プロジェクトの作成

はじめに、このチュートリアルで必要なデータをダウンロードします。 次に、ArcGIS Pro でプロジェクトを作成します。

  1. Oso_Elevation.zip 圧縮フォルダーをダウンロードします。
  2. Microsoft File Explorer で、C: ドライブに「LearnArcGIS」という名前のフォルダーを作成します。
  3. ダウンロードしたファイルをコンピューター上で見つけ、[LearnArcGIS] フォルダーに解凍します。
  4. [Oso_Elevation] フォルダーを開きます。

    Oso_Elevation フォルダーの内容

    フォルダーには次のフォルダーが含まれています。

    • Oso_Imagery フォルダー - 地滑りの前後の画像が含まれています。
    • Oso_Mapping_Terrain_Data フォルダー - 地滑りの前後の標高レイヤーが格納されたジオデータベース (Oso_Landslide_Data.gdb) が含まれています。

    画像は、ワシントン州運輸局 (MDOT) から提供され、Esri 災害対応プログラムによってリホストされています。 デジタル標高モデルは、LIDAR データ、Puget Sound Lidar Consortium から抽出されました。

  5. ArcGIS Pro を起動します。 サイン インを求められたら、ライセンスが割り当てられた ArcGIS 組織アカウントを使用してサイン インします。
    注意:

    ArcGIS Pro へのアクセス権限または組織アカウントがない場合は、ソフトウェア アクセスのオプションをご参照ください

  6. [ローカル シーン] をクリックします。

    このオプションにより、[ローカル シーン] プロジェクト テンプレートに基づいて ArcGIS プロジェクトが作成されます。

    ローカル シーン オプション

    [新しいプロジェクト] ウィンドウが表示されます。

  7. [新しいプロジェクト] ウィンドウで、[名前] に 「Oso_Elevation」と入力します。
  8. [場所][参照] ボタンをクリックし、[LearnArcGIS] フォルダーを参照してクリックし、[OK] をクリックします。

    新しいプロジェクトの作成ウィンドウ

  9. [OK] をクリックします。

    プロジェクトが作成されます。

シーンへの画像の追加

ArcGIS Pro には、2D マップを傾けて 3D シーンに空間リレーションシップを表示する機能が備わっています。 これによって、データを理解しやすくなり、そのプロセスで新たな見方を発見することができます。 地滑りの影響を受けたワシントン州オソ周辺の地域を理解するため、地滑り前のこの地域の画像を追加します。

  1. リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンをクリックします。

    データの追加ボタン

    [データの追加] ウィンドウが開きます。

  2. [データの追加] ウィンドウで、[Oso_Elevation] フォルダーの場所を参照します。
  3. [Oso_Imagery] フォルダーを開いて [Oso_Imagery_Before.jpg] ファイルを選択します。

    選択された Oso_Imagery_Before 画像

    このファイルには、対象地域の地滑りの後の様子が描画されています。

  4. [OK] をクリックします。

    描画順序で選択されたオソの地滑り

    注意:

    変換に関する警告ウィンドウや、統計を作成するか確認するウィンドウが表示されたら、[はい] をクリックして続行します。

    シーンは、ベースマップ コンテンツとともに、遠方にレンダリングされており、小さい画像の見本がやや不適当に見えます。 ローカル シーンの表示領域を限られた範囲 (対象地域) にクリップすることができます。

    範囲は、手動で入力する、現在の観測点から計算する、またはシーン内のレイヤーからインポートすることができます。

シーンを対象地域にクリップ

レイヤーからインポートすることでシーンをクリップし、表示をデータの範囲に限定します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[シーン] を右クリックして [プロパティ] を選択します。

    プロパティのオプション

    [マップ プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  2. [マップ プロパティ] ウィンドウで、[レイヤーのクリップ] タブをクリックします。 ドロップダウン メニューをクリックして、[カスタム範囲でクリップ] オプションを選択します。

    カスタム範囲でクリップ オプション

  3. [範囲を取得][Oso_Imagery_Before.jpg] をクリックします。

    地滑り前のオソの画像のオプション

  4. [OK] をクリックします。

    ベースマップは表示されず、シーンにはイメージ レイヤーのみが表示されています。

    地滑り前のオソの画像

  5. [コンテンツ] ウィンドウの [2D レイヤー] グループで、[地形図 (World Topographic Map)] ベースマップ レイヤーをオフにします。
  6. [クイック アクセス ツールバー][保存] をクリックするか、Ctrl + S キーを押して、プロジェクトを保存します。

    保存ボタン

ビューの操作

デフォルトで有効になっている [マップ操作] ツールを使用してビューを操作することで、対象地域を探索できます。

  1. ビューを右クリックしてマウス ボタンを押したまま、下にドラッグすると、表示が拡大されます。
  2. マウス ホイール ボタンをクリックしたままでマウスを動かすと、ビューが回転します。

    地滑りの前のオソ地域の 3D ビュー

  3. ビュー内をクリックしてボタンを押したまま動かすと、画面移動します。

    ナビゲーター コントロール

    地表と画像は相互に完全には補完し合いません。地表が滑らかすぎて単純であるため、高解像度の画像に適切に一致しません。 これは、シーンの標高サーフェスのみが、解像度がセルあたり 10 メートル x 10 メートルから 30 メートル x 30 メートルの、デフォルト グローバル サービスであるためです。 つまり、最もよい場合では、ほぼ 1,000 平方フィートの地域に対して 1 つの標高値があることになります。

数値標高モデルの追加

標高サーフェスは、3D シーンの必須要素です。 標高サーフェスは、範囲全体のすべてのポイントの高さの値を表し、多くの場合、マップ内の他のコンテンツの高さの値を提供するために使用されます。 標高サーフェスはマップの一部として定義され、必要に応じてマップ内のレイヤーはその標高サーフェスを使用できます。

データがより正確に実世界を反映するよう、地滑り前の対象地域について、高解像度のデジタル標高モデル (DEM) を追加します。 このタイプの標高コンテンツは、サーフェスの基礎となる地表の地形を取り込み、構造物や樹木などの地上のエレメントを除外します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウの [標高サーフェス] グループ レイヤーで [地表] を右クリックし、[標高ソース レイヤーを追加] を選択します。

    標高ソース レイヤーを追加オプション

    [標高ソース レイヤーを追加] ウィンドウが表示されます。

  2. [標高ソース レイヤーを追加] ウィンドウで [Oso_Elevation] フォルダーの場所を参照し、[Oso_Mapping_Terrain_Data] フォルダーを開いて [Oso_Landslide_Data.gdb] ファイルを開きます。
  3. [DEM3ft_Before] を選択します ([DSM3ft_Before] ではなく [DEM3ft_Before] をクリックしていることを確認してください)。

    DEM3ft_Before ラスター データセットが選択された状態

  4. [OK] をクリックします。
  5. ビュー内を移動します。

    標高と画像の配置が、特に川の縁に沿った部分と樹木がない場所ではるかによくなりました。

    地滑りが発生した地域付近の川の 3D ビュー

数値表層モデルの追加

3D マップを作成する場合は、通常、より完全にするため、地表から突き出た追加の 3D ベクター コンテンツ (建物、樹木、電柱など) が必要です。 そのような種類の追加データがない場合は、代わりに、数値表層モデル (DSM) を標高レイヤーとして使用できます。

DSM は、地表のエレメントを含むあらゆるものをサーフェスに取り込みます。したがって実世界の障害物も取り込みます。 それらの障害物は、可視性、陰影、および近接解析に影響します。 特定の表示距離からは、DSM は、より写実的なサーフェスを表します。 ただしこの方法は、通常、データ解像度の制限とオーバーハングのない垂直な壁が際立つにつれて、サーフェスに近づいて表示したときに効果が低くなります。

このシーンでは、適度な距離で表示するので、DSM は使用すべき時間効率のよい妥当なオプションです。 地表面では、DEM データ ソースを DSM データ ソースと置き換えます。

  1. [コンテンツ] ウィンドウの [標高サーフェス] グループ レイヤーで [DEM3ft_Before] を右クリックし、[削除] を選択します。

    削除オプション

  2. [地表] を右クリックして、[標高ソース レイヤーを追加] を選択します。
  3. 必要に応じて [Oso_Elevation] フォルダーの場所を参照し、[Oso_Mapping_Terrain_Data] フォルダーを開いて [Oso_Landslide_Data.gdb] ファイルを開きます。
  4. [DSM3ft_Before] を選択します。

    DSM3ft_Before ラスター データセットが選択された状態

  5. [OK] をクリックします。
  6. [コンテンツ] ウィンドウで [シーン] をクリックしてハイライト表示し、もう一度クリックして名前を変更します。 「Before Mudslide」と入力して Enter キーを押します。

    Before Mudslide シーン名

  7. ビュー内を移動します。

    サーフェスが遠景になり、地上のフィーチャがサーフェスに組み込まれています。

  8. サーフェスに近づいて拡大表示し、制限を確認します。

    川の湾曲部

  9. より見やすいよう、縮小表示に戻ります。

    縮小された川の 3D ビュー

    コンテンツがより本物らしくなりました。 これは、地滑り前の 3D マップです。小さな半島の家々とその周囲の樹木がのどかな景色です。

    現地時間の 2014 年 3 月 22 日 10:37 a.m. に景色が一変しました。 大きな地滑りが発生し、不安定な丘が崩壊して、泥や瓦礫がなだれ込み、付近の田園地域を飲み込みました。 何人かの死傷者が出て、複数の家やその他の建造物が倒壊しました。 地滑りの後の地域を調べます。

2 つ目のシーンの作成

2 つ目のシーンを作成し、地滑り直後に収集された、この地域の航空画像を追加して、3D シーンの表示を改善します。 地形の地滑り前の状態のサーフェスと、地滑りの後の状態のサーフェスの 2 つが必要です。

  1. リボンの [挿入] タブの [プロジェクト] グループで、[新しいマップ] ドロップダウン矢印をクリックし、[新しいローカル シーン] を選択します。

    新しいローカル シーン オプション

  2. [コンテンツ] ウィンドウで、作成したシーンの名前を「After Mudslide」に変更します。

    After Mudslide シーン

  3. リボンの [マップ] タブの [レイヤー] グループで、[データの追加] ボタンをクリックします。

    [データの追加] ウィンドウが開きます。

  4. [データの追加] ウィンドウで、[Oso_Elevation] フォルダーの場所を参照し、[Oso_Imagery] フォルダーを開きます。
  5. [Oso_Imagery_After.jpg] ファイルを選択して [OK] をクリックします。

    Oso_Imagery_After ラスター データセットが選択された状態

  6. [はい] をクリックして統計を作成します。

    [Before Mudslide] シーンと同様に、シーンを画像にクリップします。

  7. [コンテンツ] ウィンドウで、[After Mudslide] を右クリックして [プロパティ] を選択します。

    [マップ プロパティ] ウィンドウが表示されます。

  8. [マップ プロパティ] ウィンドウで、[レイヤーのクリップ] を選択します。 [クリップ処理なし] をクリックし、ドロップダウン メニューで [カスタム範囲でクリップ] を選択します。
  9. [レイヤーの範囲] リストで [Oso_Imagery_After.jpg] を選択し、[OK] をクリックします。

    地滑り後の画像が表示されます。

    Oso_Imagery_After レイヤーが選択された状態

    デフォルトでは、新しいイメージ レイヤーが地表面 (つまり地滑り前の標高サーフェスの上) に描画されます。 画像からわかるように、地表はもはや正確に表現されていません。 地滑り後の標高には、まったく違うサーフェスが必要です。 この表現を修正するため、地滑り後の状態のサーフェスを作成します。

    注意:

    イメージ レイヤー全体を表示するには、場合によっては表示を縮小する必要があります。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで [標高サーフェス] を右クリックし、[標高サーフェス レイヤーを追加] を選択します。

    標高サーフェス レイヤーを追加オプション

    [サーフェス] という名前のレイヤーが表示されます。

  11. 名前を [サーフェス] から「After」に変更します。
  12. [After] を右クリックして、[標高ソース レイヤーを追加] を選択します。

    標高ソース レイヤーを追加オプション

    [標高ソース レイヤーを追加] ウィンドウが表示されます。

  13. 必要に応じて、[標高ソース レイヤーを追加] ウィンドウで [Oso_Elevation] フォルダーを参照します。
  14. [Oso_Mapping_Terrain_Data] フォルダーで [Oso_Landslide_Data.gdb] ファイルを開きます。 [DSM4ft_After] を選択して [OK] をクリックします。

    地滑り後の航空画像レイヤーに、[After] サーフェスを使用します。

  15. [コンテンツ] ウィンドウで [Oso_Imagery_After.jpg] レイヤーを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
  16. [レイヤー プロパティ] ウィンドウで、[高度] タブをクリックします。
  17. [フィーチャ] で、ドロップダウン メニューをクリックし、[カスタム標高サーフェス上] を選択します。
  18. [カスタム サーフェス] で、[After] サーフェスが選択されていることを確認します。

    After サーフェス オプション

  19. [OK] をクリックします。
  20. [コンテンツ] ウィンドウで、[地表] 標高サーフェスの下の [WorldElevation3D/Terrain3D] 標高ソースをオフにします。

    地滑り

    顕著な変化が見られます。 広範囲に渡って滑り落ちた丘陵の斜面と泥流に飲み込まれた半島の多数の家々が、更新された画像と標高レイヤーで明確に表されています。

    次に、地滑りの前後のシーンを横に並べて比較します。

  21. [After Mudslide] シーン タブをドラッグして [Before Mudslide] シーンの横に配置します。

    After Mudslide の移動

  22. リボンの [表示] タブにある [リンク] グループで [ビューのリンク] をクリックして、[中心と縮尺] を選択します。
  23. ビュー内を移動して変更を確認します。

    最終的なマップ

  24. プロジェクトを保存します。

このチュートリアルでは、さまざまなデータ ソースを使用して、オソの地滑りのシーンの地表を表現しました。 地表の標高サーフェスと地上の標高サーフェスという 2 つのタイプのサーフェスがあり、それらは 2 つの異なる瞬間に取り込まれました。 標高サーフェスおよびマッチングする画像レイヤーを組み合わせることで、自然災害が地域の地形をどのように壊滅的に変化させるかを観察し、理解することができます。

他のチュートリアルについては、チュートリアル ギャラリーをご覧ください。