海洋哺乳類の検出
海洋哺乳類の調査に携わる人々にとって、昼と夜の両方の状態の赤外解析は、正確な種目録を作成するための効果的な手段です。

画像は単純な写真以上のものを提供します。センサーの中には、人間の視覚では捉えられないようなエネルギーを検出できるものがあり、電磁スペクトル上の広い範囲にわたって「見える」ようにしてくれます。これにより、科学者、地質学者、農業従事者、植物学者といった専門家が、状況、事象、および活動を調査し、明らかにすることができます。これが意味するものは非常に意義深いもので、その活用場面は無限であるように思えます。
地球は毎日、上空や宇宙の軌道上の多数のセンサーから直接画像化されています。発生するほとんどすべての事象が、衛星、航空機、ドローン、およびロボットに搭載された何千もの画像装置によって測定、監視、撮影、探索されます。この情報の多くは、最終的に、世界の大規模で活気ある仮想 GIS に統合された画像となり、Web 上に展開されます。
これらのセンサーの中には、私たちの目に見えないものを検知して、私たちに見えるようにしてくれるものもあります。マルチスペクトル画像は、虹の色よりもはるかに多くのディメンションを持つ世界について表すことができるこの情報を、測定および取得します。つまり、この画像は、私たちの目に見えるものの限界を超えて認識します。
レーザーやレーダーなど、他のアクティブ センサー技術は、光速で反射して戻ってくるシグナルを送出し、リポジトリとして集積されている地理データにさらに情報を追加します。画像センサーの中には、雲を通して見たり、樹木の下を見たりできるものもあります。また、微小すぎて私たちの感覚では識別できないものを検出するものもあります。このような情報が持つ豊富さと即時性により、私たちは、私たちのコミュニティと環境に影響を及ぼす自然のプロセスや人間の活動について理解を深めることができます。こうした新しい情報ソースを収集、利用する能力は、GIS を実際に使用する人々にとってますます重要になっています。
これは、カメラが初めて航空機で上空に運ばれて以来、リモート センシング コミュニティの使命となっています。現在では、このようなセンサーから出力される情報は全スペクトル範囲に及び、人々の意思決定能力を向上させるうえで必要不可欠なものとなっています。
科学的研究や解析で使用される新型のマルチスペクトル センサーは、従来の自然光シーンと同様に GIS で機能します。基本的な原理は同じです。最近では、収集と送信の速度が向上し、範囲が拡大されたため、かつてないほどに情報の即時性が高まっています。これは、重大な人為的事象や自然事象が発生した後でも、ほぼリアルタイムで重要な比較を行うことを可能しています。
Web GIS はいわば地球の神経系で、スペクトルの画像はきわめて重要な役割を果たします。
携帯電話に搭載されたカメラは、写真 (私たちが認識する物体を私たちが普段見ているように表現する光と色) を撮影するように設計されているセンサーです。このような写真は、赤、緑、青の色の濃さとして表現されるピクセルのコレクションです。多くの航空および衛星プラットフォームは、これと同様の方法で (可視スペクトルで) 画像を取得するため、基本的には上空から地球をジオリファレンスした写真になります。ナチュラル カラー画像は、一部のタイプの画像ほど著しい特徴があるわけではありませんが、その価値はきわめて高いものです。
単に、目に見える景色の一連のピクチャを空から取得するだけで、新しい洞察が生まれ、その地理コンテキストや場所のフレームワーク内にある多くの物事を理解することができます。さらに、センサー数と取得頻度が増えれば増えるほど、画像と写真を活用する価値は高くなります。
動力航空機の歴史の初期に、航空写真 (上空からの地球の写真) が、軍事や科学に有用であることが分かり始めました。程なくして、画像の専門家および科学者は、人間の生の目で見えないものを検出できることに気づきました。可視光の虹を超えたところから、目に見えないものまでの波形を検出することで、より深くより豊富な情報を明らかにすることができました。その結果、このような検出困難な領域のスペクトルによって、最も有意義な洞察がいくつか導き出されました。以前は未知とされてきた地球に関する事実は、このようなシグナルの中に隠されていました。しかし、これらが明らかになったことで、私たちはこの世界を以前よりもはるかに効率的に理解できるようになりました。
マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル上のさまざまな範囲の周波数を測定します。このさまざまな周波数を表現する方法の 1 つとして色があります。一部の色は、人間には直接見ることができません。これらの周波数範囲は、バンドと呼ばれます。さまざまな画像センサーが、さまざまなバンド割り当てを測定します。最も長期にわたり、そして最も有名であろうマルチスペクトル画像プログラムは、Landsat です。Landsat は、1970 年代に地球の画像収集を開始しました。センサーの 3 つのバンドから電子ディスプレイ (またはハード コピーのプリンター) の赤、緑、青のチャンネルにデータを割り当てることで、色の可視化が実現されます。ここでは、さまざまなバンド割り当てとそれらの使用例をいくつか示します。
海洋哺乳類の調査に携わる人々にとって、昼と夜の両方の状態の赤外解析は、正確な種目録を作成するための効果的な手段です。
フランスの組織 Réseau d’Observation du Littoral Normand et Picard は、いくつかのプラットフォームの画像を使用して、ノルマンディーからピカルディーに至る海岸線の移り変わりについて調査しています。フランスで発表されたこの驚くべきストーリー マップは、海岸沿いの帯状の地域で堆積物や砂や砂利が、潮流、波、および卓越風によって運ばれて移動する様子を追跡します。海岸浸食は、浜や崖に重大な影響を及ぼしています。
イランのテヘラン付近のこれらのビューは、ナチュラル カラー バンド画像 (左)、および短波赤外 (SWIR) 画像 (右) を示しています。SWIR バンドを使用した場合は、あるの特定の岩山の頂上がピンク色で目立っており、ナチュラル カラー バンド割り当てではそれほど簡単に識別できない点に注目してください。アナリストは、岩山のタイプの違いから、特定の鉱物パターンを簡単に識別できるため、特定の物質を探す際にその探索エリアを大きく絞り込むことができます。
コペルニクスは、ESA (European Space Agency) の地球観測プログラムで、地球とその環境の変化の様子を監視しています。世界的な人口増加によって、限りある天然資源に枯渇の危機が忍び寄っており、安全な生活空間、新鮮な水、肥沃な土地、およびきれいな空気の需要がかつてないほど高まっています。
効果的な意思決定を下すため、公共機関、政策立案者、企業、および一般人は、信頼できる最新の情報サービスを必要としています。コペルニクス プログラムは、Sentinel と呼ばれる衛星の専用コンステレーションを基盤としています。今後 10 年にわたって 10 数基の衛星が軌道に打ち上げられ、海洋、陸地、気候、緊急事態、セキュリティ、大気の研究など、さまざま用途に活用される予定です。最初の衛星 Sentinel-1A は、陸地と海洋のサービスを目的とした極軌道の全天候型ミッションで、24 時間体制でレーダー画像を提供します。この衛星は、2014 年後半にオンラインになりました。2 番目のレーダー衛星 Sentinel-1B は、2016 年 4 月に打ち上げに成功しました。
Sentinel-2A は、陸地、植生、および沿岸水を監視するために 2015 年 6 月に打ち上げられました。この新しい衛星は、13 のスペクトル バンドを 290 キロメートルの走査幅でカバーする、高解像度の光学機器を搭載しています。センサーのバンド感度を向上したため、2014 年 8 月に撮影されたイタリアのローマのこの画像 (右) に見られるように、都市のスプロール現象や土地利用の監視を特に得意とします。
ESA アプリをダウンロードすると、Sentinel 衛星が地球を周回する様子をライブで見ることができます。iTunes App Store または Google Play (Android の場合) で「ESA Sentinel」を検索してください。
Landsat プログラムは、地球の衛星画像を取得するための長期にわたる活動です。1972 年 7 月 23 日に、最初の地球資源探査技術衛星が打ち上げられました。この衛星は、最終的に Landsat という名前に変更されました。最新の Landsat 8 は、2013 年に打ち上げられました。Landsat 衛星に搭載されている機器は、これまで何百万もの画像を撮影してきました。これらの画像は、世界中の Landsat 受信局でアーカイブされ、地球変動の研究、農業、地図製作、地質学、林学、地域計画、調査、教育などの特別なリソースとなっています。履歴アーカイブは、USGS EarthExplorer の Web サイトで参照できます。Landsat 7 のデータは 8 つのスペクトル バンドを持ち、空間解像度は 15 ~ 60 メートルです。Landsat がカバーする各部分は、16 日おきに再撮影されます。
Landsat 8 では、さらに 2 つのバンドが追加されています。最新の衛星には、3 つの主なミッションと科学目標がありました。1 つ目は、5 年以上の期間にわたって収集した陸塊の季節変動を、中解像度 (1 ピクセルあたり 30 メートル) のマルチスペクトル画像データとして取得、アーカイブすること。2 つ目は、Landsat 8 データとそれ以前の Landsat ミッションのデータが、カバレッジとスペクトル特性、出力プロダクトの品質、データの可用性の点において一貫性があること。これにより、土地被膜と土地利用の経時的な調査が可能になります。そして 3 つ目は、Landsat 8 データ プロダクトを公平、かつ無料で一般ユーザーに配布できるようにすることです。
ビデオ: LDCM (Landsat によるデータ連続性ミッション) の概要マルチスペクトル リモート センシングは、作物の状態や活性度に関するまったく新しい視点を提供します。レッド エッジは (目に見える) 赤と (人間の目には見えない) 近赤外 (NIR) の間の境界です。これがエッジと呼ばれる理由は、赤から NIR にかけて植生のスペクトル プロファイルの輝度が劇的に上昇するところにあります。植生がストレスを受けてプロファイルが変わると、エッジが動き、適切な波長の、狭いスペクトル バンドが劇的な変化を検出できます。MicaSense の RedEdge カメラは、青、緑、赤、および NIR の典型的なスペクトル バンド用にキャリブレーションされていますが、レッド エッジの動きを検出するために 720 ナノメートルの 5 つ目のバンドも装備しています。MicaSense カメラを搭載した低価格なドローンは、必要に応じて何度も飛行できるため、農業従事者は、灌漑、施肥、および農薬の使用 (ドローンで散布することも可能) を細かく調整できます。
宇宙ベースの画像センサーは、通常、地上から反射される太陽光を測定します。これは、多くの場合、パッシブ センシングと呼ばれます。一方、LIDAR、レーダー、ソナーなどのアクティブ センサーは、エネルギーのパルスを放射し、戻ってくるエネルギーを監視します。戻ってきたエネルギーがセンサーに到着すると、戻ってきたシグナルの強度とタイム スタンプを使用して、物体の正確な形状と位置が特定されます。アクティブ センサーは、夜間でも完璧に機能します。これは、アクティブ センシング技術に独自の機能です。
気象ベースのレーダーは、降水とそのタイプ (雨、雪、雹など) の検知や、暴風圏の動きの測定に使用されます。最近の気象レーダーはほとんど、ドップラー レーダーで、雨粒の動きと場所および降水の強さを検出できます。レーダー データを解析して、嵐の構造を特定したり、嵐が悪天候を引き起こす可能性を判断したりできます。
SRTM (Shuttle Radar Topography Mission) は、NASA のスペース シャトルをベースとした研究活動で、宇宙から見た地球の完全な高解像度デジタル地形図データベースを生成する目的で、北緯 60 度から南緯 56 度までのほぼ地球規模のデジタル標高モデルを取得しました。
標高データを取得するために、スペース シャトル エンデバーに 2 つのレーダー アンテナが (1 つはシャトルの観測機器室に、もう 1 つは 60 メートルのマストの先に) 搭載されました。搭載されたレーダー機器は、合成開口レーダーを発信し、このレーダーを使用して 30 メートルの解像度で地球の地形表面のマップが生成されました。このミッションが完了し、データが処理可能になると、最初の数年間は解像度を 90 メートルに減らしてデータが一般ユーザーと共有されました。最近では、30 メートルの完全な解像度で、標高データが世界にリリースされています。
地球上のすべての物体は、温度を持っているため、赤外線を放射します。このエネルギーは長波長で、熱赤外 (TIR) センサーで収集できます。赤外線画像センサーは、照明を必要としないため、昼も夜も機能します。すべての物体が、昼夜を問わず自力でエネルギーを放出します。物体は熱を帯びるほど、より多くのエネルギーを放出するため、熱分布画像でより明るく表示されます。
ハイパースペクトル センサーは、広範な電磁スペクトルを使用して世界を観測します。ハイパースペクトル システムは、マルチスペクトル センサーとは異なり、非常に多くのスペクトル バンドを提供して、詳細なスペクトル シグネチャの観測を可能にします。ハイパースペクトル画像では、特定の植物や鉱物を識別できます。
ハイパースペクトル センサーを使用する多くのプロジェクトは、特定のバンドに特別な焦点を当て、特定の事象の存在を見つけることを目的としています。このようなシグネチャにより、スキャンされた物体を構成する物質を識別できます。既知のスペクトル オブジェクトの検出に役立っているのは、そのオブジェクトがどこに存在していても非常に似たスペクトル特性を持つという傾向です。たとえば、ホワイト パインの木のスペクトル シグネチャは一貫しており、サトウ カエデのシグネチャとは異なります。ある 1 つの鉱物を大量に含む岩山は、別のタイプの鉱物を含む、同じような見た目の岩山とは異なります。このような相違は、さまざまなアプリケーションで利用される物体の識別および抽出に使用されます。
このネバダ州キュープライトのハイパースペクトル マップは、地表の鉱物の大観図を示しています。これによって、鉄分を含むエレメントが広範囲に分散される結果となった、以前は認識されていなかった昔の蒸気加熱熱水イベントが識別されました。
ハイパースペクトル画像を使用してスキャンした個々の物質には、独自の特性 (フィンガープリント) があります。このグラフは、波長 200 ~ 3,000 ナノメートルにおけるヘマタイト (鉄鉱石)、マラカイト、珪孔雀石の反射率を比較しています。
世界には、まだ発見されていない遺跡が、何百万とは言わないまでも、何十万も存在する可能性があります。Sarah Parcak は、それらの場所を特定したいと考えています。彼女は、衛星考古学者として、地球のはるか上空から収集された赤外線画像を解析し、目に見えない人工物の存在を知らせるわずかな変化を識別します。そうすることで、彼女とその同僚たちは、目に見えない歴史をもう一度見えるようにして、過去についての新しい解釈を打ち出すことを目指しています。
インスピレーションは、航空写真の初期のパイオニアである彼女の祖父から得られました。Parcak は、大学でエジプト学を勉強するかたわら、リモート センシングの授業を取り、エジプトの考古学的に重要な場所を見るために、衛星データ処理技術の開発に着手しました。この技術により、迅速で費用効果の高い方法で、新たな遺跡を発見できます。
彼女たちは、彼女の夫 Greg Mumford と協力して、エジプトのさまざまな場所で調査および掘削プロジェクトを指揮しました。彼女は、いくつかのタイプの衛星画像を使用して、水源や遺跡を探しました。
彼女の最近の活動は、遺跡の略奪に重点を置いています。チームは、長期間にわたってエジプトを衛星でマッピングし、遺跡を比較することにより、主要な遺跡で略奪が 2009 年から 1,000 パーセントも増加していることに気づきました。毎年、何百万ドル分もの古代の人工遺物が盗まれている可能性があります。私たちの活気ある豊かな歴史を失わないように、マッピングを通じて未知の遺跡を保護できることを願っています。
すべての画像アプリケーションが、センサー データをマップに投影する (言い換えると、画像を地理座標系に登録する) ことを必要としているわけではありません。元の画像で作業し、カメラの視点からその画像を見たほうが、効果的で適切なアプリケーションも数多くあります。これは、マップ座標系での作業とは対照的に、画像空間での作業と呼ばれます。軍用および民生用の多くの偵察アプリケーションが、マップ ビューと画像ウィンドウの両方を使用しています。たとえば、調査アプリケーションは、画像ビューとマップ ビューを一緒に効果的に使用します。
ビデオの地理的位置を示すメタデータがあれば、ArcGIS は FMV (Full Motion Video) を統合および実装できます。これは、ビデオのすべてのフレームがジオリファレンスされるという点を除き、航空画像がジオリファレンスされる様子に似ています。このようなジオリファレンス ビデオは、MISB (Motion Imagery Standards Board) によって定められた形式に準拠しています (MISB は、米国の防衛/インテリジェンス分野に関する Full Motion Video 撮影基準を管理する機関です)。
これにより、MISB に準拠したビデオ フレームの場所を、マップ ビューにウィンドウとして配置できます。また、マップ データをオプションのオーバーレイとしてビデオに配置できます。FMV 技術を使用すると、さまざまな種類の空中センサー (航空機、ドローン、他の UAV など) からのビデオ データをすばやく簡単に解析できます。
今回のレッスンでは、地理空間科学者として、1984 年から 2014 年の間に見られた湖周辺地域の変化を計測します。Landsat 画像を活用し、過去 30 年間のさまざまな時点に撮影された 3 枚の画像を基に土地被覆を分類し、湖の表面積のみを表示します。その後、湖の経時的な変化を確認します。
中国最大の淡水湖、ハ陽湖の水位は季節によって常に大きく変動してきました。ハ陽湖の水源は雨と長江ですが、数年にわたる干ばつと三峡ダムの建設により、近年は水位の変動がさらに顕著になっていました。
乾季の水位は驚くほど低く、雨季になっても水位は上昇しません。こうした変化は地域経済に打撃を与え、周辺地域の土地被覆も変えました。しかし、地元住民が湖の縮小を食い留めたいのであれば、実際に目にしていることを科学的根拠で裏付けなくてはなりません。