コストが低くなります。 ただし、ほぼすべての場所に道路が存在する場合、道路を完全に避けることはできません。

  16. [シンボル] ウィンドウを閉じます。
  17. Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。

ワークフローのこの部分では、解析に向けた準備のためにジオプロセシング環境パラメーターを設定しました。 次に、モデルを作成し、そのモデルを使用して、[Elevation] レイヤーと [Roads] レイヤーを処理し、土地起伏条件と道路までの距離条件をもっと明確に表す新しいレイヤーを取得しました。 これ以外の 2 つのデータ レイヤーは事前処理する必要がありません。 次は、引き続きモデルを構築し、最小コスト解析を実施します。


コスト サーフェスの生成

解析条件を表す 4 つのデータ レイヤー (地形の土地起伏、道路までの距離、高密度な植生土地被覆、保護地域) がすでに存在します。 ただし、これらのデータ レイヤーはそれぞれ、計測方法と値の範囲が異なっています。 これら 4 つのレイヤーの組み合わせに意味を持たせるには、まず、これらのレイヤーを 1 ~ 10 の共通コスト スケールに変換しておく必要があります。ここで、1 は最も低いコスト、10 は最も高いコストを示します。 次に、結果として生成された 4 つのレイヤーを結合して 1 つのコスト サーフェスを作成します。これは、ストレスと危険の観点から地形を移動するマウンテン ライオンにかかる全体のコストを表すラスターになります。

適切な変換ツールの選択

共通スケールに変換するラスターのタイプに応じて異なるツールを使用します。 ラスターには、主に連続とカテゴリの 2 種類があります。

たとえば、[Distance_to_Roads] は連続ラスターになります。 つまり、このラスターのセル値は数量 (この場合は距離) を表し、相互に意味のある関係性を持ちます。 これらのセルのうち、1 つのセルの値が 600 メートルであり、もう 1 つのセルの値が 650 メートルである場合、2 つ目のセルは最初のセルよりも長い距離を表していると言えます。

一方で、[Land Cover] はカテゴリ ラスターになります。 つまり、このラスターのセル値はカテゴリを表すため、相互に意味のある関係性を持ちません。 たとえば、[常緑樹林][耕作済みの作物] よりも優れているとするのは無意味です。

注意:

また、カテゴリ ラスターは主題または不連続と呼ばれることもあります。 連続ラスターとカテゴリ ラスターの詳細については、「画像およびラスター データの概要」ページをご参照ください。

4 つの基準レイヤーは、次のタイプに属しています。

  • 土地起伏 - 連続
  • 道路までの距離 - 連続
  • 土地被覆 - カテゴリ
  • 保護状態 - カテゴリ

連続的な線形関数と非線形関数を適用する関数によるリスケールツールを使用して、連続ラスターを共通スケールに変換します。 出力ラスターで、各セルに 0 ~ 10 の連続コスト値 (浮動小数点値) が割り当てられます。

各カテゴリのコスト値を個別に設定できる再分類ツールを使用して、カテゴリ ラスターを共通スケールに変換します。 たとえば、[常緑樹林] 土地被覆タイプに低コスト値 1 が割り当てられ、[造成済み、高強度] 土地被覆タイプに高コスト値 10 が割り当てられるようにすることができます。 出力ラスターで、各セルに 0 ~ 10 の整数コスト値が割り当てられます。

土地起伏を変換

まず、[関数によるリスケール] ツールを使用して、[Ruggedness] データセットを共通スケールに変換します。 土地起伏が大きい地域は、マウンテン ライオンにとってストレスと危険が少ない場所であるため、土地起伏の値を低コスト値 (1 ~ 10 のスケールで 1 に近い値) に変換する必要があります。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで「Rescale By Function」を検索します。

    Rescale By Function の検索

  3. [関数によるリスケール (Rescale by Function)] ツール (Spatial Analyst ツール) をモデル内の [Ruggedness] 出力の横にドラッグします。
  4. 矢印を描画して、[Ruggedness] 出力を [関数によるリスケール (Rescale by Function)] ツールに接続します。 [入力ラスター]を選択します。

    入力ラスター オプション

    ツールとその出力がアクティブになります。 次に、出力名と変換関数を指定する必要があります。

  5. モデル内で [関数によるリスケール (Rescale by Function)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開きます。

    一部のパラメーターには、[Ruggedness] レイヤーの入力に基づいて自動的に値が入力されています。 [最小閾値] パラメーターと [最大閾値] パラメーターの値を読み取ると、土地起伏の値が 0223.39 の間で変化する可能性があることがわかります。

  6. 次のパラメーター値を選択します。
    • [出力ラスター] で、出力レイヤーの名前を「Ruggedness_Cost」に変更します。
    • [変換関数][MSLarge] を選択します。
    • [起点スケール] に「10」と入力します。 [終点スケール] に「1」と入力します。

    関数によるリスケール (Rescale by Function) のパラメーター

    0 に近い [Ruggedness] の値は、最も高いコスト値 10 に変換されます。 223 に近い [Ruggedness] の値は、最も低いコスト値 1 に変換されます。

  7. [OK] をクリックします。

    パラメーターが保存されます。

  8. モデル内で [Ruggedness_Cost] 出力エレメントを右クリックして [マップへ追加] を選択します。

    モデルを保存します。

  9. リボン上の [ModelBuilder] タブにある [保存] ボタンをクリックします。

    次に、ツールを実行します。

  10. モデル内で [関数によるリスケール (Rescale by Function)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    しばらくすると、結果として生成されたレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  11. 処理ウィンドウを閉じた後、[マップ] タブをクリックして有効にします。

    新しいレイヤーのシンボルを反転させて、低コスト値が緑色で表示され、高コスト値が赤色で表示されるようにします。

    注意:

    赤色と緑色にはシンボル上の強い関連性があり、赤色は危険や警告などのマイナスの要素を示す場合によく使用され、緑色はプラスの要素を示す場合と前に進むように指示する場合に使用されます。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness_Cost] レイヤーのシンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  13. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル][反転] チェックボックスをオンにします。

    反転チェックボックス

  14. [コンテンツ] ウィンドウで [Distance_to_Roads] レイヤーをオフにして、[Ruggedness_Cost] レイヤーと [Hillshade] レイヤーがオンになっていることを確認します。
  15. [コンテンツ] ウィンドウで [Ruggedness_Cost] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブで、[透過表示] に「20%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 20% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    透過表示が 20% に設定されており、レイヤーのブレンドが乗算に設定されていることを示すマップ

    [Ruggedness_Cost] レイヤーは [Ruggedness] レイヤーと比較的よく似ていますが、1 ~ 10 の間で変化するコスト値を表します。

  16. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness_Cost] が選択されていることを確認します。
  17. マップ上で [Ruggedness_Cost] セルをいくつかクリックして、これらのセルの値を情報ポップアップに表示します。

    次の画像例にあるセルのコスト値は約 3.39 です。

    コスト値が約 3.39 のセル

  18. ポップアップを閉じます。
  19. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

道路までの距離を変換

次に、[Distance_to_Roads] データセットを共通コスト スケールに変換します。 このデータセットは連続ラスターであるため、[関数によるリスケール] ツールをもう一度使用します。[Ruggedness] で実行された処理と非常によく似た処理が実行されます。 道路から遠く離れた地域は、マウンテン ライオンにとってストレスと危険が少ない場所であるため、道路までの距離の値を低コスト値に変換する必要があります。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. 必要に応じて、[ジオプロセシング] ウィンドウで「Rescale By Function」を検索します。
  3. [関数によるリスケール (Rescale by Function)] ツール (Spatial Analyst ツール) をモデル内の [Distance_to_Roads] 出力の横にドラッグします。

    このツールは、最初に [Ruggedness] で使用したツールと区別するために [関数によるリスケール (Rescale by Function) (2)] として追加されます。

  4. 矢印を描画して、[Distance_to_Roads] 出力を [関数によるリスケール (Rescale by Function) (2)] ツールに接続します。 [入力ラスター]を選択します。

    入力ラスター オプション

  5. モデル内で [関数によるリスケール (Rescale by Function) (2)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開きます。

    [Distance_to_Roads] の元の値が 0 から 10,961.62 の間で変化することがわかります。

  6. 次のパラメーター値を選択します。
    • [出力ラスター] で、出力レイヤーの名前を「Distance_to_Roads_Cost」に変更します。
    • [変換関数][MSLarge] を選択します。
    • [起点スケール] に「10」と入力します。 [終点スケール] に「1」と入力します。

    関数によるリスケール (Rescale by Function) のパラメーター

    0 に近い [Distance_to_Roads] の値は、最も高いコスト値 10 に変換されます。 10,961 に近い [Distance_to_Roads] の値は、最も低いコスト値 1 に変換されます。

  7. [OK] をクリックします。
  8. モデル内で [Distance_to_Roads_Cost] 出力エレメントを右クリックして [マップへ追加] を選択します。
  9. モデルを保存します。

    次に、ツールを実行します。

  10. モデル内で [関数によるリスケール (Rescale by Function) (2)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    ツールが実行されます。

  11. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    新しいレイヤーのシンボルを反転させて、低コスト値が緑色で表示され、高コスト値が赤色で表示されるようにします。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Distance_to_Roads_Cost] レイヤーのシンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  13. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル][反転] チェックボックスをオンにします。

    反転チェックボックス

    マップが更新されます。 詳細を確認するには、[Hillshade] レイヤーを透過表示にします。

  14. [コンテンツ] ウィンドウで [Ruggedness_Cost] レイヤーをオフにして、[Distance_to_Roads_Cost] レイヤーと [Hillshade] レイヤーがオンになっていることを確認します。
  15. [コンテンツ] ウィンドウで [Distance_to_Roads_Cost] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブで、[透過表示] に「30%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 30% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    Hillshade の上に Distance_to_Roads_Cost がオーバーレイされた状態

  16. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

    [Distance_to_Roads_Cost] レイヤーは [Distance_to_Roads] レイヤーと比較的よく似ていますが、1 ~ 10 の間で変化するコスト値を表します。

  17. 必要に応じて、[Distance_to_Roads_Cost] を選択し、いくつかのセルをクリックして、これらのセルの値を表示します。
  18. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

土地被覆を変換

ここでは、[Land Cover] データセットを変換します。 このデータセットはカテゴリ ラスターであるため、各カテゴリのコスト値を個別に設定できる [再分類] ツールを使用します。

植生の密度が高い土地被覆タイプは、マウンテン ライオンにとってストレスと危険が少ない場所であるため、土地被覆の値を 1 ~ 10 のスケールで低いコスト値に変換する必要があります。 荒地または造成地は、最も高いコスト値に変換する必要があります。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。

    まず、[Land Cover] レイヤーを入力データ変数として追加します。

  2. [Land Cover] レイヤーを [コンテンツ] ウィンドウから [ModelBuilder] までドラッグし、グレー表示になっている [出力ソース位置ラスター] エレメントの下にドロップします。

    モデル内の Land Cover レイヤー

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウで、「Reclassify」を検索します。

    Reclassify の検索

  4. [再分類 (Reclassify)] ツール (Spatial Analyst ツール) をモデル内の [Land Cover] エレメントの横にドラッグします。
  5. 矢印を描画して、[Land Cover] エレメントを [再分類 (Reclassify)] ツールに接続します。 [入力ラスター]を選択します。

    入力ラスター オプション

    次に、出力名と 1 対 1 の変換を指定する必要があります。

  6. [再分類 (Reclassify)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開き、次のオプションを選択します。
    • [再分類フィールド] で、[ClassName] が選択されていることを確認します。
    • [再分類] テーブルの下で [個別値] が選択されていることを確認します。

    [再分類] テーブルの [値] 列に土地被覆タイプが入力されています。 [新規] 列で、それぞれの土地被覆タイプの評価に応じて、デフォルト値を 1 ~ 10 のコスト値に置き換えます。 森林と灌木地は、マウンテン ライオンが最も安全と感じる土地被覆タイプですが、農地や空き地を利用することもできます。 造成地は安全でないため、高コスト値を割り当てる必要があります。 最後に、水で覆われた地域は、マウンテン ライオンの生息に適していないので、最も高いコスト値を割り当てます。

  7. [再分類] テーブルで、[新規] 列に次の値を反映します。

    新規

    開水域

    10

    造成済み、空き地

    8

    造成済み、低強度

    7

    造成済み、中強度

    8

    造成済み、高強度

    9

    荒地

    6

    落葉樹林

    2

    常緑樹林

    1

    混交林

    2

    低木/灌木

    3

    3

    干し草/牧草地

    4

    耕作済みの作物

    6

    木の多い湿地

    4

    抽水草本湿地

    4

    NODATA

    NODATA

  8. [出力ラスター] で、出力名を「Land_Cover_Cost」に変更します。

    [再分類 (Reclassify)] のパラメーター

  9. [OK] をクリックします。
  10. モデル内で [Land_Cover_Cost] 出力エレメントを右クリックして [マップへ追加] を選択します。
  11. モデルを保存します。

    次に、ツールを実行します。

  12. モデル内で [再分類 (Reclassify)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    しばらくすると、結果として生成されたレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  13. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    新しい [Land_Cover_Cost] レイヤーは表示されていますが、[Distance_to_Roads_Cost] レイヤーが分析範囲の海洋部分の下に表示されています。

    Distance_to_Roads_Cost レイヤーがマップ上で分析範囲の海洋部分の下に表示されています。

    後者のレイヤーをオフにします。

  14. [コンテンツ] ウィンドウで [Distance_to_Roads_Cost] レイヤーをオフにします。

    マップが更新されます。

    マップ上に表示された Land_Cover_Cost レイヤー

    コスト値を表す色がランダムに割り当てられています。 さらに有意義になるように、シンボルを変更します。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[Land_Cover_Cost] レイヤーのシンボルのいずれかをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  16. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] にある [フィールド 1][値] を選択します。

    フィールド 1 パラメーターの値

  17. [配色][赤黄緑 (9 クラス)] を選択します。

    赤黄緑 (9 クラス) シンボル オプション

    注意:

    コスト値 5 はどのカテゴリにも割り当てられていないため、10 クラスではなく、9 クラスしか存在しません。

    新しいレイヤーのシンボルを反転させます。

  18. [シンボル] ウィンドウの [値] タブで [詳細] > [シンボル] > [逆順] の順にクリックします。

    逆順オプション

  19. [コンテンツ] ウィンドウで [Land_Cover_Cost] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブにある [レイヤーのブレンド][乗算] を選択します。

    レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    新しいシンボルで表示された Land_Cover_Cost レイヤー

    低コストの土地被覆タイプのほとんどは、森林と灌木地が多くを占める山岳地帯に位置しています。 高コストの土地被覆タイプは、大部分を人間が開拓した平坦な低地に位置する傾向があります。 マウンテン ライオンの主な生息地が低コストの地域の真中で明確にネストされています。 マウンテン ライオンはストレスの少ない土地被覆に自然に引き寄せられるため、このことは道理にかなっています。

  20. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

保護状態を変換

ここでは、最後の基準データセットである [Protected_Status] を変換します。 このデータセットはカテゴリ ラスターであるため、[再分類] ツールをもう一度使用します。[Land Cover] で実行された処理と非常によく似た処理が実行されます。 最も保護されている地域は、マウンテン ライオンにとってストレスと危険が少ない場所であるため、保護状態の値を低コスト値に変換する必要があります。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. [Protected_Status] レイヤーを [コンテンツ] ウィンドウから [ModelBuilder] までドラッグし、[Land Cover] エレメントの下にドロップします。

    モデル内の Protected_Status レイヤー

  3. [再分類 (Reclassify)] ツール (Spatial Analyst ツール) を [ジオプロセシング] ウィンドウからモデル内の [Protected_Status] エレメントの横にドラッグします。
  4. 矢印を描画して、[Protected_Status] エレメントを [再分類 (Reclassify) (2)] ツールに接続します。 [入力ラスター]を選択します。

    入力ラスター オプション

  5. モデル内で [再分類 (Reclassify) (2)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開き、次のオプションを選択します。
    • [再分類フィールド] で、[Protected_Status] が選択されていることを確認します。
    • [再分類] テーブルの下で [個別値] が選択されていることを確認します。

    [再分類] テーブルの [値] 列に [Protected_Status] レベルが入力されています。 [新規] 列で、それぞれの保護状態カテゴリの評価に応じて、デフォルト値を 1 ~ 10 のコスト値に置き換えます。 最も保護されている地域は、マウンテン ライオンが最もストレスを感じない場所であるため、最も低いコスト値を割り当てる必要があります。 土地被覆とは異なり、NODATA セルも再分類します。この理由として、NODATA セルは、Protected Areas データベース内で追跡されていない場所に相当し、通常、都市化された地域や開発しやすい地域など、ストレスが非常に大きい地域であるためです。 NODATA セルに最も高いコスト値を割り当てる必要があります。

  6. [再分類] テーブルで、[新規] 列に次の値を反映します。

    新規

    1 - 非常に大きい

    1

    2 - 大きい

    3

    3 - 中程度

    6

    4 - 保護されていない

    9

    NODATA

    10

  7. [出力ラスター] で、出力名を「Protected_Status_Cost」に変更します。

    [再分類 (Reclassify)] のパラメーター

  8. [OK] をクリックします。
  9. モデル内で [Protected_Status_Cost] 出力エレメントを右クリックして [マップへ追加] を選択します。
  10. モデルを保存します。

    次に、ツールを実行します。

  11. モデル内で [再分類 (Reclassify) (2)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    しばらくすると、結果として生成されたレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  12. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    コスト値を表す色がランダムに割り当てられています。 さらに有意義になるように、シンボルを変更します。

  13. [コンテンツ] ウィンドウで、[Protected_Status_Cost] レイヤーのシンボルのいずれかをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  14. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル] にある [フィールド 1][値] を選択します。

    フィールド 1 パラメーターの値

  15. [配色][赤黄緑 (5 クラス)] を選択します。

    赤黄緑 (5 クラス) シンボル オプション

  16. [シンボル] ウィンドウの [値] タブで [詳細] > [シンボル] > [逆順] の順にクリックします。
  17. [コンテンツ] ウィンドウで [Land_Cover_Cost] レイヤーをオフにして、[Protected_Status_Cost] レイヤーと [Hillshade] レイヤーがオンになっていることを確認します。
  18. [コンテンツ] ウィンドウで [Protected_Status_Cost] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブで、[透過表示] に「30%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 30% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    Hillshade の上に Protected_Status_Cost がオーバーレイされた状態

    保護状態の観点から最もコストが低い地域 (濃い緑色と薄い緑色) は山岳地帯に位置しています。 地域の多くが保護されていません (オレンジ色または赤色)。 これは、マウンテン ライオンがこれらの地域をまったく通過しなかったという意味ではありませんが、より強いストレスを受ける傾向があります。

  19. [シンボル] ウィンドウを閉じます。

加重コスト サーフェス レイヤーの作成

4 つの基準データ レイヤーを同じ 1 ~ 10 のコスト スケールに変換するステップをモデルに追加しました。 ここでは、これらのコスト レイヤーを結合して 1 つのコスト サーフェスを作成し、どのようにマウンテン ライオンが地形を移動するかをシミュレートします。 これには、[加重合計 (Weighted Sum)] ツールを使用します。このツールは、4 つのコスト レイヤーに値を追加し、レイヤーごとに一定のウェイトを付与します。 ウェイトを使用すると、結合されたコスト サーフェスの作成時に、一部のレイヤーの役割を他のレイヤーよりも重くする (特定のフィーチャをコストのかかるものにする) ことができます。 このツールは、セルごとに、各入力ラスターの値に付与されたウェイトを乗算し、その結果として求められた 4 つの値を加算して、総コストを表す新しい値を作成します。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. [ジオプロセシング] ウィンドウで、「Weighted Sum」を検索します。

    Weighted Sum の検索

  3. [加重合計 (Weighted Sum)] ツール (Spatial Analyst ツール) をモデル内の 4 つのコスト レイヤーの右側にドラッグします。

    モデル内の加重合計 (Weighted Sum)

    4 つのコスト レイヤーをこのツールに接続します。

  4. 矢印を [Ruggedness_Cost] から [加重合計 (Weighted Sum)] ツールまでドラッグします。 [入力ラスター]を選択します。

    入力ラスター オプション

  5. 同様に、他のコスト レイヤーをこのツールに接続します。

    加重合計 (Weighted Sum) ツールに接続されたコスト レイヤー

    次に、このツールのパラメーターを編集して、入力ごとに選択したウェイトを付与します。

  6. モデル内で [加重合計 (Weighted Sum)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開きます。

    変換された 4 つのレイヤーが入力ラスターとして表示されます。 各レイヤーのデフォルトのウェイトは 1 であり、すべてのレイヤーに同じウェイトが付与されることを意味します。 ここで、ウェイトのいくつかを変更する必要があります。 マウンテン ライオンが市街地を通過しないようにしたいので、土地被覆基準がより重要な役割を果たすようにします。 同様に、マウンテン ライオンは起伏のない平坦な地域でうまく生息できないので、土地起伏基準が非常に重要になるようにします。 結果として、これら 2 つの基準のウェイトを増やし、マウンテン ライオンが市街地と平坦な地域を避けるようにします。ウェイトを増やすと、これらの不要な地域にかかるコストが大幅に高くなります。 ワークフローのモデルは作成済みのため、いつでもウェイトを調節して、結果に微調整を加えることができます。

  7. [Distance_to_Roads_Cost][Protected_Status_Cost] で、[ウェイト] を 1 のままにします。 [Ruggedness_Cost][Land_Cover_Cost] で、[ウェイト] を「1.25」に変更します。
  8. [出力ラスター] で、出力名を「Cost_Surface」に変更します。

    加重合計 (Weighted Sum) のパラメーター

  9. [OK] をクリックします。
  10. モデル内で [Cost_Surface] 出力を右クリックして [マップへ追加] を選択します。
  11. モデルを保存します。

    次に、ツールを実行します。

  12. モデル内で [加重合計 (Weighted Sum)] ツールを右クリックして [実行] を選択します。

    しばらくすると、結果として生成されたレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  13. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    新しいレイヤーのシンボルを反転させて、低コスト値が緑色で表示され、高コスト値が赤色で表示されるようにします。

  14. [コンテンツ] ウィンドウで、[Cost_Surface] レイヤーのシンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  15. [シンボル] ウィンドウの [プライマリ シンボル][反転] チェックボックスをオンにします。

    反転チェックボックス

    マップが更新されます。 詳細を確認するには、[Hillshade] レイヤーを透過表示にします。

  16. [Study_Area][Cost_Surface][Hillshade][World Topographic Map][World Hillshade] を除くすべてのレイヤーをオフにします。
  17. [コンテンツ] ウィンドウで、[Cost_Surface] レイヤーをクリックして選択します。 リボン上の [ラスター レイヤー] タブで、[透過表示] に「20%」と入力します。 [レイヤー のブレンド][乗算] を選択します。

    透過表示が 20% に設定され、レイヤーのブレンドが乗算に設定された状態

    マップが更新されます。

    Hillshade の上に Cost_Surface がオーバーレイされた状態

    この [Cost_Surface] レイヤーでは、どのようにマウンテン ライオンが地形を移動するかをシミュレートします。 ストレスと危険の観点から、緑色はコストが最も低い地域を示し、赤色はコストが最も高い地域を示し、ベージュ色はコストが中程度の地域を示します。 コストが低い地域とコストが中程度の地域のほとんどすべてが山岳地帯に位置していることがわかります。 マウンテン ライオンの主な生息地はいずれも、コストが低い地域 (濃い緑色または薄い緑色) に存在します。 マウンテン ライオンがストレスも危険も少ない地域に生息するのは自然の流れであるため、このことは道理にかなっています。 今回が初めての試みであったので、モデルをさらに改良できますが、結果は大きく外れていないことを十分に示しています。

  18. [シンボル] ウィンドウを閉じます。
  19. Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。

ワークフローのこの部分では、4 つの基準データセットを 1 ~ 10 の共通スケールに変換し、結果として生成されたレイヤーを結合して 1 つのコスト サーフェスを作成するステップをモデルに追加しました。 モデルのステップを実行し、その結果をシンボル表示して調査しました。 次に、マウンテン ライオンのコリドーに最適な場所を特定するツールをモデルに追加します。


最小コスト パスの生成

すでに、コスト サーフェスを構築し、どのようにマウンテン ライオンが地形を移動するかをシミュレートするモデルを開発しました。 ここでは、コスト サーフェスを使用して、主要生息地パッチをつなぐ最適な移動経路を特定します。 コリドーの位置のモデリングは、負荷が最小となる経路を決定するタスクと見なすことができます。 最小コスト パスでは、できるだけコストをかけずに、指定された場所から場所まで移動します。 概念として、コスト サーフェスは、各ラスター セル (コスト値に相当する) に多数のビー玉があると想定してください。 マウンテン ライオンに袋を渡し、マウンテン ライオンはセルを通過するごとに、各セルにあるビー玉を袋に詰めていきます。 可能な限り少ないビー玉を持って、ある主要生息地から別の主要生息地にたどり着くことが目標です。

最小コスト パスの特定

最適な移動経路を作成するには、最適リージョン接続ジオプロセシング ツールを使用します。 このツールは、特定された地域間の最小コスト パスの最適ネットワークを特定します。 このツールで使用される入力は、コスト サーフェスとマウンテン ライオンの主要生息地の 2 つです。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. [コンテンツ] ウィンドウから [Core Mountain Lion Habitats] レイヤーをモデル内の [Cost_Surface] 出力の近くにドラッグします。

    モデル内にドラッグされた Core Mountain Lion Habitats レイヤー

    次に、[最適リージョン接続] ツールを追加します。

  3. [ジオプロセシング] ウィンドウで「Optimal Region Connections」を検索します。

    Optimal Region Connections の検索

  4. [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツールをモデル内の [Cost_Surface] および [Core Mountain Lion Habitats] 入力の横にドラッグします。

    モデル内にドラッグされた最適リージョン接続 (Optimal Region Connections) ツール

  5. 矢印をドラッグして、[Cost_Surface] 入力を [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツールに接続します。 [入力コスト ラスター] を選択します。

    入力コスト ラスター オプション

  6. 矢印をドラッグして、[Core Mountain Lion Habitats] 入力を [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツールに接続します。 [入力ラスターまたはフィーチャ リージョン データ] を選択します。

    入力ラスターまたはフィーチャ リージョン データ オプション

    接続できる入力領域は、ラスター データまたはベクター データのいずれかです。 [Core Mountain Lion Habitats] レイヤーはポリゴン ベクター レイヤーです。

  7. モデル内で [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツールをダブルクリックして、このツールのパラメーターを開きます。

    このツールの 2 つの出力レイヤーの名前を入力します。

  8. [最適出力接続ライン] で、出力の名前を「Mountain_Lion_Paths」に変更します。

    このレイヤーはプライマリ出力レイヤーです。 このレイヤーには、マウンテン ライオンがある生息地パッチからそれ以外の生息地パッチに移動する際の移動経路 (ライン) の最適ネットワークが含まれます (別の生息地パッチを通過する可能性があります)。

  9. [隣接する接続の出力フィーチャクラス] に「Mountain_Lion_Paths_Neighbors」と入力します。

    最適リージョン接続 (Optimal Region Connections) パラメーター

    この出力は、各パッチからそれに最も近い (最小コスト) 隣接セルまでのすべての移動経路を特定する二次的なオプション出力です。 最小コスト隣接セルへの移動経路から、特定のパッチに到達する代替移動経路が見つかる可能性があります。

  10. [OK] をクリックします。
  11. ツールの 2 つの出力をそれぞれ右クリックし、[マップへ追加] を選択します。
  12. モデルを保存します。

    [最適リージョン接続] ツールを実行し、その結果を調査します。

  13. モデル内で [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] を右クリックして [実行] を選択します。

    しばらくすると、結果として生成された 2 つのレイヤー [Mountain_Lion_Paths] および [Mountain_Lion_Paths_Neighbors][コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

  14. [マップ] タブをクリックして有効にします。

    新しいレイヤーはライン ベクター レイヤーになります。 デフォルトのシンボルは見づらく感じるので、変更します。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで、[Mountain_Lion_Paths_Neighbors] レイヤーのシンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  16. 必要に応じて、[シンボル] ウィンドウの [ギャラリー] をクリックします。 [ギャラリー] タブで「2.5 Point」を検索します。 [シンボルが見つかりました] のリストから [2.5 ポイント] シンボルをクリックします。

    2.5 ポイント シンボル

    マップが更新されます。

  17. 同様に、[2.5 ポイント] シンボルを [Mountain_Lion_Paths] レイヤーに適用します。

    新しいシンボルが適用された Mountain_Lion_Paths_Neighbors レイヤー

    まず、[Mountain_Lion_Paths] レイヤーを調査します。

  18. [コンテンツ] ウィンドウで [Mountain_Lion_Paths_Neighbors] レイヤーをオフにします。

    新しいシンボルが適用された Mountain_Lion_Paths_Neighbors レイヤー

    [Mountain_Lion_Paths] レイヤーは、最小コストで 4 か所の生息地パッチをつなぐ移動経路の最適ネットワークを表します。 これらの移動経路が主に [Cost_Surface] レイヤーの濃い緑色と薄い緑色の地域を通過していることがわかります。 これらの地域は低コストであるため、このことは道理にかなっています。 これらの移動経路が赤色の地域を通過しているのは、他に選択肢がない場合だけです。 このネットワークは、最も効率よく 4 か所のパッチをつなぐ方法であり、マウンテン ライオンの回廊を建設するのに最適な場所を表しています。

  19. [Mountain_Lion_Paths_Neighbors] レイヤーをオンにします。

    Cost_Surface の上に表示された Mountain_Lion_Paths_Neighbors レイヤー

    このレイヤーには前のレイヤーと同じ移動経路が含まれていますが、各生息地パッチを最小コスト隣接セルにつなぐ他の移動経路も示されています。 このような余分な移動経路は必要ありませんが、補足的な選択肢になります。 同様に、これらの移動経路も主に濃い緑色と薄い緑色の地域を通過していることがわかります。

  20. プロジェクトを保存します。

モデルのクリーンナップ

結果を詳しく評価する前に、モデルをクリーンナップして完成させます。

  1. [LeastCostAnalysis] タブをクリックして、モデルに戻ります。
  2. リボン上の [ModelBuilder] タブにある [表示] グループで [ウィンドウに合わせる] をクリックします。

    ウィンドウに合わせるボタン

    ウィンドウに完全に収まるようにモデルが再描画されます。

    モデルがウィンドウに完全に収まっている状態

    モデル エレメントの位置が完全に一致せず、モデル エレメントが等間隔に配置されない場合があります。 [自動レイアウト] 機能を使用して、モデルを最適に再編成します。

  3. リボンの [ModelBuilder] タブの [表示] グループで、[自動レイアウト] をクリックします。

    自動レイアウト ボタン

    エレメントの配置を最適化するためにモデルが再描画されます。

    エレメントの配置を最適化するために再描画されたモデル

    ヒント:

    自動配置にあまり満足できない場合は、一部のエレメントを手動で再配置することができます。

    モデルの構造をもっと見やすくするために、モデルを次の 3 つのセクションまたはグループに再編成します。

    • データセットの事前処理
    • コスト サーフェスの作成
    • 最小コスト パスの検索
  4. モデル内で [フォーカル統計 (Focal Statistics)] および [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールとこれらのツールに関連する出力エレメントの周囲にボックスを描画して、これらを選択します。

    フォーカル統計 (Focal Statistics) および距離累積 (Distance Accumulation) の周囲に描画されたボックス

  5. リボンの [ModelBuilder] タブの [グループ] グループで、[グループ] をクリックします。

    [グループ] ボタン

    これで、選択したエレメントがグループ内にカプセル化されます。 名前を変更します。

  6. [グループ名] をダブルクリックします。

    グループ名

  7. ポップアップ表示されたウィンドウに「Preprocess datasets」という新しい名前を入力して Enter キーを押します。

    Preprocess datasets グループ

    1 つ目のグループが完成しました。次に、2 つ目のグループを作成します。 まず、[Core Mountain Lion Habitats] エレメントを邪魔にならない場所に移動させておきます。

  8. [Core Mountain Lion Habitats] エレメントをクリックして選択し、[最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツールの下にドラッグします。

    Core Mountain Lion Habitats エレメントが最適リージョン接続 (Optimal Region Connections) ツールの下にドラッグされた状態

  9. [関数によるリスケール (Rescale by Function)][再分類 (Reclassify)]、および [加重合計 (Weighted Sum)] ツールとこれらのツールに関連する出力エレメントの周囲にボックスを描画します。
  10. リボン上の [ModelBuilder] タブで [グループ] をクリックします。
  11. 新しいグループの名前を「Create cost surface」に変更します。

    Create cost surface グループ

    2 つ目のグループが完成しました。 次に、3 つ目のグループを作成します。

  12. [最適リージョン接続 (Optimal Region Connections)] ツール、このツールに関連する出力エレメント、および [Core Mountain Lion Habitats] エレメントの周囲にボックスを描画します。
  13. リボン上の [ModelBuilder] タブで [グループ] をクリックします。
  14. 新しいグループの名前を「Find least-cost paths」に変更します。

    Find least-cost paths グループ

  15. 各グループをドラッグして互いに少し離れて配置し、モデルをもっと見やすくします。

    完成したモデル

  16. モデルを保存します。

    これで、モデルが完成しました。

引き続きモデルを使用

今後、いつでも [カタログ] ウィンドウからこのモデルを取得して使用することができます。

  1. モデルを閉じます。

    モデルの閉じるボタン

  2. リボンの [表示] タブにある [ウィンドウ] グループで、[カタログ] ウィンドウをクリックします。

    カタログ ウィンドウ ボタン

  3. [カタログ] ウィンドウで、[ツールボックス] を展開してから [Mountain_Lion_Corridors.tbx] ツールボックスを展開します。

    作成したモデルがここに配置されます。

    Mountain_Lion_Corridors.tbx ツールボックス内の LeastCostAnalysis モデル

    ヒント:

    [Results.tbx] ツールボックスは、作成されたモデルのコピーが格納されており、参照または比較の目的で提供されます。

  4. [LeastCostAnalysis] モデルを右クリックして [編集] を選択します。

    編集オプション

    モデルがもう一度開きます。モデルをすぐに使用して、実行したり、さらに編集したりできます。

  5. リボン上の [ModelBuilder] にある [実行] グループで [整合チェック] をクリックします。

    整合チェック オプション

    整合チェックを実行すると、すべてのデータ エレメントとパラメーター値が有効かどうかが検証されます。 また、すぐに再実行できるように、モデルのステータスがリセットされます。

    [実行] ボタンをクリックして何回でもモデル全体を実行できるようになりました。 ただし、このワークフローで先に結果レイヤーに適用したシンボル スタイルは失われます。 ここではモデルを実行しません。

    ヒント:

    このチュートリアルの適用範囲外ですが、レイヤーのシンボル情報を適用 (Apply Symbology From Layer) ツールをモデルに組み込むと、シンボル スタイルをモデル内の出力レイヤーに自動的に適用することができます。

  6. Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。

ワークフローのこの部分では、モデルにツールを追加して、マウンテン ライオンの主要生息地間をつなぐ最小コスト パスを特定しました。 次に、ツールを実行し、出力レイヤーをシンボル表示して調査しました。 最後に、モデルをクリーンナップして完成させ、今後も引き続き使用する方法を確認しました。


結果の評価

ここでは、結果を詳しく評価します。

結果を他のレイヤーと比較する

まず、提案済みの移動経路をそれぞれのコスト レイヤーと比較します。

  1. [マップ] タブをクリックして有効にします。
  2. [コンテンツ] ウィンドウで、[Mountain_Lion_Paths_Neighbors] レイヤーをオフにして、[Mountain_Lion_Paths][Core Mountain Lion Habitats]、および [Cost_Surface] レイヤーが次の画像例のように表示されていることを確認します。

    マップ上に表示された Mountain_Lion_Paths、Core Mountain Lion Habitats、および Cost_Surface レイヤー

    提案済みの移動経路は、可能な限り、コスト サーフェス ラスター内でコストが最も低い地域を通過することをすでに確認しました。 他に選択肢がない場合は、少しコストが高い一続きの土地を通過することもあります。 全体的に見ると、これらの移動経路は、マウンテン ライオンの主要生息地をつなげる緑の回廊を構築するのに適した選択肢のように思われます。 ここでは、4 つの条件コスト レイヤーを個別に考察し、それぞれの移動経路がどれだけ適合しているかを確認します。

  3. [コンテンツ] ウィンドウで、[Cost_Surface] をオフにして、[Ruggedness_Cost] をオンにします。 マップを調べます。

    Cost_Surface がオフに設定され、Ruggedness_Cost がオンに設定された状態

    これらの移動経路が通るのは、起伏の多い地形にほぼ限られます。 この条件の観点から見ると、これらの移動経路は、マウンテン ライオンが通過する質の高い回廊を構築する上で大いに期待が持てます。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで、[Ruggedness_Cost] をオフにして、[Distance_to_Roads_Cost] をオンにします。 マップを調べます。

    Ruggedness_Cost がオフに設定され、Distance_to_Roads_Cost がオンに設定された状態

    これらの移動経路は可能な限りの低コストになっていますが、想定していたように、この分析範囲では、道路に近い場所を避けることができません。 このワークフローの後のほうでは、高速道路と小さい道路をさらに細かく区別し、このような道路の密度が高い困難な状況に対処する方法を確認します。

  5. [コンテンツ] ウィンドウで [Distance_to_Roads_Cost] をオフにして、[Land_Cover_Cost] をオンにします。 マップを調べます。

    Distance_to_Roads_Cost がオフに設定され、Land_Cover_Cost がオンに設定された状態

    これらの移動経路が通るのは、低コストの土地被覆にほぼ限られます。 この条件の観点から見て、これらの移動経路も、マウンテン ライオンが通過する質の高い回廊を構築する上で大いに期待が持てます。

  6. [コンテンツ] ウィンドウで [Land_Cover_Cost] をオフにして、[Protected_Status_Cost] をオンにします。

    Land_Cover_Cost がオフに設定され、Protected_Status_Cost がオンに設定された状態

    最適な移動経路は、可能な限り保護されている地域を通る経路ですが、低地の多くと山岳地帯の一部は保護されていないため、これらの地域を避けて通る移動経路を確保することができません。 このワークフローで後から、移動経路に沿った一続きの土地の保護状態を変更すると、この状況がどれだけ改善されるかを確認します。

コスト レイヤーごとに移動経路を調査すると、提案された回廊の場所の長所がわかりますが、その一方でいくつかの問題点も明らかになります。 次に、これらの問題点にどのように取り組むかを確認します。

保護する地域の視覚化

提案済みの移動経路に沿った緑の回廊を実現するには、いくつかの処置を取る必要があります。 その中の 1 つは、まだ時間があるうちに、これらの移動経路に沿って現存している未開発の土地を維持することです。 たとえば、カリフォルニア州は、これらの細長い土地に保護状態を付与するプログラムを立ち上げることができました。 このプログラムで最も優先順位が高い土地を視覚化します。

緑の回廊は、提案済みの移動経路に沿って一定の幅で帯状に伸びた土地として定義できます。 このワークフローでは、回廊の幅が 2 キロメートル (1.24 マイル) になるように設定します。 提案済みの移動経路の両側に 1 キロメートル (1,000 メートル) のバッファーを作成して、緑の回廊を視覚化します。

  1. [ジオプロセシング] ウィンドウで「Pairwise Buffer」を検索します。 結果のリストにある [ペアワイズ バッファー (Pairwise Buffer)] ツールをクリックします。
  2. [ペアワイズ バッファー (Pairwise Buffer)] ツールで、次のパラメーターの値を選択します。
    • [入力フィーチャ][Mountain_Lion_Paths] を選択します。
    • [出力フィーチャクラス] に「Wildlife_Corridors」と入力します。
    • [距離] に「1000」と入力して [メートル] を選択します。
    • [ディゾルブ タイプ][すべてディゾルブ] を選択します。

    ペアワイズ バッファーのパラメーター

  3. [実行] をクリックします。

    [Wildlife_Corridors] バッファーがマップ上に半透明の青色で表示されます。

  4. 次の画像例に示されているように、[Protected_Status_Cost] がまだオンになっていることを確認します。

    マップ上に半透明の青色で表示された Wildlife_Corridors バッファー

    注意:

    このワークフローで、基準になるバッファー (ユークリッド バッファーと呼ばれる) を作成します。 より高度な方法は、コスト サーフェスを考慮するコスト バッファーを作成することです。 これには、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールで移動経路とコスト サーフェスを使用し、最大距離を設定します。 また、[最小コスト コリドー (Least Cost Corridor)] ツールを使用することもできます。 詳細については、「位置とコリドーの接続」ドキュメント ページをご参照ください。 また、「最適パスによる位置の接続」記事もご参照ください。

    [Protected_Status_Cost] レイヤーに、保護されていない地域が赤色とオレンジ色で表示されます。

  5. マップを調査して、[Wildlife_Corridors] バッファー内に存在し、[Protected_Status_Cost] レイヤーに赤色またはオレンジ色でシンボル表示されている地域を視覚的に特定します。

    これらの地域は、可能な限り、保護されている土地に変更する必要のある場所です。

    ヒント:

    このチュートリアルの適用範囲外ですが、先ほど視覚的に特定した一続きの土地を抽出することもできます。 これには、[再分類 (Reclassify)] ツールを使用して、保護されていない土地 (つまり、値 9 と値 10) だけが含まれている新しいラスターを [Protected_Status_Cost] レイヤーから取得し、それ以外の値を NoData として再分類します。 次に、結果として生成されたレイヤーに対して [マスクで抽出 (Extract by Mask)] ツールを使用して、保護されていない土地を表し、[Wildlife_Corridor] バッファー内に存在するラスター セルを抽出します。

野生動物専用の陸橋が必要かどうかを評価

緑の回廊の実現に必要な別の処置は、マウンテン ライオンが移動中に危険な地域 (高速道路など) を通過するのを補助することです。 ここでは、データを調査して詳しく確認します。

緑の回廊がどの道路とも交差しないことが理想ですが、この分析範囲は、すでに高度に開発されているため、これが実現不可能であることがわかりました。 ただし、タイプの異なる道路を区別することが有用な方法となります。 マウンテン ライオンは、小さい道路を横断する際には事故に遭う危険性が比較的低く、高速道路を横断する際には常に多大な危険を伴います。 どうしても緑の回廊が高速道路を横断しなければならない場合は、次の画像例に示されているように、高速道路の上を通る野生動物専用の陸橋を建設することが確実な方法です。

野生動物専用の陸橋
この写真は、エストニアに実在する野生動物専用の陸橋を示しています。

分析範囲内で提案済みの移動経路が高速道路を横断している場所を特定します。 まず、高速道路だけが表示されている新しいレイヤーを [Roads] レイヤーから取得します。 この処理は定義クエリで行います。 最初に、[Roads] レイヤーのコピーを作成します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Roads] レイヤーを右クリックして [コピー] を選択します。

    コピー オプション

  2. [コンテンツ] ウィンドウで [マップ] を右クリックして [貼り付け] を選択します。

    貼り付けオプション

    [Roads] レイヤーのコピーが追加されます。 名前を変更します。

  3. 新しい [Roads] レイヤーをクリックして選択し、もう一度クリックして編集モードに入ります。 「Highways」と入力して Enter キーを押します。

    Highways レイヤー

    フィルター設定を作成します。

  4. [Highways] を右クリックして [プロパティ] を選択します。

    プロパティのオプション

  5. [レイヤー プロパティ: Highways] ウィンドウの左側の列で [フィルター設定] を選択します。

    フィルター設定オプション

  6. [新しいフィルター設定] をクリックします。

    新しいフィルター設定ボタン

  7. [クエリ 1] で、[Carto は 2 以下である] というクエリを作成します。

    「Carto は 2 以下である」フィルター設定

    [Carto] 属性には、最大 (1) から最小 (6) までの道路タイプをエンコードする数値が格納されています。 このクエリを実行すると、[Carto] の値が 1 と 2 の道路 (高速道路と高速道路のランプ) だけが保持されます。

  8. [適用] をクリックし、[OK] をクリックします。
  9. [コンテンツ] ウィンドウで [Highways] レイヤーをオンにします。 [Wildlife_Corridors][Protected_Status_Cost]、および [Hillshade] レイヤーをオフにします。

    マップが次の画像例のように表示されるはずです。

    マップ上に表示された Mountain_Lion_Paths および Highways レイヤー

    [Highways] レイヤーのシンボルとして、もっと見やすいシンボルを選択します。

  10. [Highways] シンボルをクリックして [シンボル] ウィンドウを開きます。
  11. 必要に応じて、[シンボル] ウィンドウの [ギャラリー] をクリックします。 [ギャラリー] タブの [ArcGIS 2D][Highway] をクリックします。

    Highway シンボル

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Mountain_Lion_Paths] レイヤーを [Highways] レイヤーの上にドラッグし、マップ上で [Highways] レイヤーの上に描画されるようにします。

    Mountain_Lion_Paths レイヤーが Highways レイヤーの上にドラッグされた状態

    これで、高速道路がマップ上に太い赤色のラインで表示されます。 提案済みの移動経路が高速道路を横断している 4 つの場所を特定できます。

    提案済みの移動経路が高速道路を横断している 4 つの場所

    ロサンゼルスは広範な幹線道路網でよく知られているため、移動経路と高速道路が交差している場所が多いことに驚きはありません。 マップを調査すると、大きく遠回りしたとしても、移動経路が高速道路を横断する状況を回避できないことは目に見えて明らかです。 このため、移動経路が高速道路を横断している 4 つの場所に陸橋を建設することを検討する必要があります。 これらの場所のいずれかをもっと詳しく確認します。

  13. リボン上の [マップ] タブにある [ナビゲーション] グループで、[ブックマーク] をクリックして [State Route 126] を選択します。

    州道 126 号線のブックマーク

    現地の状況を十分に把握するために、衛星画像ベースマップに切り替えます。

  14. リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[ベースマップ] をクリックします。 ベースマップ リストから [衛星画像ハイブリッド] を選択します。

    衛星画像ハイブリッド ベースマップ オプション

    マップが更新され、該当する地域の写真ビューといくつかのカートグラフィック指示が表示されます。

    該当する地域の写真ビュー

  15. マップを調査し、提案済みの移動経路と高速道路が交差している場所を拡大表示して、詳細を確認します。

    該当する地域の写真ビューの拡大表示

    この移動経路は、州道 126 号線 (Henry Mayo Dr.) だけでなく、サザン パシフィック社の鉄道も横断しなければならないことがわかります。 これらは互いにかなり近い場所にあるため、おそらく 1 つの陸橋を同時に両方の上に架けることができます。 また、少し南に行ったところにサンタクララ川が流れており、マウンテン ライオンが川を横断できるかどうかを確認する必要があります。 横断できない場合は、何らかの通り道を川に配置することも必要となります。

    注意:

    陸橋は、提案された正確な場所に建設する必要はありません。 急斜面を回避したり、マウンテン ライオンに安心感を与えるために高密度な植生で覆ったりする場合は、場所を少しずらした方が賢明です。

  16. 必要に応じて、他のブックマークを使用して、交差している他の 3 つの場所を確認できます。
  17. Ctrl + S を押して、プロジェクトを保存します。

この分析範囲はすでに開発されているので、緑の回廊の実現には、間違いなく困難を伴います。 その一方で、地方自治体やその他の関係機関に提案するための十分な情報に基づく具体的な計画ができ上がりました。 この解析方法および作成したモデルは、わかりやすくするために簡略化されていますが、世界の独自の地域で同様の解析を実行しようとする人々にとって優れた第一歩となります。 引き続きモデル内でツールのパラメーターを編集し、結果に微調整を加えることができます。 [加重合計 (Weighted Sum)] ツールで重みを変更するとどうなるでしょうか? 5 つ目の条件をコスト サーフェスに追加したら、どうなるでしょうか? ドキュメント化された編集可能なワークフローで、理論をテストして、必要に応じて調整を加え、解析を完成させることができます。 地域の保護活動、土地所有、農業に関する補足データを追加して、解析を拡張することもできます。

マウンテン ライオンとその保護活動の詳細については、「Cougar Fund」をご参照ください。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。